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大学教育における、体育科教育の実践報告 −体育 科目における学生間相互評価の活用−

著者 松本 文夫

雑誌名 紀要

号 20(別冊)

ページ 1‑10

発行年 2018‑03‑20

URL http://doi.org/10.32125/00000006

(2)

大学教育における、体育科教育の実践報告

-体育科目における学生間相互評価の活用-

松本 文夫 キーワード:体育科教育法、体育科概論、指導法

I はじめに

現在、日本の学校教育は変化の時期にある。

少子化やグローバル化の波はもちろん、キャシ ー・デビッドソンよれば、「子供たちの 65%は、

大学卒業後、今は存在していない職業に就 く」 と予想しているほか、マイケル・A・オ ズボーンは「今後 10~20 年程度で、約 47%の仕 事が自動化される可能性が高い」と予想してお り、現在の職業の多くは今後なくなり、新しい 業種の仕事が新たに生まれてくることが示唆 されている。今後、子どもたちが変化する社会 の中で生きていくために、学校教育は、新しい 時代に必要となる資質や能力を育成していく ことが求められている。こういった現状を踏ま え、現在、日本の学校教育においては、育成す べき資質や能力を踏まえた、学習指導要領の改 訂や高大接続システム改革が行われていると ころである。

各学校種における学習指導要領の改訂につ いては以下のとおりである。幼稚園、小学校、

中学校では平成 28 年に学習指導要領が改訂さ れ、幼稚園では平成 30 年度から実施、小学校 では 32 年度から実施、中学校では平成 33 年度 から実施される。高等学校では平成 29 年に学 習指導要領が改訂され、平成 34 年から年次進 行で実施されることとなっている。

高大接続システム改革おいては、大学教育改 革、高等学校教育改革、大学入学者選抜改革の 三者一体の改革を進め、高等教育機関において、

次代に求められる資質・能力や、少子化・国際

化の進展の中で、高等教育の質的変換を図るこ ととなった。

こういった教育改革の流れの中で、大きなポ イントとして挙げられるのは、すべての学校種 において、アクティブラーニングの視点を取り 入れた教育が推進されていくことである。

アクティブラーニングとは、文部科学省によ ると「教員による一方的な講義形式の教育とは 異なり、学習者の能動的な学修への参加を取り 入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に 学習することによって、認知的、倫理的、社会 的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力 の育成を図る。発見学修、問題解決学習、体験 学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグ ループディスカッション、ディベート、グルー プワーク等も有効なアクティブラーニングの 方法である。」と定義している。

その他、次代を担う大学生に求められる力と して、経済産業省は、2006 年に「前に踏み出す 力」「考え抜く力」「チームで働く力」を社会人 基礎力として定義し、学生の間に身につけてお くべき能力とした。また、文部科学省において も「知識・理解」「汎用的技術」「態度・思考力」

「統合的な学習経験と創造的思考力」を「学士 力」として、2008 年の答申で、学生に臨まれる 能力を定義した。これらの力は、アクティブラ ーニングの定義するところの各種能力と合致 しており、以上のことから大学教育においても、

アクティブラーニングの視点からの教育を取 り入れ、従来の教員からの一方的な授業ではな く、学生が主体的に学び、自らの知識をもって

(3)

問題を発見・解決していくような講義を行うこ とが求められている。

一方、幼稚園、小学校、中学校の学習指導要 領改訂の3つの基本的な考え方として、文部科 学省は「教育基本法改正等で、明確になった、

教育の理念を踏まえ、「生きる力」を育成」、「知 識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の 育成のバランスを重視、授業時数を増加」、「道 徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健 やかな体を育成」を挙げている。特に「主体的、

対話的で深い学びの基礎を作る」というアクテ ィブラーニングの視点に立った授業展開が求 められるようになり、小学校体育においても、

すべての内容の目的において、アクティブラー ニングの視点が取り入れられるようになった。

これらの能力については、教育者自身が、実際 の教育現場で指導する際に身につけておくべ き能力であるともいえる。

以上のことから、特に教員養成を行う大学で の講義において、アクティブラーニングの視点 に立ち、より活発で、学生が主体的、対話的に 学ぶ意識を持った講義を展開していく必要が ある。その方法の一つとして挙げられるのが、

学生間相互評価活動である。

学生間による相互評価を講義で取り入れる ことは、学生の自発的なスキル向上を促すこと が可能であり、自発的な意識改革を促す効果が 十 分 に み ら れ る と ま と め て い る 。( 河 野 ら 2014)(1)

