• 検索結果がありません。

竹幽文庫蔵『香道籬之菊』の紹介 : 和歌を主題と する組香(十一)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "竹幽文庫蔵『香道籬之菊』の紹介 : 和歌を主題と する組香(十一)"

Copied!
27
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

竹幽文庫蔵『香道籬之菊』の紹介 : 和歌を主題と する組香(十一)

著者 矢野 環, 福田 智子

雑誌名 社会科学

巻 49

号 1

ページ 1‑26

発行年 2019‑05‑31

権利 同志社大学人文科学研究所

URL http://doi.org/10.14988/pa.2019.0000000096

(2)

一 本稿は︑﹁︽資料︾竹幽文庫蔵﹃香道籬之菊﹄の紹介︱和歌を主題

とする組香︵一︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

46巻第

3号︑二〇一六年一一

月︶︑﹁同︱同︵二︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

46巻第

4号︑二〇一七年二

月︶︑﹁同︱同︵三︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

47巻第

1号︑二〇一七年五

月︶︑﹁同︱同︵四︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

47巻第

2号︑二〇一七年八

月︶︑﹁同︱同︵五︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

47巻第

3号︑二〇一七年十一

月︶︑﹁同︱同︵六︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

47巻第

4号︑二〇一八年二

月︶︑﹁同︱同︵七︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

48巻第

1号︑二〇一八年五

月︶︑﹁同︱同︵八︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

48巻第

2号︑二〇一八年八

月︶︑﹁同︱同︵九︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

48巻第

3号︑二〇一八年十一

月︶︑﹁同︱同︵十︶︱﹂︵﹃社会科学﹄第

48巻第

4号︑二〇一九年二

月︶に引き続き︑竹幽文庫蔵﹃香道籬之菊﹄所載の組香について︑と

くに和歌を主題とする組香を対象に︑翻刻と考察をおこなうもので

ある︒本稿では︑書の巻から︑小倉御幸香︑汐干香︑常盤木香の︑計

三つの組香を取り上げる︒資料に関わる基本的な説明は︑﹁︽資料︾

竹幽文庫蔵

﹃香道籬之菊﹄の紹介﹂

︵﹃社会科学﹄第

46巻第

2号︑

二〇一六年八月︶を参照されたい︒また︑凡例および香道用語解説

は︑前掲﹃社会科学﹄第

46巻第

3号に詳述しているので︑本稿では︑ 以下にその概略を記すにとどめる︒

凡例

一︑翻刻本文は︑底本の原態を尊重しつつ︑漢字・仮名ともに

通行の字体を用い︑適宜︑句読点を施す︒また︑朱書きには︑﹁︵朱︶﹂と示し︑一面の終わりには〝﹂〟を付して丁数を記す︒

一︑考察には︑︵

1︶竹幽本組香の方法︑︵

2︶和歌作品との関

わり︑というふたつの観点を設ける︒

一︑︵

1︶の冒頭には︑構造式を記す︒また︑解説を要する香道

用語には﹁*﹂を付す︒それらの用語については︑﹁香道用語

解説﹂︵﹃社会科学﹄第

46巻第

3号︶を参照されたい︒

一︑︵

2︶で引用する和歌作品の本文は︑特に断らない限り﹃新

編国歌大観﹄Ver.2︵角川書店︑二〇〇三年︶に拠る︒

︽資料︾

竹幽文庫蔵﹃香道籬之菊﹄の紹介 │ 和歌を主題とする組香︵十一︶ │

矢  野    環 福  田  智  子

(3)

一︑巻末には影印を付す︒

︽書巻︱九︾小倉御幸香

︻翻刻︼

   △︵朱︶小倉御幸香

百人一首           貞信公  

   小倉山峯の楓葉心あらは  今一たひの御幸またなん

  此哥に因て組侍たる也︒

一 小倉山香︑峯の紅葉香︑心有はの香︑今一度香︑各二包充︑

御幸またなん香一包ウ香なり︑都合九包出香とす︒

一 地香外に拵へ試に出す︒客香は試なし︒﹂書一七ウ

一 地香八包打交︑四包炷出し終て︑又残四包の内へ客香を加

へ五包とし︑打交て焚出す︒初五炷開︑六炷目よりは一炷

開として︑客香を限として香は終る也︒

一 記録点は︑地香何人聞にても一点充︑客香何人にても二点

充也︒

一 札数一人前九枚︑十人分九拾枚也︒﹂書一八オ

   札紋  十炷香札紋に同し

   札裏

  小くら山   峯の紅葉は   心あらは

  今一度の   各二枚充   御幸待なん  一枚

一 記録認様左に顕す︒﹂書一八ウ

   小倉御幸香之記

︹表︺﹂書一九オ

︻考察︼

               小倉山初     後        1︶竹幽本組香の方法

⁝         

   峯の紅葉      コ   

⁝         

       

2=

−8 4=

   4

   心有は      

5

        ×   今一度      

1

       御幸またなん   

  1

本香には︑地香﹁小倉山﹂﹁峯の紅葉﹂﹁心有は﹂﹁今一度﹂の

香︑各二包と︑ウ香︵客香︶﹁御幸またなん﹂の香一包の︑計九

包を用いる︒地香は試香を行う︒客香には試香はない︒

まず︑地香八包を交ぜ︑四包を焚き出す︵初段︶︒次に︑残り

の四包に客香一包を交ぜ︑五包にして︑一包ずつ焚き出す︵後

段︶︒一炷目から五炷目までは︑まとめて包紙を開き︑答えを披

露する五炷開きとし︑六炷目からは一炷開きで︑客香が出たら

香席を終える︵焚き止め︶︒この包紙の開き方は特異で︑通常は︑

初段を終えた時点︵本組香では四炷焚き終わった時点︶で包紙 ⎜⎜**

**

*

*

*

(4)

