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理科授業則の研究(3)

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55

理科授業則の研究(3)

附属小学校 久賀谷   泉

@       o

§1 理科授業則の意義

ひとりひとりの子どもをしっかり育てる。それには,ひとりひとりの教師が,しっかりしなけ ればならない。そして,このためには,確かな授業をすることが求められる。1時間1時間の授業 がひとりよがりのものでなく,論理的客観的なもので確かなものでなくてはならないはず。理科 でいうなら,自然認識を確かにし,よりよい人間形成をすることとなる。

ここには,当然ひとりひとりを育てる決め手となる理科授業則があるはずである。あいまいな ことを基に判断・推理し授業をするのでなく,より確かな授業則に基づく授業が求められる。確 かな決め手を基に,ことを判断したり,推理したりするのが科学であるから。そして,この確か な手がかりこそ,確かな概念を得ているかどうかにかかっていよう。

だから,授業を科学化し確かなものにするには,より確かな授業則を基に判断・推理し,実践 せねばならないであろう。このよい授業の判断・推理の決め手となる授業則の研究の必要性は論

をまたないはずである。

ところで,理科授業で確かなことは,子どもを,自然を通し,人間形成することである。

そして,ここには,授業のシステム的考察が求められ,何がかかわり合って最適の授業とするこ とができるか研究が求められる。子どもと目標と子どもを目標に到達させる実施方法の研究がせ まられる。

つまり,理科授業のシステム的研究から,どう人間形成するかという教育の目的・目標が明確 化するはずであるし,どういう自然をつかってという具体的内容がわかるはずである。さらに,

子どもを目標にむかって,最適の授業でどう達成するかの方法がはっきりするはずである。

授 業 の シ

ス  ア  ム

目   標 子 ど も

最 適 の

・理科授業の内容は,自然で

実施方法

・理科授業の目標は,自然 である。      を通して人間形成するこ

・子どもを自然にはたらきか       とである。

けさせる。

・理科授業の方法は,探究の

過程を経ることである。

(2)

56       教育研究所紀要第四号

そうすると,理科授業則をささえるものは,ひとりひとりの子どもが,こうだからこう のはずという論理をつくってしまう。正義と真理を求めて行動してしまう。論理化・行動 化を受け入れる体制づくりをしてしまう。つまり,論理・行動・体制づくりをしてしまう 授業でなくてはならぬはず。善いことをしようと思わないでも善いことをしてしまう。忘 れようとしても,善いことはおぼえて善いことをしてしまうような前提を体系化したもの

が,理科授業則と考えている。

§2 子ども・目標・実施方法

子どもを目標に最適の実施方法で授業することによって,ひとりひとりをしっかりした子ども に育てられるはずである。そして,ここには,子どもをしっかり育てられるのであるから,子ど もがまずしっかりとらえられていることである。とするなら,子どもの研究が出発点となろう。

子どもが,外界のものをどう体内に受容するか。そして,受容したものを体内でどう統合し,

それをどう体外に転移発動していくかなどの子どもの研究がされていなくてはならないはず。

私たちか,子どもの研究をするとき,ことばはどういおうと,少くなくとも,受容・統合・転 移というような3つの思考のポイントがあるといえるし,この3つがどうなっているかの具体的

研究が求められよう。

ど も の 思 考 の シ ス

ア  ム

子どもをOであらわすと,思考のポイントは①②③である。①を受容とし,②を統合 とし,③を転移とする。

子どもの

体  内

子どもの

子どもの

体  外 刺激→情報→

受容

統合 転移 創造→行動 体  外

②自分のものとする

(統合)

①とり入れる       ③外に出す

(受容)       (転移・発動)

そして,子どもが体外から受容できるとするなら,受容できる何か決め手となるものがあるは ずであるし,それは,子どもの体内に自分のものとしてある経験なり本能が決め手ということが できよう。また,子どもの体内では,記憶とか大脳のはたらきがあるし,体外に出すときは,

内にあるものを基に体外と結びつけて転移(発動)してだしたはずである。

こう考えてくると,受容・統合・転移の順序段階の思考ポイントがあることは確かにいえるし,

目的・目標といったら,社会・個人によっていろいろの表現の違いはあっても,ひとりひとりを

(3)