また、レポート作成での相互評価ではあるが、

学生間の相互評価を講義に取り入れることで、

学んだ内容を使い、さまざまな問題に対して発 想を広げていく効果もあり、特に大学での講義 において利用していくことができると結論づ けている。(石橋 2010)(2)これは、相互評価 をとおして、学生一人一人が同じ学生の視線を 意識しながら学習に取り組むことになり、自然 と学びに変化が生まれてくるからであり、相互 評価は学習に対する学生の動機づけにおいて

効果的であるといえる。この学びの姿勢の変化 がアクティブラーニングでいうところの主体 性につながり、学びの深化において効果的であ ると考えられる。

これら、実践報告や研究結果からも、学生間 相互表が及ぼす影響は大きいとともに、現在大 学に求められているアクティブラーニングの 視点を取り入れた講義を行うにあたり、有効な 手段の一つである。

しかし学生間相互評価については、多くが教 養科目等での実践(大倉ら 2004)(3)(松本 2000)(4)であり、各専門科目講義での実践報 告は少ない。体育分野での実践報告も少なく、

本学体育科目において実践し、その効果につい て検証を行うことで、体育科目分野での学生間 相互評価の活用についてその有効性を検証す る。

Ⅱ 本学の状況

学生間相互評価の実践にあたり、本学と対象 学生の特徴について説明する。

まず、本学の特徴としては、2 年制の短期大 学であり、保育者と教員養成を目指す子ども学 科と、日本文学について学ぶ国文学科に分かれ ている。子ども学科では、保育士資格、幼稚園 教諭二種免許状、小学校教諭二種免許状、学校 図書館司書教諭資格の取得が 2 年間で可能であ る。また、国文学科では、司書資格の取得が可 能である。

本実践報告の対象となるのは、子ども学科で 開講されている体育科目である「体育Ⅱ」とな る。

子ども学科の学生の特徴については次のと おりである。多くの学生が、入学当初から保育 者、教育者になるという目的意識を持ち入学し てくる。したがって、入学時にはすべての学生 は、本学で取得可能な資格、免許の取得を目指 している。体育Ⅱについては、資格に関わる選

(4)

択科目ということもあり、毎年多くの資格、免 許取得希望者が受講している。しかしながら、

本学は体育系学科ではないため、学生で運動系 の部活動経験者は多くはなく、逆に特定の運動 に苦手意識を持つものが多い。そのため、学生 間で運動能力に差があり、講義に対するモチベ ーションについても、学生間で差があり、毎年 学生の講義に対するモチベーションや学びに 対する姿勢をどのように高めていくかが課題 として挙げられている。

体育Ⅱの講義内容については、体育科の運動 領域の中でもボール運動を中心とした内容を 扱っている。特に学校教育の現場で広く行われ ている運動競技を扱っている。行う競技は、ゴ ール型競技のバスケットボール、ネット型競技 のバレーボールとバドミントンの 3 種目を行う。

理由としては、前述のとおり、運動経験や部活 動経験を持つ学生が多くないことから、すべて の学生が学校教育において経験している運動 種目を行うことで、すこしでも苦手意識を持た ず、運動に親しみ、講義にのぞめるのではない かと考えたからである。

本講義では、各種目の基本動作の習得を目指 す一方、将来保育者、教育者に求められる指導 方法の習得も考慮した内容を行うことをねら いとしている。

Ⅲ 方法

春学期に実施する体育Ⅱにおいて、学生間相 互評価を活用した講義を実施する。対象となる 学生は、本学子ども学科 2 年生で、保育士養成 コースと小学校教諭養成コースに在籍する学 生である。本講義の履修学生数は、全体で 24 名である。コースごとの人数は、保育士養成コ ースに在籍する学生が 23 人、小学校教諭養成 コースに在籍する学生が 1 名である。すべての 学生がそれぞれの進路に必要となる資格、免許 取得を目指している学生である。

実施方法については次の手順で行う。

学生間相互評価活動を実施する講義は、全 15 回の講義のうち、8 コマ分において、講義の最 初 30 分を利用し、学生がグループでウォーミ ングアップの指導を模擬授業形式で行う。