三 をまとめて開き︑後段に入ってから︵本組香では五炷目から︶

は一炷開きとすることが多い︒いずれにせよ︑六炷目に客香が

出ると︑最短で香席を終えることになる︒本伝書には︑その場

合の香之記を掲載している︒

答えには︑特殊な香札を用いる︒札紋は十炷香札と同じであ

るが︑札裏は︑香名をそのまま記したものである︒一人九枚︑十

人分を用意しておく︒

記録点は︑聞き当てた人数に関わらず︑地香は一点ずつ︑客

香は二点ずつである︒

2︶和歌作品との関わり

冒頭に掲げられている歌は︑﹃百人一首﹄二六番に載る︒

貞信公  

をぐら山みねのもみぢば心あらばいま一たびのみゆきまた

なん

この歌は︑﹃拾遺集﹄巻第十七雑秋︑一一二八番に載り︑﹁亭子

院大井河に御幸ありて︑行幸もありぬべき所なりとおほせたま

ふに︑ことのよしそうせんと申して﹂という詞書を付す︒貞信

公︵藤原忠平︶が︑小倉山の美しい紅葉を醍醐天皇にも見せた

いという宇多上皇の思いを汲んで詠んだ歌である

︒延喜七年

︵九〇七︶九月十日︑十一日の宇多上皇大堰川御幸︵日本紀略︶

の際の詠かともいわれる︒

本組香の五つの香名には︑この歌の五つの句がそのまま用い

られている︒客香﹁御幸またなん﹂が出るとそこで香席を終え

るのは︑﹁心ない﹂紅葉が﹁今一度の御幸﹂を待たずに散ってし

まったことを暗示するものか︒

︽書巻︱一四︾汐干香

︻翻刻︼

   △︵朱︶汐干香

類題和歌集          逍遙院實隆  

   さほ姫の貝拾ふ袖か霞しく春の濱辺は玉もよらなん

  此哥の心にて組侍る也︒

一 試なし︒

一 一二三の香︑各三包充︑ウ香一包︑都合十包出香﹂書三〇ウ

とし︑皆焚終て包紙を開くべし︒

一 無試十炷香の通り聞くべし︒連中銘々にて札銘替々色々貝

あるを趣向とせり︒

一 札一人前十二枚︑拾人分百廿枚也︒

   札紋 *

*

(5)

錦の浦  吹上濱  難波潟  籬が嶋  千くさの濱

伊勢の海  衣の浦  色の濱  志戸の浦  みつの濱﹂書三一オ

   札裏  一人前充違也

すたれ貝   わすれ貝   梅の花貝   さくら貝   各三枚充 真穂貝    紫貝     しら貝    撫子貝    同 まくら貝   きぬた貝   錦貝     いろ貝    同 ほら貝    都貝     浦うつ貝   千鳥貝    同 すゞめ貝   板屋貝    あこや貝   蚫貝     同 片貝     空背貝    はな貝    あさり貝   同﹂書三一ウ

しほ貝    かたつ貝   芦貝     みぞ貝    同 蛤貝     蜆貝     千種貝    あま貝    同 磯貝     こやす貝   酢貝     ゑぼし貝   同 珠貝     帆貝     こも貝    からす貝   同

一 記録点は︑ウ香独聞四点︑二人より二点充︑地香独聞二点︑

二人より一点充也︒点数を幾籃と認る︒皆中は褒美に聞の

下に哥一首前に出すを書く︒皆無は満汐と認るべし︒﹂書三二オ

   汐干香之記

  ︹表︺﹂書三二ウ ︻考察︼︵

   二             一           1︶竹幽本組香の方法

3

       三       

10

        ウ   

1

本香には︑地香﹁一﹂﹁二﹂﹁三﹂の香︑各三包と︑ウ香一包

の︑計十包を用いる︒試香はない︒

無試十炷香の通りに聞くが︑札は一人十二枚ずつ特殊なもの

を用いる︒すなわち︑札表の紋は﹁錦の浦﹂以下︑汐干狩りに

ちなんだ十の地名を配し︑札裏は︑﹁すたれ貝﹂﹁わすれ貝﹂な

ど︑一人ずつ別に︑四種類の貝の名を記したものである︒

記録点は︑ウ香の独り聞きは四点︑二人以上では二点と高く︑

地香の独り聞きは二点︑二人以上は一点である︒点数を助数詞

﹁籃﹂で記すのも︑やはり汐干狩りにちなむものである︒すべて

聞き当てた場合は︑褒美として記録の最下段に冒頭の歌一首を

書く︒また︑すべて聞き違えた場合は﹁満潮﹂と記す︒汐干狩

りができなかったことをいうのであろう︒

2︶和歌作品との関わり

冒頭に掲げられている歌は

︑﹃類題和歌集﹄巻一春之一

***

*

*

(6)

五 七七八番に載る︵以下︑当該歌集の本文の引用は︑日下幸男﹃類

題和歌集﹄︿研究叢書413︑和泉書院︑二〇一〇年一二月﹀に

拠 る

︒ ︶ ︒

  ︵春浜霞︶

さほ姫のかいひろふ袖か霞しく春のはまへは玉もよらなん 

  逍遙院  

佐保姫は春をつかさどる女神で︑﹁さほひめの衣はるかぜなほさ

えてかすみの袖にあはゆきぞふる﹂︵続後撰集・春上・二〇・嘉

陽門院越前・早春霞といへる心を︶︑﹁さほひめのはないろごろ

も春をへて霞のそでににほふ山かぜ﹂︵続後撰集・春中・七七・

大納言通方・春の歌中に︶︑﹁さほひめのとこのうらかぜふきぬ

らしかすみのそでにかかるしらなみ﹂︵続古今集・春上・五〇・

藤原光俊朝臣・従二位家隆家にて︑浦霞といふことをよみ侍り

ける︶といった歌が見られ︑春霞を佐保姫の袖に見立てる例も

あるが︑当該歌は︑浜辺一面に春霞が立つ情景を︑佐保姫の袖

に見立てたのみならず︑そこに拾い集めた貝を認めた点に斬新

さがあろう︒なお︑同歌は︑﹃雪玉集﹄巻第十六︑六七七一番

︵百首  永正二年︿一五〇五﹀八月廿日︶に収められている︒

さて︑本組香には︑十の地名と四十の貝の名称が用いられて いるが︑注目すべきは︑本伝書跋文の宝暦七年︵一七五七︶から溯ること六年︑寛延四年︵一七五一︶に刊行された大枝流芳﹃貝盡浦の錦﹄との重複である︒

大枝流芳は︑江戸時代中期︑享保頃に活躍した香道家︒御家

流に志野流と米川流を加味した大枝流の祖として知られる︒折

からの博物学の流行を背景に︑日本で初めて貝類書として刊行

したのが﹃貝盡浦の錦﹄上・下であった︒とくに下巻には︑貝

の挿絵とともに︑﹁前歌仙三十六首和歌﹂﹁歌仙貝三十六種歌後

集﹂と称される︑貝を詠み込んだ和歌が十八番三十六首︑前後

あわせて七十二首掲載されている︒本稿では︑貝の形状につい

ては﹃貝盡浦の錦﹄の挿絵に譲り︑和歌との関わりから本組香

の貝の名称と地名を考察する︒なお︑﹃貝盡浦の錦﹄本文は︑早

稲田大学古典籍総合データベース所載︑請求番号ニ1500715の

画像に拠る︵http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/

ni15/ni15_00715/index.html

︶ ︒

全四十種の貝の名称のうち︑三十四番目から三十九番目まで

の﹁こやす貝﹂﹁酢貝﹂﹁ゑぼし貝﹂﹁珠貝﹂﹁帆貝﹂﹁こも貝﹂の

六種を除く︑実に三十四種までが︑前述の﹃貝盡浦の錦﹄所載

和歌の題として取り上げられている︒いま︑煩を厭わず︑それ

らの和歌を列挙し︑﹃貝盡浦の錦﹄所載箇所を明示するとともに︑

主として﹃新編国歌大観﹄に拠り︑同歌を収める歌集名と歌番

(7)

