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Academic year: 2021

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論文内容要旨

論文題名

菌血症患者における多職種チームによる治療支援の臨床的アウトカムと 予後関連因子の検討

昭和大学薬学研究科薬学専攻感染制御薬学 前田 真之

内容要旨

血流感染症(bloodstream infections; BSIs)は重篤な合併症や予後と 関連しており、適切な治療マネジメントは患者予後改善のために速やかに 実施される必要がある。しかし

BSIs

は、病態あるいは合併症が多彩であ り感染症を専門とする多職種チームによる治療支援を必要とする。昭和大 学 病 院 で は 本 邦 初 の 抗 菌 薬 適 正 使 用 支 援 チ ー ム (

antimicrobial stewardship team; AST)が血液培養陽性患者を対象にラウンドを開始し

た。本研究では、AST ラウンドの臨床的アウトカムと菌血症患者の予後 関連因子の検討を行った。活動開始前後

1

年間において患者の基礎疾患、

重症度、治療内容を比較した。その結果、介入群において菌血症の持続、

感受性の無い薬剤による治療の割合(不適切治療)が有意に減少した。こ れらは多変量解析において院内死亡の有意なリスク因子であったことか ら、不適切治療の減少により患者のアウトカム改善につながったと考えら れる。

AST

ラウンドのアウトカム評価の中で、メチシリン耐性黄色ブドウ球 菌(methicillin-resistant

Staphylococcus aureus ; MRSA)による菌血症

が死亡のリスク因子であったことから、MRSA 菌血症患者の予後に関連 する因子を

pharmacokinetics(PK)/pharmacodynamics(PD)

と病原因子 の観点からそれぞれ検討した。

PK/PD

解析では、MRSAの

vancomycin(VCM)に対する最小発育阻

止濃度(minimum inhibitory concentration; MIC)が

1.5µg/mL

以上で あることが死亡リスク因子であった。一方で、VCM 治療の有効性の指標 と し て 用 い ら れ て い る 、

PK/PD

パ ラ メ ー タ の

area under the concentration-time curve(AUC)/MIC

と患者予後には相関がなかった。そ こで、MRSA の病原因子についてさらなる検討を行った。その結果、過 剰 な 免 疫 応 答 を 惹 起 す る こ と で 知 ら れ て い る ス ー パ ー 抗 原 毒 素

(superantigenic toxin; SAgT)である

toxic shock syndrome toxin - 1

staphylococcal enterotoxins

の遺伝子を複数有する株による菌血症が死

(2)

亡リスク因子であった。以上より、MRSA 菌血症においては、抗菌薬治 療や薬剤感受性のみならず、

S. aureus

が産生する

SAgT

あるいは

SAgT

によって引き起こされる病態が臨床転帰に関連していることが示された。

したがって、毒素のコントロールを目的とした、タンパク合成阻害薬ある いはヒト免疫グロブリンによる補助療法の有用性が示唆された。

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