本書は,テクニカルコミュニケーター協会(TC 協会)の技術検定事業の一 環として企画されたものです. テクニカルコミュニケーターとは,情報を整理してわかりやすく伝える専門 家です.文書,マニュアル(取扱説明書)などを正確でわかりやすいものにす るにはどのように作成すればよいかの技術を開発し,実行することを仕事にし ています. テクニカルコミュニケーター協会は,これらの技術に取り組む人々が,相互 の交流を通じて,よりわかりやすいコミュニケーションを実現するための団体 です.その活動のなかで,今回,ビジネス文書やマニュアルをつくるには,ど のような技術や技能が必要なのかについてを解説することにしました. ビジネス文書やマニュアルは説明です.説明の必要十分条件とは「正確なこ と」「わかりやすいこと」です.しかし,この正確さとわかりやすさを兼ね備 えた文書をつくる作業は,意外に難しいのです. 文書をつくる人は,だれも「不正確に」「わかりにくく」書こうとは思って いません.自分では最大限まで正確さとわかりやすさのレベルを高めたと自負 するでしょう.しかし,それが思いどおりにはいきません.レベルを判断する のは読み手だからです.いくら頑張っても読み手に認められなければどうにも なりません.読み手が満足するレベルとは何か,何をどのように改善するの か,などについて的確に判断し,文書の質を高めることが求められているので す. ではどのような練習をすれば文書の質は高まるのでしょうか.これまで,文 書作成の技術書は多数出版されており,いずれも作成の技術を習得するのに有 効です.一方,本書では,少し視点を変えて「技術の習得」を眺めてみること にしました.一般に,技術書は,「〜のときには〜する」「〜のときは〜しては いけない」のように,個々の場面への対応のしかたを学習するよう求めていま
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