号︑和歌本文︑詞書などを列挙する︒﹃貝盡浦の錦﹄所載の集付

︵集付がない場合は作者名︶と一致する歌集の項目には▼を付し

て示す︒なお︑本組香に用いられる地名が詠み込まれている場

合は︑当該箇所に傍線を付す︒

1︶すたれ貝︵下・八丁・表︑前歌仙三十六首和歌・一番︶

   伩介 左一

山家集波かくる吹上の濱のすだれ貝風もぞおろすいそぎ拾はむ

▼ ﹃山家集﹄下︑雑︑一一九三番︵内にかひあはせせんとせ

させ給ひけるに︑人にかはりて︶

▽ ﹃西行法師家集﹄︑雑︑六六四番︵題不知︑﹁なみよする﹂

﹁いそにひろはば﹂

▽ ﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇八八番

︵すだれ貝/同︿内裏のかひあはせに人にかはりて﹀/同

︿西行上人﹀︶

▽ ﹃歌枕名寄﹄巻第三十三︑玉津島篇︑八三八一番︵内裏根

合 伩貝/西行︶

2︶aわすれ貝︵下・八丁・表︑前歌仙三十六首和歌・二番︶

   忘介  右一 後拾遺松山のまつが浦かぜふきよせばひろひて忍べ恋わすれ貝▼﹃後拾遺集﹄巻第八︑別︑四八六番︵さぬきへまかりけ

るひとにつかはしける  中納言定頼︑﹁まつのうらかぜ﹂︶

▽﹃定頼集﹄七五番︵みつなりがさぬきへいくにやりたま

うける︑﹁松のうら風﹂︶

▽﹃若宮社歌合建久二年︵一一九一︶三月﹄五番判詞︵﹁ま

つのうら風﹂︶

▽﹃井蛙抄﹄四〇二番︵定頼卿︑﹁まつのうらかぜ﹂︶

▽﹃五代集歌枕﹄下︑一一一二番︵中納言定頼︑﹁まつのう

らかぜ﹂︶

▽﹃歌枕名寄﹄巻第三十四︑讃岐国︑八八三〇番︵松山/

後拾八/中納言定頼︑﹁まつのうら風﹂︶

▽﹃歌枕名寄﹄巻第三十四︑讃岐国︑八八三五番︵松浦 

泊磯/後拾八/定頼︑﹁松のうら風﹂︶

  bわすれ貝︵下・十五丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・二番︶

   わすれ貝  右一

夫木順徳院みつのはま磯こす波の忘れ貝わすれず見する松がねの聲

▽﹃建保名所百首﹄一一八九番︵三津浜摂津国/女房︿順徳

院﹀︑﹁岩こす波の﹂﹁わすれずみゆる松がねの夢﹂︶

(8)

七 ▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇八〇番︵建保三年名所百首御歌  順徳院御製︑﹁わすれずみゆる

松がねの夢﹂︶

▽﹃紫禁和歌集︵順徳院︶﹄七一四番︵同︿建保三年﹀十月

廿四日︑名所百首︑人人つかうまつりしとき/三津浜︑

﹁忘れずみゆる松がねの夢﹂︶

3︶梅の花貝

︵下・八丁・表︑前歌仙三十六首和歌・三番︶

   梅花介  左二

春風に波やおりけんみちのくの籬が嶋のむめのはなかい

︵下・十五丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・三番︶

   梅の花貝  右二

新後拾俊頼春風に浪やおりけんみちのくのまがきが嶋の梅のはな貝

▽﹃散木奇歌集︵俊頼︶﹄第九︑雑部上︑一三六九番︵しり

たる人のもとより梅花貝といふものやあるとたづねたり

ければつかはすとてよめる︑﹁まがきのしまの﹂︶

▽﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇九二番

︵梅華貝/人のもとより貝をこひて侍りけるをつかはす

とて/俊頼朝臣︑﹁まがきのしまの﹂︶ ▽﹃雲玉集﹄︵馴窓︶春部︑四七番︵俊頼の歌に︑﹁籬の島

の﹂︶

▽﹃歌枕名寄﹄巻第二十八︑七三〇八番︵梅花貝/俊頼朝

臣︑﹁まがきのしまの﹂︶

4︶aさくら貝︵下・八丁・表︑前歌仙三十六首和歌・四番︶

   桜介  右二

夫木西行春たてはかすみのうらのあま人はまづひろふらんさくら貝

をや

▼﹃夫木抄﹄巻第二十五︑雑部七︑一一四五八番︵かすみ

のうら︑霞︑常陸/永久四年十月斎宮宣旨家歌合︑浦霞 

読人しらず︑﹁さくらがひをやまづひろふらん﹂︶

  bさくら貝︵下・十五丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・五番︶

   桜貝  左三

定家建保百首伊勢の海浪の玉よる桜貝かひある浦のはるのいろかな

▼﹃建保百首﹄春二十首︑八七番︵伊勢海伊勢国/定家卿︑

﹁玉よる波に﹂︶

▽﹃拾遺愚草﹄上︑一二〇八番︵伊勢海/内裏百首名所  初

冬同詠百首和歌  参議藤原定家/春廿首︑﹁玉よる浪に﹂︶

(9)

▽﹃夫木抄﹄巻第二十三︑雑部五︑一〇二九六番︵伊勢の

海/建保三年名所百首/前中納言定家卿︑﹁玉よる波に﹂︶

▽﹃歌枕名寄﹄巻第十七︑伊勢海篇︑四六七六番︵建保百 

桜貝/定家︑﹁いせの海の玉よるなみの﹂︶

5︶真穂貝

︵下・十一丁・表︑前歌仙三十六首和歌・三四番︶

   真蘇枋介  右十七

同︵山家集西行︶しほそむるますふの小貝ひろふとて色の濱とはいふにやあ

るらむ

︵下・十六丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・六番︶

   ますほ貝  右三

夫木しほそむるますふの小貝ひろふとて色の濱とはいふにや有

らん

▼﹃山家集﹄下︑雑︑一一九四番︵内にかひあはせせんと

せさせ給ひけるに︑人にかはりて︑﹁ますほのこがひ﹂︶

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三一〇三番

︵ますほの貝/内裏の貝あはせの歌に人にかはりて/西

行上人︑﹁ますほのこがひ﹂﹁いふとやあるらん﹂︶ ︵

6︶紫貝

︵下・八丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・七番︶

   紫貝  左四

夫木むらさきの貝よる浦の藤潟は波のかへるぞ花と見えける

︵下・十六丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・一三番︶

   紫貝  左七

夫木むらさきの貝よる浦の藤かたは波のかへるぞ花と見えけり

▽﹃斎宮貝合﹄三番︵ふぢかた︑﹁なみのかかるぞはなとみ

えける﹂︶

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三一〇七番

︵むらさきのかひ/長久元年五月良子内親王家歌合︑ふぢ

がた  読人しらず︑﹁浪のかくるぞ﹂︶

7︶しら貝

︵下・八丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・八番︶

   白貝  右四

はる〴〵としらゝの濱の白貝は夏さへふれる雪かとぞ見る

︵下・十六丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・一四番︶

   白貝  右七

(10)