グループに分けについては、24 名の受講生を均 等に 3 人 1 グループで分ける。グループメンバ ーと発表順は公平に、くじ引きで決める。

模擬授業の方法については、講義開始のチャイ ムを合図に模擬授業を開始、先生役の学生が、

生徒役の学生を集合させるところから始める。

その後、グループの 1 名ずつが主担当の先生役 となり、5 分から 8 分でウォームアップやコー ディネーショントレーニングの指導実践を行 う。3 人が指導を終えたところで、模擬授業を 終了し、本来の計画されていた講義内容を行う という流れで行った。

模擬授業を行う学生は、写真1・2のレポー ト用紙の指導計画部分を記入し、その内容で模 擬授業を行う。

写真1 レポート用紙【指導案等記入用紙表面】

(5)

写真2 レポート用紙【指導案記入用紙裏面】

模擬授業実施後、講義外で自己評価と、レポー ト記述、改善した指導案を記入し、模擬授業を 実施した次回の講義内で提出するようにした。

これは、PDCAサイクルを意識した、授業改 善につなげるために行った。Pについては、事 前の指導計画が当てはまる。Dは、模擬授業。

Cは自己評価。Aは反省のレポート。そしてA からPに繋げるため、改善した指導案の立案ま でを行った。

学生間相互評価については、生徒役の生徒は 写真3の評価シートを基に評価を行い、コメン トを講義後記入し、次回の講義で評価シートを 提出する。評価シートについては、先生役の生 徒にフィードバックする。コメントについては、

できる限り具体的な記述を促した。その理由と して、授業時数の関係で、2 回目の模擬授業実 施は実施できないことから、コメント記入をと おして、自身が模擬授業を行っていなくても、

自分だったらどのように改善していくのかを PDCAサイクルの視点から、常に考え、生徒 役であっても主体的に授業に取り組む態度や 姿勢を高める意図からである。

写真3 評価シート

評価項目については 5 項目設定した。項目は表 1のとおりである。

表1 評価シート項目 1 事前の準備が適切であった 2 運動の説明・指示が適切であった 3 運動量(楽しさ)が確保されていた 4 時間配分は適切であった

5 安全に配慮されていた

その他、コメント欄として、「良かった点」「改 善点」をそれぞれ記入する欄を設けた。

結果の検討方法については、学生の自己評価 と生徒役の学生からの評価を得点化し、その内 容を精査することで、講義回数や模擬授業の回 数を追うごとに、学生の評価活動にどのような 変化が生まれていくのかを検証する。

また、評価方法として授業アンケートも活用 する。表2はアンケート項目である。

表2 アンケート項目

5=「非常にそう思う」4=「そう思う」

3=「どちらでもない」2=「そう思わない」1=「全くそう思わない」

(6)

その他、「【授業アンケート】(記述式)」に基づ き、学生の授業の感想も検討する。

以上、模擬授業をとおした学生間相互評価活 動と授業アンケートを用いて、体育分野におけ る講義においても、学生間相互評価活動が学生 の講義に対する学びの姿勢に好影響を及ぼし、

学生の自発的な意識改革やアクティブラーニ ングに謳われる、主体的・対話的で深い学びを 生んでいくことに効果があることを検証する。

Ⅳ 結果

受講生 24 名中、1 名が途中で履修を放棄した ため、模擬授業と相互評価活動については、23 名が行った。表3は各学生の指導実践の学生間 相互評価を得点化し、平均値をまとめたもので ある。

表3 学生間相互評価結果平均値表

得点としては、1 回目から 8 回目まで大きな変 動は見られなかった。4 組目以降、総得点が若 干低くなった。6 組目以降では、総得点がまた 20 点を超える結果となった。 各項目について の得点については、説明方法を評価する項目2 において、一番低い得点を示した。それぞれの 学生間で得点の差がみられ、学生個々人の実践 力が得点に大きく影響しているといえる。

表4は、自己評価の得点をまとめたものであ る。

表4 自己評価得点表

表3の学生からの評価と比べ、自己評価では低 い得点になった。学生間相互評価の低い学生に ついては、自己評価も特に低い数値を示した。

また、比較的早い時期に実施したグループの自 己評価と学生間相互評価の得点では、大きな差 があった。特に、4 番、5 番では、自己評価の 得点が 10 点、11 点となったのに比べ、他学生 からの評価では、20 点近い数値を示しており、

自己評価と学生評価間に大きな差が見られた。

しかし、21 番の自己評価 10 点に対し、学生か らの評価が 15 点と、両者の差が少なくなって おり、回数を追うごとに、学生たちの評価に対 する姿勢の変化し、よりしっかりとした評価活 動が行えるようになったと考えられる。

