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学生の教職志望に関する探索 -その2-

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学生の教職志望に関する探索 ‑その2‑

著者 中島 絹子

雑誌名 東京家政大学研究紀要 1 人文社会科学

巻 46

ページ 73‑79

発行年 2006

出版者 東京家政大学

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00009189/

(2)

学生の教職志望に関する探索 一その2一

   中島 絹子

(平成17年10月6日受理)

ASurvey of Students Views on the Teaching Profession

 NAKAJIMA,Kinuko

(Received on October 6,2005)

キーワード:教職課程,教職志望,教員養成,教育実習

Key words:course for the teaching profession, the teaching profession plan, teacher training practice teaching

はじめに

 11年前に,教員養成を目的としたいわゆる「教員養成 大学」ではない本学において,学生がどのような目的・

理由で,教職課程を選択履修をしているのか,又教職へ の意識や志望度は,在学中にどのように変化していくの かという調査をおこなった.その後この調査を一定年数 継続して行い,その間の社会情勢によって,調査項目の 割合がどのように推移したか検討することにしていた.

この11年間には,教職課程を履修するにあたり,さまざ まな変化があった.平成10年4月1日より「小学校・中 学校の教諭の普通免許状授与に関わる教育職員免許法の 特例に関する法律」により,介護等体験が開始され,教 育職員免許法の改正に伴い中学校教員免許を取得するた めの単位が3単位から5単位に増え,教育実習期間が2 週間から3〜4週間へと延長された.

 受け皿となる実習校では,いじめや不登校・学級崩壊・

殺傷事件等問題が多く発生している.

 平成13年3月31日に「公立義務教育諸学校の学級編成 及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する 法律」が公布され,同年,4月より施行されたことによ

り,教員定数の改善が行われ,非常勤を含む教員採用者 が増加するものと考えられている.また,教員採用試験 に関して,「団魂世代」の大量退職時期にさしかかり,

採用増加時期に入って来ている.(ただし,四国・九州・

東北はこの限りではない)近年のこういった状況から,

調査項目がどのように推移したか比較検討したい.

1 研究の方法

1)調査対象;平成6年 東京家政大学 家政学部(栄      養学科・服飾美術学科)

     4年生の教職履修者のうち,6月末までに      教育実習を終了した学生208名

     平成17年 東京家政大学 家政学部(栄養      学科・服飾美術学科・環境情報学科)

     4年生の教職履修者のうち,6月末までに      教育実習を終了した学生163名のうち,156      名(就職等で欠席の学生は除く)

    *平成6年度の調査では,家政学部4年生と      短期大学部2年生を対象とした.今回は4      年生のみ.

2)調査日;平成6年7月1日(金)教育実習事後指      導「教育実習の研究」の時間内

      平成17年7月15日(金)教育実習事後指      導「教育実習の研究」の時間内

3)調査方法;教育実習に関する調査用紙を配布.1週      間後回収.

教職教養科

4)調査内容;調査内容は以下の通りである.

     対象者の属性,学生生活の抱負,教職指導      の生起時期,教職志望の動機,教職志望の      変化過程,教職志望が強化された理由,教

(3)

中島 絹子

職志望が希薄化した理由,教職に必要な資 質,教職の職業的特性,卒業後の志望志向.

5)対象者の属性

①出身校所在地

 ・平成6年;東京都内27.4% 東京都隣接県45.7%

       それ以外の道府県26.9%

 ・平成17年;東京都内23.4% 東京都隣接県43.9%

       それ以外の道府県32.7%

②通学区分

 ・平成6年;自宅通学者68.8% 自宅外通学者31.2%

 ・平成17年;自宅通学者63.2% 自宅外通学者35.8%

③家計支持者の職業

 ・平成6年;教員12.0% 自営業23.1% 公務員10.6        % 会社員52.4% その他1.9%

 ・平成17年;教員5.6% 自営業21.5% 公務員12.1%

       会社員50.5% その他10,3%

④入学事情

 ・平成6年;現役84。6% 一浪12.0% 二浪1.4%

       その他1.9%

 ・平成17年;現役92.6% 一浪4.8% 二浪0%

       その他2.8%

⑤入学志望度

 ・平成6年;第一志望63.0% 第二志望11.0%

       第三志望22,6% その他3.4%

 ・平成17年;第一志望58.9% 第二志望15.9%

       第三志望7.5% その他17.8%

⑥教育実習計画の概要

a)教職課程(介護等体験も含む)ガイダンス:

 大学1年次

b)介護等体験大学:2年次

c)教育実習受け入れ校及び教育委員会への依頼申請,

 実習校の決定:3年次

d)教育実習・教育実習事前指導・事後指導:4年次

∬ 結果及び考察 1)学生の抱負

 学生がどのような学生生活を送りたいと考えているか.