名寄はる〳〵としゝらの濱の白貝はなつさへふれる雪かとぞ見る▽﹃斎宮貝合﹄二三番︵しろらのはま︑﹁しろらのはまのし

ろがひは﹂︶

▼﹃歌枕名寄﹄巻第十八︑四八四九番︵白良浜  又云真白

良浜/同︿斎宮貝合  月 白貝﹀  ﹁しろ貝は﹂︶

8︶撫子貝

︵下・九丁・表︑前歌仙三十六首和歌・一四番︶

   撫子介  右七

夫木西行千しほしむなでしこ貝にしく色はやまとからにもあらしと

ぞ思ふ

︵下・十六丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・一五番︶

   なでしこ貝  左八

夫木西行千しほしむなでしこ貝にしく色はやまとからにもあらしと

ぞおもふ

▽﹃斎宮貝合﹄一四番︵なでしこがひ︶

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三一〇二番 ︵なでしこ貝  同︿読人しらず﹀︶

9︶まくら貝︵下・十七丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・一八

番︶

   枕貝  右九

大江廣重舩とむるいその浪路のまくら貝かひある夢にあはざらめや

▽出典未詳︒ただし︑﹃日本国語大辞典﹄第二版︵小学館︶

が指摘するように︑後の﹃和訓栞﹄︵底本増補語林倭訓

栞︶には︑大江広重の歌として収載される︒ただし︑文

政十三年︵一八三〇︶版本には︑この歌は掲載されてい

ない︒

10︶きぬた貝︵下・十七丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・一七

番︶

   きぬた貝  左九

契りをきし衣の浦の䝄ふけてうてるきぬたのかひもなかり

▽出典未詳︒

(11)

一〇

11︶錦貝︵下・十六丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・七番︶

   錦貝  左四

三条院御製こきまぜに色をつくしてよる貝はにしきの浦とみゆるなり

けり

▽﹃斎宮貝合﹄二九番︵にしきのうらにいろいろのかひよ

せたり︶

12︶aいろ貝︵下・一〇丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・三〇番︶

   色介  右十五

夫木菩提院関白汐みてば磯間になびく色貝のうきみしづみゝ恋わたるかな

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三一〇五番

︵永万二年五月経盛卿家歌合︑恋  菩提院関白家卿︶

  bいろ貝︵下・十六丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・八番︶

   色貝  右四

名所記いろ〳〵の貝ありてこそ拾はめれちくさの濱のあまのまに

〳〵

▽﹃夫木抄﹄巻第二十五︑雑部七︑一一七五〇番︵ちぐさ

のはま︑上総/題しらず︑懐中  読人不知︑﹁ひろはるれ ちぐさのはまをあさるまにまに﹂▽﹃歌枕名寄﹄巻第二十一︑上総国︑五五三七番︵千草浜 

同︿懐中﹀︑﹁ひろはるれちくさのはまをあさるまにまに﹂︶

▽﹃歌枕名寄﹄未勘国下︑九五五八番︵︿千草﹀浜︑﹁ひろ

ひけれちくさのはまをあさるまにまに﹂︶

13︶aほら貝︵下・一〇丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・二八番︶

   梭尾螺  右十四

山ふしのこしにつけたるほらの貝ふくるをまゝの秋の夜の

▽﹃和漢三才図絵﹄巻十九および巻四十七﹁ほらのかひ﹂

の項︒集付﹁夫木﹂︒作者名﹁行圓﹂︒ただし︑﹃夫木抄﹄

の﹃新編国歌大観﹄所収テキスト︵底本静嘉堂文庫本︶︑

および寛文五年版本には見当たらない︒

︽参考︾﹃沙石集﹄四六番﹁山臥の  腰につけたる  ほら貝

の 岩ほの上に  ほくとおち  ちやうどわれ  くだけて

物を  思ふころかな﹂

  bほら貝︵下・十六丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・九番︶

   ほらの貝  左五

寂蓮山ふしのほら吹みねの夕暮にそこともしらぬすゝの上風

(12)

一一 ▼﹃正治初度百首﹄一六四九番︵詠百首和歌  沙弥寂蓮︑

﹁夕霧に﹂︶

▼﹃夫木抄﹄巻第三十五︑雑部十七︑一六五五〇番︵法師

/老若五十首歌合  寂蓮法師︑﹁夕霧に﹂︶

▼﹃高良玉垂宮神秘書紙背和歌﹄一四八番︵正治百首  寂

蓮︑﹁ゆふぎりに﹂︶

14︶都貝

︵下・一〇丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・二七番︶

   都介  左十四

夫木ともすればこひしきかたの名におへる都貝をぞまづ拾ひぬ

︵下・十六丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・一〇番︶

   都貝  右五

夫木ともすれば恋しきかたの名におへるみやこ貝をぞ先拾ひぬ

▽﹃斎宮貝合﹄一六番︵みやこがひ︑﹁なにおつる﹂﹁ひろ

ひつる﹂︶

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇九七番 ︵みやこ貝  同︿長久元年五月良子内親王家歌合﹀ 

同 ︿

人しらず﹀︑﹁まづひろひつる﹂

15︶浦うつ貝

︵下・九丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・一九番︶

   浦打介  左十

夫木田䌣さはぐあしのもと葉をかきわけて浦打貝を拾ひつるか

︵下・十六丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・一一番︶

   うら打貝  左六

田䌣さはぐ芦のもと葉をかきわけて浦うつ貝をひろひつる

かな

▽﹃斎宮貝合﹄九番︵あしはらにつるたてるなかにうらう

つせがひひろふ︑﹁あしのなしはの﹂﹁あさりつるかな﹂

▽﹃斎宮貝合﹄一五番︵あらはにつるたてるところにうら

うつかひ︑﹁あさりつるかな﹂︶

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三一〇一番

︵うらうつ貝  同︿読人しらず﹀︶

(13)

