Reinforcement Mechanism of sand with fiber based
on micromechanics (Nagoya Institute of Technology) and Erdin Ibraim (University of Bristol)Tomoyo YAMAGUCHI, Kenichi MAEDA, Takashi MATSUMOTO
マクロ-ミクロの視点から見た砂の短繊維補強メカニズム
DEM 座屈 粒子回転 名古屋工業大学 学生会員 ○山口智世 名古屋工業大学 国際会員 前田健一 ブリストル大学 国際会員 E. Ibraim 名古屋工業大学 学生会員 松本 崇 1. はじめに 近代から今日にかけて、様々な補強土工法が考案されて きた。テールアルメ工法や、ジオテキスタイルを用いた工 法がその代表である。これら補強土工法では、土中に土粒 子とは異なる性質をもつ材料を挿入・敷設することで、粘 着力や摩擦力が増加し、補強土構造物全体の強度が増すと 考えられてきた。さらに近年では化学繊維技術の発展によ り、毛髪のように曲げ剛性を持たないファイバー(短繊維 材)で地盤を補強する工法も多く用いられている。この工 法はフレキシブルなファイバーを用いるため、補強の適用 範囲が広く表面に植生工を導入することができるため、今 後の研究・開発が期待されている。現在、その特性を明ら かにしようと様々な研究1)-5)が行われているが、ここでも 補強効果はテンションによる粘着力の増加によるものと する方向性が強い。しかし、ファイバーの配向と補強土の 力学特性との関係を単なる粘着力増加によるものとする だけでは説明ができないことが明らかになっている。よっ て、補強効果を粘着力増加によるものとするのではなく、 別の視点からも検討する必要がある。 一方、補強効果はある程度変形することで発揮されるね ばり効果が主であり、補強土の内部構造を観察し土粒子と ファイバーの相互作用原理を理解することが有用である。 そこで、本研究では、その補強効果についてマクロな応力 -ひずみ-強度だけでなく、ミクロの視点から補強メカニ ズムを明らかにし、その基本原理を反映させた使用方法と その設計方法を検討することを目標としている3)。 本論文ではまず、内部構造に着目した補強メカニズムに ついて、ミクロな補強メカニズム導入の必要性について述 べる。つぎに、2 次元個別要素法(DEM)を用いて内部構 造の変化を観察した結果から、ファイバーが供試体内部に 拘束領域を作成し、内部構造の劣化を遅延することでねば りの効果をもたらしていることを示す。 2. 内部構造に着目した補強メカニズム 著者らは、粒状体の変形などのマクロな挙動についてミ クロ視点から様々な観察・検討を行ってきた6)。本章では その結果を基に、ミクロな視点から補強効果発揮メカニズ ムについて単純なモデルを用いて簡単な考察を試みる。 まず、ファイバー混入土のマクロ挙動の特徴を理解する ために、図-1 に直接せん断試験結果例を示す。無補強の供 試体と比較すると、ファイバーを混入によって、せん断初 期には補強効果が見られないものの変形が大きくなった 破壊強度は高くひずみ軟化過程での強度低下が抑制され ていることがわかる。また、体積膨張傾向もファイバー混 合率に伴って強くなっている。一方で、ファイバー補強土 の三軸圧縮試験においてはファイバーを混合することに よ っ て 体 積 膨 張 が 抑 制 さ れ る と の 報 告 も あ る (Michalowski and Zhao 1996, Consoli et al. 1998, Heineck et al. 2004)。この相反する現象を説明しようとする場合、 粘着力の増加による補強効果といったマクロ視点のみで とらえるには限界があると考えられる。 そこで、ミクロの視点から、補強材が粒子の接触状態(粒 子間粘着力や摩擦力等)や構造の安定性にどのような影響 をもたらすのかについて検討した。 0 50 100 150 200 0 2 4 6 8 10 12 fibres 0% fibres 0.3% fibres 0.5% fibres 1.0% Sh ea r st re ss (kPa ) vx (m m ) polypropylene fibres -1 -0.5 0 0.5 0 2 4 6 8 10 12 vy (mm ) vx (m m ) 図-1 ファイバー補強土の直接せん断試験の実験結果 2-1 ボンド接合による粒状体の改良メカニズム 最初に、接触する粒子間を接触面法線・接線の両方向を 同強度のボンドで結合し、このミクロな粘着力の導入が供 試体内のマクロな変形挙動に与える影響について側圧一 定の二軸圧縮試験をDEM 解析した結果を示す(図-2)。 粒状体にセメントや溶液型の薬品を注入した改良土に対 応する。初期結合割合aB=100%のときの応力比(τm/σm: τm : 最大せん断応力, σm :平均主応力)と軸ひずみ関係について示している。ボンド強度を全く持たない場合(FB=0, aB=0: 通常の円形粒子供試体)はせん断初期から非線形性を示し ダイレイタンシーが観察されるが、ボンド強度FBを有す る場合にはせん断応力は単純に増加し体積変化も線形弾 性体的挙動を示し、FBが十分高い場合にはこの変形形態 が継続される。ファイバーによる補強とは明らかに異なっ ている。また、中ひずみ領域あたりからボンド結合の破損 程度が高くなり、膨張傾向に急激に遷移する。これは、供 試体内部にブロック状の離散化が進み、その不規則形状に 起因する、形状の凹凸のかみ合わせや回転抵抗、インター ロッキング効果が生じているためと推測される。 0 1 2 3 4 5 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 -4 -3 -2 -1 0 1 2 Normal Strain, εyy(%) Stre ss R at io , τm /σm Circular Particles
