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凍結融解と塩化物の複合作用による

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 遠 藤 裕 丈

学 位 論 文 題 名

凍結融解と塩化物の複合作用による

スケーリングに対する耐久性設計法に関する研究 学位論文内容の要旨

  

寒 冷 地 にお け る 代 表 的橡 劣 化 因 子 に凍 結 融 解 が 挙 げら れ る . さ らに , 沿 岸 部 や凍 結 防 止 剤 の散 布 地 区 で は 塩 化物 の 作 用 も 合 わせ て 受 け る ,コ ン ク リ ー トが 凍 結 融 解 と塩 化 物 の 作 用 を複 合 的 に 受 け る と 。 コ ン クリ ー ト の 表 面 がう ろ こ 状 に 剥が れ 落 ち る スケ ー リ ン グ が促 進 さ れ る こ とが 知 ら れ て い る , ス ケ ー リン グ は , ひ び 割れ の 進 展 が 主教 一 般 の 凍 害とは 劣化の 形態が 異誼 るため ,既往 の凍害 の 予 測 ・ 評 価 に関 す る 研 究 成 果沽 そ の ま ま 適用 す る こ と ができ 教い, そのた め, 寒冷地 におけ るコン ク リ ー ト の 耐 久性 の 照 査 技 術 の高 度 化 を 図 るに は , 一 般 の凍害 に加え て,凍 結融 解と塩 化物の 複合作 用 に よ る ス ケ ーリ ン グ の 評 価 方法 の 確 立 が 求め ら れ て い る.本 論文で は,凍 結融 解と塩 化物の 複合作 用 に よ る ス ケ ーリ ン グ に 対 す る耐 久 性 設 計 法の 確 立 を 目 的に, 種々の 実験, 調査 を行い ,その 結果を 包 括 的に とりま とめ, 設計法 の提案 を行 った.

  

1

章 では , 研 究 背 景, ス ケ ー リ ング の 被 害 の 現状 , 関 連 す る 既往 の 研 究 につ いて整 理する とと も に ,研 究の位 置付け と目的 および 論文 構成を 述べた .

  

2

章 では , ス ケ ー リン グ に 及 ば すコ ン ク リ ー トの 品 質 の 影 響 毅ら び に ス ケ ーリ ン

l

グ の 抑制 に 効 果 的 次 配 合 条 件 に つ い て 整 理 し た . 水 セ メ ン ト 比 お よび 凍 結 融 解 作用 前 の75nm以 上 の 細 孔量 の 影 響 が 大 き い こと を 明 ら か に し, こ れ ら の パラ メ ー タ と 凍結 融 解 履 歴 を組 み 合 わ せ た スケ ー リ ン グ の 進 行 予 測 式 を提 案 し た . ま た, ス ケ ー リ ング の 発 生 形 態は水 セメン ト比が 同じ でも使 用する セメン ト の 種 類 や 供 試 体 の 部 位 に よ って 異 極 る こ とを 実 験 的 に 確認 し た , さ ら に, 第

2

章 で 得た デ ー タ の 範 囲 内 で , 最 大 ス ケ ー リ ン グ 深さ が2.5mm以 下 に 留ま る こ と が 期待 さ れ る 水 セ メン ト 比 に つ いて 考 察 し た,

  

3

章 で は , 第2章 で 得 た 成 果 の 妥 当 性 の 検 証 を 目 的 に , 建 設 後

10

数 年 〜 約

40

年 に 亘 っ て 凍 結 融 解 と 塩 化 物 の 複 合 作 用 を 継続 的 に 受 け てい る 北 海 道 沿岸 部 の 防 波 堤 上部 天 端 面 ( 高炉B種 使 用 ) に お い て 調 査を 行 っ た . 調 査デ ー タ を 解 析し て ス ケ ー リン グ に 及 ば す影 響 因 子 の 重 み付 け を 行 っ た と こ ろ , 深 さ

350

400mm

の 水 セ メ ン ト 比 ( 配 合 推 定 値 ) , 圧 縮 強 度 , 深 さ

0

50mm

の 水 セメ ン ト

( 配合 推定値),経過年数,気泡間隔係数,地域係数(ただし,本研究での対象は2.3〜6.6),空気量の順 に 影 響 が 大 きい こ と を 確 認 した . 一 般 に 圧縮 強 度 は 水 セメ ン ト 比 と 密接 を 関 係 に あ るこ と に 鑑 み る と , 水 セ メ ン ト 比 と 経 過 年 数 の2つ が 極 め て 重 要 教 パラ メ ー タ で ある と 言 え , 第2章 の 成 果 の妥 当 性 が 実 証 さ れ た . ま た , 第

2

章 で 示 し た スケ ー リ ン グ の進 行 予 測 式 は防 波 堤 上 部 天 端面 に お い て も 適 用 が 可 能 で あ る こ と を 確 認 し ,ASTMC672の 実 験 結 果 を 構 造 物 の 耐 久 性 設 計 ヘ 応 用 す る た め の 基 本 的 款 考 え方 に つ い て 示 すこ と が で き た. さ ら に , 一部の 防波堤 におい て内 部の塩 化物イ オン量 を 調 べ た と こ ろ, コ ン ク リ ー ト標 準 示 方 書 に準 じ て 算 出 した 計 算 値 を 上回 る 量 が 蓄 積 して い た こ と を

    

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(2)

明ら かにし,塩化物イオンの浸透性に及ばすスケーリングの影響が大きいてとを実構造物レベルで 確認した.

