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環境に負荷をかけない有機農法を推進することで 狭い農地面積でも現金収入が上がるようにし 健康被害や環境汚染の軽減につなげていく また 各村の自然資源や生態系 文化を体験できるプログラムを訪問客に紹介することで 各村の青年達の環境を守るモチベーションを高め 持続的な地域開発の基礎を築いていく さらに

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Academic year: 2021

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業務完了報告書様式 (別添)

世界の人びとのためのJICA基金・業務完了報告書

1. 業務の概要: 本事業は近年の目覚ましい経済発展やインフラ整備によって、恩恵を受けつつも、暮らしに様々な負 の影響が出ているベトナム北部山岳地域・ホアビン省に住むムオン民族を対象として、地域の自然や 生物多様性、そして、伝統や食文化を守り、その素晴らしさを外部の人々に紹介しながら、自ら暮ら しを改善していけるようになることを目的としている。具体的な活動内容は、①有機農業の実践、② 住民主体のエコツーリズムの運営体制づくり、③環境衛生の改善のための家畜小屋、トイレ、ゴミ箱 の設置、④各種会合である。 (1)事業名 ベトナム北部山岳地域における地域の自然と文化を活かした住民主体の村づくり (2)実施団体名 特定非営利活動法人 Seed to Table~ひと・しぜん・くらしつながる~ (3)実施期間 2016 年 11 月 25 日~2017 年 7 月 31 日 (4)実施国 ベトナム社会主義共和国 (5)活動地域 ホアビン省タンラック郡ナムソン村、ディックザオ村、フーヴィン村 (6)活動概要 ①活動の背景: 申請代表者である伊能まゆは 2003 年から対象地域においてムオン民族と共に住民参加型 農村開発・環境保全事業に取り組んできた。2009 年に Seed to Table を設立後、村の代表や 住民が活動の意義を理解し、主体的に実践している 3 村にて在来種の復元・記録、環境教育、 そして有機農業の普及に取り組んできた。これまでに在来のイネを 5 種類、復元し各村へ普 及した他、有機農法によって地鶏や地豚を育て、ハノイなどへ販売し現金収入の向上に繋げ てきた。また、各村の自然や生態系を調べ、紹介するための「人々の暮らしと自然博物館」 を設置した他、トイレの設置率が低い村でトイレを支援したり、環境問題への意識喚起を目 的としたイベントの開催など、村ごとの課題に取り組んできた。この 3 村では各村の代表が 村が抱える環境や暮らしの課題、住民の希望を把握し、環境に配慮した農業や住民主体の地 域づくりを推進している。そのため、申請団体が実施する活動についても理解が深く、共に 協力して活動を実施することができる。また、各村の代表の支援を得て、青年グループと共 にこれまで実施してきた活動を発展させていくためにエコ・ツーリズムの推進と環境衛生の 改善に取り組んでいる。 近年のインフラ整備に伴い、トウモロコシやサトウキビなどの換金作物栽培が広まり、農 薬や化成肥料の使用が増え、頭痛などの健康被害や土が固くなる等、影響が出ている他、増 える一方のゴミを置く場所を確保することが喫緊の課題になっている。この他、高床式家屋 の下で家畜を肥育したり、住居に近い竹藪や川で用を足す習慣が残っており、衛生環境や健 康への悪影響が懸念され、改善したいという希望が出されている。

