(1)大阪城
調査実施日 平成28 年 7 月 11 日 面談者 大阪城パークマネジメント株式会社 管理担当者 城郭の構成について 城郭の構成 天守 5 層 櫓 有 5 ヶ所 城門 有 3 ヶ所 枡形 有 6 ヶ所 御殿 無 蔵 有 2 ヶ所 曲輪の構成 本丸 有 天守曲輪(小天守・櫓等) 有 二の丸 有 三の丸 有 西の丸 有 天守閣の構造 建築構造 鉄筋コンクリート、鉄骨 造り 床構造 コンクリート造り 階段 コンクリート造り 昇降機 有 (エレベーター2 基 うち 1 基 身障者用兼用) 展示フロア メイン3 階・4 階 1・2・5 階回廊部展示コーナー 常設土産物等店舗 1 階・8 階 常設飲食店舗 無 常設映像コーナー 1・5・7 階に大型スクリーン 2・3・4 階はモニター画面 音声設置説明コーナー 1・5 階に貸出コーナー 全階に音声ガイダンスコーナー設置 イベントスペース 無 近々改修予定事項 当面20 年間では大規模改修予定なし 入場者について 天守閣入館者数(年間) 平成27 年度 233 万人 土日祝日の入館者比 平日1 に対し、土日は 1.3 の割合(土日で 3 分の 1) 天守/曲輪の来園者比 天守来館者1 に対し、曲輪 2~3 の割合(天守閣吸引率 30~50%) 中心の客層(年代) 20 代:27% 30 代:24% 40 代:16% 50 代:10% 60 代:11% 高齢者客の割合 50 代と 60 代で 2 割強 外国人観光客 5 割 団体客の割合 個人客3 に対し、団体客は 1(団体客割合は 4 分の 1)・ 平成27 年度 233 万人と大幅増加の理由は、昨今のインバウンドと「大阪の陣」とい う歴史的テーマを大々的に打ったこと。今年からの「真田丸」も相乗効果を持って いる。3 階と 4 階の主展示も大幅に展示替えした。 ・ 土日の来館者が全体の3 分の 1 を占めるのは、観光客の多くが 8 階の眺望を求めて 上がるから。平日はやや地元客が多くなる傾向にある。 ・ インバウンドでは中国や韓国は若者の割合が高く、欧米は年配者が多い。中国・韓 国の人については、天守閣は写真を撮影するだけで登館しないという人が多い。 バリアフリーについて ① エレベーター ● 屋外エレベーター(天守閣前広場から天守閣1 階) この位置に本丸御殿と天守を繋ぐ渡り廊下があったことから現在の位置に建設 された。 ● 屋内エレベーター 2 基(1 階から 5 階、1 階から 8 階) ② ベビーカー ・ 持込み可能(ただし混雑時を除く) ・ 受付での預かりも可能 ③ 車椅子 ・ 貸出 5 台 ・ 車椅子対応トイレ 2 階に 1 箇所、本丸広場内に 2 ヶ所 ・ 天守閣内のバリアフリー設備は一応整っている。1 階までの屋外エレベーター、屋内 エレベーター1 基も車椅子での登館が可能。車椅子対応トイレも 2 階に設置されて いる。 ・ 天守閣内にバリアフリー上の大きな問題はないものの、櫓内部特別公開時など、櫓 内部でのバリアフリーについてはやや課題がある。元々見学用に作られていないた め、体の不自由な方には勾配がきついかもしれない。 屋外エレベーター エレベーターの位置の由来を説明する表示
天守閣耐震化工事について ・ 既に工事済みであり、問題はない。 集客のコンセプト ・ 大阪城は大阪市観光局が市内主要30 施設を取り上げ、地下鉄・市バス等の連携によ って周遊割引特典を実施している。大阪城単独の集客というよりも、大阪市観光で の集客力による効果は大きい。 ・ 大阪城に限らず観光施設は一度来れば終わりのパターンが多い。アンケートをとっ ても初回の人が多く、集客を増やすためには「リピート性」を高めることが大切だ と考えている。 ・ 民間出身者が集まっているがゆえに、目標管理が自然と行われ、集客数アップのた めの上昇志向が強い。そのために内部での相互研修、とりわけリピートを高めるの は人のもてなしであり、接客の研修などが不可欠という認識が広まってきている。 観光業の基本を自覚して今まさに取りかかろうとしているところである。 イベントについて ・ イベントは大きく分けて2 つの方向で開催されている。 ① 学芸員が中心となり文化財などの所蔵品、資料を中心に構成を行う展示イベント ② 時代に即応しながら市民が交流できる場の創造や提供を行うイベント ・ 天守閣として関与しているイベントは以下のとおりである。 1.展示事業 (1)常設展 3 階、4 階フロア 2 ヶ月を目途にテーマを決めた文化財展示を行い年間 8 本企画。 常に変化する展示を目指している。 3 階 桃山の明暗 4 階 関ヶ原合戦 西軍に与した武将 (2)テーマ展 大阪城天守閣が所蔵する資料の中から企画する。 屋内エレベーター2 基 屋外エレベーターから車椅子で天守閣 1 階へ向かう通路
「大坂の陣400 年記念テーマ展 大阪城戦史」 (平成27 年 10 月 10 日から 11 月 23 日まで) (3)特別展 「大坂の陣400 年記念特別展 豊臣と徳川」 (平成27 年 3 月 21 日から 5 月 10 日まで) 2.学校・市民との連携 (1)学校との連携 大阪城絵画展…市内の小・中学校と連携して毎年開催。 (2)地域・市民団体や企業との連携 大阪シティウォーク、KANSAI ウォーク、大阪城サマーフェスティバル等 (企画協力、相互広報・相互入場割引を行う) 3.自主事業 a.大阪城ファミリーフェスティバル b.天守閣の夏 豊国おどり c.大阪城天守閣の秋まつり d.迎春イベント ・ 昨年から続く核となるイベントは「大阪の陣」であるが、必ずしも豊臣・徳川だけ が大阪城のコンセプトになっているのではない。もともと大阪城は秀吉築城、徳川 再建、昭和再建とその都度大阪の歴史との中で重要な役割を占めてきた。 ・ イベントのテーマとしていつの時代でも訴える力を持っている城である。大阪城の 魅力は「城+歴史性」にあると思う。歴史には人と物語があるのが強み。 ・ 大阪の陣400 年から次いで幕末維新 150 年が待っており、山口・高知・鹿児島等の 城郭連携企画を進めている。 