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MATHEMATICA の経済学への応用 (3)

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(1)

MATHEMATICAの経済学への応用 (3)

秀1)

0.は じ め に

い くつかの投入物 (生産要素) を組み合わせて,生産物 を効率的に生産する プロセス (技術) を表現す る一つの方法 として生産関数によるアプローチがあ る。生産関数は理論分析や実証分析 を問わず,生産活動や経済活動 を解明する ときに用い られる,重要 な手段 となっている。

技術 を表現す るには,任意の大 きさの生産物 を生産す るのに最小の費用で生 産す る方法 を示す,費用関数 による表現 もある。

生産関数 と費用 関数 との双対性 に関す る議論 を含む,理論的な研究の成果 は 数多 くなされてお り,Shephard [1953,1970],Diewert[1982],およびNadiri

[1982]などにまとめ られている

また,計量経済分析 を中心 に した実証研究では,後 に, コブ‑ダグラス生産 関数 と呼ばれる関数 を示 した,CobbandDouglas[1928]やCES生産関数 を 提言 した,Arrow,Chenery,Minhas,andSolow [1961] な どの研究成果が 利用 されて きている。 これ らの成果 を集計理論 に応用 した,Sato[1975]の仕 事 は有名である。 さらに,Christensen,JorgensonandLau [1971,1973] な どによる,transcendentallogarithmicZ)生産関数や費用関数 を利用 した実証研 究は非常 に多 くなっている

1)小樽商科大学商学部経済学科

2)略して,tramslog(トランスログ)とも言う。

〔 1

(2)

2 商 学 討 究 第58巻 第2・3

他方,数式処理 ソフ トのMATHEMATICAを利用 して3), コブ ‑ダグラス 生産関数の特徴 を図形的に明 らかにす る仕事 はHuangandCrooke [1997], Stinespring [2002],お よび小林 [1996] などによって実行 されている。 この 種の研究は経済学教育の補助 に主眼 をおいたアプローチである。

代替の弾力性が一定 (ConstantElasticityofSubstitution,略 してCESとい う)の生産関数はパ ラメー タの特別 な値 に対 して, コブ‑ダクラス生産関数, レオ ンテ ィエ フ型生産関数,お よび完全代替型の生産関数を含んでいる。 しか も非常 に操作 しやすい生産関数であることが数学的な検討でこれ まで知 られて いる。MATHEMATICAの数式処理 と描画能力 を用いたアニメー ション画像 の表示 によ り,CES生産関数の持つ特徴 をこの小論で明 らかにす る。 この分 野では初めての試みである。

次に, コブ ‑ダグラス生産関数 を利用 し,独 占企業の利潤最大化行動 を分析 す る。最初 に, 目的関数が収入の最大化 と利潤の最大化では, (目的関数の値 を最大化す るとい う意味で)最適な労働投入量 と資本投入量の組み合 わせが異 なることを確認す る。 また,AverchandJohnson [1962] によって理論的に 検討 された,公正報酬率規制がない場合 と公正報酬率規制がある場合の均衡値 の違いをMATHEMATICAの数式処理 とアニメー ション作画能力 を用いて, 比較検討す る。

この小論の構成 は以下の ようになっている。第1節 では, MATHEMATI CAを利用 し,コブ‑ダクラス生産関数 を含む,CES生産関数の2つのパ ラメー

タを操作す ることによ り,その図形的特徴 を明 らかにす る。第2節では, コブ

‑ダグラス生産関数の持つ,図形的特徴 を簡単 に紹介す る。第3節 と第4節で は,右下が りの需要曲線 に直面す る,独 占企業の利潤最大化問題 を考察す る。

3節では, 3次元空間における収入曲面 と (費用平面に平行な)補助平面 を 利用 して,最大利潤 を探す。第4節では, 3次元空間における利潤 曲面 と ( 3)MATHEMATICAを利用 した経済学への応用例として,Varian [1993,1996],

浅利 ・久保 ・石橋 ・山下[1997],鵜沢[1996,1998,2000a,2000b,2002,2005, 2006,2007]などがある。

(3)

