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Cu ‑ 3 0 ma s s % Zn 合金の高温延性 に及ぼす結晶粒径 とひずみ速度の影響

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(1)

研 究 論 文

Cu ‑ 3 0 ma s s % Zn 合金の高温延性 に及ぼす結晶粒径 とひずみ速度の影響

武 藤 侃 , * 後 藤 正 治 , * 加 , * 田 弘 *

Ef f e c t sofgr ai ns i z eands t r ai nr at eonhi gh‑ t e mpe r at ur educ t i l i t yofCu‑ 3 0 mas s%Znal l oy Aki r a MuT O†,Sho j iGoT O†,Chi akiKAT OTandMi c hi hi r oTAGAMI I

Abs t r ac t

Cu‑ 3 0 mas s %Zn al l oyswi t h v ar i ousgr ai n s i z e swe r et e ns i l et e s t e d unde rvar i ouss t r ai n r at e sf r om 3. 3 Ⅹ1 0 S s l t o3. 3 Ⅹ1 0 3S 1andatt e mpe r at ur e sf r om 5 2 3 K t o7 7 3 K . El o ngat i ont o f r ac t ur ef orf i ne 一 gr ai ne ds pe c i me nss howshi ghduc t i l i t yandamaxi mum v al uei nar angeof i nt e r me di at et e mpe r at ur e . Thepe akduc t i l i t yi nc r e as e swi t hi nc r e as i ngi ns t r ai nr at et houghi t doe sno tde pe ndont hei ni t i algr ai ns i z e . Typeoft hef l ow c ur ve si sc ont r ol l e dbyt hef ac t or sof t e mpe r at ur e ,s t r ai nr at eandi ni t i algr ai ns i z e .Thef l owc ur v eofc oas e 一 gr ai ne ds pe c i me nss ho ws as e r r at e df l ow a tl owe rt e mpe r at ur e sandathi ghe rs t r ai nr at e swhi l es howst hewor ks o f t e ni ng pr oc e s s e sato t he rc ondi t i ons . Thef l ow c ur veoff i ne 一 gr ai ne ds pe c i me nss howsat ypi c alf l ow be hav i orofdynami cr e c r ys t al l i z at i o n. I ts houl dbenot e dt hatt he s ef l ow c ur ve st e ndt oc hange f r o m at ypehav i ngs i mpl epe akduet odynami cr e c r ys t al l i z a t i ont oano t he rt ypehavi ngmul t i pl e pe akswi t hde c r e as i ngi ni t i algr ai ns i z eands t r ai nr at eand/orwi t hi nc r e as i ngt e mpe r at ur e .

Thev al ue sofs t r e s se xpone ntandappar e ntac t i vat i one ne r gyf orde f or mat i onr angef r om 3t o 5and f r om 1 2 0t o1 3 5 kJ/mol , r e s pe c t i v e l y. Themai nr e as onf ort hi sc anbee xpl ai ne dbyaf ac t t hatt hebot hme c hani s msofdi s l oc at i ongl i deandgr ai nboundar ys l i di ngoc c urs i mul t ane ous l y.

Ke yWo r d s: Cu‑ 3 0 mas s %Zn,gr ai ns i z e ,hi ght e mpe r at ur e ,s t r e s se xpone nt ,ac t i vat i one ne r gy , me c hani c alpr ope r t y,duc t i l i t y

l 緒言

一般 に金属および合金の高温 における変形では,温度や変形 速度 によ り変形 の機構が異 なる。 ところで ,Cu‑ Zn 合金 ,Al ‑ Mg 合金およびその他 の α 単相合金では中間温度域 において脆 性的な挙動を示す場合のあることが知 られている1 )1 2 ) 。 この現 象 は一括 して中間温度脆性 と呼 ばれて いるが,前者 の Cu‑ Zn 合金では脆性を示す温度 はひずみ速度 によ らず一定温度 に存在

している 9) とい う報告がある一方,後者 の Al ‑ Mg 合金で は延 性 に極小 を示す温度 は, ひずみ速度 に依存す る7 )とい う報告 も ある。 このように一見同様の現象であって もその挙動 と機構 は, 材料や変形条件 によって相異 なるものと考え られている。

著者 らは Cu‑ 3 0 mas s %Zn 合金 の中間温度脆性 は合金固有 の 性質ではな く,結晶粒の大 きさに強 く依存す る現象であ って結 晶粒 を細粒化す ることにより,中間温度脆性 は消失 し,逆 に高 延性を生 じることを報告 して きた 1 3 )1 4 ) 。その際に行 った実験で は, ごく限 られた温度 とひずみ速度の試験条件の もとでの結果 について検討 した。その中で,高延性 には動的再結晶が関与す ることを述べた。動的再結晶 は高温の比較的高 ひずみ速度側で 生ず ることも, またよ く知 られていることである1 5 ) 。

平成 1 3 年11月26日受付

*秋 田大学工学資源学部材料工学科

〒0 1 0 ‑ 8 5 0 2 秋 田市手形学園町 1 ‑ 1

千De p a r t me n to fMa t e r l a l sS c l e n C ea n dEn g l n e e r i n g , Fa c u l t yo f En g i n e e l n ga n df o rRe s o u r c eS c i e n c e ,Ak i t aUn i v e r s i t y,1 ‑ 1 Te g a t aGa k u e n c h o ,Ak i t aCl t y,Ak i t a0 1 0 ‑ 8 5 0 2

E‑ ma i l :

素材物性学雑誌

3 5

本報告で は,試験条件 を既報 1 4 )の場合 よ りさ らに大幅 に変 え, ひずみ速度 3. 3 ×1 0 3S 1 か ら 3. 3 ×1 0 5 S ‑ 1までの もとで, か つ 試 験 温 度 を 高 温 変 形 の 条 件 と な る 52 3 K か ら 7 7 3 K ( 0. 4 3‑0. 6 3 T m ,T m は融点) までの範囲 に集中させ, ひずみ速 度 と温度の種々の組み合わせ条件下で系統的な引張試験を行い, 中 間 温 度 高 延 性 の 挙 動 を 中 心 に 調 べ た 。 ま た , Cu‑

