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1

令和2年度キョン防除事業進捗報告(12 月末時点)

事業名 防除委託(単価契約) 防除委託(銃器全域)(単価契約)

事業者 (株)奥山工務店・(有)久城造園土木 (有)久城造園土木 目的 島内全域を対象として、主に張り網、わ

なにより、捕獲を実施する。

島内全域を対象として、銃器により、捕 獲を実施する。

期間 R2/4/1~R3/3/31 R2/4/1~R3/3/31 主な

内容

・張り網、わな等の設置、巡回、補修、

撤去等

・銃器による捕獲

実施 範囲

島内全域(組織銃器捕獲事業(防除その1,2,3)を実施していない地域)

事業名 防除その 1 防除その 2 防除その 3 事業者 (株)野生動物保護管理

事務所

(一財)自然環境研究セン ター

(有)久城造園土木 目的 キョンの生息密度の低下を図るため、分断柵や細分化網を活用して銃器による追

い込み捕獲を実施する。

期間 R2/4/1~R3/3/31

内容 ・捕獲人工数 7名以上8日程度×10回以上

・なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、

4月~5月は渡航を自粛した。

・捕獲人工数

7名程度×5日×15回以上 実施

範囲

・ 分 断 柵 や 細分 化 網 の 復 旧 が 完了 し た 捕 獲 事 業区 か ら 、 順 次 捕 獲を 実 施 す る と とも に 、 新 規 の 捕 獲事 業区でも捕獲を実施した。

資料1-1

令和 2 年 12 月時点

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2

事業名 防除委託(市街地計画) 防除委託(防除市街地)(単価契約)

事業者 (株)ロック・フィールド (株)外来生物 目的 効 果 的 な 捕 獲 方 法 と な る よ う 誘 導 柵 等

の設置方針を検討する。

市 街 地 周 辺 地 域 で の キ ョ ン の 捕 獲 等 を 行う。

期間 R2/8/26~R3/1/15 R2/4/1~R3/3/31 内容 ・新規の捕獲事業区における効果的な捕

獲方法の調査及び計画、指導等

・箱わな、張り網、誘導柵の設置、巡回、

補修、撤去等 実施

範囲 既存の捕獲事業区

過年度に設置した誘導柵等について 巡回、補修等を実施した。

新規の捕獲事業区

効果的な捕獲について検討のうえ、

誘導柵やわな等の設置位置を 計画した。

今後、誘導柵やわな等の設置を進め 捕獲圧を強化していく。

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3

事業名 土地使用承諾業務 防除柵設置・復旧工事(単価契約)

事業者 (株)大進測量設計 (株)栄代 目的 キ ョ ン の 防 除 を 実 施 す る た め の 土 地 使

用承諾について、地権者情報を整理し、

承諾を得るための補助作業を行う。

キ ョ ン の 移 動 を 防 ぐ と と も に 銃 器 捕 獲 事業を効果的に進めていくために、島全 体を大きく区切る柵を設置していく。

期間 R2/4/1~R3/3/31 R2/4/1~R3/3/31 内容 ・承諾書を得るための補助作業(説明会

の開催案内・承諾書類の発送等)

新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 感 染 症 の 影 響 に よ り 説 明 会 に つ い て は 書 面 開 催 と し た。

・承諾状況図の作成、データベース更新

・単管柱を用いて高さ 1.5m 程度の柵を 設置

・台風被害からの復旧作業を行い、銃器 捕獲事業の捕獲環境を整備した。

・既存の柵の復旧が完了し次第、新規設 置を進めた。

実施 範囲

・台風の影響で令和元年度に実施できな かった地区(野増、差木地、波浮港)

・火口域の外周を延長するとともに、急 傾 斜 地 と 森 林 域 の 境 界 部 の 設 置 に 着 手。

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4

事業名 細分化網設置・復旧作業委託(単価契約) 特定外来生物(キョン)防除対策運営管 理調査業務

事業者 (株)栄代 (一財)自然環境研究センター 目的 銃 器 捕 獲 事 業 を 効 果 的 に 実 施 し て い く

ために、細分化網の設置等を行う。

各 種 調 査 を 行 い キ ョ ン の 生 息 状 況 を 把 握し、効率の良い防除対策運営管理に向 けた基礎資料とする。

期間 R2/4/1~R3/3/31 R2/4/1~R3/3/20 内容 ・既存立木を用いて高さ 1.2m 程度の細

分化網を設置

・台風被害からの復旧を行い、銃器捕獲 事業の捕獲環境を整備した。

・既存の細分化網の復旧が完了し次第、

新規設置を進めた。

・モニタリング(糞粒密度調査、センサ ーカメラ調査、植生調査)

・捕獲効率調査、防除事業の評価等

・個体数推定及び将来予測

・検討委員会等の運営

・普及啓発

・捕獲のコーディネート等

・次年度の防除事業実施計画案の作成 実施

範囲

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1

令和 2 年度キョン捕獲実績(12 月末時点)

令和2年 4月~12月の合計捕獲頭数は 3,761頭であった(図1)。

図 1 捕獲頭数の推移(令和 2 年度は 4~12 月の結果)

※令和元年度は台風による被害の影響で捕獲作業を一時中断していた。

94 259

876 726 753 827 727 1,022

1,412 2,191

3,541 4,110

3,576 3,761

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500

H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2

捕獲頭数

年度

資料1-2

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2

月別の捕獲頭数については、昨年度は夏以降に台風の襲来等により減少したが、今年度 は目立った台風被害は受けなかったため、秋以降の捕獲頭数は前年同期と比べ大幅に 増加している(図2)。これまでのところ、今年度は昨年度に比べて合計 1,200頭程度多く 捕獲されている。