MATHEMATICAの経済学への応用(3) 3 潤水準 を示す)補助平面 を利用 して,最大利潤 を探す。第5節では, コブ‑ダ

クラス生産関数 と費用関数 を利用 し,アバーチ ‑ジ ョンソン ・モデル (公正報 酬率規制のない場合 と公正報酬率規制 を課 された場合 とでは均衡での労働投入 量 と資本投入量の組 (L,K)は どの ような影響 を受 けるか) をMATHEMA‑

TICAの数式処理 と描画能力 を用いて解明する。最後 に結語が述べ られる

1.CES生産 関数 1. 1 代替の弾力性が一定の生産関数

2つの生産要素 (た とえば,労働 と資本) を用いて,一つの生産物 を効率的 に生産する技術 を持つ企業 を考 える。代替の弾力性 とは生産要素価格 の比 ( 金率/ レンタル料)が1パーセ ン ト変化 した ときに,同 じ生産量 を生産す るた めに必要な生産要素の大 きさの比 (労働投入量/資本投入量)が何パーセ ン ト 変化するかを示す概念である。

いま,代替の弾力性が一定 (ConstantElasticityofSubstitution)CES 産関数4)を考 えよう。CES生産関数 はY‑AicrL‑P+(1‑α)KIPr e/pであ ら わされる。ここで,Yは生産量,Lは労働投入量,Kは資本投入量 をあ らわ し, Aは効率性 に関するパ ラメー タ,αは分配に関す るパ ラメー タ,βは代替の弾 力性に関するパラメータ5),およびEは規模に関する収穫 (returns to scale) のパ ラメー タ6)を示 している。

MATHEMATICAでは,規模 に関 して収穫一定のCES生産関数 は次の よ うに表記す ることがで きる7)

4)代替の弾力性およびCES生産関数の特徴については,早見 ・鵜沢 ・若林 ・今 ・ 佐竹 [1986,pp.5459],西村 [1990,pp.193200]などを参照せよ。

5)後に示すように,代替の弾力性 o (1+p)の逆数に等 しい0

6)以下の議論では簡単化のため,規模 に関する収穫一定の生産関数,すなわ ,£‑1の場合に限定 して検討する。

7)In[n]:‑はMATHEMATICAが自動的につける入力記号である。同様に,Out [n]‑は出力記号である。以下の例が示すように,nには番号を示す数字が入っ ている。

(4)

4 第58巻 2 ・3号

fn(1】‑ cesTl.Ⅸ」 :=A (aZ^(‑p)(1 ‑a)K^(‑pH <(ll/p) ここで,cesyはCES生産 関数 の場合 の生産量,Lは労働投 入量,Kは資本投 入量 をあ らわ し,Aは効率性 に関す るパ ラメー タ,αは分配 に関す るパ ラメー

タ,お よび pは代替の弾力性 に関す るパ ラメー タをあ らわす。

最初 に,生産関数 を労働 について偏微分す ることによ り,労働 の限界生産物, mpIJ, を求め よう。

Inl:}]mpZ.=Dlce≦;TlZ.′K),I.)

.Ldl2.= A L‑i‑pa (氏‑P (1 Ia).LIPa)1一言

同様 に,生産関数 を資本 について偏微分す ることによ り,資本 の限界生産物, mpK, を求める。

In【31=TrVX =DEcesTlZ.,K),K1

.Lhl,,= AKi‑p (lla)(K‑P (lla). L‑Pa)1

労働 の限界生産物が資本の増加 に よ りどの ように変化す るか を示す,交差偏 微分, mpLK, を求めてお こう。

In[4】‑ TnPZ・K=DtTlZ,Ⅹ】

oLAl4 ・= AKi‑p L i‑p(i ‑巾 (a‑P (i ‑か LPa,‑ (‑1)p

次 に,生産関数 を労働 について2回偏微分す る。結果 を簡単化す るために, MATHEMATICAではSimplifyを用 いる

(5)