天守閣内の人気の工夫 ・ 館内展示の基本方針は3 階と 4 階の重要文化財などを中心としたテーマ集中展示に しており、他のフロアは音声ガイダンスやスポット展示で対応。人気は 8 階展望台 と、2 階の等身大しゃちほこレプリカ。また時代衣装の試着サービスも予約で一杯の 盛況ぶり。やはり観光客にとっては写真に収めたい気持ちが強いため、珍しい展示 や眺望、変身記念写真が人気となる。 インバウンドサービス ・ 館内リーフレットは日・英・韓・繁(台湾・香港)・簡(中国本土)を備え、館内音 声ガイダンスも4 ヶ国語(6 パターン)でアナウンス。 植栽について ・ 勝手に伐採できない辛さはあるものの、緑豊かな城郭公園としては大阪市のオアシ ス的な雰囲気がある(東側の森の公園等)。天守閣や石垣の建物維持ためには植栽は 良くないと聞くが、やはり許される限り周辺は緑豊かでみんなに愛される公園にし たい。
周辺施設との連携について ・ 大阪城が秀吉以降とするなら、難波宮など古代からの大阪の歴史は隣の「大阪歴史 博物館」に負うところが大きい。歴史的な視点から大阪城と歴博はセットとして連 携しやすく、バッティングすることはない。 ・ 近隣の諸施設、例えば「大阪歴史博物館」を筆頭に、大阪城ホールや音楽堂、大阪 城港、ツイン21、いずみホール、山本能楽堂等の各々の催しが「大阪城フェスティ バル」のコンセプトのもとに開催される。周辺の施設が単独で開催するのではなく、 「フェスティバル」によって相乗的な賑わいを演出する。これも大阪城が果たす街 づくりの例かもしれない。 ・ 1995 年に大阪で開催された APEC のために建設された西の丸庭園内の「大阪迎賓館」 などは、MICE 会場や結婚式場としての利用価値が高い。大阪城そのものではなく、 大阪城が見える位置で各施設が展開されれば城の価値もさらに上がる。 運営管理について ・ 運営管理の特徴のひとつに、市から民間への業務移転の行政改革の影響がある。ほ とんどの管理を民間入札により、各企業の合同体で運営しているため、当初の戸惑 いがあったにも関わらず、今では民間の特徴である意思決定のスピードと収益志向、 経営管理技術等の効果が少しずつ出始めてきている。 <大阪城パーク> 大阪城公園、大阪城野球場、大阪城西の丸庭園、豊松庵、大阪城天守閣、大阪城音楽 堂(大阪城ホールを除く) <行政管理部局> 大阪城公園 大阪市建設局 大阪城天守閣 大阪市経済戦略局集客拠点担当 大阪城音楽堂 大阪市教育委員会 <指定管理者> 大阪城パークマネジメント株式会社 構成員:株式会社 電通 関西支社(代表)、讀賣テレビ放送株式会社、 大和ハウス工業株式会社、大和リース株式会社株式会社、 NTT ファシリティーズ 入場料を徴収する入口付近の様子 天守閣前広場から眺める大阪城
(2)名古屋城
調査実施日 平成28 年 7 月 15 日 面談者 名古屋市 観光文化交流局 名古屋城総合事務所 管理担当者 城郭の構成について 城郭の構成 天守 5 層 7 階、地下 1 階 櫓 有 3 ヶ所 城門 有 5 ヶ所 枡形 有 5 ヶ所 御殿 有 1 ヶ所 蔵 無 曲輪の構成 本丸 有 天守曲輪(小天守・櫓等) 有 二の丸 有 三の丸 無 ただし名古屋城総合事務所管理区域外に存在 御深井丸 有 西の丸 有 天守閣の構造 建築構造 鉄筋コンクリート、鉄骨 造り 床構造 コンクリート造り 階段 コンクリート造り 昇降機 有 (エレベーター2 基) 展示フロア 【常設展示】地階・1 階(模型)・3 階(城下町暮らし)・4 階・ 5 階・7 階(展望室・売店) 【企画展示】2 階 常設土産物等店舗 7 階 常設飲食店舗 無 常設映像コーナー 1 階 音声設置説明コーナー 無 イベントスペース 有 1 階 近々改修予定事項 平成32 年 7 月を竣工目標として天守閣の木造復元を検討中 入場者について 天守閣入館者数(年間) 平成27 年度 174 万人 (平成32 年度には天守閣建替えで 380 万人を目指す) 土日祝日の入館者比 平日2~3 千人 土日 6~8 千人 大半が観光客 天守/曲輪の来園者比 曲輪に来た人の約8~9 割は天守閣へ登城 中心の客層(年代) 50~60 代が多く 3 割 高齢者客の割合 明確な統計は取っていない 外国人観光客 ここ最近は増えており、感覚としては15%程度か・ 平成27 年度 174 万人と一昨年から 10 万人増加したのはインバウンド、特に大陸系 アジアの人たちと、近年の歴史ブーム・歴女さんなどの影響が大きい。6 月に「名古 屋城本丸御殿」の一部完成により、ここ最近は目立って来場者が増えている。 ・ 土日来館者が週のほぼ半数占めるのは、休日の名古屋観光の人が 7 階の眺望を目当 てに上がる人が多いため。平日はやや地元客が多くなる傾向。 ・ 平日に若者が多く目立つが、よく見ると2~3 人連れでの中国、韓国の若者が多い。 バリアフリーについて ① エレベーター 屋外からエレベーターで入場。1 階で天守閣内のエレベーターに乗り換えて 5 階ま で。 6 階、7 階までは上がれない。屋内エレベーターは 2 基(1 階から 5 階)。 ② 乳幼児対応 城内におむつ替え可能なトイレが3 ヶ所ある。天守閣広場と城内にあり。 ③ 車椅子 車椅子対応トイレは3 ヶ所(ニの丸 1 ヶ所、西の丸 1 ヶ所、本丸広場 1 ヶ所)。 ・ 天守閣内の施設はトイレも多目的トイレとして、また床や手すりも整備してある。 エレベーターは障害者専用ではないが、利用できるようにしている。天守閣(小天 守閣も含めて)は充分とはいえなくとも、まだクレームや指摘を受けたことはない。 ・ 既存の非常用階段を改良してエレベーターと階段が設置された。非常用階段の位置 を決めた理由については資料がないため不明である。 ・ 入場者の導線を考え、安全に目的地へ移動ができるように配慮している。また、人 が交差する場合に、スムーズに行きかうことができることに考慮した。そのほか、 催事などにおいては、催事を見る方や参加する方が観覧者の動線をふさがないよう に工夫されている。 ・ 最近完成した本丸御殿は完全にバリアフリー対応はできている。 外部エレベーター 樹木で覆われたエレベーター(天守閣前庭から)
