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静電界中に置かれた誘電体の回転

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Academic year: 2021

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実験レポート

静電界中に置かれた誘電体の回転

西 山 宗 弘 清 水 広 行

ま え が き

 電界中における誘電体の回転現象は,電界のもつエネル ギーが電磁界のそれと比べてはるかに少なく,エネルギー 利用の観点では,自ずと限界がある。しかし,この回転現 象は,電圧に対する応答性がよいという利点をもってお

り,電圧判別や微少トルクのサーボモ一円タとしての応用面 が考えられ,また構造上簡単な装置で回転が得られる利点

もある。

 筆者らは,静電界におけるこの現象について資料を得る ための実験と検討を行なってきたが,そのあらましをここ に述べる。

 電極間に円筒形回転子をおき直流電圧を印加する。電極 と回転子との間隙および回転子の誘電率をε1,ε2導電率 をσ1,σ2とすると,回転子表面には

   al/sl i a2/s2

に従って,正,零,負の蓄積電荷を生じ,この電荷と電界 との間に反棲力,中立,吸引力が作用し,回転子に機械的 または電気的アンバランスがあると回転子は自動的に回転 する。

 σ/εは印加電圧,温度などの関数であるので,それを変 化させてトルクの大きさと方向を変えることができる。

 回転子が回転中に電極闇を流れる電流1は静止の時に流 れる電流loより大きく,したがってAI=1−10,印加電 圧をVとするとPo=Vdlは,近似的に回転によって放出 されるエネルギーを表わす。Pi=Vlは装置の入力を意 味するからP・/Pi嵩ηを考えればこれは回転エネルギー に変換される入力の割合を示すことになる。

 筆者らは,ηの大きさを求めるため,媒質の種類,電極 構成,回転子の種類など変化し第1図の装置で実験した。

直流電源はケノトロンとコンデンサとで得た。なおこの装 置では自起動しないので,回転子を動かして起動した。電 極間隔はいずれも12mmである。

 回転子の周囲の媒質は適度な導電率をもつ液体または気 体でよいが,入手し易く,扱い易いので主としてキシレン またはベンゼンにエチルアルコールを混入して使用した。

 実験結果の概要を次に示す。

1,媒質としてキシレンあるいはベンゼン(いずれもエチ  ルアルコールを混入し,導電性を持たせたもの)を使用  するとよく回転し,酪酸や,液状パルミチン酸でも回転  数は少なくなるが安定な回転が得られた。使い古した絶  縁脳中でもゆっくりと回転が持続した。

2.回転子を変化した場合の特性を第2図に示す。媒質は  アルコール混入キシレン電極は平板対平板(24.5mmx  160mm×1mm)を使用した。回転子を第1表,特性の  実測値を第2表に示す。

  中空ガラス棒に導体を入れた場合,回転は広い電圧範  囲で安定し,回転数,η共に他の回転子の場合より大で  印加電圧の上昇に対して直線的に増加する。これに対し  てガラスのみの回転子では,回転数,η共に直線からず  れ,飽和のきざしを見せてくる。

  電極に面した回転子の表面に電荷が蓄積され,180。回  即してその電荷を放出するが,この蓄積および放出に要  する時間が電極前面通過時間に比べて短い閲は回転数が  増加し,等しいところでほぼ最:大になるものと思われ  る。

3,電極構成による特性を第3図に示す。媒質はアルコー  ル混入キシレン,回転子は安定な回転が得られるアルミ  箔を内張りした中空ガラス棒である。

  棒4極については回転子の周囲を4等分した位置に配  辞し,対角線上の二つの電極を同電位とした。

  第3図では,棒よりも平板の方が回転数は大きい傾向  にあるが,ηには一定の傾向が見られない。そこで電気  力線が回転子に有効に作用するように電極の幅を10mm  にして測定すると,回転数,ηとも大きな値が得られ  た。それを第3図に鎖線で示し,実測値を第2表※印で  示した。回転数は増し,ηは40〜50%を得たが,このη  の値は電極の形状や配置を考慮すればさらに大になり得  ると思う。

4.回転は媒質の導電率が大き過ぎても小さ過ぎても起こ  らないのでその特性を求めるため,第3図に示す装置を  つくり測定した。この装置では軸受けの部分に計器の指  針の軸受け(ピボットなど)を使用して,回転部の摩擦を 少なくした結果,自起動したが,その方向は一一定しない。

  電流Ioと回転数nを電圧をパラメータにしてプロッ  トしたのが第5図である。電流はキシレンに混入する 一235一

(2)

津山高専紀要(第2巻 第2号)

エチルアルコールの量を変えることで変化させたが,明 らかに回転数は極大値を有し,その立ち上り部分ではn は大きく変化することがわかる。

本実験を行なうに当って,卒業研究として実験に当られ た本校学生下西二郎君(現東芝勤務)に感謝します。

あ と が き

 静電界中のこれらの回転の機構は文献(2)(5)にも明らかで あるが,その特性についての文献は比較的少ない。前述し たように電界のもつエネルギーは電磁界のもつエネルギー に比べてはるかに少ないが筆者らの実験中にも電圧に対し て回転数が直線的に変化したり,また高速回転中に急に逆 転する場合や,起軌停止を急激に行なう場合も確認でき た。高電圧を必要とするのが難点の一つであるが,装置や 条件を整えて諸特性を明らかにすることは興味深く思われ

る。

i⊥2300FD∩0

参 考 文 止

別元・・応物25,170(1956)

安宅,野村:電学誌79,277(昭34)

野村,本田:電学誌82,802(昭37)

加藤:計測と制御3,409(昭39)

岡野:強物37,661(1968)

高分子学会:静電気ハンドブック,地人書館

(昭和44年10月13日受理)

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第1図

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 第2図電圧対回転数およびη特性

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第3図電圧対回転数およびη特性

75

50

25

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第1表 使用した回転子の種類

回  転   子 質量〔gJ 長さ圖陣径匝

中 空 ガ ラ ス 棒

? ガラス棒にアルミ箔内張

? ガラス棒に希硫酸封入

¥ 実 ガ ラ ス 棒

36.0 R6.3 R9』

S8.7

225 Q25 Q25 Q25

8888

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第4図

一236一

(3)

西山宗弘・清水広行  静電界中に置かれた誘電体の回転

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       第5図  電流対回転数特性    第2表  回転子を変えた場合の実測値

電極:平板対平板(幅24.5mm)    媒質:キシレン+エチルアルコール

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一237一

参照

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