自閉症の感覚過敏に着 目した授業改善の取 り組みI
〜秋田大学附属養護学校小学部の実践から〜
小松 和紀 ・北 島 英樹 * 秋田大学教育文化学部附属養護学校
武 田 篤 ・今野 和夫 **
秋田大学教育文化学部障害児教育講座
自閉症児者の障害特性 として,感覚過敏の問題が最近注 目されてきている.多 くの高機 能 自閉症者 によって,いかに感覚過敏が辛 いものであるかが語 られると同時に, 自閉症児 者の原因不明のパニ ックにもこの問題が関与 している可能性が指摘 されている.
本研究では, この感覚過敏 に着 目し, 自閉症の子 どもが苦痛や不安を抱かずに参加で き る授業づ くりに取 り組んだ実践を報告 した.感覚過敏 に配慮す るために, 自閉症の子 ども たちを他の知的障害の子 どもたちと別のグループに して指導を行 うことに対 して,多 くの 教師は当初強い抵抗感を抱 いた. しか し,それまで授業への集中が難 しく,パニ ックを起 こしていた子 どもたちが,集中 して課題 に取 り組めるようにな り,教師の意識 は大 きく変 わ った.今, 自閉症教育 に求め られているのは, 自閉症の障害特性の理解 と教師の意識改 革である.
キーワー ド:自閉症,感覚過敏,養護学校,教育実践
Ⅰ は じめに
知的障害養護学校である本校小学部 における最近 の大 きな問題の一つ として,集団学習の際の離席や パニ ックなどにより,集団での学習を進めることが 以前 に比べて難 しくなってきていることがあげ られ る.一人の子 どもにパ ニ ックが生 じると,それが 2 人, 3 人 と次々と連鎖的に派生 した り,パニ ックを 起 こしている児童に周 りの児童が気をとられて しまっ たりと,授業そのものの成立が危ぶまれる状況 も度々 経験す るようになった.
2 0 0 5 年 1 月 2 4 日受理
IDe v e l o pme ntofaCo ur s ef orAut i s t i cSt ude nt swi t h Pa r t i c ul a r At t e nt i o n t o The i r Hype r s e ns i t i v i t y Te nde nc i e s
‑ACas ef o rSt ude nt so fAki t aUni v e r s i t yPr i ma r y Sc ho o lf o rt heHa ndi c a ppe d
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* .At s u shiTAKE DA a nd Ka z uo KoNNO,Fa c ul t y o f Educ a t i o n a ndHuma n St udi e s ,Aki t aUni v e r s i t y , Aki t a
これ らの原因の一つ として, 自閉症 スペク トラム 障害注1 )( 以下, 自閉症) を有す る児童が増 えて き たことがあげ られるか もしれない.本校小学部では 今年度, 自閉症の児童が 1 6 名中 6 名 と,実に 4 割近 くを占めるに至 っている. しか し本校 において, こ れまで知的障害を併せ もつ これ らの自閉症の児童 に 対 しては知的障害中心の教育課程 による教育が行わ れてお り, 自閉症の障害特性 に着 目した支援を積極 的に行 ってきたとは言 いがたい.
一方,我が国における自閉症の教育 も,今大 きな 転換期を迎えている.たとえば,文部科学省の 2 1 世 紀の特殊教育の在 り方 に関す る調査研究協力者会議
( 2 0 0 1 )が提出 した最終報告書 「 一人一人 のニーズ に応 じた特別な支援の在 り方 について」では, 自閉 症の教育 に関 して 「 知的障害養護学校等で これまで 培われた実践により,卒業後の望 ま しい社会参加 を 実現 している例 も多いが,知的障害教育の内容や方 法だけでは適切な指導がなされない場合 もあった」
と指摘 している. さらに,特別支援教育の在 り方 に
関す る調査研究協力者会議 ( 2 0 0 3 ) による 「 今後の
特別支援教育 について ( 最終報告) 」で も,「自閉症 の児童生徒 に対す る教育 ・指導の開発が重要 な課題 とな ってお り, ( 中略) 自閉症 の児童生徒 の教育的 対応 については,知的障害 との違 いを考慮 しつつ, 障害の特性 に応 じた対応 について今後 とも研究が必 要である」 と提言 している. これ らの指摘 は, これ までの知的障害養護学校 における自閉症 の児童生徒 に対す る教育や指導が十分ではなか った ことに対す る反省か ら生 まれた ものであ り,知的障害 との障害 特性 の違 いを十分考慮 した教育を確立 してい くこと が急務であることを提起 している. このような中で, 自閉症教育の これまでの様 々な教育内容や方法 を検 証 し,今後 の新 たな方向性 を探 る図書が,全国知的 障害養護学校校長会 ( 20 03 ) や国立特殊教育総合研 究所 ( 2 00 4)か ら最近相次 いで刊行 されている.
