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産学研究活動の質的変化と大学意識の変化

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Academic year: 2021

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(1)0611D1415 産学研究活動の質的変化と大学意識の変化 ○坂元耕三(横浜国立大学共同研究推進センター) 1.産学研究活動の発展メカニズム. 表1 入手できる時系列データの分類. 米国の産学連携は、政府の国際競争力強化、企業の研. 受入件数 全体 うち企業分 共同研究 ○ ○ 受託研究 ○ × 奨学寄附金 × × ※△は部分的に入手可能。. 究開発戦略転換、大学の外部資金獲得志向などを背景 にして1980年代に活性化した(宮田1999)。他方、我が国 の産学連携は、バブル経済崩壊に伴う景気低迷が長期. 受入金額 全体 うち企業分 △ × ○ ○ ○ ×. 化する 1990 年代後半に大きく転換した(坂元 2004)。 文部科学省(2003)によれば、共同研究の受入件数は. 表2 企業と企業以外の共同研究実績(横国大の事例). 経年的に増加傾向にあり、特に近年の伸びは著しい。そ. 金額(千円). 件数(件). の背景には様々な原因が考えられる。主なものとしては、. 民間企業 その他. “研究のアライアンス・アウトソーシングに関する企業戦略 の変化”、“産学連携制度の変化”が考えられる(坂元等. 総計 901,468 332,469. 477 87. 平均 1,890 3,821. 最大 14,000 31,920. 最小 標準偏差 150 1,745 420 3,840. 出所;坂元(2004). 2004)が、“大学の意識の変化”による影響もあるものと推 図1 産学共同研究の受入金額及び受入件数の推移. 察される。 本稿では、産学研究活動の発展メカニズムを制度面で. 30 4000. 分析するとともに、その背景にあると考えられる“大学意 産学共同件数(件). 識の変化”に焦点を充てて考察を行う。 なお、本稿では、産学連携の活動は多岐にわたる(坂 元 2003)ことから、企業と大学とが協同して行う研究活動. 20 15. 2000 10 1000. 産学受託研究金額(億円). 25 3000. 5. に限定する。よって、産学研究活動を“企業と大学が連携. 産学共同研究件数(件). 2002fy. 2001fy. 2000fy. 1999fy. 1998fy. 1997fy. 1996fy. 1995fy. 1994fy. 1993fy. 1992fy. 1991fy. 1990fy. 1989fy. 1988fy. 1987fy. 1986fy. 寄附金の3制度に基づくもの”と定義する。. 1985fy. 1983fy. 0 1984fy. 0. して行う研究活動で①共同研究、②受託研究、③奨学. 産学受託研究金額(億円). 出所;NISTEP(2003)及び文部科学省ホームページ. 2.実質化する産学研究活動 (1)動向分析に用いるデータ. 図2 産学研究活動の制度別受入金額割合の推移. 産学研究活動に関するデータは必ずしも十分でなく、. (7国立大学の試算). 公表データも限定されている(表1参照)。これは企業の. 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 2%. 研究戦略情報の遺漏や知的財産の保護の観点から、あ. 9 3%. 94~95年度. る程度やむを得ないものと考えられる。. 5% 4%. 他方、坂元等(2004)は、横浜国立大学(以下、横国大と. 87 %. 97~98年度. いう)で実施した共同研究の発展メカニズムを分析するな. 9% 6%. かで、企業とそれ以外の取組みには著しい相違があるこ. 8 0%. 00~01年度. とを指摘した(表2参照)。. 1 4%. よって、産学研究活動を分析する際には、企業に限定. 奨学寄附金. したデータ(図1参照)を用いる必要がある。. 受託研究. 共同研究. によって試算を行う(図2参照)。. (2)変質する産学研究活動. 奨学寄附金の占める割合が減少し、受託研究・共同研. 坂元(2003)や澤田(2003)によれば、新聞誌上における. 究の占める割合が増加し、特に共同研究の割合増加が. “産学連携”又は“産学官連携”という言葉の使用例には、. 著しいことがわかる。. 時代的な展開期があり、1996~7年を境に著しく使用の増. a) 朝日新聞(1996-2003)に奨学寄附金、受託研究、. 加が発生している。よって、この間の産学研究活動に用. 共同研究のすべてのデータが掲載されている7国. いられる制度変化をみるために、次に示す手法. 立大学を抽出。. 1. −61−. 産学連携学会第2回大会講演予稿集(2004).