3 0 mas s %Zn 合金材の初期結晶粒径や変形条件 の違 いが,変形 に対す る応力指数 と見かけの活性化 エネルギーに及ぼす影響 に ついて も調べ,中間温度高延性の挙動 と発現機構 について検討

し た 。

I l 試料 お よび実験方法 1 . 供託材

実験 に供 した試料 は Cu‑ 3 0 mas s %Zn 合金 の市販材 ( 厚 さ 1 . 6 mm) を素材 とした。供試材時点 の化学分析 の組成結果 は, Cu: 7 0. 67 ,Fe: 0. 0 01 ,Pb≦0. 0 0 1 ,Ag≦0. 0 01 ,Sn≦0. 0 01 ,S:

0. 0 0 1 ,0: 0. 0 01 mas s %,As ,Bi ,I n,Se ,Sb,Te ,Tl 各 1 ppm 以下,その他 Zn か らなる単一相合金であった。 この素材

を厚 さ 1 , 0 mm まで冷間圧延 し,圧延方向 と平行 にゲージ 郡2 5. 0 mmx5. O mmXl . 0 mm ( 肩部 の曲率半径 3. 0 mm) ,全長 5 9 mm の引張試験片を打ち抜 き加工 によって作成 した。

試験片 の結 晶粒径 の調整 は, 各試験片 を 7 2 3,7 7 3,8 2 3 , 9 0 3 K の各温度 で 3. 6 ks 間 アル ゴ ン雰囲気中で焼 なま しす るこ

とにより行 った。その結果,それぞれの焼 きなま し温度 に対 し て 0. 01 2,0. 0 2 2 ,0. 0 45 および 0. 1 1 8 mm の 4 種類 の結晶粒径 を 有す る試験片 を得 た。なお,結晶粒径の測定 は,切断法 によっ

第 1 4 巻 第 y 2号 ( 2 0 0 1 年 1 2 月)

(2)

3 6 武藤 侃 ・後藤正治 ・加藤千秋 ・田上道弘 た ものであ り, この際双晶境界を考慮 していない。

2 . 高温引張試験

引張試験 には島津製 オー トグラフ I S‑ 1 0 T を用 い,試験条件 として中高温度域 の 5 2 3,5 7 3 ,6 2 3 ,6 7 3,7 2 3 および 7 7 3 K の 各温度 において,初期 ひずみ速度 3 . 3 ×1 0 5 ,6 . 7×1 0 5 ,1 . 0×

1 0 4 , 1 . 7×1 04 ,3. 7×1 04 ,6 . 7×1 0 4 , 1 . 3×1 0 3 ,2 . 0×1 0 3 および 3 . 3 ×1 0 3S 1 の もとで定速高温引張試験 を行 った。試験 雰囲気 は NaN0 3 と KN O Sとを 1 対 1 の組成 とした塩浴を用い, 試験前 に試験片 を 6 0 0 S間塩浴 に保持 して, チ ャック部周辺 の 温度が均一 にな った後 に試験 を開始 した。得 られた荷重一 伸 び 曲線か ら各試験片 について真応力ー 真 ひずみ曲線 を計算 によ り 求めた。 この応力 レベルの最大値を もとに して この時の変形の ための応力指数 と見かけの活性化 エネルギーについて解析 した。

I l l 実験結果 1 , 応力‑ ひずみ曲線

Fi gur e lは結 晶粒径 0 . 0 2 2 mm の細粒材試料 につ いて,試験 温度 7 7 3 K においてひずみ速度 を 3 . 3×1 0 5S 1 か ら 3. 3 ×1 0 ¶ 3S1 まで変化 させた ときの真応力ー 真 ひずみ曲線 を示 した。低 ひず み速度側で は応力‑ ひずみ曲線 は多重 ピーク型 の曲線 を示 し, 3 . 3 ×1 0 3S 1 で は単一 ピーク型 の形状 となる典型的な動的再結 晶型の挙動 1 5 )1 6 ) を呈 している。ただ し,高ひずみ速度側では高 温降伏現象を示 している。 また,最大応力 と破断延 びはひずみ 速度 の減少 とと もに減少 している。次 に,結晶粒径 0 . 1 1 8 mm の粗粒材試料 につ いて, ひずみ速度 3 . 3×1 0 4 S 1 において温度 を変化 させたときの応力‑ ひずみ曲線を Fi gur e2 に示す 。5 2 3 K では降伏後 セ レーションを伴 いなが ら加工硬化 を して,軟化す ることな く破断 してい る。温度が上昇 して 6 2 3,6 7 3 K とな る と,降伏後 に異常硬化 を示 し ,6 7 3 K で は高 ひずみで定常状態 変形 を示 してい ることがわか る。 この異常硬化 は中間温度脆 性 3 )5 ) として知 られている現象である。 さらに温度が高 くなる と,回復型の変形挙動を示 しているように見 られる。次 に,読 験温度 6 7 3K ,ひずみ速度 6 . 7 ×1 0 ‑ 4S 1 において,初期結晶粒径 の違 いによる応力‑ ひずみ曲線 を Fi gur e3 に示す。初期結晶粒

0 0 0 0 0 0 2 0 8 6 4 2 E: d M J D dS S a J tS a n Lト

0. 2 0 . 4 0. 6

Tr u eS t r ai n ,E 0. 8 1. 0 Fi gur e1 Tr ues t r e s s ‑ s t r a i nc ur v e sa t7 7 3 K unde rv ar i o us

s t r ai n r a t e s f o r Cu‑ 3 0 ma s s %Zn a l l o y ha v i ng a ni ni t i a lgr a i ns i z eo f0. 0 2 2 mm.