一二

16︶千鳥貝︵下・十七丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・一九番︶

   千鳥貝  左十

はまちどりふみをくあとのつもりなばかひある浦にあはざ

らめやは

▽﹃新古今集﹄巻第十八︑雑歌下︑一七二六番︵最慶法師︑

千載集かきてたてまつりけるつつみがみに︑すみをすり

筆をそめつつとしふれどかきあらはせることのはぞなき︑

とかきつけて侍りける︑御返し  後白河院御歌︶

17︶すゞめ貝

︵下・一〇丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・二六番︶

   雀介  右十三

波よする竹のとまりの雀貝うれしき世にもあひにけるかな

︵下・十七丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・二〇番︶

   すゞめ貝  右十

夫木大江廣重波よする竹のとまりの雀貝うれしき世にもあひにける哉

▽﹃山家集﹄下︑雑︑一一九五番︵内にかひあはせせんと

せさせ給ひけるに︑人にかはりて︑﹁なみふする﹂︶

▽﹃西行法師家集﹄雑︑六六三番︵題不知︑﹁うれしき世世

に﹂︶ ▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇八九番︵すずめ貝  同︿内裏のかひあはせに人にかはりて﹀  同

︿西行上人﹀︶

▽﹃六花集﹄巻第六︑雑歌上︑一六八七番︵西行︑﹁うれし

き代代に﹂︶

18︶板屋貝

︵下・一〇丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・二九番︶

   文蛤介  左十五  いたや介に二人蛤の字を用る事尤誤なり海扇の字を用へし文蛤はあさりなり

信實あやしくもうらめづらしきいたや貝笘ふく海士のならひな

らずや

︵下・十七丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・二一番︶

   いたや貝  左十一

新六帖信実あやしくもうらめつらしき板や貝とまふくあまのならひな

らずや

▼﹃新撰和歌六帖﹄第三帖︑一一五九番︵かひ︑信実︑﹁あ

やしくぞ﹂︶

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇九四番

︵いたや貝  同︿六帖題﹀  信実朝臣︶

(14)

一三 ︵

19︶あこや貝︵下・十七丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・二二

番︶

   あこや貝  右十一

西行あこやとるゐ貝のからをつみをきてたからのあとを見する

成けり

▼﹃山家集﹄下︑雑︑一三八七番︵いらこへわたりたりけ

るに︑いがひと申すはまぐりに︑あこやのむねと侍るな

り︑それをとりたるからをたかくつみおきたりけるをみ

て︶

20︶蚫貝︵下・十七丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・二三番︶

   あはび貝  左十二

千首牡丹花なべてよの恋ぢにいかでうつしけんあはびの介のおのが思

ひを

▼﹃類題和歌集﹄二三七三八番︵千首/寄貝恋/肖柏︶

21︶a片貝︵下・八丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・五番︶

   片介  左三

いせ嶋や二見のうらのかたし貝あはで月日を待ぞつれなき ▽﹃建保百首﹄恋二十首︑九四八番︵二見浦伊勢国  藤原康

光︶

▽﹃夫木抄﹄巻第二十五︑雑部七︑一一五九二番︵ふたみ

のうら︑伊勢又播磨又但馬/同︿建保三年名所百首歌め

しけるに﹀  藤原康光︶

▽﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三一〇六番

︵かたし貝/建保三年名所百首  ふぢはら康光︶

▽﹃歌枕名寄﹄巻第十七︑伊勢島篇︑四七五六番︵二見浦 

但馬并幡磨有同名  康光︶

  b片貝︵下・十七丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・二四番︶

   かたし貝  右十二

後花園院御製我袖はいつかひかたのかたし介あふてふことも浪にしほれ

▼﹃後花園御集﹄︵書陵部蔵五〇一・六三八︒﹃私家集大成﹄

に拠る︶四七八番︵恋二十首/寄潟恋︶

22︶a空背貝︵下・九丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・一五番︶

   空背介  左八

堀河百首師頼思ふ事ありその海のうつせ貝あはでやみぬる名をや残さん

(15)

一四

▼﹃堀河百首﹄恋十首︑一一五六番︵不逢恋/師頼︶

▽﹃新後撰集﹄巻第十二︑恋歌二︑九二七番︵堀川院に百

首歌たてまつりける時  大納言師頼︶

▽﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇九一番

︵うつせがひ/堀川院御時百首   大納言師頼卿︶

▽﹃歌枕名寄﹄巻第二十九︑越中国︑七四九五番︵堀百/

師頼︶

  b空背貝︵下・十七丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・二五番︶

   うつせ貝  左十三

続後撰集讀人不知波のうつみしまの浦のうつせ介むなしきからに我やなるら

▼﹃続後撰集﹄巻第十八︑雑歌下︑一二二六番︵題しらず/

好忠︑﹁われやなりなん﹂︶

▽﹃万代集﹄巻第十六︑雑歌三︑三二八五番︵題しらず/

好忠︑﹁むなしきからとわれやなりなむ﹂︶

▽﹃歌枕名寄﹄巻第十五︑三島︑四二一五番︵三島/浦/

続後十八/曾禰好忠︑﹁われや成りけん﹂

23︶はな貝︵下・九丁・表︑前歌仙三十六首和歌・一三番︶

   花介  左七 夫木枝なからうつまて波のおらねばやちり〳〵よする千代の花貝▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇九九番︵はな貝/さまざまの花がひどもおほくよりたり/同︿読

人しらず﹀︑﹁うづまく浪も﹂︶

24︶あさり貝︵下・十八丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・二七

番︶

   あさり貝  左十四

光俊いせの浦のしほひにあさりもとめたるかひをぞたもつ身を

ば捨つゝ

▼﹃新撰六帖﹄第三帖︑一一六〇番︵かひ/光俊/﹁いせ

のあまの﹂﹁かひをぞまもる﹂︶

25︶しほ貝︵下・十八丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・二八番︶

   しほ貝  右十四

師兼伊勢の海の浦の汐貝ひろふてふあまりに袖のぬれとかはか

(16)

