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Microsoft Word 原稿SNA地域格差final

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-県民経済計算から見た経済的な豊かさの地域格差について

人口減少の歯止めと、東京圏への人口の過度の集中を是正することを目的とするまち・ひ と・しごと創生法が、平成 26 年 11 月に制定された。本法に基づき決定された「まち・ひと・ しごと総合戦略」では、「地方と東京圏の経済格差等が、若い世代の地方からの流出と東京圏 への一極集中を招いている」ことを日本の課題と認識し、「『人口減少が地域経済の縮小を呼 び、地域経済の縮小が人口減少を加速させる』という負のスパイラル(悪循環の連鎖)に陥 るリスクが高い」ことへの懸念を示している。 このような地域格差の問題は長く議論されてきたテーマであり、2000 年代以降の主な動き としても、小泉内閣による公共投資削減・三位一体改革に対して、地域格差を拡大したとす る立場からの批判があり、社会問題として一般的な関心も高まった。 地域格差の考察は様々な視点から可能であり、測定に用いる指標も多様なものが存在する が、本稿では、国民経済計算及び県民経済計算1の分配面の指標を用いて、小泉内閣が成立し た平成 13 年度から、東日本大震災の影響下にあった平成 23 年度までの状況について考察を 行う。 < ポイント > ・ 経済的な豊かさの指標は様々。「測定の尺度」が変われば、地域格差の様相も変わる。 ・ 生活者の実感に近いとされる「一人当たり家計可処分所得」でみると、地域格差は平成 13 年度から拡大傾向で推移し、リーマン・ショック後に大きく縮小。 ・ 平均以上の経済的な豊かさと、人口増加を両立している県は減少 ・ 日本は、以前よりも、経済的な豊かさの水準が人口集積地で向上しやすい産業構造に変 化。また、経済的な豊かさの水準が高い県が転入超過となる傾向。 1 SNAの概念に基づく指標による経済的な豊かさの測定 (SNAの諸指標では近年は地域格差は縮小。いずれの指標でも本県の水準は中位。) (1)一人当たり県民所得からみた地域格差 国民経済計算及び県民経済計算は、一国の経済状況の体系的な記録について国際的に合意 された基準である「system of national accounts:SNA」に準拠して毎年度作成される経 済統計である。 SNAの概念を利用した指標の中で、地域の経済的な豊かさの測定に用いられることが多 いのは、県(国・都・道・府)民2所得を総人口で割った「一人当たり県民所得」である。内 閣府が作成する「県民経済計算年報」における地域格差の分析でも、一人当たり県民所得が 利用されている。県民所得は、雇用者報酬のほか、利子、配当などの財産所得や企業の利潤 など県民や県内の企業などが得た所得を合計した概念である。このため、一人当たり県民所 得は、個人の所得や給与の水準を表すものではなく、県の経済全体の所得水準を表す。 1 国民経済計算及び県民経済計算は、毎年度、過去の推計値の遡及改定を行っているため、ある年に公表した計 数が、翌年度以降の当該計数と一致するとは限らない。本稿では、注記がない場合には「平成 23 年度国民経済計 算」(内閣府)、「平成 23 年度県民経済計算」(都道府県)の計数を利用している。なお、都道府が作成する「都民 経済計算」、「道民経済計算」、「府民経済計算」、も県民経済計算と表記する。 2 以下、適宜「県民」「国民」「都民」「道民」「府民」を「県民」に統一して表記する。