特に、項目2「運動の説明・指示が適切であ った」と、項目3「運動量(たのしさ)が確保 されていた」という部分については、他の評価 と比べ、自身に5をつけた学生がいなかった。

表4から表11は各グループに対する、評価 シートのコメントを抜粋したものである。

表4 1 組目コメント

順番 人数 氏名 1 2 3 4 5 合計 平均値

1 4.40 4.35 4.40 4.55 4.40 22.47

2 4.58 4.68 4.53 4.63 4.58 23.00

3 4.58 4.00 4.42 3.68 3.89 20.58

4 2.89 2.56 3.44 3.17 3.78 15.83

5 4.00 3.78 4.28 4.22 3.89 20.17

6 4.33 4.17 4.00 4.22 4.33 21.06

7 4.06 3.94 3.94 4.22 4.33 20.50

8 4.33 4.39 4.50 4.39 4.33 21.94

9 4.11 3.78 4.39 4.17 4.00 20.44

10 4.05 3.95 4.45 4.15 3.90 20.50

11 4.11 3.63 4.11 3.95 3.84 19.63

12 4.35 4.18 4.24 4.12 4.12 21.00

13 4.18 4.24 3.94 3.94 4.24 20.53

14 4.06 3.88 4.18 3.24 3.82 19.18

15 4.31 4.50 4.25 4.19 4.31 21.56

16 4.44 4.44 4.38 4.44 4.00 21.69

17 4.31 4.38 3.94 4.13 4.25 21.00

18 4.06 3.88 3.71 3.82 3.88 19.35

19 4.00 3.82 3.94 3.94 3.82 19.53

20 4.12 4.12 4.29 4.29 4.06 20.88

21 3.11 2.83 2.94 3.11 3.72 15.72

22 4.00 3.78 4.06 3.89 4.00 19.72

23 4.00 4.28 4.11 4.22 3.89 20.50

1組目

A.S

21.81

20.49 M.A

E.T S.N S.M

4組目 M.T 19.67

M.A A.A 2組目

Y.K K.M

3組目 21.18

Y.N

N.H K.F

5組目 19.88

N.K

M.H

7組目 20.18

M.Y T.H T.S

8組目 20.00

M.H Y.F

6組目 21.35

S.Y N.N M.O

順番 人数 氏名 1 2 3 4 5 合計

1 4 3 3 2 4 16

2 4 4 4 4 4 20

3 4 3 4 3 4 18

4 1 1 2 3 3 10

5 3 2 2 2 2 11

6 4 2 3 4 4 17

7 4 2 3 4 4 17

8 5 3 4 4 3 19

9 4 3 3 5 5 20

10 3 2 3 1 3 12

11 3 3 3 2 3 14

12 1 1 2 4 4 12

13 4 4 3 3 4 18

14 3 2 3 3 4 15

15 4 3 3 4 4 18

16 2 4 3 4 2 15

17 4 4 3 5 4 20

18 4 4 4 4 4 20

19 2 2 2 2 2 10

20 4 4 4 5 3 20

21 2 2 2 2 2 10

22 5 3 4 4 5 21

23 4 4 4 4 4 20

1組目

A.S

M.A E.T S.N S.M

4組目 M.T

M.A A.A 2組目

Y.K K.M 3組目

Y.N

N.H K.F 5組目

N.K

M.H 7組目

M.Y T.H T.S 8組目

M.H Y.F 6組目

S.Y N.N M.O

良かった点

リレーの形式でウォームアップすることで、仲間と協力して楽しくすることができた。

説明も、生徒を休ませている間にしていたので良かったと思った。

説明がわかりやすかった。

徐々にキャッチボールが難しくなっていくのはとてもよかった。

次のバレーにすんなり行けた

順次難易度を上げていき、できたときの喜びが味わえることが楽しかったです。

改善点

できなかった時に最後までのこっているのが恥ずかしかったので、

あまりそういうのがないとうれしいです

負け続きのグループへの声掛けや工夫ができるとよかったです。

声が小さい 1

(7)