Confining Pressure 500kPa Volume
tr ic S tr ai n, εv (% ) aB=100% [ no bond(FB=0) ] [ bond FB (kN) ] 0.5 5.0 10 fairly high 図-2 変形・破壊挙動に及ぼすボンド結合強度 FBの影響 に関するDEM 解析結果 2-2 粒子間摩擦力を増加による補強メカニズム 一般的に言われているように、粒状体を摩擦性材料とす るならば、粒子間摩擦係数µ(=tan-1φ µ)は最も重要な因子 となる。二軸試験の破壊時の内部摩擦φfと粒子間摩擦角φµ の関係を図-3 に示す。 0 15 30 45 60 75 90 0 15 30 45 60 75 90 Grain shape cl01 cl03 cl06 rotation constraint cl01
Friction angle at contact point, φµ (deg.)
In te rn al fric tio n a ng le a t fa ilu re , φf ( de g.) Dense, σc0 = 0.1 (MPa) 図-3 破壊内部摩擦角と粒子間摩擦角の関係に関する DEM 解析結果: 非円形粒子、回転拘束した粒子も導入 砂のような粒状体(回転を拘束しない円形粒子)の場合 (赤丸印)、φµ<30°ではφf>φµと常識的な結果になる。しか し、φµ>30°ではφf<φµの関係となり、φfは35°程度に収束す る。また、φfの増加率の低下程度は、回転抵抗が発揮され る非円形粒子では低く、円形であっても粒子自体の回転が 拘束され場合(黒丸印)にはほとんどのφµでφf>φµとなって いる。このことから、粒状体の破壊には、粒子間すべりの 影響よりも粒子回転の効果が大きく、回転の拘束が強度を 大きく増加させること言える。粒状体の変形・破壊を粒子 間の相対変位の累積によるものと考えると、まず、図-4 の挿入絵のように板の上に形状の異なる要素を置き真上 からf1で押さえ真横からf2を作用させ、物体が動き出すと きの摩擦角を tan-1(f 2/f1)とし、物質と板との摩擦角φµとの 関係を調べた結果を図-4 に示す。円状要素とそれを外接円 とする正三角形、正方形、正六角形について、滑動(tanφµ ≤ F/N : N と F は要素に作用する垂直抗力と摩擦力)と回 転転倒(clim ≤ c: c は N の作用点と重心との水平距離)の 両方の安定性について検討した。ここでは、外力の作用点 が要素重心を通った場合を考える。円形の場合にはclim ≡ c≡0 なので載荷によって直ぐに転がる。非円形要素では 転がりにくくなるために、滑動が選択され正六角形、正方 形、正三角形ではそれぞれφµ<30°、45°、60°では回転転倒 は起きずに滑動によって安定を失い、tan-1(f 2/f1)=φµとなる。 しかし、上記の値よりもφµが大きい場合には、要素の安定 性は転倒の安定性で決まってしまうので、f2/f1は極限値を もつことになる。一要素のみを考えても、たとえ摩擦が十 分に大きくても要素の安定性には限界があることになる。 つまり粒状体の強度に影響を与える粒子要素の安定性に は粒子回転抵抗が重要な役割を担っているといえる。次節 ではこの考え方を粒子が連なって形成する柱状の応力鎖 (粒子column 構造)に適用することを試みた。
15
30
45
60
75
90
15
30
45
60
75
90
0
in ter na l f ri ctio n an gl e, tan -1 (f 2 / f1 ), ( de g.)interparticle friction angle,
φ
µ (deg.)triangle square hexagon circle 1 f 2 f c 0 lim c h N F 図-4 形状が異なる単体粒子の滑動と回転転倒に対する 安定性に及ぼす摩擦特性の影響 2-3 粒子構造体の曲げ剛性に着目した補強メカニズム 粒子column 構造の変形を、曲げ変形とせん断変形の両 方を考慮するTimoshenko column(座屈荷重 PT)を用いて 連続体に近似し、その変形・破壊特性を調べた。初期の column 形状は sin 関数で表される曲線で近似し、長さ l、 中点の初期たわみa0を与えた。比較のためにEuler column (通常の実用梁;座屈荷重 PE)も取り扱う。連続体の column として扱うが、粒子性を考慮するために、DEM と 同様に接点バネkn, ksを考え、非円形粒子のように接する 二つの粒子間で接点が2 つ存在する場合を考えた。バネを 2 本設置し、この距離を 2h とするとこれが近似した連続 柱の厚さとなる。粒子直径D に対する比率 2h/D が高くな ると曲げ剛性が上昇し粒子の回転抵抗は高くなることを B s B k Particle Bond Type F B F