MATHEMATICAの経済学への応用(3)

lnl51‑ Tl甲Z・工・=SiTl1Plify(DlTnPL,1日

0し止【51= A IPI,‑2'p (‑i+C'(‑K P(‑i+C')+I.lPcX)‑llp(i +p) (ZJP(‑i+C')‑KPc')2

同様 に,生産 関数 を資本 につ いて2回偏微 分す る。

Inl6】‑ TnPXX≡SiTnPlifylDlTIVK,KlI

0し止【6】= AK2'pI.P(‑i+C')C'(‑K P(‑1+C')+LPc')‑1/p(i +p) (I.p (‑i+ct)‑KPc')2

さて,代替 の弾力性 Oを次 に求 め る。 その定義 よ り8),

htT云 q =mph‑甲K tnpLI H甲K)/(LX (2】,甲LXTVL, ‑7.VZJ・】pKへ2‑7.甲Z(K7.VZ^2))

仇d7Å2K‑2IPLIZ‑A(i ‑a,‑ (1‑‑ iAa,Z

(AKIP(ia,(氏‑P (i LPa,‑iL A LPa (KIP (i LPa,‑1吉日/

卜 2 A 3

K

22pL2Zp(1 ‑ α)Za2(KA(ia,・LIPα)‑弓 (‑i三 )p

(LP (‑i+C')‑KPc')2 (A3K 2pL 2'p (iC')2(‑i.C(

・KIP (i‑‑ 2‑i (‑氏‑P (‑1 L‑Pa,‑1′p (l・p,ド

̲2̲

A3K 2'pI.21P(‑i+C')C'3(K‑P 〔1‑cE)+I.IPA) p (‑K P (‑i +C')+I.PcE)i/p(i+p)

5

(LP ( 1'a) KPa)Z J

上 の結 果 を簡単化 す る と代 替 の弾力性 は (1+〟)の逆 数 に等 しい こ とが わ かる

8)西村 [1990,p.196]の式 (6.65)を用いる。いま,生産関数 をyf(Ⅹ1,Ⅹ2) する。ここで,yは生産量,1,x2はそれぞれ別の生産要素 とする。fi‑af(Ⅹ1,x2) /∂Ⅹ.(i1.2),fl,2f(Ⅹ1,Ⅹ2)/∂ Ⅹ.∂X,(i,j1,2)とお くと, この生産関数の場 合の代替の弾力性 oo‑ flfZ(flXl+fZⅩ2)/ tⅩ1Ⅹ2(2f12flf2‑ fllf221 f22f12)tで与え

られる。

(6)

第58巻 2 ・3号

In【8】= Simplifylq)

1 1+p

次の ように,代替の弾力性 を求める計算式の分子 と分母 を別 々に計算 してか ら Uを求めることもで きる。

Lnlg】=htm Shi =SiTnPlifylTl甲Z.lI甲K (TrPt.L HlpⅩⅩ

Outlgl= A3く 1'pI.‑l'p (‑i+C')C'(‑K‑A (‑i+cE)+I.Aa) 3/p (I.P(‑i+C')‑KPc')a

Fnl10】‑ hunh o =SillpIifyrZ.K(2JTPZ.X7rPZ.mpK ‑1lpZJ.TIVK^2‑JTpKXl甲 L^2

Out10】= A3K‑i+pI.ll'p (‑i+α)α (‑K P (‑i+C')+I.Pα) 3/p(i+p) (I.P (‑i+a)‑ KPa)2

Intll]= q =htm sh土 /hunbo

O叫 11l= i+p

1. 2 多様 な生産関数 を CES生産関数 は表現 で きる9)

CES生産 関数 はパ ラメー タ pの値 に よ り,いろいろな タイプの生産 関数 を 表現で きることが知 られている10)

(i)p‑0の ときはコブ ‑ダクラス型生産関数 となる。

この ことをMATHEMATICAでは関数Limitを用 いて確 かめ ることがで きる

9)代替の弾力性が一定という制約があることに注意せよ。 より一般的な生産関数の 例 としては,第1節に述べたようなtranscendentallogarithmic生産関数などが あ り,それ らは代替の弾力性が可変である。Christensen,Jorgenson,andLau

[1971,1973] やNadiri[1982]などを参照せよ

10)例えば,西村 [1990,pp.197‑200]を参照せ よ。

(7)

