食の中の模倣過程と自他関係の形成
川田 学(香川大学教育学部) 連絡先:〒760-8522 香川県高松市幸町 1-1 香川大学教育学部 kawata<at>ed.kagawa-u.ac.jp 要旨 人類における食は,その社会的意味が大きい。乳幼児期には,共食場面は社会認知的発 達や自己と他者の基本的関係構造を認識していく土壌になるものと思われる。しかしなが ら,孤食化の現象は核家族の養育者と乳幼児にも垣間見られ,乳幼児の食における社会的 側面には様々な課題がある。そこで本稿では,食事場面において養育者と乳幼児との間に 展開される諸現象に関するいくつかの研究テーマを取り上げ,食の中の社会的発達を再考 する契機となることを目的とした。第一に,共食場面において養育者と乳幼児の間に見ら れる模倣や共感に関する現象に注目した。第二に,ヒトの特徴的な分配行動である「食べ させる行動」が,役割交替模倣として乳児期後期に発生することの発達的意味について考 察した。いずれのテーマについても,三項関係の形成が重要なターニングポイントとなっ ていることについて論じた。 1.乳幼児の食をめぐる概況 1-1.食の中の発達 「食育」という概念が広く一般に普及する中で,子どもの食は社会的関心事となってい る。2005 年に食育基本法が制定されて以降,2008 年告示の各校種学習指導要領,幼稚園 教育要領,保育所保育指針にも食育の推進が謳われ,乳幼児期からの食の重要性が強調さ れるようになった。一方で,食の心理学に関する概論書も複数発行され[7][8][29],その中に は食行動の発達に関する章も立てられている。 食育は「知徳体」の基礎として位置づけられ(食育基本法),乳幼児発達の広範な領域を 射程とした総合的な観点が示されている [20]。しかし,企業や自治体,保育実践において 比較的よく取り組まれているのは,栄養指導,料理活動(食文化含む),栽培活動であり, 「食材」に焦点が当たる傾向にある[42]。近年,外山[41]によって食における社会的側面の発達を中心に論じた『発達としての共食』 が刊行された。外山は,家庭での親子の食事,幼稚園や保育所での子ども集団の食事,ま た霊長類との比較の視点を取り入れ,ヒトの子どもが他者との共食状況を作り出す過程と そこでの心理発達の様相を多角的に記述している[41]。食を通して子どもが何を経験し,ど のような心理・行動・社会的発達と連動しているのかを探ることは重要なテーマとなりつ つある。 1-2.乳幼児の食をめぐる対人環境 子どもの食の問題については,しばしば「孤食」や「個食」が取り上げられる。「孤食」 は 1 人で食べることであり,「個食」は各人がそれぞれ好きなものを食べる状況をいう。 1980 年代から 1990 年代にかけて食生態学者の足立己幸と NHK が実施した調査から,小 学生の「孤食」の実態が明らかにされた[1]。 では,乳幼児ではどうだろうか。乳幼児の食における対人環境に関する組織的な調査は 見あたらないが,孤食にみられる問題と同型の状況があるように思われる。発達的に考え て,虐待事例でない限り小学生のような孤食状況は想定しにくいが,世帯状況に関するデ ータから,養育者(多くは母親)と乳幼児2人きりの食事というケースが多いのではない かと思われる。総務省統計局のデータから,1950 年に 4.94 であった世帯人員数の全国平 均は,1970 年には 3.69 となり,最新の 2005 年では 2.58 まで落ち込んでいる。こうした 核家族化の進行の中,3 歳未満児のいる世帯の 81.1%は家庭で保育されている(厚生労働 省平成19 年度「国民生活基礎調査」より算出。ここで「家庭での保育」とは,「父母」と 「祖父母」による保育を併せたものをいう)。そして,3 歳未満児のいる世帯で父親のみ仕 事を持っているのは63.1%%であり,その内 93.0%が「家庭での保育」を受けており,さ らにその内訳をみると 90.7%は「父母」による保育である。調査は複数回答方式なので, 実際には祖父母の助けを得ている例も少なくないだろうが,いずれにしても核家族で母親 が専従して3 歳未満児の保育に当たっている世帯の多さがうかがえる。 1-3.食の中のコミュニケーション 日本小児科学会「こどもの生活環境改善委員会」は,2004 年に乳幼児のテレビ視聴に関 する提言を発表した。その提言4 は「授乳中や食事中はテレビをつけないように」として いる。提言の背景には,授乳も含めて仮に他者と一緒の食事場面であっても,養育者と子