一五 ▼﹃師兼千首﹄恋二百首︑七九九番︵寄貝恋︑﹁ぬれてかわ

かぬ﹂︶

26︶かたつ貝︵下・十八丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・三〇

番︶

   かたつ貝  右十五

海道記長明たのみつる人はなぎさのかたつ貝あはぬにつけて身をそう

らむる

▼﹃海道記﹄七二番︵作者/﹁片し貝﹂﹁身を恨みつつ﹂︶

27︶芦貝︵下・十八丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・三一番︶

   あし貝  左十六

津守冬海原やなみにゆらるゝあし貝のかひある国となれるかしこ

▼﹃新千載集﹄巻第二十︑慶賀歌︑二三五八番︵題しらず/

津守国冬︑﹁波にただよふあしかびの﹂︶

▼﹃津守集﹄二〇〇番︵第廿慶賀  題不知/国冬︑﹁浪にた

ゆたふあしかびの﹂︶ ︵

28︶みぞ貝

︵下・九丁・表︑前歌仙三十六首和歌・一一番︶

   溝介  左六

江の淀にみぞ貝ひろふうなひこがたはふれにだに問人もな

︵下・十八丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・三二番︶

   みぞ貝  右十六

江の淀にみぞ貝ひろふうなひ子がたはふれにだに問人もな

▽﹃散木奇歌集﹄︵俊頼︶第九︑雑部上︑一三五〇番︵むか

ひの江にわらはのあそびたはぶるるをたづぬれば︑みぞ

がひといふ物ひろふなりといふを聞きてよめる/﹁たは

ぶれにてもとふ人ぞなき﹂︶

▽﹃田上集﹄︵俊頼︶七六番︵むかひの江に︑童のあそびた

はぶるるを︑尋ぬれば︑みぞがひといふ物ひろふなりと

いふをききてよめる/﹁たはぶれにてもとふ人ぞなき﹂︶

▽﹃夫木抄﹄巻第三十五︑雑部十七︑一六七五〇番︵俊頼

朝臣/︿左注﹀此歌は︑たなかみにてむかひのえにわら

はべのあそびたはぶるるをたづぬれば︑みそがひひろふ

といふをききてよめると云云︶

(17)

一六

29︶蛤貝

︵下・八丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・九番︶

   蛤介

今ぞしる二見の浦のはまぐりを貝あはせとぞおもふなりけ

︵下・十八丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・三三番︶

   はまぐり貝  左十七

西行今ぞしるふたみの浦のはまぐりを貝あはせとぞ思ふなりけ

▼﹃山家集﹄下︑雑︑一三八六番︵伊せのふたみのうらに︑

さるやうなるめのわらはどものあつまりて︑わざとのこ

ととおぼしく︑はまぐりをとりあつめけるを︑いふかひ

なきあま人こそあらめ︑うたてきことなりと申しければ︑

かひあはせに京より人の申させ給ひたれば︑えりつつと

るなりと申しけるに/

﹁ かひあはせとておほふなりけ

り﹂︶

▽﹃夫木抄﹄巻第二十五︑雑部七︑一一五九三番︵家集  西

行上人︑﹁かひあはせとておほふなりけり﹂ ︵

30︶蜆貝

︵下・九丁・表︑前歌仙三十六首和歌・一〇番︶

   蜆介  右五

しゝみとる堅田の浦のあま人よこまかにいはゞかひぞある

へき

︵下・十八丁・裏︑歌仙貝三十六種歌後集・三四番︶

   しゞみ貝  右十七

千首為尹しゝみとるかたゝの浦のあま人よこまかにいはゞかひぞあ

るへき

▼﹃為尹千首﹄恋二百首︑七九六番︵寄貝恋︶

31︶千種貝

︵下・一〇丁・表︑前歌仙三十六首和歌・二二番︶

   千種介  右十一

夫木君が代のためしと見ゆる長濱に千くさの貝の数もつきせじ

︵下・十九丁・表︑歌仙貝三十六種歌後集・三六番︶

   千くさ貝  右十八

夫木君か代のためしと見ゆる長濱に千種の貝の数もつきせじ

(18)

一七 ▽﹃斎宮貝合﹄二番︵ながはま/﹁かずもしられず﹂︶

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇九六番

︵ちくさのかひ/長久元年五月良子内親王家歌合︑ながは

ま/読人しらず︶

32︶あま貝︵下・九丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・一八番︶

   蜑介  右九

浪まくら一夜もうきを住吉とあやしいかなるあまがいふら

▽出典未詳︒

33︶磯貝︵下・一〇丁・表︑前歌仙三十六首和歌・二〇番︶

   磯介  右十

夫木人丸水底の玉にまじれる磯貝のかた恋のみぞ年はへにつゝ

▼﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇八二番

︵いそがひ/題しらず/人丸︑﹁かたこひのみに﹂︶

※ ﹃万葉集﹄巻第十一︑二八〇六︵二七九六︶番︵﹁水

泳︿

み づ く く る

﹀ ﹂ ﹁

恋耳︿かたこひのみに﹀﹂ ︵

34︶こやす貝︑︵

35︶酢貝︑︵

36︶ゑぼし貝︑︵

37︶珠貝︑︵

38︶

帆貝︑︵

39︶こも貝

所載歌なし︒

40︶からす貝︵下・一〇丁・裏︑前歌仙三十六首和歌・二五

番︶

   烏介  左十三

山家集西行浪よするしらゝの濱のからす貝拾ひやすくもおもほゆるか

▼﹃山家集﹄下︑雑︑一一九六番︵内にかひあはせせんと

せさせ給ひけるに︑人にかはりて︶

▽﹃夫木抄﹄巻第二十七︑雑部九︑動物部︑一三〇九〇番

︵からすがひ/同︿内裏のかひあはせに人にかはりて﹀/

同︿西行上人﹀︶

▽﹃歌枕名寄﹄巻第十八︑四八五一番︵白良浜  又云真白良

/西行︶

出典としてまず注目すべきは︑﹃斎宮貝合﹄であろう︒︵

6︶

7︶ ︵ 8︶ ︵ 11︶ ︵ 14︶ ︵ 15︶ ︵

31︶の七首の歌が見える︒﹃新編国

歌大観﹄解題︵糸井通浩氏︶に拠れば︑長久元年︵一〇四〇︶

(19)

