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百貨店における消費者の購買意思決定プロセス

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(1)

百貨店における消費者の購買意思決定プロセス

中 山 厚 穂 鶴 見 裕 之

1.はじめに

 本研究では消費者の購買行動に関する計画購 買・非計画購買に着目して研究を行った.ここで,

計画購買・非計画購買に着目するのは,消費者が どのような意思決定プロセスによって商品を購買 するのかということが小売業のマーケティング上 の意思決定では重要となるからである.計画購買 とは事前に購買する商品を決定して来店するもの で,非計画購買は来店後に購買する商品を決定す るものである.この計画購買・非計画購買の研究 は消費者行動研究の分野で広く行われているが,

それらは主にスーパー・マーケットなどのセル フ・サービス型の小売業を対象としたものであり,

百貨店などのフル・サービス型の小売業での研究 事例は少ない.しかしながら,小売業と消費者を 取り巻く環境が大きく変化しており,百貨店など のフル・サービス型の小売業でも新たな調査の必 要性が高いと考えられる.

 これまでに行われてきた計画購買・非計画購買 の研究は,その目的によって 3 つのタイプに分類 することができる.第 1 に計画購買・非計画購買 の実態調査研究,第 2 に衝動購買の心理探索研究,

第 3 に計画購買・非計画購買の規定要因研究であ る(高橋,1999).計画購買・非計画購買の実態 調査研究は,非計画購買率を小売業態別に測定・

比較し,何らかの小売マネージメント上のプロモ ーションや消費者行動研究上の知見を得ようとす るものである.購買心理探索研究は,どのような

心理プロセスを経て非計画購買が発生するのかと いうことを明らかにするために,質的データにも とづいて,消費者の心理をさまざまな角度から記 述・分析するものである.規定要因研究は,分析 単位によって,商品間差異を説明する研究,店舗 ないしは小売業態間の差異を説明する研究,消費 者間差異を説明する研究に分けることができる.

本研究が行うのは,第 1 の計画購買・非計画購買 の実態調査研究にあたる.計画購買・非計画購買 の研究は,1950 年代以降アメリカで盛んに行わ れ,特にセルフ・サービス方式をとる小売業では,

消費者の非計画購買を誘発するという指摘があり

(Stern, 1962),実際のデータから業態別に計画 購買・非計画購買の実態についての研究が多く行 われている.これらの研究の目的は,非計画購買 を誘発する要因を規定することで,小売マーケテ ィング上のさまざまなプロモーション活動のため の知見を得ようとするものである.この計画購 買・非計画購買の研究は,消費者行動研究の分野 において広く行われているが,それらは主にスー パー・マーケットなどのセルフ・サービス型の小 売業を対象としたものであり,百貨店などのフ ル・サービス型の小売業での研究事例は少ない.

また,Bellenger, Robertson, and Hirschman

(1978)や Prassad(1975)の研究に見られるよ うに,1970 年代後半までは,国外の研究者によ り,百貨店における計画購買・非計画購買に関す る学術調査も行われていたが,日本国内での学術 調査は行われていない.さらに,従来の実態調査

(2)

研究により,セルフ・サービス型のスーパー・マ ーケットとフル・サービス型の百貨店では計画購 買・非計画購買の実態には差異があることが示さ れている.国外で 1950 年以降行われた百貨店を 含む多種の小売業態にわたる学術調査の多くは,

百貨店では 3 割〜4 割の非計画購買が行われ,ス ーパー・マーケットでは約 6 割が非計画購買であ ること示している(Cobb & Hoyer, 1986).また,

日本国内と国外では,計画購買・非計画購買の実 態に差異があることも既に知られている.スーパ ー・マーケットにおける調査では,米国は約 6 割 が,日本では 8 割以上が非計画購買であることが 分かっている(青木,1989b).このように,セ ルフ・サービス型とフル・サービス型によって,

また,日本国内と国外で計画購買・非計画購買の 実態に違いが生じている.しかし,1980 年代以 降の国内の研究では,主にスーパー・マーケット などのセルフ・サービス型の小売業を対象とした 調査しか行われていない.日本国内の百貨店にお ける計画購買・非計画購買の実態は,今日まで把 握できていない.この現状を踏まえ,本研究は消 費者の購買意思決定と購買行動の関連性の把握及 びその意思決定段階の時系列的変化の把握を目的 として,日本国内における百貨店の計画購買・非 計画購買の実態調査を行った.