表1のように,平成6年度調査学生(以後H6調査と称 す),平成17年度調査学生(以後H17調査と称す)どち らの学生も「広い教養を身にっける」が一番多く,H6 調査では,2位が6.7%差で「専攻学科の勉強に専念す

る」であったが,H17調査では1位の「広い教養を身に つける」と0.7%差で2位に「学生生活を十分楽しむ」

となった.

 また,H17調査では, H 6調査で4位であった「将来,

教職にっくために努力する」より「社会的に自立する力 をっける」という方が4.2%ととやや多い.

 「専攻学科の勉強に専念する」・「将来教職に就くため に努力する」を合わせて比較すると,H6調査(36.1%)

よりH17調査(26%)では,10,1%も減少している.学 生は広い教養を身にっけ,将来の友人も作り,学生生活 を楽しみ,なおかっ社会的に自立する力を身につけたい と考えている.これは大学に入って教職課程を履修して いるが,教職だけではなく,広い視野に立った就職を意 識した学生生活を送ろうとしていると考えられる.

2)教職志望の生起時期

 教職志望の生起時期はいっ頃からか比較すると,表2 のようになる.

表1 学生生活の抱負

順位 H6調査(%) H17調査(%)

1 広い教養を身につける(32.2) 広い教養を身につける(23.O)

2 専攻学科の勉強に専念する(25.5) 学生生活を十分に楽しむ(22.3)

3 学生生活を十分に楽しむ(15.4) 専攻学科の勉強に専念する(14.9)

4 将来教職に就くために努力する(10.6) 社会的に自立する力をつける(13.8)

5 社会的に自立する力をつける(9.6) 将来教職に就くために努力する(11.1)

6 生涯の友人をつくる(5.3) 将来の友人をつくる(9.7)

7 その他(1.4) その他(0.7)

(4)

表2 教職志望の生起時期

時期(%) H6調査 H17調査

1.入学前から 54.5 4t1

2.入学後1年から 19.6 38.3

3.〃 2年から 5.3 4.7

4.〃 3年から 9.1 3.7

5.〃 4年から 4.3 5.6

6.実習終了後から 7.2 6.5

表3 教職志望の動機

順位 H6調査 H17調査

﹃1 教職に意義や魅力を感じるから 教職に意義や魅力を感じるから

2 教育実習を経験して感動して とにかく教員の資格を取得しておきたいから 3 とにかく教員の資格を取得しておきたいから 教育実習を経験して感動して

4 優れた先生に出会い尊敬して 優れた先生に出会い尊敬して

5 社会的・経済的に安定しているから 学校やクラブ活動など、楽しい学校生活を送ったので 6 幼少の頃から先生にあこがれていたから 親たちや家族のものが勧めたから

7 親たちや家族のものが勧めたから 女性の職場として最適だと思うから

8 女性の職場として最適だと思うから 父母が教師出、親戚にも教師がいること

 H6調査では教職希望は「入学前から」という学生が,

半数以上いたが,H17調査ではH 6調査より13,4%少な い.しかし,「入学後1年から」ではH6調査よりH17 調査の方が18.7%多い.これは入学後,教職課程(介護 等体験も含む)のガイダンスを受け,先生や先輩,同級 生から情報を得,教職に対する具体的な内容がわかり,

教職を志望するようになったのではないだろうか.H6 調査ではなかった介護等体験があることにより,当時,

教職履修希望者は少なくなるのではないかと危惧したが,

それにより減少するということはなく,かえって介護等 体験だけ出来ないだろうかという問い合わせもあったこ とを考えると,入学後の教職課程ガイダンスではより詳 しく教職課程にっいて説明する必要があると考えられる.

3)教職志望の動機

 教職志望の動機は何であったか調べた結果,表3のよ うになった.