.,@         久賀谷:理科授業則の研究(3)      57 幸せに生きる力をつけることであるということは確かであろう。そして,このときの決め手とな

ることは,幸福に生きられる確かな判断・推理・概念をどう得させるかということであろう。

そうすると,目標は,はじめ抽象的ことばでの概念の形をとり,1時間の授業では,具体的内 容の概念の形であらわされることになる。しかも,授業というときは,実施方法が目標・内容に

実 際 の 授 業 シ ス

ア  ム

ついてくるので,具体的には,

子どもをいかに最適に実施す

目  標

るかの①計画②評価③教材

③●教 材

叢適

④過程⑤技術⑥施設の研究

の が求められる。

●計画する

実 ④●過 程 {する ⑤●技 術

方法で実施

●評価す

つまり,子どもにどう目標 到達させるかの計画が求め

o

⑥●施 設

する る

られ,この計画に基づき実施

し,この計画に基づく実施方

法がよかったかどうか,評価 子 ど も

することになる。この計画・

実施・評価の繰り返しの高ま りによって,しっかりした教師となることができるはずである。

そこで,計画に基づいて実施するには,教材が用意されなくてはならないし,子どもに用意 された教材をどのような順序段階ではたらかせるかの 過程が用意されなくてはならない。ま た,子ども,目標がこうだから,この教材・この過程をとったことが具体化できる 技術が求 められるし,その教材・過程・技術を援助する 施設が求められる。

§3 計画研究

どう計画をたてるか。計画には,子ども・目標・実施方法を前提としなくてはならないし,評 価を前提としなくてはならない。具体的には,学習指導案(授業案)の形をとるし,ここにどう

いうものをもりこむかが求められる。

子どもに何をはたらかせて,どう変容させるか。具体的に何をどういうものと決めるか。変容 は,具体的には目標であるから,変容は,こうだから,こういうものをはたらかせなくてはとい

うことで,何をが決まるはずである。

そうすると,あるものがあって,あるものが作用したとき,ある現象が起こるということ(因 果関係)や,あるものがあるとすれば,それは,いくつかのまとまりとしての類か,それを構成 するひとつのもの個(類と個)で,自然をとらえ,こうした因果と類の論理を,基にした自然を 通し人間形成をどうするか,具体的に計画すればよいことになる。

(4)

58      教育研究所紀要第四号

子どもにほたらかせるもの(自然)とは

○あるものに,あるものが作用して,ある現象が起こる。あるものは,まとまりとして ての類か,そのひとつとしての個である。

も の     +      も の   一一→  も の 性 質       はたらき      現 象

・個か類か,どちらか     個か類かどちらか   ・個か類かどちらか

・生物か非生物か     ・生物か非生物か    ・生物か非生物か

・物質      。物質         ・物質

・エネルギー         ・エネルギー        ・エネルギー

○類と因果の理論に基づき,具体的に授業にとり入れる自然(教材)を選び出す。

理科では,子どもにはたらかせるものは,ある自然のものに,ある自然のものを与えて,そこ に起こる自然の変化や現象を基に考えさせ,その考えることを通して人間形成をすることになる。

このある自然のものを,具体的にどんなものを授業に用意するかが,計画研究で大切なことで ある。実際は,文部省発行の学習指導要領に述べられている。しかし,要点のみである。

たとえば,1年の「くだもののしる」などでは,くだものに布をかぶせ,(くだもの+布)そこ で,何のくだものか考えさせることを通して,かたち・大きさ・においなどから,リンゴとかミ カンなどを決めていく。そこで,リンゴとかミカンとか決めた確かなもの(かたち・におい・大 きさなど)が問題にされ,さらに,くだもののしると水とを比べさせることにより,(しる+水)

考えさせ,そこに確かに違いがあるということの決め手を,あぶりだしに求めている。

これらは,さらに2年では,「水+せっけん一→せっけん水」で,考える理科の授業が用意され,

3年では,「水+ほう酸一→ほう酸水」,4年では,「水+食塩一→食塩水」というように計画されて

いる。ここには,一貫して,「あるものがあってそこに,あるものが作用することによって,あ る現象が起こる」ということについての具体的計画が学習指導要領に述べられているといえよう。

また,リンゴ・ミカンなどをくだものとまとめる類の論理と,ミカンという個が用意されてい る。そして,個と類の論理が具体的に計画されなくてはならないことになる。

§4 評価研究

子どもは,教師によって計画され用意された教材・過程・技術・施設で実施され,授業という ことばで表現される。そして,計画に基づき,実施されるがそれだけではない。この実施の結果 や行為が,目標に到達したかの価値を決める評価があって,これが授業ということばで,表現さ

