1987年度教育学専攻(学部)カリキュラム
(*は非常勤講師)
講義名隊員名 講 義 内 容
教 育 原 理
水1 4単位
山住正己
教 育 原 理
木5 4単位
小島昌夫
今日,日本の教育には,幼児の早教育,市販 テスト,非行,教科書のあり方(これは国際的
にも問題になった),受験体制,高校の多様化,
大学改革さらに生涯教育など,古くからの問題 や近年とくに新たにおこってきた問題など,さ まざまな問題がある。教育原理はこれらの現実 的諸問題と無関係なところにあるのではない。
しかし新しい問題は突然おこったのではなく,
古い問題とみるものは昔のままではない。ここ では,これまでの問題に直面し,多くの人が語
り考え実践を重ねてきた教育から原理を明らか
にしていきたい。
内容は,
1) 子供の発達と教育 2) 学校の機能と役割
3) 文化と教育(各教科の内容と方法)
4) 教育行財政
5)社会教育
とする予定。この教育原理は,直接には教員免 状取得希望者の必修科目だが中等学校の問題に かぎらず,ひろく教育全体の問題をとりあげて
いく。
教育原理とは,そもそも教育とは何かを根本 から問い直すことと考えてよいだろう。親が家
庭で子を育くむ,保母さんが保育園で保育す
る,先生が生徒を学校で教え育てる。君たちは 教育される立場でこれまで教育を体験し続けてきた。君たち自身のこの経験を大切にしなが
ら,人類がこれまで創りだしてきた「教育」について,学び,かつ検討していくことにしよ
う。今,親や市民たちの間では,教育,特に学 校教育への要求,不満が強く,政府や産業界も
また教育改革を望んでいる。臨時教育審議会に は,こういう動向が反映されていると考えられ
講義名隊員名 講 義 内 容
教 育 心 理 学 金2 4単位
教 育 心 理 学 金5 4単位
青 年 心 理 学 金6 4単位
大津悦夫*
茂木俊彦
渡辺顕治*
る。こういうとぎだからこそ,根源的に,かつ 原則的に,子どもにとって,人間にとって,教 育とは何かを考えていくことが大切だ。子ども の発達,教育内容と方法,教育課程,学校,i授 業,教育制度,教育行財政,社会教育,生涯学
習等について,中等教育を軸になるべく具体
的,実践的に学びあっていくことにしたい。今,教育をめぐる状況は,多くの問題を提起 している。われわれは子どもをどうとらえ,い
かに指導することが要請されているのだろう
か。
発達,人格,適応の領域を中心に,登校拒
否,非行,自段など具体例をあげつつ考察してゆきたい。
参考文献:教育心理学試論 心理科学研究会 編 三和書房
教育心理学は子ども認識の深化,:適切な教育 方法の選択,教育的成果の評価などの面で重要 な役割をはたす。本講義では教員免許に必要な 内容を含みつつ,以下の諸問題をとりあげる。
(1)教育心理学の課題と方法 ② 能力と人格の発達のみちすじ (3)学習指導の原則と方法
(4)学校における臨床的諸問題とそれへの対 処
(5)教育評価の心理学的基礎 参考書は講義中に示す。
今日,様々な若者論が盛んです。若者の意識 と行動をどうつかむかは,時代の転換点におい て問われる古くて新しいテーマといえるでしょ
う。青年心理学もその課題の圏外にいることは できません。1900年代初頭のアメリカ,1920〜
30年代のドイツ,1960〜70年代の日本など,若 者の問題は社会問題としてあらわれ,それにこ たえる心理学的追究がすすみました。今日,国 際化時代といわれるなかで,青年の日常的美意 識のあり方を含めて,積極的な個人主義の感覚
講義名隊員名 講 義 内 容
道徳教育の研究
火6 4単位
(前期)
道徳教育の研究
水4 2単位
(後期)
教
水2
育
4単位
学教
土5
育
4単位
学山田康彦*
山田康彦*
坂元忠芳
黒崎 勲
と連帯の原理が問われています。本講では,青 年期を概説しつつ現代という時代の中の青年期 の諸相に焦点をあてながら青年期の人間的可能 性の具体的把握をめざします。検討文献として 山崎正和著『やわらかい個人主義の誕生』(文 芸春秋)をあげておきます。
道徳教育の目的は,子ども・青年の価値意識 や行動規範,とりわけ価値を選択しつくりだす 自主的な力を育くむことにある。ところが一方 で道徳教育のあり方をめぐっては,歴史的に様
々な考え方が提出されてきた。また他方で今日 の実状を見るならば,子どもが様々な人間的な 価値を選び取り入れつつ,自らの価値意識や生