 H6調査でもH17調査でも志望動機の1位は「教職に 意義や魅力を感じたから」で,H6調査の2位は「教育 実習を経験して感動したから」というのに対し,H17調 査では「とにかく教員の資格を取得しておきたいから」

である.H6調査をみると,1位の「教職に意義や魅力 を感じたから」,2位の「教育実習を経験して感動した

から」,4位の「優れた先生に出会い尊敬したから」.H 17調査をみても1位「教職に意義や魅力を感じたから」,

3位「教育実習を経験して感動したから」4位「優れた 先生に出会い尊敬したから」が入っている.これは教職 志望の学生にとって,教育実習を経験したことが学生に 強い印象を与え,教職志望にっいて大きな動機付けとなっ ているためと考える.今後も,充実し,有意義な教育実 習を行うことが,教職課程の中で極あて重要な要素であ

る.

4)教職志望の変化の過程

 大学4年間において(詳しくは,教育実習終了後まで に)教職志望の程度はどのように変化したか.

 教職志望の変化で,H6調査もH17調査,どちらも多 かったのは「はじめは弱かったが,後に強くなった」で あった.これは教職志望の動機からもうかがえるように,

はじあは弱かった教職志望が,教育実習を経験すること で強くなったと考えられる.

 しかし,H6調査とH17調査で大きく違うところは,

「はじあは強かったが,後に更に強くなった」と「はじ あは弱かったが,後に強くなった」を合わせると,H6 調査では67.3%あるに対し,H17調査では55.2%であっ た,12.1%も減少している.3)の志望動機のところで,

(5)

中島 絹子

表4 教職志望の変化の過程

教職志望の変化(%) H6調査 H17調査

1.はじめは強かったが、後に更に強くなった 23.6 15.9

2.はじめは弱かったが、後に強くなった 43.7 39.3

3.はじめは強かったが、後に弱くなった 20.7 224

4.はじめから弱く、その後も強くならなかった 12 224

表5 教職志望が強化された理由

教職志望が強化された理由(96) H6調査 H17調査

1.教育実習で教職にやりがいを感じたから 52.9 50.6

2.大学の授業を通して、教職への理解が深まったから 229 20 3.教職が自分の性格とあっているとわかったから 16.7 14.1

4.今の教育の現状を何とかしたいと思ったから 1.9 7.1

5.周りの人がみんな教職を志望しているから 0.6 23

6.その他 5 5.9

表6 教職志望が希薄化した理由

教職志望が希薄化した理由(%) H6調査 H17調査

1.教職は自分の性格に合っていないとわかったから 38.7 32.8 2.教育実習で教職に就く自信をなくしたから 13.4 14.1

3.大学の授業を受けても教育の興味がわかなかったから 8.5 12.5

4.今の教育現場の様子に失望したから 7.3 4.7

5.他の職業へ就職する方が簡単そうそうだから 3.7 7.8

6.その他 29.2 28.1

H17調査の2位に「とにかく教員の資格を取得しておき たいから」が挙がっていたことを考えると,最初から教 職志望は少なく,資格を取得したいだけという学生がや や多かったということも関係がないとはいえないのでは

ないか.

5)教職志望度の変更理由

 4)で教職志望の変化の過程を調べたが,具体的に教 職志望が強くなったり,弱くなったりする理由はどんな ところにあるのか.まず教職志望が強くなった理由は表 5の通りである.

 H6調査・H17調査のどちらも,やはり教職志望が強 まった第一の理由は,「教育実習で教職にやりがいを感 じたから」が,半数であった.第二の理由は,「大学の 授業を通して,教職への理解が深まった」であった.H

6調査では5番目の「今の教育の現状を何とかしたいと 思ったから」が1.9%であったのが,H17調査では7.1%

に増えている.これは近年の学校を取り巻く状況を,危 機的状況と感じとっていることが要因ではないか.

 次に,教職志望が弱まった理由は表6の通りである.

 教職志望が弱まった理由の第一として,H6調査もH 17調査も「教職は自分に合っていないとわかったから」

である.教育実習に行って,生徒や先生と素晴らしい出 会いがあり,感動体験ややりがいを感じ,教職志望を強

くする学生がいる反面,教育実習に行き,実際の現場を 体験することで,頭で考えていた教師像・学校生活を体 験し,学生自身が生徒であった時にはわからなかったこ

と,授業以外の事務・教師間の人間関係また,実際に教 壇に立って授業をしてみて力のなさを痛感するすること により,教職に就く自信をなくしたものと考えられる.

