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(1)

平成 25 年度

二国間クレジット制度(JCM)

実証案件組成調査

「高効率冷凍機システムの導入による省エネルギー」

(インドネシア)

報 告 書

平成 26 年 3 月

荏 原 冷 熱 シ ス テ ム 株 式 会 社

平成 25 年度 環境省委託事業

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平成 25 年度

JCM 実証案件組成調査

「高効率冷凍機システム導入による省エネルギー」

最終報告書(詳細版)

目 次

はじめに 第 1 章 調査の背景 ... 1-1 1.1 国際交渉・議論の動向 ... 1-1 1.2 ホスト国の新メカニズムに対する考え方 ... 1-1 1.2.1 ホスト国における気候変動政策・制度 ... 1-1 1.2.2 新メカニズムに対する考え方 ... 1-2 1.2.3 JCM に対する考え方 ... 1-3 第 2 章 調査対象プロジェクト ... 2-1 2.1 プロジェクトの概要 ... 2-1 2.2 企画立案の背景 ... 2-3 2.2.1 インドネシアにおける高効率冷凍機導入による省エネルギー企画立案の背 景 ... 2-3 2.2.2 日本製高効率冷凍機システムのインドネシアへの導入意義 ... 2-4 2.3 ホスト国における状況 ... 2-5 2.3.1 インドネシアにおける気候変動への取り組み ... 2-5 2.3.2 プロジェクトの普及 ... 2-10 第 3 章 調査の方法 ... 3-1 3.1 調査実施体制 ... 3-1 3.2 調査課題 ... 3-1 3.3 現地調査内容 ... 3-2 第 4 章 JCM 方法論に関する調査結果 ... 4-1 4.1 JCM 方法論の概要 ... 4-1 4.2 用語の定義 ... 4-1 4.3 適格性要件 ... 4-3 4.3.1 適格性要件1 ... 4-3 4.3.2 適格性要件 2 ... 4-4

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4.3.3 適格性要件 3 ... 4-5 4.3.4 適格性要件 4 ... 4-7 4.3.5 適格性要件 5 ... 4-8 4.4 対象 GHG 及びその排出源 ... 4-9 4.5 算定のための情報・データ ... 4-10 4.6 デフォルト値及び事前設定値の設定 ... 4-10 4.7 リファレンス排出量の算定根拠 ... 4-12 4.7.1 インドネシアにおける冷凍機市場 ... 4-12 4.7.2 リファレンスシナリオの設定 ... 4-12 4.7.3 リファレンスシナリオ、BAU における COP の設定 ... 4-14 4.7.4 リファレンス COP 設定に係るデータ範囲の設定 ... 4-14 4.7.5 データ範囲の特定、及びリファレンス COP の決定 ... 4-16 4.8 リファレンス排出量の算定方法 ... 4-16 4.9 プロジェクト排出量の算定根拠 ... 4-16 4.10 プロジェクト排出量の算定方法 ... 4-17 4.11 モニタリング手法 ... 4-17 4.11.1 紡績産業における消費電力量の管理 ... 4-17 4.11.2 紡績工場におけるモニタリングの課題 ... 4-18 4.11.3 モニタリングにおける JCM の貢献 ... 4-19 4.11.4 本方法論に対して望ましいモニタリング手法 ... 4-20 4.12 温室効果ガス排出量及び削減量 ... 4-21 4.13 環境十全性の確保 ... 4-22 4.13.1 ホスト国における環境法令・制度の現状 ... 4-22 4.13.2 対象事業における環境十全性の確認 ... 4-22 第 5 章 JCM PDD 作成に係る調査結果 ... 5-1 5.1 プロジェクト実施体制及びプロジェクト参加者 ... 5-1 5.2 プロジェクト開始時期及び実施期間 ... 5-3 5.3 方法論適格性要件と整合性確保 ... 5-4 5.4 プロジェクト排出源とモニタリングポイント ... 5-6 5.5 モニタリング計画 ... 5-6 5.6 環境影響評価 ... 5-7 5.7 利害関係者のコメント ... 5-7 第 6 章 プロジェクト事業化に係る調査結果 ... 6-1 6.1 プロジェクト開発状況 ... 6-1 6.2 資金計画 ... 6-2 6.3 MRV 体制 ... 6-2 6.4 プロジェクトの許認可 ... 6-2 6.5 日本製技術の導入 ... 6-2 6.6 ホスト国への貢献 ... 6-2 6.7 環境十全性の確保 ... 6-3 6.8 その他の間接影響 ... 6-3 6.9 今後の見込み及び課題 ... 6-3

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表 目 次 表 2-1 本プロジェクト対象工場の設備概要 ... 2-2 表 2-2 紡績工場の冷凍機更新事業の概要 ... 2-3 表 2-3 2000~2005 年の GHG 排出量 ... 2-5 表 2-4 気候変動に関する政策動向 ... 2-6 表 2-5 国家温室効果ガス削減行動計画(RAN-GRK) ... 2-8 表 2-6 インドネシアにおける省エネ関連政策 ... 2-9 表 2-7 インドネシアにおけるエネルギー関連施策 ... 2-9 表 2-8 冷凍機市場の将来予測(出荷台数) ... 2-12 表 2-9 冷凍機市場の将来予測(売上高:百万 US$) ... 2-12 表 2-10 冷凍機市場の将来予測(平均販売価格:US$) ... 2-12 表 3-1 調査着手前に認識された調査課題 ... 3-1 表 3-2 各提案団体の調査内容概要 ... 3-2 表 3-3 現地調査及び本邦視察の概要 ... 3-4 表 4-1 用語の定義 ... 4-1 表 4-2 適格性要件... 4-3 表 4-3 インドネシアにおける冷凍機販売実績 ... 4-3 表 4-4 冷凍機製造業者による点検等の契約状況 ... 4-6 表 4-5 冷凍機製造業者による定期点検の一例 ... 4-6 表 4-6 冷凍機に用いられる冷媒とその特長 ... 4-7 表 4-7 モントリオール議定書による発展途上国における冷媒規制スケジュール ... 4-8 表 4-8 冷凍機製造業者の使用冷媒リスト ... 4-8 表 4-9 対象 GHG 及びその排出源 ... 4-9 表 4-10 算定のための情報・データ ... 4-10 表 4-11 8 地域グリッド排出係数 ... 4-11 表 4-12 インドネシアにおける冷凍機市場の情報(調査報告書) ... 4-12 表 4-13 インドネシアにおける冷凍機市場の情報(聞取調査) ... 4-12 表 4-14 リファレンスシナリオ、BAU の考え方 ... 4-14 表 4-15 データ範囲毎のリファレンス COP 表 ... 4-15 表 4-16 COPRE_JIS(リファレンス)の固定値表 ... 4-16 表 4-17 紡績工場におけるモニタリング手法 ... 4-18 表 4-18 本邦企業各社におけるモニタリングシステム ... 4-19 表 4-19 インドネシアにおけるモニタリング手法と JCM における改善案 ... 4-20 表 4-20 JCM における改善案の提案理由 ... 4-20 表 4-21 PT Primatexco プロジェクトにおける GHG 排出削減量(冷凍機一台当たり) ... 4-22 表 4-22 PT Argo Pantes プロジェクトにおける GHG 排出削減量(冷凍機一台当たり) .. 4-22 表 4-23 インドネシアにおけるフロン破壊処理施設の概要 ... 4-24 表 5-1 国際コンソーシアム構成員の役割 ... 5-2 表 5-2 適格性要件(再掲)... 5-4 表 5-3 適格性要件(PT Primatexco) ... 5-5 表 5-4 適格性要件(PT Argo Pantes) ... 5-5

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図 目 次 図 1-1 気候変動緩和策に関する国家ロードマップ ... 1-2 図 1-2 インドネシア国における気候変動実施体制 ... 1-3 図 2-1 プロジェクト概要 ... 2-1 図 2-2 インドネシアにおける平均電力料金 ... 2-4 図 2-3 インドネシアにおけるセクター別 GHG 排出量 ... 2-6 図 2-4 2020 年までのインドネシアにおける NAMAsの可能性 ... 2-7 図 2-5 紡績工場数の推移(1998-2011) ... 2-10 図 2-6 2000 年を 100 とした場合の紡績業界の工業生産成長指数 ... 2-11 図 3-1 調査実施体制図... 3-1 図 4-1 冷凍機の部分負荷特性曲線 ... 4-2 図 4-2 インドネシアにおける冷凍機の成績係数(COP) ... 4-5 図 4-3 プロジェクトシナリオ、リファレンスシナリオ、BAU の概念図 ... 4-12 図 4-4 リファレンス冷凍機候補の COP 分布 ... 4-13 図 4-5 リファレンスシナリオおよび BAU における COPRE_JIS ... 4-14 図 5-1 PT Primatexco 社事業に係る実施体制図 ... 5-1 図 5-2 PT Agro Pantes 社事業に係る実施体制図 ... 5-2 図 5-3 PT Primatexco 社事業に係るスケジュール(第 1 次公募) ... 5-3 図 5-4 PT Primatexco 社事業に係るスケジュール(第 4 次公募) ... 5-3 図 5-5 PT Agro Pantes 社事業に係るスケジュール ... 5-4 図 5-6 冷凍機システム及びモニタリングポイント ... 5-6 図 5-7 モニタリングフロー ... 5-7

