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8 単原子結晶

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Academic year: 2021

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(1)

8

単原子結晶

8.1 Dulong-Petit

の法則

金属結晶のモル熱容量はおおむね

3R

になる(

Dulong and Petit, 1819

年)

その後,低温では

Dulong-Petit

の法則から下にずれ,絶対

0

度に近づくと熱容量が

T

3に比例することが わかった。また,

T

のスケールを適当に調節してグラフにすると,熱容量の温度依存性は別々の金属でも一本 の線に乗ることもわかった。

Pb (Θ = 88 K) Debye

Einstein

0.0 0 10 20 30

3R

0.5

C / J K mol

T / Θ

1.0 1.5 2.0

D Ag (Θ D = 215 K) Cu (Θ D = 315 K) Fe (Θ D = 420 K)

D

11 p

8.2 Einstein

のモデル

結晶中の原子は全て独立な三次元調和振動子であり,一つの原子の三方向の振動も全て独立であると見なす。

さらに,全ての振動子の振動数は等しく

ν

E であると見なす。つまり,

Einstein

のモデルでは,

N

個の原子か らなる結晶を

3N

個の等価な一次元調和振動子に置き換える。

8.2.1 一つの振動子に対する分配関数

調和振動子とは,

Hook

の法則に従うような(復元力が変位に比例する)振動 ポテンシャルエネルギーは,

k

を力の定数として

V (x) = 1 2 kx

2

(8.1)

このときの振動数

ν

ν = 1 2π

k (8.2) m

303

(2)

ε =

0

− h ν 2 1 ε =

1

− h ν

2 3 ε =

2

− h ν

2 5 ε =

3

− h ν

2 7 V(x) =kx

2

2 1

振動数

ν

の一次元調和振動子のエネルギー準位(

n

は振動の量子数)

ϵ

n

= ( 1

2 + n )

hν, n = 0, 1, 2, 3, · · · (8.3)

これ以降,

Einstein

モデルを仮定した場合の振動数という意味で

ν

ν

E と書くことにする 一振動子の分配関数

q

v

=

n=0

e

ϵn/kBT

(8.4)

= e

E/2kBT

n=0

e

nhνE/kBT

= e

E/2kBT

n=0

(

e

E/kBT

)

n

= e

E/2kBT

1 e

E/kBT

= e

Θ/2T

1 e

Θ/T

Θ =

E

k

B

(8.5)

T → ∞

では

q

v

k

B

T

E

T 0

では

q

v

e

E/2kBT

· · ·

基底状態しかないのと同じ

8.2.2 分子分配関数

x, y, z

3

方向それぞれについて調和振動子であり,かつポテンシャルが極小のとき

V

0 なので,ポテン シャルエネルギーは

V (x, y, z) = V

0

+ 1

2 k(x

2

+ y

2

+ z

2

) (8.6)

このポテンシャルのもとで運動する粒子のエネルギー準位は,量子数を

3

つ使って

ϵ = V

0

+

( 1 2 + n

x

)

E

+

( 1 2 + n

y

)

E

+

( 1 2 + n

z

)

E

(8.7)

従って,分子分配関数は

q =

nx=0

ny=0

nz=0

e

ϵ/kBT

(8.8)

= e

V0/kBT

e

3hνE/2kBT

×

nx=0

ny=0

nz=0

(

e

E/kBT

)

nx

(

e

E/kBT

)

ny

(

e

E/kBT

)

nz

= e

V0/kBT

q

v3

304

(3)

8.2.3 カノニカル分配関数と熱力学量 結晶全体で

N

個の原子があるとすれば

Q = q

N

= e

N V0/kBT

q

v3N

(8.9)

固体の場合,分子運動の波動関数は空間全体には拡がっていない。隣の原子に囲まれて狭い範囲に押し込めら れている。よって,各原子は化学的には区別できないが,位置によって区別することが出来る。この理由で

N!

でわる必要がない。

A = k

B

T log Q = N V

0

3N k

B

T log

( e

Θ/2T

1 e

Θ/T

) (8.10)

= N V

0

+ 3

2 N hν

E

+ 3N k

B

T log(1 e

Θ/T

) U = k

B

T

2

( log Q

∂T )

V,N

= N V

0

+ 3

2 N hν

E

+ 3N k

B

T

( Θ/T e

Θ/T

1

) (8.11)

S = U A

T = 3N k

B

[ Θ/T

e

Θ/T

1 log(1 e

Θ/T

) ] (8.12)

C

V

= 3N k

B

( Θ

T )

2

e

Θ/T

(e

Θ/T

1)

2

(8.13)

T 0

の時

S 0 (8.14)

E N V

0

+ 3 2 N hν

E

(8.15)

C

V

3N k

B

( Θ

T )

2

e

Θ/T

(8.16)

実験では

C

V

T

3

それよりは速く

0

に近づく

T → ∞

では

E 3N k

B

T (8.17)

等分配の法則

C

V

3N k

B

= 3R (8.18)

Dulong-Petit

の法則と一致

8.3 Debye

のモデル

8.3.1 振動数の分布

log Q = N V

0

k

B

T + 3N log q

v

(8.19)

この式の最後の項は,同等な振動子が

3N

個あるので

log q

v

3N

倍になっている。

振動数の違う振動子の集まりだったらどうなるか。振動数が

ν ν +

の範囲にある振動子の数が

g(ν)dν

であるとする。振動子の数は全部で

3N

だから

0

g(ν)dν = 3N (8.20)

305

(4)

でなければならない。そして

log Q = N V

0

k

B

T +

0

g(ν) log q

v

(ν)dν (8.21)

Debye

のモデルでは,

g(ν) =

 

  9N ν

2

ν

m3

(0 ν ν

m

) 0 (ν > ν

m

) (8.22)

このようなモデルがでてくる考え方については省略する。

8.3.2 熱力学量

U = N V

0

+

νm 0

(

2k

B

T + hν/k

B

T e

hν/kBT

1

)

ν

2

= N V

0

+ 9N k

B

T u

3

u 0

( x 2 + x

e

x

1 )

x

2

dx (8.23)

x = k

B

T (8.24)

u = Θ

D

(8.25) T

x = k

B

T (8.26)

Θ

D

=

m

k

B

(8.27)

C

V

= 3N k

B

[

4D(u) 3u e

u

1

] (8.28)

D(u) = 3 u

3

u 0

x

3

e

x

1 dx (8.29)

T → ∞

では

C

V

3N k

B となり

Dulong-Petit

の法則と一致

T 0

では

C

V

12

5 N k

B

π

4

( T

Θ

D

)

3

となり実験の

T

3 と一致

演習問題

8-1.

分子数

N

の単原子結晶の化学ポテンシャルが

µ = A

N

で近似的に与えられるとする.平衡における蒸 気圧を求めよ.ただし,結晶は

Einstein

のモデルにしたがい,気体は理想気体であるとする.

8-2. Einstein

のモデルにしたがう単原子結晶の

300 K

におけるモル熱容量が

2R

であった.

R

は気体定数 である.

(1)

その結晶の特性振動数

ν

Eを求めよ.

(2) 100 K

におけるモル熱容量を計算せよ.

(3) 300 K

における

1

モルあたりのエントロピーを求めよ.

8-3.

単原子結晶に対する

Einstein

のモデルでは,全て同一の振動数

ν

E を持つ

3N

個の調和振動子を取り 扱う.もしも,振動数が全て異なる

3N

個の調和振動子を考えた場合にも,十分高温で

Dulong-Petite

の法則が成り立つことを示せ.

306

参照

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