• 検索結果がありません。

3. 細菌数迅速計測装置

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "3. 細菌数迅速計測装置"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

マイクロ流体制御による細菌数の迅速計測

1. はじめに

 食品の安全性確保や品質管理につい ての社会的な関心が高まるにつれ,食 品中の細菌検査の重要性が増してきて いる.従来,食品などの細菌検査では,

寒天培地で細菌を培養して,生存して いる細菌数を算定する培養法が用いら れている.しかし,培養法では細菌を 見える状態にするために 24〜48 時間 の培養時間を要し,簡便に短時間での 計測が困難であることから,迅速な計 測技術の開発が期待されている.

 そこで本稿では,培養法を用いずに マイクロ流体制御を活用した迅速でか つ定量的に細菌数を計測する技術(1)と その装置,および計測事例(2)について 紹介する.

2. マイクロ流体制御技術の活用

 培養法を用いずに迅速でかつ定量的 に細菌数を測定するために,図 1に 示すように蛍光染色した細菌をマイク ロキャピラリ(幅 40μm×深さ 20μm

×長さ 2 mm)の中で 1 個ずつ流れに 乗せて,励起ビームを横切るときの蛍 光発光の回数から菌数を直接計数する

「蛍光フローサイトメトリー法」を測 定原理として採用した.

 上記の蛍光フローサイトメトリー法 を使用して食品中の細菌数を計測する 際の課題は,いかに生菌(生きている 細菌)と夾雑物とを判別するかである.

夾雑物は,食品由来物質に加え,死菌

(死んでいる細菌)や染色のために使 用する蛍光色素の粒子(以下,蛍光色 素粒子)がある.これらの夾雑物は自 家蛍光や蛍光色素による染色や吸着に より蛍光を発するため,擬陽性(生菌 として誤計測すること)の要因となる.

 そこで,上記の擬陽性の課題を解決 する新たな計測技術を開発した.一種 類の全菌用蛍光色素と一種類の死菌用 蛍光色素を用いる通常の「二重染色法」

に代わり,二種類の全菌用蛍光色素と 一種類の死菌用蛍光色素を用いる「三 重染色法」を開発した.この方法では,

生菌は全菌用蛍光色素の二種類の蛍光 を発し,死菌は全菌用蛍光色素と死菌 用蛍光色素の三種類の蛍光を発する.

各蛍光色素の粒子は一種類の蛍光を発

するので,蛍光の組み合わせで生菌を 判別できるようになるのが特徴である.

 さらに,これらの操作の自動化を実 現する手のひらサイズのカセットを開 発した.図 2はカセットの概観で,

内部に計測 1 回分の試薬や検体や廃液 を内包する使い切りタイプである.ま た,カセット内のマイクロ流路内では,

蛍光フローサイトメトリー法の検体前 処理における微量分注や食品屑の除 去,細菌の蛍光染色などを自動で行う 高度なマイクロ流体制御を行っている.

3. 細菌数迅速計測装置

 図 3は,図 2に示した蛍光色素の 三重染色プロセスを自動化したカセッ トを搭載したコンパクトな卓上装置の

「カセットラボ ONE」である.本卓上 装置の特徴は , 以下の 3 点である(3)

(1)easy Operation:

カセット式の簡単操作

(2)Non-culture:

培養法を用いずに細菌数を計測

(3)Extremely fast:

90 分で迅速計測

 図 3の卓上装置を用いて,実食材(ト マト,ごぼう,もやし,レタス,ほう れん草,紫キャベツ等)を市場から購 入して,細菌数を計測した結果を図 4 に示す.横軸が上記食材中の細菌数を 寒天培地による従来法で計測した結果 であり,縦軸が本装置で計測した場合 である.両者の計測結果を比較すると,

非常によく相関が取れていることがわ かり,90 分で迅速計測する本装置に よる計測結果は,寒天培地による従来 法の結果を再現できていることがわか る.

4. おわりに

 本稿では,マイクロ流体制御を活用 した計測技術と装置,およびその計測 事例について紹介してきた.一般的な 食品中では簡便かつ迅速な細菌計測が 実現できている.しかし,添加物が多 いものや脂肪等が極端に多い食品中で の計測にはまだ課題があるが,本技術 が食品工場における微生物検査の迅速 化の一助になれば幸いである.

(原稿受付 2013 年 6 月 24 日)

〔富樫盛典 (株)日立製作所〕

●文 献

( 1 )竹中 啓・ほか,カセット式マイクロフロー サイトメトリ法を用いた生菌数迅速計測装 置の開発,日本機械学会論文集,77-774,

C(2011),401-410.

( 2 )佐々木康彦,マイクロ流体制御による細菌 数の迅速計測,日本機械学会誌,116-1132

(2013),144-145.

( 3 )「カセットラボ ONE」ホームページ http://www.hitachi-power-solutions.com/

products/product02/p02̲69.html 流れ方向 全菌用色素の蛍光

細菌 励起光

検出範囲 死菌用色素

の蛍光 40μm

図 1  マイクロ蛍光フローサイトメトリー

マイクロ キャピラリ 15mm

幅40μm 深さ20μm 長さ2mm

55mm

55mm

図 2  蛍光色素の三重染色プロセスを 自動化したカセット

430mm 330mm

420mm

図 3 卓上の細菌数迅速計測装置

103 104 105

装置での生菌数

108

106 107

(個/ g)

トマト

きぬさや ごぼう

レタス ほうれん草 紫キャベツ

白菜

もやし

かぶ きゅうり 大根 人参

103 104 105 106 107 108 玉ねぎ

102 102

培養法での生菌数(cfu / g)

図 4 食材中の細菌数計測結果      (cfu:コロニー形成単位)

─ 47 ─

日本機械学会誌 2013. 9 Vol. 116  No.1138 661

参照

関連したドキュメント

本研究は、tightjunctionの存在によって物質の透過が主として経細胞ルー

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

の点を 明 らか にす るに は処 理 後の 細菌 内DNA合... に存 在す る

孕試 細菌薮 試瞼同敷 細菌数 試立干敷 細菌数 試瞼同轍 細菌撒 試強弓敷 細菌敷 試瞼同敷 細菌藪 試瞼同数 細菌数 試瞼回数 細菌撒 試立台数 細菌数 試験同数

RNAi 導入の 2

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

(注)本報告書に掲載している数値は端数を四捨五入しているため、表中の数値の合計が表に示されている合計

方法は、L-Na 液体培地(バクトトリプトン 10g/L、酵母エキス 5g/L、NaCl 24 g/L)200mL を坂口フラスコに入れ、そこに体質顔料 H を入れ、オートクレーブ滅菌を行