近年.著 しい応用範囲の拡大がみ られる磁気記録の分野において.その性能に重要な役割 を果たすのが記録お よび再生‑ ッドである.とれ ら磁気ヘ ッドの特性向上には高透磁率の材 質.高効率の‑ ッド形状お よび高品質の‑ ツドを作る高度な技術が必要である. これまで, 材質 としてはパーマロイ,センダス トやフェライ トといった高透磁率のものが開発されてい る.また.効率に関するものとし七は‑ ッ ド形状 と効率の計算
( 1 )
, 磁気‑ ッドの記録お よび 再生効率の計算( 2 )
,さらに薄膜‑ ッドの記録および再生効率(3 )
等の報告がある.ところが.磁気‑ ッドは伝送部品と考え られるにもかかわ らず,伝達関数あるいは伝送特 性について検討がなされていない.そ こで.本報では初めに磁気‑ ッドの磁気回路に対応す る等価電気回路を考えてその伝達関数を計算し, これ より磁気‑ッドの周波数帯域を広 くす る条件を示 している.次にパーマロイ磁気ヘッドと空心 コイルを用いて伝送特性を測定 し.
その結果 と上記の理論計算 との関係を調べたので報告する.
2 .
記録お よび再生へ・
yドの伝達関数の計算磁気‑ ッドの特性は コアの磁気特性だけでなく. コイルの直流抵抗や浮遊容量に依存する.
いま,記録
‑
ッドのコイルを1
つの回路素子と考え,入力電圧 Ⅵを加えるとき電圧降下の生 ずる原田を蔑 々のイソビーダ1/スで表わし.等価回路で表示す ると.図 1(a)となる.同図P) 紘‑ ッド空隙部を詳細に蓑あした等価回路である. コアの磁気抵抗がヒステ リシスをもつ場 合には, コアイ1/ピーダンスは抵抗分r
を有する.同国のイ1/ビーダンスの意味は次のとおりである.
Zl:
電源の内部インピーダンスーj xc:
コイルの線間浮遊容量インピーダンスrd:
コイルの直流抵抗Je:
コイルの リアクタンスxb :
後部空隙の リアクタンスxL :
漏れ リアクタンスr+j x :
コアの鉄損イソti'‑ダンスxo :
‑ ッド空隙付近の無効漏れ リアクタンス(‑ 3 ^・ + xB+ xo) Xs:
空隙表面の有効 リアクタンス* 昭和56 年 4
月 電子通信学会総合全国大会において一部発表** 電気工学科助手
原稿受付 昭和5 8 年 9 月 26 日
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( □)
長野工業高等専門学校紀要 ・第 1 4 号
叱
( b) 図 1 記鐘‑ ツドの等価電気回路
E l :
有効磁束を発生するのに必要な電圧Ⅵ :入力電圧
同図か ら周波数伝達関数を求めると,次式が得 られ る.
E l
r ( Z l +r d )( x
b+ x
o+x
s+xL )
〕+
j l Eo
+Xs・
j xs( r+j X)
r ( xo xc ェL
+xb Zl r d+
+x s +xL )
( xo・xs・x) ( xL +普 +
xLZlrd
Jb . rc ) ] ‑j 〔 ̀ I 巾 o 巾 S )
I票+(ェ○+Is ) EZ
l〕各抵抗およびイl/ダクタンスが周波数に依存 しない と仮定 し,また
Z
lが純抵抗とする.読( 1 )
式の右辺は複素角周波数j
aIに関して,分子は2
次.分母は3
次の関数である.分母の大括 弧はそれぞれ 0次か ら3次の項を表わす.aIが小さい とき1次お くれ故分要素.aIが十分大 きいときは積分要素 とみなす ことがで きる.いま,S‑j
alとおき,ai ,b i ( i ‑
0,1
,‑ ・・・)を 定数 として,式(1)をE l a. S2 +al S V l b o ss +bl S2 +b 2 S+b 3
と表わす とき. この式が
S
に依存 しない定数 となる条件は,b o ‑b 3 1 ‑
0,ao /b l ‑a
l/b2である.このとき
,E l /Vl ‑ao / b1 ‑/ al /b 2
となる.b 0 ‑
0は高域の遮断周波数を大 きくする条件であ り,b 3 ‑
0は低域の 遮断周波数を 小さくす る条件である.式(1 )
か らao / bl ‑al / b 2
の条件を 吟味す ることは容易ではない. ゲインa. / bl ( ‑al / b2 )
を大きくし.かつ b 0 ‑0 とするため
には.次のような条件が必要 となる.(i) Z
lとrd
を小さくする.後者はコイルの直流抵抗分を小さくすれば よい.(ii) x
o
とxL
を小さくする.(iii)
xs
とxb
を大きくする.後者は後部空隙長を小 さくすることにあたる.再生‑ ッド系の等価電気回路を同様に求めると図
2
のようになる.同国のインピーダンス の意味は図1
と同様であるが.添字に2
を付けて区別 した.E 2
は再生‑ヅドに流入す る磁束 を発生するための起電力, Z2
8ま負荷インピーダンスで,V 2
は再生電圧である.図2より. こ
の系の伝達関数を求めると.次式 となる.V 2
