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秋田大学教育文化学部障害児教育講座

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Academic year: 2021

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自閉症の感覚過敏に着 目した授業改善の取 り組みI

〜秋田大学附属養護学校小学部の実践から〜

小松 和紀 ・北 島 英樹 * 秋田大学教育文化学部附属養護学校

武 田 篤 ・今野 和夫 **

秋田大学教育文化学部障害児教育講座

自閉症児者の障害特性 として,感覚過敏の問題が最近注 目されてきている.多 くの高機 能 自閉症者 によって,いかに感覚過敏が辛 いものであるかが語 られると同時に, 自閉症児 者の原因不明のパニ ックにもこの問題が関与 している可能性が指摘 されている.

本研究では, この感覚過敏 に着 目し, 自閉症の子 どもが苦痛や不安を抱かずに参加で き る授業づ くりに取 り組んだ実践を報告 した.感覚過敏 に配慮す るために, 自閉症の子 ども たちを他の知的障害の子 どもたちと別のグループに して指導を行 うことに対 して,多 くの 教師は当初強い抵抗感を抱 いた. しか し,それまで授業への集中が難 しく,パニ ックを起 こしていた子 どもたちが,集中 して課題 に取 り組めるようにな り,教師の意識 は大 きく変 わ った.今, 自閉症教育 に求め られているのは, 自閉症の障害特性の理解 と教師の意識改 革である.

キーワー ド:自閉症,感覚過敏,養護学校,教育実践

Ⅰ は じめに

知的障害養護学校である本校小学部 における最近 の大 きな問題の一つ として,集団学習の際の離席や パニ ックなどにより,集団での学習を進めることが 以前 に比べて難 しくなってきていることがあげ られ る.一人の子 どもにパ ニ ックが生 じると,それが 2 人, 3 人 と次々と連鎖的に派生 した り,パニ ックを 起 こしている児童に周 りの児童が気をとられて しまっ たりと,授業そのものの成立が危ぶまれる状況 も度々 経験す るようになった.

2 0 0 5 年 1 月 2 4 日受理

IDe v e l o pme ntofaCo ur s ef orAut i s t i cSt ude nt swi t h Pa r t i c ul a r At t e nt i o n t o The i r Hype r s e ns i t i v i t y Te nde nc i e s

‑ACas ef o rSt ude nt so fAki t aUni v e r s i t yPr i ma r y Sc ho o lf o rt heHa ndi c a ppe d

* Ka z unor iKoMAT S U a nd Hi de kiKI T AJ I MA,Spe c i a l Sc ho o lf o rt heMe nt a l l yRe t a r de dChi l d r e n, At t a c he d t oAki t aUni v e r s i t y,Aki t a

* .At s u shiTAKE DA a nd Ka z uo KoNNO,Fa c ul t y o f Educ a t i o n a ndHuma n St udi e s ,Aki t aUni v e r s i t y , Aki t a

これ らの原因の一つ として, 自閉症 スペク トラム 障害注1 )( 以下, 自閉症) を有す る児童が増 えて き たことがあげ られるか もしれない.本校小学部では 今年度, 自閉症の児童が 1 6 名中 6 名 と,実に 4 割近 くを占めるに至 っている. しか し本校 において, こ れまで知的障害を併せ もつ これ らの自閉症の児童 に 対 しては知的障害中心の教育課程 による教育が行わ れてお り, 自閉症の障害特性 に着 目した支援を積極 的に行 ってきたとは言 いがたい.

一方,我が国における自閉症の教育 も,今大 きな 転換期を迎えている.たとえば,文部科学省の 2 1 世 紀の特殊教育の在 り方 に関す る調査研究協力者会議

( 2 0 0 1 )が提出 した最終報告書 「 一人一人 のニーズ に応 じた特別な支援の在 り方 について」では, 自閉 症の教育 に関 して 「 知的障害養護学校等で これまで 培われた実践により,卒業後の望 ま しい社会参加 を 実現 している例 も多いが,知的障害教育の内容や方 法だけでは適切な指導がなされない場合 もあった」

と指摘 している. さらに,特別支援教育の在 り方 に

関す る調査研究協力者会議 ( 2 0 0 3 ) による 「 今後の

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特別支援教育 について ( 最終報告) 」で も,「自閉症 の児童生徒 に対す る教育 ・指導の開発が重要 な課題 とな ってお り, ( 中略) 自閉症 の児童生徒 の教育的 対応 については,知的障害 との違 いを考慮 しつつ, 障害の特性 に応 じた対応 について今後 とも研究が必 要である」 と提言 している. これ らの指摘 は, これ までの知的障害養護学校 における自閉症 の児童生徒 に対す る教育や指導が十分ではなか った ことに対す る反省か ら生 まれた ものであ り,知的障害 との障害 特性 の違 いを十分考慮 した教育を確立 してい くこと が急務であることを提起 している. このような中で, 自閉症教育の これまでの様 々な教育内容や方法 を検 証 し,今後 の新 たな方向性 を探 る図書が,全国知的 障害養護学校校長会 ( 20 03 ) や国立特殊教育総合研 究所 ( 2 00 4)か ら最近相次 いで刊行 されている.

では, 自閉症 の障害特性 とはいったい何であろ う か. 自閉症の障害特性 の中で,最近特 に注 目を集 め て きていることの一つに 「 感覚過敏」の問題がある.

自閉症 の感覚刺激 に対す る異常 な反応 に関 しては, カナ‑ ( 1 943)が 自閉症 について初 めて報告 した論 文やその翌年 にアスベルガー ( 1 9 44)が発表 した論 文 の症例 の中に も見 られ,当初か ら自閉症 の特徴 の 一 つ と して注 目されて いた. この原 因 に関 して は 1 97 0 年前後 にか け ,Or ni t z と Ri t vo ( 1 9 68) による 前庭機能不全 による 「 知覚 の非恒常説」 や Lovaas

ら ( 1 971 ) による 「 注意の過剰選択説」が唱え られ たが,未だその詳細 は不明である.その後, 自閉症 の国際的 な診断基準 である DSM‑ Ⅳ ( APA ,1 9 94) や I CD‑ 1 0 ( WHO ,1 992 ) が, 自閉症の多様 な障害 像 の中か ら,社会性 の障害, コ ミュニケー ションの 障害, そ して常同反復 の 3 主徴 を重視す ることによ り, この感覚過敏 の問題 は研究者 の間で次第 に注 目 されな くなっていった.