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略語集

略語 英語表記 日本語

BAU Business as usual -

BRESL The Barrier Removal to the Cost-Effective Development and Implementation of Energy Efficiency Standards and Labeling

エネルギー効率水準や ラベルプログラムの実施 における障壁の排除の ためのプログラム BSRIA Building Services Research and Information

Association

CDM Clean Development Mechanism クリーン開発メカニズム

COP Conference of the Parties 国連気候変動枠組条約

COP Coefficient of Performance 成績係数

DNA Designated National Authority 指定国家機関

DNPI Dewan Nasional Perubahan Iklim 国家気候変動協議会

EF Emission Factor グリッド排出係数

ESCO Energy Service Company 国家エネルギー使用合

理化事業会社 GEF Green Environment Facility -

GHG Greenhouse Gas 温室効果ガス

GWP Global Warming Potential 地球温暖化係数

ICCTF Indonesia Climate Change Trust Fund イ ンド ネ シア 気候 変 動 信託基金

JAMALI Java- Madura - Bali -

JCM The Joint Crediting Mechanism 二国間クレジット制度 JETRO Japan External Trade Organization 日本貿易振興機構 LUCF Land-use Change and Forestry 土地利用変化及び林業 MRV Measurement Reporting and Verification 測定・報告・検証

NAMAs Nationally Appropriate Mitigation Actions 国別緩和行動

ODP Ozone Depletion Potential オゾン層破壊係数

PDD Project Design Document プロジェクト設計書

PEN Blueprint Pengelolaan Energi Nasional 国家エネルギー管理計 画

RAN-GRK Rencana Aksi Nasional Penurunan Emisi Gas Rumah

Kaca 国家温室効果ガス削減

行動計画 RAN-PI Rancana Aksi National –Perubahan Iklim

(National Action Plan Addressing Climate Change)

国家行動計画

RIKEN Rencana Induk Konservasi Energi Nasional 国家省エネマスタープ ラン

RPJM Rencana Pembangunan Jangka Menengah 中期国家開発計画 RPJMN Rencana Pembangunan Jangka Menengah

Nasional

長期国家開発計画

SATREPS Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development

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略語 英語表記 日本語 科学技術協力 SIM Subscriber Identify Module ―

UNDP United Nations Development Programme 国連開発計画 UNFCCC United Nations Framework Convention on

Climate Change 国家気候変動枠組条約 為替レート (JICA 精算レート、2014 年 2 月) USD 1.00 = JPY 102.46 IDR 1.00 = JPY 0.00843

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第 1 章

調査の背景

1.1 国際交渉・議論の動向

2013年11月11日から11月22日にかけてポーランド・ワルシャワにて開催された国連気候 変動枠組条約第19回締結会議(19th session of the Conference of the Parties : COP19)では、 全ての国が参加する2020年以降の新たな枠組みについて検討やフィリピンにて発生した台 風被害に係る適応策(loss and damage)等について活発な議論が行われた。同会議におい て、今後の新メカニズムに係る議論とその決定は、2015年末のCOP21(パリで開催予定)で 採択し、2020年以降に始まる予定されている。2015年の採択を確実にするため、参加各国 による自主目標を同メカニズムに導入できるかがCOP19での最大の焦点であった。しかしな がら、基本合意において自主目標の提出期限を「準備できる参加国」という条件付きで、 2015年第1四半期(1~3月)までに対応することで議論が収束している。

これに対し、現在、我が国が提案している二国間クレジット制度(The Joint Crediting Mechanism : JCM)を含む様々なアプローチについて、COP18において実施のための「枠 組み」について作業計画を実行していくことが決定されている。この枠組みの機能や役割、 国際的なクレジットの移動に関するダブルカウントの防止等について、今後、検討されること が決定しているが、COP19では枠組み等の議論はなされたものの、具体的な決定にまでは 至らなかった。 1.2 ホスト国の新メカニズムに対する考え方 1.2.1 ホスト国における気候変動政策・制度 (1) 国家政策 本 調 査 の ホ ス ト 国 で あ る イ ン ド ネ シ ア は 、 2009 年 に 「 長 期 国 家 開 発 計 画 ( RPJPN 2005-2025)」を発表している。長期国家開発計画では以下の6つの綱領を提示すると共に、 その課題として気候変動および地球温暖化問題をあげている。 1. 天然資源や環境の活用・持続可能性・存在・実用性間のバランスを維持する。 2. 定住、社会経済的な活動およびその保持にあたり、バランスのとれた土地活用を通 じて現在および将来にわたって生活の機能、能力、快適性を守る。 3. 天然資源や環境の経済的利用を持続的に拡大させる。 4. 生活の質を向上させるために天然資源や環境管理を改善する。 5. 生活の中での画期性や快適性を提供する。 6. 基本的な開発資本として生物多様性の維持と利用を高める。 また、“国家開発計画:気候変動への対処”をより精緻化した2010-2029年の約20年間に わたる部門別のロードマップを作成している。気候変動の課題を中長期国家開発計画 (RPJPN 2005-2025、RPJM 2010-2014)の主軸に組み込むことを目的としており、関係省庁 は戦略計画策定にあたり当ロードマップを考慮することとなる。

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出典:気候変動部門別ロードマップ(ICCSR) 図 1-1 気候変動緩和策に関する国家ロードマップ 1.2.2 新メカニズムに対する考え方 インドネシアは、平成25年8月に我が国とJCMに関する署名を締結させた1。当該制度に 係る合意文書では、以下の点等についてJCMの実施を確認している。 1. 日本側及びインドネシア側(以下「双方」という。)は、気候変動に関する国 際連合枠組条約(以下「条約」という。)第 2 条に言及される条約の究極的な 目的及び持続可能な開発の達成を追求し、また 2013 年以降も協力して、引き 続き気候変動に取り組むため、次のとおり低炭素成長パートナーシップを推進 する。 2. 双方は、国際連合の下並びに東アジア低炭素成長パートナーシップを含めた、 地域的及び二国間の枠組みでの低炭素成長に向けた協力のため、様々なレベル で緊密に政策協議を行う。 3. 双方は、インドネシアにおける低炭素成長を実現するための投資並びに低炭素 技術、製品、システム、サービス及び社会基盤の普及を促進するため、二国間 クレジット制度(以下「JCM」という。)を創設し、それぞれの国の関連する 有効な国内法令に従って JCM を実施する。 これを踏まえて10月16-17日に、インドネシアのジャカルタにおいて第1回日・インドネシア 合同委員会が開催されている。 今後、インドネシアとのJCMを通して、インドネシア国内における温室効果ガス排出削減 に協力することにより、地球規模での温暖化防止に向けた努力に貢献していくこととなる。 1 2013 年 8 月 26 日 環境省報道発表 データ・情報管理システムと信頼の高い国家GHGインベントリーシステ ムの開発、排出削減目標の再計算(KNOW-MANAGE) GHG緩和に対する国家行動計画の開発、およびその実施・ 管理(PLAN-PRIDE) 効果的な測定・評価システムの開発(ICON-MONEV) 低 炭 素 開 発 長期国家開発計画(RPJPN 2005-2025) 2010 2015 2020 2025 2030

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(2) 気候変動実施体制 インドネシアにおける気候変動実施体制を下図に示す。 出典:国家気候変動行動計画 図 1-2 インドネシア国における気候変動実施体制 インドネシアでは、気候変動に係る各種活動を国家気候変動協議会(DNPI)が事務局と なって実施している。DNPI は、気候変動に係るインドネシアのフォーカルポイントであると共 に、CDM における指定国家機関(DNA: Designated National Authority)、JCM 窓口機関と なっている。 1.2.3 JCM に対する考え方 本調査の対象国であるインドネシアは、2013年8月26日にJCMに係る二国間締結を我が 国と結んでおり、JCMに対する考え方は極めて前向きと判断できる。その後、2013年10月よ り、JCMに係る合同委員会(Joint Committee : JC)協議が開始されている。今後、インドネシ アは我が国と共にJCMの実施を通じて、インドネシア国内における温室効果ガス(GHG)排 出削減に協力することにより、地球規模での温暖化防止に向けた努力に貢献していく予定 である。 事務局 DNPI(NCCC) 技術チーム CDM国家委員 会メンバー ステークフォル ダーフォーラム 専門家 国家機構変動 協議会(NCCC) 国土庁(BPN) 応用技術評価 庁(BPPT) 農業省 財務省 運輸省 住宅省 外務省 産業省 林業省 エネルギー鉱 物資源省 国家開発企画庁 環境省 経済担当調整 相