  第4章では,スケーリングに及ばす凍結融解作用前の環境の影響について整理した.打設後,気中 に静置せず,湿潤環境下に継続的に静置した場合,淡水が作用する時は小さいスケーリング量で推移 するのに対し,塩水(濃度3パーセント)ではセメントの種類によらず大きをスケーリングが急速に 発生し,淡水とは異教る劣化形態を示すてとを実験的に確認した.また,気中静置後に再吸水を行っ た場 合も高炉B種にお いてス ケーリングが多く発生する実験結果が得られたが;スケーリングの程 度は前者の方が大きい傾向が示された,データ解析を行い,スケーリングはValenzaらの理論に基づ いて 補正した弾性係数と凍結圧勾配がともに小さいほど進行しやすぃこと,補正弾性係数は表層の 含水率,凍結圧勾配はコンクリートの透水係数と密接教関係にあることを明らかにした.これをもと に,含水率と透水係数を組み合わせたスケーリング促進の危険性を照査する式の構築,スケーリング の 進 行 性 に 及 ば す 凍 結 融 解 前 の 環 境 の 影 響 の 照 査 フ ロ ー の 提 案 を 行 っ た .   第5章 では, 耐久性 設計法 の確立に向けての補足的顔検討として,スケーリングの進行速度の大 小を 簡易的に予測できるモデルの構築を目的とした実験を行った.スケーリングの進行速度は水セ メン ト比(もしくは75nm以上の細孔量)が高く,透水係数が小さいほど大きいことを確認した.と の成 果をもとに,スケーリングは表層の組織が脆弱でかつ凍結圧の負荷が表層に蓄積されやすい品 質の コンクリートほど進行しやすいてとを説明できるモデルを構築した.そして,第2章〜第4章。

およ び本章で行った補足的誼検討の成果を包括的に整理し,スケーリングを抑制するための耐久性 設計法をとりまとめた.

  第6章 では, スケー リング 抑制対策について検討を行った.対策の基本は表層の組織の緻密化と 水・ 塩分の浸 透抑制 の2つに 大別さ れるが ,前者 は第2章 と第3章 で既に 検討済のため,ここでは 後者に着目し,提案されている多くの工法を代表してシラン系表面含浸材を取り上げ、スケーリング および塩化物イオン浸透の抑制効果の検証を目的に室内実験,実橋での試験施工,沿岸部での暴露実 験を 行った.追跡調査4〜5年の範囲ではあるが,新設および打換え部材ではスケーリングの進行抑 制効果および遮塩効果が期待されることが明らかと誼った.効果は製品によって異誼るが,室内実験

(塩水浸漬実験)における塩化物イオン浸透深さの測定結果は現場に適用する製品を選定する上で有 効教バロヌータに誼ることを示した.さらに得られたデータを解析し、シラン系表面含浸材によって もた らされる ライフ サイク ルコス ト縮減 効果お よび費用対効果について総合的にとりまとめた.

  第7章では,本研究で得られた研究成果の総括を行うとともに,今後の研究の方向性・課題につい て述べた,

  以上に示すように,スケーリング挙動の解析・定式化,設計,劣化抑制対策について研究を行った 結果 ,凍結融解と塩化物の複合作用によるスケーリングに対する耐久性設計法を確立・提案するこ とができた.顔お,これら成果の一部は,現在,行政の実務にも反映されており,寒冷地における社会 資本の適切放設計・維持管理への貢献が期待される.

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(3)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 教 授 准教 授

名 和 三 上 杉 山 胡桃 澤

学 位 論 文 題 名

豊 春     隆 隆 文 清 文

凍 結融解 と塩化物の複合作用による

スケー リング に対する 耐久性設 計法に関する研究

  コンクリートは、 土木構造物を形成する主要社建設材料のーつであり、メンテナンスフリーであ るとして古くから大 量に使用されてきた。しかし近年、コンクリートの早期劣化が認められ、コン クリート構造物の耐 久性設計や維持管理が求めら れるように教った。コンク リートの維持管理で 沽、供用期間におけ る耐久性と経済性の両者を考慮したストックマネジメント計画が重要であり、

