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博多湾の底質分布に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)

博多湾の底質分布に関する研究        

福岡大学工学部  学生会員  ○牧野光剛  福岡大学工学部  正会員  山崎惟義   福岡大学工学部    正会員  伊豫岡宏樹  福岡大学工学部  正会員  渡辺亮一 

福岡大学工学部  正会員  皆川朋子

1.はじめに   

博多湾は東西に約 20km,南北に約 10km の楕円形状で,

海域の表面積は約 133km,平均水深 10m である.博多湾 北部には湾奥部から玄界灘沿いに奈多海岸広がり, 志賀 島に続いており,志賀島南部の能古島が湾口を塞いだ地 形となっている閉鎖性の高い水域である.また,福岡平 野沿岸の流域からは陸由来の汚濁物質が海域に流れ込み,

現在でも水質環境基準を達成できていない海域も多く,

周年にわたる赤潮の発生,夏季の貧酸素化による底生魚 介類への影響が問題となっている1)2)3).貧酸素の原因 となる閉鎖性海域の酸素消費は主に底質によるものであ り,湾内に生息する生物の生息環境を規定する因子とし て底質は重要である.既往の研究では本田2) 藤田5)らに より調査地点を広域に設定した博多湾内及び和白干潟で の調査例はあるが,多くの調査点を設け詳細な調査した 例はない. 本研究では,博多湾の環境に大きく影響を与 えている湾内の底質特性を把握し,博多湾の環境改善の 方向性を検討する材料とすることを目的としている. 

2.調査方法 

  調査地点は能古島西部から湾奥部の海域を約1km のメ ッシュに区切った計 66 地点とし,船で調査地点まで移動 して底質試料のサンプリング及び水質調査を行った.調 査日は 4 月 22 日,29 日,5 月 6 日である.底質はエクマ ンバージ採泥器を用いて三度以上採取し表層約1cm を混 合したものを試料とした.採取した底質は現場にて泥温,

ORP を測定した後密閉し,クラーボックスに保存した.

水質調査に関しては,多項目水質計(HYDROLAB 社製 DS5) を用いて水表面から毎秒 10cm 程度で投下し,1 秒毎にデ ータを記録することで DO,水温,塩分,ORP,Chl-a,濁 度の鉛直プロファイル及び水深を測定した. 採取した底 質は研究室に持ち帰った後,AVS(酸揮発性硫化物)の測 定,含水比試験(JIS A 1203),強熱減量(IL)試験(JIS A  1226),有機炭素・有機窒素の測定,粒度試験(JIS  A1204)

及び密度試験 (JIS A1202)を行った.また,AVS,含水比 試験は調査日に行い,その他の試験については,すぐに 作業できない場合は試料を冷凍保存した.また,密度試 験・粒度試験に用いる試料は前処理として半透膜に封入 し水道水を用いて十分に塩分を取り除いた.AVS の測定は ヘドロテック-S と検知管(GASTEC 社製)を用いた.有機 炭素・有機窒素の測定は試料を 105℃で約 24 時間炉乾さ せた後,乳棒で均一にすり潰した試料を CN コーダー(ヤ ナコ社製 MT700)で測定した.貝殻等の多く含む試料に ついては前処理として 6M 塩酸を数滴添加し,無機炭素を

取り除いた. 

3.調査結果 

図-2〜図-9 にそれぞれ底層の DO(図-2),底質の AVS

(図-3),有機炭素(図-4),有機窒素(図-5),C/N(図 -6),泥分(図-7),中央粒径(図-8),水深(図-9)の分 布を示す.DO は能古島東岸で 8〜10mg/l と高い値を示し,

湾奥部になるに連れて低い傾向にあったが,調査日が春 期であったことから貧酸素化している海域はみられなか った.AVS は西戸崎沿岸部の B-3 地点で 2.42mg/g と局所 的に高い値を示し,湾奥部では人工島,和白干潟付近を 中心に 1.0±0.2 mg/g と比較的高かったが,他の地点で は 0.4 mg/g 以下であった.有機炭素は和白干潟を中心 とした湾奥部と,博多港を中心とした東部海域で 40±

10mg/g と高かった.有機窒素は和白干潟を中心とした湾 奥部で 4mg/g と比較的高い値を示し,能古島北部〜東部 海域では 2 mg/g 程度であった.C/N 比は和白干潟を中心 とした湾奥部ほど低い値を示し A-6 地点で 7.87 と最小と なったが, 博多港を中心とした東部海域では 20〜50 と 高かった.泥分(シルト・粘土含有率)は湾口部から湾奥部 にかけて次第に高くなっているが,河川流入のある東部 海域で若干低い値も見られた.能古島南部及び湾口部に 近い志賀島橋周辺で泥分 40%〜50%程度の砂泥質であった.