図 2 月別捕獲頭数の推移(上:令和元年度、下:令和 2 年度)

※令和元年度は、単契南北でわな・網・単独銃器捕獲を実施していたが、令和 2 年度は、単契南北では わな・網捕獲を実施し、単独の銃器捕獲は単契銃器として別途契約した。

284 437

354 306

222 190 245

298 220

297

372 351

0 100 200 300 400 500 600

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 1月 2月 3月

月別捕獲頭数

その他 市街地 その3 その2 その1 単契南部 単契北部

341

427 453

386 364 391 548

463 388

0 100 200 300 400 500 600

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 1月 2月 3月

月別捕獲頭数

その他 市街地 その3 その2 その1 単契銃器 単契南部 単契北部

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3

事業別の捕獲頭数は、防除委託(単価契約(以下、単契南北))が合計1,845頭、防除委 託(銃器全域(以下、単契銃器))が合計 931頭、防除その1~3が合計 781頭、防除市街 地が 195頭であった。防除市街地は張り網を増設したことで昨年度よりも捕獲頭数が増加 した。(図 3)

単契南北では張り網による捕獲が大半を占め、首くくりわなはわずかであった。単契銃 器、防除その 1~3は銃器のほか、死体回収がごくわずかに含まれていた。防除市街地は箱 わなより張り網による捕獲が多かった。(図 3)

図 3 事業別手法別捕獲頭数(令和 2 年 4~12 月)

単契 北部

単契 南部

単契

銃器 その1 その2 その3 市街地 その他 合計 936 909 931 207 280 294 195 9

その他 92 58 0 2 13 0 6 2

死体回収 41 31 0 28 12 15 7 6

箱わな 0 0 0 0 0 0 70 0

首くくりわな 51 36 0 0 0 0 0 0 張り網 752 784 0 0 0 0 112 1 銃器 0 0 931 177 255 279 0 0

936 909 931

207 280 294

195

9 0

100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

捕獲頭数

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4

メスの捕獲割合は、張り網中心の単契南北と防除市街地では合わせて約22%、銃器中心 の単契銃器と防除その 1~3では合わせて約52%、全体で約36%であった(図4)。

図 4 性別捕獲頭数(令和 2 年 4~12 月)

単契 北部

単契 南部

単契

銃器 その1 その2 その3 市街地 その他 合計 936 909 931 207 280 294 195 9

性不明 8 5 4 2 1

オス 718 705 507 85 123 101 151 4 メス 210 199 424 118 157 191 44 4

936 909 931

207 280 294

195

9 0

100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

捕獲頭数

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東京都キョン防除実施計画

(案)

令和3年 月 東 京 都

資料2

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目 次

1 計画策定の背景と目的 ... 1

(1) 背景 ... 1

(2) 目的及び目標 ... 1

(3) 事業の進め方 ... 2

2 特定外来生物の種類 ... 2

3 防除を行う区域 ... 2

4 防除を行う期間 ... 2

5 キョンの現況 ... 3

(1) 生息状況 ... 3

(2) 被害状況 ... 5

(3) 捕獲状況 ... 6

6 防除の基本的な考え方 ... 7

(1) 防除地域区分と管理ユニットの設定 ... 7

(2) 順応的管理(PDCA) ... 9

7 防除の目標 ... 9

(1) 目標設定の方法 ... 9

(2) 地域区分別の目標設定 ... 10

(3) 特に保護すべき生物の生息する地域 ... 11

8 目標達成に向けた防除の方法 ... 11

(1) 実施体制 ... 11

(2) 捕獲 ... 11

(3) 捕獲の際の留意事項 ... 12

(4) 捕獲個体の処分 ... 13

(5) 農作物被害防除 ... 13

(6) モニタリング(継続監視) ... 13

(7) 対策の評価及び計画の見直しの方法 ... 14

(8) 根絶確認の方法 ... 15

(9) 担い手の育成 ... 15

9 合意形成 ... 15

(1) 東京都特定外来生物(キョン)防除対策検討委員会の設置 ... 15

(2) 関係地方公共団体等との連絡協議等 ... 15

10 関係者との調整 ... 15

11 普及啓発 ... 16

資料1 専門用語集 ... 18

資料2 一時飼養場 ... 20

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1

1 計画策定の背景と目的

(1) 背景

現在、生物多様性保全は世界共通のキーワードかつ目標になっている。平成 5 年の環境 と開発に関する国際連合会議(通称「地球サミット」)において「生物多様性条約」が調印 され、日本も同年批准し、その後、平成7年に「生物多様性国家戦略」、平成14年に「新・

生物多様性国家戦略」、平成19年に「第三次生物多様性国家戦略」が策定された。

平成20年には「生物多様性基本法」が制定され、さらに平成22年には愛知県で開催さ れた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で「生物多様性新戦略計画」(通称「愛 知目標」)が採択され、2020年までの短期目標、2050年までの中長期目標が掲げられた。

その中には、外来種対策も含まれている。

生物多様性とは、「すべての生物の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多 様性、生態系の多様性を含む」と定義されており、「生態系の多様性」「種の多様性」「遺伝 子の多様性」の3つのレベルで多様性があるとされている。外来種問題は、自然環境の破壊、