では, 自閉症 の障害特性 とはいったい何であろ う か. 自閉症の障害特性 の中で,最近特 に注 目を集 め て きていることの一つに 「 感覚過敏」の問題がある.
自閉症 の感覚刺激 に対す る異常 な反応 に関 しては, カナ‑ ( 1 943)が 自閉症 について初 めて報告 した論 文やその翌年 にアスベルガー ( 1 9 44)が発表 した論 文 の症例 の中に も見 られ,当初か ら自閉症 の特徴 の 一 つ と して注 目されて いた. この原 因 に関 して は 1 97 0 年前後 にか け ,Or ni t z と Ri t vo ( 1 9 68) による 前庭機能不全 による 「 知覚 の非恒常説」 や Lovaas
ら ( 1 971 ) による 「 注意の過剰選択説」が唱え られ たが,未だその詳細 は不明である.その後, 自閉症 の国際的 な診断基準 である DSM‑ Ⅳ ( APA ,1 9 94) や I CD‑ 1 0 ( WHO ,1 992 ) が, 自閉症の多様 な障害 像 の中か ら,社会性 の障害, コ ミュニケー ションの 障害, そ して常同反復 の 3 主徴 を重視す ることによ り, この感覚過敏 の問題 は研究者 の間で次第 に注 目 されな くなっていった.
しか し最近, 高機能 自閉症 の人 たちの 自己説 明 ( s e l f ‑ ac c ount ) , す なわち自 らの内面 を語 った著作 が数多 く発表 され るよ うにな ってか ら (ウィリアム ズ,1 993; グランデ ィン ,1 99 4; ローソン ,2 001;
ガー ラン ド ,2 000) , 自閉症者 にとっていか に感覚 過敏の問題が大 きいかが,再び注 目されるようになっ て きた (ウイ ング,1 99 8 ). この先鞭 をっ けたのが 高機能 自閉症者 である, テ ンプル ・グランデ ィンと ドナ ・ウィリアムズの二人である. たとえば, テ ン プル ・グランデ ィン ( 1 9 9 4) は, 「 我, 自閉症 に生 まれて」 の中で,「 大 きな物音が聴覚 に苦痛 を与え,
純毛の衣類 はむ き出 しの神経突起部分 を こす るサ ン ド・ペーパ ーのよ うで した. 」 とか 「 体 が肌 のふれ 合 いを求 めていなが ら,触れ られ ると,痛み と混乱 を感 じて体を引いて しまう.私 は二十歳の半ばでやっ と,握手 を した り目を直視 で きるよ うにな った. 」
と述 べ て い る. 同 様 に, ドナ ・ウ ィ リア ム ズ ( 1 993) も 「自閉症だ ったわた しへ」 の中で,「ある 惑覚 は,非常 に鋭 く尖 って,痛 いよ うな感 じを起 こ させ るのだ.わた しの場合 は, 甲高 い声や音, まぶ しい光,人 に触れ られ ることなどがそれで,耐え ら れない. 十 と述べている.