(2) b) 受託研究・共同研究の産学受入金額=当該年度. d) 理由のチェックポイントの内容や回答方法が一. の受入金額×全国立大学等における産学研究活動. 部相違するため、全体の回答総数に占める割合を. の占める割合(%). 用いる。. c) 奨学寄附金は、教育充実の目的や個人からのも のもあるが、本稿ではすべて企業から産学研究活. 表3 大学の意識変化(アンケート結果の分析から). 動のために受け入れたものと仮定。. 調査実施. (3)個別大学での事例分析. 分析対象. 産学官連携の理由. 企業の研究資金の提供がある(連携先 大企業) 5大学9学 企業の研究資金の提供がある(連携先 部の27 中堅・中小企業) 1997年4月 チェックポ 企業の実需に基づく情報を得られるか イント ら(連携先大企業) 地域社会への貢献になり大学のイメー ジが上がる 大学の研究成果を社会に還元すること が大学の使命と考えているから 5大学27 2002年1~ 学部の133 企業から研究資金が得られるから チェックポ 企業の実需に基づく社会ニーズ情報が 2月 イント 得られるから 企業の技術者・研究者が受け入れら れ、一緒に研究活動ができるから. 産学研究活動の質的変化を個別大学でみるために、横 国大での産学研究活動の受入推移を図3に示す。7大学 のケースと同様の傾向がみられ、共同研究の占める割合 の増加が著しいことがわかる。 図3 産学研究活動の制度別受入割合の推移 (横国大の事例). 割合 19%. 11%. 20% 15% 11%. 出所;日経産業消費研究所(1997,2002)を基に分析. 受入件数. 受入金額. 13%. 20%. 4.今後の研究の展開. 2% 3%. 本稿では産学研究活動の発展メカニズムを制度面で分. 2000年度 77%. 85%. 奨学寄附金. 受託研究. 共同研究. 奨学寄附金. 受託研究. 析し、その背景にある“大学の意識の変化”について考察 を行った。その結果、産学研究活動のために用いる制度. 共同研究. に変化が発生しており、研究内容が実質化している傾向. 17% 28% 2%. が読み取れる。その背景の一要因には、大学側の産学. 2002年度 4% 68%. 研究活動に対する意識変化が考えられる。. 81%. 奨学寄附金. 受託研究. 共同研究. 奨学寄附金. 受託研究. 今後は、“研究のアライアンス・アウトソーシングに関す. 共同研究. 以上から、企業は産学研究活動に対しより具体的成果. る企業戦略の変化”に焦点を充てた分析を行いたい。. を期待するようになり、用いる制度が変化し、研究内容が 実質化しているものとみることができる。. 参考文献 朝日新聞『大学ランキング 1997~2004 年度版』, 朝日新聞社, 1996~. 3.大学の意識変化. 2003.. 前項と同時期に、日経産業消費研究所が大学に対して. 科学技術政策研究所(NISTEP)『産学連携 1983-2001』, 文部科学省,. 行ったアンケート調査結果を基に、大学側の産学研究活. NISTEP, 第2研究グループ・研究振興局研究環境産業連携課技術. 動に対する意識変化をみるために、次に示す手法によっ. 移転推進室, 2003.. て分析する(表3参照)。この結果、1997年時点では「企業. 坂元耕三「産学連携の歴史と現状についての一考察」『横浜国立大学共. からの研究資金提供」との回答が最も多く、大企業と中. 同研究推進センター年報』第12 号, 2003, pp.44-49.. 堅・中小企業を併せると 30%を占める。他方、2002 年の. 坂元耕三,近藤正幸「産学共同研究に関する時系列分析及び企業特性別. 調査では、同趣旨の回答が 15%と減少し、「大学の研究. 分析」『開発技術』, Vol.10, 2004.. 成果を社会に還元することが大学の使命と考えているか. 澤田芳郎「社会組織イノベーションとしての産学連携-産学連携の三層. ら」との回答が最も多い。産学官連携の推進理由の順位. モデルの視点」『産学連携学会第1回大会講演予稿集』, 2003,. が逆転していることから、大学側に産学研究活動に対す. pp.63-64.. る意識の変化が生じているものとみることができる。. 日本経済新聞社, 日経産業消費研究所『日経地域情報-全国調査・大学. a) 前項の7大学のうち、調査回答がある5大学を分. が考える産学官連携と地域振興』, No.272, 1997.. 析の対象(回答は学部単位)。. 日本経済新聞社, 日経産業消費研究所『産学官連携と地域振興-産学官. b) 1997 年 4 月の調査では、産学官連携を推進する. 連携の現状と課題』, 日経産業消費研究所, 2002.. 理由について、9学部が 27 チェクポイントを回答。. 宮田由紀夫「アメリカにおける産学共同の展開」『大阪商業大学論集』, 大. c) 2002 年 1~2 月の調査では、同様に 27 学部が. 阪商業大学商経学会, 1999, pp.413-433.. 133 チェックポイントを回答。. 文部科学省『産学連携NOW』, 2003.. 2. −62−. 産学連携学会第2回大会講演予稿集(2004).

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