2.研究の背景

 近年の小売業のマーケティングにおける重点は,

これまでの新規顧客の獲得から優良顧客の維持へ と移り変わりつつある(Woolf, 1996).小売業に おいては,優良顧客の購買行動を明らかにし,優 良顧客に合わせた品揃えの決定,価格設定,売場 レイアウトの提案などのマーチャンダイジングを 行うことが求められている.また,現実の購買行 動では店舗内において商品の購買を決定する割合 は高く(大槻,1997),消費者の購買行動に対し て,店舗内の状況要因の影響は大きいと考えられ ている.従って,店舗内での買物行動について十

分に理解を行い,また,商品配置・レイアウトの 改善などの店舗内状況要因が店舗内空間行動に与 える影響のメカニズムを解明することが重要とな る.そして,店舗内購買行動を明らかとし,その 店舗内購買行動に影響を与える要因を把握するこ とで,優良顧客の店舗内購買行動に即したマーチ ャンダイジングを行うことは非常に有意義である といえる.しかし,従来の小売業における購買履 歴データを用いた研究の多くは,スーパー・マー ケットを対象としたものであり,その他の業態に ついての研究も行われる必要があると考える.な ぜならば,スーパー・マーケットにおける購買行 動は,食料品あるいは日用雑貨部門内でのカテゴ リー間の購買行動であるのに対して,百貨店に代 表されるような幅広い品揃えを持つ業態では,複 数の部門で購買が行われる.また,百貨店ではシ ーズンにより品揃えも大きく変化し,年代などの 顧客属性ごとにマーチャンダジングを行う必要が ある.そのため,シーズンや顧客属性ごとの購買 行動を的確に把握し,購買行動に適応した売場の レイアウトや品揃えを実現することが大切となる.

百貨店のように多くの部門やテナントを有し,そ の売場のレイアウトや品揃えもシーズンや顧客の 属性により対応することを求められるような業態 の特徴を考慮した新たな研究が行われる必要があ るといえる.

  そ こ で , 鶴 見 ・ 中 山 ( 2005 ) や 中 山 ・ 鶴 見

(2005)では,百貨店における優良顧客の店舗内 買回り行動に着目し,百貨店の店舗内における部 門間の買回り行動と,シーズン,顧客の属性,レ イアウト変更がその買回り行動に与える影響につ いて,個人差多次元尺度構成法とよばれる IND- SCAL(Carroll, & Chang, 1970)により分析を 行った.INDSCAL は,部門間相互の全体的な利 用の関係と条件(シーズン,顧客の属性,レイア ウト変更など)ごとによる差を,すべての条件の 布置の原型となる共通対象布置と条件ごとの差を 表す重み布置とを用いて表現する.したがって,

部門間相互の利用の全体的な関係と各シーズンや,

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各顧客の属性の違いによるレイアウト変更前後で の部門利用傾向の違いを共通の枠組みで表わすこ とが可能となる.また,当該百貨店ではデータ取 得期間中にレイアウトの変更が行われており,購 買意思決定に影響を与える要因として挙げられる レイアウト要因,商品要因,特売・販促要因,人 的要因(Sheth, 1983;青木,1989)のレイアウ ト要因の影響について捕捉可能となっていた.そ こで,シーズンや顧客の属性が買回り行動に与え る影響についての分析と,レイアウト変更が買回 り行動に与える影響についても分析を行った.

