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複 合 体 の 骨 誘 導 能 お よ び 生 体 吸 収 J 陸      、

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Academic year: 2021

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博 士 ( 歯 学 ) 山 口 圭 輔

学 位 論 文 題 名

BIVIP ―2 添加多孔性キトサン/ハイドロキシアパタイトナノ

複 合 体 の 骨 誘 導 能 お よ び 生 体 吸 収 J 陸      、

学位論文内容の要旨

【緒言】近年の少子高齢化,およぴ医療技術の発展にともない全国民における高齢者の占 め る割合が増加する中で,多くの高齢者が,高いQuality of M'eくQoDを獲得し生き生き と生活するニとが望まれている.歯科の領域においては,歯周病などによる歯牙の喪失や 口 腔癌などによる術後の審美障害およぴ咀嚼障害といった問題が高齢者の.QOLに大きく 関わっ.ている.また,これらの問題に対し,歯槽骨およぴ顎骨の残存量がその後の治療に 大きく影響を与える‐そこで現存まで,さまざまな骨再生材料が開発され臨床において使 用されてきたが,それぞれの材料には長所と短所があり,総合的に骨再生材料として求め られる特性すべてを兼ね備える材料の開発には華ってない.そこで我々は,天然高分子と して甲殻類の外殻などに含まれるキチンを脱アセチル化処理することで得られるキトサン に注目した.キトサンは,牛体吸収性や高い熱安定性などの性質を有しており,すでに多 くの臨床の場において応用されているハイドロキシアパタイトとナノレベルで合成可能で あ る.我々は,キトサンとハイドロキシアパタイト(HAp)をナノレベルで合成した,キト サ ン/HApナノ複合体作製し,この複合体が歯槽骨再生材料に適した物理的性質を持っこ とを報告してきた.しかし,歯槽骨再生材料として必要な骨の再生能についてはまだ評価 されていない.

  そニで本 研究では ,歯槽 骨再生材料に適した物理的性質をもっキトサンFHApナノ複合 体 に,多 孔質構造 を付与 し,さら に細胞 増殖因子 としてBMP‑2を添加させたものをラッ ト 背 部 皮 下 に 埋 入 し , 骨 誘 導 能 お よ び 生 体 吸 収 性 を 組 織 形 態 学 的 に 検 討 し た ,

【 材料と 方法】脱 アセチ ル化度96% のキト サンとHApを, キトサン :HAp=70: 30の割 合 で共沈 殿法にて 合成し たキトサン/HApナノ複合体にポローゲンリーチング法にて多孔 質 構 造 を 付与 し ,BMP‑2を5vl含 浸 さ せた も の をBMP‑2添 加 群 ,滅 菌 蒸 留水20V1のみ 含浸させたものを対照群とした,どちらも凍結乾燥後,‑30℃にて埋入直前まで保存した・

ラ ットの 背部体軸 に対し 左右1か所ずつ,計2か所に切開を加え,皮下組織と筋膜上でポ ケ ットを 形成し複 合体を 埋入した.埋入後1,2,4,8週にて複合体を摘出し,10%中性 緩衝ボルマリンにて固定後,ヘマトキシリン.エオジン染色を施し,光学顕微鏡にて組織 学 的観察 を行った .また ,観察さ れた組 織像をも とに,形 態学的 計測をWEIBEL法に基     一509―

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づ き行 った .形 態学 的計測では,キトサンHApナノ複合体,軟骨,骨,血管, 線維性結 合組織の全組織面積に占 める割合にっいて解析ソフトを使用し算出した.算出した値につ い て ノ ン パ ラ メ ト リ ッ ク 検 定(MaIUrWhitney U‑testに て 統 計 分 析 を 行 っ た .

【結果】組織学的観察で は,m江P.2添加群,対照群 ともに1週で内部気孔内への 線維性 結合組織の侵入はみられ ず,わずかな血球成分のみが観察され,2週以降で,内部気孔内 への線維性結合組織の侵 入およぴ血管の新生が観察された,4,8週で巨細胞による複合休 の貪食がみられ,m江P‐2添加群では複合体の断片化 が観察された,軟骨の形成はBMP.2 添 加群 の1,2週 での み観 察さ れ, 骨の 形成 も同 じくBMP一2添加群の4,8週で のみ観察 された.また,骨形成に 関しては4,8週に韜いて,複合体周囲に成熟した骨の形 成が観 察されたが,内部気孔内での骨の形成はみられなかった・

  形態学的計測では,BMP.2添加群における線維性結合組織の占有率が,対照群に比べ2, 4,8週で有意に高く(pく0.05),複合体の占有率は,対照群に比べ2,418週で有意に低か った(pく0.05).血管は経時的に増加したが,BMP.2添加群と対照群との間に有意差はみら れなかった.

