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球状黒鉛鋳鉄の疲労特性に関する実験的研究

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Academic year: 2021

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Title

球状黒鉛鋳鉄の疲労特性に関する実験的研究( 内容の要旨

(Summary) )

Author(s)

福山, 邦男

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第010号

Issue Date

1995-03-24

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1731

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学位の種類 学位記番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委員 福 山 邦 男(岐阜県) 博 士(工学) 甲第10 号 平成 7 年 3 月 24 日 生産開発システム工学専攻 球状黒鉛鋳鉄の疲労特性に関する実験的研究 (主査)教 授 丸 井 悦 男 (副査)教 授 藤 井 洋 教 授 戸 梶 泰 郎 助教授 長谷川 典 彦 論文内容の要旨 球状黒鉛鋳鉄は,黒鉛と基地組織から構成された複合材料で,基地組織の種類,

黒鉛や微小鋳巣等の形態,大きさや数量等,疲労強度や疲労寿命に対する影響因

子が多く,それらが互いに影響を及ぼし合っているため,他の金属材料と比較し て,疲労強度特性が非常に複雑なものとなっている.また,鋳造ブロックにおい て凝固条件や冷却速度が部位によって異なり,そのため同一ブロック内であって も組織の違いや黒鉛,微小鋳巣等の分布のばらつきを生じていることが指摘され ている.したがって,球状黒鉛鋳鉄の疲労強度の評価を適正にするためには,基 地組織や黒鉛性状を定量的,統計的に把握し,それらを統一的・体系的に強度評 価に組み入れることが不可欠である. 本研究では,フェライト(FDI),フェライト/パーライト(FPDI),パーラ イト(PDI)およびベイナイト(ADI)の4種の基地組織の球状黒鉛鋳鉄を用いて, 疲労強度,疲労寿命分布特性,疲労き裂進展特性および疲労き裂源の種類,大き さ,位置等を調べ,鋳造Yブロックからの試験片採取位置の違いが疲労強度に及 ぼす影響や基地組織と疲労寿命の分布特性の関係について統計的に検討している. また,ADIの中高温における疲労限度,疲労き裂発生源の種類,位置等を調べ, 疲労強度および疲労き裂発生挙動の温度依存性を調査している.さらに,各基地 組織の静的強度と疲労強度の関係について検討するとともに,破面上で特定され た疲労き裂源の種類,形状および位置を定量的に把握し,高強度鋼の微小欠陥の

定量的評価を目的として提案された欠陥の√蒜。aX(基地組織に分散する介在

物のうち最大のものを最大主応力方向に投影した投影面積の平方根)と欠陥近傍 のビッカース硬さをパラメータとした疲労限度予測式が,基地組織中に黒鉛や微

小鋳巣等の介在物を含む球状黒鉛鋳鉄の疲労限度の予測に適用できるかどうかに

ついても調べている. 第1章では,球状黒鉛鋳鉄の疲労強度に関する現在までの研究結果の現状と問

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第2章では,FDI,FPDI,PDIおよびADIの4種の基地組織を有する球状黒鉛鋳 鉄の疲労特性におよぽす鋳造Yブロックからの試験片採取位置及び基地組織の影 響について調べ,FDI,FPDIでは,鋳造Yブロックからの試験片採取位置による 疲労強度,疲労寿命に差異が存在し,下部から採取された試験片のほうが疲労強 度が大きく,疲労寿命も長寿命であること,PDI,ADIでは疲労限度および疲労寿 命とも,試験片採取位置による影響を受けないことを明らかにしている.また, 球状黒鉛鋳鉄の疲労強度の統計的性質を調べ,寿命分布特性に及ぼす基地組織の 影響を調べた結果,FPDIおよびPDIは,疲労強度,そのばらつきともほぼ同程度 の材料であるが,FDIは,疲労限度が低く,ばらつきが少ないのに対して,ADIは, 疲労限度がかなり高く,ばらつきが大きいことを示している.さらに,球状黒鉛 をき裂発生源とする疲労寿命を示すものは,FPDIを除いて,基地組織の硬さ値の 高いものはど少なくなり,微小鋳巣をき裂源とするものが多くなる傾向のあるこ とも明らかにしている. 第3章では,ADIについて,室温から400℃までの温度範囲で回転曲げ疲労試験 を行い,疲労強度の温度依存性について調べ,ADIの中高温における疲労限度は, 300℃付近で繰返しひずみ時効による顕著な極大現象を示すことを見い出してい る.また,この疲労限度が極大となる300℃以上の温度において,残留オーステ ナイトの変態に起因する基地組織の微細化および硬さの上昇を確認している.こ の温度への加熱により,炭化物の析出に関連したはs点の上昇となり,変態が生じ やすくなるとともに,繰返し応力の影響により加工誘起変態も生じ 変態および 微細化が完了する温度が,未変形領域に比べ,50℃ほど低■】Fすることを実験的に 確認している.さらに,中高温における疲労破壊は,残留オーステナイトの変態 および繰返しひずみ時効による表面の硬化に起因して,内部に存在する黒鉛や微 小鋳巣からのき裂発生によるものが多くなることを明らかにしている. 第4章では,FI)I,FPDI,PDIおよびAI)Iの4種の基地組織を有する球状黒鉛鋳 鉄について,静的強度と疲労強度の関係について検討するとともに,破壊起点と なった疲労き裂源の種類,大きさ,位置等が疲労寿命分布特性に及ぼす影響につ いて調べ,FDI,FPDIの疲労き裂源は,球状黒鉛が全体の半数以上を占めている が,PDI,ADIでは,微小鋳巣が全体の半数を占め,実際にき裂源となった球状黒 鉛は,試験片表面直下に存在する最大の黒鉛ではなく,平均粒径より若干大きめ