教職志望を弱める学生が,「教職は自分の性格に合って いないとわかったから」・「教育実習で教職に就く自信を なくしたから」を合わせてみると,H6調査(51.2%)

は,H17調査(46.9%)より少し減少したが,半数近く

いる.

 「今の教育現場の様子に失望したから」という項目で は,若干H17調査の方が,少なくなっている.「他の職 業へ就職する方が簡単そうだから」という項目では,H

(6)

17調査の方が,4.1%増えている.教育実習を経験し,

教師の仕事が大変だとわかったということもあるだろう が,教員採用試験が難しく

要因といえるだろう.

教員の採用が少ないことも

6)教職はどんな資質を必要とする職業か

 現行の法制では一定の単位を取得するという条件を満 たせば,教員免許状が授与されるが,望ましい教員とは 何であると学生は考えているだろうか.

 表7から,H6調査もH17調査も,「大いにそう思う」・

「たいそうそう思う」を合わせて,教職に必要とする資 質の第一は,「経験をっんでコツを体得してゆく」であっ た.教員になってすぐに何もかも出来るというのは無理 であって,やはり経験を積んで困難を乗り切って行かな ければならない.H6調査では,第二位に「体が丈夫で ないと勤まらない」であったが,H17調査では,「旺盛 な研究心を必要とする」が第二位で,それから「体が丈 夫でないと勤まらない」となった.「体が丈夫でないと 勤まらない」の他に「教員自身の心身の健康」も大切で ある.「勤勉であれば誰でも勤まる」とうい項目では,

H6調査でもH17調査でもわかるように,「あまりそう は思わない」・「決してそうは思わない」が圧倒的に多かっ た.教職とは知的条件・知的資質が備わっていれば良い というものではなく,人格的資質それは魅力ある人格 教育者として人を導き,引きっける側面も必要である.

生徒の気持ち・内面を理解し,共感することが出来,生 徒の悩みについて,それを理解したり,和らげてくれる

カウンセリングの技能も必要である.生徒一人一人の個 性を認あることで,問題行動・不登校・いじめへ適切に 対応し,柔軟な考えを持ち,違う意見を受け容れること が出来る.生徒に公平で,学習に対してきちんと評価が 出来,生徒の学習に対する意欲を高めることが出来るよ うにする.生徒が自ら「学ぼうとする力」をっけるよう に指導することが出来る.そのたあにも豊かな生活体験,

何事にもチャレンジする精神が必要である.「高度の専 門知識を必要とする」ことも教職として大切なことであ るが,「生徒の面倒をみるサービス精神のいる」項目が H6調査より9.4%増加していることからみても,授業 以外の生徒とのふれあいが大切になっているのではない

か.

 ここ数年教師による不祥事が多く取りざたされるが,

「強い使命感を必要とする」ことの大切さを改めて考え させられる.難関の採用試験を合格して来たにも関わら ず,人格的に問題のある先生がいるというのは,はなは だ残念なことである.「人の手本になれる人格を求めら れる」で「大いにそう思う」「たいそうそう思う」で,

高い割合を示していることからもうかがえる.現在の教 員免許は必要な単位を修得していれば,教職としての適 格性を判断する仕組みはない.そのため,中教審から教 員免許更新制の改革案が出ている.この改革案では,従 来の要件に加え,教員養成系学部を持っ大学に「教職課 程委員会(仮称)」を新設し,面接や論文,模擬授業な どの審査を行い,教員としての適格性を判定するもので ある.国が(1)使命感や責任感(2)社会性や対人関

表7 教職はどんな資質を必要とする職業か

教職はどんな資質を必要とする職業だと思

、か(%)

大いにそう思

@ う

たいそうそう

@ 思う

どちらともい

@えない

あまりそうは

vわない

決してそうは vわない H6調査 H17調査 H6調査 H17調査 H6調査 H17調査 H6調査 H17調査 H6調査 H17調査

1.高度の専門的知識を要する 49.1 29.2 39.6 54.7 4.5 10.4 6.6 5.7 0.2 0 2.強い使命感を必要とする 38 43.5 38.4 31.5 18.7 17.6 3.9 6.5 1 0.9