どもがテレビに注目し,コミュニケーションがとれていないとの現状認識があるのだろう。 乳幼児を対象としたいくつかの研究によれば[19][28][37],いずれも約 7 割の乳幼児が食事中 にテレビを視聴する傾向があり,神奈川県内の 1023 名の母親を対象とした曽根のデータ からは,1∼6 歳の幼児の 41.1%が食事中はいつもテレビを見ていることが示されている[37]。 また,授乳中の携帯電話の使用についても小児科医から懸念が表明されている[5]。 発達心理学ではKaye[17][18]によって,授乳中のターン・テイキング― 乳児の哺乳と母親 の揺すり ―が新生児期から見られることが明らかになっている。Kaye によれば,そのタ ーン・テイキングは乳児の哺乳リズムに母親が介入することによって成立しており,コミ ュニケーションの枠組みを与えることに貢献するという[17]。もし,授乳中や食事中にテレ ビ視聴や携帯電話使用がなされている場合,食を媒介にしたコミュニケーション枠組みの 伝達に影響があるかもしれない。また,味覚情報や嗅覚情報を伝達したり,共有したりす る言語的・非言語的コミュニケーションが,質量共に影響を受けることも推測される。 民族学者の石毛[9]は人類学的視点からヒトの食を分析し,「人間は料理をする動物であ る」および「人間は共食する動物である」とのテーゼを述べている。食材に対する種独自 のアプローチ(料理)のみならず,複数の個人が集って食事をするという共食が,ヒトの 食を特徴づける重要なアスペクトである。人類における家族の起源と共食は深い関係にあ り,子どもは家族を中心とした共食環境の中で,食行動や食文化はもちろん,他者理解や 社会的ルールを学ぶ機会を得てきた[9]。中でも,食の基本が形成される乳児期に注目する と,三項関係(共同注意)の形成という社会認知的発達の重要なランドマークが見えてく る[15][41]。三項関係の形成は,食物をシンボル化した行動を生み出したり,食具等の使用方 法の模倣を可能にするという意味において,食発達および社会認知的発達に共通するエポ ックを開く。 食欲に社会的促進効果があることも知られている[6]。保育所の幼児を対象とした研究で は,グループのサイズがある程度大きい方が食物摂取量が向上するというデータが示され ている[24]。また,離乳食に関する育児書では,離乳食開始のタイミングについて,乳児が 大人の食事の様子をジッと見たり,口をモグモグ動かし始めることを指摘する例が多い(た とえば[35])。このように,発達初期の段階で,すでに乳児は他者の食行為に影響を受けて いるのである。 そこで本稿では,乳幼児期における食を通したコミュニケーションの発達に焦点を当て, 第一に,養育者―子ども間に見られる模倣や共感に関する諸現象,第二に,三項関係の形
成に伴う乳児の対他行動と社会的認知の発達について検討する。 2.食の中の模倣や共感 2-1.共感的開口 離乳食を食べようとする乳児の行動をコーディングしようと,熱心にビデオモニターを 見ている自分自身に身体的変化が生じる。養育者が食物の盛られたスプーンを我が子に差 し出し,それが乳児の口元に近づくやいなや,ビデオ越しの観察者である自分の口がある 種の緊張と共に開き出すのである。食物を差し出している養育者の行動を観察すると,や はり我が子の開口より先に自分自身の口が筋緊張を伴って開いていく。他者の食行為に対 する,非意識的な模倣(運動感染)とも言えるが,ある種の予期的な反応である点が特徴 である。根ヶ山[33]は,これを共感的開口と呼んでいる。類似の行動に,養育者が「あーん」 などと言いながら子どもの開口を促すものがあるが,ここで言う共感的開口はそれを含ま ない。 Negayama[31]は,7 組の母子の授乳場面と離乳食場面を 0 ヶ月から 20 ヶ月まで縦断的 に観察し,その中で共感的開口の生起頻度の時系列的変化を分析している。その結果,離 乳食の初期(4,5 ヶ月;30∼40%)よりもむしろ中期(7∼10 ヶ月;60∼70%)をピーク とする概ね逆 U 字型のカーブを描くことが示された。川田・川田・塚田-城[14]は,8 組の 母子の離乳食場面を生後 5 ヶ月から 15 ヶ月まで縦断的に観察し,共感的開口について Negayama[31]と同様に生後 9 ヶ月をピークとする逆 U 字型の変化をすることを確認した (Figure1;数値は 8 名の中央値)。 <Figure1 の挿入> 養育者にとってより積極的なケアの必要性があると思われる離乳食初期よりも,能動性 の増す生後9 ヶ月前後で頻回に共感的開口が生じている事実は興味深い。根ヶ山[34]はこう した共感反応が,子別れの過程において,ヒトという種における親子関係の特徴である「離 れつつ保護する」という矛盾を解消するために機能しているのではないかと論じている。 9 ヶ月頃は食事場面でも養育者−子ども間のコンフリクトが顕在化する時期であり[15],“や りとり困難期”と評する論者もいる[30]。根ヶ山[32]は幼稚園児をもつ母親に,様々な月齢の 子どもの顔写真を見せて,「かわいらしさ」の度合いを評定させている。その結果,前後の