 鶴見・中山(2005)におけるシーズンごとの店 舗内買回り行動の分析では,百貨店の購買履歴デ ータから,シーズンとレイアウト変更による買回 り行動の変化を捉えるため,四半期ごとの部門間 の同時購買比率行列を求め,INDSCAL により分 析を行った.分析の結果,共通対象布置では「紳 士服」「紳士洋品」「スポーツ用品」の組み合わ せ,「婦人服」,「婦人洋品」,「婦人雑貨」の組み 合わせ,「呉服」「宝飾」の組み合わせ,「子供服 洋品」「趣味雑貨」の組み合わせ,「家庭用品」

「寝装品」,「家具」の組み合わせというように各 部門が 2 部門,または 3 部門ごとにグループを形 成するように近接しており,部門を越えた買回り 行動の存在が明らかとなった.重み布置からは各 期での部門間での買回り行動には差が少ないとい うことが判明し,シーズン及びレイアウト変更に よる影響は,部門間での買回り行動では少ないこ とが示された.

 中山・鶴見(2005)で行った顧客属性ごとの店 舗内買回り行動の分析では,レイアウト変更が顧 客属性の違いにより,どのように買回り行動に影 響を与えるのかということに着目した分析を行っ た.レイアウト変更による顧客属性ごとの買回り 行動の変化を捉えるため,顧客の性別,年代ごと にレイアウト変更前後での部門間の同時購買比率 行列を求め,INDSCAL により分析を行った.分 析の結果,シーズンごとの分析と同様に,共通対 象布置では「紳士服」「紳士洋品」「スポーツ用

品」の組み合わせ,「婦人服」,「婦人洋品」,「婦 人雑貨」の組み合わせ,「呉服」,「宝飾」の組み 合わせ,「子供服洋品」,「趣味雑貨」,「食堂」の 組み合わせ,「家庭用品」,「寝装品」,「家具」の 組み合わせというように各部門が 2 部門,または 3 部門ごとに近接し,部門を超えた買回り行動が 存在していることが分った.重み布置からは,顧 客の属性ごとに買回り行動には違いがあり,レイ アウトの変更は顧客の性別,年代ごとの店舗内買 回り行動に影響を持ち,レイアウト変更により性 別や年代ごとに行動が変化するというよりも,性 別と年代を組み合わせた特徴ごとに変化が生じて いて,性別と年代というものは切り離して考える ことのできない関係であることが分った.以上の 部門レベルの買回り行動についてのシーズンごと,

顧客属性ごとの分析結果からは,百貨店での部門 間の店舗内買回り行動の背後には,部門を超えた 買回り行動が存在していることが判明し,当該百 貨店の既存部門によるフロア再構成と新規部門の 可能性についての知見が得られた.また,シーズ ンごとの部門間での買回り行動では,レイアウト 変更の影響は少ないことが把握され,一方で,レ イアウト変更は顧客属性ごとの買回り行動に影響 を及ぼすことが示された.

 以上から,今回の調査では,これまでの研究で 確認された組み合わせでの購買行動における消費 者の購買意思決定の過程を明らかとすることに主 眼をおき調査の立案を行った.具体的には,当該 店舗の利用に関する顧客アンケート調査を実施し,

そのデータの解析を通して,以下の 3 つの視点で 新たな知見を得ることを目的とした.

(1) 消費者の意思決定の段階(来店以前に購買 を意図しているのか,来店後に購買を意図してい るのか)を分析し,消費者に対してアプローチす べき段階(タイミングや手法)を明らかにする.

(2) 消費者の購買意思決定の単位(消費者が意 思決定を商品カテゴリーごとに行っているのか,

ブランドごとなのか,それとも単品ごとなのか)

を分析し,消費者にアプローチする際の適切な単

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位を得る手がかりとする.

(3) 商品の意思決定に際し消費者がどのような 情報を参考にしているのかを分析し,消費者の購 買を促すようなアプローチの仕方を探る.