MATHEMATICAの経済学への応用(3)

Enl12]‑ 1iTnitlcesTlZ.,Kl.pう 0】

outl121‑ A Kl‑ctI.Cr

上の式 は確 かに, コブ ‑ダクラス生産関数11)を示 している。

7

(ii) p‑11の ときは完全代替の生産関数 となる。

この ことをMATHEMATICAで確 かめ よう

Inl13]‑ LimitlcegTlZ.,K),pう ‑1l OE^[13】‑ A (氏‑Kc(+IJC()

上の式 は確 かに,完全代替の生産関数 を示 している12)

(iii) p‑‑の ときは完全非代替の生産 関数,いわゆる, レオ ンテ ィエ フ型生産 関数 となる13)

しか しなが ら,Stinespring [2002,p.122] も述べているように,MATHE‑

MATICAp‑‑の ときレオ ンテ ィエ フ型生産関数 を見つ けることがで きな い。MATHEMATICAでは次の ように表示 されるだけである。

Irll14】‑ 1initlcesTtL,Ⅹ),p⇒ 工nfinityJ

o.^[14】‑ I.imitlA(KID (i‑C')+I.‑Pc')i/A,p⇒00】

十分大 きなp (例 えば,21000)の ときの生産 関数の グ ラフ (これ を生産 曲

ll)すなわち,生産量をYとすると,Y‑ALαK1‑αとなっている。

12)すなわち,生産量をYとすると,Y‑AlαL+(11α)Kiとなっている0

13)生産量をYとし,式で示すと,Y‑A Min[L.K]となる。ある生産量をもたらす, 効率的な投入量の組み合わせ (L,K)の集合をL‑K平面にあらわしたものを等 量曲線 とすると,この場合の等量曲線は45度線上で直角に折れ曲がった,L字形 となる。例えば,西村 [1990,pp.198‑199]を参照せよ。より一般的なレオンティ エフ型生産関数はY‑AMin[aL,bK]であらわされる。ここで,aとbは非負の パラメータである。

(8)

58 2・3

面 と呼ぶ ことにする) を見てみると,これは レオ ンティエ フ型の生産関数のグ ラフにほぼ等 しいことがわかる。 しか も,図1か ら図6を検討す ると,βが無 限大 になると,αの値 に依存 しないことが予想で きる。すなわち,生産量 を Y とし,式で示す と,Y‑AMin[L,K]となることが見て取れる

10 1 生産曲面 α=0.1,p=21000

図 4 図 1の等量曲線図 α‑0.1,p‑21000

2 生産曲面 α=0,5,p=21000

図 5 図 2の等量曲線図 α‑0.5.p‑21000

20ー Eg3 生産曲面 α=0,8,p=21000

図 6 図 3の等量曲線図 α‑0.8.p‑21000

1か ら図3までの色のグラデー ションは生産量水準の範囲に依存 した,色 分 けがなされている。色分 けは10クラスに分割 されている。

また,等量 曲線図を示す図4か ら図6は,図1か ら図3をそれぞれ,ほぼ真 上か ら見た図 として作成 された ものである。ある等量 曲線は,与 えられた生産 量 を生産す るのに必要 な,効率的な労働投入量 と資本投入量の組 (L,K)の集 合 を示 している。特 に,色分けの境界で示 されている等量曲線がほぼ45度線上 で直角 に折れ曲がった, L字形 をしていることが読み取れる。

(9)

MATHEMATICAの経済学への応用(3) 9 1. 3 CES生産関数 の グラフ

パ ラメー タαと pの値 に対 し,CES生産 関数 の グ ラフを次 に措 こ う14)0 p の値 が‑1の とき,完全代 替 の生産 関数 の グラフが措 かれてい る。pの値 が ゼ ロに近 い ときは, コブ ‑ダグラス生産 関数の グラフに近似 してい るこ とが読 み 取 れ る。 また,既 に指摘 した よ うに,pの値 が100を超 えて大 き くな る と, レ