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図1-1は、一人当たり県民所得の変動係数の推移を示したものである。変動係数は、所 得分布の不平等さを測る指標であり、分布の標準偏差を平均で除したものである。この値が 大きいほど、格差が大きいことを意味する。変動係数は、小泉内閣成立の平成 13 年度から拡 大し、17 年度に最大となった。リーマン・ショック後の 21 年度に大きく縮小し、その後は 横ばいに推移している。これは、内閣府「社会意識に関する世論調査」による格差意識の動 向とも概ね整合している。(図1-1) 23 年度は、変動係数は 13 年度を下回るものの、都道府県の水準を偏差値でみると、1位 の東京都が 95.4 であるのに対して、45 位の宮崎県は 37.3、46 位の高知県は 37.0、47 位の 沖縄県は 32.2 であり、地域格差は大きい。(表1-1①) 0 10 20 30 40 50 8 10 12 14 16 18 20 H13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 % 地域格差が悪い方向に向 かっていると思う者の割 合(右目盛) 一人当たり国民所得の変 動係数 資料:内閣府「社会意識に関する世論調査」 (2)「測定の尺度」による地域格差の様相の違い 一人当たり県民所得では大きな地域格差が示されたが、SNAの概念に基づく他の指標で も同様の分析をしてみる。一つは、「一人当たり県民総所得」であり、もう一つは、「一人当 たり家計可処分所得」である。 ①一人当たり県民総所得 平成 24 年 12 月に誕生した第2次安倍内閣が 25 年6月に決定した「経済財政運営と改革 の基本方針」では、「1人当たり名目国民総所得(名目GNI)」を、10 年後に 150 万円以上 増加させる方針が定められた。国民総所得は、企業や国民が国内外から得た所得の合計であ り、国内総生産に海外との所得の受払の差額(海外からの所得(純))を加えたものである。 (図1-2) 近年、経済のグローバル化等により海外からの所得(純)の拡大が進んだこ とから、国の豊かさの指標としての関心が高まっている。また、現行のSNAでは国民所得 概念の利用は廃止され、国際比較では国民総所得概念を用いることが多いとされる。国民総 所得に相当する県民経済計算の概念が県民総所得である。どちらも、企業利潤や海外からの 財産所得などを含む概念であり、 家計部門の所得を表すものでは ない。 ②一人当たり家計可処分所得 地域格差の解消は、特に地方 にとっては重要な課題であり、 税制や社会保障制度などの所得 の再分配の制度が構築されてい

図1-2 概念図

県(国)内総生産 県(国)民所得 県(国)民可処分所得 県(国)民総所得(=県民総生産) 県(海)外からの所得(純) 県(国)内総生産 県(国)内純生産 固定資本減耗等 その他の経 常移転(純)