資源の過剰利用、地球温暖化と並んで、この生物多様性を脅かす主要な要因とされている。

このような状況の中、平成17年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関 する法律」(以下、「外来生物法」という)が施行され、外来種の中でも特に影響の大きな種 を「特定外来生物」として防除できるようになった。

東京都伊豆大島では、外来種であるキョン(Muntiacus reevesi)が野生化し、自然植生 への影響、農作物被害などが問題になっており、その対策が急務な状況にある。

キョンは、中国南東部及び台湾に自然分布する小型のシカ科の動物である。日本国内では 伊豆大島のほか、千葉県の房総半島で野生化しており、生息頭数の増加と分布の拡大が生じ ている。

伊豆大島では、都立大島公園で展示動物として飼育されていたキョンが、昭和45年の台 風により、柵が壊れた飼育場から10数頭逃走したことで野生化したと言われており、その 3年後には野外で繁殖が確認された。

その後、平成17年6月に施行された外来生物法によりキョンは「特定外来生物」に指定 された。外来生物法の施行を受けて、都では平成18年に1回目の生息実態調査を行い、キ ョンの根絶を目標とした防除実施計画を策定するとともに、翌平成19年から伊豆大島にお けるキョンの防除事業を開始した。

(2) 目的及び目標

伊豆大島における在来生態系の保全と農作物被害の防止を目的に、外来生物法に基づ く防除実施計画を策定し、当面は、本島のキョンの生息数の低減化及び指定エリアからの 完全排除を目標とする。

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2

(3) 事業の進め方

野生生物、特に外来生物は生態学的な知見が少ないことに加え、その動向が不確実な要 因に左右され、計画通りに対策の効果が上がらないこともある。このような状況の中で適 切に防除における意思決定を行うには、状況に応じて柔軟に計画を見直す順応的な管理 が必要である。都では、これらの順応的管理の考え方に基づき事業を推進する。

2 特定外来生物の種類

キョン(学名:Muntiacus reevesi)

3 防除を行う区域

伊豆大島全域(図1)

図1 防除を行う区域図

4 防除を行う期間

平成18年9月1日から令和4年3月31 日まで。ただし、キョンの生息状況等に大きな 変動が生じた場合や、防除に関する新たな科学的知見を得た場合等には、必要に応じ計画期 間を見直すものとする。

※防除実施計画策定時からの期間を記載している。

(13)

3

5 キョンの現況

(1) 生息状況

伊豆大島のキョンは、昭和45年秋に野生化したとされ、昭和48年8月には動物園近 くの都道で車にひかれたメスが妊娠していたことから、野外での繁殖が確認された。さら に、昭和48年10月には、島南部の差木地や中部の元町でも目撃されている。

平成18年度及び平成22年度の糞粒密度調査等の生息状況調査に加え、捕獲や目撃の 情報から、キョンは平成22年度時点で三原山火口周辺を除く全島に分布していることが 確認された。

平成25年度以降は、糞粒密度調査とセンサーカメラ調査を毎年実施している。

平均糞粒密度は、平成26年度以降増加傾向にあったが、令和元年度は減少し、平成29 年度と同等の結果であった(図2-1、2-2)。しかし、千波崎と三原山西部に関して は糞粒密度が依然として高く、他の地点に関しても過年度の変動の範囲内での変化であ り、明確に糞粒密度が低下する傾向はみられていない。

平均撮影頻度についても調査開始以降増加傾向にあり、特に三原山北部は継続して撮 影頻度が高いほか、平成28年度以降火口域でも撮影頻度が高くなっており、島の北部全 体に撮影頻度の高いエリアが広がる結果となった(図3-1、3-2)。

図2-1 令和元年度の糞粒密度調査の空間補完図

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4

図2-2 平均糞粒密度の経年変化

図3-1 令和元年度センサーカメラ調査の空間補完図

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5

図3-2 平均撮影頻度の経年変化

(2) 被害状況 ア 農作物被害

キョンの採食等により野菜類や園芸植物等の農業被害が報告されている。大島町に よるアンケート調査によれば、平成30年度にはアシタバ、ネギ、サトイモ、ダイコン、

サツマイモ、ホウレンソウ、花卉(トウチクラン)等の被害が報告された。

イ 生態系被害

平成18年度及び平成22年度に加え、平成27年度以降毎年実施している植生調査の 結果、合計被度と食痕率は年変動が大きく、経年的な傾向は認められなかった(図4)。 ほとんどの調査地点において食痕が確認されており、かつ被度の回復傾向も認められ ないことから、依然としてキョンによる採食の影響が続いていると考えられる。

アオキ、ハチジョウイヌツゲ、ヤブコウジなどの種は、キョンによる採食によって被 度を減少させている可能性が高い。また、アオキの食痕率の低下は、キョンの食害によ って個体数が減少したり、可食部が減ることが関係していると考えられる。

希少植物に関しては、調査地点に出現した希少植物 7 種のうち、シマヤマブキショ ウマに食痕が観察された。他の種に関して食痕は観察されず、昨年度と比べて生育状況 は大きく変化していないと考えられる。

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6

図4 下層植生(高さ2m以下)の合計被度の平均値の経年変化 エラーバーは標準偏差.