E 2 l
r2
・駕 誓 . 晋
〕.jlx2・r2 rO・ 3 2 12L巾 2 3 x 2 2 b O' x 2 0 x 2 b r2+ jx2
+
r, I l l. rZ d+ r誓 ・ o l z d+ r Z d土, o J z L+ rZ dJ,+ rz dEZ 。+ r誓 。+ rz Jt b+ T, Il o
Zd 2 b Z2
・ 箸 H x2320
+32 0 x2 L等
2L巾 2 32 0・ x2( x2 Lx2 霊 032 d)
・ rHI IL I
w' 12 0 12 d' I zb lz L3 '{ ; : tb)' rZ d( ェ2 IZ b' 32 0 31 b' 3 z o IZ L) ]
‑j F 2x2 霊 , 誓 2 J ・ x2 エ" ' x; : :L' 32 0 x 2 L]
Z2
を純抵抗 とすると.上式は次のように表わされる.V2 aOS+
a l
E
2l b o
SS+
blS2+ b 空 s
+b8
aIが大きいとき2次お くれ微分要素 となることがわかる
.a
Jが小さいとき上式のゲイン特 性は,対数 目盛で表示すると図3
となる.読(4)が定数 となる条件は.. b o ‑b 1 ‑0 ,a o / b 2 ‑al /
b3である. これが成立するためには, 記録‑ッドで 与えた条件のほかに
. Z2
を大 きくす る こと及び
r2を小さくすること,すなわち,負荷イt/ビーダンスを大 きくすること及び コア特 性の損失分を少なくす ることが必要 となる.6 6
長野工業高等専門学校紀要 ・第1 4 号
q l / Co b
3ノ b2 W
図 2
再生ヘッドの等価電気回路図 3 式( 3 )
の低周波銃域のゲイン特性3.記 録 お よび 再 生 ヘ ッ ドの 伝 送 特 性 の 測 定 結 果
パーマロイ コアよりなる記録 ・再生‑ ッドと空心 コイルを用いて, ゲインと位相の周波数 特性,すなわち
Bo de
線図を測定 し前節の計算結果 と比較すると,次のようなことがいえる.図
4 ( a )
は‑ ッ ドコイルを駆動 し,空隙表面に配置 した2 0 0
回巻 きの空心 コイルの誘起電圧 Elのゲインと位相差を求めた もので,記録‑ ッドの伝送特性を よく表わ している.図
4
(切は逆に空心 コイルを駆動 し.‑ ッドコイルの誘起電EEを調べたもので,再生‑ ッ ド の伝送特性を よく表わ している.特に,低周波領域の特性は,前節の説明とよく一致 してい ることがわか る.図
4
(o)は同一の磁気‑ッ ドを対向させた場合であ り,図4( a )
,0))と同様に2
つのコイル間 の磁気結合を伴 う回路である.空心 コイルのもつ電気抵抗の影響や磁束分布の相違のために, 図4
(o)は図4(
a)と0))の重ね合わせに なって いな い. しか し,同図は磁気記録系の うち で.記録‑ ッ ドと再生‑ ッド なる信号伝送路における伝送 特性を標準化 して表わ してい るとみなせる.周波数 と共に ゲインも位相 もかな り複雑に 変化 しているが, これは.図
1
や図2に示す各素子が周波 数依存性を有 しているため と 考え られる. このパーマ ロイ コアよりなる記錠 ・再生‑ ッ ド系 の帯域幅 (ゲインが平担 な周波数飯域において, これ より±3d B
の範囲にある周波 数領域 とす る) は,2 0 0 Hz 〜 2 0 KHz
である.同様に, フェ ライ ト消去‑ ッドを2
個対向岨義
e= El/ ‑ ‑ 2 q 0 O
′ ‑ ‑ 8 6 l 0 0 O 一 班 V 1 ‑㌧
J/‑‑ /
/
/ ∠E l / V l I l k 1 0 k l o ok
f
( Hz)
∠V2/E2一
′ / / ハ 、 \普\/E2
1 0 0 1 k l Ok 1 0 0k
f(Hz)
図4‑パーマロイコアよりなる記録‑ヅド及び再 生‑ヅドの伝送特性
︻q p ] T ^
JT j o ︻q p J N山 \ Z ^ 0 nU 0 2 山「 ⊂U
はパカス状出力が得 られ る理 由が判明 した.
1 0 0 1 k 1 0k
f(Hz)
4 .
あ と が き本報では,伝送系 とみなされ る磁気‑ ッ ドが どのような伝達関数あるいは伝送特性を有す るかを調べるために,理論計算 と測定を行 った.記録‑ ッ ドの特性向上のためには次のよう な条件が必要 となる. コア部については.無効漏れ磁束を少な くす るために有効透磁率を大 きくす ることと後部空隙長を小 さくす る.また. コイル部については.直流抵抗分を小 さ く し,線間浮遊容量を小さ くする必要がある.再生‑ ッ ドについては,記録‑ ッ ドに与え られ た条件のほかに,負荷インピーダンスを小 さくす ることとコア特性の損失分を少な くす るこ
とが必要である.
今後.デ ィジタル記録の普及につれて.デ ィジタル信号電圧を入力とす る伝送特性が より 重要な意味を もつ ものと思われ る.