の球状黒鉛であることを見い出している.また,欠陥のJ蒜蒜maxを用いた疲労

限度予測式の適用の可能性について検討を行い,FDI,FPI)ⅠおよびPDIについては

欠陥の応maxから高い精度で疲労限度を推定することができるが,ADIについ

ては,加工誘起マルテンサイト変態による基地硬さの上昇を考慮して推定する必 要があることを示した. 第5章は,結論で,以上の各章で明らかにされた結果を総括して述べている.

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-22-論文審査の結果の要旨 本論文は,フェライト(FDI),フェライト/パーライト(FPDI),パーラ イト(PDI)およびベイナイト(ADI)の4種の基地組織の球状黒鉛鋳鉄をも つ鋳造Yブロックからの試験片採取位置の違いが疲労特性に及ぼす影響,疲労強 度の統計的性質に及ぼす基地組織の影響およびADIの中高温における疲労強度 および疲労き裂発生挙動の温度依存性について検討するとともに,球状黒鉛鋳鉄 における静的強度と疲労強度の関係,き裂発生源となった黒鉛や微小鋳巣等の微

小欠陥の応と疲労寿命の関係および疲労き裂発生源に及ぼす基地組織の影響

について検討した結果をふまえ,黒鉛の√忘。,…からの疲労限度推定精度に及

ぼす基地組織の影響について検討したものであり,得られた成果は次のとおりで ある. ① pDI,ADIでは,試験片採取位置の違いによる疲労特性への影響は認めら れないが,FDI,FPDIにおいて,鋳造Yブロックからの試験片採取位置が異な ると疲労強度,疲労寿命ともに差異が認められ,下部から採取された試験片のほ うが疲労強度が大きく,疲労寿命も長いことを示している.また,上述の4種類 の基地組織を有する球状黒鉛鋳鉄の破壊起点となった疲労き裂源の種類,疲労き 裂の発生進展挙動およびP-S-N特性を調べ,統計的疲労特性に及ぼす基地組織 の影響を明らかにしている. ② ADIの中高温における疲労限度は,300℃付近で繰返しひずみ時効により極 大になる現象を見い出している.また,中高温における疲労破壊は,残留オース テナイトの変態および繰返しひずみ時効による表面の硬化に起因して,内部に存 在する黒鉛や微小鋳巣からのき裂発生によるものが多くなることを明らかにして いる. ③ FDr,FPDIの疲労き裂源は球状黒鉛が全体の半数以上を占めている.pDI, ADIでは,微小鋳巣が全体の半数を占め,実際にき裂源となる球状黒鉛は試験片 の表面直下に存在する最大の黒鉛ではなく,平均粒径より若干大きめの球状黒鉛

であることを示している.また,欠陥の応血。Xを用いた疲労限度予測式の適

用の可能性について検討し,FDI,FPDIおよびPDIにおける欠陥のJ芯蒜m…

から高い精度で疲労限度が推定できるが,ADIについては加工誘起マルテンサ イト変態による基地硬さの上昇を考慮して推定する必要があることを明らかにし ている. 以上要するに,本論文は球状黒鉛鋳鉄の疲労特性に及ぼす基地組織や黒鉛性状 の影響について定量的,統計的な手法を用いて詳細な栓討を行い,さらに疲労強

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度の温度依存性や欠陥の√蒜…からの疲労限度予測精度について検討を行う

など球状黒鉛鋳鉄の疲労特性に関して多くの知見を得たものであり,学術上・実

際上寄与することが少なくない・よって,本論文は博士(工学)の学術論文とし

て価値あるものと認める.

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