き方を発見していくことが,甚だ困難になって いる。したがって歴史的にと同時に子どもの現 状に即してという,二つの視野を併せもって道 徳教育のあり方を接ることが,ますます求めら
れてきている。
以上の点から,講義では,①日本の道徳教育 の歴史と問題を概観し(主要なものは資料を配 布し検討する),②今日の子どもと教育の現状 をリアルに描き出し,③現代の子ども・青年の 内にある,新たな価値や生き方を求めようとす
る契機や,それを保障しうる教育のあり方を接 ってゆきたい。その際,今日着目すべき「美と 表現」の問題にも言及したい。
(内容は前期と同じ)
本講義は,はじめて教育学を学ぷもののため に,教育とは何かを,できるだけ具体的な事例 をとおして明らかにすることをめざす。本年度 の講義は,文学,教育実践記録,教育学,心理 学の文献などをとおしておこなう。本年度のテ
ーマは講義のはじめに提示する。
教育を社会的制度としての側面から考えてみ たい。教育が制度化されることの意味,公教育
講 義 名
教員名
講義 内 容
社会教育学校特殊講義
月4 4単位
(通年)
教 育 研 究 法 月4 4単位
(通年)
教 育 社 会 学 火3 4単位
(通年)
教育心理学演習
火4 4単位
(通年)
の正当性の問題,教育の機会均等,学歴主義・
能力主義のメカニズムと学校制度の機能などの テーマに即して,歴史的,概念的,あるいは数 量的に日本の教育制度の実態と変遷とを検討す
る。教育改革ということが問題となっている
が,教育制度論の基礎となる諸概念,理論的モ デル,数量的データを媒介として,そうした問 題を考えていく際の手がかりを提供することを課題としたい。
教育制度を考える際の一般的な参考文献とし
て,以下のものがある。堀尾輝久r現代日本の
教育思想』青木書店。ベンジャミン・デューク『ジャパニーズ・スクール』講談社。ロナル ド・ドーアr学歴社会 新しい文明病』岩波書
店。ボールズ&ギンタス『アメリカ資本主義と学校教育岩波書店。
大串隆吉
小沢有作
久冨喜之*
茂木俊彦
宮原誠一r青年期の教育』(岩波新書)をテキ ストにして,青年期の教育問題を検討する。
卒論指導を中心にすえて行う。卒論執筆予定者
は必ず申請すること。
「教育の社会性」について,社会学の立場か
ら考える。
〈もくじ〉
はじめに 「教育の社会性」と教育社会学
1部 学校の社会学……焦点としての学校/
社会階層と教育/教育における競争/
制度としての学校/学校再生の社会学 ll部 人間発達の社会学……社会はいかにし て可能か/socilization研究の流れ/
労働・生活過程の変化と人間発達 皿部 教育計画の社会学をもとめて
※参考文献はi授業中に指示する。
1986年度にひき続き,エリ・エス・ヴィゴッキ ーの心理学理論を検討する。
講 義 内 容
社会教育学概論
火5 4単位
(通年)
教 育 方 法 論 火5 4単位
(通年)
大串隆吉
吉田悟郎*
社会教育学演習1大串隆吉
1
火6 4単位
(通年)
教 育 学 演 習 水4 4単位
(通年)
教育学特殊講義
水5 4単位
(通年)
教育学特殊講義
水6 4単位
(通年)
坂元忠芳
里見 実*
坂元忠芳
社会教育の歴史と課題について検討し,青
年・成人にとって学習がどのような意味を持つのかを考える。
世界からの疎外・世界とのいびつな関係を否 定して,世界世界史に向きあって生きるとはど ういうことなのか。それで,どんな愉しさ・苦 労・豊かさにぶつかるのか。戦後日本稀有の知 識人である上原専禄との出会いで,「世界史」
という思想に開眼させられ,以後変動する世界 とどう向きあって生きようとしたか。世界と世 界史という認識方法や枠組みをどうつくりこわ してきたか。歴史の授業者として,どう様々な
試行をつづけてみたか。そして今日,世界・
世界史教育はどんな課題に面するか。
勤労者の教育問題を検討する。昨年度,社会 教育学特講でおこなった勤労学生の調査を検討
し,他の問題もとりあげたい。
昨年にひきつづき,現代日本における思春 期・青年期の問題と教育実践の課題を追求す
る。そのなかで,「学校化社会」や教育実践,指導の本質など,教育学の基礎的概念について
深めたい。
創り手と受け手という固定した関係を打ち破 る対話的創造の試みが第三世界の各地で着実な 進展を示している。民衆文化運動とよぼれてい