天守閣耐震化工事について ・ 当天守閣は昭和 5 年まで「名古屋離宮」として宮内庁の所有であったが、下賜され て現在にそのまま至っている。昭和20 年の空襲で焼失し、昭和 34 年に市民の寄付 1/3 で再建。しかし 56 年が経過して天守閣としてすでに建て替え時期が来ており、 「木造復元した方が良い」、「耐震改修した方が良い」などの意見があったが、「史実 に忠実な木造天守閣を復元する」という方針が示された。木造再建構想がこれから も民間技術提案も含め、専門的に検討されていくことになる。 ・ 耐震化の必要性は先日の熊本城石垣の崩落例にみられるように、石垣が脆くなって いることからも工事の必要性を感じている。現在数ヶ所を工事中である。 集客のコンセプト ・ あまり他の地域の城郭観光のような広告宣伝はしていない。地元名古屋の人が他所 から来た人をまず連れて来るのが名古屋城。「メイジョウ」と言うとおり名古屋の人 は城に誇りを持っているようだ。その点「金のしゃちほこ」はその象徴であるのか もしれない。 ・ 他にベンチマークする城郭はない。強いていうなら「木造城郭」としての姫路城し か浮かばない。城郭としての自慢は「金シャチ」と「3 つの隅櫓」であり、他の城郭 には櫓が揃っているところはない。やはり市民が誇れる城でないと、なかなか来館 者は増えない。このことは今回の本丸御殿によって実感している。30 年の完成が楽 しみである。 イベントについて ・ 自主イベント開催については、一般財団法人名古屋城振興協会が行い、名古屋城総 合事務所は事務手続、設計及び施工を担っている。 ・ 天守閣内は展示イベントを行い、多くはニの丸、三の丸、西の丸一帯を会場として 開催している。また、展示イベントは「西の丸展示館」「御深井丸展示館」の2 会場 を中心に開催されている。 <開催イベントの内容> 1.教育文化事業 ア.名城市民茶会(春・秋の2 回開催) イ.金の茶釜で味わうお抹茶シリーズ (5 月、11 月、1 月の 3 回開催。会場:二の丸茶亭) ウ.名古屋城親子でチャレンジ(夏・秋・冬の4 回開催。会場:城内各所) エ.名古屋城の自然・昆虫展 期間:平成27 年 7 月 18 日(土)~8 月 31 日(月) 会場:天守閣1 階展示室 オ.名古屋城初開門「干支の置物プレゼント」 開催日:平成28 年 1 月 2 日(土) 会場:正門、東門 2.名古屋市などの主催事業 ア.名古屋城春の陣
期間:平成27 年 3 月 21 日(土・祝))~5 月 6 日(水・祝) 会場:城内一帯 イ.第64 回名古屋城さつき大会 期間:平成27 年 5 月 16 日(土)~5 月 31 日(日) 会場:西の丸 ウ.親子梅の実収穫体験会 開催日:平成27 年 6 月 7 日(日) 会場:二の丸梅林 エ.石垣刻紋の拓本を採ろう(愛知善意ガイドネットワーク2015 第 1 回交流会) 開催日:平成27 年 7 月 25 日(土) 会場:城内塩蔵構西側石垣 オ.名古屋城初開門「干支の置物プレゼント」 開催日:平成28 年 1 月 2 日(土) 会場:正門、東門 カ.季節の花でお出迎え! 期間:平成27 年 4 月 1 日(水)~平成 28 年 3 月 31 日(木) キ.名古屋城宵まつり 期間:平成27 年 8 月 7 日(金)~8 月 16 日(日) 会場:城内一帯 ク.第68 回名古屋城菊花大会 開催期間:平成27 年 10 月 25 日(日)~11 月 23 日(月・祝) 会場:西の丸、西の丸展示館 ケ.第60 回全国らんちゅう品評大会 開催日:平成27 年 11 月 8 日(日) コ.第42 回名古屋城つばき展 開催期間:平成28 年 3 月 5 日(土)~3 月 14 日(月) 会場:西の丸展示館、展示館前屋形 <展示イベント> 1.西の丸展示館 ア.「名古屋城下の食文化」 平成27 年 3 月 28 日(土)~平成 27 年 5 月 10 日(日) イ.常設展:「名古屋城写真展」、「匠の写真館」「名古屋城の石垣」 (前期)平成27 年 5 月 12 日(火)~平成 27 年 9 月 8 日(火) ウ.尾張名所図会に描かれた「名古屋の伝統工芸」 平成27 年 9 月 12 日(土)~平成 27 年 10 月 23 日(金) エ.常設展:「名古屋城写真展」、「匠の写真館」「名古屋城の石垣」 (後期)平成27 年 11 月 18 日(水)~平成 28 年 2 月 28 日(日) 2.御深井丸展示館 ア.「川崎巨泉と愛知県の郷土玩具」 平成27 年 4 月 1 日(水)~平成 27 年 6 月 28 日(日) イ.「祈りや願いから生まれた郷土玩具」 平成27 年 7 月 1 日(水)~平成 27 年 9 月 27 日(日) ウ.「受け継ぐ-郷土の土人形と玩具-」 平成27 年 9 月 30 日(水)~平成 27 年 12 月 23 日(水) エ.「名古屋土人形最後の作り手野田末吉の世界」 平成27 年 12 月 26 日(土)~平成 28 年 3 月 27 日(日)
・ 名古屋城の特徴として、創建時は「大名普請」として各地大名が競って石垣に当家 の紋や刻印を刻んでいる。この拓本が、「金のしゃちほこ」と並んでいろいろなイベ ントで人気を博している。 ・ 愛知県は花卉園芸が盛んでもあることから、「名城菊の会」や観桜会、サツキ盆栽展、 椿の展示会など四季折々の季節感あふれた園芸イベントが会員の多さもあり、毎回 盛況である。 天守閣内の人気の工夫 ・ 天守閣内での展示について注力していることは、2 階の常設企画展示はその時々のテ ーマに対応しているが、天守閣そのものを「パビリオン」としてフロア全体の空間 演出に力を入れている。物を展示するというより、その周りの雰囲気演出も含めて 展示空間を作っている。暮らしの民具を物として展示するのでなく、フロア全体を 当時の町並み(街道)としてまず作り、さりげなく置いてあるような展示方法。さ らに駕籠乗りや石引き体験など、体験型展示に力を入れている。 ・ 外国人に大変人気があるのは「刀剣」と 7 階の展望室でのメダル刻印。日本の武具 には人だかりがしている。金シャチにまたがった写真撮影は名古屋城では定番。 入場料を徴収する本丸入口 改修された本丸御殿 体験型の展示 7 階展望台にある売店
