1.はじめに
近年、公共事業の透明性・公平性の確保、効率化を目的に様々な取り組みが行われ ており、その一つに、公共事業実施の各段階で発生する各種情報の電子化とそれに伴 う関係者間での効率的な情報交換・共有・連携の環境を作ることを目的とした CALS/ECの導入が進められている。このような流れの中、島根県においては、建設関 連の各企業が個別の対応を行うことに加え、CALS/ECに関する情報交換および普及啓 発活動を目的とした産官学共同のしまね建設CALS/EC研究会を発足し1)、併せて情報 ネットワーク(図‑1参照)の構築を試みた。この情報ネットワークは、各種情報交 換を行う目的以外に地盤や緊急資材といった建設関連情報のデータベース化も目指し ている。
また、阪神淡路大震災や東海豪雨災害など、防災施設の計画規模を超える災害が近 年各地で発生し、地域の安全性をソフト対応により高めるための体制整備が急がれる 中、従来からハードによる防災の核であった建設産業においても、ソフト対応の必要 性が生じてきた。このような背景をもとに、(社)島根県建設業協会は、CALS/ECによ って構築されたネットワークの更なる利用の可能性として、防災ネットワークの構築 に取り組むこととした。ここにおいて、ネットワークとは、電子入札に代表される CALS/ECのために整備されたコンピュータネットワークと建設産業による自主防災組 織といった組織的ネットワークの意味を併せ持つものである。
地域において建設業を営む者は、地形をはじめ河川や道路などの地域特性を比較的 熟知していると同時に、自然災害に関する知識も有している場合が多く、また、企業 としては、重機などの災害時において有用な機械類を多数保持している場合が多い。
そして、特に地方における建設産業は、他の産業と比較すると、その構成員の数が多 く、かつ広域に分布していることから、産業組織として災害に対峙した場合には、広 域災害への対応が可能となる。したがって、このような産業特性を考慮すると、地域 の建設産業による防災ネット
ワークの取り組みは、極めて 社会的意義が大きいものとい えよう。
内部用サーバー Webサーバー
島根県建設業協会
建設業協会各支部PC( 支部ホームページ 用)
社内ク ラ イ ア ン ト
建設業協会各支部各会員PC
≪
Internet
≫HP
の閲覧Download
≪サーバー管理≫
業者委託
•島根県建設業協会のホームページの管理・運営
•アンケートの配布・回答や講習会の案内・申込
•各種様式のダウンロード
•しまね建設CALS/EC研究会のメーリングリストの管理・運営 E-mail
による情報交換図‑1 島根県建設業協会ITシステムの概要 このような認識のもと、本
研究では、島根県の建設産業 におけるCALS/EC導入に向け た情報化の現状を把握すると ともに、防災ネットワーク構 築のための問題点の抽出を目 的とした防災実験および調査 を行った。
2.CALS/ECに関する調査概要
表−1 アンケート調査概要 調査期間 2002年8月28日〜9月13日
調査方法 郵送配布・郵送回収
調査対象
松江支部 出雲支部
回収数 (回収率)
配布数
34 (69.4%)
調査票
合 計
33 (71.7%)
67 (70.5%)
49 46 95
島根県建設業協会松江支部・出雲支部の 防災協定加盟企業および 2000年に行った建設CALS/ECに関する
アンケート調査での回答企業 調査期間 2002年8月28日〜9月13日
調査方法 郵送配布・郵送回収
調査対象
松江支部 出雲支部
回収数 (回収率)
配布数
34 (69.4%)
調査票
合 計
33 (71.7%)
67 (70.5%)
49 46 95
島根県建設業協会松江支部・出雲支部の 防災協定加盟企業および 2000年に行った建設CALS/ECに関する
アンケート調査での回答企業
島根県建設業協会松江支部・
出雲支部に加盟している127社 を対象に、アンケートによる調 査を行った。アンケートの設問 は、CALS/ECに関すること、コ ンピュータの整備状況等、各社 の情報化の現状、推移および取 り組みを把握するための内容と なっている。調査の概要は表−
1に示す通りである。
3.CALS/ECに備えた情報化の現状
しまね建設CALS/EC研究会 では、島根県内の自治体およ び建設関連企業のCALS/ECに 対する意識および適応性を調 べることを目的に、2000年度 にアンケート調査を実施して いる1)。本章では、今回行っ たアンケートの調査結果を踏 まえ、県内企業のCALS/ECに 対する情報化の現状を把握す るとともに、前回行われた調 査結果とあわせ、この2年間
における情報化の推移をみる。 前回調前回調 調査結果として、CALS/EC
に対する認識を図−2に、イ ンターネットの接続状況を図
