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(鉄道)と道路で結ぶ単純な交通ネットワークを対

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Academic year: 2022

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(1)交通システムの dayday-toto-day ダイナミクスに関する一考察:単純ネットワークにおけるカオス A Study on the Day-to-Day Dynamics of Transportation System: Chaos in a Simple Network 中山晶一朗 1 Shoichiro Nakayama. 1.. 本研究では,1 組の OD(起終点)間を公共交通. はじめに. (鉄道)と道路で結ぶ単純な交通ネットワークを対. 近年,交通ネットワーク均衡モデルの動的化に 1). .しかし,研. 象にその day-to-day ダイナミクスについて考察す. 究が進展している均衡モデルの動的化は,一日. る.その際,ネットワークの安定性やその条件,カ. の交通状態を時間帯別に記述するような within. オスの発生の有無などを明らかにする.. 関して,多くの研究がなされている. day でのダイナミクスやより詳細なダイナミクスであ る time-to-time に関するものが中心であり,ダイナ. 2.. 定式化. ミクスのうち日々の変化に注目する day-to-day に. 既に述べたが,本研究では,1 組の OD 間を公. 関するダイナミクスについては,いくつかの研究が. 共交通と道路で結ぶ単純な交通ネットワークを対. あるものの,within day や time-to-time に比べる. 象とする(図 1 参照).公共交通は交通量によらず. と,その進展が遅れていると言えよう.. 旅行時間は一定とし,道路の旅行時間は BPR 関. 交通ネットワークにおける day-to-day ダイナミク. 数に従うと仮定する.このように公共交通の旅行. スは,交通ネットワークの安定性に直結する問題. 時間を一定とすることにより,道路の交通量のみ. でもあり,交通ネットワーク制御・管理を考える上. を考えるだけで十分となり,実質上,需要変動型. で,非常に重要である.Day-to-day ダイナミクスに. の 1 リンクネットワークを考えることと等しくなる.. ついて最も基本的かつ重要な問題は,交通ネット. 道路の交通量を x,その旅行時間を tc(x),公. ワークでの均衡が安定であるのか,不安定である. 共交通の旅行時間を tt とする.ただし,tt は正. のか,そして,安定になるための条件もしくは不安. の定数である.このとき,(ワードロップ)均衡は以. 定になる条件とは何であるのか,という問題であろ. 下のように記述される:. = t t if x > 0 tc  ≥ t t if x = 0. う.また,交通ネットワークでカオスが発生するの か,という問題も重要であると考えられる.もしカオ. (1). スが生起するとなると,ネットワークフローの振動. tc(0) > tt の時,道路には交通量がまったく流れ. は外生的なものだけが原因ではなく,内生的にも. ない.このような状況は研究の対象外とし,以下で. 生じること,そして,ネットワークフローの予測は短. は,tc(0) < tt であるとする.. 期的には可能であるが,長期的には困難であるこ. 道路利用者は合理的であることを前提とする.. とが想定されるからである.このような問題は交通. さまざまな要因を捨象し,道路利用者は旅行時間. ネットワークの制御・管理に極めて重要なものと言. のみで機関選択を行うと仮定する.そして,道路. える.. 利用者は旅行時間の小さいほうを選択するため,. Key Words: 交 通 ネ ッ ト ワ ー ク均 衡 , カオ ス, day-to-day dynamics,安定条件 1 正会員,博(工),金沢大学工学部 〒920-8667 金沢市小立野 2-40-20 Tel: 076-234-4614, Fax: 076-234-4632. もし道路の方が旅行時間が大きければ道路の交 通量は減少し,逆に道路の旅行時間が小さけれ ばその交通量は増加すると考える.このように考 えた場合,以下のような差分方程式により,道路. 1.

(2) みなせる.式 (2) と本質的には等しいが,以下の. 道路 起点. 説明の関係上,次式を定義する:. 終点. 旅行時間:BPR関数に従う. Φ( x) = x + Ψ( x). 図 3 は Ф(x)および y = x の直線である.初期値を. 公共交通. x(0)とした時,Ф(x)および y = x から順次,x(1),. 旅行時間:一定. x(2)が求められ,図解的にダイナミクスを追うこと ができる.. 図 1 対象とするネットワーク の交通量のダイナミクスを記述することが可能とな. 3.. る:. x(i + 1) − x (i ) = Ψ ( x(i )). {. (4). 均衡 x*の安定性を検討するために,まず,Ф(x). (2). の微分を行う.ここで,Ф(x)の導関数(dФ/dx)を. }.  max − η [t c ( x ) − t t ] , − x  if t c ( x ) − t t > 0 Ψ( x ) =   λ if t c ( x ) − t t ≤ 0  η [− t c ( x ) + t t ] λ. 安定性分析. Ф′(x)と表記し,写像 Ф の n 回繰り返しを Фn(x)と 表記する.Ф(x)の均衡点での微係数は以下のよう に 3 つに分類できる..  +∞  Φ ′( x ) =  1 − η ⋅ t c′ ( x * ) 1 . (3). *. ここで,x(i) は i 日目の道路の交通量,η, λ は 正のパラメータ,max{x, y} は x, y のうち値の大 きな方をとる演算である.図 2 は関数 Ψ(x)である.. if 0 < λ < 1 if λ = 1. (5). if λ > 1. 前節で述べたような非線形 1 階差分方程式の. パラメータ η は交通量変化の感度を意味し,(道. 場合,一般に,均衡点での微係数の絶対値が 1. 路と公共交通が)同じ旅行時間差であってもこれ. よりも大きい場合その均衡点は(局所的に)不安. が大きいほど交通量の変化が大きくなる.パラメ. 定であり,1 よりも小さい場合漸近的に安定である.. ータ λ は道路と公共交通の旅行時間差 |tc – tt|. 微係数の絶対値が 1 の場合は中立安定(リアプノ. によりどのように交通量が変化するのかを規定す. フ安定)である.式(5)から 0 < λ < 1 の場合,均. るものである.λ < 1 の時は旅行時間差が小さい. 衡点は不安定であることがわかる.これはパラメー. 場合の交通量変化が大きく,旅行時間差が大きく. タ η に関係なく,これは成立している.つまり,均. なるほど変化が逓減する.λ > 1 の時はその逆. 衡付近で旅行時間差に敏感な場合,たとえ旅行. である.なお,λ = 1 の場合は Zhang & Nagurney. 時間の感度にかかわらず不安定になる.λ > 1 の. (1996)の projected dynamical system の離散化と. Ψ (x). Φ (x). λ<1. .. λ>1. x* 0. x. 0 x* x(2) x(1) 図2. .. Ψ (x) の形状. 図3 2. Φ(x) の形状. x(0) x.