表5 2 組目コメント

表6 3 組目コメント

表7 4 組目コメント

表8 5 組目コメント

表9 6 組目コメント

表10 7 組目コメント

表11 8 組目コメント

コメントについては、初回のコメントは具体 的で内容的にも非常に良い内容であった。これ は、初めてのコメント記入ということもあり、

学生全員が緊張感をもって模擬授業を受けて おり、他の回以上にしっかりと記入をした結果 だと考える。

良かった点についてのコメントでは、回を追 うごとに、コメント内容の変化が見られた。当 初は、「楽しかった」「面白かった」などのコメ ントが多く見られたが、4 組目では、事前準備 に言及したコメントや、5 回目以降では、教員 としてどのように子どもたちの前で指導をす るのか、についてのコメントがあり、「先生と しての言葉づかい」などの良かった点について 回答しているものが多くみられるようになっ た。7 組目へのコメントでは、「生徒一人一人の 顔を見ていた」など、教師の視線についての意 見もあり、学生の中で、教師がどのような行動 や生徒に対する見守り方がよいのかについて 検討できるようになった。

改善点コメントについては、当初は、運動内 容について、生徒目線でのコメントが多く見ら れた。しかし、改善点のコメントでも、回を追 うごとにコメント内容に変化が見られるよう になり、教師としての具体的な指示の出し方や、

良かった点

背中に挟んでボールを運ぶのはとても難しかったけど、2人ペアの中が深まったりするの で良かった

ボールを使ってパスをする時に名前を呼んでってしていたので、コミュニケーションをとる 良いきっかけになると思いました。

バレーボールの導入として取り入れたのは良かった 改善点

伸長差があるところもあり、やりにくそうだった。ペアの伸長をそろえては。

ボールの持ち方をきちんと説明したほうが良かった。掌でボールを挟んでいる人がいた 指導するうえで必要なことはしっかりと覚えておく必要があると感じた。

2

良かった点 みんなで楽しくできた

コーンが置かれていて、運動する範囲がわかりやすかった 説明がわかりやすかった

改善点

1回だけの実施だったので、もっとしたいという声もあり、時間を考えて2回してもよい もっと大きな声で説明したほうがよかった

二人で走る時、円が結構大きくて走るところが狭いので、こけそうで怖かった 3

良かった点

事前にみんなの分のしっぽにする布を作っていてよいと思った。色分けしてあって、チー ム戦でやるのも面白かった。

見本も見せていてわかりやすかった。

どこにパスを出したらいいか考える力がついて良いと思った。

改善点

始める時間がわからなかった。遊びでやっている子を見て、勘違いしている子もいたの で、スタートと伝えるまではボールを投げないっていっておけば、もっと初めと終わりがわ かりやすくなると思う。

最後時間をもたすためにもう一度やったのは良かったけれど、説明が不十分でわかりづ らく、急で子どもたちなら困惑してしまうと思う。

しっぽを2本とかにしたら、もっと楽しくできるのではと思った。

4

良かった点 バスケットとからめた鬼ごっこで楽しかった。

一人ずつに「上手だね」などの言葉かけをしていたことがとてもよかった

内容がとてもシンプルで簡単だった。ボールになれたい子どもたちにとっては良いと思う。

改善点 ゼッケンを着たほうが、よりわかりやすかったと思う。

進むスピードが速やかった。

時間配分が気になった。時計を見ながら減らすところは減らすとかの対応も必要だと思う。

5

良かった点 先生としての言葉づかいや笑顔で指導ができていてよかった。

バスケットボールをする事前の導入として取り入れたのは良かった。声掛けの際の「できそ うですか」と問いかけするのはとてもよかった。

運動量もバスケットにあっていてよかった。

改善点 自由に広がるとき、友達とボールがあたって危ない。

もう少し楽しくなるような工夫をすると、ダラダラしないんじゃないかと思う。

壁をタッチするのではなく、コーンを回るなどに改善したら安全かなと思いました。

6

良かった点 一人一人の顔を見て進められていた。

仲間意識が高められるのでいいと思う。

普段する内容のリレーとは違い楽しかった。

改善点

なかなか終わらない時の対処法を考えておいたほうがいいなと思った。

ヒョウタン鬼のように、線の中にいる人を線の外にいる人がボールを投げてあてるゲームで も楽しいなと思った。

子どもがしたときに、押してしまう可能性があるかなと思う。

7

良かった点 徐々に回数を増やしていったのが良かった。

競うことで意欲が持てるからいいと思う。

グループでシュートする数を数えることでチームワークを高めることができた。

改善点 あと何回やるのかわかるように説明してほしかった。

シュートが入らないのが周りにわかり、責任があるのが嫌だった。

パスをバウンドさせるなど、変化を入れる工夫をしたほうが良いと思った。

8

(8)