−3に、メールアドレスの個 人所有状況を図−4に、社内 LANの接続状況を図−5にそ れぞれ示す。この結果から、
CALS/EC実現への着実な対応 が進められつつあることが確 認できる。特にインターネッ トやLANは、この2年間で新
たに20%以上の企業で接続されており、各企業がネットワークの環境整備、IT化や電 子化に向け積極的な取り組みをしていることが伺える。
83.3 77.8
16.7 22.2
0% 20% 40% 60% 80% 100%
今回調査 前回調査
知っている 知らない
(198) ( 78)
83.3
77.8
16.7 22.2
0% 20% 40% 60% 80% 100%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
今回調査 前回調査
知っている 知らない 知っている 知らない
(198) ( 78) (198) ( 78)
( )内は度数
図−2 CALS/ECについて知っていますか
59.2 36.5
40.8 63.5
0% 20% 40% 60% 80% 100%
今回調査 前回調査
接続している 接続していない
(189) ( 76)
59.2
36.5
40.8 63.5
0% 20% 40% 60% 80% 100%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
今回調査 前回調査
接続している 接続していない 接続している 接続していない
(189) ( 76) (189) ( 76)
図−5 社内のパソコン間でLANが接続されています
26.9
24.6
73.1 75.4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
今回調査 査
所有している 所有していない
( 78) (171)
26.9
24.6
73.1 75.4
0% 20% 40% 60% 80% 100%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
今回調査 査
所有している 所有していない 所有している 所有していない
( 78) (171) ( 78) (171)
図−4 メールアドレスを個人で所有していますか
接続している 接続していない
88.0
64.5
12.0 35.5
0% 20% 40% 60% 80% 100%
今回調査
前回調査 (186)
( 75) 接続している 接続していない
接続している 接続していない
88.0
64.5
12.0 35.5
0% 20% 40% 60% 80% 100%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
今回調査
前回調査 (186)
( 75) (186) ( 75)
図−3 インターネットが接続されていますか
しかし、図−4によると、メールアドレスの個人所有は、わずか数%の増加にとど まっている。この理由として、各企業におけるネットワーク利用可能な従業員数に関
下と回答した企業が全企業のおよそ半分に上っており、ネットワーク利用可能な人材 の不足と人材育成の遅れが挙げられる。
また、2年間という期間があったにもかかわらず、CALS/ECの認識は前回調査から 5.5%程度の増加にとどまり、未だにCALS/ECを知らない企業が15%以上も存在するな ど、CALS/ECの推進に向けた活動において、全企業への周知といった点で、前回調査 の結果を十分に考慮した活動が行えていなかった状況が明らかとなった。また、この ようなCALS/ECに関する知識のない企業の多くは、コンピュータやネットワークの整 備状況などにおいても遅れている傾向がみられ、情報化に対する意識も消極的であっ た。そのため、CALS/ECに関する知識を得ている企業と得ていない企業との間に、業 務の上で格差が生じることが危惧される。
このような結果から、できるだけ早い段階で全企業へCALS/ECに関する情報と情報 化のメリットを周知徹底するとともに、コンピュータやネットワークが利用できる人 材の育成を行い、業界全体の情報化の底上げを図ることが、今後のCALS/EC推進の課 題といえる。
4.防災ネットワーク構築のための実験
ここでは、防災ネットワーク構築のための問題点把握を目的とした防災実験および 調査について報告する。なお、実験にあたっては、島根県と島根県建設業協会の間で 締結されている防災協定に基づいて行っている。この協定は、建設業協会の協力を得 て、災害発生時に県が管理する道路・河川等の公共土木施設の機能を確保及び回復す ることを目的としており、同様の協定は全国各地に存在している。このような災害時 を対象とした協定では、締結はされたものの現実には運用されていない場合が多いこ とから、実施段階で発生する問題点の把握が難しい。そこで本研究では、その演習を 兼ねて行うことで、実施にあたっての問題点の抽出を併せて試みることにした。