また, 最近 で は我 が国 の高機能 自閉症者 によ る
「自己説 明」 も多数発表 され るよ うにな って きたが ( 森 口,1 9 96;2 002 ;泉,2 003; 藤家,2 00 4) ,森 口 ( 200 4) は, 自身 の感覚過敏 に関 して 「 私 の場合, 聴覚 と臭覚が尋常で はない.私 は他 の人 には聴 こえ ない音 も常 に聴 いている し,人 にはわか らない臭 い の洪水の中で過 ごし,毎 日を音 のノイズの海 の中に 晒 されなが ら日々,暮 らしている. ( 中略) そんな 私であるか ら,耳栓が手放せない.臭覚 について も, 密閉 した部屋か ら一歩 ベ ランダに出ると, よその部 屋か ら臭 って くるペ ッ トの臭 い,汚物の臭 い,布団 の臭 いなどで呼吸 もで きないほどだ った. 」 と述べ ている. また学校 に関 して は,「で きるだ け視覚的 に も聴覚的に も,入 って くるノイズは少ないほうが いい.視覚的刺激 の場合,大人数だ とそれだけ,動 き回 る人数が増え,視覚的な刺激 も増 え, 自閉症 の 本人 の混乱 も増えて しまう. このよ うに学校 とい う 場所 は不快刺激で満 ちている.それでパ ニ ックを起
こせば,問題行動 と見 られて しまう.だか ら,パニ ッ クを減 らしたければ,その前 に,刺激 の少 ない環境 が必要 なので はないか と思 う.有 り体 に言えば ̀ ̀ 静 かで落 ち着 いた場所"が必要だ とい うことである. 」
と述べている.
ところで, このよ うな 「自己説明」 に表れた感覚 過敏 は, 自閉症 の人 たちで も, ある特定の人 のたち だけに起 こるものなのだろうか.三島 ら ( 2 002 ) は, 2 8 名 の高機能 自閉症者 による 「自己説明」 の検討 を 行 ったところ,感覚過敏等の障害が 自閉症 の診断基 準である 3 主徴 ( 社会性の障害, コ ミュニケー ショ
ンの障害,常同反復) に劣 らず多 く認 め られ ること
を見出 し, 自閉症 にとっての感覚過敏が単 に特定 の
人 たちだけの ものでないことを明 らかに した. さ ら
に,川崎 ら ( 2 003 ) は,高機能 自閉症 だけでな く,
知的障害 を伴 う自閉症 も含 めた 2 5 1 名 を対象 と して 検討 した結果,知能の程度 にかかわ らず, 自閉症 の 大多数 の者が聴覚過敏や触覚過敏等 の問題を有 して いることを明 らかに した と同時 に, 自閉症 に生 じる 原因不明のパニ ックなどの行動障害の原因の一つ と して, これ らの感覚過敏が関与 している可能性 を指 摘 している. このよ うに感覚過敏 は,現在用 い られ ている自閉症の診断基準 よりも,本人が現実的 に抱 く困難性 の本質 に近 く, 自閉症 の核心部分 との関連 がより深 い との見方 もなされ るよ うになって きてい
る ( 東候 ,2 0 0 2 ) .
私 たちは, この自閉症 の感覚過敏 という問題 を, これまでの自閉症 の教育や支援の在 り方 について反 省 と再考 を促す もの と捉えた.そ して, 'この感覚過 敏 に着 目かつ考慮 して, 自閉症児本人が苦痛や不安 を抱かず に参加で きる授業づ くりに取 り組んだ.本 稿では, その実践の経過 について報告す る.
Ⅱ 授業実践 1 . 本研究の契機
今回の授業実践 は,大学 の障害児教育講座 との共 同研究 の一環 として行われた ものである.特 に, 自 閉症の支援 の在 り方 に着 冒したきっか けは,年度当 初 に授業参観を行 った大学 の共同研究者か ら以下 の よ うな指摘 を受 けた ことにある.すなわち,① 自閉 症 と知的障害の子 どもが一緒 の授業 は,教師にとっ て も子 どもにとって も大変 そ うだ,② もっと自閉症 の子 どもの障害特性 を考慮すべ きではないか,③ な によりも,学習者 ・生活者 としての子 どもが楽 しく, 充実 した学校生活 を送 るには, もっと教師が子 ども の側 に立 った授業を組み立て ることが大切で はない か,④ そのためには自閉症の子 どもたちをグルー ピ
ングす ることも検討すべ きではないか, とい うもの だ った.
