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言語活動を伴 う事柄 を表わす動詞の人主語受身文について

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東京 外 国語 大学

日本研究教育年報16』(2012.3)

(研究 ノー ト)

言語活動を伴 う事柄 を表わす動詞の人主語受身文について

一 主語と補語との意味的な関連性という観 点から一

会 俸 呈

1 .は じめに

言語活動 を伴 う事柄 を表 わす動詞 が述語 に用い られ 、そ の動 作 の 向か う相 手 あ るい は対 象 とな る人 が、受身文 の主語 と して表 わ され てい る受身文 が あ る。 そ の際、主語 の人 ‑ 向 か う発話 内容 は、引用 の ト節 または ヲ格 な どの補語 で表 わ され て い る場合 (アーエ)も、そ う で ない場合(オ)もある。

.私

接 彼 に/か ら 「お は よ う」 と 話 しか け られ た。 (アサ 、全 て作例) (彼が 私位 「おはよう」と 話 しかける)

ィ. 私 は お母 さんに/か ら 牛乳 の配達 を 頼 まれ たO (お母さんが 塾長芸 牛乳の配達を 頼む)

ウ. 後 提 彼 女 に/か ら 遅刻 が多い と 責 め られ た。

(彼女が 後を 遅刻が多いと 責める)

エ. 私 を享 みんなに/か ら デブ と 呼 ばれ てい るO (みんなが 私を デブと 呼ぶ)

オ, 後 iI享 先生 にlか ら はめ られ た。/話 しか け られ た。

(先生が 後を はめる/先生が 壁撞 話 しかける)

これ らの述語 動詞 は、言葉 に よる活動 とい う点 で 共通 してい るが、主語 の人‑ の働 きか けの内実 は様 々で、例 えば、ア は言葉 に よる<伝 達 >を、イ は く行 為指 示 >、 クとオ は く 評価 >1、ニ は く呼称 >を表 わすo

この よ うに、言葉 に よる活動 を表わす述語 動詞 の受 身 文 につ いて、受身 文の表 わす 事柄 は主語 の人 とどの よ うな関連性 を持つ のか、補語 で表 わ され てい る発話 内容 に注 目して考 察 してい る先行研 究 はあま りない よ うに思 われ る。 いわゆ る 「もちぬ しの うけみ」(鈴木 重 辛(1972))2を対象 とす る研 究で、受身文の ヲ格 の補語 の、受身 文 の主語 との問の意味的 な関

1例クとオは、発話内容を表わす補語が文中に出ているか否かの違いがある。例オの場合、補語が文中に 出てはいないが、述語で用いられている[はめる〕という動詞は、その動作の具体的な内容を表わす ト節ま たはヲ格の補語を付け加えることができるものである。つまり、補語が省略されていない例ウと、省略 されている例オは、述語動詞が、言葉で<評価>という活動を表わすものである点では同じであるOこ のように、 ト節/ヲ格の補語を取 り得るが、省略されているものが、実例の中でも多く、本稿ではこれ

らも考察の対象としている0

2鈴 木(1972)は、受身文について、事象をなりたたせている成分のどれを主語としているかに注目し、次 のような四つのタイプ、① 「直接対象のうけみ」(もとになる動作の直接対象(ヲ格)が主語となったもの)、

(2)

適 性 に 注 目 して い る も の が い くつ か あ る が 、 引 用 の ト節 と主 語 との 関 係 に つ い て は あ ま り 考 察 され て い な い よ うに 思 わ れ る3。 例え ば 、 次 の 二 つ の 受 身 文 に 対 して

例 カ は い わ ゆ る

「も ち ぬ しの うけ み 」と して 取 り上 げ られ る こ とが あ るが 、例 キ の よ うな もの に 関 して は 、 あ ま り考 察 され て い な い よ うに 思 わ れ る。 しか し、 両 者 は 、 "先 生 が 彼 の い い 成 績 を 高 く評 価 し、 そ の 点 を 言 う" とい う場 面 で 用 い られ 得 る とい う点 で 共 通 して お り、 例 キ の よ うな 受 身 文 に つ い て も考察す る必 要 が あ る と考 え られ る。

カ . 彼 は 先 生 に摘 、ら い い 成 績 を ほ め られ た。

キ . 彼 は 先 生 に/か ら 越 墜 凄.注二を̲̲̲1̲と̲ は め られ た0

本 稿 で は 、現代 日本 語 の 受 身 文 の うち 、 人 が 主 語 で あ り、 言 語 活 動 を伴 う事 柄 を表 わ す

詞 が 述 語 に な っ て い る受身 文の 実 例 を 対 象 に 、 そ れ らの 構 造 的 な タ イ プ を 取 り出 して 、

語 と 卜節 / ヲ格 な どの と の 意 味 的 な 関 連 性 後に 注 目 して 考 察 す る。 そ うす る こ とで 、

人が、受 身 文 で 表 現 されて い る事 柄 か ら具 体 的 に どの よ うな 影 響 を受 け て い る の か

いて、考えるこ とを試 み る。

2

.先行研究

言 葉 に よ る活 動 をわ す 動 詞 の 人 主語 受 身 文 に つ い て 詳 し く述 べ られ て い る先 行 研 究 は 見 当 た らな い が 、受身文 全 体 の 構 造 に つ い て の 研 究 の 中 で 触 れ て い る も の は あ るo

ま ず 、 村上三寿(1997)で は 、 「動 詞 と名 詞 との 連 語 諭 的 な む す び つ き に も とづ い て 、 文 の 構 文 論 的 な 要素 の あいだ の 意 味 的 な 関係」(p.104)に 注 目 して 、 受 身 文 の 意 味 的 な 構 造 を示て い るO 働 き か け の体 は 何 か 、客体は何かとい う点か ら分 類 を行 な っ て い る が 、 働 き