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第 2 章

調査対象プロジェクト

2.1 プロジェクトの概要 本プロジェクトでは、以下に示したプロジェクト概要図の通り、JCM方法論案の検証として、 GHG排出削減プロジェクトの実施、及びMRVの確認を行った。検証結果に基づき方法論 案を検討・構築し、プロジェクト設計書(PDD)を作成した。 出典:調査団作成 図 2-1 プロジェクト概要 本調査では、ジャワ島中部のセマラン郊外に位置するPT. Primatexco社の紡績工場、及 びジャカルタ市近郊に位置するPT. Argo Pantes社の紡績工場を対象とし、既存冷凍機を省 エネ効果の高い高効率ターボ冷凍機に更新する活動を対象プロジェクトとした。設備更新 の対象となる企業及び各工場の施設概要は、下表の通りである。 [ GHG排出量削減事業の検証] 方法論の検証として、旧式冷凍機を高効率冷凍機へ更新 し、工場の省エネによるGHG排出量削減を図る 1)冷凍機更新の事業化 ・事業化協議 担当: PT. EBARA Indonesia社 ・事業化計画作成・冷凍機導入に係る経済収支検討 担当:荏原冷熱システム株式会社 ・更新用高効率冷凍機製造・販売・輸出 担当:荏原冷熱システム株式会社 ・更新用高効率冷凍機受入・運転・省エネ効果の確認 担当: PT. Primatexco Indonesia社 スマラン紡績工場 及びバタン紡績工場 担当:PT. Argo Pantes社 タンゲラン紡績工場 及びブカシ紡績工場 2)更新用冷凍機の導入 1)の冷凍機導入計画に沿って更新用冷凍機を導入する 担当:PT. EBARA Indonesia社 3)導入された高効率冷凍機のメンテナンス 方法論で設定されたメンテナンスを実施する 担当:PT. EBARAIndonesia [MRVの確認] 冷凍機更新によるGHG排出量削減効果の検証 1)更新冷凍機のモニタリング内容の検討 担当:荏原冷熱システム株式会社/日本工営株式会社 2)常時計測及びデータ記録 担当: PT. Primatexco Indonesia社 スマラン紡績工場 及びバタン紡績工場 担当:PT. Argo Pantes社 タンゲラン紡績工場 及びブカシ紡績工場 担当補助:PT. EBARA Indonesia 3)モニタリング結果の取りまとめ 担当:荏原冷熱システム株式会社/日本工営株式会社 4)モニタリング結果の検証 [プロジェクトデザイン設計書(PDD)作成] 1)PDD作成に係る情報収集 担当:荏原冷熱システム株式会社/日本工営株式会社/ PT. EBARA Indonesia 2)PDDの検討・作成 担当:荏原冷熱システム株式会社/日本工営株式会社 [方法論の提案と検証] 方法論案の提案とその検証を実施する 担当:荏原冷熱システム株式会社/日本工営株式会社

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表 2-1 本プロジェクト対象工場の設備概要 PT. Primatexco社 バタン工場 PT. Argo Pantes Tbk.社 タンゲラン工場及びブカシ工場 施設 場所 インドネシアジャワ島中部セマラン郊外(セ マラン市から西へ約160km) ジャカルタ市近郊 稼働開 始年 1970年代 1974年(タンゲラン)、1978年(ブカシ) 年間運 転時間 24時間 365日稼働 うち1週間は設備点検のため休止 24時間365日稼働 うち1週間は設備点検のため休止 出典:調査団作成 上記工場では、省電力による電気料金の節約の点から、早急な高効率冷凍機への更新 を望んでいる。冷凍機の更新では、日本にて更新冷凍機を製造した後、現地へ輸送、設置 工事を完了し、営業運転を開始する。なお、本調査において特定した上記2工場では、既 に環境省・設備補助事業公募に申請、補助申請の手続きを進めている。補助事業として実 施された場合、更新冷凍機設置後、2020年までの7年間のモニタリングを実施する予定であ る。

PT. Primatexco社のバタン工場並びに、PT. Argo Pantes社のタンゲラン工場及びブカシ 工場では、既設旧式冷凍機を荏原冷熱製高効率冷凍機に更新する。導入が予定される更 新冷凍機の性能特長として、以下の3点が挙げられる。 ・ 高効率の圧縮機とエコノマイザーサイクル及び冷媒過冷却サイクルを採用した動力 の低下 ・ 冷媒排気量の低下 ・ オゾン破壊係数がゼロの冷媒(HFC245fa)使用 なお、本件において冷凍機を導入することにより、削減が期待されるGHG排出量は、2工 場合計で約1,307[tCO2/年]と予想される。更新事業の概要は、下表の通りである。

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表 2-2 紡績工場の冷凍機更新事業の概要 PT. Primatexco社 バタン工場 工期 2013年8月~2014年2月 更新前冷凍機設備 1) ターボ冷凍機 230USRt 1 台+ 250USRt 1 台 所要動力: 230USRtは200kW、250USRtは150kW 合計 約350kW 年間 CO2 排出量: 冷媒:CFC-11(オゾン破壊係数 4,730) 2) 吸収式冷凍機 500USRt 1 台 所要動力: 年間 CO2 排出量: 冷媒:CFC-11 導入冷凍機設備 冷凍能力:500USRt 2 台 所要動力: 234kW/台 合計 468kW 合計年間 CO2排出量:2,885.97 tCO2/年 冷媒:HFC245fa(オゾン破壊係数0) 試算されたエネルギー起 源CO2排出削減見込量 313.97 [tCO2/年] (1 台あたり 156.99[ tCO2/年/台]) PT. Argo Pantes社 タンゲラン工場及びブカシ工場 工期 2013年12月~2014年3月 更新前冷凍機設備 荏原冷熱製冷凍機 荏原19DH 1)タンゲラン工場 360USRt 1台+390USRt 1台 所要動力:360USRtは210kW, 390USRtは240kW 合計約450kW 2)ブカシ工場 390USRt 2台 所要動力:390USRtは240kW 合計約480kW 合計年間消費電力量:8,322,000kW 合計年間 CO2排出量:6,166.60 tCO2/年 冷媒:CFC-11 導入冷凍機設備 冷凍能力:500USRt 2 台 所要動力:248kW/台 合計 496kW 合計年間消費電力量:4,127.71MWh 合計年間 CO2排出量:3,058.63 tCO2/年 冷媒:HFC245fa(オゾン破壊係数0) 試算されたエネルギー起 源CO2排出削減見込量 411.98 [tCO2/年] (1 台あたり 205.99[ tCO2/年/台]) 2.2 企画立案の背景 2.2.1 インドネシアにおける高効率冷凍機導入による省エネルギー企画立案の背景 第1章で述べた通り、インドネシアではエネルギーの安定供給、及び省エネルギーが課 題となっており、近年、同国の各種政策・計画に省エネ対策が盛り込まれている。インドネシ アの省エネに関して、エネルギー・電力消費量の高い工業部門、とりわけ工場に対する省 エネ対策にはまだまだ改善の余地があると期待されている。 一般的に、工場の主要な電力消費源は「空調」と「照明」であるが、赤道直下に位置する インドネシアでは、常夏ということから、空調(冷房)による電力消費量が断然高い。そのため

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空調、特に冷房システムの効率化を推進し、工場の省エネ化を図ることがインドネシアにお いて電力消費抑制、さらにはGHG排出量削減にとって重要と考えられる。 工場向けの高効率冷房システムとして活用されている冷房システムの一つが、水冷式タ ーボ冷凍機を用いた冷房システムである。近年、ターボ冷凍機は旧式冷凍機の老朽化や 冷媒フロンの使用規制に伴い、新しいものに更新されている。 加えて、過去10年にわたり、インドネシアの電気料金は約62%上昇2し、特に産業セクター の電力料金は2013年の1年間において、平均約12%上昇3している。電力料金の上昇傾向 を下図に示す。過去長期間の上昇傾向等から、今後も電力料金の値上げが予想されるた め、産業セクター(各種工場)では、電力消費コスト削減に向けて、ますます省エネルギー 設備への更新意欲が高まるものと予想される。