また,中央粒径も湾奥部で Mdφ7〜8 と小さくなる傾向に あり,砂質の志賀島橋付近で Mdφ1.2,東部海域の主要な 流入河川のある場所で Mdφ3 程度であった 

4.考察 

水深は和白干潟を中心とした湾奥部では水深が 4m 以 下と浅く,大型船の航路である能古島北部から箱崎ふ頭 付近で 15m 以上と深い.有機炭素が高い値を示した湾奥

図-1 調査地点 

VII‑073 土木学会西部支部研究発表会 (2012.3)

‑1015‑

(2)

部及び博多港を中心 とした東部海域では, 湾奥部になるにつれ て潮流が弱くなるた め,泥分が高く Mdφ は小さい値なってお り,細粒分の表面に 有機物が物理・化学 的に吸着していたと 考えられる.しかし, 和白干潟を中心とし た湾奥部及び博多港 を中心とした東部海 域では,C/N 比が両海 域で大きく異なって おり,有機物の質が 異なっていることを 示している.和白干 潟から西戸崎にかけ ては,水深が浅く C/N 比がレッドフィールド比(質量比 5.7)により近い値を示しており,この海域の有機物起源 は植物プランクトンの堆積もしくは付着藻類の生産によ るものである可能性が高い.一方,博多港を中心とする海 域では C/N 比が高く御笠川,多々良川等の博多湾に注ぐ 主要河川が流れ込んでおり,陸域由来の有機物やプラン クトン由来の堆積物が分解の進んだ状態で堆積している 可能性がある.また,和白干潟を中心とした湾奥部及び博 多港を中心とした東部海域のように有機物が多く堆積し ている海域では貧酸素水塊の発生する可能性が高く,実 際これまでも多くの貧酸素水塊が観測されている4). 

B-3 地点の AVS の値が局所的に高いのは西戸崎水処理セ ンターからの処理水がこの付近から放流されているため で,西戸崎が湾内に張り出しているため,潮流速が減少 し細粒分が堆積とともに有機物が堆積し,硫酸還元菌に よる嫌気的分解が進んでいることを示している.  

5.結論 

1) 和白干潟を中心とした湾奥部及びでは博多港を中心  とした東部海域では有機炭素の値が高かった. 

2) 有機炭素の値が高い湾奥部及びでは博多港を中心と  した東部海域では C/N の値が異なることから,有機  物の質が異なる 

3) 和白干潟を中心とした湾奥部及び博多港を中心とし  た東部海域は博多湾でも早い段階で貧酸素化する可  能性が高い. 

6.謝辞 

  この研究の一部は,科学研究費補助金(基盤研究 C:研究番号 21560575,

研究代表者:渡辺亮一,および基盤研究 C:研究番号 21560576,研究代 表者:山崎惟義) 

の助成を受けて行われたものである.ここに記して謝意を表する. 

参考文献 

1) 逸見泰久:博多湾の埋立が沿岸環境,特に干潟・浅海域に生息する 動物ベントスに与える影響(総説),日本ベントス学会誌,2002,

pp28-33 

2)本田清一朗:福岡湾の底生動物群集の季節変化,福岡水技研報,第 1 号,1993,pp189-198 

3) 篠原満寿美:福岡湾における貧酸素水塊の発生状況,福岡水技セ研 報,第 12 号,2002,pp81-87 

4) 熊谷博史・渡辺亮一・山崎惟義・藤田健一:優占二枚貝ホトトギ スガイが博多湾湾奥の水・底質に与える影響,水環境学会 誌,vol29,No.1,2006,pp21-28  

5) 藤田健一・田中憲一・李寅・星加章・楠田哲也:博多湾の浅海域・

干 潟 域 に お け る 水 質 浄 化 能 の 評 価 , 海 洋 開 発 論 文 集 , vol.14,1998,pp453-458 

  

   

 

9.5 9.0

8.5 8.0 7.5

7.0 7.5

8.5 8.0

7.5 7.0

9.5 9.0

8.5 8.0 7.5

7.0 7.5

8.5 8.0

7.5 7.0

   

0.2 2.4

0.8 1.2

0.2 2.4

0.8 1.2

   

10 20

25

30 60

50 20

25

25

30 35 40 10 20

25

30 60

50 20

25

25

30 35 40

  図-2 底層 DO 分布       図-3 底質の AVS 分布      図-4 底質の有機炭素分布 

0.5 1.0

1.5 2.0

2.5 3.0

3.5

20

4.0

2.0

2.0 0.5

1.0

1.5 2.0

2.5 3.0

3.5

20

4.0

2.0

2.0

   

8 12

16

16 20 50

50 50

8 12

16

16 20 50

50 50

 

2.8

30 90

80 70

50 80

30 2.8

30 90

80 70

50 80

30

図-5 底質の有機窒素分布      図-6   底質の C/N      図-7  泥分率分布 

2 8

7

6 6

4 6

8

4

2 8

7

6 6

4 6

8

4

図-8 Mdφ分布       

5 7 9

11 13

15 17 5

7 9 11

5 7 9

7

5 7 9

11 13

15 17 5

7 9 11

5 7 9

7

    図-9 調査時の水深         

VII‑073 土木学会西部支部研究発表会 (2012.3)

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参照

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