咽P ・   ツ

(5)

久賀谷:理科授業則の研究(3)      59

そこで,評価には,子どもがこうであったものが,こう変容したということがなくてはならな い。だから,変容つまり目標がはっきりしていないことにはどうにもならないし,子どもは,こ うであったということがわかっていなくてはならないことになる。ここに,授業の研究の出発点 は,子どもであり,目標であるという位置づけがあるのである。

しかも,教師のこのおさえ方と,教師の実施方法のあり方の反省吟味のかまえがなくてはとい うことで授業結果・過程の評価が求められる。

そして,評価は,具体的には,子どもにテストなどをはたらかせて,子どもをとらえ,目標

(変容)を明確におさえておいて,実施方法の授業を変えつつ進めている。このテストなどによ りは,ペーパーテストのみを意味しない。このことにより,子どもが,価値あるものを創造する ときの,たしかな概念が得られたか。たしかな概念を基に,判断・推理ができるか。子どもの変 容に加速度が加わっているか。等々の評価をすることになる。

さらに,授業の積み重ねにより,概念を得るし方がはやくなL、,しかも,質量共に多く得られ る変容加速効果の判定がされなくてはならないことになる。

ここには,教師の評価が中心となり,授業における子どもの自己評価・教師の自己評価・子ど もと子どもや教師と子どもなどの相互評価・教師の評価・絶対評価・相対評価などが,具体的問

題としておこってくるはずである。

§5 評価研究と授業の最適化

評価は,実施や行為の過程・結果の価値を決めることであろう。この行為の過程・結果の価値 は,目標にどの程度達しているかということで判断する。だから,評価は,目標達成のための実 施方法・計画がよいかを決めるものであり,この決め方は,目標にどれだけ達しているかによっ

て価値づけられなくてはなちないはず。

もし,よいという評価をうけたとすれば,目標達成実施方法がよいわけで,まず,目標に到達 していることがあげられる。しかも,このとき,目標そのものが子どもに合っているかどうか。

実施方法も子どもにとってよかったかどうか。評価そのものもよかったかどうか。評価されなく

てはならないはずである。

そして,評価では,目標ちがいの判断を下さないことが,最も大切であるはず。だから,評価 は,目標の研究,つまり,計画研究における目標のとらえ方の吟味反省が前提となる。勿論,子 どものとらえ方が含まれる。さらに,評価が重視されることは,目標の吟味と同時に,目標の到 達度をどう測定するかも要求される。

そして,目標は,教育の考え方・目的によって決まるし,到逢度は,子どもの受容・統合・転 移(発動)の様子から判断することができよう。

子どもは,体外から自然を受容するとき,あるものは積極的にとり入れ,あるものは排除する。

そして,受容は経験・本能を基にするし,受容したものは,自己の先行経験と同化したり,記憶      」

      の オたり適応したりして統合し,自分の体内のものとする。また,こうしたものは,体外とのかか わり合いで,いろいろな形で体外へ転移曳発動)していく。 これらの受容・統合・転移(発動)

(6)

60       教育研究所紀要第四号   ..

のあり方が,子どものわかり方の順序・しくみと考えられるし,これらの受容・統合・転移の様 子が,子どもの評価の決め手となろう。

この子どもの自然を認識していく過程や,自然認識の成立過程にとって,最適のように授業を もっていくよう,評価のはたらきがされなくてはならないはずである。そして,評価によって,

教師にとっても,子どもにとっても,最少の労力で最大の効果があがるような授業とされなくて

はならないはずである。

このため,授業のシステム化をはかり,「目標→実施→評価」の系の具体的研究と,子どもの自然

認識の成立過程の研究をせねばならないことになろう。

§6 教材・過程・技術・施設研究

子どもは,目標に向かって,ある過程をとり,ある技術と施設の援助をうけ,教材で学習する。

教師は,子どもが,目標に到達するよう,教材に,過程・技術・施設のはたらきを加え,指導す る。この目標達成のための教材・過程・技術・施設の実施方法には,具体的計画が前提となるし,

実施後の目標到達の度合をみる評価が求められる。

従って,計画研究は,目標を明確にし,この目標をいかに効率的・経済的に最適化の方法で到 達するかの実施案をつくることであり,実施した後の評価の実施案をつくることでもある。