3,人の手本となれる人格を求められる 369 31.5 41.2 50.9 15.8 12 5」 5.6 1 0 4.体が丈夫でないと勤まらない 69.3 61.1 22.7 26.8 5.3 6.5 2.2 5.6 0.5 0 5.勤勉であれば誰でも勤まる 2.4 3.7 4.6 7.4 17.5 16.7 42.2 39.8 33.3 32.4 6.経験をつんでコツを体得していゆく 59.5 54.6 35.9 36」 3.6 6.5 1 0.9 0 1.6 7.予め定められた規則に従って仕事する 4.9 10」 32.1 22 41.8 33.9 13.9 20.2 7.3 13.8

8.旺盛な研究心を必要とする 56.7 38 32.4 50 6.8 8.3 3.9 3.7 0.2 0 9.生徒の面倒をみるサービス精神のいる 31.9 413 41.3 41.3 18.6 14.7 6.5 2.7 1.7 0 10.天性の人柄の魅力で勝負する 19.9 14.7 41」 33.9 33.5 37.6 5 10.1 0.5 3.7

(7)

中島 絹子

表8 教職の職業的特性

教職の職業的特性(%) とても やや 中間 やや とても

H6調査 H17調査 H6調査 H17調査 H6調査 H17調査 H6調査 H17調査 H6調査 H17調査 1.収入 多い 4.2 5.5 18.6 37.6 45 45.9 26.3 11 5.9 0 少ない 2.社会的評価 高い 28.4 25.9 49.9 51.9 14.6 18.5 6.1 3.7 1 0 低い 3.仕事の難易度 難しい 51.5 53.3 34.5 31.8 10.7 12.1 3.2 2.8 0 0 やさしい 4.仕事の強度 きつい 35.7 37.9 49.6 41.7 12 16.7 2.4 3.7 0.3 0 らく 5.仕事の内容 面白い 50.1 57 32.2 32.7 14.8 8.4 1.7 1.9 1.2 0 つまらない 6.仕事の仕方 自由 6.6 11.9 37.6 26.6 40 36.7 12.9 18.4 2.9 6.4 不自由 7.社会的意義 大きい 59.2 70.1 31.3 23.4 7.7 6.5 1.3 0 0.5 0 小さい 8.職業としての安定度 安定 70.5 59.4 24 34 5.2 4.7 0.3 1.9 0 0 不安定 9.昇進の見通し 明るい 2 5.5 12.7 27.3 55.8 54.5 22.4 10.9 7.1 1.8 くらい

10.職場の雰囲気 よい 10.3 9.3 32」 32.4 45.3 45.5 98 12 2.5 0.9 わるい 係能力(3)幼児児童生徒への理解(4)教科の専門知

識(5)指導力などの評価基準をっくる予定で,「児童 生徒に愛情や思いやりを持って接することができるか」

「教える内容は正確か」などが判定項目の見通しだ1).

しかし,判定項目の中にある「児童生徒に愛情や思いや りを持って接することができるか」ということを,具体 的には誰が,どのような方法で行うのであろうか.

7)教職の職業的特性

 表8は教職の職業的特性の結果である.H6調査とH 17調査で大きく変化があったのは,収入の項目であった.

「とても」・「やや」を合わせて,H6調査よりH17調査 では20.3%も収入が多いと考えている.最近の就職状況 からみて,社会的評価も高く安定した職業として考えて いることがうかがえる.「社会的意義」の項目をみても,

社会的意義がとても大きいがH6調査では59.2%だった が,H17調査では70.1%と多くなっている.ただ,昔の ように教職を聖職として捉え,教師を尊敬し,教師の言 うことを絶対とする時代ではなくなっている.教師を取 り巻く環境の変化,それに伴う教師の役割や教師への要 求が急激に増えていることからも,今後はこの職業的特 性も時代とともに大きく変わっていくものと考えられる.

8)卒業後の志望志向

 卒業後の志望方向としては,H17調査では,教員採用 試験を「受ける」29.0%,「受けない」36.4%,「将来受 けたいと思っている」34.6%であった.一般企業就職試 験を「受ける」84.1%,「受けない」15.9%.卒業後の 進路は,「就職希望」84.1%,「進路希望(大学院等)」

4.7%,「未定」8。4%,「その他」2.8%であった.