ウ 生活被害

家庭菜園や庭の植栽などへの食害が報告されているほか、平成20年度に交通事故が 発生し始めたとされている。

(3) 捕獲状況

平成19年度からキョンの防除事業を開始し、捕獲を進めている。防除事業開始当初 は94 頭が捕獲され、銃器による捕獲を本格的に開始した平成21 年以降は、捕獲頭数 が増加している。特に、平成28年度以降は緊急対策事業を開始し、島外のハンターを 動員して捕獲圧を強化している。

図5 捕獲数の経年変化

※令和元年度は台風による被害の影響で捕獲作業を一時中断した。

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7

6 防除の基本的な考え方

(1) 防除地域区分と管理ユニットの設定

キョンの生息状況およびキョンによる自然植生への影響状況、並びに、現行の防除事業 の実施地域を踏まえて、島内を以下の4つの地域(AからD)に区分し(表1、図7)、

それぞれの区分で防除目標を設定する。

また、防除を効率的に進めるために、防除地域区分を複数の地域(管理ユニット)に分 けて、生息状況の把握を行う。この管理ユニットの境界線は、防除事業者や行政担当者な どの対策実施者が現場で区分しやすい、道路、河川、行政境などで区切る。生息状況の把 握と防除の進捗状況を踏まえ、将来的には、管理ユニットごとの防除目標や捕獲努力量を 設定する。

表1 防除地域区分と管理ユニットの概要

地域区分 管理ユニット 生息状況

平均糞粒密度(個/m2) A.重点地域 A1.泉津

A2.動物公園

(モデル地区の設置)

A3.長根岬 A4.千波崎

26.3

モデル地区内:25.5

B.密度抑制地域 B1.奥山砂漠 B2.測候所 B3.御神火 B4.野増 B5.コヤギ B6.黒崎筆島

13.2

C.現状把握地域 C1.三原山 C2.三原新山 C3.二子山

10.9 D.理解促進地域 D1.波浮港

D2.差木地間伏 D3.元町 D4.地の岡 D5.岡田

4.8

ア 重点地域

動物園周辺から長根岬にかけた島東北部(島内でキョンが最初に野生化した地域)お よび千波崎周辺で、島内において最もキョンの生息密度が高く、一部に自然植生への影 響が顕著に見られる地域である。

重点地域は、4つの 管理ユニットに区分し、さらに、管理ユニットA2には、効率 の良い捕獲方法を検討するために、その一部を柵で囲い込み、防除方法を試行するモデ ル実施区を設ける。なお、平成25年12月から平成26年2月に実施したモデル地区内

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8

での捕獲事業の結果、モデル地区内の生息密度は、67.8頭/km2であった。

イ 密度抑制地域

重点地域、島中央部、北西部、南西部を除く、島の山林部で、大半はこれまでも防除 事業が実施されてきた地域である。重点地域に比べるとキョンの生息密度は低いが、近 年の分布の拡大と生息密度の増加に伴い、自然植生への影響が出ている可能性がある。

ウ 現状把握地域

島中央部の三原山火口とその周辺の山林を含む範囲で、キョンの生息密度に関する 情報は限られており、自然植生への影響について調査は実施されておらず、現状に関す る情報が少ない地域である。また、急峻な地形が多いことに加え、道路が少ないなど、

地形や土地利用による制約から、これまで防除事業がほとんど実施されていない地域 である。

エ 理解促進地域

島の北西部および南東部の市街地とその周辺で、島内では最もキョンの生息環境で ある樹林地が少ない地域である。重点地域や密度抑制地域に比べるとキョンの生息密 度も低く、自然植生への影響も少ない。また、市街地で人家が多いため、これまで防除 事業がほとんど実施されていない地域である。

図7 防除地域区分と管理ユニット

(A) (B) (D) (C)

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9

(2) 順応的管理(PDCA)

島内のキョンの生息状況と被害状況を踏まえ、各管理ユニットについて、年度ごとに、

対策の効果検証を通して捕獲計画の策定や被害対策の選択などを行う順応的管理を行 う。

ア 計画策定(P)

キョンの生息状況と被害状況に関するモニタリング調査結果に基づき、被害の防止 と防除を行う地域からの完全な排除に向けて、許容できる被害水準と捕獲努力量の目 標値を設定する。また、農業及び自然植生への被害をなくすための対応策を検討する。

イ 実行(D)

計画に沿って、防除を行う地域からの完全な排除と農業及び自然植生への被害をな くすために、効果的かつ効率的な捕獲等を推進する。事業の推定にあたっては、防除事 業の詳細な内容など、事業の効果検証に必要な情報を継続的かつ体系的に収集する。

ウ 確認(C)

毎年、キョンの生息状況の調査と密度の将来予測や管理ユニット毎の確認作業を行 う。モニタリング調査と解析の結果を基に、各防除事業の効果を検証する。

エ 見直し(A)

上記、確認作業の結果に基づき、目標達成に向けた年間の捕獲努力や被害防除の目標 設定を行う。順応的管理の考え方に準拠し、状況に応じて計画内容を柔軟に見直すこと とする。

毎年の事業の推進にあたっては、年間目標を達成するための施策等を示した年度別 防除事業実施計画を策定する。また、生息や被害に関する状況や防除事業の進捗状況に 応じて、防除計画を変更する。

7 防除の目標

(1) 目標設定の方法

大島におけるキョン防除の目的は「在来生態系の保全」および「農作物被害の防止」であ る。そのための防除の目標は、「防除を行う区域からの根絶(完全な排除)」である。この目 標を短期間で達成できる現実的な防除の技術や体制が整っていない現状、および、一般的に 捕獲が進むと捕獲効率が低下することを踏まえると、捕獲数だけの目標値の設定では実現 が困難である。そのため、地域区分ごとに以下の3段階とそれぞれの段階での目標値を設定 し、防除を推進する。各段階で目標値(生息密度、または密度指標値)を達成するために、