小学部で は, これまでにも小学部合同での集団活 動 を行 うにあた り,一人一人 の実態や興味 ・関心 に
もとづいて児童 をい くつかのグループに分 け授業 を 行 って きたが, 自閉症の児童 だけを一つのグループ に編成 して指導 にあた って きた ことはなか った.先 に述べたよ うに, ここ数年 自閉症 の児童の割合が増 加す るにつれ,集団での授業が成立 しに くくな って きていることを漠然 とは感 じて きていた ものの,だ か らとい って, 自閉症 の児童 を一つのグループに編 成 して授業を行 うことに関 しては,小学部の教師の
中に大 きな戸惑 いや疑問があ ったの も事実である.
共同研究 は平成 1 6 年度当初の 4 月にスター トしたが, 自閉症 の児童 をグルー ピング した実践を開始 したの は 1 0 月か らであ り,開始 までに実 に半年以上 の期間 を要 した. この半年間,教師は障害特性 に応 じた授 業づ くりを行 うための話 し合 いや学習会 を幾度 とな く繰 り返 し,検討 を重ねた. この中で, 自閉症 の特 性 に配慮 した授業づ くりの必要性 については教師間 で理解 し合えたが,最後 まで私 たちを迷わせたのは, 自閉症 の児童を知的障害の児童か ら 「 分 ける」 とい うことに関 してであった.たとえば 「 保護者 は,別々 のグループで分かれて授業を受 けることを望んで入 学 させたのだろうか」 , 「これまで積 み重ねて きた集 団の良 さはどうなるのだろうか」,「そ もそ も別々の グループに分 けることは差別で はないか」, さ らに
「 TEACCH
柱2)は,学校 だ けで な く地域 ぐるみの取 り組みだか らこそ効果があるが,小学部だけで取 り 立てて指導 して も意味があるのか」 など,数多 くの 意見が出された. グループに分 けることは, これま で私 たちが長 く取 り組んで きた, た くさんの児童が かかわ り合 い,その中で育 ち合 うことを大切 に した
「 集団での授業」 との隔た りが大 き く感 じられ,実 際の可能性 を探 る以前 に,心情的にその隔た りを埋 めることが難 しか った.
このよ うな中で,高機能 自閉症者 の内面世界 を描 いた一本 の ビデオ 「よ うこそ私 の世界へ "自閉症"
ドナ ・ウィ リアムズ」注
3)を小学部職員全員で視聴 し た. これが職員の意識 を変革 させ る大 きなきっか け とな った.たとえば, ドナがスーパ ーマーケ ッ トで 買 い物 をす る場面で は,音や光刺激か ら身を守 るた めに,店 に入 る前 には必ず‑ ッ ドホ ンとサ ングラス をっ けていた. それで も彼女 によれば,店内ではあ らゆる方向か ら靴音や冷蔵庫 の音 などの聴覚刺激, 頭上 の蛍光灯の光や雑誌 などの様 々な色彩 といった 視覚刺激, さらに様 々な臭 いなどが洪水のように押 し寄せ,頭の中は処理 しきれない情報で一杯 にな り, 一刻 もはや く外 に逃 げ出 した くなるとい う.私 たち
にとっては何で もない刺激が,感覚過敏 を持っ 自閉
症 の人 にとっては, いかに苦痛や混乱 を引 き起 こす
かを目の当た りに して, これまで文面で しか知 るこ
とので きなか った感覚過敏の辛 さを実感 したと同時
に, この感覚過敏 に対す る配慮 の必要性を強 く感 じ
た. ここに至 り,小学部の教師全員で 自閉症 の児童
の側 に立 った授業を組み立てよ うと合意す ることが
表 1 授業単元の概要
単元名 単元のねらい 児童に対するねがい 時数 ・形態