② 「あい手の うけみ」(もとになる動作の相 手(ニ格)が 主語 となったもの)、③ 「もちぬ しの うけみ」(もと になる動作の対象の持ち主が主語 となった もの) 第 二̲者の うけみ」(もとになる動詞によって迷惑を 受 ける第 三者が 主語 となった もの)に分類 している(pp.279‑282)O なお、下位分類 としてたててはいない が、「内容の うけみ」 とよぶべ き尊)のがあることを指摘 しているQ これは、「直接対象の うけみ」の変種

「「い う

j

か く」な ど言語活動を しめす動詞や、「み とめる

み る」な ど認識指数(判断や評価な ど) を しめす動詞日 p.281)を述語 とす るものの うち、主語のない受身のことである。例 えば、「黒板 には 0 0先生の バカ と かかれて いたC世間では はや くも ふた りの 離婚 は 時間の 問題だ と ささやかれて いる。」(p.282か ら抜粋、分かち書きは原文のまま)のよ うな ものであるO これ らは、「 語消動、認識活動の内容に重点をお き、発言者や認識の主体を問題 に しないばあいの表現にもちい られ るよ うである」(p.282)とい う。

3持 ち主受身文の研究では、主語 とヲ格の補語 とが "持 ち主‑持ち物" とい う関係 を持つ とい う点に墓点 をおいて考察 されているO例 えば、村上三寿(1986、1997)では、その所有の関係 には どのよ うなタイプ があるのか、詳 しく述べ られている。

4本稿でい う主語 と補語 との "意味的な関連性" とい うのは、いわゆる 喜迷惑の受身」についての従来の 研究でいわれている 「関連性」(relevance)(柴谷方良(1997))とは別の概念である。柴谷(同)では、いわゆ る 「迷惑の受身」にみ られ る 「」の意味U)発生の原理を 「関連性」 とい う概念の もとで説明 してい る。 ここでは、迷惑の意味が出るか出ないかは、主語によって表わ され る主体 と述べ られている事象 と の関係(「関連性」)に関わってお り、「関連」がある程度保証 されれば、迷惑の意味が強 くHlないが、「 連性」の度合いが十分でない場合、迷惑の読みが出るとい うoその 「関連性」の度合いを決めている要 因は、「作用性(affectedness)」と 「近接性(proximity)」(物理的な距離)で、これ らが共に高い要素が、高 い関連性 を持つ(p.12)としている0

‑ 46‑

(3)

言語活動 を伴 う事柄 を表 わす 動詞 の人 主語 受 身 文 につ い て

かけの主体 も客体 も人である受身文の うち、心理的なかかわ りの 「表現的な態度」の客体

文の主語 となるもの として、言語活動動詞の受身文について考察 してい る。 「表現的 な態度」の客体が受身文の主語 となるものは、「入間を、他の入間の心理活動の客体 として、

心理活動の主体 ・客体の関係 のなかにす えて、客体のたちばか ら自分のあ り方 をのべてい る」(p.124)としている。具体的には一 言われ る、聞かれ る、話 しかけ られ る、問われ る、

呼ばれ る】な どの場合、受身文の主語の人は、「言語活動のあい手対象 としての関係」(p.125) を持 っていると述べ られているC さらに、[注意 され る、教 え られ る、指摘 され る、戒 め ら れ る、指図 され る】な ど、「あい手 を行動‑か りたて るとい う態数 日 p.125)を表わす場合 も あることを述べ、これ らの主語の人は、「そのはた らきかけの結果 として何 らかの行動 をせ ま られ る。」(p.126)と指摘 している。 また、 これ らは、 「心理活動 をめ ぐっての、入間 と入 間 との主体 ・客体の関係 を直接的に」(p。126)述べてい るため、その心理活動の 主体の人 も 原則 として文の中に明示 され るとしてい る。 このタイプに関 しては、引用の 卜節の よ うな 補語 については詳 しく触れ られていないが、受身文の主語 は表わ され る事柄 とどの よ うな 意味的な関係 を持つのか、 とい う点に注 目して考察 されてお り、本稿で も多 く参考 に して いるO

次 に、非情物主語の受身文 を考察対象 としているが、認識動詞 を述語 とす るものの、意 味 と構造的特徴 を分析 し、テキス トにおける割合 を考察 してい るものに、志波彩子(2009) がある。ここではまず、認識動詞 とはどのよ うな ものを指すのか、奥 田靖雄(1960、1968‑72) を参考に した他動詞全般の分類 を示 している。他動詞を、「物理的動作 を表わす動作動詞

(p.2)と 「心理的な作用を表わす心理動詞」(p.2)とに大きく二分 し、 さらに、「心理動詞」を

「主体(動作主(Agent)ない し経験者蟻Ⅹperiencey))が対象 をその認識領域 に取 り込む ことだ けを表わす認識動詞」(p.2)と 「認識領域 に取 り込んだ対象に対す る主体の判断や評価 とい 対象 った態度 を 含 む 態 度 動詞」(p.2)に下位分類 している。その うち、言語活動動詞 は、 「「名詞=

ヲ 郡 轟警ト V

頭」 とい う 「態度の構造」の要素 とな り、」毎.3)「思考動詞」によるタ イプ と類似 しているので、「認識動詞」に分類す るとしている。また、【呼ぶ、称す る、名づ ける】な どは 「呼称動」 とし、広い意味での認識動詞 として考察 されている。 ここでは、

引用の 卜節 まで構造 として取 り出 し、 どの よ うな意味 を表わすのか詳 しく考察 され てい る ことが特徴である。本稿では、動詞の分類 に関 しては、志波(2008)の動詞の分類 に従 うO志 演(2008)は、有情 弓 日露主語 も含 め、受身文の意味 ・構造的なタイプを取 り出 して、受身文 体系を網羅的に考察 しているもので、志波(2009)では取 りあげていない動詞 グループの うち、

