1.はじめに
公共工事を取り巻く環境は、急速に変化しており、入札契約制度の改革による透明 性・公平性の確保、建設費の縮減・品質の確保・ISO 対応など公共事業の効率化に向 けたさまざまな取り組みが行われている。一方、近年の情報技術の発展に伴う高度情 報化社会の到来など、21世紀を目前に控えた今、「情報化・電子化の推進」が必須の ものとなった。このため、建設省では公共事業の各段階で発生する各種情報の電子化 と関係者間での効率的な情報交換・共有・連携の環境を作るべくこれらの行動指針、
建設費縮減に関する行動計画、建設産業政策大綱などを策定している。
その中でアクションプログラムを策定し、各種実証フィールド実験などの取り組み を展開している。これらを踏まえた地域での情報交換は、産学官をつなぐネットワー クの構築により実現する。また、県内技術系学校が参加することで、次世代を担う学 生と建設業界を結ぶネットワークが構築される。研究は建設分野の情報化を進めるこ との意義と方法について検討することであり、建設業界での情報共有・交換・連携の 促進につながると共に、地方建設企業での一層の建設 CALS/EC 推進に役立つ。また、
地方建設業界および行政機関の情報化が促進され、企業の指導・育成、建設 CALS/EC 実現への具体的な方向性を示すことになる。
2.しまね建設 CALS/EC 研究会の発足
島根県内において建設 CALS/EC を推進するために産官学共同の研究会を発足させた。
研究会では、建設 CALS/EC に関する情報交換および普及啓発活動を重点に研究会を進 めた。図1に組織の概要図を示す。
建設省各工事事務
WWW サーバー
CALS 実験サーバー
WWW サーバー
CALS 実験サーバー
島 根 県 土 木 島根県内
建設業界
A 社 C 社
B 社
ネットワーク
島 根 県 建 設 業 協 松江工業高等専門学
端末
端末
端末
建設業協会サーバー
○データベースの構築・研究
松江高専(端末約 200 台)
○ホームページによる情報提
○メーリングリストの運営
○建設 CALS/CE の理解促進・体験学
○電子会議室
図1 しまね建設 CALS/EC 研究会概念図 図2 しまね建設 CASL/EC 研究会
ホームページ
図2にしまね建設 CALS/EC 研究会のホームページを示す。このホームページは、ま だ非公開であるが、官庁書式およびアンケートの集計結果などのデータが整った時点 で公開する方向で整備を進めている。
(1) しまね建設 CALS/EC 研究会構成 研究会構成メンバーを表 1 に示す。
表1 しまね建設 CALS/EC 研究会構成メンバー
所 属 役 職 氏 名 松江高専土木工学科 教授 裏戸 勉 松江高専土木工学科 助手 大屋 誠 学
松江高専情報工学科 講師 渡部 徹 中国地方建設局松江国道工事事務所 工務課長 飯國 卓夫 中国地方建設局松江国道工事事務所
出雲維持出張所 所長 錦織 豊
中国地方建設局出雲工事事務所 事業対策官 吉野 好明 中国地方建設局出雲工事事務所 工務課長 宮崎 貢
中国地方建設局
斐伊川神戸川総合開発工事事務所 工務第二課長 米田 明徳 中国地方建設局浜田工事事務所 調査設計課長 田中 大嗣 島根県土木部技術管理室 室長 梶谷 太郎 島根県土木部技術管理室 土木電算係長 三島 孝義 官
(財)島根県建設技術センター 工務課長 野津 昭
建設業協会青年部会長 (株)佐藤組 佐藤 尚志 建設業協会青年部運営専務 (株)奥田組 奥田 博保
松江土建(株) 営業課長 平塚 智朗
(株)中筋組 専務 中筋 雄三 今井産業(株) 専務 今井 久師
(社)島根建設業協会 専務理事 西 尊義
(社)中国建設弘済会 支部長 金坂 俊孝
(株)中筋組 企画情報室 古瀬 勝彦
(株)ウエスコ島根支社 技術部部長 松崎 靖彦 産
(株)エイトコンサルタント松江支社 技術一部課長 松浦 寛司
(2) しまね建設 CALS/EC 研究会の目的
しまね建設 CALS/EC 研究会の目的を以下に列記する。
z
各種建設業務の効率化・標準化・共有化
z 地域建設分野における密接な情報交換場所の提供
z 『建設 CALS/EC』に関する調査研究