一八

五月一六日︑当時伊勢斎宮であった後朱雀院皇女良子内親王を

主催者とする貝合で︑陽明文庫所蔵本が孤本として伝わるとい

う︒ただし︑先の七首のうち五首は﹃夫木抄﹄に載っており︑こ

こからの採歌が多いだろう︒﹃夫木抄﹄巻二十七︑雑部九︑動物

部には︑﹁貝﹂題の歌群︵一三〇七四〜一三一〇七︶がある︒

また︑西行法師﹃山家集﹄の歌も六首を数える︒中でも︑﹁内

にかひあはせせんとせさせ給ひけるに︑人にかはりて﹂という

詞書を有する歌群︵一一八九〜一一九七番︶の歌は︑︵

1︶ ︵ 5︶

17︶ ︵

40︶の四首ある︒﹃夫木抄﹄には︑全六首のうち︵

19︶を

除く五首が載る︒

なお︑︵

27︶﹁芦貝﹂の題に載る津守国冬歌は︑本来︑﹁芦牙﹂

︵芦の若芽︶の意であったであろう︒

﹃貝盡浦の錦﹄下に取り上げられていない貝でも︑実は︑同書

上巻に

︑﹁

こやす貝﹂

︵上

・一七丁

・表

︑貝子︶

︑﹁酢貝﹂

︵上

一四丁・表︶︑﹁ゑぼし貝﹂︵上・二四丁・表︑烏帽子介︶︑﹁珠

貝﹂︵上・二〇丁・表︑玉介︶の名が見える︒中でも﹁珠貝﹂は︑

﹃斎宮貝合﹄に︑﹁うらちかみよるくるふねのともすひのかげか

とみえてともすひかる玉がひ﹂︵一七/﹃夫木抄﹄巻第十九雑部

一︑七九一八番にも︶︑﹁いさりするあまのたくひとみえつるは

たまがひよするひかりなりけり﹂︵三一︶の二首の歌がある︒

さて︑本伝書には十の地名が列挙されている︒まず︑﹁錦の 浦﹂については︑︵

11︶﹁錦貝﹂で取り上げた﹁こきまぜに﹂の

歌に詠まれており︑﹃貝盡浦の錦﹄は︑上巻の序文に続いてこの

歌を挙げる︵上・一丁裏〜二丁表︶︒その他︑﹁吹上濱﹂は︵

1︶

﹁すだれ貝﹂︑﹁籬が嶋﹂は︵

3︶﹁梅の花貝﹂︑﹁千くさの濱﹂は

12︶b﹁いろ貝﹂︑﹁伊勢の海﹂は︵

4︶ a

さ く

ら 貝

﹂ ・ ︵

25︶

﹁ し ほ 貝

﹂ ︑ ﹁

衣 の 浦

﹂ は

10︶﹁きぬた貝﹂︑﹁色の濱﹂は︵

5︶

﹁真穂貝﹂︑﹁みつの濱﹂は︵

2︶﹁わすれ貝﹂の項目に取り上げ

た歌に用例が見出せる︒また︑﹁難波潟﹂は︑前掲﹃山家集﹄の

﹁内にかひあはせせんとせさせ給ひけるに︑人にかはりて﹂とい

う詞書を有する一連の歌群の中に︑﹁なにはがたしほひばむれて

出でたたんしらすのさきのこがひひろひに﹂︵

下・

雑・

一一九〇︶

という歌がある︒﹁志戸の浦﹂は︑﹃平家物語﹄志戸合戦でも知

られるが︑貝に関わる和歌の用例は未だ管見に入らない︒

前述の大枝流芳には︑﹃香道千代の秋﹄という著作がある︒︑そ

の中に

︑﹁

拾貝香﹂という組香が見える

︒盤を海辺に見立て

三十六歌仙に倣い︑貝を海と磯に十八個ずつ三十六個並べて置

き︑催馬楽﹃伊勢の海﹄を主題として四種類の香を聞き分けて︑

聞き当てると盤上の貝を得るという組香である︒本組香は︑こ

の﹁拾貝香﹂の発想をもとに︑同じ大枝流芳の﹃貝盡浦の錦﹄

を参考にして作られたものと推察される︒

なお︑﹃貝盡浦の錦﹄は︑先行する﹃教訓注解  絵本貝歌仙﹄

(20)

一九 ︵延享五年︿一七四八﹀刊︶を念頭に著されたと思しい︒﹃貝盡

浦の錦﹄所載歌の多くは﹃教訓注解  絵本貝歌仙﹄に認めるこ

とができる︒出典未詳歌三首のうちの︵

9︶まくら貝と︵

10︶

きぬた貝の歌も︑﹃絵本貝歌仙﹄上巻に掲載されている︒

さらに︑﹃教訓注解  絵本貝歌仙﹄は︑﹃三十六貝歌合﹄︵元禄

三年︿一六九〇﹀序︶に拠るところが大きい︒そこにも︑﹃貝盡

浦の錦﹄所載歌を多く見出し︑出典未詳歌のうち︑前述の二首

の他︑残る一首︑︵

32︶あま貝の歌も︑上巻五番歌︵和泉書院影

印叢書

5﹃恩頼堂文庫旧蔵伝霊元天皇宸筆三十六貝歌合﹄︿富

山高至編著・和泉書院・昭和六十年十一月﹀︶に見出される︒こ

こに︑貝を題とした和歌の系譜をたどることができよう︒

︽書巻︱一七︾常盤木香

︻翻刻︼

  △︵朱︶常盤木香

續千載集         藤原信實朝臣  

   高砂の尾上の松の朝霞たな引見れは春は来にけり

古今集        よみ人しらす  

   我見ても久敷成ぬ住の江の岸の姫枩いく世經ぬらん

一 十炷香の札を用︒﹂書三六ウ

一 初二炷聞二次︑後一炷聞六次本香を開くは十炷皆焚終りて開く也︒ 一 高砂松の香︑尾上松の香︑住吉松の香︑岸姫松の香︑各二包充︑相生の香二包客香也︒一包充

︑都合十包出香とす︒高砂松

の香︑住吉松の香斗︑外に拵へ試に出す︒其餘の香︑皆試

なし︒

一 高砂松の香一包︑尾上松の香一包︑交壱結とす前後の差別なし︒住吉松

の香一包︑岸姫松の香一包︑交壱結として二結﹂書三七オ打交

て二炷聞に焚出し終りて︑残六包を一炷聞にして焚出す也︒

  但し札筒は毎次廻し︑札を折居に入置べし︒

一 香十包焚終りて後に︑札を折居より出し︑一同に記録にし

るして︑本香包を開て点星をかくる也︒

一 高砂松と尾上松と組たるは︑播磨の松の札を打前後の差別なし    ︒住

吉松と岸姫松と組たるは︑摂津の松の札を打べし﹂書三七ウ

前後の差別なし    ︒香本にも如此認べし︒

一 記録本には︑二炷充並べて認る也︒記録点は︑播磨松・摂

津松の中りは一点長く掛る︒もし皆中成る時は一点をまし

て二点にするべし︒其外の香は二炷中りたるは二点充︑一

炷の片中は一点たるべし︒相生の香は何人にても二点充也︒

一 高砂松と住吉松と聞違︑星一つ︑又尾上松と岸姫﹂書三八オ

松と聞違︑同前也︒其餘聞違︑星なし︒

一 札打様は︑高砂松花の一︑尾上松花の二︑播磨松花の三︑住吉

月の一︑岸姫松月の二︑摂津松月の三︑相生ウの札を用ひてよ

(21)