径が小 さいほど応力 レベルは小 さ くなるとともに, ピーク後 に 動的再結晶型の挙動が現れ る様子を示 している。本実験の範囲 内で は,初期結晶粒径 0. 1 1 8 mm 材で は,温度が低 くひずみ速 度が大 きい条件ではセ レー ションを伴 った加工硬化を示す変形 挙動が見 られたが, ほとん どは動的再結晶型近似の曲線を示 し た。

2 . 伸びと温度の関係

次 にひずみ速度,温度を変えて引張試験を した結果か ら,温 度 に対す る破断伸 びの変化を各結晶粒径毎 に整理 して Fi gur e4

‑Fi gur e7 に示す。 なお, これ らの図 にはひずみ速度が 3 . 3×

1 0 5S 1 ,3 . 3 ×1 0 4S i および 3. 3 ×1 0 3S 1 で試験 した結果 のみ を代表例 と して表わ した 。Fi gur e4 と Fi gur e5 に示す よ うに 粒径が 0 . 01 2 ,0 . 0 2 2 mm の場合で見 ると, いずれ も中間温度領 域 ( 5 5 0 ‑7 5 0 K) に伸 びの極大が見 られ る。 その極大位置 はひ ずみ速度が大 きくなると高温側 に移動 していることがわか る。

0 0 0 0 0 0 3 N e d H \ D L

S

S a Jt S a

njト

0. 1 0. 2 0. 3

Tr u eS t r ai n ,C

0 . 4 0. 5

Fi gur e2 Tr ues t r e s s I S t r a i n c ur v e sa tv a r i o ust e mpe r a ‑ t ur e sunde ras t r a i nr a t eo f3. 3 Ⅹ1 0 4S 1 f o rCu‑

3 0 ma s s %Zn a l l o y s pe c i me n ha v i ng a n i ni t i a l gr a i ns i z eo f0. 1 1 8 mm.

0 0 5 0 ted 三 \ D L s s a J t S a n

)

i

1 ) 0 , 2 0 . 4 0. 6 0. 8 1. 0 1. 2 1 . 4 Tr u eS t r a i n ,E

Fi gur e3 Tr ues t r e s s ‑ s t r a i nc ur v e sa t6 7 3 Kund e ras t r a i n

r a t eo f6 . 7 Ⅹ1 0 4S 1 f o rCu‑ 3 0 ma s s %Zna l l o ys pe c ‑

i me nhav i ngv a r i ousi ni t i algr a i ns i z e .

(3)

Cu ‑ 3 0 ma s s %Z n 合金の高温延性 に及ぼす結晶粒径 とひずみ速度の影響

Fi gur e6 の結晶粒径が 0. 0 4 5 mm の場合 で もほぼ同様 の傾 向 を 示 しているが,極大 の現 れ方が高温側で不明瞭 とな る。 さ らに 粒径が大 き く 0. 1 1 8 mm にな ると Fi gur e7 に見 られ るよ うに破 断延 びの極大 は消失 して,反対 に中間温度脆性 を示すよ うにな り,延性 の谷 は 6 5 0 K 近傍 に現 れ る。 これに対 して ,0. 0 4 5 mm 以下 の粒径 の場合 は温度 に対 して破断伸 びの極大値が明瞭 に現 れ, その極大値 を示す温度 は結晶粒径 には依存せず, ひずみ速 度が同 じであれば結晶粒径が違 っていて もほぼ同一温度で生 じ ていることがわか る。

3. 応力指数 と見か けの活性化 エネルギー

一般 に,高温変形 の構成式 は次式 のよ うな累乗別が成立す る ことが知 られている1 7 ) 。

eexp ( Q/RT)‑A ( Us/ E)n ( 1 ) ここで , Eはひず み速度 ,R は気体定数, Tは試験温度 , c T s

0 0 0 5 0 5 (%

)

g ■ u O‑ T e 6u o 芯

500 550 600 650 700 750 800 Temp er a t u r e , 丁 / K

Fi gur e4 Te mpe r at ur ede pe nde nc e oft hee l o ngat i o n t o f r ac t ur ef orCu‑ 3 0 mas s %Znal l oyhavi ngani ni ‑ t i algr a i ns i z eo f0. 01 2 mm unde rvar i o uss t r ai n r a t e s .

0 0 0 5 0 5 (a/D

)

g L u O

Ft

e 6 u o 一山

500 550 600 650 700 750 800 Temper a t u r e ,丁/ K

Fi gur e5 Te mpe r at ur e de pe nde nc e o ft hee l ongat i on t o f r ac t ur ef orCu‑ 3 0 mas s%Znal l oyhav i ngani ni ‑ t i algr ai ns i z eof0. 02 2 mm unde rv ar i ouss t r ai n r at e s .

素材物性学雑誌

37 は定常変形応九 E はヤ ング率,A は定数 ,Q は変形 の見か け の活性化 エネルギーで,nは応力指数 であ る。( 1 ) 式 よ り,応力 指数 n は一定温度 の変形条件 の もとで の l n e と 1 n(Us /E) の グラフのかたむ きとして求 め られ る。 ここで用 いたヤ ング率 E はすべて K6s t e r 1 8 ) によ った oFi gur e8‑Fi gur el lにそれぞ れ各結 晶粒径 の試料 ごとについての結果 を示 す 。 n 値 は温度 に よ って異 な り, また同 じ温度で比べ ると粒径 によ って も異 な る ことがわか る。 すなわち,〃値 は高温 ほど小 さ く, また同 じ温 度 の もとで は糸 吉晶粒径が小 さいほど小 さ くな っている。温度 の 高 いほうだ けで比べ ると,細粒材で は約 4 で粗粒材 にな ると 5

に近づいてい くことを示 している。 なお,低温 になるほど測定 点 は一本 の直線 で は表わ されず,低応力側 と高応力側で異 な る 二本 の直線 に分かれ る傾向が見 られた。 このよ うに同一温度で も〃値が応力 に依存 して変化す る傾 向 は, いずれの結晶粒径 の

( % ) g d u o ! te 6u o 一 山

500 550 600 650 700 750 800 Temper a t u r e ,丁/ K

Fi gur e6 Te mpe r at ur ede pe nde nc e o ft he e l ongat i on t o f r ac t ur ef orCu‑ 3 0 mas s%Znal l oyhav i ngani ni ‑ t i algr ai ns i z eof0. 0 45 mm unde rv ar i ouss t r ai n r at e s .