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環境に負荷をかけない有機農法を推進することで、狭い農地面積でも現金収入が上がるよ うにし、健康被害や環境汚染の軽減につなげていく。また、各村の自然資源や生態系、文化 を体験できるプログラムを訪問客に紹介することで、各村の青年達の環境を守るモチベーシ ョンを高め、持続的な地域開発の基礎を築いていく。さらに、環境衛生の改善のために家畜 小屋、トイレ、コンクリート製のゴミ箱などを支援する。 申請代表者が 2003 年より対象地域の代表や住民と話し合いを重ね、持続的な地域の発展 や環境保全のためには住民の主体性が最も大切である点を確認し、共に活動を実施してき た。これまでの活動の成果を確実なものとし、支援終了後も次世代が中心となって持続的な 地域の発展と環境保全へ取り組んでいけるよう、青年を対象とした能力向上と衛生環境の改 善に取り組みたい。経済発展に伴い、経済的な格差が開いているベトナムの農村において、 住民が主体となって持続的な地域づくりに取り組んでいる事例はほとんどないため、モデル ケースとなりうる。こうした理由から、本活動を提案した。 ②活動の目標: ・青年が環境保全型、資源循環型の農法である有機農業技術を学び、実践することで、環境 を守りながら、現金収入の向上を目指す。 ・各村の自然資源や生態系、文化を体験できるエコツーリズム・プログラムをハノイに住む 環境問題に関心を持つグループや日本人学生に紹介し、交流を促進することで各村の青年達 の環境を守るモチベーションを高め、現金収入の向上に繋げていく。 ・家畜小屋、ゴミ箱、トイレの設置を支援し、環境衛生の向上を目指す。 2. 業務実施結果: (1)実施した内容 1.有機農業研修: 2017 年 4 月より 7 月末までにディックザオ村およびフーヴィン村の青年グループを対象と して、有機農業と生態系についての理解を深めるための有機農業研修を 8 回実施した。講師 はタンラック郡内で有機農業の講師としてトレーニングを受けたムオン民族のディン・コ ン・サン氏が務めた。 ディックザオ村のグループは有機農法で地豚を肥育し、野菜を栽培して販売する予定であ る。また、フーヴィン村のグループは地鶏を有機農法で肥育するグループが設立されたが、 研修に参加した後、一部のメンバーが工場労働者としてハノイ近郊へ出てしまったため、グ ループを存続させることができなくなってしまった。この他、ナムソン村でも在来のみかん を有機農法で栽培するグループが作られたが、やはり都市部へ出稼ぎに出る等の理由によっ て一部のメンバーが脱退してしまった。報告書を作成している時点で、新たなメンバーが加

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わることになり、グループが存続できることになった。2017 年 8 月後半より有機農業研修を 開始する予定である。 2.エコツーリズムの推進・体制づくり: 2016 年 12 月に日本から高校生のグループがナムソン村を訪問し、青年達のガイドによっ て 1 時間ほど里山を歩いた。道中、採取した約 50 種類の植物を持ち帰り、青年達が用途別に 選別し、それぞれの植物について高校生に紹介した。また、昼食にはナムソン村で栽培・肥 育された野菜や鶏肉などを用いたムオン民族の料理が紹介された。高校生達は自分と歳があ まり変わらない村の青年達が非常に多くの植物の種類や活用方法について豊富な知識を持 ち、伝統的な食事を今に受け継いでいることに感動していた。高校生が帰った後、今後の改 善点などについて話し合った。 この他、ベトナムでエコ・ツーリズムのネットワークを広めようとしているベトナム人実 業家やハノイの青年グループと意見交換を行い、外部から観光客を迎える際に注意すべき点 や宿泊施設としての家屋の改善、食事の内容や景観を美しくする方法などについて学んだ。 本報告を作成している時点で、まだ情報発信を行っていないため、ナムソン村の魅力を伝え ていくためにフェイスブック・ページなどを活用し、日々の村の様子や食べ物などについて 紹介していく予定である。 3.環境衛生改善のための活動: 各村で計画を立てた際、トイレの設置を最優先にしたいという意見が多く出されたため、 貧困世帯を対象として、トイレを設置するための資材費を支援した。持続的にトイレが活用 され、居住地域の環境衛生が改善されていくよう、支援額は全体の費用の 50%のみとし、残 りの 50%の費用を負担してでもトイレを持ちたいと希望する貧困世帯を優先的に選抜した。 なお、ナムソン村は水洗トイレや穴を掘っただけのトイレ等、様々なタイプのものを含めて、 トイレの設置率が 100%であるため、トイレの設置率が低い他の 2 村に集中して支援を行う こととした。 2016 年 12 月から 2017 年 2 月にかけて合計 25 の貧困世帯に資材を支援した。内訳はディ ックザオ村が 15 世帯、フーヴィン村は 10 世帯である。また、2017 年に入り、有機農業研修 などの参加者が予定よりも少なくなったことから、予算配分の変更を申請し、承認を得た後、 トイレを設置するための資材をフーヴィン村の 23 の貧困世帯に支援した。フーヴィン村は対 象村の中で最もトイレの設置率が少ないため、支援数を増やした。トイレの資材を支援され た貧困世帯は「これまで竹藪などで用を足していたが、トイレができたので、遠くまで行か なくても済むようになった。大事に使っていきたい。ありがとうございます」と話していた。 今後も青年団と共にトイレを持たない世帯に働きかけ、トイレの設置を促し、居住地域の衛 生状況の改善につなげていく。

