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PRIME Cinema Café

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Academic year: 2021

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(1)

─1─

 2009年 度 の 活 動 の 報 告 を 中 心 に ま と め た

PRIME

32号をお届けする。2009年度は例年にも

増して活発でみのり豊かな活動が展開できたと自 負している。その模様は巻末の「2009年度 研究 所活動報告」に詳しいが、12月初旬の国際シンポ ジウム「自治と自立を求めるさまざまな声〜国な き民族の現在」を軸にして多様な活動を行った。

 研究所主催の講演会 ・ セミナーが13回、今年度 にはじめた

PRIME Cinema Café

が12回、4つの 研究プロジェクトは「グローバル化と平和」7回、

「核軍縮」9回、「先住民族と環境正義」3回、「異 な る 文 化 と の 対 話 」 6 回、「

Peace Research in

Action

」6回の研究会を開催した。また学生を対

象にした平和教育プログラムとしては、学生と教 員の対話の場をめざすカフェ・ドゥ・プリムは都 合41回、研究所提供科目「平和・開発 ・ 人権」は

「広島 ・ 長崎講座」と「世界市民社会の可能性」

の2科目を秋学期に開講、また2008年につづき、

平和学スタディーツアーを2月下旬に1週間実施 した。

PRIME

本号の特集は上記の国際シンポジウム

のフォローアップである。孫占坤所員は国際法の 観点から、植民地解放から国民国家の形成過程に おいて自決権がどのように確立されたか、しかし 既存の国家の主権や領土保全と分離 ・ 独立を求め る側の自決要求のあいだの相反する要求がなかな

か乗り越えられずにいることを指摘した。この難 問を解くひとつの手がかりとして、近年には自治 権の確立が注目されていること、その具体的な ケースとしてオークランド、香港、さらにイヌ イットの例を挙げた。こうした自決権と自治権を めぐる近代以降の国際社会の枠組みが示された後 に、じっさいの模索の例として琉球(松島泰勝  研究員)、クルド(松浦範子 研究員)、ナガラン ド(アブラハム・ロタ 聖ヨゼフカレッジ)、パ プア(松沢明久 大阪大学)の各ケースが報告さ れている。それぞれの地域や民族の地政学的な位 置、文化背景、歴史は大きく異なっている。しか し4つの報告を通して明らかになることは、自分 たちの現在と未来を自己決定したいという強い希 求の声である。自己決定の中身は、政治的な地位 決定から、経済的 ・ 社会的、かつ文化的な発展の 自由な追求(国連憲章)に他ならない。そしてこ うした権利の行使を妨げる要因がそれぞれの場合 において厚い壁として存在していることの苦い確 認であった。われわれを含めた国際社会には何が できるのだろう?各々のケースを詳しく知るほど に、その道のりのたやすくないことを認識せざる を得ない。しかし同時に当事者として諦めること なく、模索の道をさぐることを生涯の仕事として いる人たちがいることを忘れてはならないだろう。

 2009年度の活動を振りかえってみると、学生を 巻頭言

国なき民族をめぐって

竹 尾 茂 樹

(PRIME所長)

(2)

巻頭言  

─2─

対象とした平和教育のプログラムの拡充に力を入 れている。研究所提供科目の「長崎・広島講座」

開講は10年に及ぼうとしている。平和学のテーマ は人間の安全保障に関わって開発や人権、文化摩 擦など多岐にわたるもので、年度ごとに大テーマ を決めてリレー式の講義を白金横浜両校地で行っ てきた。2009年度の「世界市民社会の可能性」と いう設定も、今日われわれを取り巻くさまざまな 問題が、市民として世界に結びつくという枠組み のもとで思考しようというものであった。また新 しい試みとして

Prime Cinema Café

は映画を媒体 にして、平和の諸条件を考えようというものだ。

ウェブサイトなどを通じての反響は上々で、映画 の制作側から上映を持ちかけられることも再三で あり、そういう時には監督・プロデューサーを迎 えて制作の動機やプロセスについての議論を行う こともできた。横浜で行ってきたカフェ・ ド ・ プ リムも延べ100回を越え、ある種の定着を見たと いえるだろう。スタディーツアーは、キャンパス

の外に参加学生を伴って、平和学のテーマを現地 社会との接触の中で深めようというものだ。報告 書の作成など参加者との事後の活動は地道なもの であるが、彼らの認識の深まりをいっしょに確か める作業は心躍るものであった。

 2010年秋には名古屋市において「生物多様性条 約第10回締約国会議(

COP

10)」が開催の予定で あり、広義の「人間の安全保障」をめぐる社会の 動きも一層活発に、また重要さを増してきてい る。当明治学院大学国際平和研究所は、こうした 環境変化に対していかに応えるべきか、またひと つに節目に差しかかっているように思われる。そ の枠組みはまず研究機関としての参与と貢献であ り、加えてその成果の学内外へのフィードバック であろう。本号の読者、また当研究所の活動に心 を寄せる方々からの示唆や激励を心から願うもの である。

参照

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