0 0 5 0

(

% ) g du o

lt

e 6u o l 山

5 0

S S S 5 4 3 ‑0 ■o o X X X 3 3 3 3 3 3 0 E] ▲

二 害二三 8‑ 号一 虫 ‑ 冒 二 二 : 二

500 550 600 650 700 750 800 Temper a t u r e ,丁/ K

Fi gur e7 Te mpe r at ur ede pe nde nc e oft he e l ongat i o n t o f r ac t ur ef orCu‑ 3 0 mas s %Znal l oyhavi ngani ni ‑ t i algr a i ns i z eof0. 1 1 8 mm unde rvar i ouss t r ai n r at e s .

第 1 4 巻 第 1 / 2号 ( 2 0 0 1 年 1 2 月)

(4)

3 8 武藤 侃 ・後藤正治 ・加藤千秋 ・田上逼弘 試料 において も 6 7 3 K 以下 の温度で はよ く観察 され る。

ところで,( 1 ) 式か ら ,1 n ( c T s/ E) と 1 /T の関係 を見 ると,n が一定 であれ ば これ は直線関係 とな って, その グラフのかたむ きと して Q/nR が求 まる。 したが って, このか たむ きの値 に その ときの n を導入 して, 見 か けの活性化 エネルギー Qを求 め ることがで きる。 しか し ,Fi gur e8‑Fi gur e llに示 す よ う に 〃値 は温度 とともに連続的 に変化 して,高温側で ほぼ一定 の 値 を とる傾 向 を示 した。 そ こで, これ らの l n (c T s /E) と 1 /T との関係 を Fi gur e1 2‑Fi gur e1 5 に示 す。 いずれの場合 も低温 側 を除 くとひずみ速度 にかかわ らず, ほぼ平行 な直線 で表す こ

とがで き,細粒材 にな るほど低温領域 まで直線関係が成立 して いる。 そのか たむ きはいずれの結 晶粒径 の場合 に も 3. 7×1 0 3 K と見 なす ことがで きた。 そ こで,直線関係が成 り立 っている高

5 6 7. 8 9 ‑ ︼ l l ︻ L . S J ? u 一 'a )e tJ u 一e Jt S

‑8. 0 ‑7. 5 ‑7. 0 ‑6. 5 ‑6. 0 ‑5. 5 ‑5. 0 Nor ma l i z edSt r es s,l n( qs/E)

Fi gur e8 Ln‑ 1 npl otoft hes t r ai nr at evst henor mal i z e d s t r e s s oft he Cu‑ 3 0 mas s %Zn al l oy s pe c i me ns hav i ngani ni t i algr ai ns i z eof0. 01 2 mm,t e s t e d atvar i oust e mpe r at ur e s .

6 7 8 9 ‑ ‑ l l L . S / 3 u l Ja le tl u !e LI S

‑8. 0 ‑7. 5 ‑7. 0 ‑6. 5 ‑6. 0 ‑5. 5 ‑5. 0 Nor mal i z edS t r es s, l n ( qs/E)

Fi gur eg Lnl l npl otoft , hes t r ai nr at ev st henor mal i z e d s t r e s s oft he Cu‑ 3 0 mas s %Zn al l oy s pe c i me ns havi ngani ni t i algr ai ns i z eo f0. 02 2 mm,t e s t e d atvar i oust e mpe r at ur e s .

温度領域 にお ける n の平均値 を用 い る ことによ って Q を算定 した。 このよ うに して得 られた結果 をまとめると,高温低 ひず み速度側 で は応力指数 はおよそ3. 9 か ら 4 . 4 で, 見か けの活性化 エネルギーは細粒材 でおよそ 1 2 0 kJ/mol ,粗粒材 で 1 3 5 kJ/mol と見積 もられた。

I V 考察

1 . ひずみ速度 と延性 につ いて

初期 ひずみ速度 3. 3 ×1 0 5S 1 か ら 3. 3 ×1 0 3S 1 までの条件で引 張試験 した結 果, 破 断伸 びの ひず み速度依存性 を表 した図が Fi gur e4‑Fi gur e7 で あ る。 これ らによ るとひず み速度 が同 じであれば結晶粒径 にかかわ らず ほぼ同 じ試験温度附近 に破断 伸 びの極大が現れ,同 じ結晶粒径で はひずみ速度が大 き くな る

6 7. 8 9 l ︼ ︼ l L IS \? u 一 ■a te tJ u lC JT S 0

‑8. 0 ‑7. 5 ‑7. 0 ‑6. 5 ‑6. 0 ‑5. 5 ‑5. 0 Nor ma l i z edS t r es s,l n ( qs/E)

Fi gur e1 0 Ln‑ 1 npl o toft hes t r a inr at ev st henor mal i z e d s t r e s soft heCu‑ 3 0 mas s %Zn al l oy s pe c i me ns hav i ngani ni t i algr ai ns i z eof0. 0 4 5 mm,t e s t e d atvar i oust e mpe r at ur e s .