しか し最近, 高機能 自閉症 の人 たちの 自己説 明 ( s e l f ‑ ac c ount ) , す なわち自 らの内面 を語 った著作 が数多 く発表 され るよ うにな ってか ら (ウィリアム ズ,1 993; グランデ ィン ,1 99 4; ローソン ,2 001;

ガー ラン ド ,2 000) , 自閉症者 にとっていか に感覚 過敏の問題が大 きいかが,再び注 目されるようになっ て きた (ウイ ング,1 99 8 ). この先鞭 をっ けたのが 高機能 自閉症者 である, テ ンプル ・グランデ ィンと ドナ ・ウィリアムズの二人である. たとえば, テ ン プル ・グランデ ィン ( 1 9 9 4) は, 「 我, 自閉症 に生 まれて」 の中で,「 大 きな物音が聴覚 に苦痛 を与え,

純毛の衣類 はむ き出 しの神経突起部分 を こす るサ ン ド・ペーパ ーのよ うで した. 」 とか 「 体 が肌 のふれ 合 いを求 めていなが ら,触れ られ ると,痛み と混乱 を感 じて体を引いて しまう.私 は二十歳の半ばでやっ と,握手 を した り目を直視 で きるよ うにな った. 」

と述 べ て い る. 同 様 に, ドナ ・ウ ィ リア ム ズ ( 1 993) も 「自閉症だ ったわた しへ」 の中で,「ある 惑覚 は,非常 に鋭 く尖 って,痛 いよ うな感 じを起 こ させ るのだ.わた しの場合 は, 甲高 い声や音, まぶ しい光,人 に触れ られ ることなどがそれで,耐え ら れない. 十 と述べている.

また, 最近 で は我 が国 の高機能 自閉症者 によ る

「自己説 明」 も多数発表 され るよ うにな って きたが ( 森 口,1 9 96;2 002 ;泉,2 003; 藤家,2 00 4) ,森 口 ( 200 4) は, 自身 の感覚過敏 に関 して 「 私 の場合, 聴覚 と臭覚が尋常で はない.私 は他 の人 には聴 こえ ない音 も常 に聴 いている し,人 にはわか らない臭 い の洪水の中で過 ごし,毎 日を音 のノイズの海 の中に 晒 されなが ら日々,暮 らしている. ( 中略) そんな 私であるか ら,耳栓が手放せない.臭覚 について も, 密閉 した部屋か ら一歩 ベ ランダに出ると, よその部 屋か ら臭 って くるペ ッ トの臭 い,汚物の臭 い,布団 の臭 いなどで呼吸 もで きないほどだ った. 」 と述べ ている. また学校 に関 して は,「で きるだ け視覚的 に も聴覚的に も,入 って くるノイズは少ないほうが いい.視覚的刺激 の場合,大人数だ とそれだけ,動 き回 る人数が増え,視覚的な刺激 も増 え, 自閉症 の 本人 の混乱 も増えて しまう. このよ うに学校 とい う 場所 は不快刺激で満 ちている.それでパ ニ ックを起

こせば,問題行動 と見 られて しまう.だか ら,パニ ッ クを減 らしたければ,その前 に,刺激 の少 ない環境 が必要 なので はないか と思 う.有 り体 に言えば ̀ ̀ 静 かで落 ち着 いた場所"が必要だ とい うことである. 」

と述べている.

ところで, このよ うな 「自己説明」 に表れた感覚 過敏 は, 自閉症 の人 たちで も, ある特定の人 のたち だけに起 こるものなのだろうか.三島 ら ( 2 002 ) は, 2 8 名 の高機能 自閉症者 による 「自己説明」 の検討 を 行 ったところ,感覚過敏等の障害が 自閉症 の診断基 準である 3 主徴 ( 社会性の障害, コ ミュニケー ショ

ンの障害,常同反復) に劣 らず多 く認 め られ ること

を見出 し, 自閉症 にとっての感覚過敏が単 に特定 の

人 たちだけの ものでないことを明 らかに した. さ ら

に,川崎 ら ( 2 003 ) は,高機能 自閉症 だけでな く,

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知的障害 を伴 う自閉症 も含 めた 2 5 1 名 を対象 と して 検討 した結果,知能の程度 にかかわ らず, 自閉症 の 大多数 の者が聴覚過敏や触覚過敏等 の問題を有 して いることを明 らかに した と同時 に, 自閉症 に生 じる 原因不明のパニ ックなどの行動障害の原因の一つ と して, これ らの感覚過敏が関与 している可能性 を指 摘 している. このよ うに感覚過敏 は,現在用 い られ ている自閉症の診断基準 よりも,本人が現実的 に抱 く困難性 の本質 に近 く, 自閉症 の核心部分 との関連 がより深 い との見方 もなされ るよ うになって きてい

る ( 東候 ,2 0 0 2 ) .

私 たちは, この自閉症 の感覚過敏 という問題 を, これまでの自閉症 の教育や支援の在 り方 について反 省 と再考 を促す もの と捉えた.そ して, 'この感覚過 敏 に着 目かつ考慮 して, 自閉症児本人が苦痛や不安 を抱かず に参加で きる授業づ くりに取 り組んだ.本 稿では, その実践の経過 について報告す る.

Ⅱ 授業実践 1 . 本研究の契機

今回の授業実践 は,大学 の障害児教育講座 との共 同研究 の一環 として行われた ものである.特 に, 自 閉症の支援 の在 り方 に着 冒したきっか けは,年度当 初 に授業参観を行 った大学 の共同研究者か ら以下 の よ うな指摘 を受 けた ことにある.すなわち,① 自閉 症 と知的障害の子 どもが一緒 の授業 は,教師にとっ て も子 どもにとって も大変 そ うだ,② もっと自閉症 の子 どもの障害特性 を考慮すべ きではないか,③ な によりも,学習者 ・生活者 としての子 どもが楽 しく, 充実 した学校生活 を送 るには, もっと教師が子 ども の側 に立 った授業を組み立て ることが大切で はない か,④ そのためには自閉症の子 どもたちをグルー ピ

ングす ることも検討すべ きではないか, とい うもの だ った.

小学部で は, これまでにも小学部合同での集団活 動 を行 うにあた り,一人一人 の実態や興味 ・関心 に

もとづいて児童 をい くつかのグループに分 け授業 を 行 って きたが, 自閉症の児童 だけを一つのグループ に編成 して指導 にあた って きた ことはなか った.先 に述べたよ うに, ここ数年 自閉症 の児童の割合が増 加す るにつれ,集団での授業が成立 しに くくな って きていることを漠然 とは感 じて きていた ものの,だ か らとい って, 自閉症 の児童 を一つのグループに編 成 して授業を行 うことに関 しては,小学部の教師の

中に大 きな戸惑 いや疑問があ ったの も事実である.

