• 検索結果がありません。

Death in the Frame : The Play within the Play in Early Modern English Drama

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "Death in the Frame : The Play within the Play in Early Modern English Drama"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Death in the Frame : The Play within the Play in Early Modern English Drama

著者 森井 祐介

URL http://hdl.handle.net/10236/10042

(2)

− 62 −

氏 名

学 位 の 専 攻 分 野 の 名 称 学 位 記 番 号 学位授与の要件 学位授与年月日 学 位 論 文 題 目

論 文 審 査 委 員 (主査)

(副査)

森 井 祐 介

Death in the Frame:

The Play within the Play in Early Modern English Drama 博 士(文 学)

甲文第125号(文部科学省への報告番号甲第418号) 学位規則第4条第1項該当

2012年3月2日

小 澤   博

Daniel Gallimore

水 野   尚

教 授 教 授 教 授

論 文 内 容 の 要 旨

 森井祐介氏の  Death in the Frame: The Play within the Play in Early Modern English Drama は、初 期近代イギリス演劇における劇中劇に注目し、その枠構造とメタドラマの比喩表現を当代演劇史の中に位置 づけることで、演劇の自意識に内在する社会文化史的意味を解明しようとするものである。この方面の本格 的な研究は Anne Righter の Shakespeare and the Idea of the Play(1962)、Lionel Abel のMetatheater (1963)、

James Calderwood のShakespearean Metadrama (1971) など、1960年代から70年代にかけて刊行された一連 の論考をもって嚆矢とするが、森井氏はこれまで詳細に論じられることのなかった劇中劇における登場人物 の〈死〉に焦点を当て、1980年代以後に興隆をみた新しい歴史的文学研究の成果を取り込みつつ、劇作家、

劇団、観客、国家権力を幾重にも巻き込んだ、虚実交錯の作劇術を新たな視点から読み解いている。本論文 は序論および全4章からなる作品論、および結論から構成されている。

 序論に続く第一章で論じられる Thomas Kyd のThe Spanish Tragedy(c. 1587)は、主筋そのものが舞台上 の登場人物によって観られる劇中劇であり、その主筋の中に新たな劇中劇が挿入されるという、複雑な入れ 子構造を持つ作品である。主人公は〈見る〉ことと〈見られる〉ことの境界線上にあって巧みに〈演技〉を 演出しつつ、主筋の最終幕に挿入された劇中劇の中で息子殺しの下手人に復讐をとげるのだが、論者はその 演劇的意味を、使用される人称代名詞の差異にまで掘り下げて詳細に分析している。劇中劇内の殺人が〈現実〉

の殺人と化し、虚実の境界が解消される瞬間に、演劇が持つ潜在的破壊力と「世界劇場(theatrum mundi)」

のトポスが立ち現れる、と読み解くその論考は、明晰な論旨と巧みな英語表現によって説得力のある議論を 構築している。

 第二章では Philip Massinger のThe Roman Actor(1626)が論じられる。論者によれば、この作品におけ る「世界劇場」のモチーフは、現実と虚構世界を交差・混交させながら、一方で国家と劇場の類似性を浮か び上がらせつつ、同時に、復讐と殺戮の舞台となる劇中劇によって、暴君による演劇乱用の危険性―国家権 力による演劇への侵犯―を暴露する仕掛けとして機能するという。また、劇中劇の場面で繰り返される皇帝 ドミシアンによる〈観客〉の統制は、観客という存在そのものを否定し、圧殺する行為に他ならず、後に観 客不在の密室で殺害される皇帝の末路を準備するという。The Roman Actorの劇中劇がもたらす悲劇は、国家、

とりわけ劇場国家における〈観客〉の重要性を示唆しつつ、演劇における観客の存在の意味にも光を当てて いるのである。権力と演劇の関係を読み解く本章は、新歴史主義以降の文学研究を踏まえたものだが、論者

(3)

− 63 −

は批評理論のジャーゴンに堕することなく、的確な表現と明晰な論旨で示唆に富んだ結論を導き出している。

 続く第三章では、Francis BeaumontのThe Knight of the Burning Pestle(1607)を中心に、前章で論じられた〈観 客〉の問題がさらに深く検証されている。本論で論じられる他3篇の劇中劇が宮廷での御前上演として挿入 されているのに対し、The Knightは唯一ロンドンの劇場を舞台とし、雑貨商夫妻を観客役に仕立てることで、