月齢に比べて,9-11 ヶ月児の顔が最もかわいいと評定された。コンフリクトが増す生後 1 年目後半において,養育者の共感反応や子どものかわいらしさもまた増すことによって, ある種の対人関係上の中和作用が働いているのであろうか。 2-2.共感的開口における当事者性 養育者の共感的開口は,誰が食物の供給者かという条件によって影響されるものであろ うか。この点について,根ヶ山[33]は実験的な状況を設えて検討している。7 ヶ月前後の乳 児21 名を対象に,父親が子どもに食物を供給するシーンを母親が見る条件(0.5m と 2m の2つの距離条件を含んでいる)と,母親自身が子どもに供給する条件とを比較している。 その結果,供給条件とほぼ同じ身体距離であった近接傍観条件との反応生起率に大きな差 があった。子どもとの身体的な距離ではなく,食物供給の当事者であるか否かが共感的開 口の生起に関連していたのである。 このデータの重要な点は,他者の行動の予期だけが共感反応を引き起こしているわけで はないという事実である。他者が子どもに供給するシーンを傍観する時にも,養育者は子 どもの開口を予期しているはずである。しかし,その際に生じる共感反応は,自ら子ども に食物を供給する時に比べて微弱なものであった。問題は,なぜ当事者として子どもに食 物を供給すると,共感反応が生じやすくなるのかということである。 1,2歳児の共感性と相手との親密性との関連を調べた松澤・山口・板倉・福田[25]の研 究では,1 歳児においては母親の苦痛に対して自己志向反応(自己に生じた苦痛を軽減す しようとする共感反応)が生じる傾向にあり,2 歳児になると母親と実験者いずれに対し ても他者志向的反応(他者の苦痛を軽減しようとする共感反応)が生ずる傾向にあった。 松澤らはこれを自他未分化から自他分化への発達過程として分析している。自他未分化な 心性が,他者に生ずる反応を自己にも生じてしまうという混淆を生じやすくするとすれば, 食物供給の当事者として子どもに関わるときには自他未分化な状態が起きているというこ とになるのだろうか。近年注目を集めているミラーニューロンに関する研究でも,共感反 応は相手が誰かや自分との関係性によって変わることが示唆されている[36]。他者に対する 物理的距離ではなく,同一化(identification)しやすい心理的距離にあるかどうかが,共 感的開口に影響を与えている可能性が高い。 今ひとつ課題となるのは,根ヶ山[33]においては他者が子どもに食物供給する条件は設定 されていたが,子ども自身が自食(self-feeding)する条件での養育者の共感的開口につい
ては検討されていなかった点である。そこで,川田・川田・塚田-城[14]は,母親が食物供 給する時と,子どもが自食する時とで,母親の共感的開口の生起率に差が生じるかを検討 した。結果として,母親供給条件1での共感的開口の生起率は,離乳食後期になっても減少 せず,むしろ増加傾向にあること(ピークは15 ヶ月で 89.6%),子どもの自食条件では 20% 前後で横ばいの傾向にあった2(Figure2)。すなわち,上で見たような養育者の共感的開口 の時系列的変化において,生後9 ヶ月以降に減少が見られたのは子どもの自食が進むこと の反映であったと言える。 <Figure2 の挿入> 子どもが自食しているとき,養育者がそれを見ているかどうかが重要な点であり,子ど もの自食を見ている条件下での共感的開口の生起率を検討する必要があるが,それは今後 の課題である。ここでは次のことを確認するにとどめたい。いずれにせよ,共感的開口の 全体的な生起率を見れば,子どもの自食の開始と共に,養育者と子どもの身体的距離のみ ならず心理的な距離化が生じる状況が作られているのかもしれない。母親供給条件では依 然として共感的開口が生じるので,母親は子どもに共感しなくなるというより,共感する ための社会的なセッティングが少なくなっていくということなのだろう。 2-3.自己の食経験が他者の食経験によって蘇る 食事場面におけるもうひとつの模倣・共感現象を紹介しよう。他者が何かを食べたり, 食べようとしているとき,それを観察している個人にも類似の味覚反応が生じることがあ る。陳腐な例として,梅干しを食べている他者を見ているだけで,自分も酸っぱいような 気分になり,唾液すら分泌されるというものを挙げることができる。特定の食物に対する 過去経験から,食物の外見などと味覚反応とが連合するという味覚条件づけは,こうした 現象の基盤となるメカニズムであろう。しかしながら,例えばスーパーマーケットに陳列 されている梅干しを見る場合と,他者が梅干しを食べようとしているシーンを観察する場 合とでは,酸味反応の強さや質,また社会的意味が異なるのではないか。前者はモノとし 1 川田・川田・塚田-城[14]では,母親が供給する条件を「受動条件」(子どもの視点に立った命名),子どもが自食する 条件を「能動条件」と呼んでいた。 2 自食条件は,自食する乳児が観察されはじめた生後8 ヶ月からのデータとなっている。なお,生後 8 ヶ月時点では 2 名の乳児に自食が見られたのみであり,8 名すべての乳児に自食が観察されたのは 12 ヶ月になってからであった。