防除事業としての目標値は、捕獲数ではなく捕獲努力量により設定する。なお、短期間での 具体的な数値目標については、年度ごとの防除事業実施計画で定めることとする。ただし、

防除を強化する体制が整っておらず、配分できる労力が限られている状況であっても、最低 限、密度が現在よりも高くならないこととする。

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10 ア 低密度段階

キョンの採食による森林の更新阻害を抑制できる密度の段階を示す。森林の下層植 生の調査によって、高木の稚幼樹の有無と推定生息数(または密度指標値)から、森林 の更新が阻害されない範囲で密度を抑制する。具体的な管理の目標値は、生息密度と森 林の更新の阻害状況との関係解析の結果から、森林の更新が阻害されないキョンの生 息密度(または密度指標値)として設定する。

イ 超低密度段階

個体数増加や分布拡大の前段階(遅滞相)にあたる個体群の増加率が低い密度の段階 を示す。

分布拡大の最前線や捕獲によって低密度となった地域では、オスの比率が高く、個体 数の急激な増加や分布拡大の前段階が生じることがアライグマ等で報告されている

(浅田 2013)。限られた労力で、個体数の増加と分布拡大を効果的に抑制するために

も、捕獲個体のオス比からこの場所を特定する。これらの場所の具体的な数値目標は、

オス比を用いて設定する。

ウ 根絶確認段階

地域的な根絶確認に移行した段階を示す。根絶確認段階は、糞粒密度調査、センサー カメラ、CPUEによる指標値が、全てゼロの状態を示す。なお、センサーカメラの設置 日数や捕獲努力量については、今後のモニタリング調査結果を基に設定することとす る。

具体的な数値目標は、根絶確認地域の面積を用いて設定する。

(2) 地域区分別の目標設定

ア 重点地域(モデル事業実施区)

重点地域の一部を柵で囲い込んだモデル事業実施区では、今後、数年以内に柵内のキ ョンの根絶を目指す。その成果や課題をモデル事業実施区外の重点地域やその他の地 域における防除事業に反映させる。

イ 重点地域(モデル事業実施区外)

モデル事業実施区外の重点地域(面積13.0km2)では、今後、おおよそ10年以内に 地域根絶を目指す。当該地域における成果や課題については、重点地域以外の地域にお ける防除事業に反映させる。

ウ 密度抑制地域・現状把握地域・理解促進地域

重点地域以外の密度抑制地域(面積37.6km2)、現状把握地域(面積20.7km2)、理解 促進地域(面積19.1km2)では、植生への被害状況、生息状況、捕獲状況に関するモニ タリング調査結果を踏まえ、個体群動態における遅滞相の設定や森林の更新が阻害さ れる密度から管理の目標値を設定する。具体的な数値目標は、モニタリング結果と重点 地域での事業成果を踏まえ、設定することとする。

(21)

11

(3) 特に保護すべき生物の生息する地域

重要または希少な動植物をキョンの影響等から保護する必要がある地域については、被 害実態の把握に努めるとともに、効果的な対策の検討を行い、併せて計画的な捕獲や植生保 護柵の設置等により、速やかに防除を実施する。

8 目標達成に向けた防除の方法

(1) 実施体制

防除の実施は順応的管理に基づき推進する。捕獲の実施に当たっては、外来生物法に基づ く捕獲とともに、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第 88号)(以下、鳥獣保護管理法という。)に基づく許可捕獲の制度も活用し、東京都が実施 主体となり、大島町、地域住民、関係団体、研究機関等の協力を得る。

具体的には、必要と認めた区域における銃器・わな・網等による集中的な捕獲、生息状況 等のモニタリング、科学的データの蓄積、分析及び結果のフィードバック、モニタリングデ ータの分析結果に基づく捕獲目標の設定、本防除実施計画の進行管理等を実施する。捕獲を 実施する場合、外来生物法に基づく従事者証を発行し、従事者数、従事者情報等をまとめ、

これを従事者台帳として管理する。

また、捕獲や被害防除を効率的に進めるためにも、実務的な対策支援を担うコーディネー ターの配置などの検討を進める。

なお、防除目標を達成するための個別の数値目標については年度ごとの防除事業実施計 画で定める。

(2) 捕獲

捕獲に際しては、原則として、使用する猟具に応じ、鳥獣保護管理法による狩猟免許を有 する者が、当該猟具を使用するものとする。

ただし、適切な捕獲と安全に関する知識及び技術を有すると認められる者については、免 許非所持者であっても従事者に含むことができることとする。

また、張り網及びわなによる錯誤捕獲を防止するため、原則として、1日に1回の巡回を 行うものとする。

ア 重点地域(モデル事業実施区)

重点地域の一部を柵で囲い込んだ後、さらに張り網等で分断し、小区画内のキョンを、

銃器を併用した追い出し捕獲、囲いわな、くくりわな等で捕獲する。地域的に根絶しな がら、分断網を移設して捕獲を進める。

イ 重点地域(モデル事業実施区外)

現行の銃器、張り網、箱わな、くくりわなを用いた捕獲を推進しつつ、モデル事業実 施区での捕獲状況を踏まえ、重点地域とその他の地域を隔てる分断柵の設置方法、捕獲 方法等の検討を進める。

(22)

12

ウ その他地域(密度抑制地域・現状把握地域・理解促進地域)

重点地域における捕獲状況とモニタリング調査の生息状況を踏まえ、重点地域以外 での効果的かつ現実的な防除方法を検討する。当面の間は、現行の銃器、張り網、箱わ な、くくりわなを用いた手法を用いて、管理目標値の達成に向けて捕獲を推進する。