共同研究 は平成 1 6 年度当初の 4 月にスター トしたが, 自閉症 の児童 をグルー ピング した実践を開始 したの は 1 0 月か らであ り,開始 までに実 に半年以上 の期間 を要 した. この半年間,教師は障害特性 に応 じた授 業づ くりを行 うための話 し合 いや学習会 を幾度 とな く繰 り返 し,検討 を重ねた. この中で, 自閉症 の特 性 に配慮 した授業づ くりの必要性 については教師間 で理解 し合えたが,最後 まで私 たちを迷わせたのは, 自閉症 の児童を知的障害の児童か ら 「 分 ける」 とい うことに関 してであった.たとえば 「 保護者 は,別々 のグループで分かれて授業を受 けることを望んで入 学 させたのだろうか」 , 「これまで積 み重ねて きた集 団の良 さはどうなるのだろうか」,「そ もそ も別々の グループに分 けることは差別で はないか」, さ らに

「 TEACCH

柱2

)は,学校 だ けで な く地域 ぐるみの取 り組みだか らこそ効果があるが,小学部だけで取 り 立てて指導 して も意味があるのか」 など,数多 くの 意見が出された. グループに分 けることは, これま で私 たちが長 く取 り組んで きた, た くさんの児童が かかわ り合 い,その中で育 ち合 うことを大切 に した

「 集団での授業」 との隔た りが大 き く感 じられ,実 際の可能性 を探 る以前 に,心情的にその隔た りを埋 めることが難 しか った.

このよ うな中で,高機能 自閉症者 の内面世界 を描 いた一本 の ビデオ 「よ うこそ私 の世界へ "自閉症"

ドナ ・ウィ リアムズ」注

3)

を小学部職員全員で視聴 し た. これが職員の意識 を変革 させ る大 きなきっか け とな った.たとえば, ドナがスーパ ーマーケ ッ トで 買 い物 をす る場面で は,音や光刺激か ら身を守 るた めに,店 に入 る前 には必ず‑ ッ ドホ ンとサ ングラス をっ けていた. それで も彼女 によれば,店内ではあ らゆる方向か ら靴音や冷蔵庫 の音 などの聴覚刺激, 頭上 の蛍光灯の光や雑誌 などの様 々な色彩 といった 視覚刺激, さらに様 々な臭 いなどが洪水のように押 し寄せ,頭の中は処理 しきれない情報で一杯 にな り, 一刻 もはや く外 に逃 げ出 した くなるとい う.私 たち

にとっては何で もない刺激が,感覚過敏 を持っ 自閉

症 の人 にとっては, いかに苦痛や混乱 を引 き起 こす

かを目の当た りに して, これまで文面で しか知 るこ

とので きなか った感覚過敏の辛 さを実感 したと同時

に, この感覚過敏 に対す る配慮 の必要性を強 く感 じ

た. ここに至 り,小学部の教師全員で 自閉症 の児童

の側 に立 った授業を組み立てよ うと合意す ることが

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表 1 授業単元の概要

単元名 単元のねらい 児童に対するねがい 時数 ・形態

ハ ッスルタイム ・お互いのことを紹介 しあったり、

いろいろな活動を一緒に行 った バクさんに自己 りすることで、バクさんと仲良 紹介をしよう しになることができる。

・自分の好きなことや得意なこと を、いろいろな手段で相手に伝 えることができる。

・基礎的要求や理解が 合同 2 時間 できる。 グループ3 時間

・サインを用いて意思 合同 ・グループ 表示ができる。 1時間

・可能なコミュニケー

ション手段を利用 し 計 6 時間 て質問に答えること

ができる。

ハ ッスルタイム みんなでたのし いクリスマス

クリスマス会当日までの流れや クリスマス会当日の内容が分か り、期待感をもちなが ら各活動 に取 り組むことができる。

自分の役割が分かり、自信をもっ て発表をしたり、友達の様子を 見たりしなが ら発表練習や当日 の活動に取り組むことができる。

制作活動では、自分の取組む活 動が分かり、担当部分の制作活 動に進んで取 り組むことができ

る。

自分のやることが分 合同 2 時間 かり、目の前の活動 グループ 1 1 時間 に落ち着いて参加す 合同 ・グループ ることができる。 3 時間

計 1 6 時間

で き, 自閉症 の児童を申 し、 に したグループ編成 を行 っ た授業 を開始 す ることとな った.以下 にその授業実 践 につ いて報告 す る.

2 . 授業 の実践

1 ) 自閉症 グル ープの対象児

本校小学部 1 ‑6 年 まで の全児童 1 6 名 の内, 自閉 症 の児童 6 名 ( 1 年生 1 名 ,3 年生 2 名 ,4‑6 年生 各 1 名) を概 ね同 じ集 団 とな るよ うに編成 した. こ れ らの いず れ の児 童 も, 個 別 の指 導 計 画書 で は,

「人 とかかわ る力 ( 基礎 的 な コ ミュニケー シ ョン手 段 の獲得 や確立) の向上」 や 「 落 ち着 いて集 団活動 に参加 で きる」 ことな どが共通 の課題 と して取 り上 げ られて いた.言 い換 えれば,基本的 な対人 関係 の 障害 や コ ミュニケー シ ョンの障害 を抱 え,集団での 活動 には種 々の困難 を抱 えて いた. また ,6 名 の児 童 のいずれ も,以下 のよ うな感覚 の問題 を有 して い た.

A 君 :味覚 の過敏 ( 偏食)

B 君 :聴覚 ・触覚 ・味覚 の過敏 C 君 :触覚 の感覚鈍麻 ( 鈍感) D 君 :聴覚 の過敏

E 君 :聴覚 の過敏

F 君 :触覚 の過敏

2) 授業単元 と取 り組 みの概要

自閉症 の児童 を グル ー ピング して行 った,二 つの 生活単元学習 の概要 を表 1 に示 した.

単元 :「ハ ッスル タイ ム 」 〜バ クさん に 自己紹介 しよ う. ‑

この単元 で は,韓 国か らの留学生 で, ボ ラ ンテ ィ ア と して週 3 回来校 していたバ クさん に, みんなで 自己紹介 を しよ うとい うことで学習 に取 り組 んだ.

児童 が 自分 の得意 な ことを 自己ア ピールす る取 り 組みでは,それぞれが得意 とす るパ ズルや粘土, ビー ズ飾 りな どの制作 を行 い, 出来上 が った作 品 を もと にバ クさん に 自己紹介 した. また,制作 の様子 を録 画 した ビデオをバ クさん に見 て もらった.子 ど もた ちが授業時間の最初 か ら最後 まで集 中 して取 り組 ん で い る様子が映 し出 された ビデオを見 たバ クさんか らは,普段 とは違 った子 ど もたちの姿 をみて, とて も驚 いた とい う感想 が よせ られ た.

