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金沢城内の興味ある植物図譜     ゲンケイチクとニシムライチゴ

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Academic year: 2021

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金沢城内の興味ある植物図譜

    ゲンケイチクとニシムライチゴ

里 見

生*

N.SAToMI:Illustrations of Interesting Plants in Kanazawa Castle      Sαsαε〃αル允sα〃2μηθαηαand Rμ加s痂s12仇2μγαημs

 ゲンケイチク(クリオザサ)Sαsα杉〃αル允sα勿μκ%〃α(MAKINo)HATusIMA et MuRoI は,金沢大学名誉教授の正宗嚴敬先生が屋久島で収集された(1928)ものに,故牧野富

太郎先生がP勧ob1αsτμs吻sα〃2μκ%〃μs MAKINoと命名発表された(1928)ものであ

る。

 私は,金沢城内の笹の標本を,故高木虎雄氏に送ったところ,セキノヤダケ、4仇η4勿αγ陥

ρ吻1〃痂αKOI砿・=Sαsαε〃αヵ吻1εγ尻αKOIDZ.と教えられ,そのように思っていたが,

最近になって,タケ科植物を専門にされる,宇都宮大学の小林幹夫氏から,ゲンケイチ

クであると指摘を受けた。

 金沢大学理学部付属植物園の開設に力を蓋され,初代園長の職につかれた正宗先生に 御縁のあるゲンケイチクが,城内に産することは,真に奇しき因縁と言うべきである。

 地下茎は,地中を葡旬し,仮軸分枝をする。桿は高さ約1,5m,基部より上部にかけ各 部で分岐し,1節から1枝を出す。稗鞘・葉鞘には毛がなく,節間・節もまた無毛であ る。葉は枝の先に羽状様掌状に数枚をつけ,披針形,紙質,通常は無毛。肩毛は放射状。

円錐花序は枝の先端につき,花梗は桿から側出。小穂は狭披針形,数個の小花からなる。

小花は2個の穎,3個の鱗被,6個の雄ずい(図では1本落下している)および子房か らなる。鱗被は卵形,縁に毛がある。雄ずいは花糸が糸状,線形で帯黄色の菊をつける。

雌しべは卵形,短い花柱の先端は3個の羽毛状の柱頭に分岐する。

 ニシムライチゴ(ハチジョウクサイチゴ,トヨラクサイチゴ,オニクサイチゴ)R〃bμs×

MW励μ抱κ〃s KOIDZ.は,クサイチゴR万ぴ碗〃s THUNB.とカジイチゴRカφ4μs THUNB.の雑種といわれる。実際,金沢城内には,クサイチゴが自生しているし,一方,

カジイチゴも栽培されたものが,野生化し生育している。したがって,両者が存在する ことから,この雑種が生じたと推察できる。

 ニシムライチゴは,小笠原に居住していた西村茂次氏が採集した標本に,小泉源一氏

*金沢大学理学部付属植物園Botanic Garden, Faculty of Science, Kanazawa University.

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    ゲンケイチク Sαsαθ11αル允sα〃%κε耽α(MAKINo)HATusIMA et MuRoI

1.桿culm,葉と花序leaves and inflorescens;2.花flower;3.鱗被

10dicules;4.雌ずいpistil

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       ニシムライチゴ Rμbμs×MU物μγ砲〃∫KOIDZ.

1.花枝flowering branchet;2.徒長枝long shoot;3.花flower;4.雄しべ

Stamen;5.雌しべ群gynaeceum;6.雌しべpistil;7.花弁petal

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が上記の名前で発表された(1928)。しかし,その後,各地で発表されたハチジョウクサ イチゴR吻6励o%sC NAKAI,トヨラクサイチゴRτoッow〃s s KoIDz.,オニクサイチ ゴRsα6γo∫α〃d%s HATUSIMAは,同一のものと考えられるに至ったが,それらは,小笠 原・伊豆七島・千葉県・静岡県・山口県・福岡県・鹿児島県などの地域で,両親となる べき2種が存在することから,それぞれ別個に生じたものであろう。金沢城内のニシム

ライチゴも,同様にして生じたものと思われる。

 この雑種が,金沢城跡に見られることを御指摘下さった,富山大学教授鳴橋直弘氏に

感謝申し上げます。

 落葉低木。葉は直立または斜上し,高さ50cm前後。葉・葉柄に開出する細刺を散生。

葉は3小葉(時に5小葉)からなり,小葉は無柄,卵状楕円形,鋭尖頭,重鋸歯縁で両 面脈上有毛,長さ5〜8cm,巾3〜5cm。抽葉は披針形。花は1〜2個頂生,白色で径 約3〜4cm。花柄は3〜5cm,腺毛および軟毛があり,中部近くに苞がある。尊は腺毛 および短毛をつけ,長さ1.2〜1.8cm,裂片はや・厚く,鋭尖頭,内面に短毛を密生する。

花弁は卵円形,長さ巾ともに1.5〜2cm。集合果は,金沢城内で,未だ見たことがない。

 図版はゲンケイチクを西出寛児,ニシムライチゴを川本光則氏に描いて頂いた。記し

て両氏に感謝する。

       Received Sept.30,1987

参照

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