るが,その実践を紹介しながら,それが提起し ている問題をともに考えていきたい。地域的に、
は,主としてラテンアメリカの事例をとりあげ ることになるだろう。パウロ・フレイレの民衆 教育思想あたりを緒口にして,コルデル文学,
民衆演劇,シネマ・ノヴォ,ヌエバ・カンシオ ン,マイクロ・メディア運動などに話を展げて
いくことにしたい。
教育をめぐる愛と共感の問題について論じ
る。前半はヨーロッパにおける教育(パイディ ア)をめぐる愛とエロスの問題を中心に論じ,講 義 名
教員名
講義 内 容
教育学特殊講義
木3 4単位
,(通年)
教育心理学特殊講義 木5 4単位
(通年)
教育行政及財政
金3 4単位
(通年)
藤本 卓
鳴澤 實
後半,日本における教育実践の課題に及ぶつも
りである。
生活指導に関わる教育領域には問題が文字ど おり山積している。登校拒否,不登校,怠・退 学,いじめ・迫害,非行一すべて現代教育の焦 眉の課題である。この授業では,これら具体的 な諸問題の検討とく生活指導〉概念の歴史的・
理論的な考察とを往復しつつ進めたい。そもそ も〈生活指導〉とは生活を指導するということ なのか,あるいは生活が指導するということな
のか……。
授業形式は,講義とゼミを並用し,資料ビデ ナの視聴,現場実践家の報告,見学なども予定
している。
教育相談や臨床を志す者及び自己に関心のあ
る者を対象に体験的学習(合宿5/30・31,
6/1:ロールプレー等)と若干の理論を通し
て,実感的,自己開発的に相談の在り方を体得して貰うことを狙いとする。
参考文献:
鳴沢実編著「学生・生徒相談入門一学校カ ウンセラーの手引とその実際」川島書 店
ボーイ・パイン著(鳴沢訳)「これからの学 校カウンセリング」同文書院
黒崎 勲 教育財政問題についての講義を行なう。教育
i財政制度の概要,教育財政問題の概観にとどま
らず,教育財政制度をめぐる教育理念について も検討の対象としてとりあげたい。教育費の問 題が単に教育にとっての条件の問題としてある のではなく,教育費の研究が教育のあり方を究 明する一つの方法となりうることを示し,そう した観点からみた場合,これまでの教育財政に ついて研究がいかなる義意と限界をもつもので あるかを明らかにすることを目的とする。障害者教育学
金5 4単位
茂木俊彦
障害者を障害と発達の角度から理解する視点と方法について述べ,また発達と教育の関係
講義名隊員名 講 義 内 容
(通年)
○教育学特殊講義
金4 2単位
(前期)
○教育学特殊講義
金4 2単位
(後期)
教育学特殊講義
金5 4単位
(通年)
演翻 習
教土 酵2教育学特殊講義
土6 4単位
(通年)
教 育 哲 学
土7 4単位
佐久間春夫
山本清洋
黒崎 勲
山住正己
小沢有作
小沢有作
論,教育実践論を扱う。必要なところでゼミ形 式をとって文献の検討と討論も行う。
自体目的的な身体運動が意図的な目的追求活 動として体育,スポーッあるいは競技といった 形をとるにつれ,様々な心理学的な諸問題をも
たらしている。
本講義では,これらのうち特に,運動の基礎 としての生理心理学的な問題,運動学習と指導 法の問題,運動と発達に関する問題,運動の社 会心理学的な問題などについてとりあげる。
子どもの教育を考える上で,子どもの概念を 明確にすることが第一義的に要請される。本講 義では,最近,新しいアプローチで子ども縁に せまっている本田和子の「異文化としての子ど
も」「子どもの視野から」「少女浮遊」を手掛り
に,概念化の方向と内容について学習する。更に,その結果をもとに子どもが生かされる 遊戯文化の構造について検討を重ねる。
「能力主義と教育」をテーマとして,基本的 な諸文献の講読演習をおこなう。これまでの,
教育における能力主義をめぐる擁護および批判 の諸議論について,厳密な再検討をおこないた い。能力主義の概念規定,能力主義の問題性,
能力主義批判の立脚する対抗原理,能力主義教 育と「権利としての教育」との関係などについ て,独自に考えるべき問題が,未解決のまま多
く残されていることを明らかにしたい。
前年につづき,平和と教育。
〈共生の教育〉の原理を探求する。人間を教 材とする方法で行う。次の時間に連続して行う 予定であるので,教育哲学の授業を合わせて受
講することが望ましい。
〈共生の教育〉とは何か,について,いろい ろな角度から探求する。さまざまな他者の人生