単元 :「ハ ッスル タイム 」 〜 みん なで たの しい ク リスマス′ ‑

この単元 で は,季節 を考慮 し,子 ど もたちが楽 し

み に して いるク リスマスを取 り上 げた. ここで は,

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特 に一人一人が 自分 の活動 に見通 しを もちなが ら, 落 ち着 いて取 り組 む ことに重点 をおいた. また, こ の単元 はち ょうど学校公開 の時期 と重 な った ことか ら,授業 のい くつか は,保護者 や他校 の教 師等 に も 公開 された. この単元 の全時数 は 1 6 時間であ ったが, 1 1時間を グループ別 に取 り組 んだ. ク リスマス会 当

日までの準備活動 を児童 の実態 や興 味 ・関心 を踏 ま えなが ら役割分担す ることで,一人一人 が 自分 の持

ち味や特技 を生 か し,積極的 に活動 に取 り組 む こと がで きた.特 に自閉症 グループで は,活動 に集 中す る時間が長 くな って い った ことと比例 して,パ ニ ッ クや奇声 をあげ ることが少 な くな り, とて も静 か な 中で授業 が行 われ るよ うにな ったのが印象 的であ っ た.

児童 の グルー ピングにつ いてで あ るが, 自閉症 グ

窓にはカーテン、ダンボ‑ル紙で仕切 っ た空間を作 ることで、周 りを気 にせず落 ち着いて取 り組む ことができた。

図 1 制作活動時の教室配置図

飾 り付けてツリーの完成 !

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ループを含め,小学郡全体が 3 つのグループに分 け られた. ただ し, グルー ピングは必ず しも固定的な ものでな く,児童 の教育的ニーズに基づ きなが ら, 一人一人が落 ち着 いて課題 に取 り組む ことがで きる よ うな環境 の整備を念頭 に, グループ担当教師や担 任 の意見を取 り入れた話 し合 いを行 い,単元 によ り 児童や教師のメ ンバーを入れ替え るなど試行錯誤 を 繰 り返 した. また, 自閉症 の児童 たちが感覚過敏等 の特性 を有 していることは理解で きたが,実際 どの ような支援が有効なのかは当初見当がっかなか った.

そ こでまず,聴覚過敏 のために落 ち着かず,時にパ ニ ックに陥 る児童が 3 名 いた ことか ら,静かな教室 環境を作 ることに重点 をおいた.具体的には, 自閉 症 グループの活動す る教室 は,普段 の教室か ら少 し 離れた,他の教室か らの音があまり入 らないプ レイ ルームを利用す ることとした.感覚過敏 に加え,多 くの児童 は選択的注意の問題 も抱えていたことか ら, 課題や作業を行 う際 には,周 りの視覚的刺激 に影響

されないように子 どもと子 どもの間隔を一定程度 あ け,壁 に向か って活動す るよ うに した.教室 の配置 状況 と児童の活動状況の例 を図 1に示 した. なお, 教室環境 の整備 ・構造化 にあた って は, 「自閉症療 育ハ ン ドブック 〜TEACCH プ ログラムに学ぶ 〜」

( 佐 々木 ,1 9 9 3 ) を参考 に した. ワーク ・システム などの指導方法を一部取 り入れたが,全てにおいて

TEACCH のプログラム化を図 ったわけではない.

3 ) ケース紹介

B 君 の授業での変化 について紹介す る .B 君 は図

味覚過敏

触覚過敏

服 が少 しで も濡 れ る と、

も う嫌0 着替 えた い よ !

2 に示 したよ うな聴覚や触覚,味覚 の感覚 の過敏性 を持 っていた.普段教室では,私 たちが気づかない 程度 の音 に対 して も両手で耳 を押 さえ,物事 に集 中 で きないことが度 々ある. また, 目の前 の向か うべ き課題 よ りも,周囲の人や物 に瞬間的に注意 を向 け て立 ち上が って歩 き回 った り,時 にはその物 に固執 して しま った りす ることがある.そのため,周囲に 気 になる音や物がある場合 は, ほとん ど授業 に参加 で きない状態 にな って しまっていた. このよ うな B 君 に対す る配慮点 として,以下 のよ うな対策を講 じ

た .

・教室 の窓全てにカーテ ンを引 き,外の様子が気 にな らないよ うに した.

・壁 に向か って机 を配置す ることで,周囲の人 の 動 きがで きるだけ気 にな らないよ うに した.

・制作過程一つ一つに課題性 を もたせ,で きるだ け飽 きないで取 り組めるよ うな教材の準備 に努 めた.

その結果,B君 は時間一杯集中で きるようにな り, 大 きな トナカイのパ ズルを完成 させ ることができた.

聴覚過敏 に対す る配慮 として,当初 は耳栓やヘ ッ ド ホ ンの着用を計画 したが, これまで経験がなか った ことや,同 じように他の児童 にも配慮を行 った結果, 全員が落 ち着 き,集 中 して課題 に取 り組めるよ うに な ったため, B 君が気 になるよ うな聴覚刺激がな く な り,耳栓やヘ ッ ドホ ンの着用 は必要 なか った. こ のよ うに,類似の障害特性を持っ児童 によるグルー プでの学習 は,B君 に対す る配慮が他 の児童 に も有 効であ り,また他 の児童 に対す る配慮が B君 にとっ

聴覚過敏

大 きな音 、騒 々 しさ、特定 の人 の声 が苦 手○ 耳 を押 さえ るよo

授 轟 で の 配 慮

気 にな る音 が ない集 団 だ と

図 2 B 君 の感覚過敏の例

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て も安心で きる環境 を作 り出す とい うことがわか っ た.

4 ) 自閉症 グループの変化

今回の障害特性 に配慮 したグルー ピングによる授 業 を繰 り返すなかで,教師が児童 の脇 でマ ンツーマ ン的 に支援す るよ りも,壁 に向か って机 を配置 し, 周 りか らの視覚的刺激 を遮断 した方が落 ち着 いて課 題 に取 り組 めるよ うにな って きた. この取 り組 みを 始 めてか らわずか 3 ヵ月後 に行 った公開授業 の際 に も,外部 か ら多 くの参観者が来 たに もかかわ らず, 子 どもたちは普段 と変 わ らない様子で,落 ち着 いて 自分 の手元 をよ く見て,集 中 して課題 に取 り組んで いた. グルー ピング し,教室環境 を整備す ることが,

これだ けの成果 を上 げるとは,当初予想 もしていな か った.加 えて, これまで この グループの児童 には あま り見 られなか った, 自分か ら道具 の準備 や後片 付 けを行 うなど, 自主的 に活動す るよ うにな って き た ことは驚 きであ った.