また、探索犬は、銃を中心とした防除においても、低密度地域や効率的な捕獲を推進する ためにも育成の取り組みを進めていく。

なお、今後、防除事業が順調に進むにつれてキョンの生息密度が低下すると、キョンの捕 獲にいっそう時間がかかるようになるため、1頭当たりの捕獲費用が上昇することが予想さ れる。根絶を目標とした場合、これは避けられない事態であるため、低密度状態における単 位努力量当たりの捕獲数の低下について、関係者の理解と合意形成を綿密に図りながら事 業を継続する。

(3) 捕獲の際の留意事項

捕獲の際には、次の事項に注意して行う。

ア 錯誤捕獲及び事故の発生防止に万全の対策を講じるものとし、事前に地域住民等 への周知を図るとともに、本法に基づく防除を実施していることを証する書類(従事者 証)の携帯をする。従事者証には、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法 律施行規則(平成 14 年 12 月 26 日環境省令第 28 号)第 7 条に準じ、従事者の住所、氏 名、目的、捕獲区域、捕獲方法、捕獲後の処置等を記載することとし、従事者台帳の整 備を行う。

イ 防除に使用するわな等の捕獲猟具には、猟具毎に、本法に基づく防除のための捕獲 である旨、防除実施者である東京都の連絡先を記載した標識の装具等を行う。

ウ 鳥獣保護管理法第 2 条第 5 項に規定する狩猟期間中及びその前後における捕獲に 当たっては、同法第 55 条第 1 項に関する登録に基づき行う狩猟又は狩猟期間の延長と 誤解されることのないよう適切に実施する。

エ わなに餌を入れて捕獲を行う場合は、他の鳥獣を誘引し、結果として当該鳥獣に よる被害の発生の遠因を生じさせることのないよう適切に行う。

オ 鳥獣保護管理法第 12 条第 1 項又は第 2 項で禁止又は制限された捕獲は、行わない ものとする。

カ 鳥獣保護管理法第 35 条第 1 項で銃猟禁止区域として指定されている区域において は、銃器による防除は行わないものとする。

キ 鳥獣保護管理法第 36 条に基づき危険猟法として規定される手段による防除は行わ ないものとする。

ク 銃器による防除を行う場合は、鳥獣保護管理法第 38 条において禁止されている行

(23)

13 為を行わないものとする。

(4) 捕獲個体の処分

わな等により捕獲した個体は、学術研究、展示、教育その他公益上の必要があると認めら れる目的で飼養を行う機関に譲り渡すことを原則として、一時的に施設に収容する。このと き、収容する施設は、「環境大臣及び農林水産大臣が所掌する特定外来生物に係る特定使用 等施設の基準の細目等を定める件(平成17年農林水産省・環境省告示第11号)」に定めら れる基準を満たす施設とする(別添2)。

また、個体を譲り渡す際は、外来生物法第5条第1項に基づく飼養等の許可を得ている者 又は法第4条第2号の規定に基づいて特定外来生物を適法に取扱うことができる者に譲り 渡すこととする。

他機関からの求めがない場合は適切に処分する。

なお、処分する際は、できる限り苦痛を与えない方法(主に麻酔薬による処分)により殺 処分する。処分した個体は、モニタリングに必要なデータに供するほか、学術研究、展示、

教育その他公益上の必要があると認められる目的で譲り受けの求めがあった場合には、適 切な取り扱いができる者に譲り渡すことができるものとする。

また、処分した個体を廃棄する際は、焼却等により適切に処分する。

(5) 農作物被害防除

被害防除の実施のために、東京都の各組織等が協力して、総合的に行うこととする。この 時、地元農家と関わりの深い大島町に仲介を依頼する。また、東京都は、大島町、農林業者、

地域住民等と連携を図り、専門家による講習会等の開催や地域における被害防除のための 活動に積極的に関わることにより、総合的な鳥獣害対策の知識や技術を普及し、防除事業の 人材を育成する。

また、大島町は、住民参加による防除推進事業を実施する。

(6) モニタリング(継続監視)

適切かつ効率的に防除を進めて行くにあたって、生息状況や被害状況を把握するために モニタリング調査を実施する。モニタリングの項目及び作業頻度は以下の通りである(表 2)。

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表2 モニタリング項目一覧 モニタリング

項目

作業 内容 生 息 状 況

調査

追い出し法 10名程度の調査員が、互いに数~10 数 m 程度の間 隔をあけて 1 方向に向かって、調査地内で藪などに 隠んでいる キョンを追い出しながら歩き、目撃頭数、

性別を記録する。

糞粒調査 市街地を除く17管理ユニットを対象とし、各地域 2

~3地点(計51地点)で実施。調査は、1地点当たり

50cm×50cmのコドラートを30枠設置し実施する。

ライトセンサス 島内12箇所において、年3回(1回当り3日間)、日 没直後から車で走行(時速10km 程度)し、目撃した キョンの個体数を記録する。

センサーカメラ 島内17箇所において、1箇所あたり3台のセンサー カメラを6ヶ月以上稼働させ、撮影された写真を毎月 回収し、整理を行う。

目撃効率 防除作業時に目撃したキョンの目撃地点、日時、頭数、

性別を記録し、防除努力量当たりの目撃数(目撃効率)