(3) 2000. (a). Flow x. 1500. η = 25. 1000 500 0 0. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90. 100 Day i. 2000. (b). Flow x. 1500. η = 75. 1000 500 0 0. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90. 100 Day i. 2000. (c). Flow x. 1500 1000. η = 100. 500 0 0. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90. 100 Day i. 図 4(a)(b)(c) λ = 1 の場合 Day-to-day ダイナミクス(η = 25, 75, 100) 場合,常に中立安定である.λ = 1 の場合,旅行. 値 x(0)は(a)(b)(c)とも 500 である.η = 25 の場. 時間関数やパラメータ η に依存して,安定か不. 合は均衡(1351.2)に収束していることがわか. 安定かが決まる.パラメータ η が十分に小さい. る.η = 75 の場合は 2 周期サイクルに収束して. 場合は安定である.. いる.η = 100 の場合は不規則に振動している. パラメータ η により解がどのように変化するの. 4.. かを検討するために分岐図を作成する.それが図. Day-to-Day ダイナミクスとカオス 第 2 節で述べたモデルの day-to-day ダイナミク. 5 である.図 5 では,η が約 67.6 までは 1 本の直. スを考察するにあたり,以下のように設定する.公. 線が書かれており,η < 67.6 では均衡に収束す. 共交通の旅行時間 tt は 30 分,道路の旅行時. ることがわかる.67.6 < η < 85.1 では 2 本の曲線. 間は BPR 関数に従い,自由走行時間 tf は 20. が描かれており,解が 2 つに分岐している.こ. 分,交通容量は 1000 台/時であり,BPR 関数. こでは図 4(b)のように 2 周期解であることがわ. のパラメータは標準値(α = 0.15, β = 4)をとる. かる.その後,解は 4 つに分岐することがわか. とする.以上の設定下では道路交通量の均衡値. り,順次解が倍に分岐している.. *. x は 1351.2 となる.また,λ に関しては,最. カオスが発生しているのかを検討するため に,リアプノフ数を算出する.リアプノフ数 L. も単純な 1 の場合のみを以下で検討する. 図 4(a)(b)(c)がそれぞれη = 25, 75, 100 の場合. は以下のように定義される数である.リアプノ. の day-to-day ダイナミクスである.なお,初期. フ数はカオスの性質である初期値鋭敏性の指. 3.

(4) 2500. Flow x. 2000 1500 1000 500 0. 0. 40. 80 120 Adjustment Speed η. 160. 200. 図 5 η に関する分岐図. Lyapunov Exponent. 2.0 0.0 0. 40. 80. 120. 200. 160. Adjustment Speed η. -2.0 0.0. -4.0. 80. 85. 90. 95. 100. -6.0. 図 6 Ф に関するリアプノフ数 標であり,それが正の場合カオスであるとされ. day-to-day のダイナミクスを記述する差分方程式. る.. による動的モデルを作成し,day-to-day ダイナミク. 1 N →∞ N. L = lim. N −1. ∑ ln F ′( x(i )). スおよび均衡解の安定性について考察した.その. (6). 結果,均衡に近い状態において旅行時間に敏感. i =0. 図 6 は Ф に関するリアプノフ数である.な. であればシステムが不安定になること,ある条件. お,N = 500, x(0) = 500 で算出している.図 6. が満たされるとカオスが発生することがあることが. からηが 91 から 103 の場合,一時的に L が 0. わかった.. 以下になる場合があるが,そのような例外を除. 今後,モデルの一般的なネットワークへの拡張. いて,L は正の値をとり,カオスが生起してい. や実際の交通量においてカオスが発生している. ることがわかる.図 6 のリアプノフ数により,. のかの検討が課題として挙げられる.. η = 100 の図 4(c)のダイナミクスはカオスであ 参考文献 1) 土木学会土木計画学委員会交通ネットワーク出版小委 員会(1998)交通ネットワークの均衡分析¾ 最新の理論と 解法,丸善,東京. 2) Zhang, D. and A. Nagurney (1996) On the Local and Global Stability of a Travel Route Choice Adjustment Process, Transportation Research, Vol. 30B, pp. 245-262.. ることがわかる. 5.. おわりに 本研究では,1 つの OD を公共交通と道路で結. ぶ単純なネットワークを対象に,交通量の. 4.

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