感覚過敏 に対処す るために,環境 の整備 を しよ う とい うことが,結果的 に今回の グルー ピングとい う 形態 を採用す ることにな った ともいえ る.実際 「 バ

クさん に自己紹介 を しよ う」 で も,新 たなグルー ピ ングによ って集 ま った自閉症 の児童 たちが,す ぐに 時間一杯制作 に集 中 し,取 り組 む姿が見 られた. グ ルー ピングによ って心理的な安定が図 られ る環境が 保障 され, その ことが児童 にとって精神的 にとて も 安心 した状態で授業 に臨む ことを もた らしたので は ないか と考 え られた.今回の実践 を行 う前 まで は, 集団での授業 を行 う際 に, ほとん どの 自閉症 の児童 は,常 に教師が子 どもの脇 につ いて援助す るな ど, マ ンツーマ ン的な指導 を必要 と していた. しか し, 今回のよ うなグルー ピングによる授業 を繰 り返す中 で,児童 は活動 に見通 しを もって主体的 に取 り組 む ことがで きるよ うにな り,一人 の教師で,何人かの 児童 を同時 に支援す ることも可能 とな って きた.

また,今回の授業実践 を通 して私 たち教 師の児童 に対す る見方 も変わ って きたの も事実 であ る. これ まで述べ たよ うな配慮 を行 うことによ って,児童一 人一人が毎時間,集 中 して取 り組 む姿 を目の当た り

に した ことは大 きな驚 きであ った と同時 に,子 ども 一人一人が もっていた潜在的な能力 の大 きさを再発 見す る機会 とな った.

Ⅲ 考察

自閉症 の子 どもたちの障害特性,特 に感覚過敏 に 着 目 した授業実践 の取 り組 み は, 自閉症 の子 どもに とって も教師に とって も, これまでの授業 の在 り方 や意識 を大 き く変 えた.以下 に今回の共同研究 と実 践 を行 う中で得 たい くつかの課題や知見 につ いて検 討す ることとす る.

1 . 教師の意識変革 と保護者 の評価

生活単元学習 の中で,障害特性 に応 じて グルー ピ ング し,授業 を行 うことに,当初戸惑 いを感 じた こ とは否 めない. そ こには,養護学校 の教師 と して, これまで生活単元学習 を行 って きた経験 や生活単元 学習 その ものの捉 え方がひ とつの大 きなハ ー ドル と な っていた.すなわち,集団学習 の中で,お互 いを 認 め合 い, 自分 の役割 を意識 し,協力 し合 いなが ら 成就感 を味わ うことがで きるよ うに と,指導案 を書

き,指導 を重 ねて きた教師にとって は, グルー ピン グその もの自体 に疑問を もったの も当然 の ことか も しれない.授業実践 にあた って,小学部 の中で何度 も話 し合 いを重 ねたが,同 じよ うな思 いを どの教 師 も抱 いていた. しか し, 自閉症 の感覚過敏 の問題 の 大 きさに気づいた とき, それ まで 「自分 の クラスに 自閉症 の子 どもがいて も,授業 には特 に困 っていな い」 と話 していた教 師 も, 「自閉症 の子 ど もの立場 に立 ってみれば, もしか した ら今 までの授業 は苦痛 以外 の何 もので もなか ったので は」 とい うよ うに, 教 師の視点か らで はな く,子 どもの立場 に立 って, 授業 の在 り方 を再考す るよ うにな った. このよ うな 意識変革, あるいは視点 を得 た ことによって, た と えば, 自分 たちが これ まで体育 の時間 にか けっこを す る際 に,反響が大 きい体育館で大音量 の音楽 を流 した り,励 ますつ もりで大 きな声 を出 した り,音楽 の時間 には大 きな声で元気 に歌 うように指導 した り, 様 々な楽器で合奏 させ た りして きた ことの数 々は, 知的障害 の子 ど もたちにとって はよか ったか もしれ ないが, もしかすれば 自閉症 の子 どもたちにとって は苦痛 や混乱 を引 き起 こす以外 の何 もので もなか っ たのではないか, とい うように見直すよ うにな った.

今回の授業実践 は, どのよ うに した ら自閉症 の子 ど

もたちが苦痛や混乱 のない環境 の中で,安心 して授

業 を受 け られ るのだろ うか とい うことを中心 に進 め

て きた といえ る.先 の実践報告 で も述べたよ うに,

このよ うな感覚過敏 に対す る環境整備 を行 うだ けで

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ら, それ まで数分 と注意が続 かず,離席 やパ ニ ック を頻発 させていた子 ど もたちが,何十分 と集 中力 を 持続 させ,黙 々 と課題や作業 に取 り組 むよ うにな っ たのである. た った これだけの配慮で, このよ うな 劇的 ともいえ る変化 が起 こるとは誰 も予想 もしてい なか っただ けに,最 も驚 いたのは, まさに教師その ものであ った.教師 は, これ までに見 た ことのない 子 どもたちの姿 に感動す るとともに,本来子 どもた ちが もっている能力 に初 めて気づか された ともいえ る.

ところで,今回の授業実践 で は,生活単元学習 の 授業全 てをグループ別 に行 う形態 を とったわ けで は ない.小学部全体 で行 った り,時 には 2 つの グルー プが合同で学習 した りで きる場面 も柔軟的 に設定 す ることによ って, これまでの養護学校 の教育 の中で 育んで きた生活単元学習の良 さを生かす ことに も心 が けた. グルー ピングによ って, 自閉症 グループの 児童一人一人が,落 ち着 いて生 き生 きと取 り組 む姿 が見 られたが, これが まさ しく本 当の子 ど もの姿 で あったと感 じている.今後 も,子 どもたちが本来 もっ ているこの様 な姿 を引 き出 してい くには,子 どもや 障害 につ いての思 い込 みの払拭 は もちろん,従来 の 指導形態 に対す る教 師の意識改革 が,必要不可欠 で

あ ると実感 して いる.