本 稿 で 考 察 対 象 とす るものがあるためである。その詳細については

「4.本稿でい う 「言語 活動 を伴 う事柄 を表わす動詞」について」で述べ る。

これ らの先行研究をふ まえ、引用の ト節 も構造 として取 り出 し、補語 として表わ され る 発話内容は、受身文の主語の人 とどのよ うな意味的な関係 を持つのか、考えていきたい。

(4)

3 . 用

例 収集

現代 日本語の小説、13人の作家 の22作品5か ら手作業で、述語動詞 が 「Ⅴ られ る」の形 を とってい るものの うち、受身 と考 え られ る文で、かつ、主語が有情物 であるもの を全て 取 り出 したo総計 は2164例であるoその中か ら、述語動詞が言語活動 を伴 う事柄 を表わす

ものを抜 き出 した。総計は466例(異な り語数52語)である。

以下の考察 において受身文の用例 を示す際、主語 は慮凝 、受身化 された 詞は三線 、 ト 節/ ヲ格 な ど、発話 内容 を表 わす補語は太線 の下線 で示すo なお、用例の中の 「/」は小 説 の中で改行 され ていることを、 「〜」は省 いて も分析 に影響 を与 えない と判断 して筆者が 省 略 した ことを示す0

4.

本稿 で い う 「言語 活動 を伴 う事 柄 を表わす動詞 」 につ いて

述語動詞が 言語活動 を伴 う事柄 を表わす ものか ど うか、お よび具体的に どの よ うな内容 の活動であるかについては、受身文の中での、他の文要素 との組み合 わせ の中での意味(「カ テ ゴ リカルな意味」(奥 田(1974ほか)、早津(2009)6)で判断す るo なお、具体的な動詞 の分 類 においては、志波彩子(2008、2009)に従 う0

本稿 では、言葉 を発す る活動 であるため、引用 の ト節 を伴い得 る動詞 を 「言語活動 を

う事柄 を表わす動詞」 とし、考察対象 とす る。そのため、先行研 究でい う 「言語活動

詞 」

よ り広い範囲の ものまで考察対象 としてい る。例 えば、【叱 る、はめる、か らか う】な どは、

閏(1968‑1972)では、「表現的な態度のむすびつ き」 をつ くる動詞 としてあげ られているO ただ し、 これ らは 「お もに言 語を もちいて、感情的な、評価的な態度 をそ とにあ らわす」

(p.126)意味で、「発 言内容 を さしだす 引用句でお ぎなわれて、態度 の構造 をなす ことができ る」(p.127)と述べ られている0本稿 では、主語 と引用の 卜節 との意味的な関連性 に注 目し てお り、場合 によっては

【言われ る】で も[叱 られ る〕で も ト節 で表 わ され る発 話内容 にはあ ま り差がない と思われ るため、両者 を心緒 に考察す る。例 えば、 「彼 は先生に態度が不良だ と言われた/叱 られた」の よ うな文である。 また、志波(2009)で、【呼ぶ、称す る、名づ け る]の よ うな 「呼称動詞」は、「言語活動動詞」 とも近い とし、広義 の認識動詞 として日日一緒 に 考察 してい る0本稿 で もこれ に従 い、 これ らの動詞 は、引用の ト節 を とるので、考察対象 とす る。ただ し、志波(2009)には取 り上げ られていない もの も対象 としているので、ここで は、まず、志波(2008)の動詞分類 を示 してか ら、本稿 で考察対象 とす る具体的な動詞 の例 を 示す。

志波(2008)では、動詞 を、まず 、「物理的動作動詞」「心理動詞」「心理 ・生理的状態動詞

51960年代2作品、70年代3作品、80年代4作品、90年代8作品、2000年代5作品であるO詳細は稿

末 参 照0

6本稿における 「カテゴリカルな意味」の規定は、早津(2009)に従 うO早津(同)では、奥田(1974、1976、 1979、1980・1981)をふまえて、次のように規定しているo

「(カテゴリカルな意味とは、単語の語衆的な意味のうち、その単語のある文法的な性質(形態論的な性質 と構文論的な性質)を規定するものとしてとりだすことのできる側面である。)」(p.6)

48‑

(5)

言語活動 を伴 う事柄 を表わす動詞 の人主語受身文について

「論理的関係動詞」 とい う四つに分け、 さらに、 「物理 的動作動詞」 と 「心理動詞」に関 し てはそれぞれ二つの下位分類 を設 けてい る。 「物理的動作動詞」 は 「変化動」 と 「無変化 動詞」 とに、 「心理動詞」は 「認識動」 と 「態度動」 とに分 け られ、それぞれ は、構 文 論的な特徴 にもとづいて、 さらにい くつ かの グル‑プに分 け られ る70 その うち、本稿 の対 象 としてい る動詞が分類 されてい るグループは、「心理動」で、「認識動詞」の うちの 「言 語活動動詞」(言われ る、話 され る、述べ られ る、知 らされ る、聞か され る、伝 え られ る、

な ど(p.61か ら抜粋))と 「態度動詞」の うちの 「判断動詞」(みな され る、判断 され る、思わ れ る、考 え られ る、な ど(p.62か ら抜粋))、 「表現的態度動詞」(はめ られ る、叱 られ る、怒 られ る、怒鳴 られ る、か らかわれ る、な ど(p.62か ら抜粋

) )

要求的態度動詞」(頼 まれ る、

任 され る、求 め られ る、請 われ る、要求 され る、要請 され る、言 いつ け られ る、な ど(p.62 か ら抜粋))であるO今回は、 「判断動詞」 と 「要求的態度動詞」 の中では、一般 的に、言語 活動 を伴 って行なわれ る動作 を表わす もののみ、考察対象 としてい る。次の<表1>に、志 波(2008)での動詞分類お よびそれ らの構造的な特徴 と、本稿 での動詞 の例 を示す。