劇場内の観劇行為そのものを演劇化した芝居となっている。舞台上の劇中劇は、夫妻の横やりと、徒弟の飛 び入り参加で、本来の「筋立て」を逸脱してしまうのだが、論者によれば、終盤で徒弟が演ずることになる 死の演技には、虚実の錯綜・混交に対する演劇の自己防衛機能、ないし演劇による〈異物〉排除のメカニズ ムが働いているという。また、雑貨商夫妻のエピローグで幕となる作品全体の構成には、観客の存在に依存 する劇団の二律背反的な意識が投影されているという。ここでは、複雑な劇中劇的構造に書き込まれた演劇 の自意識が、見通しの良い議論によって鮮やかに読み解かれている。

 本論の最終章となる第四章では、Thomas Middleton の悲劇Women Beware Women(c. 1621)が取り上げ られ、前章で考察された劇と「筋立て」の問題が、役者と劇作家の対立という視点から論じられる。本論に よれば、「陰謀(plot)」を企てる登場人物が、劇中劇の「筋立て(plot)」を破壊しながら、劇中劇の中で死 を迎えるという筋立ては、演劇の正当性と潜在力をアピールして、ピューリタンらの劇場攻撃に一矢報いる 演劇擁護論でもあったという。論者の指摘は、劇中劇の考察を政治社会史の文脈に開いた議論として異彩を 放っている。

 末尾に置かれた「結論」では、劇中劇的構造やメタドラマのテクストが直面する〈虚構と現実〉、〈影と実 体〉、〈想像力と身体〉といった、より大きな本質的問題が総括的に考察されており、単なる「まとめ」の域 を超えた読み応えのあるセクションを構築して、本テーマの更なる深化と発展の可能性が示唆されている。

 

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

 本研究は初期近代イギリス演劇に頻出する劇中劇構造に注目し、テクストに書き込まれたメタドラマ的比 喩表現と芝居全体の枠構造を、演劇史、社会史、劇場史、精神文化史といった多様な視点から詳細に検証し つつ、その特質の演劇的意味を考察したものである。この方面の本格的研究は Anne Righter の Shakespeare and the Idea of the Play(1962)、Lionel Abel の Metatheatre(1966)、James Calderwood の Shakespearean Metadrama(1971) など、1960年代から70年代にかけて刊行された一連の論考をもって嚆矢とするが、本論 はこれまで詳細に論じられることのなかった劇中劇における登場人物の〈死〉に焦点を当て、1980年代以後 に興隆をみた新しい歴史的文学研究の成果を取り込みつつ、劇作家、劇団、観客、国家権力を幾重にも巻 き込んだ虚実交錯の作劇術を新たな視点から読み解いている。当代の主要な劇作品を広い視野の中で渉猟し、

多岐にわたる一次、二次資料を駆使したその論考は、リサーチ・ワークの周到さと厚み、さらに論旨の明晰 さにおいて取り分け高く評価できるものである。全体の構成、章立て、傍証、参考文献表など、本論の学術 論文としての体裁は、全ての点において手堅く遺漏がない。

 「世界劇場(theatrum mundi)」のトポスを念頭に、テクストに内在する演劇の自意識を丹念に読み解き、

その意味を劇場の社会文化史の中に位置づける本論の議論は、詳細かつ的確なテクストの読解に裏打ちされ て、 明晰な論旨を構築している。本論を構成する主要概念の一つ theatricality や reality といった用語が、

ときとしてやや不用意に使われていることや、テクストとパフォーマンスのギャップに対する注意がやや手 薄であることなど、本研究には今後さらに検討を要する幾つかの課題が残されてはいるが、広汎な資料と巧 みな英語表現を駆使し、斬新にして説得力のある劇中劇論を提起した議論は、課程博士論文の水準を十分に 満たしていると思われる。

 本論文審査委員3名は、論文の審査ならびに2012年2月13日に実施した口頭試問の結果から、森井祐介氏 が本論文によって博士(文学)の学位を受けるに値すると判断し、ここに御報告申し上げます。

参照

関連したドキュメント

[r]

[r]

原稿執筆要項 1.執筆内容 看護実践研究指導事業報告書の原稿には下記の各項目を含める。 1)今年度の事業報告 以下の内容を必ず含める。

 この小論は,

ment per child might affect childen's play, and they systematically varied the amount

(1972) also observed ten groups, each of six children, under the two space conditions

 ハムレットは,イェイツの演劇論にもしばしば登場する。例えば,「悲 劇の劇場」(“The Tragic

7 ) Lewes,Lavater,Of Ghostes and Spirites Walking by Nyght, edited by John Dover Wilson and May Yardley,At the University Press,1929,p.167. 8 ) Pierre Le Loyer, ⅠⅠⅠⅠ Livres