6 7. 8 9 1 1 1 1 L IS / S u p La le ∝ u l e JI S 0

‑8. 0 ‑7. 5 ‑7. 0 ‑6. 5 ‑6. 0 ‑5. 5 ‑5. 0 Nor mal i z edSt r es s, l n ( q s /E)

Fi gur el l Lnl l npl o toft hes t r ai nr at evst henor mal i z e d

s t r e s so ft heCu‑ 3 0 mas s %Zn al l oy s pe c i me ns

havi ngani ni t i algr ai ns i z eof0. 1 1 8 mm,t e s t e d

atvar i oust e mpe r at ur e s .

(5)

Cu ‑ 3 0 ma s s %Z n 合金 の高温延性 に及 ぼす結晶粒径 とひずみ速度 の影響 3 9 に従 いその極大値を示す温度 は高 くなることがわか る。本実験

で得 られた,言わば中間温度高延性 とはまった く反対 の中間温 度脆性 の場合 については,井形 ら1 9 )は同 じ結晶粒径 につ いて ひずみ速度が大 き くなるに従 い延性の谷の位置 は高温側 に移行 す るとい う現象 を Cu‑ 0. 2 5 mas s %Zn 合金で示 し ,Ev an s2 0 ) ら は Cu‑ 3 0 mas s %Ni 合金で, また Koc h 2 1 )らは Cu‑ 3 0 mas s %Zn 合金 で同様 の結果 を確認 してい る。一方, 大森 ら 4 ) によると Cu‑ 3 0 mas s %Zn 合金で は延性 の谷 の温度 に対す るひずみ速度 依存性 はほとん ど認 め られないとも報告 している。 これに対 し て著者 らは前報 1 3 )において粗粒材 における中間温度脆性 は 6. 7

×1 04 S1 か ら 2 . 0 × 1 01 S1 の比較的高 ひずみ速度範囲で はわず かにひずみ速度依存性を示す傾向があることを報告 した。なお,

l I O ) u r L s sa J ) s p a N I Je ∈ LO N

6̲ 0 6. 5

7. 0 7. 5

0, 001 2 0. 001 4 0. 001 6 0. 001 8 Temper a t u r e ,T ‑7 /1 0 1 3 K‑1

0. 002

Fi gur e1 2 Re c i pr oc a l t e mpe r at ur ede pe nde nc eoft hel og‑

ar i t hm oft henor mal i z e ds t r e s sf ort heCu‑ 3 0 mas s %Zn al l oy s pe c i me ns hav i ng an i ni t i al gr ai n s i z eof0. 01 2 mm,t e s t e d unde rv ar i ous s t r ai nr at e s .

0 「⊃ 0 5 0 5 「⊃ 5 6 6 7. 7 T l ︻ ︻ l l ( 3' s L ,

)u一

L s sa Jt s p az e LU LO N

0. 001 2 0. 001 4 0. 001 6 0. 001 8 Temp er a t u r e ,丁 ‑り1 0 3 K1

0. 002

Fi gur e1 3 Re c i pr oc alt e mpe r at ur ede pe nde nc eoft hel og‑

ar i t hm oft henor mal i z e ds t r e s sf ort heCu‑ 3 0 mas s %Zn al l oy s pe c i me n hav i ng an i ni t i al gr ai n s i z eof0. 02 2 mm,t e s t e d unde rvar i o us s t r ai nr at e s ,

素材物性学雑誌

大森 ら 4 ) は同一 ひずみ速度の条件で, ほぼ同 じ結晶粒径で α 単 相の範囲で銅中の亜鉛添加量 の影響 について調べた結果,延性 の谷の温度変化が 1mas s %Zn 合金 の場合をのぞいて亜鉛濃度 が増すほど高温側 に移行することも報告 している。 このように, 中間温度脆性の挙動 について もい くつかの異なった現象がある 。

ところで,本実験の結果のように結晶粒径の違いによって中 間温度高延性 を示 し,かっその ピーク温度位置が高温側 にシフ トす るとい う報告 は著者 ら1 3 )の報告 よ り他 にない。 しか もそ れが比較 的高 ひずみ速度側 についての報告 1 3 )であ ったが,本 実験 の結果,3. 3×1 0 5 S1 までの低 ひずみ速度側 までの広範囲 にわた って生ず ることが確認 された 。Fi gur e lか ら Fi gur e3 に示 したよ うに,応力‑ ひずみ曲線 は粗粒材 よ り細粒材 ほど,

「3 0 5 0 5 「3 6 6 7一 7 . ︻ l 一 l l

( 3 ' S o ) u L JS Sa J tS P a Z e ∈ LO N

0. 001 2 0̲ 001 4 0. 001 6 0̲ 0018 Temper a t u r e ,T I7 /1 0‑ 3 K‑ l

0. 002

Fi gur e1 4 Re c i pr oc alt e mpe r a t ur ede pe nde nc eoft hel og‑

ar i t hm o ft henor mal i z e ds t r e s sf ort heCu‑ 3 0 mas s %Zn al l oy s pe c i me n hav i ng an i ni t i al gr ai n s i z eof0. 0 4 5 mm,t e s t e d unde rvar i ous s t r ai nr at e s .

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t S P a Z e uJ LO N 5 0 5 6

0. 001 2 0. 001 4 0. 001 6 0. 001 8 0. 002 Temp er a t u r e ,T ‑7 /1 01 3 K ‑ 1

Fi gur e1 5 Re c i pr oc alt e mpe r at ur ede pe nde nc eoft hel og‑

ar i t hm oft henor mal i z e ds t r e s sf ort heCu‑ 3 0 mas s%Zn al l oy s pe c i me n havi ng a n i ni t i al gr ai n s i z eof0. 1 1 8 mm,t e s t e d unde rv ar i ous s t r ai nr at e s .