<表1>志波(2008)の動詞分類お よび構造的な特徴 、本稿 での動詞 の例

志波(2008)の動詞分類 .構造的な特徴 ii 本稿 での動詞 の例

動詞分類 構造的な特徴

心理動詞 言 語 活 動 「抽象名詞 を対象 に とり、 言 う、打 ち明ける、教 える、聞かす、

動詞 発 話 相 手 のニ格 と共 起 」 聞 き返す 、き く、告 白す る、知 らす、

(p.61) 説 明す る、宣告す る、尋ね る、問い返す、問い詰 める、問 う、話 しか ける、反 問す る、な ど

態度動詞 判断動詞 断内容句トト日、シテで導 かれ る判と共起」(p.61) 噂す る

呼称動詞 起」(「呼 称 を表 わす ト格 と共p.61) 称す る、名づ ける、呼ぶ

表 現 的 態 ト トで導 かれ る発話 内容 訴 えかける、訴 える、怒 る、か らか

度動詞 句 と共起」(p.61) る、ひや かす、褒 める、な どう、叱 る、責 めるり返す、怒鳴 る、のの しる、非難す、注意す る、怒鳴 要 求 的 態 「動 作使 名 詞 を ヲ終にと 言 いつ ける、勧 める、せ がむ、迫 る、

度 動 詞 り、 ニ格 の相 手 と共 起 頼む、望む、命 じる、命令す る、要

7 終識動詞 」は、①知覚動詞/②思考動詞/③言語活動動詞/④発 見動詞/⑤提示動詞 とい う5個 の グ ル‑プに、「態度動詞」は、①感情評価的態度動詞〆②判断動詞/③表現的態度動 詞/④呼称動詞/⑤評 価的処遇動詞/⑥意義づ け/⑦接近動詞/⑧包助動詞/③要求的態度動詞/⑩保護動詞/⑪表示動 詞/

⑲ 表現動詞/⑬相手態度動詞 とい う13個の グループに分 け られ てい る。

(6)

5.受身文の主語への働 きか けの 内容 による分類

ここでは、言語活動 を伴 う動詞の受身文について、受身文の表わ してい る受身 文の主語 の人‑の働 きかけの内容 をもとに、5.1.言葉による<伝達 >、5.2.<行為指示 >、5.3.<評 価 >、5.4。<呼称 >とい う四つのタイプに分 けて、述語動詞U)種類お よび受身 文の構造を中 心に具体例をみていきたいO

分析 に入 る前に、あ らか じめ、次の<表2>でそれぞれ に分類 され る受身文の構造および 例、動詞の例、用例数 を示 してお くO

<表2>主語の人‑の働 きかけ内容による分類 と例、お よび周例数

分 ト節の 受身の構造 動詞の例 計

類 内容 :例‑作例 (用例数)

5.1. 伝達 《人 ー》が 《人2》に/から (《発雷古内 <言語活動動詞 > 171 容》と

/

《事》を)V‑られる 言 う(81)、聞 く(34)㌔(声 を)かけ

:彼は 彼女に デパ‑ トの場所 を ら(15)、聞かす(ll)、教 える(7)、 聞かれたO 知 らす(4)、問 う(3)、説明する(幻、

:私は 彼 に 「おはよ う」 と 話 話 しかける(2)、打ち明ける(1)、

しかけ られた○ 励ます(反問す る(聞き返す(る(る(<表現的態度動詞 >11))、告げる(3)、訴 えかける(11))、告 白1)、問い返す(する(11))、訴え、尋ね1)、

5.2.

行 為

《ム ー 《人 2》に/か

(《指示的 <言語活動動詞 > 124 指示 内容》(のように)と

/

《物》を

/

《事》を) 言 う(58)、宣告す る(1)、呼びか

∨‑

られる ける(1)

:私は お母 さんに 「

乳を とつ <要求的態度動詞 >

三遷̲三」と 言われた○ 頼む(30)、命令す る(6)、勧 める :私は お.母 さんに 牛乳の配達 (4),命 じる(4)、ねだる(3)、せが を 頼 まれた○ む(2)、迫 る(2)、いつける(1)、望 :彼 は 先生に 盛選左遷塾息 注 む(1)、申し込む(玖 要求す る(1)

意 されたO 注意す る(

(

く表現的態度動詞 >

1 ) 、

怒鳴 り返す持)4)、怒鳴 る(2)、 口説 く

5,3. 評価 《人 ー》が 《人 2》に/から (《判断内

<

表現的態度

動詞>

135 容》と

/

《事》を)

V

‑られる 叱 る(40)、はめる(13)、か らか う

:彼 は 彼女に 成績が悪い と 叱 (7)、怒 る(5)、責める(5)、怒 鳴

られた○ (3)、指弾す る(1)、な じる(1)、

:私は 先生に 塞塵 藍 指摘 され の しる(1)、非難す る(1)、ひやか

‑ 50‑

(7)

言語活動を伴 う朝雨を表わす動詞の人主語受身文について

:彼 は (み んなに)義蓬三 澄ま± く言語活動動詞 >

ニ土 樽 され てい るo 言 う(48)、問 う(3)、指摘す る(2)、

問い詰 め る(<

断 動詞>1)

(3)

5,4. 呼称 《人 1と ∨‑られる》が (《人 2》に/から)《名称》 <呼ぶ(

称 動30)詞名 づ ける> (2)、称す る(1) 36 :私 は (み んなに) 「デ ブ」と 呼 <言語 活 動 動 詞 >

ばれ てい るD 言う(3)

5 .1

言葉 によ る伝 達 【《人 L》が 《人 2》に/か ら (《発話 内容》と/《事》を)

V

‑られ る】

[言 う(81)、聞 く(34)、(声 を)か ける(15)、聞かす(ll)、教 える(7)]<言語活動動 詞 >、【励 ま す(3)、訴 えか ける(1)、訴 える(1)]<表現的態度動詞 >な どの動詞 は、ど《入 1》 が 《人 2》 に /か ら(《発話 内容》 と/《事》 を)Ⅴ‑られ る】 とい う構 造 で用 い られ 、受身文全体 は、主語 の 人(《人1》)が言語活動 を行 な う人(《人2》)か ら、 言葉 でなん らかの内容 を伝 え られ るこ と を表 わす。受身 文 の主語 の人 は、言語活動 の 向か う相 手で、能動 文 で事柄 を表 わす 場合 に はこ格 を とる。