図1-1 一人当たり県民所得の変動係数と格差意識

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3 -る。これらの所得の再分配は地域格差を縮小することが予想されることから、所得再分配後 の所得(「県(国)民可処分所得」)に基づく指標の方が、再分配を反映しない指標よりも経 済的な豊かさの実態を的確に示すだろう。(図1-2) また、企業利潤などの影響を取り除 き、家計部門に限定した指標の方が、生活者にとっての豊かさの実感により近いものとなる と考えられる。このような考え方を背景に、SNAに関する国連のマニュアルでは、地域の 経済的な豊かさを測る指標として、「一人当たり家計可処分所得」を提案している。 13 年度と 23 年度の地域格差を上記の三つの指標で測定すると、やや異なる状況がみえる。 まず、各指標における水準を偏差値でみると、東京都の水準が飛び抜けて高いものの、一 人当たり家計可処分所得ではやや緩和される。三大都市圏についてにみると、いずれの指標 でも東京都、愛知県は最上位グループに位置し続けているのに対して、大阪府は順位を下げ ている。一人当たり家計可処分所得で推移をみると、東京圏の水準が上昇しており、23 年度 では東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県のいずれもが 10 位以内に位置する。本県はいずれの 指標でも中位であるが、一人当たり家計可処分所得の偏差値が最も高い。(表1-1) 順位都道府県 偏差値 順位 都道府県 偏差値 順位都道府県 偏差値 順位 都道府県 偏差値 順位都道府県 偏差値 順位 都道府県 偏差値 1 東京 101.3 1 東京 95.4 1 東京 100.7 1 東京 95.1 1 東京 77.6 1 東京 81.7 2 愛知 63.8 2 静岡 62.9 2 愛知 65.9 2 静岡 63.7 2 神奈川 72.8 2 愛知 66.6 3 滋賀 59.2 3 愛知 61.4 3 静岡 59.9 3 愛知 63.3 3 愛知 62.7 3 神奈川 65.5 4 静岡 58.7 4 滋賀 60.5 4 大阪 58.8 4 富山 60.4 4 滋賀 61.4 4 兵庫 64.6 5 石川 57.9 5 富山 60.0 5 滋賀 58.7 5 滋賀 60.0 5 奈良 61.2 5 千葉 62.2 6 富山 57.8 6 茨城 59.7 6 富山 58.7 6 茨城 58.9 6 千葉 60.3 6 富山 61.5 7 神奈川 57.7 7 広島 59.3 7 神奈川 56.9 7 大阪 57.9 7 静岡 60.0 7 栃木 60.8 8 大阪 57.4 8 栃木 57.3 8 石川 56.9 8 福井 57.7 8 石川 59.3 8 埼玉 58.9 9 栃木 55.9 9 神奈川 56.5 9 福井 56.2 9 三重 57.0 9 大阪 58.7 9 石川 57.6 10 広島 55.4 10 大阪 56.4 10 茨城 54.2 10 広島 56.3 10 広島 58.5 10 滋賀 57.5 25 新潟 49.4 26 新潟 49.6 17 新潟 52.0 21 新潟 51.7 19 新潟 53.3 18 新潟 53.0 ①一人当たり県民所得 ②一人当たり県民総所得 ③一人当たり家計可処分所得 平成13年度 平成23年度 平成13年度 平成23年度 平成13年度 平成23年度 次に、変動係数を比較すると、各指 標とも推移は類似しているが、一人当 たり家計可処分所得の変動係数が他の 二つの指標よりも小さいことが特徴的 であり、一般に利用されている一人当 たり県民所得で示される数値よりも、 生活者の実感としての地域格差は小さ いことが示唆されている。(図1-3) 2 一人当たり家計可処分所得からみた地域格差の是正の構造 (三大都市圏から他県への所得の再分配が、地域格差の縮小に寄与) 生活者の実感により近いと考えられる一人当たり家計可処分所得をもとに、地域格差とそ の是正の構造を考察する。 (1)所得の再分配の地域格差への影響 国民経済計算では、「生産過程への参加または生産に必要な資産の所有の結果として発生す

表1-1 都道府県の経済的な豊かさの水準(偏差値)

注:一部府県については、概念に一致するよう家計可処分所得の補正を行っている。 8 10 12 14 16 18 20 H13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 図1-3 変動係数 一人当たり県民所得 一人当たり県民総所得 一人当たり家計可処分所得