IT 対応について ・ 利用者の利便性の向上のため、城内でWi-Fi が利用できるよう整備されている。 ・ 企業、団体等の協力を得て、スマホを活用した来場者向けのサービスを提供してい る。 ◎ スマホで見よう名古屋城 ◎ NC400 パートナー事業 (スマホでタッチ名古屋城、プロデュースラボのAR によるサービス) ・ そのほか、公式ウェブサイト、ファイスブック、ツイッターを活用して情報提供を 行っている。 周辺施設との連携について ・ 敷地は北側に名城公園として市の観光課が管理している都市公園。中核施設として 植物博物館的なフラワープラザがある。さらに南側は能楽堂。また県の施設として 大相撲名古屋場所で有名な愛知県立体育館がある程度。いわゆる美術館や歴史博物 館といった城との関わりをもった施設は周りには全くない。 ・ 名古屋城そのものが博物館的要素をもたねばならない。周辺施設との連携しように もする施設がない。 新しいまちづくりの拠点として ・ いま、本丸御殿完成平成30 年に向けて、当地は新たな動きを見せ始めている。天守 再建が契機となって南側の地区に伊勢の「おかげ横丁」のような地元の人も巻き込 んだ観光ストリートを「金シャチ横丁」と名付けて開発しようという計画がある。 これが出来れば名古屋城の役割も少しは変わるかもしれない。 運営管理について <行政担当部局> 名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所 名古屋市中区本丸1 番 1 号(本丸内) <主な業務内容> ① 入園券等の検査・発売・改札及び回収 ② 使用料の徴収 ③ 催物等の企画、施行上の事務手続、設計及び施工 ④ 天守閣その他園内諸施設の維持管理 ⑤ 名古屋城の整備計画 ⑥ 名古屋城文化財の修復・整備 ⑦ 名古屋城本丸御殿の整備 ⑧ 名古屋城本丸御殿の復元の推進 <一部業務委託> 一般財団法人 名古屋城振興協会
(委託内容) ① 名古屋城観覧券の販売、観覧料の払込及び改札業務 ② 名古屋城総合案内所における案内、ガイドボランティア関連業務地 ③ 名古屋城警備・案内業務 ④ 名古屋城清掃業務 <催事について> ・ 名古屋城内における催し物は、主催事業、実行委員会形式、持ち込み企画事業な ど、様々な形態がある。 ・ 主催事業については総合事務所職員が催事内容を企画し、出演者(団体)等の交 渉から運営まで行っている。主催事業以外の催し物についてはそれぞれ主催団体 等において企画・運営が行われている。 ・ 名古屋城は、重要文化財を有し、特別史跡であり、一部、国から借り受けている 区域もあるため、城内での催し物の開催にあたり、文化財保護法による手続きや 国等との事前調整が必要となる場合がある。 ・ また、名古屋市の都市公園でもあるため、条例等に基づく各種の手続きが定めら れている。催事実施のつど必要な手続きを行う必要がある。 ・ 手続きについては、原則として主催者が行っているが、初めての事業などの場合、 総合事務所が支援を行っている。 ・ 催事における設計及び施工に関しては、主催事業において仮設ステージ設置や運 営業務を委託により行う場合があるが、名古屋市の契約に関する規程等に従って、 事務処理が行われている。持ち込み企画事業等において仮設物や便益施設などを 設置・運営する場合には各種法令等に従って実施するよう指導されている。
(3)小田原城
調査実施日 平成28 年 11 月 30 日 面談者 小田原城天守閣 管理者 小田原市経済部観光課城址公園係 担当者 城郭の構成について 城郭の構成 天守 3 層 5 階 櫓 有 1 ヶ所 城門 有 3 ヶ所 枡形 有 3 ヶ所 御殿 無 蔵 無 曲輪の構成 本丸 有 天守曲輪(小天守・櫓等) 有 二の丸 有 三の丸 有 西の丸 有 天守閣の構造 建築構造 鉄筋コンクリート、鉄骨 造り 床構造 コンクリート造り 階段 コンクリート造り 昇降機 無 常設展示 1 階(江戸時代回廊展示) 2 階(戦国時代) 5 階(展望デッキ・天守閣再現) 企画展示 3 階(3 室美術工芸・発掘調査) 4 階(明治以降の小田城) 常設土産物等店舗 1 階 常設飲食店舗 無 常設映像コーナー 1 階(シアター)/2 階/5 階 音声設置説明コーナー 無 イベントスペース 無 改修事項 平成27 年 7 月~平成 28 年 4 月 耐震工事実施 入場者について 天守閣入館者数(年間) 平成26 年度 502,330 人 (参考 28 年度 10 月末 460,576 人) 土日祝日の入館者比 58% 1 週間平均を 100 とした土日割合 (参考:28 年度 10 月 45%) 天守/曲輪の来園者比 2 割 (城址公園来園者に占める吸引割合) 中心の客層(年代) 不明 高齢者客の割合 約13,000 人 外国人観光客 約24,000 人・ 天守閣が昭和35 年に鉄筋コンクリート造で復興され、38 年には 59 万人の登城者を 数えていたが、既に50 年を経過し、この 10 年間は 40 万人前後で横ばい傾向にあ った。しかし、平成26 年度には観光客の急激な増加が見られ 50 万人に達し、これ は全国的な城郭観光の増加傾向と天守閣の改修による効果とみられる。 ・ コンクリート耐用年数や東海地震・南海地震の危険性も高まっていることから、平 成27 年 7 月から耐震改修工事が実施され、28 年 4 月にはリニューアルオープンの 運びとなった。現在6 ヶ月経過して 46 万人を数えており、改修工事の成果の手ごた えを感じている。目標は90 万人。 ・ リニューアル後で目立つのは観光客であり、高齢者や外国人客について工事期間は 足が遠のいていたものが、リニューアルして急激に増えた。 