(1) 島根県建設業協会の防災に関する取り組み状況
島根県建設業協会の防災への取り組みとして、島根県と島根県建設業協会の間で
「風水害・地震災害・その他の災害応急対策業務に関する協定」が締結されている。
本協定の内容は、災害発生時に県が管理する道路・河川等の公共土木施設の機能を 確保及び回復するため、依頼を受けた建設会社が自主的に公共土木施設のパトロー ル・交通規制措置・応急工事等を実施することである。このような協定は、全国各 地で様々な形態で締結されており、(社)全国建設業協会の「災害対策に関する調査 結果報告」によると、2001年10月時点では、全国47都道府県中35(74.5%)の都道 府県において存在している。島根県における協定では、県の出先機関である土木建 築事務所と所管の建設業協会支部において、さらに詳細な内容の協定が締結されて おり、出動の要請基準をはじめ参加企業間の災害時における連絡網や各社の担当地 域が明示されている。
なお、これらの内容は各支部において異なっており、本研究で対象とした建設業 協会松江支部と出雲支部では、連絡網を一例に取ると並列型と直列型(図−6参 照)のような異なる形態であった。本研究では、後述する防災実験をこの協定に基 づいて行っている。
A社 A社
B社 B社 A社
A社
B社
B社 C社 C社 D社 D社
C社 C社
直列型 並列型図−6 連絡網のタイプ(イメージ)
(2) 防災ネットワークの実験および調査概要 本研究では、CALS/ECに備えた
情報ネットワークを防災利用する ための問題点を抽出することを目 的に、前述した防災協定の参加企 業を対象にした防災実験を行った。
その概要を表−2に示す。
表−2 防災実験概要
実験日時
対象企業 島根県建設業協会 松江支部・出雲支部の
防災協定加盟企業 対象企業数 松江55社,出雲46社,計101社 参加企業数
(参加率)
松江25社,出雲35社,計 60社 (45.5%) (76.1%) (59.4%) 2002年8月23日15:00〜18:00 2002年8月23日15:00〜18:00
実験は、図−7に示すように仮 想行政とした松江高専から災害発 生の情報(実験開始の合図)が発 信されると、それが防災協定に基 づく連絡網により対象企業に伝達 され、各社が被害状況を建設業協 会に報告する、といった流れで行 われた。被害状況の報告について は、建設業協会内のサーバーに設 けた防災ネットワークのホームペ ージ(図−8参照)に登録する
(図−9参照)ことを基本とし、
やむを得ない場合にはFAXによる 報告も認めている。また、本実験 をなるべく実際の災害時の状況に 近づけるための工夫として、事前 に実験の依頼はしたものの実験日 時は未定のまま任意の降雨時をも って実験を決行した。
実験開始 災害時点検指示
受信
受信
担当地区点検 点検結果報告 松江高専
(仮想行政)
建設業協会支部
各地区総括企業
協定参加各企業
点検指示発信
点検箇所の分担 点検指示
登録情報 建設業協会
点検情報の閲覧 島根県(行政)
建設業協会
防災協定による 連絡網を利用
※支部により異なる。
これは、出雲支部の場合。
■ 防災ネットワーク実験用 ホームページへの情報登録
■ FAXによる情報伝達
全行程終了後 アンケート調査実施
図−7 防災実験のワークフロー 次に、実験終了数日後、2章で
述べたアンケートを兼ねた調査を 実施し、実験に関する状況把握や 問題点の抽出ならびに災害に対す る意識等の把握を行った。
図−8 防災ネットワーク実験用ホームページ
図−9 災害情報入力用WEBページ
(3) 防災ネットワークの実験結果
図−10 防災実験当日のWEBページ ここでは、防災実験当日の結果
について報告する。図−10は、防 災実験当日のWEBページの状況で ある。このように被害状況に関す る情報は、インターネットを利用 した情報登録を基本とした。しか し、当日の情報送信手段を示した 図−11によると、67%がFAXを利 用する結果となった。この要因と して、パソコン利用の試み状況を 示す図−12による20%の企業がパ ソコン利用を試みたことや、直接 理由を問うた結果の図−13による
「インターネットが接続されてい ない」、「ネットワークがつながら なかった」などの物理的な要因に 加え、「パソコンで送る必要はな いと思った」、「パソコンの使用に 慣れていないから」などの人為的 な要因も確認できる。
コンピュータネットワークによ る同時に多数の閲覧を可能とした
