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ワイヤレス構内通信における 周波数有効利用に関する研究

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 廣 野 正 彦

学 位 論 文 題 名

ワイヤレス構内通信における 周波数有効利用に関する研究

学位論文内容の要旨

  近い将 来、屋内から構内・ホットスポットをカバーする高速無線アクセスシステムがセルラーシ ステムと の親和 性を高め、相互に補完する形で機能的に融合していく新世代移動通信の時代を迎え ると予想 される 。ワイヤレス構内通信は、建屋内をど比較的狭いサーピスエリアを対象としたこと から、ネ ットワ ークをより簡易に構成できる、高速変動のをい電波伝搬路とをるをど、セルラーシ ステムに をい特 長を持 ったシ ステム であり 、IMT2000登 場以前か ら将来 方式に 発展す る可能性を 持った候 補のー つに位置付けられている。しかしその反面、有線システムと同等のレベルの高い通 信速 度 が 求 めら れる、 屋内・ 構内で の平均10mW程度の 低送信 電カを 前提とす る電波 伝搬環 境を 考慮した システ ム制御とシステム設計が必要とをるをど、新たを技術課題も存在する。ワイヤレス 構内通信 の研究 開発において、これらの特徴的を条件を総合的に考慮し、基本特性としての周波数 有効利用 を達成 することが重要である。本研究は、こうしたワイヤレス構内通信における周波数有 効利用に関して、1.ワイヤレス構内通信を実現する基本的をシステム構成法を具体的に提案するこ と、2.自律分散制御下でのハンドオーバを可能とする制御方式を確立すること、3. lbit/Hz以上の 周波数利 用効率 を達成 するデ ィジタ ル信号 伝送方 式を実 現する変復調技術を確立し、GFSKをどの ディジタ ルFMの 実用性を 明らか にする こと、4.屋内をど閉空間における電磁界分布に関する数値 解析手法 を確立 し、人体吸収効果を始めとするレベル変動要因を定量的に取り扱う無線回線設計法 の確立に 向けた 基礎検討を行うこと、を目的として取り組んだものである。その成果における主要 を点は、 自律分 散制御の下で制御完了率の高いハンドオーバを実現する新しい信号アーキテクチャ (THREP)を考案 し、そ の効果 を理論 的に実 証した こと、 狭帯域デ ィジタ ル伝送 に適し たマルチレ ベル識別判定法を考案し、実験、理論によってその特´l生解析を行い、大きを特性改善が見込めるこ とを明ら かにし たこと、及び屋内をど閉空間における電磁界分布を高精度で推定する数値解析法を 確立し、 無線回 線設計法に応用可能を実際的誼統計手法を見出したことである。また、本研究の成 果はDECTやPHSと いう コ ー ド レス 電 話 から 発展し たマイ クロセ ル型ワ イヤレ ス通信 の発展に 大 きく 貢 献 し 、特 にPHSを基 本とす るワイ ヤレスPBXシステ ムの実 用化に おいて 多くの 検討結果 が 実際の技 術仕様 に反映 されて いる。 また、 今後発 展が望 まれるIPネットワークを基本とした無線 LANやWiMAXをど を 検 討 する 場 合 に おい て も 、 本研 究 成 果 は一 般 性を失 うこと はをく 、その 発 展を支える基盤技術であり続けるものと期待される。

  第1章 に お い て は 、 本 研 究 を 取 り 巻 く 背 景 と 本 研 究 の 位 置及 び 意 義 につ い て 詳 述す る 。   第2章 で は ワイヤ レス構 内通信 の具体 化とし てワイ ヤレスPBXの実用 化を目 的に検 討したシ ス テム構成 法に関 する研究成果をまとめる。その中で無線アクセス制御、無線伝送に関する実装結果

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について詳述し、新しく提案する信号アークテクチャの効果によって、専用の無線制御装置を設け ることをくハンドオーパを実現し、PBXの豊富を付加サービスの実装を可能とするシステムの実 用化が達成されたことを示す。特に、TDMAとFDMAを融合させたマルチキャリアスイッチング TDMAについて検討し、自律分散制御によるワイヤレス構内通信システムの構成法を確立し、実 際の商用装置を用いた特性の検証から構成法の有効性を示す。