内容をどのように変更することで、より楽しく、

安全に行えるのかなどの、教師目線でのコメン トが多く見られるようになった。とくに、5 組 目へのコメントから、「ゼッケンを着たほうが わかりやすかった」や、7 組目の「子供がした ときに、押してしまう可能性がある」など、い かに子どもたちが安全に運動を行うことがで きるかについてのコメントが見られ、回数を重 ね、学生の間に教師目線で授業を検討していく 意識や、授業運営の部分について検討し、授業 改善につなげていく意識が生まれてきたいと 考えられる。

最後に、授業アンケートについて結果を記述 する。以下表12、表13、表14、表15は 大学全体、子ども学科全体、子ども学科 2 年生、

体育Ⅱにおけるアンケート結果を集計した表 である。

表12 授業アンケート体育Ⅱ結果

表13 授業アンケート大学全体結果

表14 授業アンケート子ども学科全体結果

表15 授業アンケート子ども学科 2 年生結果

本講義では、多くの項目において、「非常に そう思う」「そう思う」など、高評価を得た。

以上のアンケート結果の中で、本研究の目的で ある、学生の興味・関心や学びに対する姿勢に ついて比較する。

比較する項目については、興味・関心につい て項目(1)(9)、主体的な学びの姿勢については 項目(7)(8)(10)を比較する。

まず興味・関心を表す項目(1)(9)について結 果の比較を行う。

項目(1)では、体育Ⅱ受講生の中で「非常に そう思う」と答えた学生が 52.2%であった。半 数以上の学生が講義内容に非常に強い興味・関 心を持つ結果となった。同じ項目で、大学全体 の 34.5%、子ども学科全体の 33.1%、子ども学 科 2 年生全体の 29.7%と比べ、体育Ⅱでの数値 が高くなった。

5 4 3 2 1

(1) 52.2 30.4 13 4.3 0

(2) 56.5 34.8 8.7 0 0

(3) 52.2 39.1 8.7 0 0

(4) 39.1 52.2 4.3 0 0

(5) 8.7 26.1 4.3 0 60.9

(6) 47.8 47.8 4.3 0 0

(7) 47.8 43.5 4.3 4.3 0

(8) 47.8 39.1 8.7 0 4.3

(9) 52.2 30.4 8.7 0 8.7

(10) 13 0 13 17.4 56.5

5 4 3 2 1

(1) 34.5 44.8 16.6 3 1.1

(2) 28.5 46.5 20.5 3.3 1.3

(3) 36.9 42.9 18.4 1 0.7

(4) 30.9 43.6 19.7 3 2

(5) 9.2 11 8.1 10.2 61.5

(6) 30.3 43 21.1 3.8 1.8

(7) 31.8 36.5 23.5 5.4 2.8

(8) 20.7 28.8 29.3 11.8 9.2

(9) 28.3 34.1 26 5.9 5.4

(10) 6 5.6 15.2 23.1 49.1

5 4 3 2 1

(1) 33.1 46.1 17.1 2.8 0.8

(2) 28.6 47 20.9 2.3 1.1

(3) 35.5 44.9 17.8 0.8 0.9

(4) 30.6 44.1 20.1 2.2 1.9

(5) 8.9 10.4 8.3 9.2 64.1

(6) 30.4 44.5 20.4 3.1 1.6

(7) 33.1 40.1 21.1 4.1 1.7

(8) 22.3 31.7 29.5 10.1 6.2

(9) 27.7 35.7 26.1 5.9 4.5

(10) 6.1 6 14.6 21.7 50.5

5 4 3 2 1

(1) 29.7 51 16.1 3 0

(2) 25.6 52.1 19.3 2.6 0.2

(3) 29.9 50.3 17.3 1.5 0.9

(4) 27.3 48.6 20.2 0 1.1

(5) 11.5 12.7 12.5 10.4 52.9

(6) 27.6 49.7 19.7 2 0.9

(7) 29.9 46.8 18.7 3.3 1.3

(8) 20.4 40.6 27.6 5.4 5.2

(9) 21.2 45.3 24.1 4.8 4.5

(10) 5.6 5.9 14.1 24.1 48.6

(9)