ての梅干しに対する生理的反応であるが,後者は他者の状況の知覚が自分の過去経験を想 起させると同時に,社会的な観点に立てばそれは共感反応であるとも言える。このような 現象は,いったいいつ頃から観察されるのであろうか。 久保田[22]は,生後6 ヶ月 3 週の男児(g 男)がみせた次のようなエピソードを紹介して いる。「この子は大人がさし出した半割りのレモンに口をつけて大変すっぱそうな顔をした。 その後5 分くらいして大人がたわむれにレモンを,おいしいよと普通の顔で.....口にしてみせ たとき,この子はまるで自分がまたそのレモンを食べたかのようにたまらなくすっぱそう にしたのである」(p48,傍点−引用者)。 このg男の反応は,先の梅干しの例と同型である。ふつう乳児は,自分が食物を食べる 光景を鏡などを使って見るということはないだろう。よって,乳児にとって自己の食行為 の体験と知覚像は,純粋に一人称的なもののはずである。g 男のような離乳食初期の乳児 であれば,食物は養育者から供給されるのが通常であり,乳児の体験としては養育者の表 情や声を含めた諸々の身体動作を後景として食物が迫って来,半ば非意図的に開口すると いったものだろう。これに対し,食物を食べようとする他者を見るときは,まさに食べる 主体である他者の身体動作の一連が知覚されることになる。つまり,他者の食行為の知覚 像は三人称的(ないし二人称的)なものとして成立しているはずである。このように,「自 分がX を食べることを知覚すること」と「他者が X を食べることを知覚すること」はおよ そ異なる体験であるのだが,g 男はこの異なるモダリティの体験を自分の身体の上で統合 しているかのようである。g 男は,生後 6 ヶ月にして一人称的体験と三人称的体験をマッ チングさせているということだろうか。 2-4.g 男が見せた反応のメカニズム この現象を久保田が最初に紹介したのは,1981 年のことである[21]。当時は Meltzoff& Moore[26]の新生児模倣が紹介され,乳児の心理・身体的な共鳴性(resonance)が脚光を 浴びていた時期だが,久保田の観察例が広く注目を集めることはなかった。しかし,新生 児模倣と久保田の観察例とは,類似性の高い現象でありながら重要な点で相違があるよう に思われる。新生児模倣が他者の身体動作や表情を知覚することによって同型の反応を生 じるのに対して,g 男は「普通の顔」に対して「すっぱい顔」で反応しているのである。 つまり,同型という点について言えば,g 男は自己の過去経験と同型の反応したのであり, 面前の他者と同型になったわけではない。
新生児模倣とは月齢差があるとはいえ,二つは異なるメカニズムで説明されるべき現象 かもしれない。g 男の反応と新生児模倣とを対比してみると 2 点の相違が認められる。第 一に,自己と他者における時間的関係である。新生児模倣の時間的配列は,それが模倣で あることから分かるように<他者の行為(の知覚)→自己の行為>となる。一方,g 男は 自らが体験したのと類似の行為を,女性が今まさにしようとしているシーンを見て,思わ ず酸っぱそうな表情をしてしまった。つまり,時間的な流れでみると<自己の行為→他者 の行為(の知覚)>となる。
い ま ひ と つ の 相 違 は ,Meltzoff& Moore[27]が 主 張 す る AIM ( Active Intermodal
Mapping)仮説の等価性検出についてである。Meltzoff らによれば,新生児模倣では超様 相的な表象空間において,”like-me”という推論枠組みが作動し,自他の等価性が検出さ れることによって模倣が実現する(Figure3)。これに対し,g 男はレモンを食す女性の真 顔とは異なり,自分が過去に表出した酸っぱそうな表情をした。自己と他者の行為(表情) は非等価であるため,AIM 仮説における等価性検出の原理では説明ができない。過去の自 己経験を他者の情況に適用しているという意味では,むしろ新生児模倣よりもg 男の方が “like-me analogy”を作動させているようにも思われる。もしそうであるなら,g 男は他 者が本来体験しているだろう情動を,自己において疑似的に体験(シミュレート)してい ることになる。 <Figure3 の挿入> 2-5.疑似酸味反応の実験的検討
そこで川田[11]は,この現象を疑似酸味反応(false acid response)と名づけた。“疑似−
false”としたのは,自分自身はレモン等を食べていないということ,つまりは物理的には する必要のないある種の“誤った”反応をしているというニュアンス,および実際には他 者が経験するはずの情動を自己において生じているという意味で,ある種の疑似経験であ るというニュアンスを表現するためである。 川田[11]は38 名の乳児(生後 5-14 ヶ月)を対象とし,疑似酸味反応を実験的に検討した。 月齢と性差のバランスを考慮して,約半数ずつレモン経験あり群(実験群)とレモン経験 なし群(統制群)に分け,実験群には事前にレモンを摂食させ,統制群にはレモンの代わ りにプレーンの乳児用ソフト煎餅を少量摂食させた。そして,実験者(女性)が真顔のま