また,目標到達のための実施方法としての,教材・過程・技術・施設の研究は,方法であるか ら,目的のためには手段を選ぱずの立場をとり,柔軟性をもち,創創性があるものでなくては ならないはずである。こうでなければならないといったものではないはずである。

ただし,これ二れの前提条件なら,こうのはず,といった,前提条件を基にしな論理に従う実 施方法がとられなくてはならないであろう。そこで,この実施方法(教材・過程・技術・施設)

は,具体的に,自然についての概念と,自然認識の成立過程が問題となうり。

どういう自然の概念(教材)をどういう過程で,自然認識させるか。このときの具体的にどう いう教材・過程・技術・施設が必要かが問題となる。この教材・過程・技術・施設の研究は,実 施方法の具体的内容としてまとめあげられる。

ここで,自然の事物現象についての統一的タイプを前提にして考察を進めることが求められよ う。つまり,次のような因果・類の論理である。

○自然現象は,あるものに,あるものが作用したどき起こる。(物とものと現象)

○自然の個々の事物現象は,あるなかま(類)に位置づけられる。(個と類)

だから,物・もの・現象の3つの関係を自分で組み合わせ,概念を形成する訓練・指導と,物

(7)

久賀谷:理科授業則の研究(3)       61

と物・ものともの・物ともの・ものと物の対比対照から類か個かを位置づけ概念を形成する訓 練・指導をすればよいことになる。この訓練と指導が,最適の状態で子どもに実施できるような        、業が,理科の授業といえよっ。

そして,事象は,対比対照により,なかま(類)としてかそのものだけ(個)(これ)として

  、

ゥの概念にまとめられる。また,事象は,ものとものの作用関係で概念にまとめられる。この概 念形成は,論理的客観的でなくてはならない。そして,このことにより,自然認識と科学的能力

や態度を育てることができよう。

§7 実施方法と具体的事物現象のとらえ方

光は直進する。この現象は,光とスリット・スクリーンによって論証ができるし,光とスリッ

ト・煙によっても論証できる。

○光源+スリット・スクリーンー→直進する

○光源+スリット・煙    一→直進する

光は屈折する・反射する。この現象は,光に,スリット・スクリーン・質の違う物をはたらか

せることによって論証できる。

○光源+スリット・スクリーン・質の違う物一→屈折・反射する

この水容液は,炭酸水である。CO,が溶けている。ということは,炭酸水に石灰水を作用さ

せることによって論証できる。

○炭酸水+石灰水一→白くにごる

(CO、が溶けている)

このようにあるものにあるものを作用させることによって,ある現象がおこり,このもの・も の・現毒から, ものの性質・はたらき・現象がわかる。だから,でんぷんによう素液をはた

らかせると起こる現象から,でんぷんであることがわかり,同時に,でんぷんはよう素液にあう と青むらさき色となる性質がわかり,よう素液の検出のはたらきもわかる。こう考えてくると,

すべての現象は,あるものとあるものとの作用によって起こるとまとめることができる。勿論,

この もの は,類の場合も個の場合もある。

○もの+もの一→現象   ○現象一→もの+もの

(8)