ハ ッスルタイム ・お互いのことを紹介 しあったり、
いろいろな活動を一緒に行 った バクさんに自己 りすることで、バクさんと仲良 紹介をしよう しになることができる。
・自分の好きなことや得意なこと を、いろいろな手段で相手に伝 えることができる。
・基礎的要求や理解が 合同 2 時間 できる。 グループ3 時間
・サインを用いて意思 合同 ・グループ 表示ができる。 1時間
・可能なコミュニケー
ション手段を利用 し 計 6 時間 て質問に答えること
ができる。
ハ ッスルタイム みんなでたのし いクリスマス
クリスマス会当日までの流れや クリスマス会当日の内容が分か り、期待感をもちなが ら各活動 に取 り組むことができる。
自分の役割が分かり、自信をもっ て発表をしたり、友達の様子を 見たりしなが ら発表練習や当日 の活動に取り組むことができる。
制作活動では、自分の取組む活 動が分かり、担当部分の制作活 動に進んで取 り組むことができ
る。
自分のやることが分 合同 2 時間 かり、目の前の活動 グループ 1 1 時間 に落ち着いて参加す 合同 ・グループ ることができる。 3 時間
計 1 6 時間
で き, 自閉症 の児童を申 し、 に したグループ編成 を行 っ た授業 を開始 す ることとな った.以下 にその授業実 践 につ いて報告 す る.
2 . 授業 の実践
1 ) 自閉症 グル ープの対象児
本校小学部 1 ‑6 年 まで の全児童 1 6 名 の内, 自閉 症 の児童 6 名 ( 1 年生 1 名 ,3 年生 2 名 ,4‑6 年生 各 1 名) を概 ね同 じ集 団 とな るよ うに編成 した. こ れ らの いず れ の児 童 も, 個 別 の指 導 計 画書 で は,
「人 とかかわ る力 ( 基礎 的 な コ ミュニケー シ ョン手 段 の獲得 や確立) の向上」 や 「 落 ち着 いて集 団活動 に参加 で きる」 ことな どが共通 の課題 と して取 り上 げ られて いた.言 い換 えれば,基本的 な対人 関係 の 障害 や コ ミュニケー シ ョンの障害 を抱 え,集団での 活動 には種 々の困難 を抱 えて いた. また ,6 名 の児 童 のいずれ も,以下 のよ うな感覚 の問題 を有 して い た.
A 君 :味覚 の過敏 ( 偏食)
B 君 :聴覚 ・触覚 ・味覚 の過敏 C 君 :触覚 の感覚鈍麻 ( 鈍感) D 君 :聴覚 の過敏
E 君 :聴覚 の過敏
F 君 :触覚 の過敏
2) 授業単元 と取 り組 みの概要
自閉症 の児童 を グル ー ピング して行 った,二 つの 生活単元学習 の概要 を表 1 に示 した.
単元 :「ハ ッスル タイ ム 」 〜バ クさん に 自己紹介 しよ う. ‑
この単元 で は,韓 国か らの留学生 で, ボ ラ ンテ ィ ア と して週 3 回来校 していたバ クさん に, みんなで 自己紹介 を しよ うとい うことで学習 に取 り組 んだ.
児童 が 自分 の得意 な ことを 自己ア ピールす る取 り 組みでは,それぞれが得意 とす るパ ズルや粘土, ビー ズ飾 りな どの制作 を行 い, 出来上 が った作 品 を もと にバ クさん に 自己紹介 した. また,制作 の様子 を録 画 した ビデオをバ クさん に見 て もらった.子 ど もた ちが授業時間の最初 か ら最後 まで集 中 して取 り組 ん で い る様子が映 し出 された ビデオを見 たバ クさんか らは,普段 とは違 った子 ど もたちの姿 をみて, とて も驚 いた とい う感想 が よせ られ た.
