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鳥類における就巣行動制御遺伝子の解析

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鳥類における就巣行動制御遺伝子の解析

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神作宜男

麻布大学獣医学部

Norio Kansaku

Graudate School of Veterinary Science, Azabu University

Abstract= Complementary DNA(cDNA)of prolactin(PRL)and vasoactive intestinal polypeptide(VIP)of the Java sparrow(1)044αo町yz vorのwere cloned and sequenced. Java sparrow PRL was found to have 88.3,

88.3,and 89。1%sequence identity to PRL cDNA of chicken, turkey, and duck, respectively. The predicted amino acid sequence had an overall similarity with a comparable region of chicken(91.4%), turkey(88,9%)

and duck(92.0%)PRL. Based on the cDNA sequence and genomic DNA sequence of the chicken PRL gene,

the proximal promoter was characterized. Sequence analysis of the proximal region of Java sparrow PRL promoter revealed a high degree of similarity to that of chicken, turkey and duck PRL promoter. Moreover,

cDNA of prepro−VIP was also cloned and sequenced. Java sparrow prepro−VIP shows high similarity to chicken and turkey prepro−VIP. However, upstream of the 5 untranslated region of Java sparrow prepro−VIP did not show similarity to that of chicken. These results suggest that the mechanisms, which regulate expression of the VIP gene, may be dif飴rent between precocial and altricial birds, but expression of the PRL gene may be widely conserved in avian species.

目 的

 鳥類特異的に認められる就巣行動は,抱卵と育雛 に分ける事が出来る。下垂体ホルモンであるプロラ クチン(PRL)は鳥類の就巣行動と深い関係がある ことが示されている(1,2)。晩成性と早成性鳥類に おいて,就巣行動とPRLの血中濃度には大きな違い があることが知られている。早成性鳥類では産卵期 の後期より濃度が上昇し始め,抱卵行動の間は非常 に高い血中濃度を示し,育雛行動の開始とともに濃 度は急激に低下する。一方,晩成性鳥類では就巣行 動の中頃からPRL濃度は上昇し,抱卵行動末期から 育雛行動初期にかけて最も濃度は高くなる。このよ うにPRLの合成一分泌時期が早成性と晩成性鳥類では

大きく異なる事が明らかにされている。早成性及び 晩成性鳥類ともに,PRLの血中濃度変化と対応する ように視床下部ペプチドである小腸血管作用ペプチ ド(VIP)の濃度や免疫組織学的応答性が変化する 事が知られており,VIPに対する受動免疫や能動免 疫によりPRL濃度が変化することから, PRLの合成 や分泌は視床下部において合成されるVIPにより制 御されていることが明らかにされている。さらに,

シチメンチョウのPRL近位プロモーターにはVIPに 対して反応するVIPレスポンスエレメントが存在す

ることが近年示されている(3)。しかしながら,鳥 類におけるVIPcDNAのクローニングは早成性であ るニワトリ及びシチメンチョウにおいてのみ報告さ れているに過ぎない(4,5)。一方,晩成性鳥類の

(2)

130 麻布大学雑誌 第17・18巻 2008年

VIPcDNAやVIP遺伝子の構i造解明は報告されておら ず,どのような機構によりVIP遺伝子発現が制御さ れているか不明である。従って,早成性及び晩成性 鳥類における共通発現機構iの解明が切に望まれてい る。本研究では,系統遺伝学的に特異である走鳥類 から晩成性鳥類まで様々な鳥類のPRLcDNAのクロ ーニングを行なうとともに,現在までに報告されて いない晩成性鳥類のVIPcDNAのクローニングを行 ない,系統遺伝学的な解析を行なう事を目的とした。

材料および方法

 晩成性鳥類であるブンチョウの下垂体および視床 下部を採取し,RNAを抽出した後,オリゴdTプラ

イマーを用いて逆転写反応を行った。また,VIP遺 伝子の部分断片を得るために,血液よりゲノムDNA の抽出を行った。PRLcDNAのクローニングに関し ては,ニワトリ,シチメンチョウ,アヒルにおいて

保存されている配列より5 および3 非翻訳領域領域

にプライマーを設定し,コード領域の増幅を下垂体 より抽出したRNAの逆転写産物を用いて行った。増 幅後に塩基配列をサンガー法により決定した。得ら れた塩基配列をもとに3 比翻訳領域およびポリA付 加部位を明らかにするために3 RACE法によりPCR 産物を得た後,配列の決定を行った。VIPcDNAのク ローニングはヒトVIP遺伝子のゲノム構造をもとに エクソン領域を推定し,ニワトリおよびシチメンチ ョウcDNAよりプライマーを設定し,ブンチョウゲ ノムDNAよりVIP遺伝子断片を増幅した。得られた 部分断片の塩基配列を決定後,あらたなプライマー を設計し,視床下部由来のRNAを逆転写した後,5 および3 RACEにより上流域と下流域の増幅を行い,