主語‑ 向か う発話 内容 は引用 の ト節 で あ らわれ る場合(

(

1

) ‑ ( 4

))も、 ヲ格 の名詞 で あ らわれ る場合((5)、(6))も、文脈 の 中にあ らわれ てい るた め省 略 され てい る場合

( ( 7

))もあ る。

(1)「北原から年賀状がきた?」/と、徹にいわれた途端、いいようもない寂しさに襲われて、陽子廷 山を降りながら涙がこぼれたC(氷点(下)、p.221)

/

同じにするといわれると、頻黍孝撞何となくまつわりつかれるような 感 じがして、ちょっと眉をしかめた。(広き迷路、p.92)

(3)「どもるのに、なんで学校の先生になりたいんか」と訊 かれても、きちんと筋道立てて答えられな いようにC(きよしこ、p.268)

(4)旅館に戻って、朝食をすませた若彰握 、茶花港か ら、この島を‑濁 するグラスボ‑ 卜が来ると教 えられたC(ハイビスカス殺人事件、p.60)

(5)喫茶店では志望校を訊かれたO(きよしこ、p,262)

(6)ル リ子のために摂った人形を、陽子のために飾ったことが口惜しかったo毎年、ひな祭 りの近づ くことになると、夏枝はそのことを思いだしたo/今年はわけても陽子が憎かったOその理由を 人にきかれると、答えられることではないO(氷点(F)、p.241)

/久美子に言われて、この電車には電話がついていることに気づい たo(ぼくらのミステリー列車、p.297)

(8)

これ らの、 ト節/ ヲ格で表 わ され る 《発話内容》 は、必ず しも主語の人 と意味的に関逮 性 を持っているわけではない。また、引用の ト節 は、平叙の形 も(例(2)、(4))、疑問の形 も(例 (1)、(3))用い られ得 る。

5. 2

言葉による行為指示

【《人 1》が 《人 2》に/から (《指示的内容駅のように)と

/

《物》

/

《事》を)V‑られる】

【言 う(58)宣告す る(1)、呼びかける(1)】<言語活動動詞 >、【頼む(30)、命令す る(6)、勧 める(4)、命 じる(4)、ねだる(3)]<要求的態度動詞 >、[注意す る(4)、怒鳴 る(2)]<表現的態 度動詞 >な どの動詞は、 【《人1分が 《人2》に/か ら(《指示的内容》(のよ うに)と/《物》を /《事》を)Ⅴ‑られ る】とい う構造で用い られ、受身文全体は、主語の入(《入用 )が言語活動 を行な う入(《入 2》)か ら、言葉でなん らかの行為 を要求 され ることを表わす。 「5.1.<伝

達>

」 と同 じく、受身文の主語の人は、言語活動の向か う相手で、能動文で事柄 を表わす

場合

にはこ格 をとる。

主語‑向か う指示的内容は、主語の人の行動 に関わることで、引用の 卜節であ らわれ る 場合((8))も、ヲ格の名詞であ らわれ る場合((9)‑(12))、文脈の中であ らわれているため省略 さ れている場合

( ( 1 3

))もある。

(8)牛乳取 って きて」 と母親 に言われ 、少年撲外 の廊 下に出たO(きよ しこ、p.46)

(9)洋服屋 に して も レス トランに して も、道順 に して もアルバイ トの職種 に して も大学の授 業に して も、毎 日毎 日誰かか ら旦 らMを三野塵 取 を迫 られ 、それ に対 して何 の根拠 もないままに答 えを提示 し なけれ ばな らないO(パイ ロ ッ トフィ ッシュ、p.91)

(10)ああ、ぼ くはち ょ うど、会社か らイ ランに行 っていた時でね/結婚 を申 しこまれ たのは、そ の数日後であったo迩 塾 塗の親が晋かたぎだか らと言われ る以前 に、冬美撞卑下 していたo(広 き 迷路、p.10)

(ll)それ か ら、 伝言 を頼 まれてま

三 日 ‑イ ビスカス殺人事件、p.24)

(12)が、パ ンフ レッ トを要求 さ+れたら、偽セール スマ ンと見破 られ る.(広き迷路、p.208) (13日先 生昼父に頼 まれ て、 こ来 たん じゃないんです か

?」/

とだけ亜矢子 は、

相変わ らず堅い声できいたo(ハイ ビスカス殺人事件、p.110)

全124例中、引用の ト節が表わ されているものは48例であるが、その場合、引用節 の述語 はそのほ とん どが 「‑ して、‑ しろ、‑す るな、‑ して くれ、一 しなさい」の よ うなモー ダルが形であ らわれ る。

(14)別 々に作 るのは面倒す ぎるO だか ら、夕飯 は一緒 で勘弁 して くれ と、言われていた。 (天国はま だ遠 く、p.60)

52

(9)

言語活動 を伴 う事柄 を表わす動詞 の人主語受身文 について

(15)会社 には電話 をむけるな た三重重工 追吐 息oLか しそれ は始終か けて よこす な とい うことであっ て、絶対 にか けるな とい うわけではない と、冬暴 提解釈 したO(広 き迷路、p.35)

(16)「薬 を絶 って、 こんな商売か ら昼皇準 えって言われ た転 できるわけない じやない、あた し一人 じゃないの よ、逃 げ よ うとした ら殺 され ちゃ うって言 ったO‑〜」(白い騎 士は歌 う、p.188) (17)玄関‑飛び出 して、「何時だ と思って るんだ !」 と怒鳴 った ところで、「時計 を見なさいよ !」と

盈 睦且返旦吐 息O(nowers、p.147)

また、次の よ うに

〜す るよ うに(と)」の形 で表 わ されてい るもの もあ る(5例)。

(18)「ル リ子 ちゃんが敵なの

?」/

いつ も見越 は仲 よく̲ウニをす うに と邑 垣吐二三と二を徴で あったD総 点 (上)、p.21)

(19)「も う少 し、 この島にい るつ も りですO殺 され た大河内 さんに、娘 さん を連れ帰 るよ うに頼 まれ ていま したか らね0‑‑」(ハイ ビスカス殺人事件、p.162)

「 5 .