天守閣耐震化工事について ・ 当天守閣が市制20 周年記念事業として昭和 35 年に復興されて 50 年を超えたこと でコンクリート強度の劣化に加え、東海地震、南海地震の危険性が高まっている中 で、年間50 万人の観光客の十分な安全確保が喫緊の課題であった。 ・ 当天守閣の耐震診断はすでに平成元年に実施されており、1 階、2 階および 4 階にお いて当時の耐震基準が満たされていないことが判明していた。その後、耐震診断、 調査、検討が繰り返され、平成23 年度に耐震診断と耐震補強の工法を中心とした「耐 震改修テーマ」とこれに伴う「展示リニューアル」の検討、「バリアフリー対策」、 そして「天守閣木造再建の可能性検討」からなる検討委員会が設置された。 ・ これらの改修工事は「小田原城平成の大改修」と銘打って、(1)耐震補強工事とし て各階に耐震ブロックを設置し、耐震機能を強化。(2)屋根・外壁工事として、破 損部分の補修と外壁の全面塗装。(3)空調設備工事として快適な観覧環境の確保と 展示物の保存状態の改善が行われた。 ・ 展示リニューアルとして耐震壁の新設による展示面積の大幅減少に対応するため、 常設展示の展示方法をリニューアルしできるだけビジュアル化、映像化が行われた。 バリアフリーについて ・ 当天守閣内でのバリアフリーは昇降機の設置となると建築基準法の関係から大規模 改修となり、すべてに困難な課題を持っていた。名古屋城などのように外部からの 取り付けなど多方面から検討を加えたが、景観、費用の問題もあり、多目的トイレ とし、手すりの付け替え程度の整備で終わっている。 展示方法について ・ 展示方法は耐震壁の補強採用により、壁の厚みで物が置けなくなったため、陳列展 示方法もグラフィック要素を取り入れた展示と映像を取り入れた展示が主体となっ た。そのため「ストーリー展示」が増え、体験展示も含め、楽しく回遊できること を心がけている。
イベントについて ・ 小田原城としてのイベントは、天守閣自体はスペースの問題もあり、特に内部で実 施することは少なく、天守閣を背景とした「二の丸」広場で行われることが多い。 原則として、イベント実行委員会形式で観光協会を通じて実施されることがほとん どである。ロケや撮影地として選ばれることも多く、年間約150 件はくだらない。 ・ 小田原城の自主企画としてのイベントは、「武家の紋章展」や市の「華道展」や「書 道展」程度。イベントに関連した主業務は「会場貸し」である。 ・ 二の丸広場が広いため、地元商店街や団体が大量動員する時、市内の小田原祭りや 街歩きイベントなどの会場に利用されている。城址公園の入込みは 360 万人を数え るが、二の丸広場はその意味でイベント会場として充分役立っている。 曲輪でのその他の工夫について/集客の方法について ・ 唯一の櫓の利用で「常盤木門SAMURAI 館」をリニューアルとともにオープンさせ た。晴天時には天守閣を背景に甲冑や着物の着付けが外国人観光客に大変喜ばれて いる。 ・ 本丸広場での結婚式や薪能などは天守閣が背景に利用されている。 天守閣内展示 天守閣内展示 天守閣内映像 常盤門 常盤門櫓 展示館サイン 常盤門櫓 着付け体験サイン
集客の方法について ・ 現在はリニューアル景気で90 万人を目指している。プレとして新聞を中心とした広 告は打ったが、その後テレビの報道や取材、ロケ利用が効を奏して順調に来場して くれている。 今後、小田原市としても「北条五代」を大河ドラマに!の合言葉で、 地域全体で誘致を図っている。 新サービスの取り組み ・ 今後IT 化の採用も考えて行かねばならないが、現在アプリでの案内サービスを観光 協会経由で専門業者が行っている。一応 Wi-Fi 対応はしている。また、インバウ ンドに対する言語ガイド案内も重要でパンフも5 ヶ国対応している。 小田原城のイメージ ・ 小田原城が歴史の中で一番脚光を浴び、しかも誰もが知っているのは、やはり「北 条氏五代」が連想される。歴史性をテーマとして展開するのが最も妥当だといえる。 まちづくりの拠点として ・ 小田原市内の観光スポットで城址公園は突出している。市民祭り、産業祭り、春の さくら祭りなどすべての起点は城址公園にある。また、城内には子供遊園地があり、 昔は動物園でもあったため、市民の多くは身近なレジャー地としてのイメージが強 い。市民の意識としても「お城」と「城址公園」は心の拠点として位置付けられて いる。 アプリ小田原城ガイド
(4)小倉城
調査実施日 平成28 年 12 月 5 日 面談者 北九州まちづくり応援団株式会社 小倉物語推進部 北九州市立小倉城庭園 館長 城郭の構成について 城郭の構成 天守 5 層 櫓 有 1 ヶ所 城門 無 枡形 無 御殿 無 蔵 無 曲輪の構成 本丸 無 天守曲輪(小天守・櫓等) 有 二の丸 無 三の丸 無 西の丸 無 天守閣の構造 建築構造 鉄筋コンクリート 床構造 コンクリート造り 階段 コンクリート造り 昇降機 有 (身障者用イス式リフト) 常設展示 1 階(歴史ゾーン・ジオラマ) 2 階(城内体験) 3 階(映像体験・からくりシアター) 6 階(眺望フロア) 企画展示 4 階(市民企画展示フロア「市民の大広間」) 常設土産物等店舗 1 階 常設飲食店舗 無 常設映像コーナー 3 階 音声設置説明コーナー 有 1 階(ジオラマ)3 階(からくりシアター) イベントスペース 有 4 階(市民の大広間) 改修事項 2 年前に耐震改修工事終了 入場者について 天守閣入館者数(年間) 27 年度:153,408 人 25 年度:120,485 人 26 年度工事 9 ヶ月:43,016 人 土日祝日の入館者比 平日、休日格差はほとんどない 天守/曲輪の来園者比 曲輪来園者数は不明 統計がない 中心の客層(年代) ファミリー観光客が大半 地域の小中学生 高齢者客の割合 比較的高齢者は少ない 外国人観光客 27 年度 1.3 割(30,347 人)・ 当天守閣は、「平城で城門や枡形等城郭としての体裁は整っていない。