出典:PLN Annual statistics 2010, 2011, 2012 及び PLN Web site を基に調査団が作成

図 2-2 インドネシアにおける平均電力料金 2.2.2 日本製高効率冷凍機システムのインドネシアへの導入意義 これまでインドネシアでは、省エネに対する関心が低く、多くの工場経営者は初期投資が 割安である通常効率の製品に関心を寄せていた。これに対し、日本製の高効率冷凍機(タ ーボ式冷凍機又は電気式冷凍機)は、省エネ技術の優位性により、市場の多くを占める製 品よりも省エネ効果が高いが製品自体は割高となっている。しかしながら、製品購入後のア フターサービスが手厚いと評価されている。 このように、日本型ビジネスが徐々にではあるが、インドネシアにおける冷凍機利用者か らの評価につながり、日本製品を購入した顧客からの再発注へと結びついている。 以上より、日本製高効率冷凍機は省エネ効果が高く、インドネシアにおける利用者からも 評価が高いため、同製品をインドネシアに導入する意義は高いと考えられる。 2

PT. Perusahaan Listrik Negara(PLN)の年次報告書 3 PLN のホームページの電力料金表(2013 年) 0 100 200 300 400 500 600 700 800 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 平 均 電 力 料 金 (R p /k W h ) 年度

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我が国の主要な冷凍機メーカーの一つである荏原冷熱システム株式会社は、日系紡績 企業がインドネシアに現地生産拠点を建設するに伴い、1970年代から同工場へ冷凍機を 納品している。その後、1980年には現地法人PT.EBARA Indonesiaを設立し、冷凍機の販 売だけに限らず、点検や保守など現地ニーズに迅速に対応したサービスを実践している。 また、高い製品品質及び手厚いメンテナンス対応が評価され、同社の既設冷凍機の更 新のみならず、他社冷凍機の更新に合わせて同社製品が新たに導入され、普及が拡大し ている。これより、技術・品質・メンテナンスの面において信頼されていることが推察される。 また、同社のインドネシア進出初期に納品した冷凍機の多くが設置後約40年を経過し、 更新時期を迎えている。従って、同社製品は、製品性能・メンテナンス技術が優れ、更新需 要も高いため、JCM方法論の検証として導入する高効率冷凍機のモデルに適合していると 考えられる。 上記2.2.1及び2.2.2にて示した背景から、インドネシアに対する日本製高効率冷凍機の 導入による省エネ効果を検証し、JCM案件形成を検討することは意義があると考えられる。 2.3 ホスト国における状況 2.3.1 インドネシアにおける気候変動への取り組み (1) インドネシアのGHG排出量 インドネシアにおけるGHG総排出量は、2000年の排出量は1,377,982.96 [GgCO2]、そし て2005年では1,791,371.89 [GgCO2]と、同国の経済成長に伴いエネルギー消費量も増加し、 その結果GHG排出量も右肩上がりになっている。 同国におけるセクター別のGHG排出量をみると、最大の排出源は土地利用変化及び林 業(land-use change and forestry : LUCF)となっている。LUCFに由来するCO2を含めた場合、

GHG総排出量は、米国、中国、EU、ブラジルに次いで、世界第5位となる4。なお、LUCFに よる排出を除いた場合、インドネシアの総GHG排出量は、データ入手可能な186カ国中第 11位という状況である。インドネシアにおけるGHG排出量の傾向、及びそれを構成するセク ター別GHG排出量を下表及び下図にまとめる。 表 2-3 2000~2005 年の GHG 排出量 [単位:GgCO2] GHG 排出量 2000 2001 2002 2003 2004 2005 総排出量 (LUCF・泥炭 火災含む) 1,377,982.95 1,349,448.96 2,576,951.98 1,217,243.86 1,721,193.07 1,791,371.89 総排出量 (LUCF・泥炭 火災含まず) 556,728.78 594,902.96 611,457.19 625,754.53 663,769.84 665,543.89 4 データが入手可能な世界 186 カ国中

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出典: Ministry of Environment (2010), "Indonesia Second National Communication Under The United Nations Framework Convention on Climate Change (UNFCCC)"

図 2-3 インドネシアにおけるセクター別 GHG 排出量 (2) インドネシアの気候変動対策に関する政策 インドネシアは、1994年8月に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)を批准した後、2004年 12月に京都議定書を批准している。 インドネシアはCOP15バリ会議の開催等、気候変動に係る取組の積極的な国の一つであ り、同政府は、2007年12月に「気候変動のための国家行動計画(RAN-PI)」を発表し、気候 変動の包括的な緩和・適応策の実施に向け、森林、エネルギー、水資源、農業等の広範な 分野を対象に、即時(2007~09)、短期(2009~12)、中期(2012~25)、長期(2025~50)の行 動指針を定めている。その後、2011年9月には、インドネシアにおける国としての緩和策とも いうべき、国家温室効果ガス削減行動計画(RAN-GRK)を大統領令として策定している。ま た、同大統領令では各州(33州)に対して、「温室効果ガス排出削減に係る地方(州別)行 動計画(RAD-GRK)」を大統領令公布後1年間のうちに策定することを求めており、これまで 32州においてRAD-GRKの整備が終了している。インドネシアにおける気候変動に係る国 内外の取り組みを下表に整理する。 表 2-4 気候変動に関する政策動向 年月 取り組み 1994年 8月 国連気候変動枠組条約批准(署名:1992 年、発効:1994 年) 1999年10月 第1次国別報告書を提出 2004年12月 京都議定書批准(署名:1998 年、発効2005 年) 2005年 1月 第4次中期国家開発計画(RPJMN 2004-2009)を策定 2007年 2月 長期国家開発計画(RPJPN 2005-2025)に関する法律を制定 2007年11月 気候変動に関する国家行動計画(RAN-PI)を策定 2007年12月 国家開発計画:気候変動への対処(通称 Yellow Book)を策定 *2008 年 7 月に改訂

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2008年 7月 大統領令(No.46)により、国家気候変動協議会(DNPI)を設置 2009年 9月 インドネシア気候変動信託基金(ICCTF)を創設 2009年 9月 G20ピッツバーグ・サミットにてインドネシア大統領がGHG排出削減目標を公表 2009年12月 インドネシア気候変動部門別ロードマップ(ICCSR)を策定 2009年12月 COP15バリ会議の開催 COP15にてインドネシア大統領がGHG排出削減目標を公表 2010年 1月 コペンハーゲン合意に基づき、インドネシアNAMAsに関する文書をUNFCCC事務局 へ提出 2010年 5月 第5次中期国家開発計画(RPJM 2010-2014)を策定 2010年10月 気候変動緩和に関する技術需要評価-統合報告書を策定 2010年11月 第2次国別報告書を策定 2011年 9月 インドネシア大統領令2011年61号 国家温室効果ガス削減行動計画(RAN-GRK)を 策定 2012年 1月 温室効果ガス削減行動計画の実施に向けたガイドライン発行 出典:社団法人海外環境協力センター 「新メカニズム情報プラットフォーム」を参考に作成 (3) ホスト国におけるGHG排出削減目標 a) インドネシア全体の GHG 排出削減目標 インドネシアではGHG排出削減目標として、RAN-GRKに同国のGHG排出削減目標及 び削減活動を明確に定めている。 出典:社団法人海外環境協力センター 「新メカニズム情報プラットフォーム」 図 2-4 2020 年までのインドネシアにおける NAMAsの可能性 GHG排出削減目標では、インドネシア単独の活動で2020年までにBusiness as usual (BAU)比で26%のGHG排出削減を目指している。また、これに加え、国際ドナー等から適 切な国際支援を受けた場合は更に15%の追加削減を見込んでいる。すなわちBAU比で 41%のGHG削減がインドネシア単独かつ国際ドナーの支援で達成されると予想している5。 5 BAU比26%までのGHG排出削減活動をUnilateral NAMAと称し、国際ドナーの支援にて追加的に削減されるGHG排出 削減活動をFinanced/Supported NAMAsと呼んでいる。

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表 2-5 国家温室効果ガス削減行動計画(RAN-GRK)

出 典 : Ministry of National Development Planning / National Development Planning Agency(2011), Guideline for Implementing Green House Gas Emission Reduction Action Plan

また、RAN-GRKをインドネシアの州レベルで実施する際の目安とするのが、温室効果ガ ス排出削減に係る地方(州別)行動計画(RAD-GRK)である。これまでインドネシア全33州