without rotation resistance Bond Material B s B k Particle Bond Type F B F
without rotation resistance Bond Material 03 cl 06 cl 01 cl 01 cl 03 cl 03 cl 06 cl 06 cl 01 cl 01 cl 01 cl 01 cl
意味する。弾性係数はバネ定数で表現し、粒子間の滑りを 考えせん断力と軸力の比が想定する粒子間摩擦 tanφµを超 えると柱は崩壊するとした(ks → 0)。 変形後 a。 P υ=a0+v l 変形前 kn kn Pばね h kn kn Pばね h ks ks 円形粒子 非円形粒子 D=2r δ
図-5 Timoshenko column による粒子 column の連続体近似
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 0.5 1.0 P /D (M P a) δ/ l l /D = 3 l /D = 4 l /D = 5 l /D = 6 l /D = 7
Timoshenko column φµ=40deg.
: collapse due to slip
図-6 連続体近似 column の変形・破壊挙動:2h/D=0.1 10 20 30 40 50 60 70 80 90 0.5 1.0 1.5 2.0 0 Pu /D (M P a) φµ ( deg. ) 2h/D =0.02 2h/D =0.04 2h/D =0.06 2h/D =0.08 Timoshenko column l/D=5 図-7 粒子回転効果が異なる場合の column 最大耐力と粒 子間摩擦角の関係 図-6 に粒子 column 構造の大きさ(柱の構成粒子数)l/D の違いによるcolumn 構造の変形・破壊挙動の例を示す。 縦方向のたわみ量δとともに荷重が大きくなるが、column の座屈荷重以上の極限耐力を発揮することはできない。極 限値は、Euler column の場合 PE=2/3knD(πh/l)2、Timoshenko
column の場合 PT=PE/(1+PE/ksD)である。さらに、変形後 に何れかの接点で滑りの条件が満たされ破壊に至る(図中 の×;これを最大耐力Puとする)。図から構成粒子数l/D が小さい程Puが大きく、一方、6 個以上のではかなり小 さく残存しにくいと言える。図-7 は、φµとPuの関係に及 ぼす曲げ抵抗(回転抵抗度 2h/D)の影響について示して いる。回転抵抗度が高く、φµが大きくなると耐力が大きく なる。一方、φµ>15°以上では耐力の増加度は著しく低下し、 φµ>30°では一定値に収斂する。この傾向は、供試体の内部 摩擦角の傾向(図-3)と一致し、粒状体の変形・破壊挙動 は粒子間の滑りだけでなく、粒子構造の曲げ(粒子回転抵 抗)に起因する座屈的崩壊に支配される。2.3 節と同様な 結果が得られたことになる。以上の結果から、補強効果と しては粘着力や摩擦力だけでなく、粒子回転の拘束といっ たミクロ現象が重要であることが分かった。 3. 解析手法:ファイバー混合土 DEM を用いてファイバー混合土の二軸圧縮試験を行い、 その変形・破壊挙動を解析した。ファイバーは、直径 d の円形粒子をボンドで繋いで表現した(図-8)。接点がヒ ンジとして働くよう設定し、フレキシブルかつ破断しない ものとした。粒子は剛な円で表現し、粒子間の相互作用は 通常よく用いられるバネ、ダッシュポッド、スライダーに よってモデル化した。解析に用いたパラメータは表-1 の通 りであり、力学パラメータは既報6)に詳しい。 d Contact bond 図-8 DEM によるファイバーのモデル化 表-1 解析に用いたパラメータ
Parameter Unit value
ρf (Mg/m3) 9.1
d (mm) 1 (d / Dmax = 0.1)
λ=l/d -- 150
ρs (Mg/m3) 2.65
grain shape -- circle
Dmax (mm) 10
Dmin (mm) 5
D50 (mm) 7.1
Cu -- 1.3
Cg -- 1.1
* d = diameter, l = length, λ = aspect ratio (λ=l/d). * Dmax = maximum grain size, Dmin = minimum grain size, D50
= mean grain size, Uc= coefficient of uniformity (D60/ D10), U’c
= coefficient of gradation (D30/D60*D10), ρs = density.