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4.月例会合およびまとめの会合: 2016 年 12 月、2017 年 2 月、3 月、4 月、5 月、6 月、7 月に各村の青年グループおよび村 の代表と月例会合を持ち、活動計画を立て、また、進捗状況を確認し、課題の解決に向けて 協議を行った。青年達から有機農業をまだ実践したことがないため、すでに実践しているグ ループの経験から学びたい、という意見が出されたため、2017 年 3 月に全ての対象村の青年 グループや行政機関代表がディックザオ村に集まり、合同で月例会合を開催し、有機農業を 実践しているグループの経験から学ぶと共に、各村で有機農業を実践していくための活動計 画を立案した。 また、2017 年 7 月にまとめの会合を実施し、対象村の代表、青年グループ、タンラック郡 人民委員会代表、資源環境室、農業室、農業普及所、植物防疫所の代表、ホアビン省植物防 疫局および資源環境局の代表、有機農業の専門家ら 22 名が参加した。実施団体である Seed to Table より活動報告が行われた後、各村の青年団から課題や成果について報告がなされた。 その後、タンラック郡およびホアビン省の行政機関や農業機関の代表から「有機農業やエコ・ ツーリズムを推進していくことは、現在のベトナムの現状を鑑みると必要なことである。特 に有機農産物をしっかりと生産・紹介していくことで、地域の環境を守りながら、小規模農 家の現金収入が増加することが期待できる。また、タンラック郡は素晴らしい景色や美味し い食材に恵まれているため、若者が各村の魅力を発信し、観光地として発展させていくこと で、雇用が生まれ、地域が豊かになっていくことが期待できる」といった意見が出された。 この会合の後、昼食を取っている際、タンラック郡の農業普及所および植物防疫所の所長 達が「僕たちも有機農業をタンラック郡で発展させるために活動に積極的に参加したいです」 と話した。今後、彼らと共にタンラック郡で有機農業やエコ・ツーリズムを発展させていく ための体制強化に取り組む。 (2)実施成果: ・青年が環境保全型、資源循環型の農法である有機農業技術を学び、実践することで、環境 を守りながら、現金収入の向上を目指す。 ⇒一部の青年が有機農業技術を学び始めたばかりである。今後、有機農業技術をしっかりと 応用し、また、都市部の消費者へ繋げていくことで、環境を守りながら現金収入を向上させ ていく。そして、持続的にタンラック郡で有機農産物の品質を管理できるよう、体制を整え ていく。 ・各村の自然資源や生態系、文化を体験できるエコツーリズム・プログラムをハノイに住む 環境問題に関心を持つグループや日本人学生に紹介し、交流を促進することで各村の青年達 の環境を守るモチベーションを高め、現金収入の向上に繋げていく。 ⇒対象地域の自然資源や食文化などに関心を持つハノイの青年グループやベトナム人実業家 と協議を行うことができた。しかし、報告を行っている時点では、交流プログラムの改善や 宿泊所の整備には至っていない。今後、協議を続けると同時に、フェイスブックなどを通じ

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て地域の情報を発信し、なるべく多くのベトナムの皆さんに魅力を伝え、観光客を受け入れ る体制や施設の整備を行っていく。また、日本人グループについては、訪問した皆さんがと ても感動し、再訪したいといって帰国していくため、今後も実施団体のフェイスブック・ペ ージなどを通じて、現地の魅力を伝えていくと共に、高校や大学などへ随時、紹介していく。 ・家畜小屋、ゴミ箱、トイレの設置を支援し、環境衛生の向上を目指す。 ⇒2016 年 12 月から 2017 年 7 月にかけて、トイレの設置率が低いディックザオ村およびフー ヴィン村にて、合計 48 個のトイレが設置された。資材の支援を受けた貧困世帯は、設置費用 の負担をしてでもトイレを持ちたいと考えている世帯で、完成したトイレは大事に使用され ている。各貧困世帯はこれまで竹藪や小川、畑の隅で用を足していた。トイレを設置した後 はトイレで用を足すようになり、地域の環境衛生の改善に貢献している。今後も各村の青年 団と共にトイレの設置を促すよう、村人に働きかけていく。 (3)得られた教訓など: 2003 年よりホアビン省タンラック郡にて様々な活動を実施してきたが、この数年、各村の 社会・経済状況、そして自然環境が以前に増して速いスピードで変化しており、これまで以 上に迅速に、そして、臨機応変に現状に合わせた活動を実施していくことが必要とされてい る。 例えば、2016 年から、各村で遺伝子組み換えトウモロコシのタネが販売されるようになり、 一部の農家が使用し始めた。遺伝子組み換え農産物については、賛否両論がある。実施団体 としては、短期的に自然環境や健康に対する影響がわからないこと、タネの値段が他のタネ より高いこと、農薬や化学肥料を使うことが奨励されていること、山岳地域の気候には適し ていないことが多く、費用がかさむ割には経済効果が少ない等の理由から、なるべく使用し ない方が良いと村人に伝えている。有機農業では遺伝子組み換え技術を利用したタネの使用 が禁止されており、生態系への影響も懸念されるため、有機農業を推進していく上で新たな 脅威となっている。 また、若者が仕事を求めて都市部や他地域へ出稼ぎに出る流れが大きくなりつつある。そ のため、各村の青年団も村で暮らす団員の数がどんどん減り、様々な活動が実施できないな ど、困難に直面している。地域の自然を守り、品質の良い農産物を生産することで、持続的 に安定した暮らしができるよう、様々な活動を紹介し、実施してきたが、毎月、決まった額 の現金収入が欲しい、iPhone や立派なバイクが欲しい、と考える若者が増え、きつい労働を しなければならない農業を避ける傾向が出てきている。こうした事態はどこの国でも生じて いるが、中には農業でしっかりと生計を立て、村に根ざして暮らしていこうとする若者も存 在する。こうした若者を支援していくことがより重要になってきている。 例えば、タンラック郡ナムソン村の青年団員、トアン君は、在来のみかんを有機栽培した い、とグループを作った。しかし、他のメンバーが抜け、2 名のみが残ったが、それでも続