z
『建設 CALS/EC』の普及・啓発活動
z地域防災ネットワークの構築
(3) しまね建設 CALS/EC 研究会メーリングリストの開設
表1に示した研究会の構成メンバーで『しまね建設 CALS/EC 研究会メーリングリ スト』を開設した。開設の目的は、
1) しまね建設 CALS/EC 研究会での活動や議論を紹介する。
2) 建設 CALS/EC についての質問や情報提供 3) 島根県内での実証実験の実際を紹介
である。このメーリングリストは、島根県建設業協会に設置されているサーバを利 用し、運営している。メーリングリストの目的は、上述した通りだが、現在は試験 的実施のため研究会参加者のみに限定している。枠の拡大と公開が今後の課題であ る。
3.島根県内の建設 CALS/EC に対する現状
島根県内の建設省の各工事事務所は、全国でも早くから建設 CALS/EC に対して取り 組みを行っている。実証フィールド実験を平成11年度から松江国道工事事務所の安来 道路で実施し、平成12年度から出雲工事事務所でも施工管理に関する実証フィールド 実験を実施している。まもなく中国地建のサーバーに松江国道工事事務所のシステム が Web 版として公開される予定である。
一方、島根県内において、産官の建設 CALS/EC に対する現状での意識および対応能 力を調べる目的で、(1)建設企業向け、(2)コンサルタント向け、(3)行政機関
(市町村)向けのアンケートを実施した。
アンケートの作成にあたっては、度々会議を開くことが不可能なため、上述したメ ーリングリストを有効利用し、作成した。アンケートは、紙面による配布の方法と島 根県建設業協会にあるサーバーのホームページからのダウンロード方法の2種類で行 った。図3に建設業協会のホームページを示す。また、図4にアンケートのダウンロ ード用画面を示す。
図3 島根県建設業協会ホームページ 図4 アンケートの HP からの
ダウンロード
(1) 建設企業に対するアンケート集計結果
アンケートは、島根県建設業協会の青年部に加盟している 339 社に配布した。ア
ンケートは、202 社(回収率 60%)より回答を得ることができた。アンケートは建
設 CALS/EC に関する設問あるいはコンピュータの整備状況を把握するための 19 項
目の設問で構成されているが、紙面の関係上今後の建設 CALS/EC 推進に必要と思わ
れる項目についての結果のみ以下に記述した。
中国地建のホームページ
中国地建の実証フィールド実験案内パンフレット JACIC や日経等の CALS メーリングリストで
建設業協会の研修会 その他
13 19 13
113 20
はい(76.2%)
いいえ(21.8%)
無回答(2.0%)
図5 建設 CALS/EC について知っていますか (回答数 202 社)
図6 建設 CALS/EC をどのようにして知 りましたか(複数回答可)
接続されている
(59.4%)
接続されていない
(32.7%)
無回答(7.9%)
はい(35%)
いいえ(39.2%)
無回答(25.8%)
図7 インターネットが接続されていますか (回答数 202 社)
図8 メールアドレスを個人で所有しています か
(接続されていると回答した 120 社)
150 80
77 15
102 4 8
75 22
2 その他
品質の確保・向上 事業の効率化 事業コストの削減
データの管理が簡単になる 新しい市場への進出ができる
ペーパレス化ができる
同、他業種間で情報交換ができる
営業や入札、書類の提出などの時間を短縮できる はい(34.2%)
いいえ(59.4%)
無回答(6.4%)
図9 LAN が施してありますか (回答 202 社)
図 10 建設 CALS/EC に期待することは何で すか(複数回答可)
建設企業でインターネットに接続していると回答した約 75%の企業がデジタル 回線を使用している。また、専用回線は接続していると回答した約 20%の企業の みであった。ソフトについては、文書作成ソフトとして 31.2%の企業で一太郎を、
63.8%の企業で Word を利用している。表計算ソフトは 75.8%の企業で Excel を、