今回の実践 は教師 に自閉症 の子 どもたちの潜在能 力 の大 きさと授業づ くりに対す る自信 を与 えて くれ たが, 自閉症 の子 ど もを もつ保護者 にはどのよ うに 受 け止 め られたのであろうか. この授業実践 に取 り 組 み始 めて 3 ヵ月後 に行われた公開授業を参観 した, 現在 中学部 に在籍す る生徒 の保護者 に感想 を聞 いた

ところ , 「 我 が子 が小学部 にいた頃 に, こんな子 ど もの姿 を見 たか った. 自閉症 の子 を もっ親 と して, 今で もそ うだが,授業参観 の ときは, いっパ ニ ック を起 こすか,席 を立 たないか, そんな ことばか り心 配 しなが ら見て いる.今 日の授業で は子 ど もたちが 本 当 に授業 に集 中 して いて,生 き生 きと見 えた. 」 と答 えて くれた. また,別 の小学部 の保護者 は 「こ の様 な グループ別 の授業があ って もよいと思 う.千 ど もたちが集 中 して, 自分か ら一生懸命課題 に取 り 組 む姿 が とて も印象 的だ った. 」 と述べて いた. こ のよ うに,今回の実践 は, 自閉症 の子 どもを もっ保 護者 に も,肯定 的 に受 け止 めて もらえたので はない か と思 われ る.

2 . 養護学校教師のグルー ピングに関する意識 今回の実践 に,大学 か ら参加 した共 同研究者 と し て最 も強 く感 じた ことは, 自閉症 の子 ど もを グルー ピング し,指導 を行 うことに対 して,現場 の教師が 示 した心理的抵抗 の強 さであ った. この ことは今回 一緒 に実践 にあた った教師だけの問題 ではない.秩 田県 内の養護学校 に勤務す る教 師 5 8 人 に, 自閉症 の 子 ど もを グルー ピング して指導す ることに対す る賛 否 を尋 ね た と ころ

4 ) , 自閉症 の子 ど もを知 的障害 の子 ど もとは別 の グル ープ に して指導 す る ことに

「 賛成」 と答えた者 はわずか 8 人 だ けだ った. また,

「 反対」 と答 えた者 は 1 0 人 で,最 も多 か ったの は,

「どち らとも言 えない」 の 4 0 人 で,約 7 割 を占めた.

表 2 に, その理 由について示 した. グルー ピングに 賛成 と答 えた者 の理 由 と して は, 「グループ別 で学 習 した方 が, 自閉症 の子 に とって安心 で き,理解 し やす いか ら」 とか 「障害の特性 を考 え ると落 ち着 い た環境が必要 で,大集団よ り小集団の方が よい」 と い ったよ うに, 自閉症児 の側 に立 った見方 や障害特 性 を考慮 した支援 の必要性が挙 げ られていた.一方, 反対 と答 えた者 で は, 「コ ミュニケー ションの能力 を発達 させ るために も一緒 の授業 を行 った方がよい」

とか 「 他 の子 の様子 を見て学ぶ ことも多 いので,行 動 のモデル とな る子 と一緒 に授業 した方が よい」 と いったように,集団での教育を重視す る意見が多か っ た.また,どち らとも言えないと回答 した者では様 々 な理 由が挙 げ られて いたが,大別す ると以下 の 4 つ の意見 に分かれた.一つ 目は 「グループに分 けると 落 ち着 くだろ うが,分 けない ことで他児 の影響 を受

けることもで きる」 とか 「自閉症 のみだ と環境 を整

えやす いが,他児 との関わ りの中で育っ部分 も多 い

はず」 といった,障害特性か らは分 けた方がよいが,

他 の子 ど もたちとの関わ りも大切 に したい とい う意

見である.二つ 目は 「 場面 によ って は分 けた方が よ

い」 , 「 離 した方が よい内容 と一緒 にや った方 が よい

ものがあ る」 とい った,授業や場面 によって は分 け

た方が よいとい うものであ る.三っ 目は 「 分 けた方

がよい部分 もあるが,将来の社会生活 を考えた とき,

本 当 によいか どうかわか らない」,「 教師 と して はグ

ループ別の方が指導 しやすいだろうが,子 どもにとっ

て どうなのかわか らない」 とい った, まさに教師 自

身 が迷 ってい る意見 であ る.最後 は , 「 分 けて授業

を行 うことで成果が あるか どうか, まだわか らない

か ら」 とい った,効果があ るか どうかを疑問視す る

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表 2 グルー ピングに対する賛否の理由 賛成 ( 理由記載者 8 人中 7 人)

・グループ別で学習 した方が, 自閉症の子 にとって安心で き,理解 しやすいか ら

・自閉症の子 にとって,過 ごしやすい場であると思 うか ら

・障害の特性を考えると,落 ち着 いた環境が必要で,大集団より小集団の方がよい

・自閉症の過敏性や特性を考慮す ると,一 日の中にそのような時間があって もよい

・同 じグループでは環境をそろえ られないので,学級 は同 じで も授業 は別がよい

・自閉症の障害特性 に沿 った指導がで きるので

・障害特性が異なるので,一緒 に指導す るより,別 に して個 に合わせた指導がよい 反対 ( 理由記載者 1 0 人中 1 0 人)

<集団教育の重視>

・コ ミュニケーションの能力を発達 させ るためにも一緒 に授業を行 った方がよい

・他の子の様子を見て学ぶ ことも多いので,行動のモデルとなる子 と一緒 に授業 した方がよい

・世の中は色々な人の集 まりだか ら,色々な子 どもたちと一緒の中で育 ってほ しい

・社会 に出ると多様な人の中で生 きていかなければな らないので, グループ別 に分 けるのは反対

・自閉症 もそ うでない子 も一緒の中で,互 いの良 さや個性を認 め合 って欲 しいか ら

・別々にす ると,集団 としてのダイナ ミズムが失われて しまうのでは くその他>

・自閉症 と言 うことだけで,共通項 として捉えることはで きない

・自閉症 に知的障害を重複 している場合 はグループを一緒 に した方がよい

・自閉症児 に焦点を当て るのはよいが,それ以外の子 どもたちにももっと手厚い支援を行 うべ き

・自閉症の特性 に応 じた支援 を行 うには,子 ども一人 に教師一人が必要で,それは現実的に無理 どちらとも言えない ( 理 由記載者 4 0 人中 2 6 人)