【考察】本研究で使用し た複合体は,気孔率60%,孔径l00〜300ルmの連通孔を有してい る,実験では2週以降でBMP.2添加群,対照群ともに 複合体内部気孔内への向一球成分お よぴ線維性結合ネH・織の侵入が観察され,その後も増加傾向を示した.また,巨細胞の経時 的増加も観察されたこと から,本実験材料は細胞の遊走が十分可能で複合体の強度を十分 維持できる構造であると考えられた・

  異所性骨誘導能に関し ては,BMP.2添加群においてのみ複合体周開に軟骨,骨の形成が みられたが,内部気孔内 には骨の形成がみられなかったことから,この複合体は,BMPー2 の担体として,その作用 を阻害することなく機能するが,さらなる骨形成景の増加を期待 するにはBMP‐2の保持お よぴ拡散時間の調整のために何らかの工夫が必要である ことが 示唆された.

  次に 生体 吸収 性に 関しては,2,4 8週におけるBMP‐2添加群の複合体占有 率が,対 照群に比べ,有意に少な く,吸細胞の貪食による複合体の断片化が観察されたことから,

BMP.2を添加したことで ,添加しなぃ場合に比べ,多核巨細胞たどの細胞が瀞陸化された こ と, また ,こ の複 合体 は生 体材 料と して 優れ た吸収性を有することが示唆 された.

【結論】本実験で使用し た複合体は,BMP.2を添加し,多孔質構造を付与することで,異 所性骨誘導能と良好な生 体吸収性を有するものとなり,複雑な形態を呈することが多い歯 槽骨およぴ顎骨の再生材料として有用であることが示唆された,

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学位論文審査の要旨 主査    教授   井上農夫男 副 査    教 授    亘 理 文 夫 副 査    教 授    横 山 敦 郎

学 位 論 文 題 名

B/IP −2 添加多孔性キトサン/ハイドロキシアパタイトナノ 複合体の骨誘導能および生体吸収陸

  審 査 は . 審 査 担 当 者 全 員 の 出 席 の 下 に 行 わ れ た . 最 初 に 申 請 者 よ り 提 出 論 文 の 概 要 が 説 明 さ れ . そ の 後 , 申 請 者 に 対 し 提 出 論 文 と そ れ に 関 連 し た 学 科 目 に っ い て 口 頭 試 問 が 行 わ れ た , 以 下 に , 論 文 の 要 旨 と 審 査 の 内 容 を 述 べ る .

    【 論 文 の 要 旨 】

本 研 究 の 目 的 は , キ ト サ ン/HApナ ノ 複 合 体 の 骨 再 生 材 料 と し て の 有 用 性 を 組 織 形 態 学 的 に 明 ら か に す る こ と で あ る .

  現 在 ま で , さ ま ざ ま な 骨 再 生 材 料 が 開 発 さ れ 臨 床 に お い て 使 用 さ れ て き た が , 総 合 的 に 骨 再 生 材 料 と し て 求 め ら れ る 特 性 す べ て を 兼 ね 備 え る 材 料 の 開 発 に は 至 っ て な い . ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト ( 以 後HAp)は 生 体 適 合 性 と 骨 伝 導 性 を 併 せ 持 つ 生 体 材 料 と し て 使 用 さ れ て き た が ,HApは そ の 堅 さ と 脆 性 の た め , 望 む よ う な 形 状 に 成 形 す る こ と が 困 難 で あ っ た , そ れ ゆ え に ,HApの 欠 点 で あ る 成 形 性 を 改 善 す る 可 能 性 の あ るHApと 高 分 子 材 料 と の 新 規 複 合 材 料 の 開 発 が 進 め ら れ て き た . キ ト サ ン は , 天 然 高 分 子 と し て 甲 殻 類 の 外 殻 な ど に 含 ま れ る キ チ ン を 脱 ア セ チ ル 化 処 理 す る こ と で 得 ら れ , そ の 生 体 吸 収 性 や 高 い 熱 安 定 性 な ど の 性 質 か ら 生 体 材 料 と し て 応 用 さ れ て き た . わ れ わ れ は , こ れ ま で ナ ノ レ ベ ル で 均 質 な 構 造 の キ ト サ ン ノHApナ ノ 複 合 体 を 作 製 し , 骨 再 生 材 料 に 適 し た 物 理 的 性 質 を も っ こ と を 報 告 し て き た . し か し , 骨 再 生 材 料 と し て 必 要 な 骨 再 生 能 に っ い て は ま だ 評 価 さ れ て い ぬ い .

  そ こ で 本 研 究 で は , 多 孔 質 構 造 を 付 与 し た キ ト サ ン ノHApナ ノ 複 合 体 に , 細 胞 増 殖 因 子 と し てBMPー2を5pl含 浸 さ せ た も の を ラ ッ ト 背 部 皮 下 に 埋 入 し , 骨 誘 導 能 と 生 体 吸 収 性 を 組 織 形 態 学 的 に 評 価 し た .