情報提供体制の確立のためには、送信手段に関し、幾つかの課題を残す結果となっ た。
その他 3.3%
FAX 66.7%
パソコン
(HP)
30.0%
その他 3.3%
FAX 66.7%
パソコン
(HP)
30.0%
試みた 20.0%
試みなかった 80.0%
試みた 20.0%
試みなかった 80.0%
図−11 状況報告送信
図−12 FAX送信企業
手段 のパソコン利用の試み
N=60 N=30
6.9 13.8 6.9
17.2 20.7
27.6 20.7
27.6
93.1 86.2 93.1
82.8 79.3
72.4 100.0
96.6 79.3
72.4 100.0
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29)
パソコンの使用に慣れていないから 送信先・URLがわからなかった 画像の取り込み方が分からなかった 送信の仕方が分からなかった ネットワークがつながらなかった 実験用ホームページの存在を知らなかった データの容量が大きくて送れなかった パソコンを使うと遅くなるから インターネットが接続されていない パソコンで送る必要はないと思った パソコンを使用する気がなかった
はい いいえ
6.9
13.8 6.9
17.2 20.7
27.6 20.7
27.6
93.1 86.2 93.1
82.8 79.3
72.4 100.0
96.6 79.3
72.4 100.0
6.9 13.8 6.9
17.2 20.7
27.6 20.7
27.6
93.1 86.2 93.1
82.8 79.3
72.4 100.0
96.6 79.3
72.4 100.0
0% 20% 40% 60% 80% 100%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
(29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29)
(29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29) (29)
パソコンの使用に慣れていないから 送信先・URLがわからなかった 画像の取り込み方が分からなかった 送信の仕方が分からなかった ネットワークがつながらなかった 実験用ホームページの存在を知らなかった データの容量が大きくて送れなかった パソコンを使うと遅くなるから インターネットが接続されていない パソコンで送る必要はないと思った パソコンを使用する気がなかった
パソコンの使用に慣れていないから 送信先・URLがわからなかった 画像の取り込み方が分からなかった 送信の仕方が分からなかった ネットワークがつながらなかった 実験用ホームページの存在を知らなかった データの容量が大きくて送れなかった パソコンを使うと遅くなるから インターネットが接続されていない パソコンで送る必要はないと思った パソコンを使用する気がなかった
はい いいえ
はい いいえ
図−13 パソコンを利用しなかった理由
次に、各企業からの情報の第1報が到着した時刻について図−14に示す。これを みると、インターネットとFAXによる送信時刻の差はみられない。しかし、情報の 累計が50%を超えるのに2時間以上を要していること、すなわち、過半数の企業が 状況報告の第1報に2時間以上を要することなどから、実際の災害時を想定すると、
若干の不安が残る結果となった。
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
〜15:29 〜15:59 〜16:29 〜16:5 9
〜1 7:2
9
〜17:
59
〜1 8:2
9
〜1 8:59
〜 19:29 26 日 以 降
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
HP(件数) FAX(件数) HP・FAX累積(%)
(件) (%)
15:00実験開始
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
〜15:29 〜15:59 〜16:29 〜16:5 9
〜1 7:2
9
〜17:
59
〜1 8:2
9
〜1 8:59
〜 19:29 26 日 以 降
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
HP(件数) FAX(件数) HP・FAX累積(%)
(件) (%)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
〜15:29 〜15:59 〜16:29 〜16:5 9
〜1 7:2
9
〜17:
59
〜1 8:2
9
〜1 8:59