城郭としてそ のままを忠実に復元したものではなく「唐造り」独特の様式美を生かしつつ、観光 用として築城されている。名城 100 選に入っているわけでもないため、独自の展開 を試みている。 ・ 改修工事の前には外国人観光客も2 万 6,000 人と割合も 2 割を超えていたが、最近 はやや少なくなっている。 ・ 当天守閣の指定管理者である「北九州まちづくり応援団株式会社」は小倉城庭園及 び紫川対岸の紫江’s(しこうず)水環境館も併せて管理を行っている。 ・ 北九州まちづくり応援団株式会社は元々地元 18 企業が商工会議所の肝入りでまち づくり活性化のために立ち上げた団体であり、地元商店街との結び付きも強い。 公園ゾーンの管理 ・ 管理区域としての天守閣以外の公園ゾーンは市のまちづくり整備課の管理であり、 植栽は公園管理課が行っている。 フロア展示について ・ 一般的な城郭フロア展示よりも、小倉のまちの発展に主眼を置いた、商業、文化、 経済、自然、歴史が学べる展示方法(テーマパーク的)に徹している。 ・ 絶えず情報発信が必要であるが、フロアでの展示は2002 年以来、からくりシアター であろうとジオラマであろうと遊んで楽しむ体験フロアであろうとほとんど常設で 変えていない。 ・ 企画展示機能としては、4 階のイベントフロアでの市民に開放されたスペースの使い 方に特徴を持たせている。観光客というよりも城を愛する市民のためのフロアとし ている。小倉城に限らず北九州市にまつわる市民のアイデアで展示やイベントを開 催している多目的スペースとなっている。ただし、搬入搬出が既存の階段しかない ため利用者確保に苦労されている。 ・ 1 階には企画展示スペースはとれるが、学芸員がいないため、天守閣として企画をす ることは難しい。地元の観光協会やNPO に頼らざるを得ない現状である。 小倉の町の賑わいを表現したジオラマ 市民の大広間
バリアフリーについて ・ 1~5 階まで椅子式昇降機(リフト)を設置している。ただし、1 人の利用者が占有し、 動きが緩慢で、付添が必要なため、効率的には悪いと評価されている。トイレが 1 階にしかないためクレームもよく聞く。 天守閣耐震化工事について ・ 平成26 年 4 月~12 月の期間で、耐震化工事を施している。熊本地震の時はびくと もしなかった。 ユニークベニューについて ・ 以前市役所が中心になって実施したが、内容もやや不明確なところがあり、準備や 地元への告知、開催規模が小さいこともあり、今ひとつの感があった。実施場所や スペースも大きく関係してくると思われる。小倉城のフロアスペースが狭いことが 難点。本丸前の広場でテントを張り野外パーティーならば話は別。 ・ その点、岡山城は規模も大きく、後楽園もあることから、コンベンション機能を十 分に発揮すれば、企画如何では面白いものになるかもしれない。 イベントについて ・ 天守閣内でのイベントとしては、4 階の「市民の大広間」での開催が主となるが、い つも出展をお願いに回っている現状である。意外と資材や展示物の搬入が大変であ り、昇降機がないため主催者の不満も多い。 ・ 天守閣外では公園敷地の中を公道(車乗り入れ禁止)が走っているため、人が集まりや すく、小倉祇園祭りを筆頭として、春の桜祭り、秋の菊花展、10 月お城祭り、らん ちゅう市、正月剣道大会、2000 名餅つき大会でにぎわっている。また正月は天守閣 5 階で書初め大会も催される。 集客の方法について ・ 熊本震災以降、バス団体客が増えている。現在の駐車場(5 台)では収容不能な時もあ り、大手門前に専用駐車場を増設する計画が持ち上がっている。 ・ 今後はIT 技術やツールをうまく組み入れた観光ガイドが必要になってくる。英語で のサービスはもちろんのことで城内のみならず街中でのフリーWifi 設置は当然のこ 天守閣に向かうスロープ 車イス昇降機付階段 車イス利用者への案内サイン
とと考えねばならない。ただし場内でのIC カード対応や AR 設備投資まではコスト 高でもあり、採算が合わない。 小倉城のイメージ ・ 小倉城としての魅力は建築構造として「唐造り」の様式美が他に類をみないことで 有名である。 新しいまちづくりの拠点 ・ 小倉城の特徴として地元小倉のまち歩きの拠点としたい。そのために今後タブレッ トやスマホを使った、城だけでなく隠れたまちの穴場を回遊、散策できるような観 光情報システムに取り組んでいきたい。城や庭園だけでは小倉観光の弱点~滞在時 間の短さ~をカバーできない。市や街全体で実施しなければ効果は薄い。
(5)広島城
調査実施日 平成28 年 12 月 20 日 面談者 公益財団法人 広島市文化財団 広島城 主任(学芸員) 城郭の構成について 城郭の構成 天守 5 層 櫓 有 4 ヶ所 城門 有 4 ヶ所 枡形 有 4 ヶ所 御殿 無 蔵 無 曲輪の構成 本丸 有 天守曲輪(小天守・櫓等) 無 二の丸 有 三の丸 無 西の丸 無 天守閣の構造 建築構造 鉄筋コンクリート造り 床構造 コンクリート造り 階段 木造、コンクリート造り 昇降機 無 常設展示 1 階(城の成立と役割) 2 階(くらしと文化) 3 階(甲冑・刀剣) 5 階(展望室) 企画展示 4 階 常設土産物等店舗 1 階 ミュージアムショップ 常設飲食店舗 5 階 自動販売機 常設映像コーナー 1 階(城づくり)2 階(城下町ガイダンス) 音声設置説明コーナー 無 イベントスペース 無 改修事項 なし 入場者について 天守閣入館者数(年間) 27 年度:約 300,000 人 土日祝日の入館者比 不明 天守/曲輪の来園者比 不明 中心の客層(年代) 様々な年代 高齢者客の割合 数値は不明だが増えている 外国人観光客 数値は不明だが年々増えている 団体客の割合 同上 学校団体は多い・ 来場者のほとんどが広島観光客であり、宮島、平和記念公園のルートの中に組み込 まれている。今年はカープの優勝とオバマ大統領の訪問などで脚光を浴びた。その 勢いで30 万人の来場者を達成しているが、特にこちらが仕掛けたものではない。