まレモンを摂食するシーンを観察させた。その結果,実験群の乳児の反応は,久保田[22] の観察例と共に示された写真ほど明瞭な表情反応が得られることは少なかったが,統制群 に比べて「顔をしかめる」(p<.05),「口唇部の動きが活発になる」(p<.01)などの反応が 有意に多かった(検定はFischer の直接確率法)。実験群では 5 ヶ月児においても,「顔を しかめる」「口唇部の動きが活発になる」反応が見られた。 また,少数反応ではあるが,「全身をのけぞらせる」や「頭部を掻きむしる」といった反 応は,実験群でのみ観察された。久保田[22]では乳児の表情反応のみが取り上げられていた が,予備実験においてレモン摂食経験をした乳児は表情だけでなく四肢や体幹部に関わる 様々な反応を示した。須田[38][39]によれば,情動は機能的システムとしての性質をもち,あ る行動表出が特定の情動と一対一対応で結びついているわけではない。擬似酸味反応にお いても,ある乳児は表情反応が顕著に出る傾向があり,別の乳児は四肢の運動反応が顕著 に出る傾向があるといった表出形態の個人差や,月齢による表出形態の変化が想定される と考えたため,顔面部から上肢,体幹,また社会的反応(母親参照)まで幅広いカテゴリ を採用した。 続いて,川田[13]では,43 名の乳児を younger 群(生後 5-9 ヶ月)と older 群(生後 9-14 ヶ月)に分割し,月齢間の反応差を分析している。その結果,典型的な疑似酸味反応と思 われる「顔をしかめる(frown)」と「口唇部の動きが活発になる(mouth movement)」は実 験群のyounger 群において最も顕著であった(Figure4-1,4-2)。また,実験群の younger 群では皆無であった「実験者の持つレモンや口元への手のばし(reach)」は,実験群の older 群では6 割の乳児に見られた(Figure4-3)。
<Figure4-1,4-2,4-3 の挿入>
結論的なことが言える段階ではないが,こうした反応の月齢差の存在は興味深い。 Geangu, Striano, & Benga[4]によれば,他児の泣きに対する情動伝染反応は,3 ヶ月児と
9 ヶ月児に比べ 6 ヶ月児で最も顕著であった。6 ヶ月頃は,対象的活動は活発になるもの の,<自己−モノ>と<自己−他者>の二項関係の段階である[48]。玩具等で遊ぶ時はモノ
そのものに没頭し,名前を呼ばれるとふと顔を上げて手に持っていた玩具をポロリと落と し,相手に微笑みかけ,対人的活動に向かっていく。6 ヶ月頃の乳児にはしばしば見られ る姿であろう[22]。上の実験群におけるyounger 群の乳児が顔をしかめるなどの情動反応を
示す傾向があるのは,二項関係にある乳児に他者の状況が伝染しやすいということを示唆 しているのかもしれない。これに対し,生後1 年目の終わりに差し掛かかると,対人的活 動と対物的活動が統合された三項関係(共同注意)が形成されてくる。Werner[47]によれ ば,三項関係は対象との(心理的)距離化をなす静観的態度(contemplative stance)の 形成と密接に関連している。実験群における older 群で,他者がレモンを食すシーンを観 察した乳児に顔しかめが少なく,手のばしをする者が多いというデータは,三項関係の形 成と関連があるのだろうか。いずれにしても,共感的開口と同様に,疑似酸味反応もまた 生後1 年目の終わり頃になると共鳴的な反応が減退する可能性がある。 3.食の中の自他関係形成 3-1.特殊な分配行動としての「食べさせる行動」 動物は食物を分配する。それは,春になると軒先の巣で声をあげる雛鳥に餌を運ぶ親ツ バメの姿に,サバンナでシマウマの肉を数頭でむさぼり食うライオンの姿にもみることが できる。霊長類では,更に複雑な分配行動が行われており,チンパンジーやボノボになる と社会的関係づくりと密接に絡んだものとなる[23]。特にチンパンジーでは,母子間におい て幅広い種類の食物が分配されることが知られている[43]。 Ueno&Matsuzawa[44]は,飼育下の3 組のチンパンジー母子を対象に,母から子への食 物分配の様相を観察した。結果,母親は子どもの要求に対しては拒否する傾向があるが(子 どもからの要求に対して 72%は拒否した),子どもの方から執拗にせがまれた場合には, 母親が食べる部位と同じものが分配される傾向が高かった。一方,母親から子どもに積極 的に差し出す場合には,すべて母親が食べない部位が分配された。 チンパンジーの母親は,食物分配を行うにしても,基本的に積極的ではない。その理由 として,上野[42]はチンパンジーの離乳期間の長さを指摘する。チンパンジーは通常離乳す るまでに 4,5 年ほどかかるため,その間基本的な栄養は母乳によって摂取される。その ため,チンパンジーの母親はできるだけ自分自身が栄養を摂取し,子には母乳を通して栄 養を与えるという戦略をとっているのである。ヒトは霊長類の中では際だって離乳が早い が,それは「人間は料理をする動物である」[9]ゆえに,離乳食という中間形態を発明した からだと考えられている。その結果,ヒトにおいては積極的に「食べさせる」という特殊 な分配行動が進化したのかもしれない。 また,ヒトの養育者−子ども間で見られる特徴的な食行動として上野[42]が指摘するのは,
