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可視光を利用したワイヤレス通信の検討

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Academic year: 2021

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1. はじめに 

近年ではパーソナル端末などに広くワイヤ レス通信が利用されている。ワイヤレス通信 はケーブルを接続する必要がなく、離れてい ても通信できるというメリットがある。

実際に利用されているワイヤレス通信の多 くは電波を利用したものである。電波を利用 したワイヤレス通信は、通信端末同士が直視 できなくても通信することができ、便利であ る反面、通信エリアが目に見えず意図した端 末以外にも電波が到達するために,漏洩等の 通信の安全性に問題がある。そこで、安全性 の向上を目指して,通信の可視化が可能であ り、カーテンなどの遮光物を用いれば簡単に 遮断できる可視光を用いたワイヤレス通信シ ステムの実現性を検討した。

2. 検討システムの概要 

伝送信号を LED に印加し、LED は電気信 号を光の ON と OFF に変換して伝送する。

受光回路は光源から出た可視光を受光素子を 用いて電気信号に変換する。受信した光の強 度が弱く、得られる電気信号は非常に微弱で 雑音などの影響により波形が劣化する。そこ で、この信号を増幅回路を用いて増幅し、波 形整形回路を用いて整形し送信波形を復元す る。

3. 受光回路の特性 

受光素子は光が入射するとそれに応じて、

フォトダイオードの逆方向の抵抗値が変化す

るため、 Fig.3 のように直列に接続した負荷抵

抗と分圧することで信号を取り出す。

Fig.4 に送受信間の距離を 10cm、送信速度

1.5Mbps としたときの LED による送信波形

と受光回路の出力波形を示す。

Fig1. 可視光ワイヤレス通信の利用法

Fig.2 検討システムの構成

A Study on Wireless Communication with Visible Light Tomoyasu TSUSHIMA and Masayoshi TANAKA

可視光を利用したワイヤレス通信の検討

  

日大生産工 ( 院 ) ○ 津島 智泰 日大生産工 田中 將義

遮 光 物 ネット 送信機

ワーク

受信機 通信可 受信機

通信遮断

整形回路 増幅回路 受光回路 発光回路

可視光 送信

データ

受信

データ

(2)

y = 4.6555x-1.4 0.01

0.1 1 10

1 10 100

距離 [cm]

受信レベル [V]

y = 5673x-0.9696 10

100 1000

10 100 1000

LED 電流[mA]

受光素子逆方向抵抗[Ω]

ワイヤレス通信を行うため送信機と受信機 との距離は一定とは限らない。Fig.5 は LED に流れる電流を 90mA と一定に保ち、距離を 変化させたときの受光回路の出力レベルであ る。 Fig.5 見ると、受信レベルは距離の約-1.35 乗に比例して小さくなっていることがわかり、

近似式は

3338 .

78

1

. 323 ×

= x

V

となる。つまり、光源が天井付近にあるとし て端末が人の胸の高さにあるとすればその距

離は約 200cm となり受信レベルは 0.3mV 程

度となるため信号として扱うためには 80dB 程度の増幅が必要である。

Fig.6 は距離を 10cm としたとき LED に流 れた電流とフォトダイオードの逆方向抵抗の 関係を示したものである。

Fig.3 受光回路

Fig.4 LED 送信波形(a)と

受光素子出力波形(R=1kΩ) (b)

Fig.5 送受信間の距離と受信レベルの関係

Fig.6  LED 電流―受光素子抵抗特性

4. 増幅回路の特性 

今回検討した回路では、増幅回路に演算増 幅器(OP アンプ)を利用した。 Fig.7 は LED の入力波形と OP アンプの出力波形を比較し たものである。ここで、High と Low の判別 を可能にするため、OP アンプの増幅率を高 くした。そのため、OP アンプの帯域幅が狭 くなり出力の立ち上がり時間は 1.2us となっ (a) た。

(b) 2V

5mV

2us

1MΩ 〜20kΩ

R V

R

R V

R

1MΩ 〜20kΩ

R V

R

R

V

R

(3)

        1.2us

Fig.7 LED 送信波形(a)と OP アンプ出力波形(b)

5. 波形整形回路の特性 

LED に入力した波形と OP アンプから出力 される波形を比較すると波形が歪んでいる。

これを、整形するために波形整形回路を接続 した。今回検討した波形整形回路で整形する ためには入力する波形のピーク値が 1.7V よ り大きい必要がある。そのため、OP アンプ では波形のピーク値が 1.7V を超えるよう増 幅した。

OP アンプの出力波形と波形整形回路の出

力波形を Fig.8 に示す。波形整形回路の出力

波形は、 OP アンプの出力波形と比べると OP アンプの出力が 3.6V より大きいとき波形整 形回路の出力は High に、1.9V より小さいと き波形整形回路の出力は Low となっている。

        1.7V

Fig.8  OP アンプ出力波形(a)と      波形整形回路出力波形(b)

Fig.9  LED 発光強度(a)と       波形整形回路出力波形(b)

6. 検討結果 

今回検討した回路では光源と受光回路の距 離を 10cm として上記のシステムを用いて伝 送実験を行った。外部からの光雑音がないと

き 1.5Mbps までは誤りなしで通信可能なこと

を確認した。Fig.9 には 1.5Mbps で通信した ときの送信波形と受信波形を示す。

これを見ると、受信波形は送信波形に比べ

ると 0.4us 遅れているが波形が再現しており、

送信誤りはなく、受信できている。

Fig.10 は 1.5Mbps、Fig.11 は 2.5Mbps で 送信したときの OP アンプの出力波形のアイ パターンである。どちらもはっきりと目が開 いている。しかし、Fig.10 では目の開きが波 形整形回路で必要な 1.7V 以上のピーク値が あるが、Fig.11 では 1.7V に満たないため送 信波形が復元されず誤りが発生する。

Fig.12 は 2.5Mbps で送信したときの OP ア ンプの出力波形と波形整形回路の出力波形で ある。これを見ると、パルス幅の長いもので は波形が整形されているが、短いものでは OP アンプの帯域幅が狭いため波形整形回路で High となる閾値まで立ち上がる前に立ち下 がりが始まっている。そのため、波形整形が 行われない。

2V

2us

2V 2V

2us

2V

2V

2us (a)

(b)

(a)

(b)

(a)

2V (b)

(4)

Fig.10 アイパターン(1.5Mbps)

Fig.11 アイパターン(2.5Mbps)

Fig.12  2.5Mbps で送信したときの波形 波形整形回路出力波形(a)と OP アンプ出力波形(b)

7. まとめ 

今回、送受信間 10cm で、1.5Mbps の可視 光通信が実現できることを示した。現状では、

より高速な通信を行う場合、 OP アンプの帯域 幅が狭く波形整形に必要な閾値まで十分な出 力が得られない。また、波形の歪みが大きい 場合、あるいは雑音によって波形整形回路の 閾値付近での波形が安定しないと波形整形回 路から出力される波形は送信された波形と異 なり伝送誤りが発生する。今後は通信距離の 拡大、増幅回路の広帯域化と雑音の影響を抑 える方法を検討していく。

参考文献 

1)米津宏雄:「光通信素子工学」

2)岡村廸夫:「OP アンプ回路の設計」

3)平成 18 年度 津島智泰 卒業研究論文 200ns

1V

100ns 1V

2V

2V (a)

(b)

1us

参照

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