オ ンテ ィエ フ型生産 関数の グ ラフに近似 す る ことも確 認 で きる。

7 α‑0.1,p‑1 8 α‑0.5,p‑1 9 α‑0,8,p‑1

10 α‑0,1,p‑‑0,4 11 α‑0.5,p‑‑0.4 12 α‑0.8,p‑10A

14)紙幅の制約のため,α‑0,1,0,5,0,8およびp‑‑1,‑0.4,‑0.2,一0.01,1.1, 12,102の場合 を掲載 した。 また,白黒印刷のためのカラー配色 を している。 自 然なグラデーションを施 した画像 を白黒印刷すると,印刷結果がぼやけて しまう ためである。 1. 4 白黒印GlJでカラーグラデーションを表現する場合の困難性 を見 よ。

(10)

10 58 2・3

13 α‑0,1,p‑0,2 14 α‑0.5,p‑一0.2 15 α‑0.8,p‑0.2

16 α‑0.1,p‑0.01 17 α‑0.5,p‑0,01 18 α‑0.8,p‑0.01

19 α‑0.1,p1.1 20 α‑0.5,p1,1 21 α‑0,8,p1.1

22 α‑0.1,p‑2 23 α‑0,5,p‑2 24 α‑0.8,p‑2

(11)

MATHEMATICAの経済学への応用(3) 11

25 α‑0.1,p‑12 26 α‑0.5,p‑12 27 α‑0.8,p‑12

28 α‑0.1,p‑102 29 α‑0.5,p‑102 30 α‑0.8,p‑102 7か ら図30までに描かれた,生産曲面の一覧図 を縦 に見 る と,同 じαの 値 に対 して pが異 なる場合 の特徴 を読み取 ることがで きる。 また,生産 曲面 の一覧表 を横 に見 る と,同 じpの値 に対 して, αの値が異 なる場合 の特徴 を 読み取 ることが可能 となる15)0

1.4 白黒印刷 でカラー ・グラデーシ ョンを表現する場合の困難性

同 じαと pの値 に対す る生産 曲面 をカラー ・グラデー シ ョンの異 なる, 4 つの画像 を見てみ よう。 まった く同 じ内容 を表示 していて も,見る人によ り印 象が大 きく変わるであろう

15)私のWebサイ トにこの様子をカラー ・グラデーションのアニメーションで表示 する予定である。 URL:http://www.otaru‑uc.ac.jp/〜uzawa/fjpapers.htmlより たどれるように準備中である。

(12)

12 第58巻 2 ・3号

・:

20

図3l α‑OA,p‑0,2

20

33 α‑0.4.p‑0.2

20

32 α‑0.4,〟‑0.2

j :

20

34 α‑0.4,p‑0.2

2.コブ‑ダグラス生産関数 2. 1 生産 曲面の形状 はαに依存 す る

以下 の分析 で は,一次 同次 の コブ ‑ダグラス生産 関数 を考 える。一次 同次 の コブ ‑ダグラス生産 関数 をMATHEMATICAで表現す る と16),

16)以下では簡単化のために,MATHEMATICAが 自動的につける入力記号,In[n]

:‑と出力記号,Out[n]‑を省略 した。

(13)

MATHEMATICAの経済学への応用(3) 13

YlL ,R 】:=A L^a I(^(1‑α)

となる。ここで,Yは生産量,Lは労働投入量,Kは資本投入量 を示す。また, Aは生産の効率 を示すパ ラメー タ,αは労働分配率,お よび1‑αは資本分配 率 をそれぞれ示すパ ラメー タである。αは 0以上1以下の数である。

αの大 きさによ り生産曲面 (生産関数 を3次元のグラフに表示 した もの) は多 様 な形状 を示す ことを確認で きる。以下の図35よ り図37を参照 されたい17)。また, 参考のために,同 じ生産量 をもた らす労働投入量 と資本投入量の組 (L,K)の集 合 を描いた等量 曲線図 (図38よ り図40)をそれぞれの利潤曲面の下 に掲載 した。