62      教育研究所紀要第四号      ㌔1

赤さびがある。鉄に水・酸素が作用してできる。黒さびがある。鉄に熱・酸素が作用してでき

る。

@    踊

OFe+水・02−→赤さび  OFe+熱・02−→黒さび

とにかく,事物現象を互いに関連づけ考察させないかぎり,物の性質・現象・はたらきはわか

らない。

関係

だから・ 実施方法の研究

   づけ

w 年

「もの+もの一→もの」の具体例

(教材・過程・技術・施設の

研究)は何と何を関連づけ,

○水+花・カー→水ぽいものがでる

考察させることが,子どもの

1 年

○水+くだものの汁一→水ぽいものがでる

○水+その他一→しる 人間形成にとってよいかの具 体的事物現象のとらえ方にか

○水+せっけん一→せっけん水 かっているといえよう。現行

2 年

○水+その他一→○○○水 指導要領では,たとえば,次

のようになっているといえよ

○水+ほう酸一→ほう酸水

3 年

○水+その他一→○○水

う。

こうとらえると, ものとも

○水+食塩一→食塩水

のと現象の関係づけの中で,

4 年

○水+その他一→○○水 ひとつには,水というものを

選び出し,水というものを具

○水+CO2−→炭酸水

○水+HCI−→塩酸 ■体的な教材として選び出し,

○水・HC1+石灰石一→CO2

これに花・くだものの汁・せ

○水+H202−→過酸化水素水

っけん・ほう酸・食塩などの

5 年

○水・H20渉二酸化マンガンー→02 教材を具体的に選び出し,作

○水+NaOH−一→水酸化ナトリウム水

用させることによって,考察

○水+アンモニアー→アンモニア水

○その他 させる具体的な過程・技術・

施設によって,自然認識をさ

@ 曹

○水・HCI+A1−→H2・新しいもの せ,科学的能力・態度を育て7

○水・HC1+Zr→H2・新しいもの

人間形成をしようとしている

○水・HC1+水・NaOH−→NaC1

6 年 わけであろう。

○水・02+Fe−→赤さび

○水・02+Fe→黒さび

以上は1例であるが,理科

○その他 の授業は,具体的に選らばれ

た「もの+もの一→現象」や

      F

u現象一→もの+もの」の因果関係や類と個が,1調べる・探究する」という「まとまり」に計画

(9)

久賀谷;理科授業則の研究(3)      63

され,このまとまりとまとまりは,下図のように,順序性・関連性・方向性をもつよう計画され,

実施されるものであろう。そして,このまとまりは,問題解決システムのまとまりである。しか も,問題解決が方向をあやまらないよう,課題・事物現象・先行経験でおさえる教材・過程・

順序性

まとまり 1    まとまり2   まとまり3

問構考吟

蟹塞墜盟

方向性

問予実答  性

題想証え

→→→

))))

問題解決のまとまりには,順序性・関連性・方向性がある。

技術・施設をとる。また,教師は,目標に基づき提示し,子どもの反応をチエックし,制御する

@    問題解決のシステム

課題(課題意識)

子ども ?̲瀧\糠吟/罷

先行経験       ■    ●

@        / /\

   一■一一引D酔

事物現象

し,子どもは,経験を基に受容・統合・転移するようにしているのが,理科授業というものであ

ろう。

§8 理科授業則ともいえるもの

理科授業が実践されるとすれば,そこには,より善くなりたい子どもがいるはずであるし,子 どもをより善くしたい教師がいるはずである。そして,どう善くなりたいか。どう善くしたいか。

の目楳があるはずである。また,どういう授業の方法で進めることが,目標達成の最適化である かということがとりあげられるはずである。

つまり,授業実施には,子ども・教師・目標・実施方法があり,これらの研究をせねばならな いことになる。しかし,実践者の研究の具体的ことは,学習指導要領等で,目標・子ども・教師

・実施方法には,かなり具体的伝承事項があるので,この伝承内容をどう実際に活用しさらによ

い授業を創造ずるかということになる。

そこで,現実の子ども・目標をこうと予言し,判断・推理するので,この計画をし,これに基 づき,実施し,その流れや結果を評価することになる。そして,実施には,教材が用意されなく てはならないし。教材配列の順序段階の過程が用意されなくてはならないし,そうできる技術や

(10)

64      教育研究所紀要第四号

施設設備準備資料がなくてはならないはずである。とすると,計画には,評価・教材・過程・技 術・施設の具体案が学習指導案(授業案)等として用意されなくてはならないことになる。

そうすると,授業を計画するにあたって,どうしてもとらわれなくてはならないもの,理科で

いうなら理科授業則とでもいうべきものがあって,そのパターンに基づき,さらによい授業者の       ●

パターンが創造されなくてはならないことになろう。次に,留意すべき授業則ともいうべき手が

かりの一例を述べる。

○子どもの判断・推理・概念のべ一スになるものを明確化する。

子どもに,発問や事物現象として提示するものは,子どものどのような判断・推理・概念を求 めるのか,それとも育てようとしているのか,はっきりさせねばならない。

そして

○授業でやったことが,ひとつのこらず積み上げられる。とするならこれこれなら,

こうなるはず。これこれなら積みあげられるはずの論理が求められる。

ということが大事にされなくてはならぬ。

さらに

○授業は,適切な訓練と指鴻によって,子どもを目標に到達させるものでなくてはならぬ。

なら,授業は,子どものもっている能力を生かし,子どもがより善く生きていける力をつけるこ とでもある。そこで,子どもに,何をはたらかせて,子どもが何をわかることによって,子ども をよくするかが問題となる。具体的には,理科では,どのような自然を学習としてとりあげ,訓 練し,指導すれば,子どもをよくすることができるかということになる。だから,