コンクリートの劣化 予測を適切に行うことが大切と教る。寒冷地における代表的教早期劣化として は凍結融解による劣 化、特に沿岸部や凍結防止剤の散布地区における凍結融解と塩化物の作用の複 合的劣化によルコン クリートの表面がうろこ状に剥がれ落ちるスケーリングが促進されることが知 られている。スケー リングは、ひび割れの進展が主を一般の凍害とは劣化の形態が異をるため、既 往の凍害の予測・評 価に関する研究成果はそのまま適用することができをい。そのため、寒冷地に おけるコンクリート の耐久性の照査技術の高度化を図るには、一般の凍害に加えて、凍結融解と塩 化物の複合作用によ るスケーリングの評価方法の確立が求められている。本博士論文は、凍結融解 と塩化物の複合作用 によるスケーリングに対する耐久性設計法の確立を目的に、種々の室内実験や 現場調査を行い、そ の結果を包括的にとりまとめ、スケーリングに対する耐久設計法の構築および 対策の提案に成功し たものである。主たる成果は 以下に列挙される。

  第一の成果として 、スケーリングに及ばすコンクリートの品質の影響について系統立った一連の 研究・調査を行いス ケーリングの進行を抑制するための耐久性設計方法を構築したことが挙げられ る。 本研 究 では 、先 ずASTMC672の一 面凍 結融 解 試験 を用 いた 室内 実 験で 、従 来の 凍 害で も指 摘されていた硬化セ メントベースト中の75nm以上 の粗大誼細孔量の影響が大 きいことを明らかに し、これの支配要因 である水セメント比と凍結融解サイクル数をパラメータとしてスケーリングの 進行を予測すること に成功した。さらに、建設後10数年〜約40年に亘って凍 結融解と塩化物の複 合作用を継続的に受 けた北海道沿岸部の防波堤のスケーリングを調査し、室内の促進実験で得た成 果の 妥当 性 を確 認し てい る 。そ の際 に、 水セ メ ント 比の 設計 値が53〜60010の場合、ASTMC672 にお ける300サイ ク ルの結果が、実環境の最大20〜33年分のダメージに相当 する抵ど、促進試験 結果と実構造物の耐 久性を関連付けることに成功し、実構造物のスケーリングを予測する一般的を

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(4)

手法を確立したことに本研究の価値が認められる。

  第二の成果は、スケーリングに及ばす凍結融解作用前の養生および凍結融解作用時の環境、特に 水分、塩分の供給の影響について検討し、スケーリングの作用機構を明らかにした点である。打設 後に湿潤環境下に養生したコンクリートのスケーリングは、淡水が作用する時は小さいのに対し、

塩水(濃度3%)でなセメントの種類によらず大きく教り、凍結融解と塩化物の作用の複合的劣化を 確認するとともに、再吸水を行った場合に高炉B種セメントを用いたコンクリートにおいてスケー リングが多く発生する実験結果を得た。凍結融解試験中に各コンクリート供試体中に生じる応カを 測定し、スケーリングは弾性係数と凍結圧勾配がともに小さいほど進行しやすく、弾性係数は表層 の含水率、凍結圧勾配はコンクリートの透水係数と密接顔関係にあることを明らかにした。次に、

表層の含水率と透水係数を組み合わせたスケーリングの劣化モデルを構築するとともに、そのモデ ルに基づきスケーリングの進行性に及ばす養生および周辺環境の影響の評価方法の提案を行ってい る。本評価方法により、任意の養生および環境でのスケーリング劣化の進行を追随することが可能 と教り、維持管理に対する多大教貢献が認められる。

  第三の成果は、配合と養生の2つの観点からスケーリング抑制対策について提案し、その効果を ライフサイクルコストの観点からも実証したことである。スケーリングの抑制対策の基本は、配合 から決定される表層の組織の緻密化と、供用期間中の水・塩分の浸透の抑制の2つに大別される。

前者は水セメント比の低減で達成され、既に建設後10数年〜約40年の実構造物で実証されてい る。本研究では、後者の水・塩分の浸透の抑制を達成する方法として、シラン系表面含浸材の高い 撥水・遮塩性能に着目し、その効果を室内実験、実橋での試験施工、沿岸部での暴露実験によって 確認した。その結果、調査期間4〜5年であるが、シラン系表面含浸材のスケーリングおよび塩化 物イオン浸透の抑制効果が新設および打換え部材では期待できることを明らかにした。さらに、実 橋で取得したデータを用いてシラン系表面含浸材によってもたらされるライフサイクルコストの解 析を行い、抑制対策の費用対効果を定量化することに成功している。本研究で得られたこれらの成 果は、既に北海道開発局の制定する海洋コンクリート構造物の配合条件の見直し(案)や道路橋で の表面含浸材の適用にあたっての留意事項をどに反映され、社会的顔還元がなされており高く評価 される。

  これを要するに、著者はコンクリート構造物の凍結融解と塩化物の複合作用によるスケーリング 劣化に関する耐久性設計および抑制対策を構築したものであり、建設資源工学およびコンクリート 工学に貢献するところ大歡るものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与さ れる資格あるものと認める。

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