図35 生産曲面 図36 生産曲面 図37 生産曲面

α‑0.05 α‑05 α‑0.75

J lq l} ZDlllO:l110 1 10 11 Zq ZI IEI )tO ▲IOliJD1))〇一Jt 図38 図35の等量曲線図 図39 図36の等量曲線図 図40図37の等量曲線図

α‑0.05 α‑0.5 α‑0.75

17)作成 した画像は21枚からなるアニメーションである。ここではその一部を掲載 し た。

(14)

14 第58巻 2 ・3号

2. 2 収入を最大にする労働投入量 と資本投入量の組 (L,K) を求める 消費者の行動 を示す,需要曲線 (逆需要関数) をMATHEMATICA で, p=a‑b YlL,R]

a ‑A b K1‑a Lα

とあ らわす。ここで,pは価格 を示 し,aお よびbは正数のパ ラメータである。

収入revenueは価格px販売量YlL,K]に等 しいので,

revenue=p YlL,K]

A K1‑α Lα (a ‑A b K1‑C'LC()

となる

収入revenueを生産量Yで表現すると, revenue =(a‑b Y) Y

となる。収入 を最大 にす る生産量18)を求めるには,収入reve。ueを生産量Y について微分 し,微係数 をゼロとする値 として求めることがで きる

sol=SolvelDlrevenue,Y]=:0,Y]

(tYjaH

revMaxY=Y/.sol

一・:'

となる。す なわち,Y‑a/(2b)で収入 は最大 となる。 したが って,収入 を最 大 にする労働投入量 と資本投入量の組 (L K) は等生産量 曲線

18)収入関数は生産量について2次関数であるので,最大化のための十分条件を満た している。

(15)

MATHEMATICAの経済学への応用(3) 15 YlI,K]==revMaxY

A KlαLa==(蕊 )

上 にある。 この ことを,画像 で確かめてみ よう

い ま,A‑1,α‑0.6,a‑50,b‑1の値 を前提 に,収入 曲面 を描 く19)0

0101)

41収入曲面 42 収入曲面 43収入曲面

44収入曲面

1 2 ) I 図45 等収入曲線

図44お よび図45は収 入 曲面 の一部 とそれ を等収 入 曲線 の図 に した ものであ る。等収入 曲線 とは,同 じ収入 をもた らす,労働投入量 と資本投入量の組(L,K)

19)作成 した画像は24枚からなるアニメーションである。ここではその一部を掲載 し た。

(16)

16 58 2・3

の集合 を示す。黒色 と灰色 との境界 は収入水準500に対応 し,灰色 と白色 との 境界は収入水準600に対応す る。真ん中の点線模様の線が最大の収入水準625 対応 している (図54も参照せ よ)0

収入 を最大化する投入量の組 と利潤最大 をもた らす投入量の組 とが異 なるこ とを確認す るために,最初 に,グラフを用いて収入最大点を見つけよう。その ために,収入 曲面 をL‑K平面に平行 な補助平面 (収入の大 きさをあ らわ し, 画像では黒色で表示 されている)で切断 した画像 を描いてみる。 この補助平面 の上に収入 曲面の一部分が見えている限 り,収入 は最大化 されていないことに 注意 しよう

46収入水準‑0

48収入水準‑400

47 収入水準‑200

49収入水準‑600

(17)

MATHEMATICAの経済学への応用(3) 17

.T .,? ‥‑ .∴::..( ,? 50収入水準‑622

52収入水準‑624

51収入水準‑623

53収入水準‑625

46か ら図52において,切断す る補助平面の上に収入曲面の一部分が見 えて いるので,収入水準が624を達成す るまでは労働投入量 と資本投入量の租(L,K) の集合が読み取れ,収入 は最大化 されていない。

収入水準625(生産量が25‑50/2で,価格が25‑50‑25である)の ときは, 労働投入量 と資本投入量の組 (L,K)の集合のグラフは切断す る補助平面 と重 なって しまったために,見 えな くなっていることに注意 しよう (図53)。 この とき,収入は最大 になっている。図54には,収入を最大 にす る生産量 (Y‑25) をもた らす労働投入量 と資本投入量の組 (L,K)の集合 を示 している。

(18)