子どもが「動かずその場でただ口をあけて,食べ物が口に運ばれてくるのを待つ」(p.111) というものである。これは,チンパンジーの子どもにも決して観察されない行動だという。 すなわち,ヒトの養育者−子ども間の食物分配には,養育者の「食べさせる」と子どもの 「食べさせられる」という,2つの特殊な相補的役割によって成り立っているということ になる。そして,今ひとつ指摘しなければならないのは,ヒトにおいては離乳食の段階で すでに,子どもから養育者への「食べさせる」行動が生起するということである。 3-2.役割交替模倣としての食べさせる行動 乳児の食事場面を観察していると,生後1 年目の終わり頃に特筆すべき現象に出会う。 それが,他者に「食べさせる」という行動の出現である。この行動の発達的意味とは一体 何であろうか。我々は,そこに2 つの意味で乳児期の社会認知的発達におけるエポックを 見 て 取 る こ と が で き る 。 第 1 に , そ れ は Tomasello[40]の 指 摘 す る 役 割 交 替 模 倣 (role-reversal imitation)を意味している。離乳食の開始から数ヶ月間,基本的に養育者 から食べさせられていた乳児は,役割を交替して養育者に食べさせるようになる。つまり 受動的役割から能動的役割への交替を果たしているといえる。食べさせる行動はもともと 養育者のものを模倣したものだと考えられるが,単純な同型的模倣ではなく役割交替模倣 である点が重要である。 第2 に,それが対象を媒介した対人行動,すなわち三項関係の形成を意味しているとい うことである。子どもが養育者に食べさせるとき,その子どもの意図は差し出した食べ物 によって象徴されている。 ヒト乳児における食べさせる行動の出現は,分配行動の特殊な形態として,人類の社会 認知的発達の重要なメルクマールである可能性がある。にもかかわらず,この現象の重要 性を主張した研究は極めて少ない。Negayama[31]は“playful feeding towards mother”
として,母親に食べさせる行動が生後2 年目に入ると観察されるようになると指摘してい る。久保田[22]はこのような行為が類人猿以上にしか見られないことを指摘し,「人間化へ のひとつのステップ」(p.88)と表現した。そのような中,麻生[2]はこの現象に関心を寄せ, 中心的テーマとして論じた数少ない研究者のひとりである。 麻生は“口”概念の獲得という観点から,食べさせる行動の成立過程を詳細に記述した。 麻生によれば,実子のU は生後 7 ヶ月頃から父親や母親の口元を触ったり,まじまじと見 たり,口の動きをまねするような仕草をするようになった。7 ヶ月の終わりには飲んでい
た哺乳瓶を母親に求められると,乳首を母親の口に入れるという行動をし,食べさせる行 動が発生した。そして,生後 8 ヶ月 20 日頃になると自発的に他者に食べさせるようにな り,自分の口と他者の口に交互に哺乳瓶を突っ込むという行動も行うようになった。そし て,生後1歳までには,「“食べさせる”ふりと“食べる”ふりとの相補的でしかも類似し た関係の認識や,“食べさせられる”ことと“食べさせる”こととの役割交替を通じて,自 己の“口”と他者の“口”との同型性をほぼ認識していた」(p.27)と結論している。 麻生[2]の問題意識は,Meltzoff&Moore[26]が新生児模倣の存在をもって,同型性認識の生 得性を主張したことへの反論として,同型性認識がいかに歴史的,発達的な構成物である かを示そうとした点にある。しかし,Meltzoff らの取り上げた新生児模倣とは,乳児がモ デルと類似の身体動作や表情を生起する同型的模倣であり,役割交替模倣ではない。U が 他者に食べさせるようとするとき,相手は必ず食べさせられる役割を取らなければならな いのであり,この相互交渉が成立するためには役割の非対称性が必須条件である。 ところで,Wallon[45][46]は,能動と受動の役割交替を含むコミュニケーションが人格発 達上重要な役割を演ずると述べている。Wallon はこれを“交替遊び”あるいは“交替活動” と呼んでいるが,子どもが他者とのやりとり場面において,能動と受動の役割交替をくり 返すことによって,相反する2つの情動を交互に体験するとした。その結果,体験主体と しての自己と他者の分化が促進され,後の自己主張的段階へとつながると指摘している。 ここで Wallon が取り上げているものこそ,いま問題にしている役割交替模倣であり,そ の代表例として他者に食べさせる行動が挙げられるのではないだろうか。他者に食べさせ る行動は,自他分化や自己主張という発達的変化と関連しているのだろうか。 3-3.食べさせる行動の出現がもたらす乳児の自他意識の変化 川田・塚田-城・川田[15]は,8 名の乳児とその母親を対象に,生後 5 ヶ月から 15 ヶ月ま で家庭での離乳食場面の観察と聞き取り調査を行い,食べさせる行動の出現と自己主張行 動との発達連関を検討した。まず,母親への聞き取りから,すべての乳児が生後9 ヶ月か ら 11 ヶ月の間に食べさせる行動を初発した。この時期は,三項関係の基準となる指標 (pointing,giving,showing)の初発と連動していた(Figure5)。自己主張行動として, 母親からの食物供給に対する拒否(受動的摂食拒否)を指標とし,各乳児で食べさせる行 動の初発月齢をonset として,その前後 2 ヶ月間の受動的摂食拒否の割合を算出した。そ の 結果 ,食 べさ せる行 動 onset の前後で有意に受動的摂食拒否の割合が増加した