を算出する。

個体数推定及び 個体数の将来予 測

階層ベイズモデルによる生息数の推定と捕獲計画に そった生息数の将来予測を行う。

捕 獲 状 況 調査

捕獲情報の収集 ワナ、網の設置地点、捕獲地点は点データ、銃器巡回 経路は線データとして記録する。これらの記録をメッ シュ単位で集計、捕獲効率を算出する。

植生調査 ポイント コドラート法

延長25m程度の調査ルートを歩きながら、1.2mのポ

ールをランダム に約200回地面に突いたとき、ポー ルの側面に触れた葉の回数を種ごとに記録する。キョ ンの食するものと、食さないものに分ける。

植生コドラート 各地点に 10m四方の方形区を設置し、方形区内の低 木層と草本層の植物について、出現種、植被率、キョ ンの食痕の有無を記録する。また、方形区内に5m四 方の詳細調査区を設置し、低木~草本層の植物につい て、全株 キョンの食痕の有無を記録し、食害を定量 的に把握する。

植生衰退調査 各地点に 20m×20mの方形区を設置し、方形区内の 高木層、亜高木層、低木層、草本層の植物の植被率、

キョンの食痕の有無、高木性稚幼樹の有無を記録す る。

植生ベルトトラ ンセクト調査

各地点に2m×10mのベルトトランセクトを設置し、

各ベルトトランセクト内の出現種を記録する。

希少種調査 任意踏査により、希少植物種の生育状況とキョンによ る被害の状況を確認する。

(7) 対策の評価及び計画の見直しの方法

本防除は順応的管理として推進する。モニタリング調査の結果を基に、毎年、継続的に防 除の効果検証と年度別の捕獲計画等の見直しを行い、防除事業に反映する。対策の評価と計 画の見直しは、囲い込み柵の内部については次項の根絶の確認により、それ以外の地域につ

(25)

15

いては、毎年、階層ベイズモデルを用いた生息密度の推定と捕獲効率の変動に関する分析等 により行う。また、モニタリングデータの蓄積と防除の推進に応じて、ユニットごとの目標 値の設定を検討する。本防除実施計画についても、キョンの生息状況等に大きな変動が生じ た場合や、防除に関する新たな科学的知見を得た場合等には、必要に応じて内容を変更する。

また、防除の効果についても、地域的な根絶を確認した面積や捕獲数と通して、自然植生 の回復状況や農業被害の減少程度により検証する。

(8) 根絶確認の方法

地域的な根絶を確認する方法として、探索犬の導入とセンサーカメラ等を用いた確認手 法の開発に取り組む。

(9) 担い手の育成

銃猟捕獲従事者は、キョンの捕獲のほとんどを担い、キョン対策を進めるうえで重要な存 在であるが、島内における銃猟免許所持者は2名のみであり、捕獲作業を実施できる人材の 育成・確保が今後の大きな課題である。そのため東京都は、大島町等の関係機関と連携し、

捕獲の担い手を中心とした防除事業者、銃猟捕獲従事者の育成・確保を図るための対策を更 に検討する。

9 合意形成

(1) 東京都特定外来生物(キョン)防除対策検討委員会の設置

平成24(2012)年度、伊豆大島のキョン対策に係わる方向性や防除等について社会的な

合意形成を図りながら有効な対策を検討することを目的として、学識経験者、大島町及び東 京都で構成される「東京都特定外来生物(キョン)防除対策検討会」が設置された。

本防除実施計画の策定、進行管理、見直し等に際しては、当検討会において議論し、各方 面からの意見を反映させる。

(2) 関係地方公共団体等との連絡協議等

本防除実施計画を円滑に実施するため、大島町及び東京都、並びに関係機関等と協議し、

協力を得る。また、計画の策定から対策の実行までの作業をより速やかに進めるために、体 制を強化するとともに、実務的な対策支援を担うコーディネーターの配置などの検討を進 める。

また、キョンの防除を実施している千葉県と連携し、防除手法等の検討を行ない、情報共 有に努める。

10 関係者との調整

防除を実施する地域の土地所有者や住民等に対して、地域説明会や広報等を通じて、防除 実施計画の内容や実施状況について周知し、理解を得る。

また、関係する法令については遵守する。

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16

11 普及啓発

東京都における、外来生物による生物多様性等への影響という大きな枠組みの中で、キョ ン等の防除事業は重要な施策であることから、伊豆大島の島民をはじめとした都民や関係 機関に対し、外来種問題の現状と防除の必要性について理解を得ることが必要である。その ため、東京都は、ホームページの活用や、外来種講習会の開催等により普及啓発に努める。

さらに、外来生物による生物多様性への影響や対策の必要性を次世代に伝えるためにも、教 育委員会と連携を図り、教育プログラムの作成等についても取り組む。

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図8 東京都キョン防除計画の実施体制

【東京都】

『東京都特定外来生物

(キョン)防除対策検討委員会』

・防除計画の内容の検討

・モニタリング結果の検討

・防除事業内容の検討 他

【環境局自然環境部計画課】

【総務局大島支庁産業課】

・防除実施計画の策定

・防除関連事業の企画立案

・モニタリング事業の推進 他

【総務局大島支庁大島公園事務所】

・防除関連事業の推進 他

【防除事業者】

・防除事業の実施

【島民】

・外来種問題、対策への理解

・防除の協力、実施

【大島自然愛好家】等

・被害情報の収集

検討依頼 検討結果

情報共有

参画

事業発注

情報提供

【関連研究機関】

・効果的な防除方法の研究

・被害把握手法の開発 連携

【大島町】

・島民への情報提供、理解促進

・住民参加の防除推進事業の実施

連携

情報 提供

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18 資料1 専門用語集

・追い出し法(おいだしほう):一定の区画を複数の調査員で踏査し、追い出された対象 種の(個体)数を数えることで、生息状況を把握する方法。ここでは、調査員約10 名が追い出し係7~8名と待ち伏せ係2~3名に分かれて、面積0.03~0.14km2の区画 で調査を実施した。追い出し係は隣の調査員が目視できる程度の距離を保ちながら 横一列に並び、藪に潜むキョンを追い出し、発見したキョンの数を記録した。発見 数を調査面積で割った値を追い出し法による生息密度とした。