全 国的なお城ブームの影響があるのかもしれない。 ・ 広島の特性かもしれないが、平和記念公園との関係で、学校等の団体が多いといえ る。当財団では「広島城」を知ってもらうことをモットーとしているので、来館さ れたお客様にそのことを分かりやすく興味をもってもらうことに努めている。これ は「広島城学」の名前で展開している。 運営管理について ・ 当財団は広島市の指定管理を受けて運営しており、管理対象は天守閣建物のみであ り、他の広場は広島中央公園として市の管轄である。したがって天守閣の機能も歴 史博物館としての扱いである。 ・ 運営としての特徴は1~2 ヶ月に自分たちで行う 4 階での企画展示が主であり、6 名 の学芸員で広島を知ってもらうことに専念している。財団として特別な予算をもっ て入場者を増やすといったことはしておらず、特別に統計をとったり、分析したり することもしていない。 公園ゾーンの利活用について ・ 公園ゾーン(中央公園)は元々広島市緑政課のものであったが、今は「公益財団法 人広島市みどり生きもの協会」が指定管理者となっており、堀と石垣は広島市の緑 政課である。その他経済観光局観光政策部以外に市民局文化振興課や公園整備課な ど各部署が絡んでおり、公園ゾーンでのイベントなど、各部署でバラバラである。 なお使用の申請は緑政課で受け付けている。 ・ 観光政策部が主催するものでは、例えば観月会や二の丸コンサート、広島市内史跡 めぐりなどがある。 天守閣耐震化工事について ・ 当天守閣は昭和33 年に復興されてすでに 60 年近くになりコンクリート強度の劣化 が考えられるが、ここ数年は耐震化工事の話は出ていない。協議会等もなく、広島 市としての考えも指定管理団体(4 年の期限)として特に聞いていない。 バリアフリーについて ・ 当天守閣がもともとパビリオンとして博物館仕様となっており、トイレすら館内に はない。昇降機もないため、車いすも要請があれば介助はできるが、それも 2 階ま で。3 階以上は階段も急で身障者の方には無理。事実上バリアフリー対策ができてい るとはいえない。
ユニークベニューについて ・ 以前JC 全国大会のレセプション会場として天守前の本丸広場、二の丸広場を使用し たことはある。 ・ 天守閣内を利用することは無理だが、天守閣をバックとして二の丸、三の丸広場を 使ったイベントなら多く使われている。「広島食のフェスティバル」などは屋台が並 び大変な賑わいだった。 展示フロアについて ・ 展示予算が抑えられていることもあり、当天守閣が郷土資料館的な役割があり、ど うしても現体制でやりくりしなければならないので、常設展示に頼らざるを得ない。 大幅なものは変えずに予算の枠内で対応。なお展示宝物は天守収蔵庫に保管してい るが、狭くて困っている。 ・ 企画展示は 4 階のみであるが、運搬に大変な労力がかかる。トラックヤードのスペ ースがないため、いいものを展示したくとも、搬入出来ないことが悩み。 ・ 人気のあるフロアは体験コーナー。これだけネットやIT が発達すれば、対策として 「本物」を見せるか「体験」できるかのいずれしかない。 試着体験コーナー(セルフ) 甲冑試着体験コーナー (セルフ) 子供用甲冑試着体験コーナー (セルフ)
展示フロア(外国人観光客対応)について ・ 館内での案内は 6 ヶ国語パンフで対応しているが、これ以上増やしてもあまり意味 がない。その他、映像設備が英語で聞けること、これは外国人観光客には人気があ る。 ・ 外国人観光客以外に若者にも人気があるのは「安芸ひろしま武将隊」による観光PR 活動。毎週土・日・祝日に活動。(広島市観光振興事業) ・ IT 対応として来場者に対して観光説明入りタブレットの貸出しを考えている。 ・ 観光ガイドでは、市内にある観光ガイド団体(2 団体)の方々に月に 3 日無料でボ ランティアガイドをお願いしている。 集客の方法について ・ 天守閣入館割引は、JR との連携、地元バス会社とのタイアップ、広島宿泊客優待の 3 つで行っている。 ・ 縮景園は県の管轄であり、連携は行っていない。 ・ 地元商店街との連携も特別には行ってはいない。広島市としては宮島、平和記念公 園との回遊性を高めることを期待している。 広島城のイメージ ・ 市民感覚からいえば、「毛利氏」。城郭としては「金シャチ瓦」。広島という土地は世 界的にも歴史的にも「被爆戦記」との絡みがあり、曲輪そのものが西日本の軍司令 本部があった遺構が有名である。 2F 英語対応の 音声ヘッドフォン 古図と組み合わせた 映像モニター 1 階の映像 (英語対応ヘッドフォン)
(6)長浜城(長浜歴史博物館)
調査実施日 平成28 年 12 月 23 日 面談者 長浜市長浜城歴史博物館 学芸員 城郭の構成について 城郭の構成 天守 3 層 5 階 櫓 無 城門 無 枡形 無 御殿 無 蔵 無 曲輪の構成 本丸 無 天守曲輪(小天守・櫓等) 無 二の丸 無 三の丸 無 西の丸 無 天守閣の構造 建築構造 鉄筋コンクリート造り 床構造 コンクリート造り 階段 コンクリート造り 昇降機 有 エスカレーター 常設展示 3 階(秀吉と長浜) 5 階(展望台) 2 階(湖北・長浜のあゆみのテーマのもと絶えず展示替え) 地下1 階(研修室) 4 階(茶室) 常設土産物等店舗 1 階 ミュージアムショップ 常設飲食店舗 無 常設映像コーナー 2 階(湖北・長浜のあゆみ) 音声設置説明コーナー 無 イベントスペース 地下1 階(研修室) 改修事項 収蔵庫、研修室 入場者について 天守閣入館者数(年間) 145,289 人(平成 24~26 年度平均) 平成27 年度は 4 ヶ月工事で 11.6 万人 土日祝日の入館者比 54%…1 週間平均を 100 とした土日割合で可 天守/曲輪の来園者比 不明 中心の客層(年代) 個人・学生・ファミリー層 高齢者客の割合 不明 外国人観光客 カウントはしていないが中国系の人は多い 団体客の割合 1 割…全入館者数に占める割合・ 当長浜市はNHK 大河ドラマと深い関わりがあり、「秀吉(H8)」、「功名が辻(H18)」、 「江(H23)」、「官兵衛(H26)」で長浜が取り上げられると来場者が一挙に増える といった特徴がある。