3.調査概要

 本調査の目的は,消費者の購買意思決定と購買 行動の関連性の把握及びその意思決定段階の時系 列的変化の把握にある.さらには,それらの知見 にもとづいたプロモーション活動(DM)の改善 および立案を目指し,百貨店における消費者の意 思決定プロセスを解明することにある.以上から,

百貨店における優良顧客の購買意思決定過程に注 目し,商品の購買の意思決定段階の時系列的変化 と計画購買・非計画購買の実態に関する調査を行 った.調査対象部門は「婦人服・婦人洋品・婦人 雑貨」とした.「婦人服・婦人洋品・婦人雑貨」

の部門でのカテゴリー売上が百貨店全体の売上の 40% を占め,他の組み合わせと比べても 1 日の 来店でこの部門の組み合わせで購買している顧客 数が多く,顧客 1 人当たりの平均購買金額も高く なっている.よって「婦人服・婦人洋品・婦人雑 貨」を百貨店の主力部門と考え,対象部門とした.

そして,対象部門における顧客の購買意思決定過 程に関する調査項目を設定した.また,調査対象 顧客は,主力顧客と考えられる 40 歳から 60 歳ま での女性とし郵送調査を行った.なお,その際の 調査対象顧客は以下の条件にもとづき抽出した.

(1) 百貨店のカード会員顧客 370,003 人のうち,

婦人服部門,婦人洋品部門,婦人服飾雑貨部門の いずれかで,最低 1 回以上購買を行った顧客を対 象とした(142,220 人)

(2) 部門ごとに利用金額の規模が異なることか ら,部門別の利用金額・全部門での利用金額の双 方における条件抽出を設定するため,婦人服部門,

婦人洋品部門,婦人雑貨部門いずれかの部門,も しくは 3 部門合計金額で年間利用金額上位 20%

の顧客を抽出した(31,226 人)

(3) 年齢が 40 歳から 60 歳までの女性顧客を,

上位顧客のなかでも特にメイン顧客層と考え抽出 した(12,467 人)

(4) 婦人服・洋品,化粧品,婦人靴の商品レベ ルでの利用が一回以上ある顧客を抽出した.抽出 条件(1),(2)では,「婦人服・婦人洋品・婦人 服飾雑貨」部門レベルでの購買の有無・程度によ る抽出であった.しかし,今回の調査では 3 部門 間の購買意思決定をより具体的な「婦人服・洋品,

化粧品,婦人靴」の商品レベルの購買意識に落と し込む必要がある.そのため,対象者にとって購 買経験のない商品についての質問とならないよう に,各商品レベルでの購買の有無による抽出を行 った(2,036 人)

(5) 上記の条件を満たした顧客 2,036 人からラ ンダムに 500 人を抽出した.

 以上のように,消費者の購買意思決定の過程を 探るために,上述の 3 つの視点にもとづいた消費 者の意思決定の段階,消費者の購買意思決定の単 位,消費者の商品の購買意思決定のための情報に ついての調査項目を設定し,ランダムサンプリン グにより抽出された 500 名に郵送調査を行った.

その際の回収目標は 250 件であったが,実際の回 収数は 269 件であった.

4.購買実態の調査概要

4.1.顧客像

 どのような状況で当該百貨店での利用が行われ ているのかを確認し,顧客像を明らかとするため に,来店手段や来店頻度,来店手シチュエーショ ンなどについての設問を設定した.交通手段は,

ほぼ 80% の人が「電車」で来店しており,次い で「バス」が 10%,「徒歩」が 8% となっている.

来店にかかる時間は「11〜20 分」が 36.8%,「21

〜30 分」が 29.0% と割合が多く,平均でも 33.0 分となっていた.交通手段別の来店頻度を見てみ ると,「徒歩」による来店の 80% 以上が「週 1 回 以上来店」と答えており最も高い値を示し,また,

(5)

バスによる来店では 39.3% が「週 1 回以上来店」 53.8% が「月に 2〜3 回程度」となっている.店 舗周辺の人ほど来店頻度が高く,当該百貨店の特 にコアな顧客となっている現状が推察できる.