〜 19:29 26 日 以 降
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
HP(件数) FAX(件数) HP・FAX累積(%)
HP(件数) FAX(件数) HP・FAX累積(%)
(件) (%)
15:00実験開始
図−14 第1報状況報告送信時刻
(4) 防災実験の結果に対する考察
防災実験では、防災協定に基づく体制や情報ネットワークが必ずしも適切に機能 しないことが示された。今回の実験が実際の災害時ではなかったことを考慮しても、
少なからず不安や反省を含むものとなった。そこで、ここでは、その要因について 考察する。
実験結果に対する要因としてまず考えられるのは、各企業の社内体制や情報化の 推進状況などの物理的な要因である。そこで、各社のネットワーク環境について、
インターネット接続状況を図−15に、社内LAN接続状況を図−16にそれぞれ示す。
これによると、インターネットは約86%の企業が接続しており、また、社内LANも 過半数が接続していることから、防災実験では7割の企業がパソコンを利用しない 結果であったが、ほとんどの企業において被害状況報告のパソコンによる送信が可
能であったことがわかる。
次に、図−17に示すメールアドレスの所有状況をみると、個人での所有率が24%
と低いことから、組織としてのネットワーク環境は整備されているものの、個人と しては、日常的にネットワークを利用する環境ではないことがわかる。このことは、
「パソコンが不慣れ」といった人為的な問題に影響していることが考えられ、それ が、防災実験においてパソコン利用が少なかった要因の一つとして考えることがで きる。
図−15や図−16によると、インターネットや社内LANを接続していない企業も少 なからず見受けられ、建設産業における情報化の益々の推進が望まれるが、企業と しての情報化の整備と同時に、それを実際に運用する個人としての利用環境の整備 も重要である。
接続している 85.9%
接続して いない
14.1%
接続している 85.9%
接続して いない
14.1%
N=64
接続 している
56.3%
接続 していない
43.8%
接続 している
56.3%
接続 していない
43.8%
N=64
各部署で6.1%
個人で 24.2%
会社で 54.5%
所有して いない
15.2%
各部署で6.1%
個人で 24.2%
会社で 54.5%
所有して いない
15.2%
N=66
図−15 インターネット接続状況図−16 社内LAN接続状況
図−17 メールアドレス所有状況
5.防災協定の演習(防災実験)の効果
島根県と島根県建設業協会の間では、災害時における公共土木施設の機能確保のた めに、防災協定が締結されている。この防災協定に対する各企業の担当者の意識(図
−18)をみると、「非常に重要だと思う」「重要だと思う」を合わせて95%と、ほとん ど全ての担当者が協定の重要性を認識している。しかし、災害時に協定に沿った行動 がとれる体制になっているか否かを問うた図−19をみると、44%の企業がその体制に なっていないことがわかる。その理由としては、協定締結後実際に災害が起きていな いことや、現段階では実際に行動するところまで考えていないこと、などが挙げられ ていた。
このような災害時を対象とした協定は、締結はされたものの実際に運用されていな い場合が多いことから、実施段階で発生するの問題点の把握は難しい。そこで、本研 究における防災実験は、その協定の演習を兼ねて行った。ここでは、その効果につい
非常に 重要だと思う
16.7%
重要だと思う 77.8%
あまり重要だと思わない 5.6%
重要だと思わない0.0%
N=72
非常に 重要だと思う
16.7%
重要だと思う 77.8%
あまり重要だと思わない 5.6%
重要だと思わない0.0%
N=72
可能な体制に なっていない
43.9%
可能な体制 になっている
56.1%
N=66
可能な体制に
なっていない
43.9%可能な体制 になっている
56.1%
N=66 N=53
不安 35.8%
少し不安 47.2%
不安はない 15.1%
全く不安はない1.9%
N=53
不安 35.8%
少し不安 47.2%
不安はない 15.1%
全く不安はない1.9%
不安 35.8%
少し不安 47.2%
不安はない 15.1%
全く不安はない1.9%
図−18 防災協定の 図−19 協定に基づく行動が 図−20 今回の実験を踏まえた
重要性に対する意識 可能な体制の有無 建設CALSに対する意識
て考察する。
図−20に示した今回の実験を踏まえた建設CALSに対する意識をみると、83%の企業 が建設CALSへの対応に不安を持ったことがわかった。そして、今回の実験による効果 を示した図−21によると、「自社の準備・対応不足の把握」を挙げる意見が多かった。