第 1 4 巻 第 1 / 2号 ( 2 0 0 1 年 1 2 月)

(6)

4 0 武藤 侃 ・後藤正治 ・加藤千秋 ・田上道弘 動的再結晶型 の曲線 を示 し,低 ひずみ速度側や高温側で は多重

ピーク型挙動 を示 している。 そ して,顕著 な単一 ピーク型 の挙 動 を示 している条件 の ものほど延性 に優れていた。

結晶粒径が異 な る材料 において同一変形条件 で動的再結晶が 起 こるときには,ある粒径 を境 に して細粒材 は多重 ピーク型で, 粗粒材 で は単一 ピーク型 にな ると言 われて いる2 3 ) 。 この とき多 重 ピーク型 の場合 は変形が進 むにつれて結晶粒が粗大化 し,翠 一 ピーク型 の場合 は細粒化す ることも知 られている2 3 ) 。 また同 一 の結晶粒径で は Ze ne r ‑ Hol l omon 園子 Z の値が小 さいほど, すなわち同 じ温度であればひずみ速度が小 さいほど, また同 じ ひずみ速度であれば温度が高 いほど多重 ピーク型 の方 向に移 る ことも知 られて いる。 そ して,結果 と して結晶粒 の大 きさは同 じ Z 値 の場合 で はその変形条件 で定 まる定常変形 時 に示 され て い る動 的再結 晶粒径 とな る と報告 されて い る1 5 )2 3 )2 ㌔ 本実 験 の Fi gur e lか ら明 らかなよ うに初期結晶粒径 0. 02 2 mm の試 料 の場合,高 ひずみ速度で はわずか に単一 ピーク型的であるの に対 し,低 ひずみ速度で は多重 ピーク型 の曲線 を示す傾 向を示 して いる。また,低 ひずみ速度 ほど破断伸 びは小 さい。ところ で 同 じ結 晶粒 径 の場 合 につ いて の破 断伸 び と温度 の関係 は Fi gur e3‑Fi gur e7 に示 した通 りで あ る。 それ らによ ると結 晶粒径 0. 0 1 2,0. 0 2 2 mm で は 7 7 3 K にお いて ひずみ速度 の小 さ い場合 ほど温度上昇 に伴 う伸 びの減少量が大 き くな っている。

すなわち, この温度 で はひずみ速度が大 き く単一 ピーク型 に近 づ く場合 は,変形中 に結晶粒径が小 さ くな ることによ り粒界で の変形が しやす くな り高延性 を示 し,一方 ひずみ速度が小 さ く 結晶粒が変形中に粗大化す る多重 ピーク型 となる場合 は, その 粗大化 のため変形が阻害 され るよ うにな って,延性が小 さ くな るもの と推察 され る。 このよ うに,本合金 の中間温度 における 高延性 は動的再結晶 と密接 な関係があることがわか った。

動的再結晶 はある高温度以上 でなければ生 じない ことを考慮 すれば,延性 は動的再結晶粒 の大 きさに直接関係 しているもの と考え られ る。 このよ うに考 え ると破断伸 びが温度 に対 して極 大 を示 し, それが ひずみ速度 の増加 とともに高温側 に シフ トす ることが うま く説明で きる。 同様 に考 え ると,結晶粒が大 きす ぎて動 的再結 晶が生 じに くい場合 ( 0. 1 1 8 mm 材) を除外 すれ ば,初期結晶粒径が違 っていて も同一 ひずみ速度 でかっ同一温 度 の場合 のよ うに同 じ Z 値 で は,変形 中 に到達 す る最終 の動 的再結晶粒 自体 の大 きさは同 じである2 6 ) 。変形前 の初期結晶粒 の大 きさの違 いによ って動的再結晶が生 じる割合 に違 いが出来 る結果,試験片 内で未再結晶粒部 の存在割合 の大 きい粗粒材 に な る ほ ど伸 び が小 さ くな って くる もの と思 わ れ る。 ま た, 0. 01 2 mm 材 のよ うに, ひずみ速度 が増す と, 同 じ Z 値 に相 当 す る温度 と しての極大温度位置が高温側 に移 ってい った もの と 考えれば,温度 に対す る極大 の ピークの移動 が うま く説明で き

る。

2 . 応力指数 と見か けの活性化 エネルギー

応力指数 〝は Fi gur e8‑Fi gur e llに示 したよ うに,温度 と 結晶粒径 の組み合わせによって異な った値を示 した。すなわち, 温度が高 いほど, また結晶粒径が小 さいほどその値 は小 さ くな

る傾向を示 した。 ただ し, これ らの値 を算 出す るとき本実験で は真応力一 兵 ひずみ曲線上 の最大応力 を,以下 に示 した ことに よ り定常状態 にお ける応力 と見 な して使用 した。定常状態 その ものの状態 を厳密 に定義す ることは難 しい ことであ るが,最大

応力 を用 いることについて は,塑性不安定性 の観点 よ り検討 さ れている2 7 ) 。一方,高温 にお ける変形で は動 的復 旧過程 を伴 う 構造変化 が存在 す る1 5 )1 6 )こと も知 られて い る。 本実験 で は, 硬化 と復 旧の平衡 の結果 と して現れた最大応力 を定常変形状態 と して考 えて処理す ることに した。 そのため,特 に低温側での 変形 で は明瞭な定常的な変形状態を表 わす最大応力 を示 してい ない もの と して,以下で はこのよ うな場合 について は除 いて考 察す ることに した。