二〇

し︒

一 此組香は︑古今集の序に︑高砂・住の江の松も︑相生の様

に覚へと有りと云心によりて︑相生客二包にして︑一包を

聞も口傳有事也︒

一 記録認様大概左のごとし︒﹂書三八ウ

   常盤木香記

  ︹表︺﹂書三九オ

︻考察︼

1︶竹幽本組香の方法

        初       

       コ     

   高砂松  

   2

 2

2

        ×=×+

2

   尾上松  

   2

 2

       コ           1後

⁝        

   住吉松  

   2

 2

     2

        ×=×+

   2

6

   岸姫松  

   2

 2

             1×

1

   相生一      

1

   相生二   

本香には︑地香﹁高砂松﹂﹁尾上松﹂﹁住吉松﹂﹁岸姫松﹂の香︑

各二包と︑客香﹁相生﹂の香を別香で一包ずつ︑計二包の︑計

十包を用いる︒地香﹁高砂松﹂﹁住吉松﹂の香のみ試香を行う︒ 本組香は︑初段の二炷聞き二回と︑後段の一炷聞き六回から成る︒すべて焚き終わってから包紙を開き︑正答を披露する︒

初段では︑﹁高砂松﹂の香と﹁尾上松﹂の香︑﹁住吉松﹂の香

と﹁岸姫松﹂の香を︑それぞれ一包ずつ二組にする︒試香のあ

る香とない香との組み合わせである︒これらを二炷聞きにする

が︑二炷のうち︑出た香の前後は問わない︒後段は︑残りの六

炷を一炷聞きにする︒

答えには︑十炷香札を用いる︒前段では︑﹁高砂松﹂﹁尾上松﹂

の香の組を﹁播磨の松﹂と称して﹁花三﹂︑﹁住吉松﹂﹁岸姫松﹂

の香の組を﹁摂津の松﹂と称して﹁月三﹂の札を打つ︒また︑後

段では︑﹁高砂松﹂の香には﹁花一﹂︑﹁尾上松﹂の香には﹁花

二﹂︑﹁住吉松﹂の香には﹁月一﹂︑﹁岸姫松﹂の香には﹁月二﹂︑

﹁相生﹂の香には﹁ウ﹂の札を打つ︒札筒は毎回廻し︑札を折居

に入れておく︒

記録には︑二炷を並べて記す︒前段の﹁播磨の松﹂﹁摂津の

松﹂を聞き当てた場合は一点ずつだが︑合点を長く記す︒十炷

すべてを聞き当てると︑それぞれ一点を加えて二点とする︒後

段では︑二炷聞き当てると二点︑一炷のみでは一点である︒た

だし︑﹁相生﹂の香は︑聞き当てた人数に関わらず二点を得る︒

星は︑試香の有無に関わらず︑地香﹁高砂松﹂﹁尾上松﹂﹁住

吉松﹂﹁岸姫松﹂の香を聞き違えた場合に一つ付す︒客香﹁相

**

*

* **

*

*

**

*

(22)

二一 生﹂の香を聞き違えても星は付けない︒

なお︑客香﹁相生﹂の香は別香で二包出香されるが︑一包の

み聞き当てた場合には口伝があるという︒

2︶和歌作品との関わり

冒頭には︑次の二首の歌が掲げられている︒

   洞院摂政家百首歌に︑霞    藤原信実朝臣  

たかさごのをのへの松のあさがすみたな引くみれば春はき

にけり

﹃続千載集﹄春上︑三七番

   ︵題しらず        よみ人しらず︶  

我見てもひさしく成りぬ住の江の岸の姫松いくよへぬらむ

﹃古今集﹄雑上︑九〇五番

香名﹁高砂松﹂﹁尾上松﹂は前者から︑また︑﹁住吉松﹂﹁岸姫

松﹂は後者から取ったものである︒また︑前段で︑﹁高砂松﹂﹁尾

上松﹂の組を﹁播磨の松﹂︑﹁住吉松﹂﹁岸姫松﹂の組を﹁摂津の

松﹂と呼ぶのも︑それぞれ歌枕﹁高砂﹂﹁住吉﹂の所在地に拠る︒

なお︑﹁住吉の松﹂の﹁住吉﹂は︑﹃古今集﹄では﹁住の江﹂と

いう本文であるが︑﹃新編国歌大観﹄を検しても︑﹁住吉の松﹂ の方が﹁住の江の松﹂よりも圧倒的に多い︒

また︑客香﹁相生﹂は︑次の﹃古今集﹄仮名序の一説に拠る

ものであろう︒

さざれいしにたとへつくば山にかけてきみをねがひ︑よろ

こび身にすぎたのしび心にあまり︑ふじのけぶりによそへ

て人をこひ松虫のねにともをしのび︑たかさごすみの江の

まつもあひおひのやうにおぼえ︑をとこ山のむかしをおも

ひいでてをみなへしのひとときをくねるにもうたをいひて

ぞなぐさめける︑

﹁相生﹂の香二包を別香にすることで︑﹁相生﹂の﹁高砂﹂﹁住の

江﹂の松を象徴的に示している︒

附記  本稿は︑﹁古典籍の保存・継承のための画像・テキストデータベー

スの構築と日本文化の歴史的研究︵同志社大学人文科学研究所第

19

期研究会第

4研究︑および科学研究費助成事業基盤研究︵C︶課題

番号16K00469︑いずれも二〇一六〜二〇一八年度︶におけ

る研究の一部である︒ *

(23)

二二

︻影印︼  綴じ糸を外し︑袋綴じを一丁ずつ開いて撮影したもの︒

︵書・一七丁裏︶ ︵書・一八丁表︶

︵書・一八丁裏︶

(24)

二三 ︵書・一九丁表︶︵書・三〇丁裏︶ ︵書・三一丁表︶︵書・三一丁裏︶

(25)

二四

︵書・三二丁表︶

︵書・三二丁裏︶︵書・三六丁裏︶

(26)

二五 ︵書・三七丁表︶︵書・三七丁裏︶ ︵書・三八丁表︶︵書・三八丁裏︶

(27)

二六

︵書・三九丁表︶

参照

関連したドキュメント

HW松本の外国 人専門官と社会 保険労務士のA Dが、外国人の 雇用管理の適正 性を確認するた め、事業所を同

高(法 のり 肩と法 のり 尻との高低差をいい、擁壁を設置する場合は、法 のり 高と擁壁の高さとを合

[r]

[r]

 高松機械工業創業の翌年、昭和24年(1949)に は、のちの中村留精密工業が産 うぶ 声 ごえ を上げる。金 沢市新 しん 竪 たて 町 まち に中村鉄工所を興した中 なか 村 むら 留

大津市 三保ヶ崎 1番 われは湖の子 さすらいの 旅にしあればしみじみと 昇る狭霧や さざなみの 志賀の都よ いざさらば 雄松崎 2番 松は緑に 砂白き 雄松が里の

 冷凍庫及び冷蔵庫周辺の温度を適正な値に設定すること。

 冷凍庫及び冷蔵庫周辺の温度を適正な値に設定すること。