子 ど も       自   然        目  標

(能力・雛)+ ョ搬現象)→ (人間形成)

ひとりひとりの子どもの能力・特性を伸ばすのが,授業である。そこで,現にある子どものもつ 能力・特性に,何を加えてということで,「自然にはたらきかけるということ」で,理科の授業と

(11)

久賀谷:理科授業則の研究(3)      65

 、

「っことになる。そして,自然をどう選ぶかということは,子どもをどのような人間形成をする かということで決まる。つまり,論理的客観的に自然認識し,創造する能力・特性を育てるため,

どのような自然をとりだすかということになる。

ここで,自然というものは,これとこれとこれというように個(これ)から成り立ち,そして,

これらはある観点から類(なかま)にまとあられ,統一と調和の上に成り立っている。そして,

これは,時間・空間・純感覚で,あれにもなり,それにもなり,これとこれである現象を起すの

もあれば,起こさないものもある。

とするなら,「もの+もの一→現象」と「これとなかま」のすっきりしたものを取り出せばよい。

この取り出し方は,あくまでも子ども中心であり,教師の側や教材の側から出発しないことであ るはず。このような子とするため,このような「これとなかま」「もの+もの一→現象」として,

これを選んだとせねばならねはず。そこで,

○どのような自然を,子どもにどうはたらかせるか計画し,その計画に基き実施し,評 価する。の繰り返えしをする。       

そうすると,このような自然で子どもを人間形成すると選ばれたものは,教材となる。教材が決 まれば,与え方が問題になり,順序性としての過程やどのようなやり方でということで技術がと りあげられ どんな環境でということで施設が研究されなくてはならないことになる,そして,

目標に,この教材での訓練と指導が最適であり,どれだけ達成したかということで評価がされる。

そして,ここには,「子どもが,自分の生活や学習のレベルでしかものは考えられない」という 事実から,

○自然をわかるあるパターンを訓練と指導をし,子どもなりのわかり方のパターンを創

造する訓練と指導をする。

ことをする。

つまり,子どもは,CO2があればあるものとあるものがあったはず。とすれば, Cがあって,

02と熱がはたらいて,CO2や熱や光ができた。また,HC1と石灰石がはたらき合って,CO2がで きたなど。また,水とせっけんでせっけん水ができた。水とほう酸でほう酸水ができたなど。

「もの+もの一→現象」についての子どもの自然についての学習訓練と指導が前提となって,提

示された自然について考え,目標に到達する。      ●

そこで,理科授業の研究は,

(12)

66      教育研究所紀要第四号

○植物・岩石の名前などおぼえさせ知らせる研究から教育研究は出発しない。物理学・

化学などの学問を教えることから教育研究は出発しない。どういう理科授業とすれば 子どもをよりよい人間形成ができるかから教育研究は出発する。

どうしたら,一番よい子どもの先生となれるかから出発する。自然科学研究所・自然科学者のま ねごとから出発したり,動物学・植物学・鉱物学・物理学・化学の学問をすればよいものではな いはず。また,外国の教育詔介の研究が現代理科教育研究ではないはず。これらは手段である。

教育の出発点は子どもである。もし,理科が,子どもぬきに自然科学が論じられたら,もはや,

理科ではなく自然科学研究そのもので,理科教育研究ではなくなるであろう。

  教青における理科授業は,子どもの人間形成を,どのような自然で,どのようにするか。また,

自然でどう人間形成ができるかにかカリている.子どもをおきざりにし教材研究と称し・自然 科学者のまねごとをすることが,理科教育研究とはならないようにしたい。

ここには,一体どんな理科授業をすると,一番よい子どもの先生となれるかが反省吟味され,

これが体系化され統一され,いつでも次に使えるパターンが求められ,これが理科授業則として,

次の創造の源とならなくてはならないはずである。どういうパターンか,

○子どもに自分で考え行動できるパターンをつくってやる。

ということが,前提になくてはならないはず.自分で考え,この考えに基づき行動することに間 違いがない.ここに,科学のもつ,正しいことを基に,判断し・推理し・概念化することが・理 科の授業で取り入れられねばならない理由があろう。つまり,