のうち、32州でRAD-GRK策定の実質的な作業を終えている6

b) セクター別の目標

26%の削減におけるセクター別の対策では、森林及び泥炭地セクターに対する対策が 0.672 [GtCO2](=672[GgCO2])と全削減目標量 0.767 [Gt CO2] (=767[GgCO2])の88% を占めている。 本調査の対象プロジェクトは、空調用として利用されている冷凍機を高効率冷凍機に更 新することで大幅な省エネ効率を実現するためのものであることから、エネルギーセクター に該当する。エネルギー・運輸セクターの削減量は0.038 [GtCO2] (=38[GgCO2])で全削 減量の5%程度となっている。 エネルギーセクターのNAMAsアクションプランの1つとして、「省エネパートナーシッププ ログラムの実施」といった項目があり、民間企業による省エネの実施が位置づけられている。 2010年から2014年に1,620 [GgCO2]、2015年から2020年に490 [GgCO2]のGHG排出削減 量が見込まれている。 (4) 省エネルギー関連政策 インドネシアにおける省エネルギー関連政策として、以下に示すようなものが挙げられる。 省エネ関連の基本法として、「国家省エネマスタープラン(RIKEN)」が定められており、 2025年までのエネルギー強度年間平均1%削減を目標として掲げている。省エネのポテン シャルとして、産業部門15~30%、商業ビル25%の節電、家庭部門10~30%としている。 6 2012 年 12 月現在(新メカニズム情報プラットフォーム) 排出削減量(1,000t-CO2) 26% 41% 森林・泥炭地 0.672 1.039 山林火災の管理、泥炭地における水資源管理、 森林及び土壌再生、森林、違法伐採管理、森林 伐採の回避、コミュニティの発展 森林省、環境省、公共事 業省、農業省 廃棄物 0.048 0.078 ゴミ処理場開発、都市部における3R 及び下水シ ステム 公共事業省、環境省 農業 0.008 0.011 低炭素のお米の品種の導入、灌漑の効率化、有 機農法の活用 農業省、環境省、公共事 業省 産業 0.001 0.005 エネルギー効率、再生可能エネルギー開発 産業省 エネルギー・運 輸 0.038 0.056 バイオ燃料開発及び利用、燃費効率の改善、公 共交通機関、エネルギー需要の管理、再生可能 エネルギー、エネルギー効率 運輸省、エネルギー・鉱 業省、公共事業省 合計 0.767 1.189 部門/行動 対象となる行動範囲 実施機関

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表 2-6 インドネシアにおける省エネ関連政策

政 策 目 標 / 対 象

国家省エネマスタープラン(Rencana Induk Konservasi Energi Nasional(RIKEN) 100.K/48/M.PE/1995)の改定 2025 年までエネルギー強度年間平均1%削減 省エネポテンシャル:産業部門 15%-30%、商業ビル 25% の節電、家庭部門 10%-30% 省エネ(大統領指示 2005 年第 10 号)及び その実施に関するガイドラインである 省エ ネ実施プロセス(エネルギー鉱物資源大臣 規制 2005 年第 31 号) 商業ビル、政府関連ビル、家庭向けにエアコン設定温度、 照明照度・容量、電化製品使用時間等の制限。交通部門 では車両容量の制限や燃料転換の奨励。産業部門には エネルギー監査や省エネ製品・技術の利用が求められ る。 国 家 エ ネ ル ギ ー 管 理 計 画 (Blueprint Pengelolaan Energi Nasional(PEN)、2006 年、2008 年) RIKEN で示した省エネ政策の実施により、対策を取らなか った場合の予測に対し、2025 年に主要エネルギー供給総 量の 41%削減 国家エネルギー政策(大統領規制 2006 年 第 5 号) 2025 年におけるエネルギー弾力性(GDP 変化率に対する 主要エネルギー供給量の変化率)を 1 以下 省エネ及び節水(大統領指示 2011 年第 13 号、大統領指示 2008 年第 2 号の改定) 政府、国有企業等のビルの設備機器、車両等の利用や経 済活動によるエネルギーや水の利用が対象

出典:上記各文書 Asia Pacific Energy Research Center, 2012, Compendium of energy efficiency policies of APEC economies) その他として、持続可能な発展に寄与し、天然エネルギー資源の保全とエネルギー供給 対応力を高めることを目的として、産業、商業ビル、家庭、車両 (初期段階では省庁、政府 関連機関、自治政府、国営企業を対象)を対象セクターとして、下表に示す様々な取り組み が行われている。 表 2-7 インドネシアにおけるエネルギー関連施策 エネルギー関連施策 概要 政府関連事務所ビルの 省エネ規制 省庁、関連機関、自治政府は政府のガイドライン等に指示された省エネ優 良事例の実施や、省エネ・節水国家チームに半年ごとに月次エネルギー 利用について報告することが求められる。(省エネ及び節水;大統領指示 2008 年第 2 号) 国営エネルギー使用合 理化事業会社(ESCO) 1986 年に設立された国営 ESCO は産業向けに省エネ関連サービスを提供 する先導的役割を担う。政府はインドネシアにおける省エネ分野の最先端 の専門性を維持し、将来的に民間企業の ESCO へ拡張していくことを促進 していくことを想定している。 省エネプログラムにおけ る官民パートナーシップ 産業部門や商業ビル部門向けの政府出資によるエネルギー監査プログラ ム。参加事業者や商業ビルはエネルギー監査で推奨された省エネ方法を 実施することが求められる。 省エネ情報センター 産業部門や商業ビル部門向けに、省エネに関するデータや情報の交換を 目的として構築されたプログラム エネルギーベンチマーク と優良事例ガイダンス 産業界部門や商業ビル部門における省エネの優良事例を提供するガイダ ンス エネルギーラベル エネルギーラベルプログラムは 1999 年に開始した。エネルギー使用評価シ ステムは冷蔵庫などの電化製品向けに考案された。エネルギーラベルに は、エネルギー使用量やエネルギー効率の 4 段階評価などが示される。 エネルギー効率の水準 やラベル貼付対象商品 の費用効率的開発や実 エネルギー効率水準やラベルプログラムの実施における障壁の排除のた めにインドネシアでは、UNDP(国連開発計画)-GEF(Green Environment Facility)のプログラム(BRESL)に参加している。このプログラムは政策構

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エネルギー関連施策 概要 施に関する障壁の排除 (BRESL) 築、能力構築、製造事業者支援、地域協力、パイロットプロジェクトの実施 などが含まれる。 家庭部門の省エネ照明 プログラム 省エネ推進と需要側管理を目的としており、国営電力会社と政府のそれぞ れによる 2 つのプログラムがある。プログラムでは、条件に適合した家庭に 電球型蛍光灯を提供している。

Energy Awards インドネシアでは ASEAN エネルギーアワードプログラム(ビルの効率部門、

ビルと産業部門におけるエネルギー管理部門)に参加している。 出典:Asia Pacific Energy Research Center, 2012, Compendium of energy efficiency policies of APEC economies

2.3.2 プロジェクトの普及 (1) インドネシアにおける紡績産業 本プロジェクトにおける冷凍機の設置対象である紡績工場について、インドネシア国内に おける紡績産業の概要について以下に整理する。 インドネシアにおける紡績工場数(1998年から2011年まで)の推移を以下に示す。工場 数は1998年以降、2000年代前半までは2,000社前後を境に減少傾向を示したが、2003年以 降は2006年、2007年の急激な増加はあるが、全体的に緩やかな増加傾向を示しており、 2009年以降は2,500社を維持し安定している。

出典:BPS (Badan Pusat Statistik) 1998~2012

図 2-5 紡績工場数の推移(1998-2011) また、2006年から2011年までの紡績業界における工業生産成長指数を以下に示す。 2000年を100とした際の成長指数を示しており、2009年のリーマンショックにおける景気低迷 を受けた一時的なマイナス成長はあるが、それ以降は回復傾向を示しており、紡績業界全 体としては成長傾向を示している。 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 工 場 数 ( 個所)