第58巻 2 ・3号

7( Y J 25

0 2 1 6 8 10

54 収入最大をもたらす労働投入量と資本投入量の組 (L,K)の集合

2.3 利潤最大 をもたらす労働投入量 と資本投入量の組 (,K)を求める コブ ‑ダグラス生産関数 を持つ独 占企業が市場需要曲線に直面するとき,刺 潤最大 をもた らす労働投入量 と資本投入量の組 (L K) を MATHEMATICA の数式処理 を利用 して求め よう。

次の ような費用 関数 を想定す る。す なわち,労働 の賃金率 W を,資本の レ ンタル料 をrとし,費用関数 をcostとして,

cost=w L + r X Kr+Lw

とす る。

利潤 をpaiであ らわす と,利潤 ‑収入 一費用であるので, pai=(a‑b Y) Y I cost

‑K r‑L w+Y (a‑b Y)

収入関数Rは,

(19)

MATHEMATICAの経済学への応用(3) 19

R=p YlL,K]

AKlC'LCt(a‑AbK1‑αLCX)

とあ らわす こともで きる

利潤極大化 のための必要条件 は,

労働の限界生産物収入が賃金率 W に等 しい

資本の限界生産物収入が レンタル料rに等 しい

ことであ る20)。 したが って,「2つの生産要素 に関す る限界生産物収入 の比が 要素価格比 に等 しい」 ことを利用 し,資本投入量 と労働投入量 の関係 を導 く。

労働 に関す る限界生産物収入の大 きさ,mr1,はRをLに関 して偏微 分す る と得 られるので,

DlR,L]

‑A2bK212αL‑1'2ctα.A K1‑αLl1+α (a‑AbKlaLα)ct nrL=SimplifylDlR,L]]

AK12αL 1十α (aKCX‑2AbKLα)C(

同様 に,資本 に関す る限界生産物収入 の大 きさ,mrK,はRをKに関 して 偏微分す る と得 られる

DlR,R】

‑A2bKl‑2aL2α (1‑ct)+AK‑αL。 (a‑AbKl‑aLCt) (llC() mrK=SimplifylD【R,K]]

AK 2cELCr(‑aKCX+2AbKLα) (‑1+α)

上 の2つ の式 を利潤極大 のための必要条件 に代 入す る と,資本投 入量K 労働投入量Lの間には以下の関係が成立す る

20)西村 [1990,p.216]を参照せ よ。完全競争の場合は限界収入が価格に等 しいの で,ある生産要素の限界生産物収入は,その生産要素の価値限界生産物に等 しく なる。

(20)

2() 第58巻 2 ・3号

501K=FlattenlSimplify【SolvelmrL/mrx==Ⅴ/I,R日 】

tK→

Lw(‑i+ct) r(I

資本 一労働比率 (K/L) をKoverlであ らわす と, KoverL=K/L/.SOIK

W (1+α)

rα

となる。

資 本 の 限 界 生 産 物 収 入, mrK,は (1‑α )A(a‑2bY)LaKaで あ る が, Y‑K(LαK α),LaK a‑(L/K)α‑(K/L) α‑1/(K/L)αとなることを考慮すると,

mrK=(a‑2 b A R (1/KoverL)^a) A (1‑cl) (1/RoverI.)^a r α

A (1 ‑α) )α (a ‑ 2A b K

r α

したがって,mrK‑rとなる条件 よ り,利潤最大 をもた らす資本投入量,KKopt, を求めることがで きる

solXR=FlattenlSolve【(a‑2 b A K (1/RoverL)^cl) A (1‑a) (1/KoverL)^a ::I,K]]

(K(一誌 )‑2α (r‑aA(一読 「)α+aAα (‑芯 )α)

2A2b ト 1+α)

soIKX=FlattenlSolvelmrK:=r,K]]

tK(后荒訂)2α (r‑aA(一読 「)α.aAα (一品 )α)

2A2b ト 1+α)

(21)

MATHEMATICAの経済学への応用(3) 21

KRopt=Simplify【K/.solⅩⅩ】

(また )‑2α(r・aA (‑1・a)(また )α) 2A2b(‑1+α)