(Figure6;図中の凡例 S∼Z はそれぞれ対象児を示す)。 <Figure5 の挿入> <Figure6 の挿入> 乳児に食べさせる行動が始まる時期に,なぜ自己主張性が顕在化するのであろうか。 Figure7-1 のように,養育者から乳児に専従して食物が供給される離乳食初期の段階では, 乳児は未だ二項関係にあるので養育者と食物を統合して認知していないと思われる。視野 も狭いので,面前に食物が差し出されると,それをじっと見つめ,開口する。そこに養育 者が食物を調整しながら入れるという流れである。この段階でも,乳児は食物の味や温度, 食感,食具の感触などに嫌悪を示し,回避行動を取ることはあるだろう。しかし,それは あくまでも物理的な性質への拒否である。 <Figure7-1,7-2 の挿入> Figure7-2 は,乳児が役割交替して養育者に食べさせるようになった様子を表している。 麻生[2]の詳細な記述的研究からも分かるように,乳児が他者に食べさせるようになるまで には,意図的か非意図的か曖昧な行動が様々に展開する中間段階を経過する。しかし,い ずれ乳児は養育者からの要求がなくとも,能動的に食べさせる行動を行うようになる。そ の段階になると,三項関係が形成され,食物は単に物理的な実体ではなく,食べさせよう とする意図を象徴する媒体としても機能するようになる。それを表したのが,Figure7-2 中の吹き出し部分である。すなわち,食べさせる行動の出現は,食物を物理的対象として だけでなく心理的対象として成立させることになるものと思われる。このことを良く示す ものとして,著者が観察した次のような13 ヶ月男児の事例がある。 「ある13 ヶ月児(L)と母親(M)の食事場面の出来事。L はソファーに座り,M はプ レートにのったスパゲッティと野菜を持ってくる。M は L に対し,「これは?」とトマト を差し出すが L は顔をしかめてのけぞる。そこで M は「じゃ,これは?」と青菜を差し 出してみる。しかし,L は思いっきり顔をしかめてみせ,不快そうに手を振って「あ゙∼」 と非難の声を上げてソッポを向いてしまう。M「どうしたのー?」とやや非難気味で,再 度「赤いのは?」とトマトを差し出す。L またもや顔をしかめ手で顔を隠す。そこで M が
開き直ったように「じゃ,自分で食べる?」とプレートを差し出すと,L の表情が一変し, トマトに手を出し始めた。スパゲッティを食べる段になり,L がうまくすくえないのを見 かねたM が,箸でつまんで L の口元にもっていくと,L は拒否。その後,M の差し出し を受け容れたかに見えた時でも,これ見よがしに吐き出し,自分で食べて見せる。M「な んでー,おんなじのよ∼」。更に,L は M の差し出しを拒否した後,今度は自分の方から M に差し出して役割逆転が起ってしまう」[10]。 この事例において,L 児はトマトやスパゲッティといった食物そのものを拒否している わけではない。なぜなら,L 児は母親に「じゃ,自分で食べる?」ときかれると,表情を 変えて自ら食べ出すからである。L 児が拒否しているのは何か。おそらく,母親の意図, あるいは母親の意図の下で進められるという“手続き”に対する拒否感情が生じているの ではないだろうか。母親からしてみると「おんなじのよ∼」ということになるが,L 児に とっては「おんなじ」ではないのである。 社会心理学には,心理的リアクタンス(psychological reactance)という概念がある[3]。 心理的リアクタンスとは,「態度や行動の自由が脅かされた時に喚起される,自由の回復を めざす動機づけ状態」(「心理学辞典」有斐閣)と定義されている。リアクタンスは,もと もと説得理論のひとつとして,セールスなどでの押しつけがましい説得が逆効果をもたら すことの根拠とされてきた。リアクタンスが生じるためには,自分自身の行動や態度の自 由を認知している必要があり,自由を認知しているにもかかわらず強制されると禁止され た行動が遂行されるのである。 食事場面における自由とは,一般に,好きなものを,好きな方法や手続きで食べること ができるということだろう。これらは全て揃っていることに意味があり,仮に好きなもの でも,ペースを無視して他者に食べさせられたら,手続き的には強制されていることにな るので不快を生ずるだろう。介護場面では常に考慮されるべき事柄である。もし,L 児に リアクタンスが生じたと考えるなら,その前に彼が食事における自由をある程度認知して いる必要がある。そのような認知を可能にするのが,食べさせる行動に象徴される三項関 係の構造であると考えられる[16] [17]。 Figure7-2 にみたように,食べさせる行動の出現は乳児が受動的役割だけでなく,養育 者に対して能動的役割を取れる可能性を意味する。養育者の差し出しを受け入れることも, また拒否することもひとつの選択肢となる。食物がどのように扱われるか,食物を介した コミュニケーションがどのような手続きで行われるかは,参加者の心理状態に影響を与え
