保護者の方へ
ロタウイルス予防接種を受けるに当たっての説明書
1.ロタウイルス感染症(胃腸炎)について
ロタウイルスによる急性の感染症です。年齢にかかわらず何度でも感染しますが、生後3カ月以降に初めて感染すると 重症化しやすくなります。特に重症化しやすいのは生後4~23カ月の乳幼児です。初めての感染時が最も重症で、その後 感染を繰り返すにつれて軽くなります。主な症状は急性胃腸炎で、2日程度の潜伏期間の後、突然の嘔吐、発熱に続き、 水様性下痢(白っぽく米のとぎ汁のような便)を引き起こします。
脱水、けいれん、肝機能異常、腎不全、脳症等を合併することがあります。脱水が強い場合や合併症を併発した場合には、 入院が必要となることもあります。回復には1週間ほどかかります。
5歳までにほとんどすべての乳幼児がこのウイルスに感染します。日本での死亡は稀ですが、小学校入学前までに約2 人に1人が受診し、15人に1人が入院している現状があります。
2.ロタウイルスワクチンについて
現在、2種類の生ワクチンが国内で認可されています。
1 1価ロタウイルスワクチン
原因となるロタウイルスには、主に5つの血清型があり、最も一般的な抗原を発現します。交叉免疫により他の血清型に 対しても予防効果を発揮します。
②5価ロタウイルスワクチン
世界中で検出されている5種類のロタウイルスの抗原を発現するワクチンです。
3.予防接種スケジュール
①1価ロタウイルスワクチン1回分(1.5mL)を6週から初回接種を開始し、4週以上の間隔をおいて、24週までに2回接種します。
②5価ロタウイルスワクチン
1回分(2mL)を6週から初回接種を開始し、4週以上の間隔をおいて、32週までの間に3回接種します。
※
初回接種は両ワクチンとも15週未満に行うことが推奨されています。
4.副反応について
①1価ロタウイルスワクチン副反応として、ぐずり、下痢、鼓腸(腹腔内にガスがたまって腹部が張ってくること)、腹痛、皮膚炎、咳鼻水があります。 重篤な副反応は、腸重積症、血便排泄、重症複合型免疫不全(SCID)患者でのワクチンウイルス排泄を伴う胃腸炎が あります。
②5価ロタウイルスワクチン
副反応として、接種後の下痢、嘔吐、胃腸炎、発熱があります。重大な副反応はアナフィラキシ―の報告があります。
5.医薬品医療機器総合機構法に基づく救済制度について
適正に接種したにも関わらず発生した副反応により、入院が必要な程度の疾病や障害などが生じた場合は、医薬品
医療機器総合機構法に基づく被害救済の対象となります。健康被害の内容・程度に応じて薬事・食品衛生審議会で
の審議を経た後、医療費、医療手当、障害年金、遺族年金、遺族一時金などが支給されます。
気になる症状が発生した場合には、医師にご相談ください。
6.接種に当たっての注意事項について
予防接種は、体調の良い日に行うことが原則です。健康状態が良好でない場合には、かかりつけ医等に相談の上、 接種するかを決めてください。 以下の健康状態の場合には予防接種を受けることはできません。
1 明らかに発熱(37.5℃以上)がある場合
② 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな場合
③ ワクチンの成分によって過敏症が生じたことがある場合、過敏症が疑われる症状を生じた方
4 腸重積症の既往のある方
5 腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室等)のある方
6 明らかに免疫機能に異常がある病気がある場合
⑦ 重症複合型免疫不全(SCID)がある場合
⑧ その他、予防接種を行うことが不適当な状態にある方
7.予防接種要注意者について
以下の方は接種前に医師にご相談ください。
1 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害などの基礎疾患のある方
② 過去に予防接種で接種後2日以内に発熱、全身性発疹などのアレルギーを疑う症状のみられた方
③ 過去にけいれん(ひきつけ)をおこしたことがある方
④ 過去に免疫状態の異常を指摘されたことのある方もしくは近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
⑤ ワクチンの成分に対してアレルギーをおこす恐れのある方
8.接種後の注意について
ロタウイルスワクチンを受けられた方は以下の点に注意してください。
1 接種後30分間は、ショックやアナフィラキシーが起こることがありますので、接種後はすぐに帰宅せず、30分は安静
して様子をみてください。
2 接種後に高熱やけいれんなどの異常が出現した場合は、速やかに医師の診察を受けてください。
3 腸重積症と思われる症状(ぐったりする、泣きと不機嫌を繰り返す、顔色が悪い、繰り返し起きるおう吐、 イチゴ
ジャムのような血便、お腹のはりなど)がみられた場合は、速やかに医師の診察を受けるようにしてください。海外の 発売後の調査では、接種後に腸重積症のリスクが少し増加する可能性があるとされていますので、接種後は腸重積 症の症状にご注意ください。
4 接種当日はいつも以上に興奮させないでください。