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る所得」を第一次所得として定義する。3つまり、第一次所得は所得の再分配前の所得に相当 する。また、家計部門の第一次所得を「家計第一次所得」と表記すると、「家計可処分所得= 家計第一次所得+その他の経常移転(純)」の関係が成り立つ。「その他の経常移転(純)」は 税や社会負担などの支払いと社会給付などの受取の差額を表し、所得の再分配の影響を反映 する。(図2-1) 家計可処分所得 家計第一次所得 営業余剰・混合 所得 第一次所得 その他の経常移 転(純) 雇用者報酬 財産所得 一人当たり家計第一次所得と一人当たり家計可処分所得の変動係数を比較すると、後者が 小さい。また、両者の差は平成 20 年度以降拡大している。これは、所得の再分配を反映する 家計部門の「その他の経常移転(純)」が地域格差縮小の機能を果たし、かつ、その機能が近 年は増大していることを示している。(図2-2、図2-3) 社会保障制度等に基づく家計部門への給付(社会給付)と、これらの給付の財源として家 計が支払う社会保険料等(社会負担)の関係をみると、社会給付率と社会負担率4の双方で上 昇の傾向が続く。これは、家計部門の「その他の経常移転(純)」による地域格差縮小の機能 に社会保障制度が影響を与えていることを示している。5(図2-3) 8 9 10 11 12 13 14 15 16 0 1 2 3 4 5 H13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 変動係数の差(「一人当たり家計一次所得」-「一人当たり家計可処分所得」) 一人当たり家計一次所得(右目盛) 一人当たり家計可処分所得(右目盛) 10 12 14 16 18 20 0 1 2 3 4 5 H13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 % 社会給付率(右目盛) 社会負担率(右目盛) 変動係数の差(「一人当たり家計一次所得」-「一人当たり家計可処分所得」) (2)全国平均との格差率からみた地域格差 平成 23 年度の地域格差の状況を、全国平均との格差率からみてみる。格差率が大きい県ほ ど、全国平均よりも経済的に豊かな水準にあることを意味する。(表2-1) まず、一人当たり家計可処分所得で上位に位置する東京都、愛知県、神奈川県は、一人当 3 雇用者報酬、財産所得、営業余剰(企業の経済活動に伴う利益など)、混合所得(個人企業の経済活動に伴う 利益)、補助金を控除したうえでの生産・輸入品に課される税(間接税)から構成される。 4 本稿では、社会給付率 =現金による社会給付+社会扶助/県(国)民所得、社会負担率=強制的社会負担/県 (国)民所得とする。 5 家計部門における「その他の経常移転(純)」には、医療費の保険負担分等は含まれていない。これらは、S NAでは「現物社会給付」と定義され、一般政府部門における「その他の経常移転(純)」に含まれる。このため、 家計部門の可処分所得に含まれない。現物社会給付が家計部門に与える影響を考慮した場合には、地域格差はよ り縮小する可能性がある。 図2-1 概念図 図2-2 変動係数 図2-3 社会給付率と社会負担率

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5 -注:国は、全国平均値ではなく、国民経済計算値 鳥取県及び東京都は「平成 24 年度県(都)民経済計算」 たり家計一次所得においても上位に位置していることがわかる。 両指標の格差率の差をみると、差がプラスとなる県(一人当たり家計可処分所得>一人当 たり家計一次所得)は 39 であり、佐賀県、福島県、宮城県などが上位に位置する。他方、差 がマイナスとなる県は、東京都、大阪府、茨城県、愛知県、神奈川県、三重県、埼玉県、千 葉県のみであり、三大都市圏に位置する県に限られている。格差率の差の絶対値が大きいほ ど、所得の再分配の機能がより強く働いていることを示しており、差がプラスの場合には、 所得の再分配が経済的な豊かさの水準の向上に寄与していることを表す。このため、三大都 市圏に位置する県から他の県に所得が再分配されていると解釈できる。 順位 都道府県 格差率 (%) 順位 都道府県 格 差率(% ) 順位 都道府県 差(ポイント) 1 東京 23.33 1 東京 40.44 1 佐賀 10.6 2 愛知 9.39 2 愛知 13.35 2 福島 9.8 3 神奈川 8.38 3 神奈川 9.59 3 宮城 9.8 4 兵庫 7.54 4 千葉 5.86 4 島根 8.7 5 千葉 5.28 5 富山 4.77 5 鳥取 8.5 6 富山 4.68 6 埼玉 3.03 43 神奈川 -1.2 7 栃木 3.96 7 栃木 0.74 44 愛知 -4.0 8 埼玉 2.23 8 兵庫 0.65 45 茨城 -5.6 9 石川 1.02 9 大阪 0.45 46 大阪 -6.4 10 滋賀 0.92 10 茨城 -0.54 47 東京 -17.1 18 新潟 -3.3 23 新潟 -8.2 19 新潟 4.9 一人当たり家計可処分所得 (A) 一人当たり家計一次所得 (B) 差(A-B) (3)地域格差の是正の背景 格差率の差の上位県(プラスが大きい県)と下位県(マイナスが大きい県)について(福 島県、宮城県の平成 23 年度値は東日本大震災の影響が強い可能性があるため、対象から除外)、 社会給付率及び社会負担率を比較すると、佐賀県、島根県などの上位県は社会給付率が全国 の水準を大幅に上回る。これらの上位県では高齢化率が高く、雇用者一人当たりの雇用者報 酬の水準が低い。他方、東京都、大阪府などの下位県は、社会給付率が国全体の水準を下回 り、逆に、社会負担率が大幅に上回る。これらの下位県では高齢化率が低く、他方、雇用者 報酬の水準が高い。 これは、高齢化率が高いほど年金給付等による所得が増加することと、雇用者報酬の水準 が高いほど社会保険料も高水準となることが背景にあると考えられる。本県の構造は、佐賀 県などの上位県に類似している。(図2-4、図2-5) 20 22 24 26 28 30 10 14 18 22 26 30 国 佐 賀 県 島 根 県 鳥 取 県 東 京 都 大 阪 府 茨 城 県 新 潟 県 % % 社会給付率 高齢化率(右目盛) 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 10 14 18 22 26 30 国 佐 賀 県 島 根 県 鳥 取 県 東 京 都 大 阪 府 茨 城 県 新 潟 県 千円 % 社会負担率 一人当たり雇用者報酬 (右目盛) 表2-1 格差率 図2-4 社会給付率と高齢化率 図2-5 社会負担率と雇用者一人 当たり雇用者報酬