塩基配列を決定した。得られたデータをBlast検索に より統合し全コード領域の配列を決定した。

結果と考察

 およそ700塩基対からなるブンチョウPRLcDNA 断片が得られ,これらの配列から3 非翻訳領域の増 幅が行われ,ブンチョウPRLcDNAの配列が決定さ れた。全体では983塩基のPRLcDNA配列が決定さ れ,予想されるPRLはシグナルペプチドを含めて 229アミノ酸であった(Fig. D。血液中に放出される ブンチョウ成熟PRLのニワトリ,シチメンチョウお

よびアヒルPRLに対する相同性は91.0,88.9,及び 92.0%であった。翻訳開始コドン領域を含めた上流 域はおよそ200塩基がクローニングされ,ニワトリ,

シチメンチョウおよびアヒルに対する相同性はそれ ぞれ87.7%,85.8%および87.1%であった(Fig.2)。

また,翻訳開始コドンの上流はACCATGAを示し,

真核生物のコンセンサス配列であるACCATGG(6)

と類似した配列を示した。VIP遺伝子の予想エクソ ン5および6に設定したプライマーにより790塩基 対の遺伝子断片が得られ,断片配列からRACE法に

より完全長ブンチョウVIPcDNAの配列が決定され た。全体では1045塩基対からなり,VIP前駆体は

198アミノ酸からなることが明らかにされた(Fig.3)。

さらにハイドロパシー解析からシグナルペプチドを のぞいた領域は178アミノ酸により構成される事が 明らかになった。ブンチョウVIPcDNAはニワトリ およびシチメンチョウと94.2%及び92.3%という高 い相同性を示した。ブンチョウのPRL放出因子とし て実際に機能する28アミノ酸残基より構成される VIPの配列はニワトリやシチメンチョウと完全に一 致した。VIPはPRLと比べると非常に長い非翻訳領 域を5 に有するが,5 領域の非翻訳領域における類 似性はほとんど認められなかった。以上の事から,

晩成性鳥類であるブンチョウのPRL近位プロモータ ーにはシチメンチョウにおいて機能が同定されてい るVIPレスポンス領域が存在し,早成性鳥類と同様 にVIPにより合成と分泌の制御を受けている事が証 明された。また,ブンチョウVIPcDNAは非常に高 い相同性をニワトリとシチメンチョウVOPcDNAと 示すが,5 非翻訳領域は類似性を示さない事から,

ブンチョウVIP遺伝子のプロモーターはニワトリや シチメンチョウなどの早成性鳥類と異なる構造を有 している可能性が高い事が推測される。このプロモ ーター領域の構造的な違いが早成性鳥類と晩成性鳥 類のVIP遺伝子の発現の違いとして反映され, VIP により誘導されるPRLの合成と分泌時期の違いとし て認められると考えられる。

要約

 ブンチョウのプロラクチン(PRL)及び小腸血管 作用性ペプチド(VIP)cDNAのクローニングを行な った。さらに,PRLの近位プロモーター領域の配列

(3)

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Figure l Nucleotide and deduced amino acid sequence of Java sparrow PRL cDNA. Nucleotides are numbered      on the right side of the sequence. Untranslated regions of Java sparrow PRL cDNA are reported in      Iowercase letters and the open reading frame in uppercase letters. Poly A signal is underlined.

(4)

132 麻布大学雑誌 第17・18巻 2008年

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Figure 2 Comparison of Java sparrow, duck, turkey and chicken PRL promoter. Potential TATA box was double      underlined. Highly conserved sequence between birds and mammalian PRL gene is underlined. VIP response      e[ement and translation starting codon were indicated by dashed−underlined and bo[d letters, respectively.

も同定された。ブンチョウPRLのcDNA及び近位プ ロモーターはニワトリ,シチメンチョウ,アヒルと 高い相同性を示し,中でも近位プロモーターはVIP 反応領域が晩成性と早成性鳥類ともに保存されてい る事が明らかになった。晩成性と早成性ともに生理 的PRL放出因子と考えられるVIPのcDNAクローニ ングも行なった。ブンチョウのVIP前駆体基本構造 はニワトリやシチメンチョウと類似しているが,5 非翻訳領域の上流はニワトリのものと比べ類似性が ほとんど認められなかった。晩成性鳥類において,

みられる血中PRLの濃度変化は早成性鳥類と異なり 抱卵後期に上昇する。晩成性と早成性ともにPRL遺 伝子の発現はVIPにより制御されているが, VIP遺 伝子の発現時期が異なることにより,結果として PRL遺伝子の発現増加時期が異なっている可能性が 考えられた。

引用文献

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(5)

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Figure 3 Nucleotide and deduced amino acid sequence of Java sparrow VIP cDNA. Nucleotides are numbered on      the right side of the sequence. Untranslated regions of Java sparrow VIP cDNA are reported in      lowercase letters and the open reading frame in uppercase letters. Poly A signal is underiined.

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そこで本研究では, 都市下水処理UASB 槽内に生息する嫌気 性原生動物 Metopus sp.体内の共生微生物叢を明らかにする ため, 16S rRNA 遺伝子に基づく遺伝子解析及び