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出典:BPS (Badan Pusat Statistik) 1998~2012 図 2-6 2000 年を 100 とした場合の紡績業界の工業生産成長指数 (2) インドネシアにおける冷凍機産業 インドネシアは2.4億人以上の人口を有し、かつ地理的に赤道ベルト地域に位置している。 このため、家庭の購買能力はまだ弱いものの、空調設備(家庭用エアコン)の潜在的な需要 は非常に高い。 家庭用エアコンの購入に関する主要因は、可処分所得や電源への接続、よりよい住環境 への欲求である。インドネシアでは、人口の50%が依然として最低生活レベルもしくはそれ 以下で暮らしていること、電力供給網がまだ普及していない地域が多いこと等がエアコン普 及の主な阻害要因としてあげられる。 他方、商用エアコンの売り上げは未だ低いが、着実に成長している。そのため、同市場の 需要は年々高度な製品、より効果的な製品を求めている。都市部のオフィスや商業店舗、 ホテルは全て標準として商用エアコンを完備している。しかしながら、一部のオフィス等では、 家庭用の壁掛けタイプエアコンを導入していることも少なくない。エアコンに関して言及すれ ば、インドネシアの地方部では未だにエアコンの普及が十分ではなく、商業用小規模エア コンユニットの普及可能性が期待される。 以下に冷凍機市場の将来予測を示す。冷凍機にはタイプ別で、スクリュー式・スクロール 式、遠心分離式(ターボ式)、吸収式があり、出荷台数からみた市場のシェアはスクリュー・ス クロール式が大きな割合を占めているが、全てのタイプが順調に市場拡大を進めている。 また、冷凍方式別のシェアを見てみると、空冷式、水冷式による割合をみると、空冷式の 方が出荷台数に関して若干多くなっている。電気容量による割合をみると、100kW以上の 製品が全体の約3分の2を占めている。 6.04 11.17 3.38 -5.41 0.07 8.12 (8.0) (6.0) (4.0) (2.0) 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 工 業 生 産 成 長指 数( 2 00 0 =1 0 0

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表 2-8 冷凍機市場の将来予測(出荷台数)

出典:Chillers Indonesia A multi client study By Dusan Antonijevic (BSRIA 2012.3)

他方、売上高でみると、出荷台数と同様にスクリュー・スクロール式が首位となっているが、 出荷台数ほど大きな割合を占めてはいない。電気容量による割合をみると、100kW以上が 売り上げの大部分を占めている。

表 2-9 冷凍機市場の将来予測(売上高:百万 US$)

出典:Chillers Indonesia A multi client study By Dusan Antonijevic (BSRIA 2012.3)

平均販売価格による将来予測をみると、全てのタイプ別に価格が上昇傾向にあることが 分かる。

表 2-10 冷凍機市場の将来予測(平均販売価格:US$)

出典:Chillers Indonesia A multi client study By Dusan Antonijevic (BSRIA 2012.3)

2010 2011 2012 2013 2014 2015

Annual % change 2010-2015 Chillers

Reciprocating, screw, scroll 974 1,197 1,285 1,365 1,432 1,498 9.0 Centrifugal 183 251 271 287 305 320 11.8 Absorption 31 48 53 58 62 67 16.7 Air cooled 671 824 886 936 977 1,023 8.8 Water cooled 517 672 723 774 822 862 10.8 <100kw 333 444 483 530 558 584 11.9 >100kw 855 1,052 1,126 1,180 1,241 1,301 8.8 Total 1,188 1,496 1,609 1,710 1,799 1,885 9.7 2010 2011 2012 2013 2014 2015 Annual % change 2010-2015 Chillers

Reciprocating, screw, scroll 39.8 57.6 62.8 67 71 74.8 13.5 Centrifugal 27.8 39.9 43.5 46.5 49.8 52.7 13.7 Absorption 5.2 8.4 9.5 10.4 11.3 12.2 18.4 Air cooled 23.1 32.2 35.2 37.6 39.9 42.1 12.7 Water cooled 49.7 73.7 80.6 86.3 92.2 97.7 14.5 <100kw 3.3 5.5 5.8 6.2 6.6 7 16.2 >100kw 69.5 100.5 110 117.7 125.4 132.8 13.8 Total 72.8 105.9 115.8 123.9 132.1 139.7 13.9 2010 2011 2012 2013 2014 2015 Annual % change 2010-2015 Chillers

Reciprocating, screw, scroll 40,857 48,157 48,897 49,075 49,586 49,946 4.1 Centrifugal 151,861 158,830 160,348 162,008 163,118 164,800 1.6 Absorption 168,973 175,131 179,229 180,156 182,015 181,907 1.5 Air cooled 34,459 39,083 39,751 40,163 40,819 41,130 3.6 Water cooled 96,134 109,724 111,390 111,582 112,084 113,263 3.3 <100kw 9,892 12,299 11,994 11,690 11,838 11,957 3.9 >100kw 81,321 95,515 97,662 99,785 101,055 102,068 4.6

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以上より、インドネシアにおける工場空調の需要は、今後も増加傾向になると考えられる。 そのため、JCMを介して、我が国が誇る高効率冷凍機の普及が期待される。 なお、上記はインドネシアに限定されたものであるが、インドネシアと類似した経済状況及 び気候条件を持つ東南アジア諸国(例:タイ、ベトナムなど)では、継続して高い冷凍機需 要が見込まれるものと考えられる。さらに、日系企業の拠点が(他地域に比べ)比較的多い 東南アジア地域での展開は、比較的、容易かつ迅速に実施できるものと期待される。

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第 3 章

調査の方法

3.1 調査実施体制 提案団体である日本工営株式会社は、共同提案者の荏原冷熱システム株式会社と共に、 現地荏原冷熱法人のPT.EBARA Indoneisa社の現地調査支援を得ながら、JCM方法論の 開発、検討、及びプロジェクト設計書(PDD)の作成を実施した。本調査の実施体制は、下 図の通りである。 また、方法論の作成および、日本製冷凍機のインドネシアにおける普及の検討のために、 日 本 工 営 株 式 会 社 、 荏 原 冷 熱 シ ス テ ム 株 式 会 社 、 PT. EBARA Indoneisa 社 、 PT. Primatexco Indonesia社およびPT. Argo Pantes社の担当者で委員会を組織し、本邦研修や 現地での協議を開催した。 図 3-1 調査実施体制図 3.2 調査課題 調査着手前において、下表の通り、適格性要件、リファレンスシナリオ並びにモニタリング 方法等に関する情報が不足している。現時点で課題として認識しているものを下表に整理 する。 表 3-1 調査着手前に認識された調査課題 調査課題 理由 冷凍機の導入 冷凍機更新事業対象地の追加候補選定及び調 査への協力合意 冷凍機の更新事業対象地候補が確定しておら ず、更新事業対象地を選定し、調査協力の合意 を得る必要があったため。 共同提案団体:荏原冷熱システム株式会社 ・削減事業計画及び資金計画の検討 ・更新用高効率冷凍機の製造・販売・輸出 ・冷凍機に関する技術的インプットと技術面に関する調査 ・MRV手法及び実施体制の検討 ・モニタリング結果取りまとめと報告書作成 ・方法論及びPDDの検討 ・本邦技術普及策の検討 ・カウンターパートらによる本邦関係施設の視察実施 現地調査協力会社:PT. EBARA Indonesia ・更新用冷凍機導入先との協議等事業化支援 ・機器導入後のアフターサービス実施 ・MRV確認実施の支援

カウンターパート:PT. Primatexco Indonesia, PT . Argo

Pantes ・更新冷凍機の購入・導入・運転 ・省エネ効果の確認 ・モニタリング(常時計測及びデータ記録) ・カウンターパートらによる本邦関係施設の視察 提案団体:日本工営株式会社 ・方法論の検討及び試算 ・削減事業計画及び資金計画の検討 ・方法論及びPDD検討に係る情報収集・現地調査 ・MRV手法及び実施体制の検討 ・モニタリング結果取りまとめと報告書作成 ・PDDの検討及び作成 ・本邦技術普及策の検討 ・カウンターパートらによる本邦関係施設の視察実施 第三者検証機関: ・モニタリング報告書の検証 日本側 インドネシア側 検証 検証支援 発注者(GEC, 環境省) 報告・協議 事業化支援 アフターサービス提供 協議・情 報収集等 協議・情 報収集等