秀吉や浅井三姉妹はキャラクターとして安定した人気があり、 近年は石田三成ファンが多い。 ・ 平成26 年度は官兵衛人気で前年の 15.7 万人から 19.2 万人に大きく伸びたが、今年 度はペースからみてやや落ち込むと予想している。いわゆる「お城好き」の観光客 ではなく、ドラマの人気が観光の吸引になっている。 本城再建の特徴 ・ 市制40 周年記念事業として市民から城再建要望が出され、昭和 58 年に模擬天守と して復元。あくまで歴史博物館としての城壁型施設。管理運営主体は長浜市教育委 員会。 ・ 当時総工費10 億円ともいわれた中で、市内縮緬業の篤志家が 1 億 5 千万を提供した のがきっかけとなり、市民の寄付が4.3 億集まり、市民の城としての誇りが強い。 公園ゾーンの利活用について ・ 公園ゾーン(豊公園)は明治時代にすでに整備されたもので、現在は長浜市都市計 画課が管理している。 ・ 天守閣(博物館)と公園が一体となったイベントとしては、豊公園の春の桜祭り、 長浜出世祭りとして火縄銃大会や長浜きもの大園遊会があげられる。長浜市として の有名イベントである「曳山祭り」と「盆梅展」があるが、これらは全て他所で行 われている。 ・ 現在は城も公園も長浜市の管理であるが、5~6 年前に一度指定管理の話があった。 平成18 年に長浜市が周辺町村と合併した時、歴史文化資産の 11 施設について 7 施 設は指定管理としたが、4 施設だけは市の重要性から直接管理とした。 天守閣耐震化工事について ・ 当天守閣の耐震調査は平成10 年に実施されており、その時の結果は問題なし、であ った。以降、耐震化工事の話は出たことはない。 長浜城歴史博物館 豊公園から望む 長浜城歴史博物館 豊公園内の誘導サイン
バリアフリーについて ・ 館内中央に車いす対応のエレベーターを1 基、1~3 階まで利用可能。玄関にはリフ ト1 台設置。さらに 1 階には多目的トイレ、3 台の車いす常備。 ・ 身障者の方は3 階までしか利用できないため、5 階の展望室にカメラを設置し、2 階 でも眺望をリアルタイムに楽しめるよう工夫している。 ユニークベニューについて ・ 天守閣内で 4 階の茶室の利用をユニークベニューとして考えることもできるが、ま だそこまでの活用には至っていない。天守閣を背景としてのイベントは写真撮影会 や市の観光課主催の「長浜出世まつり」での火縄銃大会などは人気がある。 ・ さらに天守閣を背景とした写真スポットとしてよく使われているのは、豊公園南に 隣接する「長浜ロイヤルホテル」で挙式された方が記念に撮影されることがよくあ る。 ・ 平成10 年には展示物の搬入のために側面から搬入し収蔵庫、2 階展示室への運搬が 楽なようにした。 展示フロアについて ・ 平成10 年にエレベーターや地下研修室・収蔵庫を設置し現在のフロア構成となった。 それ以降、平成 27 年に大幅な改修として空調設備工事と展示のリニューアルを、2 ヶ月は完全休館、2 ヶ月は工事並行開館で行った。 ・ 2 階と 3 階は博物館仕様になっており、3 階は常設展示として当地にはかかせない「秀 吉と長浜」をテーマとしている。2 階は 1~1.5 ヶ月で企画展示を行っており、現在 は自主企画として「琵琶湖」を取り上げている。舟であり、竹生島であり、菅浦集 落、観音の里といった湖北地方をメインに企画展示している。 ・ 展示方法にも 2 つあり、歴史性をテーマとして資料や文物展示に力点をおく個人対 象の場合と、歴史に楽しく触れたり身近に感じるため体験ができるファミリー向け の場合とがある。当館は普段は歴史好きの個人を中心に、春のゴールデンウィーク や夏休みは着付けや写真スポットなど家族連れ、団体客に楽しんでもらえる展示に 注力している。 ・ 平成10 年に展示物の搬入のために、収蔵庫、2 階展示室への運搬が楽なようにした。 車イス対応の連絡ボタンと スロープ案内 車イス、搬入等に対応する スロープ 1Fから2F受付への 車イス昇降機用入口
観光ガイドについて ・ フリーWi-fi は設置済み。特にインバウンド対策として必須。今年から各案内看板は 英語と中国語表記を採用している。 ・ 長浜に来られるお客様には、秀吉や三成を中心とする戦国時代を調べる人が割合と 多く、歴史ファンに気を使っている。特に歴史的な資料や文物の展示に工夫を凝ら さねばならない。全国からそんな人が集まるため、定休日は特に設けておらず、年 末も開館している。せっかく遠くから楽しみに来たのに休みは失礼でもある。長浜 はおもてなしの心が行き届いている街という印象が強い。 ・ 城のガイドだけではなく、「友の会」主催の「歴史講座」の開催で絶えず現地研修を 行いボランティア活動の素地を作っている。秀吉のお側衆のように今では「一文衆」 や「黄母(きほろ)衆」などのグループを結成し、長浜の観光 PR ガイドに一役買 っている。 まちづくり連携について ・ 城の専用駐車場は豊公園内に30 台確保はしている。長浜市内観光として「黒壁」に 来られた人は琵琶湖眺望の拠点として必ず来場される。城だけの来場ではなく市内 周遊ルートになっている。 ・ 当歴史博物館の強みとして「友の会」活動が活発であること。昭和60 年設立ですで に34 年の歴史がある。長浜市民の後押しがあり、現在でも 600 名の会員活動によっ て支えられている。平成23 年の「江」の時は 700 名を数えた。 ・ 中心市街地との連携では、「ひな人形めぐり」と館内で道具の展示など商家の引き札 (チラシ)展示であったり、企画に対しても常時「NPO まちづくり役場」との相談 会を設けており連携を密にしている。 長浜城のイメージ ・ 長浜は「秀吉とまち」の関わりが深い街であり、長年その伝統が市民感情の中に深 く根付いている。「城」のイメージよりも「まち」の意識が強い。 チケット売り場と売店 築城イメージのジオラマ 6階 展望室 歴史展示パネル