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石川県における公文書の保存と活用をめぐって

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Academic year: 2022

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(1)

石川県における公文書の保存と活用をめぐって

著者 本康 宏史

著者別表示 MOTOYASU Hiroshi

雑誌名 北陸史学

号 68

ページ 45‑46

発行年 2019‑12‑30

URL http://doi.org/10.24517/00062402

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

1 今 年 度 の 北 陸 史 学 会 大 会 は

、 通 算 六

〇 回 の 節 目 と い う こ と も あ り

、 特 別 シ ン ポ ジ ウ ム を 企 画 し た

。 テ ー マ は

「 石 川 県 に お け る 史 料 保 存 を 考 え る

」( 仮 題

)で あ る

。背 景 に

、近 年 の 公 文 書 に 関 す る 社 会 的 関 心 が あ る も の の

、 と り わ け 石 川 県 に お け る 直 近 の 課 題 と し て

、 数 年 後 に リ ニ ュ ー ア ル を 控 え た 新 石 川 県 立 図 書 館 に

「 公 文 書 館 機 能

」 が 併 設 さ れ る こ と に な っ た と い う 事 情 が あ る

。 こ う し た 機 会 に

、 地 域 に 根 ざ し た 公 文 書 館 の 果 た す べ き 役 割 は 何 か

、 公 文 書 は ど の よ う に 保 存

・ 活 用 さ れ る べ き な の か

、 す な わ ち 公 文 書 の 保 存 や 公 文 書 館 問 題 に つ い て 考 え た い

。 周 知 の よ う に

、 公 文 書 館 は

、「 公 文 書 館 法

」( 昭 和 六 二 年 法 律 第 一 一 五 号

)に お い て

、「 歴 史 資 料 と し て 重 要 な 公 文 書

等 を 保 存 し

、 閲 覧 に 供 す る と と も に

、 こ れ に 関 連 す る 調 査 研 究 を 行 う こ と を 目 的 と す る 施 設

」( 同 法 第 四 条

)と さ れ て い る

。 同 法 の 成 立 を 受 け 石 川 県 で も

、 一 九 八 八 年

( 昭 和 六 三

) 三 月 に は

「 公 文 書 館 の 建 設 に つ い て の 期 成 請 願

」 が

、 研 究 者 有 志 に よ り 県

( 総 務 部 総 務 課

) に 要 請 さ れ た

。 し か し

、 当 時 の 県 当 局 の 対 応 は 消 極 的 で

、 財 政 的 に 難 し い こ と な ど を 理 由 に

「 準 備 室 設 置

」 を 条 件 と し た 請 願 の 取 り 下 げ を 示 唆 し た と も い わ れ て い る

。 そ の 後

、 県 議 会 の 議 長

・ 副 議 長 に 運 動 関 係 者 が 積 極 的 に 働 き か け た 経 緯 も あ り

、 昭 和 六 三 年 度 の 当 初 議 会 で 同 請 願 は 採 択 さ れ る

。こ れ を 機 に( 歴 史・ 民 俗・ 考 古 系

)県 内 五 学 会 の 決 議 を 受 け

、「 石 川 県 公 文 書 館 建 設 期 成 会

」 が 結 成 さ れ

、 県 総 務 課 も オ ブ ザ ー バ ー と し て 参 加

、 長 ら く 県 の 補 助 金 も 得 て 建 設 運 動 を 推 進 し て き た の で あ る

。 こ の 間

、 県 庁 移 転 や 公 文 書 公 開 の 現 状 を 背 景 に

、 一 九 九 三 年

( 平 成 五

) 一 二 月 に は

「 石 川 県 情 報 公 開 制 度 大 綱

」 が 作 成 さ れ

、翌 九 四 年「 石 川 県 情 報 公 開 条 例

」( 県 条 例 第 二 八 号

)が 制 定 さ れ て い る( ち な み に

、金 沢 は 非 戦 災 都 市 で あ っ た た め

、 明 治 以 降 の 県 庁 文 書 も 比 較 的 豊 富 に 残 さ れ て い る が

、 一 方 で

、 県 庁 移 転 時 に 一 定 の 文 書 が 廃 棄 さ れ た こ と も 知 ら れ て い る

)。 そ の 際

、 県 庁 跡 地 の 活 用 問 題 と か ら ん で

【 第六

〇 回 大会 特 別企 画

石 川 県 に お け る 公 文 書 の 保 存 と 活 用 を め ぐ っ て

本 康 宏 史

45

(3)