1

.

<伝達

>

」 も

「 5 . 2 .

<行為指示

>

」 も

、「 5 . 3 .

<評価 >

」「 5

.4.<呼称

>

」に比べ る と、動作 の向か う相手‑、動作 を受 けた後 のなん らかの反応 を求 めてい る とい う点で共 通 してい る と思われ る。 ただ し

、「 5 . 2 .

」 の場合 、<要求的態度動 詞 >が あ らわれ る場合 も 多 く、その反応 とい うのは、単なる返事 とい うよ り、具体的な動作 の実行 であ る。 この よ うな点で、引用 の ト節 、または ヲ格の名詞 であ らわれ る 《指示 内容》 は、受身文の主語 の 人 の、 これ か らの 〔行動〕 にな り得 る、あ るいは 〔行動〕 を制限 し得 る とい う点で主語 の 人 との意味的な関連性 を見出す ことができ

、「 5 .

1

.

」の 《発話 内容》 とは区別 され る0

5 . 3

言葉による評価 【《人 1》が 《人 2》に/から (《判断内容》と

/

《事》を)

V

‑られる】

【叱 る

( 4 0 )

、はめる

( 1 3 )

、か らか う

( 7 )

、怒 る

( 5 )

、責め る

( 5 )

、怒鳴 る

( 3 )

】<表現的態度動詞

>、「言 う

( 4 8 )

、問 う

( 3 )

、指摘す る

( 2 ) ] <

言語活動動詞 >、【噂す る

( 3 ) ] <

判 断動詞 >な どの動 詞 は、 【《人 1》が 《人 2》 に摘ゝら(《判断内容》 と/《事》 を)Ⅴ‑られ る】 とい う構造で用い られ 、受身文全体は、主語 の人(《人】》)が言語活動 を行 な う入(《人2》)か ら、言葉 でなん らかの評価 を され ることを表わすO述語動詞 の中には、能動文では 【《人2》が̲尽人̲ll),提 (《判 断内容》 と/《事》 を)Ⅴ】の よ うに、動作 の向か う相 手がこ格 で表 わ され る動詞(【言 う、怒 る、か らむ、宣告す る】な ど)も、 【《人2》がJiA̲牡 鹿 (《判断内容》 と/《事》について)V】

の よ うに、動作の対象 とな る人がヲ格 で表 わ され る動詞(【叱 る、はめる、責 める、か らか う】

な ど)もある。 <表現的態度動詞 >が、全

1 3 5

例 中

7 8

例 と多い ことが特徴 である0 評価 の内容 となるものは、引用の ト節 であ らわれ る場合((20)な ど39例)も、 ヲ格 の名詞 であ らわれ る場合

( ( 21 )

な ど

1 3

例)もあるが、例

( 2 2 ) ‑ ( 2 5 )

の よ うに文脈 の 中にあ らわれ るか出 ていない場合が83例 と圧倒的に多い。

(10)

(20)やJj奈象 も来た当初、/ 「君、昨夜 は午前様 だった よ うだね」/ と、部長にいわれ てギ ョッとし

ことがあるC,(広 き迷路、p.179)

(21)男里子 だO 言葉がつ つかえるのを、いつ も友 だちにか らかわれてい るO(きよ しこ、

p.10)

(22)誰に も話 さず 、土産

しで家 に帰 って、

迄 叱 られ たO(きよ しこ、p・174)

(23)先月 も 所長 に ヒステ リックに怒鳴 られたとo(天国はまだ遠 く、

性 がはめ られ 豊 とい うことだが、今 は、そんなこともない らしく葬儀 の列の中か ら、泣 き声はきこえなかった。

い イ ビスカス殺 人事件、p.120)

(25)身体の調子がいい と、気持 ちも軽いO仕事が うま くいかない、上司に務め られ る。そんなことど うだっていいんだo(天国はまだ遠 く、p34)

評価 の内容 は、主 語 の 人 の 行 動 、 また は行 動 や 考 え な ど に 対 す る 、 言 語 活 動 を 行 な う人 判 断を 表 わ す も の で 、 "指 摘 され る " と 置 き 換 え られ る よ うな 、 批 判 的 な 内 容 が ほ とん どで あ る。 引 用 の ト節 な どで 表 わ され る 、 主 語 の 人 の行動 は、必 ず 、 す で に 起 き た 出 来 事 とい うこ とが 、 「5.1.」 5.2.」 とは 異 な る 点 で あ るO

紐6)だか ら、 「同 じこ とばか り書いてい る」 とい ろんなひとにからかわれ なが ら、同 じことばか り‑ きよ しこか ら教わ った ことばか り、轟いてい る。(きよしこ、p.282)

(27)た しかに陽子の首に手をかけたはず であるCだが殺そ うとふきとなられ る と、憂墜 墜涙 ぐまず にはい られ なか った。(氷点(上)㌔p,246)

(28)この ごろ、徽接陽子 を呼びす てにす るよ うになっていた。/何だ。妹 に、ちゃんをつ けて るぞ

/ と友だちに笑おお産 む 良三あるO扱 点)㌔p,339)

(29)人に も正直す ぎる といわれ てきたD(氷点Lと)、p.134) (30)「〜O とて も じゃないけ ど、締めるって言い出せ なかった。

んなに無責任 だってのの しられ るのが怖 かったのか も しれ ませ んO ‑」(天国をままだ遠 く、p.67) (31)「お似合 いです ことねC あなたがた」 /夏枝 も微笑 していたDや さ しい笑顔 に見 えたO/ 「立退