  第3章では、無線アクセス制御に関して第2章の実用化システムに採用した新しぃ信号アーキテ クチャであるTHJREP(THREee phase linksetIupProcess)について、その特性を理論的に示す。オ フィスを想定した高トラヒックエリアでこの提案方式が、アーランB式に基づく理想的チャネル 利用効率を達成し、トラヒック集中による制御完了率劣化の少をい特性を有していることをチャネ ル利用効率とハンドオーバ制御完了率の比較検討から明らかにした。また、実際の商用システムに おける実験からその有効性を示した。

  第4章、第5章では、無線伝送に関してGMSKやGFSKに対して非同期検波を用いた場合の誤 り率特性を大きく改善する識別判定法を提案し、その特性を実験的、理論的に解析した。第4章で はGMSK遅延検波の特性が考案した識別判定法と誤り訂正法によって誤り率静特性で10dB程度 と大幅に改善されることを実験によって明らかにした。また、第5章の周波数検波を用いたディジ タルFM伝送特性の検討においては、第4章で考案した2値識別判定法を多閾値識別判定法に拡張 し、狭帯域ディジタルFMに適用した際の詳細を伝送路パラメータについて、理論解析を基に行っ た検討結果を示す。その結果、従来の復調方式に比ベ誤り率静特性で10dB以上の改善効果を達成 している。さらに送信スペクトル特性と隣接漏洩電カの関係について、受信帯域制限フィルタ関数 を考慮 した誤り 率特性 解析を適 用して 、実用的 を伝送系 パラメータ設計法を提示した。

  第6章、第7章では、屋内電波伝搬特性に関してFDTD(FimteDi氏re庇eTimeDomain)法を用 いた電磁界分布の数値解析法について述べる。FDTD法が高精度を電磁界分布の推定を可能とす ることをニつの場合について具体的をモデルを用いて検討した。電車内での伝搬特性の解析とオ フィス内における伝搬特性の解析である。それぞれこの推定法の実用性を実証するため、心臓ペー スメーカに対する影響と人体による吸収効果を実際に解析モデルに盛り込んだ解析結果を示す。電 車内の解析結果では、携帯電話を1人が使用した場合と5人が同時に使用した場合の心臓ペース メーカに与えるEMIに明らかを差があることを示し、その際同時に人体による吸収効果の影響に ついても計算結果から定量化を行う。オフアス内での解析においては無線LANを使用することを 想定し、オフイス内に人が存在する場合と無人の場合の電界強度分布に大き教差が現れることを確 認する。また、オフイス内の送信アンテナと人の配置の位置関係によって生ずる電界強度分布を解 析できることを示す。これからの結果から、本解析法が、無線回線設計における重要をパラメータ のーつである劣化率に影響を与える受信レベルの場所的、時間的変動マージンを推定する有効を手 法にをりえることを明らかにした。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

ワイヤレス構内通信における 周波数有効利用に関する研究

  ワイヤレス構内通信は、 建屋内など比較的狭いサー ビスエリアを対象としたこと から、ネット ワークをより簡易に構成で きる、高速変動のたい電波伝搬路となるなど、セルラーシステムにない 特長を持ったシステムであ り、IMT‑2000登場以前から 将来方式に発展する可能性を 持った候補の ーっに位置付けられている 。その反面、有線システム と同等のレベルの高い通信速 度が求められ る、 屋内 ・構 内 での 平均lOmW程度 の 低送信 電カを前提とする電波伝搬環 境を考慮したシステム 制御とシステム設計が必要 となるなど、新たな技術課題も存在する。ワイヤレス構内通信の研究開 発において、これらの特徴 的な条件を総合的に考慮し、基本特性としての周波数有効利用を達成す ることが重要である。