<障害特性か らは分 けた方がよいが,他の子 どもたちとの関わ りも大切 に したい>

・グループに分 けると落ち着 くだろうが,分 けないことで他の子の影響を受 けることもできる

・自閉症のみのだ と環境を整えやすいが,他児 との関わ りの中で育つ部分 も多 いはずなので

・特質 に合 ったカ リキュラムで進めると伸 びるように思 うが,他の子 とも関わ りを持たせたいか ら

・特性を考えるとより落 ち着 く環境が望 ま しいが,他の子 との関わ りを育てるには一緒の場 も必要

・授業 によっては分 けて もよいが,一緒の活動 も子 どもにとってプラスだか ら

・一緒の集団の中で伸 びた子 もいたが,子 どもによってはつ らいと感 じているか もしれないので く授業や場面 によっては分 けた方がよい>

・場面 によっては分 けた方がよいか もしれない

・離 した方がよい内容 と一緒 にや った方がよいものがある

・授業 によっては別々に行 うことに賛成.体育や音楽 は一緒でよい

・学習内容や課題 に応 じて,個々に決めるのがよい

・分 けないことでお互いの良 さを生かせ ることもあるが,個別指導で じっくり指導す ることも大切

・グループに分 けることで有効な場 もあれば,そ うでない場合 もあるか ら

・時 と場合,それ と子 どもたちの実態 によると思 う

<教師の迷 い>

・分 けた方がよい部分 もあるが,将来の社会生活を考えると,本当によいか どうかわか らない

・教師 としてはグループ別の方が指導 しやすいだろうが,子 どもにとってどうなのかわか らない

・分 けた方がよいか もしれないが,保護者の理解を得 ることがで きるかどうか疑問

・全てだ と抵抗がある.授業の内容によって分 けるくらいがよい

・別々に して も一緒に して も, どち らにもメ リット, デメ リッ トがあると思 うか ら

・ある年齢 まで別 グループで指導 した方が,子 どもの心理的負担が少な くて良 いか もしれない

・障害の程度 にもよるが,知的障害 と同一 グループでの授業 も可能な場合 もあるか ら

<効果があるかどうか疑問>

・分 けて授業を行 うことで成果があが るかどうか,まだよ く分か らないか ら

・分 けて教育す るのには,今のや り方ではまだ無理があるように思 う.もっと準備が必要である

・自閉症 どうLを一緒 に して も効果があるかどうか疑問

・別々にす ると適応力が育 たない

・自閉症 とか知的障害 という観点ではな く, どのような集団で指導す るのがよいかを検討すべ き

・分 けるとか分 けないとかではな く, どんな内容や方法で行 うか といったことを吟味すべ き

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ものだ った.

これ らの結果 は,養護学校 に勤務す る教師の多 く が, 自閉症 の子 ど もを グルー ピングす ることに一定 の理解 を示 しなが らも,従来 か ら行 って きた知 的障 害児 と一緒 の集団での教育か ら一歩踏み出す ことに 対 して抵抗感 を抱 き,本当 に教育的な効果があ るの か どうか に疑問 を もっていることを示 した もの とい えよ う. これ はまさに,今回の報告 した,共同研究 を開始 した頃の教師の姿 と重 な り合 う.今 回の取 り 組 みか ら明 らか にされたよ うに,今, 自閉症 の教育 で求 め られているのは,実 は自閉症 に対す る指導法 で はな く,教師 自身 の意識変革 なのか もしれない.

言 い換 えれば, 「どのよ うに ( Howt o ) 」 を追求 す る前 に, 「なぜ ( Why)」 の問 いを発 す る ことの方 が大切 といえよ う.実際,今回の教育実践を振 り返 っ て も,実 に半年 もの間 「なぜ」 を問 い続 けたのであ る.教師 自身 の中に,感覚過敏 とい う視点 か ら, な ぜ 自閉症 の子 ど もたちに知的障害 の子 ど もたち とは 違 う特別 な支援 が必要かの理解 と認識が出来上が っ た とたん,教 師 たちは, TEACCH 等 を参考 に しな が ら,短期間の間 に,今回報告 したよ うな授業 を組 み立 て,実践 を成 し遂 げたのであ る. このよ うな教 育実践 を 目の当た りに して,子 ど もに合 った指導法 を選択 し,工夫 して い く教 師集団 の確 かな 目や力 と い うものを再確認 した.

3 . 今 回の取 り組 みが教師や周 りの子 どもに与え た影響

現在各方面 で 自閉症 に特化 した教育課程 や学級編 成 の在 り方が模索 されているが,単 に自閉症 の子 ど もたちを同一 の グループに して指導すればよいとい うもので はない. 自閉症 の子 ど もたち も周 りの友達 と仲良 くしたい とい う欲求 を強 くもっている し,集 団 の中で共 に育 ってい く可能性 も大 きい.で は, そ のためにはどのよ うにすればよいのだ ろうか.今回 の実践 の中で,感覚過敏 にどのよ うに配慮すればよ いか, その具体 的な対応 を含 め教 師 自身が理解 で き るよ うにな った. その ことは, 自閉症 の児童が在籍 す る学級 での 日頃の授業 に も生 か され るよ うにな っ て きた.例えば,大 きな音や声が苦手 な子 どもがい る学級 の教師が 「 ○ ○君,大 きな声, いやなんだ っ て.静 か に しよ うね. 」 とク ラスの児童 に言 うよ う にな ってか ら,子 ど もたち同士が,大 きい音 や声 を 出 して いる友達 には , 「シー」 と,静か にす るよ う,

お互 い気 をつ ける場面 も観察 され るよ うにな った.

また,大 きな音が起因 とな ってパ ニ ックを起 こして いる時 , 「 大 きな音で ビック リしたよ.いやだよ‑つ て,泣 いてい るよ. 」 と自閉症 の子 ど もの気持 ちを 代弁 してあげると,周 りの子 ど もたち も納得 して行 動す るよ うにな って きた.

今回, 自閉症 の特性 として,感覚過敏 とい うこと を手がか りに授業実践 を展開 して きたが, その理解 が深 まる中で別 の障害特性 に も,新 たに目を向 ける よ うにな って きた.選択的注意 の問題 もその一つで ある.例 えば, これ まで も授業 で は, 自閉症 の子 ど もたちに有効 とされている絵 カー ドや写真 カー ドを 用 いるなど,視覚 的 に訴え る手段 を多用 して きた.

これ によ って, どの子 どもに もうま く指示が通 って い る もの と思 って きた. しか し ,2 つの情報 を同時 に処理す ることが困難 な選択的注意 の障害 も, 自閉 症 の大 きな障害特性 の一つであ ると理解す るよ うに な って, これ まで絵 カー ドや写真 カー ドを提示 しな が ら,同時 に ことばで も指示 を出 していた ことが, もしか した ら自閉症 の子 ど もたちに混乱 を引 き起 こ して いたか もしれない とい うことに気づ いた. そ こ で, カー ドの提示 の仕方 を,見せ る‑ (白板 に)貼

る‑ ことばで伝 え る, とい う手順 に変 えた. この方 法が有効 か ど うか今 の ところ客観 的なデータはない が,教 師の実感 と して は,子 ど もたちが以前 よ りも 納得 して行動 している様子が伺 え る. また, この方 法 を繰 り返 しているうちに,学級 の朝 の会 で,児童 たち もこれ と同 じよ うな手順で カー ドを提示す るよ うにな った. この ことは, こち らが積極的 に意図 し た もので はなか ったが,一つの大 きな成果 ともいえ る. このよ うな指示 の出 し方一 つを とってみて も, 教師が正 しく障害特性 を理解 し, それ に配慮 してい くことが, 自閉症 の子 どもたちに有効 であるばか り でな く,周 りの子 どもたちが 自閉症 の子 どもを理解 し,相手 を思 いや る気持 ちを育 てて い くことを知 っ た.最近 は,学級 内で 自閉症 の子が待 ち時間が長 く て,パ ニ ックを起 こ しそ うにな っているときに,周

りの子 どもたちが ど うすればよいかがだんだん と分 か って きて,で きるだ け待 たせないよ うに,早 く行 動 しようとい う姿 も見 られ るよ うにな って きている.