合いです こと」 と

(32)憂壁接 ふいに、ル リ了が殺 され た時 も、

われた よ うな気 が した。(氷点(下)、p.317) (33)「せ めて、

(氷点(下)、p.323)

その ことを啓造 にい

て、思 ってたんです け ど、親 に も教師にも無謀だっ 三言垂れて‑・・‑O ‑」(天国はまだ遠 く、p.163)

(34日 いまの蒸しさ子 って、 とって も扱いやす いわO個性 的で 自己主張が強いなんで 言われてい るけれ

‑ 54‑

(11)

言語活動 を伴 う拳柄 を表わす動詞 の人主語受身 文につ いて

ど、結局、その個性 も主張 もみんな何 かの模倣 です もの。‑」(、p.23)

これ らのほかに、[噂 され る】とい う<判断動詞 >によるものも3例 ある。[噂 され る】は、【思 われ る、判断 され る】な どとも類似 しているが、必ず発話 を伴 うとい う点で、言語活動 を伴 う事柄 を表わす動詞 としているo例 えば、次の例(35)を能動文で表わす と、 「みんなが陽一 那(のこと)を/について神童 と噂す る」のよ うな文が想定できるが、 この場合、 「陽一‑‑凋ミ」に 向かって【噂す る】とい う動作が行なわれ るとい うより、む しろ、いない ところで、不特定多 数の人によってそのよ うに言われている、判断 され/ている とい うことを表わす。不特定多 数の人による動作 とい う点で、次の5.4.<呼称 >とも類似 していると思われ るO

(35)そ うなんだ、浅見家 の息子 といえば、長男 ・陽一郎 を指す のであって、それ以外 には男子 がいな いが ごとくに、浅見家 は運営 されて きた よ うな ところが あるO なに しろ十 四歳 も離れ ていれ ば、

次男坊 は ミソッカスの よ うな ものか も しれない。それ に、陽二郎接 幼年期 か ら神 変 と噂 され 、そ のまま成 長 して東大 を首席 で卒業、二 十歳 を過 ぎて も 「ただの人」にはな らなかった天才だo( 城峠殺 人 事件、p.175)

(36)「特 に この月頼」とり え男がね、敏彦 よ りほんの少 し前 に社 を出てい るんだ。僕 が らよっ とつつ いてみた範 囲内で も、金遣いの荒いプ レイボーイだ と噂 され てい るやつ でね。 クサイ とい う気が す る」(白い騎士は歌 う、p.160)

5. 4

言葉による呼称 【《人 ‑》が (《人

2

》に/から)《名称》と

V

‑られる】

[呼ぶ(30)、名づける(2)、称す る(1)]<呼称動詞>、[言 う(3)】<言語活動動詞 >の よ うな 動詞 は、【《入 1》が(《人2》に/か ら)《名称》 と

Ⅴ ‑

られ る】とい う構造で用い られ、受身文 全体は、主語の入(《人1》)が言語活動 を行 な う人(《人2》)か ら、ある名称で命名 されてい ることを表わすQその名称は引用の トであ らわれ る場合((37)‑(39))も、文脈の中にあ らわれ る場合(40)もある。 《名称》 は、節ではな く、名詞 または名詞句で表わ され るO

(37)徹 の感情 も考慮 しないわけではなかったo Lか し、夏枝 は陽子 に さえ、時 には耐 え られ ない気拝 になっていたO陳 点(上)、p.288) (38)っ ま り、 トランクの皇 室迄

p.48)

お かあ さん」 と呼 ばれ ること

パパ !一書と呼ばれたのは別人 とい うこ とだO(心 とろかす よ うな、

(39)坊や と呼ばれていた安藤晋二 桂、池袋 に近い郵政省 の寮 に住 んでいた0(ハイ ビスカス殺人事件 、 p.187)

あま りに もあっけ らかん と名付 け られ て しま うと、か えっ て怒 るきっかけを失 って しま うし、なに よ り‑0(きよ しこ、節.167)

このタイプの受身文は、上の例(37)、(38)のよ うに動作主が特定の人である場合は極ま れ

(12)

で、全36例 中この2倒 しかな く、不特定多数の場合 がほ とん どである。 これ は、<呼称 >

の場 合 「5.1」‑「5.3」 とは違 って、動作が直接的 に受身文の主語の 入‑向かってい く場合 でな くて も用い られ得 るとい うこ ととも関連ている と思われ るO

(41)大阪府営捜窓二課が、"昭和 のネズ ミ小僧"の一味六名 を検挙 した こ とがあるが、彼 ら旦 百三十 件で合計十億 円の仕事 を して準望準 Jf]横溢 と称 されていT=U)であるD緩 石泥棒、p・352) (42)九月の声を聞 き、新学期が始 まると、追 っマ ン と呼ばる芸能王薫ニ ダニ連 聖の関心は、

早 くもぼかの獲物 に向け られ ていた。揉 城崎殺 人事件、p.76)

(43)修禅寺物語の中に、我人 といわれ る聴感頻 薮ミ頼家 の顔 をモデル に能面 を打つが、い くら打 ち直 し ても能面に死相が現れ る‑ とい う部分があるO(天城峠殺人事件、p.28)

(44日‑O それが、『̲塗̲箪 ゆ り部隊』 といわれた.た ち です」(‑イ ビスカ ス殺人事件、p.246)

か らふ

(45)北海道や樺 太 の鉄道 、道路、河川 の工事 な どは、前借金 で重労働 す る、 このタコと呼ばれる^

未達のぎせ いによって、進 め られた ことを、啓造 も知 ってはいたO(氷点(上)、p.62)