  本論文は、自律分散制御 の下で制御完了率の高いハンドオーバを実現する新しい信号アーキテク チャ(THREP)を考 案し、その効果を理論的に 実証している。また、狭帯域 ディジタル伝送に適し たマルチレベル識別判定法 を考案し、実験、理論によってその特性解析を行い、大きな特性改善が 見込めることを明らかにし ている。さらに、屋内など閉空間における電磁界分布を高精度で推定す る数値解析法を確立し、無 線回線設計法に応用可能な実際的な統計手法を見出している。本研究の 成果 は、 今後 発 展が 望ま れるlPネ ッ トワ ーク を基 本と し た無 線LANやWiMA)【 など の発 展を支 える基盤技術としても有効 である。

  第1章 にお いて は、 本研 究 を取 り巻 く背 景 と本 研究 の位 置及 び意義に っいて詳述している。

  第2章 では ワイ ヤレ ス構 内 通信 の具 体化と してワイヤレスPBXの実用化 を目的に検討したシス テム構成法に関する研究成 果をまとめている。無線アクセス制御、無線伝送に関する実装結果にっ いて詳述し、提案する信号 アークテクチャの効果により、専用の無線制御装置を設けることなくハ ンドオーバを実現し、豊富 な付加サービスの実装を可能とするシステムの実用化が達成されたこと を 示 し て い る 。TDMAとFDMAを 融 合 さ せ た マ ル チ キ ャ リ ア ス イ ッ チ ン グTDMAに つ い て 検 討 し、自律分散制御によるワ イヤレス構内通信システムの構成法を確立し、実際の商用装置を用いた 特性の検証から構成法の有 効性を示している。

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雄 一

則 孝

俊 喜

正 恭

島 永

柴 川

野 宮

小 小

授 授

授 授

   

   

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  第3章で は、無 線アク セス制 御に関して第2章の実用化システムに採用した新しい信号アーキテ クチャであるTHREP(′l'HREee phase link set‑up Process)について、その特性を理論的に示してい る。高トラヒックエリアで提案方式が、理想的チマネル利用効率を達成し、トラヒック集中による 制御完了率劣化の少ない特性を有していることをチャネル利用効率とハンドオーバ制御完了率の比 較検討から明らかにしている。また、実際の商用システムにおける実験からもその有効性を示して いる。

  第4章、 第5章で は、無 線伝送に関し、非同期検波を用いた場合の誤り率特性を大きく改善する 識別 判 定 法を提 案し、 その特性 を実験 的、理 論的に 解析し ている 。第4章 ではGMSK遅 延検波 の 特性が 考案し た識別 判定法と 誤り訂正法によって誤り率静特性でlOdB程度と大幅に改善されるこ とを実 験によ って明 らかにし ている 。また 、第5章 の周波数検波を用いたディジタルFM伝送特性 の検討 におい ては、 第4章で 考案した2値識別判定法を多閾値識別判定法に拡張し、狭帯域ディジ タルFMに 適用し た際の 詳細な 伝送路パラメータについて、理論解析を基に行った検討結果を示し ている。さらに送信スペクトル特性と隣接漏洩電カの関係にっいて、受信帯域制限フアルタ関数を 考 慮 し た 誤 り 率 特 性 解 析 を 適 用 し 、 実 用 的 な 伝送 系 パ ラ メー タ 設 計 法を 提 示 し てい る 。   第6章、 第7章で は、屋 内電波伝搬特性に関してFDTD(Finite Difference Time Domain)法を用 いた電 磁界分布の数値解析法にっいて述ぺている。H)TD法が高精度な電磁界分布の推定を可能と することを具体的なモデルを用いて検討している。電車内の解析結果では、人体による吸収効果の 影響に っいて 計算結 果から定 量化を 行って いる。 オフイス内での解析においては無線LANを使用 することを想定し、オフィス内に人が存在する場合と無人の場合の電界強度分布に大きな差が現れ ることを確認している。また、オフイス内の送信アンテナと人の配置の位置関係によって生ずる電 界強度分布を評価できることを示している。これら結果から、解析法が、無線回線設計における重 要なパラメータのーっである劣化率に影響を与える受信レベルの場所的、時間的変動マージンを推 定する有効な手法になりえることを明らかにしている。

  これを要するに、著者は、無線通信装置の特性改善に貢献するとともに周波数利用効率向上に寄 与する 基盤技 術に関 する有益 な新知見を得たものであり、情報通信技術の発展に貢献するところ 大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認 める。

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参照

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