 また,交通手段別に来店シチュエーションを見 てみると,電車による来店顧客はその他の用事と 合わせた来店利用が多い.自動車来店顧客は当該 店舗への来店のみを目的とした来店動機が高くな っている.交通手段別の滞店時間は自動車による 来店顧客が最も滞店時間は長く,最低でも 60 分 以上となっている.それに対して,徒歩による来 店顧客は最も滞店時間が短くなっており,ほとん どの顧客が 60 分以内で退店している.来店シチ ュエーションは「当店でのお買物のために」が 56.1% と半数以上を占めている.そして,来店 が多いのは「主婦」であり 46.1%,次に,「会社 員・公務員」が 29.0%,「アルバイト・パート」

が 12.6% となっていた.以上から,来店の動機 としては何かのついでというよりも,百貨店での 買物を動機としての来店が多いことが予想される.

 来店頻度は「週に 1 回以上」が 39.4%,「月に 2〜3 回程度」が 39.8% と高くなっている.店舗 滞在時間は「60〜79 分」が 52.0%,「120〜139 分」が 22.7% と短時間の店舗滞在パターンと長 時間の店舗滞在の 2 つのパターンが存在すること が分る.来店頻度別の滞店時間は「週 1 回以上来

店」で「1 時間以内」が 22.6%,「2 時間以内」

が 60.4% となっている.「月に 2〜3 回程度」で

「1 時間以内」が 11.3%,「2 時間以内」が 49.1%

となっている.一方で「2〜3 ヶ月に 1 回程度」

では「3 時間以内」が 58.3%,「3 時間以上」が 25.0% となっている.以上から,来店頻度の低 い顧客ほど,滞店時間は長く,来店頻度の高い顧 客ほど,滞在時間は短いことが分かる.滞店時間 と来店頻度には全般的に負の相関関係にあるとい える.

4.2.購買計画性

 消費者の意思決定の段階を調査するために,来 店以前に購買を意図しているのか,来店後に購買 を意図しているのかについて,「化粧品」,「婦人 服・洋品」「婦人靴」の購買意思決定段階につい ての調査項目を設定した.その結果,店内決定率

(購入することをあらかじめ計画した上で来店せ ずに店内で購入を決定する比率)では,商品別の 非計画購買率が「化粧品」が 39.4%,「婦人服・

洋品」が 21.2%,「婦人靴」が 42.0% となって いる.特に「婦人服・洋品」の購買計画率が高い ことが分った.我が国において 1980 年代初頭に 行われたいくつかの小売業態において実施された 調査の結果(青木,1989b)では,非計画購買率 が,大型スパーで 80.2%,小型スパーで 71.6%,

表 1.日本における小売業態別の非計画購買率(青木,1989b)

    小売業態(調査時期) 購買決定のタイプ

大型スーパー (1981 年)

小型スーパー (1980 年)

コンビニ店 (1981 年)

酒販店 (1981 年)

1 特定的計画購買 3.5 13.5 6.8 30.4

2 一般的計画購買 15.9 14.5 30.6 25.1

3 代替的購買 0.4 0.9 5.5 2.4

4 非計画購買 80.2 71.6 62.0 42.2

合計 100.0 100.0 100.0 100.0

店内決定:2+3+4 96.5 86.5 93.2 69.6

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コンビニ店で 62.0%,酒販店で 42.2% であった.

また,1993 年にセルフ・サービス型の店舗にお いて行われた非計画購買率調査では非計画買率は 80% を超えていた(大槻,1997).これらの調査 結果との比較からも,本調査結果における百貨店 での事前に購買する商品を決定して来店している 割合は高いことが分かる.また,海外の百貨店に おける非計画購買の実態について,各出口に 100 人ずつ,合計で 1600 人に店頭面接によって調査 した結果(Bellenger et alχ, 1978)では,非計画 購買率は化粧品・トイレタリーで 33%,婦人服 で 44%,婦人・女子衣料で 47%,婦人・女子靴 で 52% となっている.カテゴリーの分類にやや 差があるものの,今回の調査結果の方が,事前に 購買する商品を決めて来店している割合が高いこ とが分かる.しかしながら,本調査結果が上述の その他の調査結果よりも,低い店内決定率を示し ているのは,本調査が優良顧客に対して行ってい ることや調査法の違いが原因であるとも考えられ る.また,Bellenger et al.(1978)の調査は年 代が古く時代背景の影響を受けていることも考え られる.よって,今後,更なる調査による比較検 討が必要であると考える.