Specimen Detail
図-9 DEM によるファイバー混合土のモデル
供試体の様子を図-9 に示すが、灰色の円は土粒子を、黒い 円はファイバーを表している。応力のみの作用による構造 の変化を観察するため、無重力状態で行った。ファイバー
と粒子集合体からなる母材では粒子をランダムに発生さ せ、間隙比は0.24 に設定した(emax = 0.27, emin = 0.21)。最
初、粒子は目標粒径の1%の径で小さく発生させ、その後、 半径を等方的に徐々に増加させ所定値を得た。応力状態は 供試体を囲む4 つの壁の位置を変化させ、等方圧縮後、側 圧一定・軸方向のひずみ速度一定でせん断させた。最大主 応力方向を y 方向とし、直ひずみ εxxとεyy 、体積ひずみ εv(=εxx+εyy)、平均主応力σm(=(σxx +σyy)/2)と最大せん断応 力τmを用いて整理した。なお、本論文においては縦方向を 最大主応力方向とした。 4. ファイバー混合土の解析結果および考察 4-1 マクロ挙動 図-10 は、ファイバー混合率(マトリックスに対する質 量比)が異なる場合における、等方圧縮下における間隙比 の変化を表している。0.5MPa まではほとんど同じ挙動を 示すが、その後はファイバーの混合率が高いものほど圧縮 性が低くなっている。 図-11 は側圧一定下における二軸圧縮試験による変形・ 破壊挙動を示している。ファイバーを混合することによっ て中ひずみあたりから補強効果が発現し、混合率の上昇に 伴ってピーク強度も増加している。最大圧縮後の体積ひず みはファイバーの混合によって膨張傾向が強くなってい る。図-12 は主応力比とダイレイタンシー比(主ひずみ増 分比)の流れ則の関係で再整理したものである。図中には 粒子間摩擦角φµ=25°に相当する Rowe の流れ則も示した。 無補強の場合は、Rowe の式に概ね収斂しているが、ファ イバーを混合した場合、Rowe の式から外れており同じ応 力比で比較すると、混合率の上昇に伴って発生するダイレ イタンシー比は低くなっている。 0.05 0.1 0.5 1 5 0.15 0.20 0.25 0.30 voi d ra tio of m at ri x s and, e
Mean normal stress, σm (MPa)
fibre content (%) 0 (no fibre) 0.2 0.6 1.2 図-10 等方圧縮時のマトリックス部の挙動 4-2 ミクロ挙動 (1)等方圧縮 図-13 は、ファイバー混合率を変化させた場合のファイ バーの平均張力の挙動を表している。混合率の違いによる 平均張力への大きな影響はみられないものの、若干ではあ るが混合率が高いものほど平均張力も高くなっている。ま た、拘束圧が高くなると平均張力も増加する傾向が見られ、 等方圧縮下にあっても、ファイバー内には張力が発達して いることがわかった。平均張力は拘束圧の増加とともに発 達し、引張抵抗が比較的弱いファイバーは限界引張力に到 達し破断に至ると考えられる。実際、ファイバーは破断す ることが観察されており5)(著者らもアルミ棒積層体実験 でも確認している)、今後はファイバーの分布には破断も 考慮する必要があるといえる。 0 1 2 3 0 0.2 0.4 0.6 St re ss R at io ,τm /σm Normal Strain, εyy(%)
medium dense, σc=0.1(MPa)
fibre content (%) 0 (no fibre) 0.2 0.6 1.2 0 1 2 3 -4 -3 -2 -1 0 1 2 Normal Strain, εyy(%) V olu m etr ic S tr ain , εv (%
) medium dense, σc=0.1(MPa)
fibre content (%) 0 (no fibre) 0.2 0.6 1.2 図-11 ファイバー混合土のせん断挙動 0 0.5 1.0 1.5 2.0 1.0 2.0 3.0 4.0
Rowe's form: R=KD ( K=tan2(π/4+φ
µ /2) ) φµ=25deg. Dilatancy ratio, D=1- dεv/dε1 Pr in ci pa l s tr es s r at io , σ 1 /σ2 図-12 ファイバー混合土の流れ則 図-14 は、圧縮によるファイバーの形状変化を示してい る。初期の低圧状態では、母材の粒子配置状態は十分密で はなく、ファイバーも著しい変形には至っていない。しか し、高圧縮状態では粒子の移動が生じるため、その影響を 受けファイバーは変形し、張力が生じている。 図-15 は、ファイバー混合率 0.6%、拘束圧σm=5MPa の 場合のファイバー張力の空間分布を示している。ファイバ ーの黒い部分では高い引張力が発生している。供試体全体 で見ると、張力は不均一に発生しており、強い方向性は見 られない。供試体内部をみると、高い張力の発生が見られ