本実験 にお いて,高温側 の 7 7 3 K につ いて み ると,細粒材 の 0. 01 2 mm で応力指数 n は 3. 9,0. 0 2 2 mm で 4. 0 ,結 晶粒 が大 き くな って 0. 0 4 5 mm で 4 . 4 , もっとも粗粒 の 0. 11 8 mm で 4 . 4 となっ ている。 したが って,応力指数 の値 のみか ら考え ると, いずれ の場合 も 3‑ 5 の場合 の高温累乗別 の転位 ク リープ機構 によっ て いるもの と思 われ る。 なお,細粒材 の 0. 01 2 mm では 7 7 3 K か ら 6 2 3 K の範囲で この累乗則 ク リープ状態 を示 し ,0. 0 2 2 mm で は 7 7 3 K か ら 6 7 3 K まで とな りその温度範 囲 は少 し狭 め られて い る。 さ らに粒径が大 き くな って 0. 0 4 5,0. 1 1 8 mm 材 で はそれ ぞれ 7 7 3 K と 7 2 3 K まで とよ り狭 い温度範 囲 で, 高温累乗別 の 転位 ク リープ機構が起 こっているもの と考え られ る。一方,低 温累乗則 ク リープの生 ず る温度 は結 晶粒径 が 0. 01 2 mm の とき には 5 7 3 K,0. 0 2 2 mm の ときには 6 2 3 K と 5 7 3K であ り,粒径が 大 き くな って 0. 0 4 5 mm,0. 1 1 8 mm で は 67 3 K と 62 3 K とにな っ ている。すなわち結晶粒が大 きいときには低温累乗則 ク リープ が起 きやす く,結晶粒が小 さい ときには高温累乗則 ク リープに な りやす い傾向を示 している。言 い換えれば同 じ変形条件 で も 結晶粒が大 きい と低温型 の傾向を示 し,結晶粒が小 さい ときに は高温型 の傾 向を示 しているもの とも言え る。

次 に見 か けの活性化 エネルギー Q につ いて検討 してみ る。

前節で述べたよ うに高温側でかっ低 ひずみ速度側で は見か けの 活性化 エネルギーは細粒材 でおよそ 1 2 0 kJ/mo l ,粗粒材 で 1 3 5 kJ/mol と見積 も られ た。 これ らの値 は, Q/nR ‑3. 7×1 0 3 K の実験結果 に基づ き, その ときの 刀の値 を代入 して算 出 した も のであ る。 すなわち,本実験 の場合 は Q の値が n の値 に連動

I . Lu . 「 ぷ \ D L J( 6 Ja u j u O l) e ^ 一) U V nu a J e d d v ∞ 80 60 40 20 フL

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Cu‑ 3 0 mas s %Znal l oys pe c i me n.

(7)

Cu‑ 3 0 ma s s %Zn 合金 の高温延性 に及 ぼす結晶粒径 とひずみ速度 の影響

して変化 した結果で あ る。 この様子 を示 したのが Fi gur e1 6 で あ り,点線部 は以下 の ことを考慮 して仮想曲線 とした。すなわ ち,本合金 は固溶体硬化が比較的小 さな合金であることか ら,

" ≒5 2 8 )とな るもの と考 え られ る。 また,単結晶 のよ うに結晶

粒が大 き くなると,Qの値 は自己拡散 の活性化 エえルギーの値 となるもの と考 えた結果である。本実験 の範囲で は実線 のよ う に ,Q と n は結晶粒径 d の減少 とともに連続的 に減少す ること を示 している。

延性 の ピークが ひずみ速度 と変形温度 に関係 が あ るとす る と, そ こで は拡散 に関係 した特有 の変形挙動 を示 してい るもの と考 え られ る。 そ こで,以下 のよ うな活性化 エネルギーを求 め てみた。Ze ne r‑ Hol l omon因子 Zは( 1 ) 式 を もとに して次式で表 され る。

Z‑EeXP( Q/RT) ( 2)

Fi gur e4‑Fi gure7 を もとに,ひずみ速度 が3. 3 × 1 05 S1 ,3. 3

×1 0 4 S1 ,3. 3×1 0‑ 3 S1 の ときの延性 ピーク温度 をそれぞれ620 , 67 0,720K と読 み取 り,ピーク温度 を示 して いるときの変形状 態 に対す る見か けの活性化 エネルギーの値 を以下 のよ うに して 求 めたo ピー ク温度 での破 断 は同一 Z値 の もとで生ず る もの と仮定 して ,( 2) 式か ら上 で求 めた ピーク発生 の温度 とひずみ速 度の変形条件で, それぞれ 自己拡散 の活性化 エネルギーを考慮 して90 か ら 2 1 0までの値 の範囲内で,各条件での Zが もっとも 同 じ値 となる活性化 エネルギー Qの値 を求 めたO その結果,Q の値 は170±2kJ/mol と見積 もられた。 この値 は Chongmo2 9 ) らによる Cu‑ 30mas s%Zn合金 にお ける粒界拡散 によ って生 ず る粒界移動 の活性化 エネルギー170kJ/mol と同 じ値 とな った。

一方,前節で最大応力か ら得 られた見か けの活性化 エネルギー は1 20‑1 35kJ / mo l と見積 もられた。Cu中の Cuまたは Znの 拡 散 の活 性 化 エ ネ ル ギ ー はそ れ ぞ れ 1 97 kJ/mo 1 3 0 ) ,1 91 kJ/

mo 1 3 0 ) と報告 されている。そ うす ると,活性化 エネルギー17 0kJ / mo l の値か らは,変形機構 は粒界すべ りな どの結晶粒界 の変 形 に関係 していることが想像 され るが, この ことは 刀の値か ら 求 め られた活性化 エネルギーの大 きさとは異 な る結果 とな って

しま う。

この ことは次 のよ うに考 え ると合理的 に説明で きる。すなわ ち,試験片 の見か けのひずみ速度 E は結晶粒 内部分 の変形 によ るひず み速度 EG と結 晶粒界部分 の変形 によ るひず み速度 eG B によるものに分 け られ, その和 と して求 め られ る 3 1 ) 。

eG‑E . o G( U/E) n Ge xp(‑QG /RT) ( 7 ) 三G B :eO G B ( c T /E) n G B exp( QG B /RT) ( 8)

e‑eG+ EG B ( 9)