最後 に今回の実践 を振 り返 ると,変 わ ったのは自

閉症 の子 どもたちで はな く,実 は教師や周 りの子 ど

もたちであ ったのか もしれない と感 じる. 自閉症 の

子 ど もたちに とって,今 よ うや く,不安 や苦痛がな

(11)

く,安心 して授業 に参加で きるス ター トライ ンに立 てた段階 といえ よ う. これか らは,子 どもたちが本 来持 って いる力 を最大限引 き出 し,育 ててい くため の支援 の在 り方 を求 め,実践 を重 ねていきたい.

謝辞

本研究 に参加 し,共 に授業実践 に取 り組んだ,秩 田大学教育文化学部附属養護学校小学部 の伊藤栄子 先生,西村薫先生,高橋和恵先生,島津憲司先生, 高畑多恵子先生,佐藤睦子先生,五十嵐潤子先生, 熊谷理香子先生 に深 く感謝 いた します.

注 1 ) 自閉症 スペ ク トラム障害 ( aut i s t i cs pe c t r um di s or de r ) とは, ウィング ( 1 9 9 8 ) によ って提唱 され た もので ,I CD‑ 1 0 や DSM‑ Ⅳ によ って定 義 されて い る広 汎性発達 障害 ( pe r vas i v ede ve l op‑

me nt aldi s or de r s ) と同義語 であ る.狭義 の 自閉 症 (自閉性障害) だけでな く, アスベルガー症候 群 な ども含む広義 の意味で用 い られ る. ウィング は,英国では広汎性発達障害 とい う用語 は親 に嫌 われ,混乱 を招 きやす い ものだ と述べて いる.

注 2 ) TEACCH (テ ィーチ) とは,米 国 の エ リッ ク ・ショプ ラー らが提唱 した自閉症 の支援 プ ログ ラム.特徴 と して は,学校や地域社会 を中心 に, 自閉症 の人が学習や生活 しやす い環境 を整 え,社 会参加 を支援す る総合的な支援 プ ログラム. 日本 には,佐 々木正美 によ って 1 9 8 3 年 に導入 され,全 国的 に普及 して きている.

注 3 ) この VTR は, NHK 厚生文化事業団 ( 〒1 5 0 ‑ 0 0 47 渋谷 区神 山町 4 ‑ 1 4 第三共 同 ビル 6 階, Te l . 0 3( 3 4 81 )7 8 5 5 ) の 「 福祉 ビデオ ライブラ リー」

にて無料 で借 りることがで きる.

注 4 ) この調査 は,共同研究者 の一人が 2 0 0 4 年 1 2 月 に,秋 田県内の知的障害養護学校 で 自閉症 の教育 に関す る講演 を行 った際に,講演 に先立 ち実施 し た.調査 は無記名 によるア ンケー ト方式で実施 し, 自閉症 の子 ど もたちを グルー ピング して指導す る ことに対 して,賛成,反対, どち らとも言えない, の中か ら選択 して もらい, その理 由につ いて 自由 記述 を求 めた.

文 献

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Summar y

Thepr e s e ntpape rr e po r t sonane xpl o r at o r y l e s s o nf o raut i s t i cc hi l dr e n.Thec our s ewass pe ‑ c i al l yde s i gne d,s ot hes t ude nt swi t hhype r s e ns i ‑ t i v i t ymi ghtpar t i c i pat ei nc l as s e swi t ho utundue ps yc hol ogi c alpr e s s ur e . Thepr obl e mofhype r s e n‑

s i t i v i t y has r e c e nt l y be e n not i c e d among r e ‑ s e ar c he r sandpr ac t i t i o ne r sasi ti soneoft he ma j orc aus e sofpani c ‑ S t r i c ke nbe hav i or soft hos e wi t hs e ve r edys f unc t i onalaut i s m.Ⅰ nt hepr e s e nt pr ogr am,aut i s t i cc hi l dr e nwe r epl ac e di nas e pa‑

r at ec l as sf r om t hos ewi t ho t he rt ype sofme nt al r e t ar dat i o n,s oi tbe c a mepos s i bl et ode alwi t h t he m wi t hpar t i c ul a rat t e nt i ont ot hec ommon pr o bl e m.De s pi t ei ni t i alc onc e r n e xpr e s s e d by t e ac he r s , t hepr ogr a me v e nt ual l yt ur ne doutt obe s uc c e s s f ult oal ar gee xt e nt :St ude nt se xhi bi t e da gr e at e rde gr e eofc onc e nt r at i onongi v e nt as ks t han i n pr e v i ous t ype s of mi xe d c l as s e s . Ac c o r di ngl y,t e ac he r s 'at t i t ude st owar dt hepr o‑

gr am c hange df r o m r e s i s t anc et oac c e pt anc e .The pape rc onc l ude sbye mphas i z i ngt hei mpor t anc e ofunde r s t andi nganda ppr e c i at i nguni quet r ai t s ofaut i s t i cs t ude nt so nt hepar toft e ac he r s . Ke yWor ds: Aut i s m,Se ns o r yI s s ue s ,Sc hoolf or

Me nt al l yRe t ar de dChi l dr e n

,

Educ at i o na lpr ac t i c e

( Re c e i v e dJa nuar y2 4,2 0 0 5 )

表 1 授業単元の概要 単元名 単元のねらい 児童に対するねがい 時数 ・形態 ハ ッスルタイム ・お互いのことを紹介 しあったり、 いろいろな活動を一緒に行 った バクさんに自己 りすることで、バクさんと仲良 紹介をしよう しになることができる。 ・自分の好きなことや得意なこと を、いろいろな手段で相手に伝 えることができる。 ・基礎的要求や理解が 合同 2 時間できる。 グループ3 時間・サインを用いて意思 合同 ・グループ表示ができる。1時間・可能なコミュニケーション手段を利用 し計6時間て質問に答え

参照

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