る箇所はファイバーの初期曲率が高い箇所や曲率変化が 大きい箇所であり、密に混入されているほどその傾向が強 いようである。 0.05 0.1 0.5 1 5 0 0.5 1.0 1.5 2.0
Mean normal stress, σm (MPa)
A ve rag ed t en si le s tr es s ( M
Pa) fibre content (%) 0.2 0.6 1.2 図-13 等方圧縮時のファイバー内の平均張力の挙動 0.1MPa 5MPa 0.1MPa 5MPa fibre fibre 図-14 ファイバーのせん断による形状変化 fibre high tension stress 図-15 ファイバー張力の空間分布: ファイバー混合率0.6%、平均主応力 5MPa (2)せん断時 ファイバー内の平均張力とマクロな変形との関係を図 -16 に示す。せん断初期段階では、平均張力は変化してい ないが、0.2%を超えたあたりから増加し始めている。この 傾向はマクロ挙動である母材の体積膨張の開始地点と一 致している(図-11)。張力はピーク強度を超えても増加 し続け、ファイバーの最大張力はファイバー混合率ととも に高くなっている。 図-17 はファイバー混合率 0.6%、軸ひずみ 2%の場合の ファイバー張力の空間分布を示している。供試体全体で見 ると張力は不均一に発生している。最小主応力方向または 最小主ひずみ方向に配向しているファイバー内に高い張 力が発生すると思われたが、分布の強い方向性は見られな かった。一方で、局所的に見ると最大張力は最小主ひずみ 方向に発達し、平均張力の2 倍程度にも達している箇所も ある。この結果は実験結果とも一致していた。しかし、最 小主ひずみ方向に配向しているファイバー全てに張力が 生じているわけではない。つまり、せん断による局所的な 構造の変化は、母材-ファイバー間の相互作用メカニズム に重大な影響を及ぼしていると考えられる。 0.010 0.1 1 10 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Normal Strain, εyy(%) fibre content (%) 0.2 0.6 1.2 A ver aged t ens il e s tre ss (M P a) 図-16 せん断時のファイバー内の平均張力の挙動
Major principal stress
fibre high tension stress 図-17 ファイバー張力の空間分布:ファイバー混合率 0.6%、軸ひずみ 2%程度 つぎに、変形過程における母材の内部構造の変化を評価 するために、構造の指標であるNc F1とNc F2を導入し、 結果を整理した(図-18)。Nc F1とNc F2は最大・最小主 応力方向の構造の強さの変化を示しており、この値が大き いほどその方向のミクロ構造は強く、高いマクロの耐力を 有することになる6)。Ncは平均配位数、F1 と F2はそれぞ れファブリックテンソルの最大・最小主値方向を表してい る。また、F1とF2の比 F1/ F2は異方性の強さを表し、最 大、最小主応力方向と F1、F2方向は一致することが知ら れている。よって、F1/ F2の特徴は応力比によって決定付 けられ、材料特性と試験条件とは独立関係にある。図に示 されるように、無補強の場合、構造の強さはNc F1はほと んど変化しないが、Nc F2ともにマクロな変形に伴って急 激に減少している。最小主応力方向においては変形ととも に平均配位数が減少し構造の強さが失われている。
0 2 4 6 8 10 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 In ten sity o f f abr ic Nc F1 tow ar d σ1 fibre content (%) 0 (no fibre) 0.2 0.6 1.2 0 2 4 6 8 10 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 Normal Strain, εyy(%) In te ns it y of fabr ic Nc F2 tow ar d σ2 fibre content (%) 0 (no fibre) 0.2 0.6 1.2 図-18 マトリックスの粒子構造強さのせん断による変化