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3 一人当たり家計可処分所得の推移 (人口の減少が増加の要因として寄与) 一人当たり家計可処分所得の平成 13 年度から 23 年度の増減をみると、18 県で増加した。 このうち家計可処分所得が増加しているのは 10 県のみである。残り8県では家計可処分所得 は減少しており、一人当たり家計可処分所得が増加したのは、人口減少がプラスに寄与した ことによる。 このように、人口減少が一人当たり家計可処分所得の水準を押し上げる状況は本県を含む 多くの県で共通しており、一人当たり家計可処分所得と人口の両方が増加している(経済的 な豊かさの水準が向上し、かつ人口が増加している)県は、東京都、愛知県、埼玉県、兵庫 県、福岡県のみである。 -15 -10 -5 0 5 10 15 福 島 県 兵 庫 県 長 崎 県 宮 城 県 三 重 県 愛 媛 県 富 山 県 福 岡 県 和 歌 山 県 鹿 児 島 県 愛 知 県 埼 玉 県 東 京 都 徳 島 県 栃 木 県 島 根 県 岡 山 県 山 形 県 茨 城 県 千 葉 県 福 井 県 群 馬 県 山 口 県 沖 縄 県 香 川 県 岩 手 県 熊 本 県 新 潟 県 岐 阜 県 長 野 県 秋 田 県 山 梨 県 石 川 県 青 森 県 京 都 府 滋 賀 県 静 岡 県 宮 崎 県 大 分 県 高 知 県 北 海 道 神 奈 川 県 鳥 取 県 広 島 県 佐 賀 県 大 阪 府 奈 良 県 %、%ポイント 家計可処分所得要因 人口要因 一人当たり家計可処分所得増減率(H13~23) 家計可処分所得増減率の上位県と下位県を要因別でみると、いずれの県も雇用者報酬がマ イナスに寄与しているが、上位県ではその程度が小さい。また、いずれの県も個人企業所得 のうち持ち家分がプラスに寄与しているが、相対的な影響は小さい。特徴的な点としては、 東京都は財産所得のプラス寄与が大きく、金融資産や土地の賃貸などからの所得が経済的な 豊かさの水準の高さの一因となっていることを示している。下位県では、雇用者報酬の大幅 な減少をその他の経常移転(純)が下支えする構造となっている。本県の構造は、佐賀県な どの下位県と類似している。(表3-2) -25 -15 -5 5 15 25 東 京 都 兵 庫 県 愛 知 県 埼 玉 県 沖 縄 県 佐 賀 県 鳥 取 県 秋 田 県 奈 良 県 高 知 県 新 潟 県 %、%ポイント 雇用者報酬要因 財産所得要因 個人企業所得(持ち家以外)要因 個人企業所得(持ち家)要因 その他の経常移転(純)要因 家計可処分所得増減率 4 人口動向の視点も交えた経済的な豊かさ (人口動向の視点も交えると、地域格差は拡大の可能性) (1)人口と「一人当たり」の諸指標 これまでみてきたように、「一人当たり」の諸指標では地域格差が近年は縮小傾向にあるこ 図3-1 一人当たり家計可処分所得増減率(平成 13 年度~23 年度) 図3-2 家計可処分所得増減率と寄与度(平成 13~23 年度)