利潤最大 をもた らす労働投入量,LLopt,はL‑K/(K/L)よ り求めることが で きる

LLopt=SimplifylKKopt/KoverL]

rα ( )‑2α (r・aA(‑1・α)(た )a) 2A2b w(‑1+α)2

LLopt2=Simplify【PowerExpandlKXopt/KoverL]]

rl 2cxcxl 2α (W‑Wα)cx(aA ra (‑1.ct)αα+r (W ‑wet)a) 2A2b w (‑1+α)2

利潤最大 をもた らす生産量,YYopt,は生産関数 Yl.,K] よ り YYopt=SimplifylYlLIJOPt,RXopt]]

(言語)2a (r・aA (‑1・α)(た )a) A2b (‑1+α)

rα(蕊 )2a (

r ・ a A

(

‑ l e a )

(

た ) a )

A2b w 卜 1+α)2

YYopt2=SimplifylPowerExpand【YlLLopt,XRopt]]]

(‑1)CEr‑aw Ct(‑1+C() 1 cxa cr(W‑wcx)cz(aA rC'(‑1.cx)αct.r (W ‑Wα)a) 2A b

さらに,利潤最大 をもた らす価格,pr土ceopt,は逆需要関数 に生産量の値 を代入することで求め られる

priceopt=a‑b YYopt

a‑‡ Ab(蕊 )2α(r十aA (11・α) (ま た )aH 1a A2b (‑1+α)

(22)

22 第58巻 2 ・3号

(‑ ra' '‑2三2

'

b

r

w

+

A

l

'

:a

1

,

i ‑ a

j

葦) ? ' ‑ ) a

priceopt2=SinplifylPowerExpandlpriceopt]]

2a

(‑1)C'r‑C(W‑aレ l+cr)111C'α Cl(W‑W(1)a (aA rC((ll+ct)CXC(+r (W‑Wα)CE)

また,最大利潤,pa⊥opt,は労働投入量,資本投入量,お よび生産量の値 を利潤 の定義式 に代入す ることで求め られる

paiopt=Simplify日a‑b YYopt)YYopt ‑(w LLopt+I KRopt)]

2A2b (‑1+α)2

∫ +A (‑1+α)

(蕊 ) 2α (r ・aA (‑1川 , (霊 )α)

(諾慧)2a(r ・aA (‑1・a)( )a) A2b (‑1+α)

rα ( )2a (r・aA (‑1・α)(

た 門

A2b w (‑1+α)2

(話語)2a (r・aA (‑lea)(語 門 A2b 卜 1+α)

rα (蕊 )ー2a (r・aA(‑1・α)(慧 )a) A2bw 卜 1+α)2

paiopt2=SimplifylPowerExpand【(a‑らYYopt)YYopt‑(wLIopt+r KXopt)日

1 4A2b

(r 2crw 2cE(‑1+α) 2(lea)α 2C'(W‑wa)cx(aA ra (ll+a)αCE+r (W ‑w cl)a) ((‑i)αaA rCX(‑1←C()ctC'卜 2㌦ (‑1+α)C'+ 卜 1)C'(W ‑wcr)Cr)+

r (‑2W2ct(‑1.cE)2ct. (‑1)2cl(W ‑Wα)2α)))

利 潤 を最 大 にす る労 働 投 入量LLfun,資本投入量KKfun,生産量YYfun, 価格pr土cefun,お よび利潤pa土funをパ ラメー タA,α,a,b,W,お よび rであ らわそ う。 この ように してお くと,任 意のパ ラメー タの組 に対応 した, 利潤最大 をもた らす労働投入量,資本投入量,生産量,価格 ,お よびその とき

図 1 9 α‑0. 1,p ‑ 1. 1 図 2 0 α‑0. 5,p ‑ 1, 1 図 21 α‑0, 8,p ‑ 1. 1
図 5 8 利潤 ‑2 2 0 1 0 0 0 o 図 6 1 利潤 ‑2 4 2 図 5 9 利潤 ‑2 4 0 図 6 0 利潤 ‑2 4 1図62利潤‑243図63利潤‑244

参照

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