単元 :「ハ ッスル タイム 」 〜 みん なで たの しい ク リスマス′ ‑
この単元 で は,季節 を考慮 し,子 ど もたちが楽 し
み に して いるク リスマスを取 り上 げた. ここで は,
特 に一人一人が 自分 の活動 に見通 しを もちなが ら, 落 ち着 いて取 り組 む ことに重点 をおいた. また, こ の単元 はち ょうど学校公開 の時期 と重 な った ことか ら,授業 のい くつか は,保護者 や他校 の教 師等 に も 公開 された. この単元 の全時数 は 1 6 時間であ ったが, 1 1時間を グループ別 に取 り組 んだ. ク リスマス会 当
日までの準備活動 を児童 の実態 や興 味 ・関心 を踏 ま えなが ら役割分担す ることで,一人一人 が 自分 の持
ち味や特技 を生 か し,積極的 に活動 に取 り組 む こと がで きた.特 に自閉症 グループで は,活動 に集 中す る時間が長 くな って い った ことと比例 して,パ ニ ッ クや奇声 をあげ ることが少 な くな り, とて も静 か な 中で授業 が行 われ るよ うにな ったのが印象 的であ っ た.
児童 の グルー ピングにつ いてで あ るが, 自閉症 グ
窓にはカーテン、ダンボ‑ル紙で仕切 っ た空間を作 ることで、周 りを気 にせず落 ち着いて取 り組む ことができた。
図 1 制作活動時の教室配置図
飾 り付けてツリーの完成 !
ループを含め,小学郡全体が 3 つのグループに分 け られた. ただ し, グルー ピングは必ず しも固定的な ものでな く,児童 の教育的ニーズに基づ きなが ら, 一人一人が落 ち着 いて課題 に取 り組む ことがで きる よ うな環境 の整備を念頭 に, グループ担当教師や担 任 の意見を取 り入れた話 し合 いを行 い,単元 によ り 児童や教師のメ ンバーを入れ替え るなど試行錯誤 を 繰 り返 した. また, 自閉症 の児童 たちが感覚過敏等 の特性 を有 していることは理解で きたが,実際 どの ような支援が有効なのかは当初見当がっかなか った.
そ こでまず,聴覚過敏 のために落 ち着かず,時にパ ニ ックに陥 る児童が 3 名 いた ことか ら,静かな教室 環境を作 ることに重点 をおいた.具体的には, 自閉 症 グループの活動す る教室 は,普段 の教室か ら少 し 離れた,他の教室か らの音があまり入 らないプ レイ ルームを利用す ることとした.感覚過敏 に加え,多 くの児童 は選択的注意の問題 も抱えていたことか ら, 課題や作業を行 う際 には,周 りの視覚的刺激 に影響
されないように子 どもと子 どもの間隔を一定程度 あ け,壁 に向か って活動す るよ うに した.教室 の配置 状況 と児童の活動状況の例 を図 1に示 した. なお, 教室環境 の整備 ・構造化 にあた って は, 「自閉症療 育ハ ン ドブック 〜TEACCH プ ログラムに学ぶ 〜」
( 佐 々木 ,1 9 9 3 ) を参考 に した. ワーク ・システム などの指導方法を一部取 り入れたが,全てにおいて
TEACCH のプログラム化を図 ったわけではない.
3 ) ケース紹介
B 君 の授業での変化 について紹介す る .B 君 は図
味覚過敏
触覚過敏
服 が少 しで も濡 れ る と、
も う嫌0 着替 えた い よ !
2 に示 したよ うな聴覚や触覚,味覚 の感覚 の過敏性 を持 っていた.普段教室では,私 たちが気づかない 程度 の音 に対 して も両手で耳 を押 さえ,物事 に集 中 で きないことが度 々ある. また, 目の前 の向か うべ き課題 よ りも,周囲の人や物 に瞬間的に注意 を向 け て立 ち上が って歩 き回 った り,時 にはその物 に固執 して しま った りす ることがある.そのため,周囲に 気 になる音や物がある場合 は, ほとん ど授業 に参加 で きない状態 にな って しまっていた. このよ うな B 君 に対す る配慮点 として,以下 のよ うな対策を講 じ
た .