 次に,購買の計画についての質問項目を見てみ ると,計画動機は全般に「トレンド」,「ポイン ト・特典」が行動計画の動機になりやすく,「チ ラシ・広告」「DM・お誘い」は動機にはなりに くいことが分かった.「自分の予定」は「化粧品」

では動機にはなりにくいが「婦人服・洋品」「婦 人靴」では動機になりやすい.この傾向は各商品 を計画して購入すると回答した人に限って計画動 機を集計しても同様の傾向が示された.そこで,

化粧品,婦人服・洋品,婦人靴の 3 商品と購入を 計画する際の 5 つの動機がそれぞれ相互にどのよ うに関連しているのかを把握するため,3 つの商 品における購買決定を 5 つの動機をもとに行うか どうかを尋ねた 15 の質問に対する回答から 15×

15 の 対 称 行 列 を 作 成 し , 多 次 元 尺 度 構 成 法

(Kruskal, 1964a,b)により分析を行った.図 1

は分析により得られた 2 次元布置である(今回の 分析では適合度と解釈のしやすさから 2 次元の結 果を解としている).図 1 を見てみると,どの商 品においても参考とされる要因が存在しているこ とが分かった.これらの要因は中心に固まってお り,これは各商品の購買の際に参考要因として同 時に考慮されやすいということを示している.し かし,化粧品の「自分の予定」と「チラシ・広 告」,そして,婦人靴の「チラシ・広告」と「お 誘い・DM」などは中心に位置している各商品の 参考とする要因から離れている.つまり,これら の要因は個別に参考とされやすい要因であるとい える.

4.3.同時購買の計画

 商品の同時購買についての質問項目では,全体 の約半数が各 3 商品を同時購買することが多いと 回答していた.優良顧客の多くが来店時に同時購 買の意志を持って来店しているといえる.また,

商品の組み合わせでは「婦人服・洋品と婦人靴」

が 23.3%,「化粧品と婦人服・洋品」が 14.1%,

「婦人服・洋品とアクセサリー」で 12.8% と計画 率が高く,1 回の来店で同時に購入されることが 多いことが分った.それ以外にも婦人服・洋品と の組み合わせが高い計画率を示していた.以上か ら,婦人服・洋品を軸とした同時購買の計画が多 く行われていることが判明した.

4.4.商品購入の計画性とその程度

 商品購入の計画性とその程度についての質問項 目からは,化粧品では,「購買するブランドとそ の商品まで,詳しく決定した上で来店」という回 答が最も多く,59.1% を占めていた.一方,婦 人服・洋品は「商品のみを事前に決めた上で来 店」というカテゴリーレベルを決定してから来店 するという回答が最も多く,48.8% であった.

同様に,婦人靴に関しても「商品のみを事前に決 めた上で来店」とするブランドレベルまでを決定 しているという回答が最も多い 47.6% となって

(7)

図 1.多次元尺度構成法による参考要因の分析結果(2 次元布置)

いた.このことから化粧品における購買意思決定 の単位が最も細かく各ブランドの商品レベルでの 購買意思決定がされていると考えられる.また,

婦人服・洋品,婦人靴に関しては意思決定の単位 は商品レベルであり,ブランドが購買決定の単位 になることは少ないと予想できる.このことは,

1993 年にセルフ・サービス型の店舗において行 われた非計画購買率についての調査結果(大槻,

1997)では,ブランドレベルの計画購入は 8.4%,

カテゴリーレベルの計画購入は 6.4%,代替購入 は 1.6%,非計画購入は 83.6% となっているこ とと比較すると,業態の異なるフル・サービス型 の百貨店における調査ということや,今回の我々

の調査が一般顧客ではなく優良顧客に対する調査 ということもあるが,今回の調査結果からは百貨 店では事前の購買決定率が各商品とも高いことが 分かる.