ここで n G ,QGおよび n G B ,Q G B はそれぞれ結晶粒 内および結晶 粒界での変形 に対す る応力指数 と活性化 エネルギーである。 し たが って,粒 内変形 と粒界変形が同時 に生 じている場合 には, 実験 か ら求 まる応力指数 n と活性化 エネルギ ーQ は見 か けの 値で あ って, それぞれ nG B<n<nG ,QG B< Q<QG の値 を とる も の と期待 され る。

本合金 の変形 の律速過程 には結晶粒径 によ らない変形条件 に よる要素 と,結晶粒径 の変化 によるために起 きる要素 とが同時 に働 くことの結果 と して,結晶粒 内にお ける転位すべ り機構 と 粒界部 にお ける粒界変形機構が同時 に寄与 しているもの と考 え れ る。 そのため,nが 3か ら 5 ,Q が120 か ら1 35kJ/mol とそ の時の変形過程 に合 わせて見か けの上 で変化 しているもの と恩

素材物性学雑誌

41

われ る。 なお,延性 の ピーク温度近傍か ら粒界移動 が活発 とな り,結晶粒 の成島が起 きやす く, その温度以上 では延性低下 を 示す よ うになるもの と考え られ る。

3. 変形機構領域図 との関連

変形機構領域図 は,各変形条件 にお ける変形機構 を同定す る うえで重要 で あ る。 そ こで Fros tらによ って提案 され た変形 機構領域図 3 2 ) を もとに,本実験 の もとで得 られた結果 をプロッ トして Fi gur e1 7 に示 した。なお ここで,縦軸 の規格化応力 U/

Gの値 は K6s t er1 8 ) によるヤ ング率 Eの測定結果 を もとに算 出 した もので あ る。 なお, 図右上 に特 にひずみ速度が3. 3 ×1 0 5

S1(自ぬ き記号) と 3. 3 ×1 03 S1( 黒 ぬ り記号) の場合 につ い てのみ拡大 して挿入図 と して示 した。

この図 によれば,本実験 で行 った領域 は低温 ・高応力 の一部 が転位すべ り領域 に属 している ものの, ほとん ど大部分がが累 乗則 ク リープ域 に属 して い る 。0. 5 Tm 近傍 ( Tm は母相金属 の 融点 の絶対温度) の温度 で は, 結 晶粒径 の違 い とひず み速度 ( 変形応力) の違 いによ って低温 累乗則 ク リープ式 と高温累乗 則 ク リープ式 に分かれ る様子 を示 している。

もし本実験 で用 いた Cu‑ 30mas s%Zn合金 の高温変形 が, こ の変形機構領域図 に準拠 してい るとす るな らば,低温累乗則 ク リープ領域 で は応力指数 が 5‑ 7 で,変形 のための活性化 エネ ルギーは転位芯拡散 と関係があ り,一方高温累乗則 ク リープ領 域 で は応力指数が 3‑ 5 ,変形 のための活性化 エネルギーは格 子拡散 と関係 してい ることが予想 され る 3 2 ) 。実際 に本実験で得 られた 〝値 は低温変形の場合 はど大 きくな り,低温累乗則 ク リー プ傾 向を示 し, また700K 以上 の高温変形 の場合 は 4‑ 5 の値 とな り高温累乗則 ク リープの傾 向を示 している。動的再結晶領 域 は転位芯拡散 と体拡散 によ って支配 され る 2 つの転位 ク リー プ領域 にまたが っていることが知 られてい る3 ㌔ また一般 に, 動 的再結晶型 の変形で は延性が大 きくな っている。本実験で得 られた延性 の大 なるところは, その領域 と一致 している。 した が って,変形機構領域図での本実験条件 における延性機構解明 の結果 は妥 当な ものであることが裏付 け られ る。

2 3 4 5 一 ︼ 一 一

〇 9 / a I s s a JI S P a Z ニ e ∈ JO N

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第 1 4 巻 第 y 2号 ( 2 0 0 1 年 1 2 月)

(8)

4 2 武藤 侃 ・後藤正治 ・加藤千秋 ・田上道弘

V. 結論

結晶粒径の異 なる Cu‑ 3 0 ma s s %Zn 合金 を用 いて,中高温度 域 の 5 2 3 ‑7 7 3 K の各温度 で,初期 ひずみ速度が 3. 3×1 0 5 ‑3 . 3

×1 0 3S ‑ 1 の広 い試験条件で引張試験 を行 った。応力‑ ひずみ曲 線を求めて,解析 した結果以下の ことがわか った。

( 1 ) 粗粒材では中間温度脆性を示すが,細粒材では中間温度高 延性 を示 し,かつその破断伸 びは温度 に対 して極大値を示す。

( 2 ) 破断伸 びが極大を示す温度 (ピーク温度) は結晶粒径 には 依存 しないが,ひずみ速度が大 きいほど高温側 に移動す る。

( 3) 結晶粒径が小 さ くなるに従 い,応力‑ ひずみ曲線 の形状 は 動的再結晶型を示すようにな り,温度の上昇やひずみ速度 の低 下 とともに単一 ピーク型か ら多重 ピーク型へ と変化す る。

( 4) 高温 における変形では,結晶粒径が大 きいほど低温型の累 乗則 ク リープ挙動 を示 し,結晶粒径が小 さくなるに従 い高温型 の累乗則 ク リープ挙動を示 しやす くなる。

( 5) 高温 ・低 ひずみ速度の変形条件では初期結晶粒径の違 いに より,応力指数 n は 3 か ら 5 ,見かけの活性化 エネルギ ーQ は 1 2 0 か ら 1 3 5 kJ/ mo 1‑ と変化す る。 この ことは結晶粒内におけ る転位すべ り機構 と粒界部 における粒界すべ り機構の寄与 の程 度 によるものと考え られ る。

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参照

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