 H6調査では教員採用試験を受ける学生が,37.7%い たが,H17調査では8.7%減少している.しかし,「将来 受けたいと思っている」学生が34.6%いるということは,

教員志望であるが,近年の教員採用の動向をふまえた上 での進路選択であり,就職浪人をする訳にはいかないた め,とりあえず一般企業に就職し,社会人としての社会 常識や教養・社会経験を積み,人間として成長し,再度,

教員採用試験を受験をするこは大いに歓迎すべきことで はないか.

皿 おわりに

 11年前に18歳人口がほぼ頂点にさしかかった時期に入 学した学生が,大学4年生になった平成6年に調査を行っ

た結果と,減少期に入った平成17年度に大学4年生になっ た学生とを比較検討し,調査項目がどのように推移して いるか考察した.

 この18歳人口の減少により,教職課程を履修する学生 も減少していることがわかる.

 平成21(2009)年には,役121万人.平成32(2020)

年までには,約120万人前後まで推移することが予測さ れていいる.この18歳人口減少により,今後,大学入学 者の定員割れ,教職履修者の減少が危惧される.

 平成6年度と平成17年度調査を行って,この11年の間 には,教育職員免許法の改正・介護等体験等,教職課程 を取り巻く状況は大きく変わり,大学の教員養成は大き く影響を受け,学生にとっても単位の増加はかなりの負 担となったが,教育実習期間にっいてのみいうならば,

学生にとっては,教育実習が2週間から3〜4週間に増

(8)

えても,2週間実習を経験しての3〜4週間実習ではな いので,比較することがなくすんなり3〜4週間実習を 受け入れている.また,教職を希望している学生で,介 護等体験があるからといって教職課程履修を中止するこ とはなかった.教員採用試験に関して,「団魂世代」の 大量退職時期にさしかかっているので,もう少し教員を 希望する学生が多いのではないかと思っていたが,教育 実習を経験したことで,冷静に自分を見っめ直し,教員 採用の動向も視野に入れ,進路を決めたのではないかと 考えられる.

 今後,教員免許更新制の導入,教職大学院東京都の 東京教師養成塾や高等学校に教育科を特設する奈良県な ど,自治体が独自に教員を採用しようとする動きなど,

教職課程を取り巻く状況も大きく変革の時期を迎えよう としている.それに対応するためには,学生のスキルアッ プのためのよりきめ細やかな指導,教職志望学生のモチ ベーションを維持するための取り組み,また教員に求め られる資質等の要求にどう答えていくか,とりわけ,教 員免許更新制が導入されることにより,教員としての適 格性を判断する新科目「教職実践演習」の科目内容,方 法や実施体制等,問題は山積している.この動きに答え るたあにも,教員養成課程認定大学にかせられた課題は 大きい.

調査項目は,以下の文献から引用した.

*中島絹子;学生の教職志望に関する探索一その1一

東京家政大学研究紀要 1994

*松本良夫・生駒俊樹;「教員養成大学」学生の進路志 望と教職観:東京学芸大学紀要 1984 1部門 P63〜75

*大場茂美;短期大学における「教職課程教育」の評価 をめぐって(第4・5)一短大卒 小・中学校教員と 短大職員の意識調査から考える一:教師教育研究 1994 第7号

1)文部科学省;今後の教員養成・免許制度のあり方に  っいて(諮問)2004年10月20日【文科初第759号中  央教育審議会】

謝  辞

 本稿をまとめるにあたり「教育実習の研究」の時間内 に配布することを快諾して下さった青木幸子先生,菊入 三樹夫先生,学生への調査表の配布・回収等にご協力い ただきました教職指導室の藁谷奈津代先生,吉川裕子先 生に深く感謝申し上げます.

参考文献

1.加澤恒雄編著「21世紀における新しい教育実習の研  究」学術図書出版 2005

2.有吉秀樹・長澤憲保編著「教育実習の新たな展開」

  ミネルヴァ書房 2001

Summary

 Weighing the recent survey results relating to the changes in the number of applicants for teaching posts against those of l l years ago, revealed that students who completed teacher−training courses came in lower numbers due to the declining population of l 8 years old.

 On top of that,the environment surrounding education courses has drastically changed during the past l l years. Therefore, I am very much concemed that we are now facing the need for fundamental reforms re−

garding to the modality of teacher training at universities.

参照

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