4.5.来店前と来店後それぞれでの商品購入決定 要因

 来店前と来店後それぞれでの商品購入決定要因 についての質問項目では,商品の意思決定に際し,

顧客が参考とする情報は,来店前の決定要因とし ては化粧品の場合,「使用経験」や「以前の店員 からのアドバイス」が最も多くなっていることが 判明した.同様に,婦人服・洋品と婦人靴でも

(8)

図 2.多次元尺度構成法による来店前の購入動機についての分析結果(2 次元布置)

「使用経験」となっている.また,来店後の決定 要因は,化粧品では,「来店時の店員の説明・ア ドバイス」や「値段」,婦人服・洋品では「値段」

や「他の商品とあわせて」,婦人靴では,「店頭の 商品・ディスプレイ」や「値段」という回答が最 も多くなっている.また,計画の程度に関係なく

「店頭の商品・ディスプレイ」による割合が高く,

商品の「値段」は計画性が低くなるほど割合が高 くなっている.その他の特徴としては,化粧品に おいて,計画性が低い人ほど「店員のアドバイ ス」の割合が高くなっている.また,婦人服・洋 品で計画性の程度に関係なく「他の商品とあわせ て」の割合が高くなっていることが分かった.

 さらに,来店前と来店後において,化粧品と婦

人服・洋品,婦人靴の 3 商品と購買意思決定に関 する 4 要因がそれぞれどのように影響しているの かを把握するため,来店前と来店後の各々につい ての,購買決定要因に関する 12 の質問に対する 回答から 12×12 の対称行列を作成し,多次元尺 度構成法(Kruskal, 1964a, b)により分析を行 った(今回の分析では適合度と解釈のしやすさか ら 2 次元の結果を解とした).その結果,来店前 では商品によって購買意思決定要因は異なり,化 粧品を来店前に「ダイレクトメール等のご案内」

を参考にして購買を決定する顧客は婦人服洋品を

「雑誌,テレビ CM,口コミ等の流行情報」によ って購買を決定することが示された.また,婦人 服洋品を「使用経験や好み」によって決定する場

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合は「婦人靴」を同様に決定する傾向が明らかと なった.さらに婦人服洋品を「ダイレクトメール 等のご案内」によって決定する場合は婦人靴を

「雑誌,テレビ CM,口コミ等の流行情報」によ って決定する傾向が判明した(図 2).来店後の 購買意思決定の分析結果からは,「商品の値段を 見て」はどの商品にも共通している意思決定要因 であることが分かった.その一方で,化粧品の

「店頭の商品やディスプレイを見て気に入ったも の」は化粧品単独の意思決定要因となっている.

このように,その他の商品や要因と同時に考慮は されづらい特定商品の購買に影響をもつ要因も存 在していることが判明した(図 3).以上の結果 から,来店前では商品ごとに購買意志決定要因が

異なることから,店外プロモーション活動では,

顧客に対してそれぞれの商品に即した活動でアピ ールしていくことが大切であることが推察される.

また,来店後の顧客は,各商品とも価格の情報が 共通の購買意志決定要因になることから,来店顧 客に対しては,各商品での総合的な価格プロモー ションが購買を促す上で重要になると考えられる.

5.結論とまとめ

 本研究は日本国内における百貨店の計画購買・

非計画購買の実態の解明を目的として百貨店にお ける主力顧客と考えられる 40 歳から 60 歳までの 女性に対して郵送調査を実施した.そして,顧客

図 3.多次元尺度構成法による来店後の購入動機についての分析結果(2 次元布置)

(10)

の購買意思決定と購買行動の関連性の把握及びそ の意思決定段階の時系列的変化を捉えるために,

調査対象部門を百貨店の主力部門と考えられる婦 人服,婦人洋品,婦人雑貨として,対象部門にお ける顧客の購買意思決定過程に関する調査項目を 設定した.