・階層ベイズモデル(かいそうべいずもでる):観測された事象(尤度)に既知の情報

(事前分布)を加味し、推定したい事柄(事後分布)を確率論的に求めるベイズモ デルの一種。ここでは、キョンの生息数を推定するために用いた。

・空間補間(くうかんほかん):複数の地点(線)で得られた情報に基づいて、その地点

(線)の間の情報を地点(線)からの距離などの位置情報を加味して推定する方 法。ここでは、糞粒密度調査の結果を用いて、その間の密度が調査地点からの距離 の2乗に反比例すると仮定し、調査地点の間の生息状況を推定した。

・順応的管理(じゅんのうてきかんり):計画における将来の予測が不確実な要因によっ て左右されることを認め、継続的なモニタリング調査と対策の効果検証を通して、

状況に応じて、計画を柔軟に見直し、修正しながら管理する手法。

・植生コドラード法(しょくせいこどらーとほう):ある地点に方形区を設け、方形区内 に出現する植物種名、植被率等を調べ、植物の種組成や量を調べる方法。ここで は、各地点に一辺が10mの方形区を設置し、方形区内に出現した植物種の種名、

植被率、キョンによる食痕の有無を記録するとともに、方形区内に一辺5mの小区 画を設け、低木から草本層の植物の植物種名、株数、キョンによる食痕の有無を記 録し、キョンによる植物への影響を評価した。

・遅滞相(ちたいそう):急激な個体数増加や分布拡大の前段階にあたる増加の可能性が 低い段階を示す。分布拡大の最前線や捕獲によって低密度となった地域では、オス の比率が高いことがアライグマやニホンジカ等で報告されている。この段階は、個 体数の急激な増加や分布拡大の前段階であり遅滞相と呼ばれている(浅田

2013)。遅滞相は、出生地からの分散がオスを中心に起こるため、メスが少ないこ

とで個体数の増加が制限され生じる現象である。限られた労力で、個体数の増加と 分布拡大を効果的に抑制するためにも、捕獲個体のオス比から、この遅滞相である 地域を特定し、その内側(分布の中心域側)で優先して捕獲圧をかけることで、分 布の最前線を遅滞相までもって行くことが有効である。

・糞粒密度調査(ふんりゅうみつどちょうさ):一定の区画内の糞粒数を数えることによ り、対象とする動物種の生息状況を把握する方法。ここでは、調査箇所ごとに3本 のラインを設定し、そのライン上には5m間隔で50×50cmのコドラートを設置 し、コドラート内のリター層(分解されていない葉枝、樹皮などが堆積している

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19

層)を除去しながら糞粒を数え、面積あたりの糞粒数(糞粒密度)を算出した。な お、糞が崩れていても原型を半分以上とどめているものは1糞粒として記録した。

・ポイントコドラート法(ぽいんとこどらーとほう):ある地点に出現した種名を記録 し、その調査を多地点で実施することにより、出現頻度を定量的に調べる方法。こ こでは、キョンによる植物への影響を調べるために、調査地に延長25m程度の調 査ルートを設定し、1.2mのポールをランダムに約200回地面に突いた時に、ポー ルに触れた葉の回数と植物種を記録した。

・目撃効率(もくげきこうりつ):単位努力量あたりの目撃数を算出し、対象種の生息状 況を把握する生息密度指標の一つ。ここでは、銃猟によるキョンの防除作業時に目 撃した数を防除努力量(日数、または距離)で割った値をキョンの目撃効率とし た。

・モニタリング(もにたりんぐ):継続的に監視、あるいは観察すること。

・ライトセンサス法(らいとせんさすほう):夜間に設定したルートの周辺を強力なライ トで照らし、発見した対象種を数えることにより、対象種の生息状況を把握する方 法。ここでは、日没後に自動車で、時速10km程度で道路を走行しながらビームラ イトで左右を照らし、発見したキョンの頭数を記録した。走行距離1kmあたりの 確認数をライトセンサス法による発見頻度とした。

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20 資料2 一時飼養場

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22 飼養場写真

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防除実施計画の更新箇所について(資料2)

1 防除事業の概要・現況に関する部分(p.1~6)

今年度末で防除実施計画の期限を迎えるため、「4 防除を行う期間」を延長する。

その他現況に関する内容は、時点更新する。

※主な修正箇所

・p.1 1(1)背景 → 文意を整えて修正

・p.2 4 防除を行う期間 →(旧)平成 33 年 3 月 31 日まで

(新)令和 4 年 3 月 31 日まで 補足説明を追記

・p.3 5(1)生息状況 → 糞粒密度調査の時点更新 センサーカメラ調査を追記

・p.4 5(2)被害状況 → 農作物被害金額及び被害面積の図を削除 生態系被害の図の変更

・p.5 5(3)捕獲状況 → R 元年度末時点に更新

2 防除事業の内容に関する部分(p.7~20)

現行の防除実施計画の内容を継続する。

参考資料

Updating...

参照

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