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携帯電話基地局の運用データを用いた移動手段の推計手法 国土交通省

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Academic year: 2021

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携帯電話基地局の運用データを用いた移動手段の推計手法

国土交通省 国土技術政策総合研究所 ○北 川 大 喜 同上 齋 藤 貴 賢 同上 関 谷 浩 孝 同上 新 階 寛 恭 1. はじめに

我が国の既存の都市交通調査として、国勢調査、パーソントリップ調査(以下、 「PT 調査」という。 )や道 路交通センサスなどが実施されており、これらの調査から得られる統計資料が都市交通計画に活用されている。

ただし、これらの調査は、特定日のみを対象としているため、人の日々の動きを把握できないという課題があ る。携帯電話基地局の運用データを元に生成されるモバイル空間統計の人口流動統計は、携帯電話所有者約

7,000 万人(法人名義のデータなどを除去)を対象とした、24 時間 365 日の位置情報をドコモの携帯電話の普

及率や基地局のカバーエリアに関する情報を加味して拡大した OD 量データである(OD 量の求め方は既往研 究

1

を参照。 ) 。しかし、人口流動統計は、PT 調査と異なり、移動手段を直接把握することができない。本研 究では、モバイル空間統計の人口流動統計における長距離のトリップを対象に、飛行機を利用したトリップか 否かを推計する(以下、 「飛行機推計」という。)手法を考案し、精度を分析した。

2. 移動手段の推計手法の提案

飛行機推計手法として、以下の 3 種類(図-1)を考案した。

A「電源断判定」 :飛行機は、電波が到達できる距離を超えた上空を飛行するため、信号が観測されない時間

帯に長距離を移動した場合、飛行機利用と考えられる。具体的には、移動中、携帯電話の電源を OFF にす る等、電波が届かなかったことにより、2 つの信号間が 1 時間以上となったトリップのうち、一定の距離

(本研究では 50km)以上移動したトリップを飛行機利用と 判定する。

B「移動速度判定」 :飛行機は、長距離交通手段の中で特に移

動速度が大きいため、移動速度を基準として飛行機利用と 判定できる。具体的には、電源断の一つ前に信号が観測さ れた時刻と電源断後に信号が再び観測された時刻の差、お よびその観測地点間の距離から移動速度を算出し、 350km/h 以上であれば飛行機利用と判定する。

C「空港周辺基地局判定」 :飛行機は空港を利用するため、ト

リップの起点と終点が空港周辺である場合、飛行機利用と 考えられる。具体的には、空港を示す標点位置を中心に、

一定距離にある基地局(以下、 「空港周辺基地局」という。 ) を選定し、異なる空港周辺基地局でトリップの起点と終点 が観測された場合に、飛行機利用と判定する。

この 3 つの判定を組合せて、以下の 3 ケースにて飛行機推計 を行う。

図-1 飛行機推計手法

空港の標点位置から 一定距離以内の基地 局(空港周辺基地局)

を選定

時刻 出発エリアA

(1時間以上 滞在)

到着エリアZ (1時間以上 滞在)

電波が届かないため、信号が発生しない かつ

一定の移動距離を超えて移動した場合

飛行中(上空)

A

電源段判定

B

移動速度判定

C

空港周辺基地局判定

飛行機と一意に決まる速度 350km/h 自動車(一般道路)

自動車(高速道路)

鉄道

新幹線

飛行機

1043 第32回日本道路会議

(2)

<ケース 1>A「電源断判定」および B「移動速度判定」

<ケース 2>A「電源断判定」 、 B 「移動速度判定」および C 「空 港周辺基地局判定」

<ケース 3>C「空港周辺基地局判定」

3. 推計結果の分析

起終点エリアを 4 都道府県(大阪府、福岡県、熊本県および 鹿児島県) 、空間解像度を都道府県、時間解像度を 1 日、空港 周辺基地局の判定に用いる空港からの距離(以下、 「空港周辺 基地局範囲」という。 )を半径 3km、5km および 10km の 3 種 類に設定し作成した飛行機 OD 量データと、2010 年度の全国 幹線旅客純流動調査(以下、「純流動調査」という。)の交通 機関(航空)データを起終点エリアごと計 12 の OD ペアにて 比較する。結果、以下のことが示された。(表-1)

・どの場合においても相関係数は 0.70 以上となり、純流動調 査との高い相関性を示している。

・全トリップ数を比較すると、ケース 2 のうち空港周辺基地

局範囲の半径 10km と設定した場合(3,505 トリップ)が最も純流動調査(3,577 トリップ)と近い値になる。

次に、起終点エリア別、前述の飛行機推計手法の組合せケース別(空港周辺基地局範囲を半径 10km とする。 ) に比較することで、A「電源断判定」、B「移動速度判定」および C「空港周辺基地局判定」の飛行機推計手法 はどのような特徴があるかを分析する。ケース 2 に対するケース 3 のトリップ数の割合をみると、大阪府・福 岡県間が最も大きい値となっている。これは、出発地・到着地どちらも空港(伊丹空港、福岡空港)と新幹線 駅(新大阪駅、博多駅)の距離が 10km 以内であり、新幹線利用のトリップを飛行機利用のトリップと誤判定 しているためと考えられる。以上より、空港周辺基地局判定だけでなく、電源断判定と移動速度判定をあわせ て実施することにより、新幹線利用を飛行機利用と誤って判定するトリップ数を低減させる可能性があること が示された。

4. まとめ

本研究では、携帯電話基地局の運用データにおける飛行機推計手法を考案した。また、大阪府・九州地方間 のトリップを対象に、飛行機推計手法を利用した携帯電話基地局の運用データと純流動調査のエリア間の OD 量との比較検証、すなわち OD 間のトリップ全体の比較検証を行った。今後は、さらなる精度検証のために、

個々のトリップを対象とした実際の移動手段との比較検証をする。また、飛行機以外の長距離トリップの移動 手段のうち、新幹線や高速道路を利用したトリップは、移動速度や移動中に通過する場所が限られる点から推 計できると考えられる。今後は、これらの点を利用し、新幹線を利用したトリップか否か、高速道路を利用し たトリップか否かを推計する手法を提案する。

謝辞 本研究の遂行にあたり、東京都市大学の今井龍一先生、 (株)NTT ドコモの池田大造氏には貴重な意見 を賜った。また、 (株)ドコモ・インサイトマーケティングの渋谷大介氏には資料収集、関係者間調整にて多 大な協力を賜った。ここに記して謝意を表する。

参考文献

1) 新階寛恭、池田大造、小木戸渉、森尾淳、石井良治、今井龍一:携帯電話網運用データに基づく人口流動統計を用いた都市

交通調査手法の拡充可能性の研究、土木計画学研究発表会・講演集、Vol.54、土木学会、2016

0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50

ケース1 ケース2 ケース3 ケー

2 に対 する 割 合

大阪府→福岡県 大阪府→熊本県 大阪府→鹿児島県 福岡県→大阪府 熊本県→大阪府 鹿児島県→大阪府

図-2 ケース 2 に対するケース 1、ケー ス 3 のトリップ数の割合

表-1 飛行機推計手法による結果と 純流動調査のトリップ数合計と相関係数

ケース 空港周辺基地局

3km 5km 10km

純流動調査 3,577 ケース1

推計値 5,101(0.85)

ケース2

推計値 2,825(0.88) 2,993(0.88) 3,505(0.85)

ケース3

推計値 2,825(0.88) 2,993(0.88) 7,656(0.71)

0132 第32回日本道路会議

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