る。心理的対象となった食物は,食の中のコミュニケーションを複雑にする機能を持って いると考えられる。その上,Tomasello[18]が指摘するように,三項関係(共同注意)の構
造において,乳児が他者の注意をモニターするようになると「他者の自分に対する注意」 をもモニターするようになる。この他者モニタリングの最大の特徴は,それが再帰的 (recursive)な性質をもち,他者の心の中に自己を知覚するということである[13]。それゆ
え,Tomasello は三項関係(共同注意)の成立に概念的自己(conceptual self)の萌芽を みる[40]。つまり,食べさせる行動が可能になった乳児は,受動的に食べさせられている自 分も,能動的に食べさせている自分も,初歩的な段階にせよモニタリングすることができ るのだと考えられる。こうした再帰的な自己意識が,母親の介入を自由を脅かすものと認 知 さ せ , リア ク タ ンス と し ての 受 動 的摂 食 拒否 を 生 じ させ る の では な い だろ う か (Figure7-3)。 <Figure7-3 の挿入> 4.おわりに 冒頭に述べたように,現代の日本社会では,共食の中で子どもが自然に食行動や食文化, 対人関係や自他理解を発達させる環境に乏しいといえる。食育の推進項目の中にも「食と 人間関係」があるが,それがいったい何を意味しているのか分かりにくいかもしれない。 言語発達の進んだ幼児期以降であれば,マナーのような社会的ルールや食事中の楽しいお しゃべりというイメージが浮かぶだろう。しかし,乳児期における「食と人間関係」につ いては,授乳におけるスキンシップ以外はあまり注目されていないように思われる。 本稿では,共感的な反応,役割の交替,自由の認識と自己主張性という,乳児期の発達 における重要なアスペクトが,食事場面には凝縮されていることを示してきた。いずれも 生後9 ヶ月から 12 ヶ月頃に質的な転換があるかもしれない。その転換は,“やりとり困難 期”[30]とも言われるように,子どもの行動が複雑になって,意図が分からないと養育者を 困惑させるものでもあるだろう。「9 ヶ月革命」とは,第三者的に乳児の発達を眺めること のできる発達心理学者の視点からのネーミングともいえる。今後の課題として,9 ヶ月革 命を養育者の視点から捉え直すことが必要かもしれない。とりわけ,食事は養育者の悩み の多い領域でもある。しかし,逆に述べれば,食事場面をより充実させることができれば, 乳児の社会的発達を保障する土台を作ることができるのだとも言える。食と社会的発達と
の関連を探る研究が期待されていると言えよう。
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0.0 20.0 40.0 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Age in months
%
O
c
c
u
rr
e
n
c
e
s
Figure1
Percentage of occurrences of mothers’ empathetic mouth
opening to infants’ feeding.
0.0
20.0
40.0
60.0
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
Age in months
%
O
c
c
u
rr
e
n
c
e
s
Infant self-feeding condition Mother providing condition
Figure2
Mothers’ empathetic mouth opening to infants’ feeding.in
Infant self-feeding condition and Mother providing condition.
行為の超様 相的表象 Supramodal representation of Acts
等価性検出器 Equivalence Detector
乳児の運動行為 Infant Motor Acts
自己受容感覚情報 Proprioceptive
Information
Frown
0 20 40 60 Younger Older P e rc e n ta g e oMouth movement
0 20 40 Younger Older P e rc e n ta gReach
0 20 40 60 Younger Older P e rc e n ta g e o f in faFigure4-3
Percetage of infants displaying “reach to lemon or
experimenter’s mouth”.
0 2 4 7 8 9 10 11 12 Age in months pointing giving showing N = 8
Figure5
The beginnings of four index behaviors.
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0
before onset after