mean normal stress deviator stress (a) ファイバー混合率=0%の場合
unit: Pa highly stretched fibre
lower stretched fibre
mean normal stress deviator stress (b) ファイバー混合率=0.6%の場合 図-19 ミクロ領域における応力の分布 ファイバー補強された場合においては、最大主応力方向 のNc F1は中ひずみあたりからわずかに増加し、最小主応 力方向のNc F2は混合率の上昇とともに減少の程度が弱ま っている。これより、ファイバーが最小主応力方向の構造 の劣化を抑制し、混合率が構造指標に大きな影響を与えて いると言える。マクロスケールでの強度増加を構造の強さ に着目して説明できる可能性があると考えられる。 図-19 は、ファイバー混合率が 0%((a)図)と 0.6%((b) 図)、軸ひずみが2%のときの平均主応力と偏差応力の分 布を示している。補強・無補強どちらの場合においても、 応力の分布に強い方向性は見られなかった。しかし、ファ イバー混合率が 0.6%の場合、無補強の場合と比較すると 応力鎖が縦方向により密に発生していることが確認でき る。ここで、2 章で取り上げた座屈の検討と合わせて考え ると、応力鎖が密になることで粒子の柱の長さが短くなり、 かつ、側方から支えられることで構造が壊れにくくなって いると考えることができる。 5. おわりに 実際は三次元であるが二次元解析であることから、ファ イバーが粒子同士の接触を離してしまうなどの相違点は あるものの、DEM は実験で観察されるようなファイバー による強度増加をよく表現でき、等方圧縮またはせん断時 のファイバーのミクロ挙動を明らかにしたていえる。 マクロ挙動の結果では、ファイバー混合率の増減が、母 材の圧縮性とダイレイタンシー挙動に影響を与えており、 ミクロ挙動の結果では、ファイバー内の張力がひずみレベ ルとともに増加しており、最大張力は最小主ひずみ方向へ 発達していた。また、ファイバー混合率の上昇とともに、 ファイバー内に発生する張力も増加していた。これより、 粒子構造は、せん断時のみならず等方圧縮時でも影響を受 けて変化し、ファイバーが粒状集合体にミクロな拘束効果 を与えていることが確認できた。 さらに、構造の強さを最大・最小主応力方向に分けて考 察すると、無補強土では最小主応力方向に構造の強さが失 われやすいことが示された。この現象は、応力が伝達する 経路である柱状の応力鎖に着目し、構造力学の柱の座屈の 概念を導入することによって説明ができ、マクロな挙動が ミクロな構造によって支配されていることが示された。フ ァイバー混入はミクロな領域を張力で拘束し、応力鎖の形 成密度の増加による座屈長の減少と側方からの支持によ る座屈の抑制が、側方構造の劣化を抑える役割があると考 えることができる。したがって、本論文では、粘り効果は ファイバーに囲まれたミクロゾーンにおける拘束力増加 による座屈の抑制であると考える。 今後はファイバーの長さ、剛性、配向が、母材-ファイ バー間の拘束効果に及ぼす影響について議論する。特に、 粒子回転について詳細に検討し、さらに、実験による内部 挙動の観察、三次元DEM 解析を進める。これらの結果か らマイクロメカニクスに着目した物理モデルの構築が可 能であると考える。 参考文献: 1) 第 21 回ジオシンセティックスシンポジウ 論文集, 2) Gray, D.H. & Ohashi, H. (1983), J. of Geotech. Eng. 109 (3): 335-353., 3) Ibraim, E. et al. (2006). Int. Symp. on Geotechnics of Particulate Media, pp.443-448, 4) Diambra A. et al. (2007), Geotechnique, 57(77), 623-628,, 5) Heineck, K.S., et al. (2005): J. of Geotech. and Geoenv. Eng. 131 (8): 1024-1033., 6) Maeda, K. & Hirabayashi, H. 2006. Journal of