  組 織 学 的 観 察 で は ,2週 以 降 で , 内 部 気 孔 内 へ の 線 維 性 結 合 組 織 の 侵 入 お よ び 血 管 の 新 生 が 観 察 さ れ た .4,8週 で 巨 細 胞 に よ る 複 合 体 の 貪 食 が み ら れ ,BMP一2

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添 加 群 で は 複 合 体の 断 片 化 が 観 察 され た, 軟骨 の形 成は BMP ― 2 添 加群 の1 , 2 週 で の み 観 察 さ れ ,骨 の 形 成 も 同 じ くBMP − 2 添加 群の 4 , 8 週で のみ 観察 され た.

ま た , 骨 形 成 に 関し て は 4 , 8 週 に おい て, 複合 体周 囲に 成熟 した 骨の 形成 が観 察 さ れ た が , 内 部気 孔 内 で の 骨 の 形成 はみ られ なか った .形 態学 的計 測で は,

BMP ― 2 添加 群に おけ る線 維性 結合 組織 の占 有率 が, 対照 群に比 べ2 ,4 , 8 週 で有 意に高く(p 〈O .05 ),複合体の占有率は,対照群に比べ2 ,4 ,8 週で有意に低かっ た(p <0 .05 ).

   実験 では 2 週 以降 でBMP ―2 添加群 ,対 照群 とも に複 合体 内部 気孔 内へ の血 球成 分お よび 線維 性結 合組 織の 侵入 が観察 され ,そ の後 も増加傾向を示した.また,

巨細 胞の 経時 的増 加も 観察 され たこと から ,本 実験 材料は細胞の遊走が十分可能 で 複 合 体 の 強 度 を 十 分 維 持 で き る 構 造 で あ る と 考 え ら れ た ・    異 所性 骨誘 導能 に関 して は, BMP − 2 添加 群に おい てのみ複合体周囲に軟骨,骨 の形 成が みら れた が, 内部 気孔 内には 骨の 形成 がみ られなかったことから,この 複合 体は ,BMP −2 の担 体と して ,その 作用 を阻 害す ることなく機能するが,さら なる 骨形 成量 の増 加を 期待 する にはBMP − 2 の保 持お よび拡散時間の調整のために 何 らか の工 夫が 必要 であ る. 生体 吸収 性に 関し ては ,2 , 4 ,8 週に おけ るBMP −2 添加 群の 複合 体占 有率 が, 対照 群に比 ベ, 有意 に少 なく,巨細胞の貪食による複 合体 の断 片化 が観 察さ れた こと から, BMP ―2 を 添加 したことで,添加しない場合 に比 べ, 多核 巨細 胞な どの 細胞 が活性 化さ れ, 吸収 性が増すことが示唆された.

   本 実験 で使 用し た複 合体 は, BMP − 2 を添 加し ,多 孔質構造を付与することで,

異所 性骨 誘導 能と 良好 な生 体吸 収性を 有す るも のと なり,複雑な形態を呈するこ と が 多 い 歯 槽 骨 お よ ぴ 顎 骨 の 再 生 材 料と し て 有 用 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た .

     【審査の内容】

   以上.論文にっいて概要が説明された後,各審査員より,本研究の背景,方法,

結 果,考 察船 よぴ 関連 の研 究に っい て質 問が なさ れた .主な質問内容は,◎組織 像 に潟い て, 複合 体周 囲の 染色 が濃 くな って いる 部分 は石灰化か,◎複合体内部 ま で BMP は 含 浸 さ れ て い る か , ◎ BMP の保 持カ を増 強さ せる ため の対 策, @複 合 体 には連 通孔 が形 成さ れて いる か, ◎キ トサ ンと 炎症 反応について,などであっ た .論文 提出 者は いず れの 質問 に対 して も明 確か つ的 確に回答し,さらに今後の 研究についても発展的な将来展望を示した.

   試問の 結果 ,本 論文 は多 孔性 キト サン /HAp ナノ 複合 体はBMP ー2 を添加すること に より異 所性 骨誘 導能 と良 好な 生体 吸収 性を 有す るも のとなり,骨再生材料とし て 有用で ある こと を示 唆し た点 が, 今後 の歯 科医 学の 発展に大きく貢献するもの と評価された.さらに,学位申請者は,本研究を中心とした専門分野はも.とより,

関 連 分 野 に っ い て も 十 分 な 学 識 を 有 し て い る こ と を 審 査 員 一 同 が 認 め た ‐

   よ っ て , 学 位 申 請 者 は 博 士 (歯 学 )の 学位 授与 に値 する もの と認 めら れた .

参照

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