本講義を継続して学びたいか、という項目 (9)では、体育Ⅱ受講生の中「非常にそう思う」

と答えた学生が 52.2%であった。半数以上の学 生が、本講義を継続して学んでいきたいと答え、

本講義が学生にとって有益な講義であったと 言える。また、同じ項目で他の結果と比較して も、大学全体の 20.7%、子ども学科全体の 33.1%、

子ども学科 2 年生全体の 20.4%となり、項目(9) においても体育Ⅱが高い数値を示した。

次に、学生の主体的な学びや、学びに対する 姿勢について、項目(7)(8)(10)の結果を比較す る。

項目(7)では、体育Ⅱ受講生の中で「非常に そう思う」と答えた学生が 47.8%であり、約半 数の学生が講義内容について、一方的な講義で はなく、学生間での学び合いや発表機会があっ たと感じている。この結果から、学生自身が、

講義内において話し合いが多くできたと実感 しているということが言える。同じ項目比較す ると、大学全体で 31.8%、子ども学科全体で 33.1%、子ども学科 2 年生全体で 29.9%であり、

体育Ⅱにおいて、高い数値を示した。

項目(8)では、体育Ⅱ受講生の中「非常にそ う思う」と答えた学生が 47.8%であり、約半数 の学生が、講義中に積極性があったと感じてい る結果となった。同じ項目で、大学全体の 20.7%、

子ども学科全体の 33.1%、子ども学科 2 年生全 体の 20.4%と比べ、項目(8)においても体育Ⅱで 高い数値となった。

項目(10)の自主学習時間については、体育Ⅱで は、「週 3 時間以上」と答えた学生が、13%、「週 1~2 時間」と答えた学生が 13%、「週 30 分以上 1 時間未満」と答えた学生が 17.4%、「30 分未満」

と答えた学生が 56.5%と、自主学習時間が少な い結果となった。大学全体、子ども学科全体、

子ども学科 2 年生の結果を見ても、大きな差が ない結果となり、週 30 分未満の自主学習であ った学生がいずれの結果においても約半数で あった。

最後に授業アンケート【記述式】の結果につ いて記述する。下表は授業アンケートの結果に おいて、講義に対する興味・関心と、学びの姿 勢に関する記載を抜粋してまとめたものであ る。

表16 授業アンケート【記述式】コメント抜粋

学びに対する姿勢については、「自主的」や

「計画性があり、指導案を立てる重要性」「課 題があることで一生懸命頑張ることができた」

「体験ができてよかった」など多くのポジティ ブな意見が見られた。しかし、1 件「レポート と発表が嫌だった」という意見もあった。

講義への興味・関心については、「楽しかった」

が本も多く、本講義を好意的に受講したことを あら合わす結果となった。また、講義をとおし て「前より運動が楽しくなったです」という意 見もあった。

「種目を増やしてもよいのではないかと思っ た」では、学生がみずから本講義内容について 意見を出し、講義に対する興味・関心が大きく なっただけではなく、どのような改善を図るこ とで講義内容が改善され、自身の学びをよ より良くしていけるのか、自身の学びがより深 くなるのかについて、学生自ら主体的に考える ようになった。

Ⅴ 考察

以上の結果から、本研究の目的である、体育

① 模擬授業や各種目のテストがあったためそれに向かって自主的に練習したりすることができました。

② 指導するにあたって、計画性があり、指導案を立てる重要性を実感することができました。

③ 課題があることで一生懸命頑張ろうと思えました。

④ 先生になって、みんなを指導することの体験ができてよかった。

① レポートと発表が嫌だった。

① スポーツを楽しくできました。 ※同様の回答が他11件

② 前より運動が楽しくなったです。

③ 種目を増やしてもよいのではないかと思った。

学びに対する姿勢の回答

マイナス意見 講義への興味・関心

(10)

科目分野における講義においても、学生間相互 評価活動を講義に導入することで、学生の学び の姿勢に好影響を及ぼし、学生の自発的な意識 改革やアクティブラーニングに謳われる、主体 的・対話的で深い学びを生んでいくことに効果 があることを検証する。

学生からの評価結果と自己評価を比較した 結果、初期の両者の評価結果に差異が出ていた ことと、8 回目の評価の比較では、両者の評価 に一定の共通点が見られたことから、回を重ね ることで、学生の評価がよりシビアな評価に変 化したことが考察される。これは、評価を重ね ることで、前回までの内容との比較や、客観的 に模擬授業内容を評価する力が身についたか らであると考えられる。また、学生の取り組み 姿勢にも一定の変化が生まれ、初期の段階では、

学生間のつながりや友人等への遠慮から得点 を高く配点していたものが、評価活動の回数を 重ねることで、自ら考え、自身の考えに基づく 適切な評価を記入することができるようにな ったと考えられる。