2

公 文 書 館 の 建 設 も 具 体 化 し た か に 見 え た も の の

、 紆 余 曲 折 の の ち

、 旧 県 庁 舎 は

「 県 政 記 念

」 を 冠 し た 迎 賓 館 と し て 改 装 さ れ

、関 係 者 の 期 待 も 実 現 に は 至 ら な か っ た

。そ の 後 も

、 全 国 の 公 文 書 館 建 設 を 尻 目 に

、「 県 史

」 の 編 纂 事 情 と も 相 ま っ て

、 公 文 書 の 公 開

・ 活 用 に 関 し て は

、 隣 県 に 比 し て も 低 調 な 状 況 が 続 い て き た と 言 わ ざ る を 得 な い

。 一 方

、 こ の た び 公 表 さ れ た 石 川 県 の

「 新 石 川 県 立 図 書 館 基 本 構 想

」( 二

〇 一 七 年 三 月

) に よ れ ば

、「 都 道 府 県 公 文 書 館 は

、 全 国 で 三 七 都 道 府 県 に 設 置 さ れ て お り

① 図 書 館 や 博 物 館 と の 機 能 一 体 化

② 図 書 館 や 県 庁 等 の 同 一 建 物 又 は 隣 接 型

③ 単 体 型 と い っ た よ う に

、 各 都 道 府 県 の 状 況 に よ り 設 置 形 態 は 異 な っ て

」 い る と の 整 理 を 行 っ て い る

。 そ の 際

、「

「 石 川 県 文 書 管 理 規 定

」 に 基 づ き

、 所 管 部 署 が 将 来 的 に 歴 史 資 料 と し て 価 値 を 有 す る 可 能 性 の あ る 文 書 を 選 別 し

、 保 存 期 間 を 永 年 と し て お り

、 現 在

、 公 文 書 館 は 設 置 し て お り ま せ ん

」(

「 公 文 書 館 の 動 向

」) と さ れ て い る

。こ う し た 現 状 を 踏 ま え

、「 主 な 機 能 の 方 向 性

」 と し て

、「

① 新 た に 公 文 書 館 の 機 能 を 備 え

、 貴 重 な 歴 史

・ 郷 土 資 料 等 と 公 文 書 の ワ ン ス ト ッ プ サ ー ビ ス を 整 え

」 る 点 が か か げ ら れ

、 そ の

「 機 能 例

」と し て

、「 図 書 館 資 料 と 公 文 書 を 同 じ 場 所 で 閲 覧・ レ フ ァ レ ン ス で き る

/ 同 一 の シ ス テ ム で 検 索 で き る

」 こ と が

謳 わ れ て い る の で あ る(

「 基 本 方 針 二―

二「 石 川 に 関 す る 情 報 の ワ ン ス ト ッ プ サ ー ビ ス

」」

)。 そ も そ も 公 文 書 館 を 図 書 館 の 一 部 門 と し て 設 置 す る こ と 自 体

、 慎 重 に 検 討 し な く て は な ら な い が

、 加 え て

「 機 能 例

」 に あ る よ う な

、 図 書 館 資 料 と 公 文 書 を

「 同 一 の シ ス テ ム で 検 索

」 す る こ と は

、 い か ほ ど の メ リ ッ ト が あ る の で あ ろ う か

( 本 来

、 図 書 館 と 文 書 館 は 成 り 立 ち や 役 割 が 違 い

、 具 体 的 な 保 存

・ 管 理 の ノ ウ ハ ウ や ア ー キ ビ ス ト の 資 質

・ 養 成 方 法 も 異 な ら ざ る を 得 な い も の だ が

)。 以 上 の よ う な 現 状 を 踏 ま え

、 本 大 会 シ ン ポ ジ ウ ム で は

、 自 治 体 公 文 書 管 理 の 問 題 に つ い て 第 一 線 で 取 り 組 ま れ て い る 研 究 者 に 基 調 報 告 を お 願 い し

、 つ い で 地 元 石 川 の 研 究 者 も 交 え

、 史 料 保 存 問 題 全 般 を 視 野 に 入 れ た 議 論 を 深 め て い た だ く

。 ま ず は 現 状 認 識

、 そ し て

、 あ る べ き 姿 を 追 求 す べ く 意 識 の 共 有 を 図 る こ と が 肝 要 で あ ろ う

。 限 ら れ た 機 会 で は あ る が

、 本 シ ン ポ ジ ウ ム が

、 史 料 保 存 と そ の 活 用 の 在 り 方 を 再 認 識 す る 場 と な れ ば 幸 い で あ る

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