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調査課題 理由 適格性要件の設定 成績係数(COP)の設定 日本国製冷凍機の省エネ技術の指標となるCOP の適格性要件への利用の際、必要となる成績係 数設定根拠情報が不足していたため。 インドネシアにおけるメンテナンス実施状況の把 握 インドネシアにおける冷凍機の詳細なメンテナン スの実施状況に関する情報が不足していたた め。 冷凍機の冷媒対策状況の把握 適格性要件の冷媒に関する設定において、冷凍 機製造業者によるオゾン層破壊係数(ODP)や地 球温暖化係数(GWP)への対策状況の把握が必 要であったため。 リファレンスシナリオの設定 リファレンスの設定に要するインドネシアにおける 高効率ターボ冷凍機市場の現状と今後の展望 インドネシアにおける冷凍機の普及状況が把握 できていなかったため、リファレンスシナリオに係 る保守性を具体的に確保するための根拠資料が 必要であったため。 モニタリング 調査時点でのモニタリング方法の把握 調査開始時点で、排出量削減事業(冷凍機導 入)先で実施されている詳細なモニタリング実施 状況・方法が把握されていなかったため。 MRV実施に際するモニタリング方法の検討 調査開始前におけるモニタリング実施方法及び 状況を踏まえた上で、MRV実施に際し、実現性 と精度の両方を満足するモニタリング方法を検討 する必要があったため。 出典:調査団作成 3.3 現地調査内容 本調査では、更新プロジェクトの実施及び調査課題を解決または確認するために、これ まで合計6回にわたり、現地調査を実施し、さらに委員会による本邦視察を実施した。また、 インドネシア紡績産業に知見を持つ組織・個人等を通して、関連企業・組織にヒアリング調 査を実施した。 更に、適格性要件の設定検討のため、国内におけるヒアリング調査及び文献・資料調査 を実施した。以上の国内及び現地調査を通して、上記3.2で示された調査課題は、下表に 示す各団体の調査内容概要の通り確認または解決された。 表 3-2 各提案団体の調査内容概要 日本工営株式会社 担当 調査課題 調査内容 方法論の検討及び試 算、方法論及び PDD 検討に係る情報収 集・現地調査 - 適格性要件の設定 - リフ ァレンスシ ナリ オの設定 - 国内外において、主要な冷凍機メーカ ー及び販売代理店に対し、インドネシ アでの冷凍機販売実績・販売計画・販 売している製品の COP・メンテナンス 契約・アフターサービスに関するヒア リングを実施 - 主要な冷凍機メーカー各社の冷凍機カ

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タログ収集、製品仕様及び COP の比較 検討 - 日本及びインドネシアの JETRO 図書 館においてターボ冷凍機市場の現状及 び、今後の展望に関する資料収集 削減事業計画及び資 金計画の検討 - 更新 事業対象工 場の 選定及び協力同意 - 更新事業対象工場に対して調査内容の 説明及び協力依頼 →PT Primatexco 社(スマラン工場)、 PT. Argo Pantes 社(ブカシ及びタンゲ ラン両工場)が調査協力合意 MRV 手法及び実施体 制の検討 モニタリング結果取 りまとめと報告書作 成 - モニタリング方法 - モニタリング方法の検討のため、調査 開始時のカウンターパートが実施して いるモニタリング方法を把握し、本調 査における MRV 手法を協議・検討 本邦技術普及策の検 討 カウンターパートら による本邦関係施設 の視察実施 - 本邦技術の普及方法 - 日本製冷凍機利用事業者に対して日本 製冷凍機を利用するメリットをヒアリ ング - インドネシアにおける産業界、特に紡 績業界の事業者に対して日本製冷凍機 と他国製冷凍機との違いについて利用 者の視点からヒアリング - 本邦視察実施内容の検討として、視察 先の情報収集及び選定 - 本邦視察スケジュールの作成及び荏原 冷熱システムとの本邦視察実施工程の 協議 荏原冷熱システム株式会社 担当 調査課題 調査内容 削減事業計画及び資 金計画の検討 更新用高効率冷凍機 の製造・販売・輸出 - 更新 事業対象工 場の 選定及び協力同意 - PT. EBARA Indonesia との協議 - 冷凍機更新予定の工場への調査内容説 明及び今後の設備更新予定のヒアリン グ →PT Primatexco 社(スマラン工場)、 PT. Argo Pantes 社(ブカシ及びタンゲ ラン両工場)が調査協力合意 - 更新冷凍機の導入・保守 方法論及び PDD の検 討 冷凍機に関する技術 的インプットと技術 面に関する調査 - 適格性要件の設定 - リフ ァレンスシ ナリ オの設定 - 共同提案者の日本工営が適格性要件の 設定をする際、資料となる各社の製品 情報の提供及び製品の仕様に関する技 術的資料の解説を実施 MRV 手法及び実施体 制の検討 モニタリング結果取 りまとめと報告書作 成 - モニ タリング方 法の 検討 - モニタリング実施予定先における現状 のモニタリング方法の確認 - モニタリングの実施及び結果の取りま とめと実施先への報告 - 過去の冷凍機記録データの確認 - 導入後のモニタリング方法説明

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本邦技術普及策の検 討 カウンターパートら による本邦関係施設 の視察実施 - 本邦技術の普及方法 - 本邦視察に参加するカウンターパート との日程調整及び本邦視察プログラム の検討 - 本邦視察における視察先案内 また、各現地調査及び本邦視察の概要は下表の通りである。 表 3-3 現地調査及び本邦視察の概要 第一回現地調査 : 2013 年 7 月 21 日~7 月 24 日 調査概要 - モニタリング先候補を検討 PT.Kumatex 社、PT. Primatexco 社への調査内容説明及び設備更新計画のヒアリン グを実施 - PT.EBARA Indonesia とのモニタリング対応方針の検討及び追加モニタリング候補工 場の検討 現地調査 の結果 - モニタリング候補先への調査内容の説明及び協力依頼及び追加モニタリング候補を 検討できた。 第 2 回現地調査 : 2013 年 9 月 6 日~9 月 14 日 調査概要 - 現地冷凍機に係る適格性要件の検討。 現地冷凍機に係る各種情報の収集方法確認・データ提供を依頼し協力同意。 - リファレンスシナリオに係る情報収集。

PT Primatexco 社(スマラン工場)、PT. Argo Pantes 社(ブカシ工場)との協議を実施 し、本調査に係るモニタリングデータの提供協力を依頼、協力同意。

- 冷凍機の市場調査及び、追加モニタリング候補工場の選定・協議。

インドネシア企業(PT Primatexco 社、PT. Agro Pantes 社、PT. Nikawa Textile 社、PT. Kao Chemical Indonesia 社、PT Daya Manungggal 社並びに PT. Kumatex 社)の設備 計画(増設や更新)の確認、並びに、繊維産業の現状確認。モニタリング候補の企業 に対する調査内容説明及び調査協力依頼。 現 地 調 査 の結果 - PT Kumatex 社の内部諸事情により調査協力が困難であり、今後の冷凍機の更新予 定がないことを確認した。

- PT Primatexco 社および PT Agro Pantes 社(Bekasi 及び Tangeran 両工場)より、JCM への主旨を理解した上で調査協力同意を得た。 第 3 回現地調査 : 2013 年 9 月 24 日~9 月 28 日 目的および 実 施 調 査 概要 - 適格性要件やリファレンスシナリオに係る情報収集。

PT Primatexco 社(スマラン工場)及び PT. Agro Pantes 社(タンゲラン工場)の冷凍機 設備、モニタリング現状、並びに本年の冷凍機増設の計画に関するスケジュールを 確認。

現 地 調 査 の結果

- PT Primatexco 社および PT Agro Pantes 社(ブカシ及びタンゲラン両工場)を(財)地 球環境センターの本件調査および関連補助金事業の担当者と再訪し、調査対象とし て適切であることを確認した。本渡航より、今後の MRV 方法論開発等を上記 2 社、3 工場を中心に進めて行くことを調査関係者で確認、決定した。 第 4 回現地調査 : 2013 年 10 月 27 日~11 月 8 日 目的および 実 施 調 査 概要 - Argo Pantes ブカシ工場及びタンゲラン工場において、モニタリング調査の実施。 実際に利用されている数台の冷凍機の利用状況として、既存冷凍機の運転状況、主 要箇所の温度、消費電力量等を確認。 現 地 調 査 の結果 - Argo Pantes 社の 2 工場の冷凍機の利用現状やモニタリング対応状況等を確認し、 JCM 方法論が活用できる現状のモニタリング方法以外の方法の在り方を検討するた

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めの情報が収集できた。 第 5 回現地調査 : 2013 年 12 月 3 日~12 月 7 日 目的および 実 施 調 査 概要 - 適格性要件・モニタリング方法の検討。

近年冷凍機を更新した事業体である PT Daya Manunggal 社及び PT Unitex Tbk 社 に対し、冷凍機の選定理由、新規冷凍機の状態、アフターサービスの内容等に ついて聞き取りを実施。

- 市場調査。

販売事業者である PT Metropolitan Bayutama 社、PT York Aditama Teknik 社及び PT EBARA Indoneisa 社に対しては、販売状況・計画並びにメンテナンス契約 の状況について聞き取りを実施。 - 電気料金の変化状況確認。 日本貿易振興機構 (JETRO)に対して、インドネシアにおける電気料金の変化上状 況及び予測について聞き取りを実施。 現 地 調 査 の結果 - 適格性要件やリファレンス設定に関する追加の根拠情報を入手した。 - モニタリング方法を各社から聞き取り、実現性と精度の両者を満足できるようなモニタ リング手法を検討した。 - インドネシアにおける今後の高効率冷凍機市場の展望を確認した。 第 6 回現地調査 : 2013 年 12 月 8 日~10 日 目的および 実 施 調 査 概要