ロータス 1‑2‑3 は 8.4%であった。図8の個人メールアドレスの所有に関する設問
で「いいえ」と回答した企業では会社あるいは各部署でメールアドレスが設定され
ている。
(2) コンサルタントに対するアンケート集計結果
コンサルタント向けアンケートは、県内のコンサルタントに配布した。ただし、
県外に本社を持つコンサルタントについては、島根県内の支社あるいは営業所につ いてのみその状況を調査することとした。アンケートの配布にあたっては、(社)
測量設計業協会、中国地質調査業協会島根県支部、日本補償コンサルタント協会、
建設コンサルタント協会を通じて 72 社に配布した。その内 41 社からの回答(回収 率 57%)を得た。アンケートの集計結果については、建設業の場合と同様に必要 と思われる項目のみ以下に列記する。
9 8 8 8
16 5
8 その他
中国地建の講習会
建設コンサルタント協会、測量設計業協会の講習会
建設業協会の研修会
中国地建の実証フィールド実験案内 パンフレット
JACIC や日経等のメーリングリスト
中国地建ホームページ
はい(80.5%)
いいえ(4.9%)
無回答(14.6%)
各個人(52.6%)
部署毎(23.7%)
会社一つ(23.7%)
接続されている
(92.7%)
接続されていない
(2.4%)
無回答(4.9%)
31 14
17 5
1 9 15
20 9
0
同、他業種間で情報交換ができる ペーパレス化ができる 新しい市場への進出ができる
データの管理が簡単になる 事業コストの削減
事業の効率化 品質の確保・向上
その他 はい(82.9 %)
いいえ(12.2 %)
無回答(4.9%)
図 13 インターネットが接続されていますか
(回答数 41 社 )
図 12 建設 CALS/EC をどのようにして知りま したか(複数回答可)
図 11 建設 CALS/EC について知っていま すか(回答数 41 社)
営業や入札、書類の提出などの時間を短縮できる
図 14 メールアドレスを個人で所有していますか
(接続されていると回答した 38 社 )
図 15 LAN が施してありますか
(回答数 41 社)
図 16 建設 CALS/EC に期待することは何ですか
(複数回答可)
コンサルタントでインターネットに接続していると回答した約 90%の企業がデ ジタル回線を使用している。また、接続していると回答した約 50%の企業が専用 回線で接続している。ソフトについては、文書作成ソフトとして 32.7%の企業で 一太郎を、67.3%の企業で Word を利用している。表計算ソフトは 90%の企業で Excel を、ロータス 1‑2‑3 は 4.5%、三四郎は 4.5%であった。図8の個人メール アドレスの所有に関する設問で「いいえ」と回答した企業では会社あるいは各部署 でメールアドレスが設定されている。
(3) 行政機関(市町村)に対するアンケート集計結果
行政機関へのアンケートは、建設業協会青年部を通じて各市町村の建設課へ配布 した。島根県内には、59 市町村あるが、その内 52 市町村(回収率 88%)より回答 があった。以下にアンケートの結果として建設業とコンサルタントと同様に必要と 思われる項目のみ列記する。
2 1
2
19 その他
中国地建ホームページ
中国地建の実証フィールド実験案内 パンフレット
JACIC や日経等のメーリングリスト
はい(48.1%)
いいえ(48.1%)
無回答(3.8%)
図 17 建設 CALS/EC について知って いますか(回答数 52 市町村)
図 18 建設 CALS/EC をどのようにして知り ましたか(複数回答可)
接続されている
(50.0%)
接続されていない
(48.1%)
無回答(1.9%)
はい(38.5%)
いいえ(57.7%)
無回答(3.8%)
20 18
2 8 8
2 2 6
3
営業や入札、書類の提出などの時間を短縮できる ペーパレス化ができる データの管理が簡単になる 事業コストの削減
事業の効率化 品質の確保・向上
その他 はい(73.1%)
いいえ(26.9%)
無回答(0.0%)