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けていきたい、と直談判に来た。また、ディックザオ村の地豚肥育および野菜栽培グループ のラム君やドゥック君も有機農業を学び、そして実践し、積極的に市場へ売り込みに出かけ ようとしている。こうしたやる気のある若者が各村に存在するため、残りの事業実施期間中 に、しっかりとサポートし、品質の高い有機農産物を作り、販売できるようにしていく。有 機農産物ができるようになり、多くの消費者が生産地を訪問するようになれば、エコ・ツー リズムの発展にも寄与できると考える。 (4)今後の活動・フォローアップの方針: 2018 年 12 月まで継続的に対象地域を訪問し、各活動が継続的に実践されているかどうか、 発展しているかどうか、など確認する。その一方で、ハノイなどを中心に、若者グループや 実業家、日本人グループに働きかけ、タンラック郡を訪問し、エコ・ツーリズムの様々なプ ログラムを体験してもらえるよう、広報を行う。同時に、有機農産物のマーケティングも実 施し、活動対象地域で生産されている有機農産物を販売できるように支援する。 3.その他(エピソード・感想・写真など) (1)活動中のエピソード・感想など この度は弊組織が実施している「ベトナム北部山岳地域における地域の自然と文化を活か した住民主体の村づくり」へご支援を賜り、誠にありがとうございました。活動実施期間中、 やむを得ず、予算の変更をお願いしなければならず、ご迷惑をおかけしました。申し訳あり ませんでした。皆様のご理解とご支援に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。 (2)活動の写真 2016 年 12 月にタンラック郡ナムソン村 を訪問した日本の高校生たち。ナムソン 村の青年達がガイドし、里山歩きを 1 時 間ほど行った。その行程で採取した植物 の葉を持ち帰り、ナムソン村の青年達が 用途別に選別し、日本の高校生に紹介し ている様子。

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2017 年 3 月にタンラック郡ディック ザオ村にて全ての対象村の青年が集 まり、合同で月例会合を開催した。そ の際、ディックザオ村などで有機農業 に取り組む生産者グループや各対象 村の行政機関代表などが参加し、有機 農業を各村で発展させていくための 協議を行った。この会合の後、それぞ れの村で有機農産物生産者グループ が設立され、研修を受けている。 2017 年 6 月にタンラック郡ディック ザオ村の有機地豚・有機野菜栽培グル ープが講師の指導の下、野菜栽培技術 の実習を行っている様子。

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2016 年 12 月、2017 年 7 月にタンラック 郡フーヴィン村で設置されたトイレの 一つ。写真に写っているのはウオック 君。6 人家族の一員で、これまでトイレ は竹藪や林で済ませていたとのこと。 「資材を支援して頂き、ありがとうござ いました。トイレができたので、遠くに 用を足しにいかずに済みます。大事に使 用します」と話していた。 2017 年 7 月にタンラック郡ムオンケン 町で実施したまとめの会の様子。ナムソ ン村青年団代表が活動の結果や今後の 計画について発表しているところ。

参照

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