- PT Argo Pantes 社 Bekasi 工場および Tangerang 工場に対して設備事業の説明、運 転状況の調査結果を報告、省エネ運転に係る現状の問題点を説明 特に、同社が 使用している冷凍機は、冷媒が正規品でないため、サージング気味の運転状況 である点、そしてこのような運転が継続されると冷凍機本体への影響が出る点 を指摘。 - PT.EBARA Indonesia とのスケジュール協議。 現 地 調 査 の結果 - モニタリング状況が共有され、運転実施状況の問題点が指摘され、今後の運転方法 に関する提案がされた。 第 7 回現地調査 : 2013 年 1 月 29 日~2 月 8 日 目的および 実 施 調 査 概要 - 適格性要件の定期点検内容を定めるにあたって、本年度の本方法論適用予定の補 助事業において、定期点検担当者となる PT. Ebara Indonesia 社が実施している定期 点検項目ならびに具体的な実施方法について再度確認を行うとともに、JCM の適格 性要件とすべき内容について協議を行い、具体的な方法案を検討した。 - モニタリング方法に関して、PT. Primatexco 社に導入された冷凍機のモニター類を確 認し、モニタリングの具体的な方法に関して PT. Ebara Indonesia 社担当者と意見交 換した。冷凍機の操作盤のモニターを有効利用することで精度を担保することや、実 際的なモニタリング項目・頻度がについて協議、検討を行った。

- 現地冷凍機販売代理店である、PT. Metropolitan Bayutama 社、PT. Ebara Indonesia 社ならびにフロンの回収業務を行っている PPLi 社を訪問し、冷凍機更新時のフロン 回収状況について聞き取りを行うと共に、フロン処理の誓約に関して協議を行った。 現 地 調 査 の結果 - 方法論においてさらなる検討を要する事項について重点的に関係事業者らと意見交 換を行った。特に、適格性要件で定める定期点検内容と、プロジェクト排出量算定の ためのモニタリング方法について、詳細の具体化を行った。 第 8 回現地調査 : 2014 年 2 月 19 日~22 日 目的および 実 施 調 査 概要 - 20 日開催の JCM 報告会に参加し、方法論に関する調査結果についてインドネシア 側に説明を行い、意見、質問を得た。 - 21 日開催の方法論協議に参加し、より詳細に方法論やレファレンスレベルについて インドネシア側に説明を行い、意見、質問を得た。 現 地 調 査 の結果 - 方法論についてインドネシア側の JC メンバーの意見を聞き、方法論案に修正を加え ることができた。

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委員会本邦視察 : 2013 年 11 月 25 日~11 月 27 日 本 邦 視 察

委員

日本工営株式会社: 清水副参事、齋藤技師、水野社員

荏原冷熱システム株式会社:小野海外営業室室長、奥田海外営業担当 GM PT.Ebara Indonesia 社:Mr. Puandra Adithya Gathmyr(Manager)

PT. Primatexco Indonesia 社:佐藤隆工場長

Mr. Andi Rahman Priyambodo、Mr. Achmad Chaerodin 本 邦 視 察 の概要 - 東京スカイツリータウンとその周辺を支える高効率地域冷暖房システムの視察(高効 率地域冷暖房システムの概要説明・ビデオ鑑賞・高効率ターボ冷凍機が 3 台導入さ れたメインプラント)を通して、最新の日本製冷凍機システムの活用実態と活用意義 を理解し、本邦技術の普及方法について検討した。 - 高効率ターボ冷凍機製造過程の視察(荏原冷熱システムの藤沢工場見学)を通し て、最新の日本製冷凍機の製作過程と本邦技術の品質管理を学んだ。 - 本邦技術の普及に関する意見交換を実施。 視察結果 - 最新の高効率地域冷暖房システムの意義及び活用のされ方が理解された。 - 日本製冷凍機の高効率ターボ冷凍機の効率の高さや、適切なメンテナンスの下で長 期的に利用できる点等、日本製高効率ターボ冷凍機の強みが理解された。 - 地中熱利用システムや昼間のピーク電力を低下させるエネルギー需要調整システム 等、高効率冷凍機の応用により省エネ効果をより高めるシステムが理解された。 - 製造工程等の見学を通して、荏原冷熱システムでは、製品の性能向上のために、工 夫の凝らされた部品及び製造過程から製造され、高いレベルで品質が管理されてい ることが理解された。 - インドネシアへの高効率ターボ冷凍機導入における課題並びに導入促進に向けた 意見交換から、導入促進の強みとして、日本製品の高い省エネ効率及びアフターサ ービスに対する信頼性が挙げられた。 出典:調査団作成

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第 4 章

JCM 方法論に関する調査結果

4.1 JCM 方法論の概要 本調査では、ホスト国インドネシアの紡績産業における省エネルギーを題材としてJCM方 法論の開発を行う。インドネシアにおける紡績工場では、取り扱う商品(生糸や布など)の品 質管理の面から冷凍機により工場内の温度管理を行っている。インドネシアは、年間の気 温が20度を下回ることはなく、冷凍機は常時利用されており、それに係るコストは工場経営 の面からも軽視することはできない。このような背景に対し、高効率な本邦冷凍機を導入す ることにより、工場の省電力化を実現する。 本調査では、上記状況に工場で広く利用されている電気式冷凍機の省電力化をJCM方 法論として取り上げ、数式化する。 4.2 用語の定義 本調査において開発した方法論では、以下に示す3つの用語を定義している。 表 4-1 用語の定義 用語 定義 冷凍機 ヒートポンプの原理により熱を移動させ冷熱を作り出す熱源設 備である。また、冷凍機周辺設備である冷却塔やポンプ等は含ま ない。 プロジェクト冷凍機 JCM 事業の実施に伴い、対象とする工場や商業施設等にて更新 または新規導入される冷凍機。 リファレンス冷凍機 JCM 事業が実施されない場合、対象とする工場や商業施設等に て更新または新規導入が想定される、市場占有率の高い冷凍機 (主要複数社がホスト国で販売している冷凍機の平均的な機能 を持つ冷凍機を仮定したもの)。 成績係数 (Coefficient of Performance : COP) 冷凍能力[kW]を主電動機入力[kW]で除した、定格時 COP とする。 本方法論では、JIS 規格の温度条件(冷水入口温度 12 度、冷水出口 温度 7 度、冷却水入口温度 32 度、冷却水出口温度 37 度)とした場 合の主電動機入力で COP を計算する。 定期点検 冷凍機の性能を維持するため、冷凍機製造業者、もしくは製造業者 が保証する代理店による冷凍機の性能評価を定期的に行うこと。 出典:調査団作成 一つ目として、本方法論の主たる対象となる「冷凍機」を定義している。また、冷凍機には 冷凍機本体だけでなく、冷却塔やポンプといった周辺設備等が備わって冷却効果を創り出 している。しかしながら、冷却塔やポンプ等はシステムとして必要不可欠であるが、その効果 は冷凍機本体の効率でおおよその効果が決定するといっても過言ではない。また、冷凍機 以外の設備は、システムの省電力化という点において、冷凍機を更新するしないに関わら ず、共通して利用される要素であり、それらのみで効率向上が達成される訳ではない。また、 それら設備の貢献をモニタリングすることも容易ではなく、冷却塔においては定量的な把握 が困難と判断している。

表  目  次  表 2-1  本プロジェクト対象工場の設備概要 .......................................................................
図  目  次 図 1-1  気候変動緩和策に関する国家ロードマップ ..........................................................
表 2-1  本プロジェクト対象工場の設備概要  PT. Primatexco社  バタン工場  PT. Argo Pantes Tbk.社  タンゲラン工場及びブカシ工場  施設  場所  インドネシアジャワ島中部セマラン郊外(セマラン市から西へ約160km)  ジャカルタ市近郊  稼働開 始年  1970年代  1974年(タンゲラン)、1978年(ブカシ)  年間運 転時間  24時間  365日稼働  うち1週間は設備点検のため休止  24時間365日稼働  うち1週間は設備点検のため休止  出典:
表 2-2  紡績工場の冷凍機更新事業の概要  PT. Primatexco社  バタン工場  工期  2013年8月~2014年2月  更新前冷凍機設備  1)  ターボ冷凍機 230USRt  1 台+  250USRt  1 台  所要動力:  230USRtは200kW、250USRtは150kW  合計  約350kW  年間 CO2 排出量:  冷媒:CFC-11(オゾン破壊係数 4,730)  2)  吸収式冷凍機 500USRt  1 台  所要動力:  年間 CO2 排出量:  冷媒:CF
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参照

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