○何を基に判断・推理しているか反省吟味させ,科学とは,正しいことを基に判断・推 理することであることの訓練と指導をする。

また,

○これがこういえるなら,これも同じ類だから,こうなるはず。こんなことがおこるは

ず。これこれがあるはず。

さらに,

○もし,変化してできたものなら,何かに何かが,作用してできたはずで,この何かを

はっきりする。

(13)

久賀谷:理科授業則の研究(3)       67

というようなことが子どもの研究から具体化され,論理的客観的に自然認識させる過程が,

問題解決・問題解決の連続のかたちになるような授業とせねばならぬ。つまり,子どもの探究の 過程によって,自然認識と科学の方法が習得される授業とせねばならぬ。そして,

○予言し決断し実行することに科学性がある。

ということが理科授業にあらわれている。しかも,次から次へと広がる経験は,広うがるほ呂 単純化され統一されて,次の予言や決断の創造の基になるパターンとなるようにせねばならない

であろう。そして,ここには,

○一貫し,例外なく,繰り返し,時間をかけるものは何か。の具体的パターン・具体的 とがらの教育システム化がされている。

というような研究が,理科授業則ともいえるものの具体化につながるものと考えている。

§9 理科授業則(その1)

理科授業の小前提      よくなりたい人がいて,よくしたい人 がいるから,教育現象が起こる。そこで 目標       よいとは何か,よくなるとは何かの思考 と行動がはじまる。つまり,よいとはこ

。。.教材 鹸   ・ んなことをいう旧標・目的・理念が論

計 実 ・過程    の助      評

諱@施 ・技術    方・     価   じられ研究される。

葛葛 施設 滞  葛 そして,よくなりたい人力旧標にむか

って,労少なく最大の効果があがるよう 反応チエック     よくなりたい人をよくしようと,援助す

る人が教育者であり,よくなりたい人が

学習樗  教亨者   学瀦である・この学習者は・教龍の 統合    提示    提示に従って・受容し・統合し・転禾多す

制御    る。この受容.統合・転移は,教育者に 転移

よって,反応チェックされ,制御されて,

目標にむかって,最適の方法で到達するようがんばるわけである。

しかも,この学習者・目標・実施方法・教育者の状況を小前提として,さらに大前提としての 原則,理科でいうなら,理科授業則をもとに結論をだしながら,実際の学習はおこなわれる。

(14)

68      教育研究所紀要第四号

理科授業でいうなら,学習者,つまり子どもをどうとらえ,目標をどうとらえ.最適の実施方 法とはどうとらえるか,教育者,つまり,先生はどうあるべきかをきめる大前提があるはず,こ れはひとつとして次の6つにまとめることができよう。

○理科授業の大前提(理科授業則 その11 oすべての「もの」には,「わけ」がある。

○すべての「もの」は,ある「なかま」に属し,ある「あつまり」である。

○すベマの「もの」は,ある「もの」とある「もの」のはたらき合いからである。

○すべての「もの」には,ある「順序」があり,ある「証拠」とするものがある。

○すべての「もの」には, 「きまり」 「パターン」 「システム」がある。

Oすべての「もの」には, 「にかよったもの」 「逆のもの」がある。

理科授業の大前提 そして,現実の子どもの状況・教師

①わけ(因果)

の自己の実態・人間モデルとしての目

↑1 標把握・実際の授業状況などを,とら

鷺\大1∫提)/⑥犠∵のもの えて,授業という行動で教育している。

アの,現実の状況をとらえることがで

(類と個) 理科授業則

き,行為できることには,理由がある

③ものともの/i\⑤きまり.パターン

@       I        l        ↓    ・システム わけである。何か子ども・目標・実施

菇@・教師をとらえることのできる原

④川頁序・証拠 理原則があるはずである。とらえる・

受容できる法則があるはずである。と

○大前提+小前提→結論

○原理原則+現実の状況→行動

○理科授業則+子ども・目標・実施方法・教師→理科授業実施

らえ受容できることができるのには,よってたつ原理原則がなくては,とらえられないはずであ る。そして,それをもとに,現実をとらえ,そこから結論をだし,行動しているのであろう。

つまり,何か現実の状況をとらえ受容できる原理原則としての大前提があつて,この大前提にた

いして,実際のあ『りのままの姿としての現実の状況を小前提として,この大前提と小前提から,

結論のあらわれとして行動化するわけであろう。この大前提を意識的に提案せねば。

〈主文献〉 ・文部省小中高理科指導書・広大教授姥谷米司著作書・拙筆「理科授業則の研究」

・その他略。

参照

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