また、受身化 された動詞 を含む節 が連体修飾の形であ らわれてい るものが、全 36例 中 21例 と多いOその うち 16例が、例 (42)‑(45)の よ うに、受身化 され た動詞 を含 む節 が動作 を 受 ける主体 を修飾 してい るものである。例(42)は、 「芸能土 壁二 g.二 野連 生 提追 っ掛けマ ン と呼ばれ る」 を、(43)は 「能面塵 接名人 といわれ る」を、(44)は 「(あの)人たち 接 『ひめゆ り部隊』 といわれ た」、(45)は 「(この)大桑 連E̲享タコと呼ばれ るを表 わす8D

この よ うに、動作主が不特定多数 の場合が多い こと、受身化 され た動詞 を含む節 が動作 を受 ける主体 を修飾 してい る場合 が多い ことについては、

情物 主語 の場合 もそ うである よ うで、志波(2009)では、 「呼称動詞 による受身文は、主体が不特定一般 の人々で反復 ・超 時の事態 として述べ られ るのが普通」(p,20)で あることや 、 「受身文 の主語相 当の名詞句 が

I ・ ・l

被修飾語 となった連体節 の構造 「名詞‑ト 呼バ レル 名詞」で用 い られ ることが多い。」

(p.20)とい うことが述べ られてい る。

6 .

おわ リに

以上、本稿 では、言語活動 を伴 う事柄 を表 わす動詞 の、人主語 の受身文の実例 を対象 と し、それ らの構造的なタイプ を取 り出 して、主語 と ト節/ ヲ格 な どの補語 との意味的な関 連性 に注 目して考察 を行なった。

これ らの受身文の主語 に立 ってい る人 は、述語動詞 に よって表現 され る動作が向かって い く相手または対象で、全体の事柄 を能動文で表わす場合 、ニ格 または ヲ格 を とって文の 中に登場 し得 る とい う点で、すで に構文的な関わ りを持 ってい る といえるO この中には、

8これ は通常、構造的に 「内の関係 」で結びついてい る連体修飾 と呼ばれ るものであるO 「彼 は彼女 に頭 を たたかれた。(彼 女が彼 の頭 をたた く)私は先生に名 前を呼ばれ た。」(先生が私 の名前 を呼ぶ)の よ うな、

いわゆる 「もちぬ しの うけみ」の考察(筆者の修 士論文(金俸呈2008))で、全465例 中143例が連体修飾 で、その うち、123例(84%)が 「外 の関係 」であった ことを考 える と、特徴的である と思われ る

‑ 56‑

(13)

言語活動 を伴 う事柄 を表わす動詞 の人主語受身文 について

さらに、引用の ト節/ ヲ格の内容が、受身文の主語 の人 と意味的な関連性 を持つ もの とそ うでない もの とがある。

本稿 では、述語動詞の表わす言語活動が、主語 の人‑ どのよ うな内容の働 きかけ となる かに注 目して、 5,1.言葉 による<伝達 >、 5.2.く行為指示 >、 5.3.<評価 >、 5A <呼称 >

とい う四つのタイプに分けて、それぞれの構文的な特徴 を考察 した。その中で も、5.3.<評 価 >と5.4.<呼称 >の場合は、 トの名詞 ・名詞節で表わ され る内容が、動作の主体 と意味的 な関連性 を持 っていることを述べたoなお、5.2.<行為指示 >の場合 も、補語で表わ され る 発話内容が、これか らの主語の 〔行動〕にな り得 る、あるいは制限 し得 るとい う点で、5.1.

<伝達 >と区別 され、意味的な関連性 を読み取 ることができると述べたO

本稿では、主語の、受身で表わ されている事柄 との関連性 とい うのは、"構文的なもの"

と "意味的なもの" とがあるとい う考えのもとで、受身文の主語 が "構文的な関連性" を 持 ってい るものの仁科こも、"意味的な関連性"の有無は一律ではない とい うことを述べた。

このよ うに考 えてい くことで、いわゆる 「第三者の うけみ」(鈴木1972)(「間接受身」/ 「迷 惑の受身」)のよ うに、受身文の主語が "構文的な関連性"を持 っていない場合、"意味的な 関連性" も持たないのか どうか、"意味的な関連性"は読み取れ るものがある とした ら、 ど の よ うな形式で表わ されているのか、な どについて考 えることができると思われ る。

今後、【判断 され る、見な され る、思われ る]な ど、引用の ト節 を とる思考動詞の場合 も含 め、 さらに用例 を増や し、主語 と補語 との意味的な関連性 に注 目して、有情物 主語 の受身 文の全体像について考 えていきたいC

《参考 文献》

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(1984)『ことばの研究 ・序 説

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『朝倉 El本譜 講座 6 文法Ⅲ』尾上圭介編, pp.105・127,朝倉書 店

金棒呈(2008)「いわゆる 「持 ち主受身文」の特徴 について」,東京外国語大学地域文化研 究科修士論文.

志 波 彩 子(2008)「現代 日本語の受身 文の体系‑意 味 ・構造的なタイプの記述か ら」,東京外 国語大学大学 院地域文化研究科博 士論文(未公刊)

(2009)「認識動詞 の非情 主語受身文見 られ る思 われ る言われ る呼ばれ る」を中心 に‑

(14)

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柴 谷 方 良(1997)「「迷 惑受 身 」 の意 味論 」『日本 語 文法 体 系 と方 法J上 川 鴎 善 明 ・仁 田義雄,pp,1‑22,ひ つ じ書房 .

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還 松 消 『き よ しこ』 新 潮社(2002)(新潮 文庫,2005年 を使 用). 斉藤 栄 『宝石泥 棒 』 光 文社(1976)(徳 間 文庫,1982年 を使 用), 瀬 尾 まい こ 『天 国 は まだ遠 く』 新潮 文庫(2006)(200812刷 を使 翻 . 宗 田理 『ぼ く らの ミステリ‑列敢』 角川 書店(1993)(1997年 20版 を使 用).

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‑ 58‑

参照

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