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論文内容要旨 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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論文内容要旨

論 文 題 名

Comparative study between active and passive exposure of methamphetamine vapor in mice.

(マウスにおけるメタンフェタミン蒸気の能動的曝露と受動的曝露の比較研究)

毒物学専攻 氏名 阿部 和正

内容要旨

覚醒剤の乱用は,1990 年代に加熱吸煙という新たな摂取法の登場とと もに若年層にも拡大した.しかし,加熱吸煙時の能動又は受動摂取におけ る尿中濃度に関する科学的な根拠がないため,近年,裁判において受動摂 取を主張する者が増加し,無罪となる例が散見される. そこで本研究で は,メタンフェタミン(METH)を加熱吸煙法により能動あるいは受動摂取 した場合の尿中薬物濃度や作用の違いを明らかにすることを目的とし,検 討をおこなった.また,今後,ヒトでの研究に発展させるため, METH の代 替薬としてメトキシフェナミン(MPA)を用いて同様の検討を行った.

小動物吸入曝露装置を用い,①能動摂取,②車内で受動摂取,③室内で 受動摂取を想定した 3 条件で METH 加熱煙を吸入させ,曝露後 24 時間毎に 96 時間後まで採尿した. ①群では曝露 72-96 時間尿まで METH が検出され,

流通している簡易検出キットのカットオフ値(0.5 µg/mL)を大きく超え た.一方,②③群の 0-24 時間尿ではカットオフ値を下回った.以上より,

能動摂取と受動摂取では尿中濃度に大きな差があり,カットオフ値以上の METH が検出された場合は能動摂取者と判断できる可能性が示唆された.

また,①群で自発運動量と体温の上昇が認められた一方,②群では軽度の 体温上昇が認められたのみであり,③群はいずれも対照群と同等であった.

以上より,能動摂取者では METH による行動学的・生理学的変化が生じる が,受動摂取では,極めて狭い環境下で摂取した場合にわずかな生理学的 変化を生じるものの行動学的は生じない可能性が示唆された.

次に,MPA を用い,上記①,②の条件で検討を行った.METH と同様にカ

ットオフ値を 0.5 µg/mL とした場合,①群では曝露 72-96 時間尿までカッ

トオフ値大きく超える MPA が検出された. 一方,②群では 0-24 時間尿で

カットオフ値をやや上回る MPA が検出されたものの, 24-48 時間尿では GC-

MS 分析によっても検出限界以下であり,MPA も METH 同様,能動摂取と受

動摂取で尿中 MPA 濃度に大きな差があることが明らかになった.薬物の尿

(2)

中排泄推移から,吸入曝露試験において MPA は METH の代替薬として有用

性が高いことが示唆された.しかし,①群では一時的ではあるものの,わ

ずかな自発運動量の抑制と体温低下が認められ,MPA が一定程度中枢に移

行することが示唆された.そのため,ヒトでの研究を行う前に,MPA の中

枢抑制作用について更に検討を進める必要がある.

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