災害時における適切な行動体制を目指すためには、まず現状に対する問題意識をもつ ことが必要となる。したがって、今回の防災実験が担当者の意識にこのような影響を 与えたことは、本実験の成果であり、今後の体制整備に反映されることが望まれる。
5.6 94.4
38.9 61.1
25.9 74.1
38.9 61.1
63.0 37.0
0% 20% 40% 60% 80% 100%
何もない 災害・防災に対する意識の向上
自社のコンピュータや ネットワークの利用技術の向上
協定自体の問題点の把握
自社の準備・対応不足の把握 (54)
(54)
(54) (54) (54)
はい いいえ
5.6 94.4
38.9 61.1
25.9 74.1
38.9 61.1
63.0 37.0
0% 20% 40% 60% 80% 100%
何もない 災害・防災に対する意識の向上
自社のコンピュータや ネットワークの利用技術の向上
協定自体の問題点の把握
自社の準備・対応不足の把握 (54)
(54)
(54) (54) (54)
5.6 94.4
38.9 61.1
25.9 74.1
38.9 61.1
63.0 37.0
5.6 94.4
5.6 94.4
38.9 61.1
38.9 61.1
25.9 74.1
25.9 74.1
38.9 61.1
38.9 61.1
63.0 37.0
63.0 37.0
0% 20% 40% 60% 80% 100%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
何もない 災害・防災に対する意識の向上
自社のコンピュータや ネットワークの利用技術の向上
協定自体の問題点の把握
自社の準備・対応不足の把握 (54)
(54)
(54) (54) (54) (54) (54)
(54) (54) (54)
はい いいえ
はい いいえ
図−21 今回の実験による効果
73.8 26.2
89.2 10.8
96.9
92.3 7.7
80.0 20.0
69.2 30.8
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
できる若しくはする必要がある できない若しくはする必要がない
避難情報の伝達 応急対策工事 救援活動
災害状況の把握 瓦礫の撤去 救援物資の輸送
(76) (76)
(76) (76) (76) (76)
73.8 26.2
89.2 10.8
96.9
92.3 7.7
80.0 20.0
69.2 30.8
73.8 26.2
73.8 26.2
89.2 10.8
89.2 10.8
96.9
92.3 7.7
92.3 7.7
80.0 20.0
80.0 20.0
69.2 30.8
69.2 30.8
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
できる若しくはする必要がある できない若しくはする必要がない
避難情報の伝達 応急対策工事 救援活動
災害状況の把握 瓦礫の撤去 救援物資の輸送
避難情報の伝達 応急対策工事 救援活動
災害状況の把握 瓦礫の撤去 救援物資の輸送
(76) (76)
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図−22 災害時における地域貢献として、「できる」若しくは
「する必要がある」と考えている対応行動
6.おわりに
本研究の対象企業に、災害時における地域貢献として「できる」若しくは、「する 必要がある」と考えている対応行動について問うたところ(図−22参照)、即時対応の 重要な項目のほとんどについて該当していることがわかった。このことは、災害時に おいての建設業の役割を公共土木施設に関するものに限定するのではなく、その範囲 を拡大することの必要性を示唆するものである。したがって、本研究で紹介した島根 県建設業協会の取り組みのように、ソフトによる災害対応に関しても、従来ではハー ドによる災害対応の核であった建設業の積極的な貢献が期待される。
本研究の成果は、日本災害情報学会第4回研究発表大会(2002年11月)において公表した。
謝辞:本研究の遂行にあたり、島根県技術管理室、松江土木建築事務所、出雲土木建築事務所ならびに島
根県建設業協会の方々から多大な協力を得た。また、しまね建設CALS/EC研究会の方々においては本 研究の企画段階から実験を実施するにあたり多くの貴重なご意見を頂いた。ここに記して深謝する 次第である。
【参考文献】
1) 裏戸・大屋・渡辺:建設CALS/ECに関する調査研究,第2回建設情報研究所研究発表会資料 集,pp.161‑176,2000