 その結果,百貨店における優良顧客の計画購 買・非計画購買の実態は,事前に計画を行った上 で購買を行う計画購買の割合が高いことが判明し た.このことは我が国においてこれまでに行われ たいくつかの小売業態での調査結果と比較しても,

今回の調査結果は百貨店の優良顧客は事前に購買 する商品を決定して来店している割合が多いこと を示している.また,海外において行われた百貨 店における非計画購買の実態調査との比較でも,

高い計画購買率となっている.しかし,これらの 違いは今回の調査が優良顧客に対して行っている ことやそれぞれの調査との調査法の違いによるこ と も 否 定 で き な い . ま た , Bellenger et al.

(1978)により行われた調査は年代が古いことも あり時代背景の影響も考えられる.今後より詳し い日本国内での百貨店における計画購買・非計画 購買の実態についての調査が望まれる.

 意思決定過程では,商品ごとの計画性の程度,

購買意思決定の単位,購買時に参考にする情報が それぞれ明らかとなった.化粧品では,「購買す るブランドとその商品まで,詳しく決定した上で 来店」という回答が最も多く,一方,婦人服・洋 品は「商品のみを事前に決めた上で来店」という カテゴリーレベルを決定してから来店するという 回答が最も多かった.同様に,婦人靴に関しても

「商品のみを事前に決めた上で来店」とするブラ ンドレベルまでを決定しているという回答が最も 多くなっていた.このことから化粧品における購 買意思決定の単位が,最も細かく各ブランドの商 品レベルでの購買意思決定がされていると考えら れる.また,婦人服・洋品,婦人靴に関しては意 思決定の単位は商品レベルであり,ブランドが購 買決定の単位になることは少ないと予想できる.

そして,1993 年にセルフ・サービス型の店舗に おいて行われた非計画購買率についての調査結果

(大槻,1997)との比較からは,今回の調査は業 態が異なるフル・サービス型の百貨店における調 査であり,一般顧客ではなく優良顧客に対する調 査結果ということもあるが,それでも百貨店では 事前の購買決定率が各商品とも高いといえる.よ って,百貨店では,意思決定段階ごとの最適なプ ロモーション活動を実施することが重要であると 考えられる.

 来店前や来店後に化粧品,婦人服・婦人洋品,

婦人靴のそれぞれの購買の際に参考とする要因で は,来店前では商品によって購買意志決定要因が 異なっており,店外プロモーション活動では,顧 客に対してそれぞれの商品に即した活動でアピー ルしていくことが大切であることが分った.また,

来店後の顧客は,各商品とも価格の情報が共通の 購買意志決定要因になることから,来店顧客に対 しては各商品での総合的な価格プロモーションが 購買を促す上で重要になると考えられる.また,

購買の計画の動機については全般に「トレンド」

「ポイント・特典」が購買計画の動機になりやす く,「チラシ・広告」,「DM・お誘い」は動機に はなりにくいことが分かった.「自分の予定」は

「化粧品」では動機にはなりにくいが「婦人服・

洋品」「婦人靴」では動機になりやすい.この傾 向は各商品と各要因との相互の関係でみた際にも 同様に示されたていた.以上から,各商品におい て共通に参考とする要因が存在し,また,特定の 商品で独自に参考とされやすい要因があることが 判明した.よって,店外プロモーション活動では トレンドやポイント・特典の情報を各商品共通の 購買意志決定のための要因としてアピールしてい くことが大切であり,また,その他の要因に関し てはそれぞれの商品に即した活動でアピールして いくことが重要といえよう.

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謝辞

 本調査を実施するに当たり,貴重な機会を提供 くださり,また,調査にご協力いただいた百貨店 の関係者の皆様に深くお礼申し挙げます.また,

本研究の遂行にあたり重要なご教授を賜りました 立教大学の岡太彬訓教授並びに早稲田大学の守口 剛教授に深謝申し上げます,最後に,本調査にあ たり立教大学 SFR からの研究資金の提供をいた だきました.立教大学関係者の皆様に深く御礼申 し上げます.

参考文献

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参照

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