その他、学生の学びに対する姿勢の変化つい ては、評価コメントの内容からも明らかにでき る。初期段階では、コメント内容からも、「楽 しかった」など単純なコメントが多く見られた が、回数を重ねるごとに、コメント内容もより 具体的になった。また、対象学生の多くが教育 者を目指しているということもあり、コメント において、教師目線での具体的アドバイスが増 える結果となった。学生たちが、自らの学びに ついて、将来の目標意識を持ち、評価活動をと おして、お互いに学び合い、よりよい授業づく りをしていく意識が生まれたからではないだ ろうか。これらのことから、学生間相互評価を とおして、学生たちの学びに対する姿勢が変化 し、好影響を及ぼしたことが言える。また、評 価活動をとおして、自ら考え、その考えに基づ いた適切な行動、今回で言えば、適切な評価を 下す力が身についたと言える。

次にアンケート結果について考察する。興 味・関心について項目(1)(9)において、本講義 の結果が高い数値を示したことは、学生間相互 評価を行うことが、本講義に対し、学びへの興 味・関心を引き出すということに、効果的であ ったと考える。また、記述式アンケートにおい ても、模擬授業・相互評価活動の一連の流れが 自身の学びに役に立ったと回答しており、講義 自体への興味・関心を高め、自身の学びを深め ることに成功したと考えられる。しかし、「楽 しかった」という回答については、講義が充実 した内容であったという見方もできるが、運動 自体が楽しかったという捉え方もできること から、授業の楽しさと学びの深化については、

更なる検証のため、講義の何が楽しかったのか について明らかにしていく必要であると考え る。

主 体 的 な 学 び の 姿 勢 に つ い て は 項 目 (7)(8)(10)を比較する。いずれの項目において も高い数値を示したほか、記述式解答において も、模擬授業や課題について、学生の自発性や、

取り組み姿勢、将来に役立つなどの回答を得る ことができた。これは、模擬授業のみを行うの ではなく、相互評価活動を取り入れたことで、

学生の取り組み姿勢に変化が起こり、その結果 模擬授業や講義内容に、より前向きな態度で取 り組むことができた結果であると考えられる。

Ⅵ まとめ

今回の実践をとおして、体育講義においても、

学生間相互評価活動が、学生の学びに対する姿 勢を変化させ、自発的な意識改革やアクティブ ラーニングに謳われる、主体的・対話的で深い 学びにつながることについて、一定の効果があ ることが示唆された。特に、学びに対する姿勢 や自身の考えを持つ、という部分においては非 常に有効な手段であったと言える。また、本学 のような教員養成校においては、相互評価活動

(11)

を行うことで、生徒目線での考え方から教師目 線での考え方への変化を促すことができた。教 員を目指す学生にとって、評価活動は将来の仕 事において常に向き合っていかなければなら ない内容である。人物に左右されず、常に客観 的な視点から評価をしていく必要があり、学生 間相互評価活動を行うことで、教師として求め られる評価視点の育成につながることも明ら かになった。

一方、学生の授業理解や、今回の実践で言え ば、模擬授業の改善についてはその効果を確か めることはできなかった。その要因として挙げ られるのは、模擬授業の実践が時間的な制約も あり、一人 1 回にとどまったことがあげられる。

そのため、PDCAサイクルでいう、Aのアク ションに当てはまる、改善の検討と、2 週目の Pである、改善した指導計画の立案で終わって しまったことが、要因として挙げられる。今後、

模擬授業を複数回行い、相互評価活動をさらに 行うことで、自身の模擬授業がどのように改善 され、また授業の実践力がどのように変化した かを学生が実感し比較できる講義内容にして いく必要があると考える。そして、そのことが 体育講義における学びの理解度を高め、学びの 深化において、どれほどの効果があるのかにつ いて、明らかにしていくことで、次代に求めら れる大学での体育講義の在り方や、教育法の検 討において必要なことであると考える。

子ども学科・教授

(1)河野昭彦、斎藤博嗣、佐々木大輔、平澤一 樹、須田達、鶴谷奈津子(2014),学生の相 互評価によるアクティブラーニング型授 業

(2)石橋潔(2010), レポート相互評価法―大学 における授業実践の試み

(3)大倉孝昭、高村博正、奥田アレックス・

H(2004),英語による効果的なプレゼンテ

ーションと相互評価―連続性・発展性の視 点から

(4)松本重男(2000),チームでプロジェクト活 動を行う科目での教育評価:学生の相互評 価と教員の評価観点

参照

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