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7 -とが観察される。しかしながら、「一人当たり」の指標では、人口減少がプラスに寄与するこ とから、人口減少が進む地域ほど指標の水準が向上する点への留意が必要である。一般的に は、経済的な豊かさの水準が向上している地域において、人口が減少している状況よりも、 増加している状況の方が、経済的な豊かさをより実感できるのではないだろうか。 この観点からあらためてみてみると、一人当たり家計可処分所得の向上と人口増加を両立 しているのは、上記のとおり東京都、愛知県、埼玉県、兵庫県、福岡県の5県のみである。 さらにこれら5県は、偏差値も平成 13 年度から 23 年度にかけて上昇しており、他県との相 対的な比較でも経済的な豊かさの水準が向上している。(表1-1) また、過去 10 年間での人口増減と平均以上の一人当たり家計可処分所得の水準を両立して いる県の状況をみると、13 年度時点の 21 県に対して、23 年度時点では9県に減少し、ほぼ 三大都市圏の県に限られた。この傾向は他の指標でも同様である。(表4-1) このように、人口動向の視点も交えて 13 年度時点と 23 年度時点を比較すると、地域格差 は拡大したようにみえる。 指標 平成 13 年度時点 平成 23 年度時点 一人当たり 家計可処分 所得 東京、神奈川、愛知、滋賀、奈良、千葉、静岡、 石川、大阪、広島、栃木、埼玉、兵庫、長野、 岐阜、北海道、山梨、福井、京都、岡山、福岡 東京、愛知県、神奈川、兵庫、千葉、埼玉、 滋賀、福岡、大阪 一人当たり 県民所得 東京、愛知、滋賀県、静岡、石川、神奈川、大 阪、栃木、広島、兵庫、茨城、千葉、埼玉、岐 阜、三重、群馬、岡山、福井、京都、長野 東京、愛知、滋賀、神奈川、大阪、千葉、 埼玉、福岡 一人当たり 県民総所得 東京、愛知、静岡、大阪、滋賀、神奈川、石川、 福井、茨城、栃木、広島、三重、岡山、兵庫、 千葉、長野、群馬 東京、愛知、滋賀、大阪、神奈川、千葉、 福岡 注:順番は偏差値順 (2)産業構造の変化と都道府県間の人口移動 人口動向と経済的な豊かさの関係について、所得の源泉である生産活動の側面からみてみ る。 一般に、卸売・小売業、サービス業などは、製造業などモノを扱う産業と異なり、空間的 及び時間的な「生産と消費の同時性」の特性が強い。このような産業では「集積の経済」が 働くとされる。労働生産性は、労働や資本の量・質、技術進歩など複合的な要因で決定され るが、労働生産性(従業者一人当たり付加価値額)と人口集積(人口密度)との相関関係が 示すように、世界市場も対象とする製造業に比べると、卸売・小売業、サービス業では人口 や経済活動の集積の影響が大きいと考えられる。(表4-2) 産業 決定係数 製造業 0.14 卸売・小売業 0.59 サービス業 0.62 我が国は「ものづくり」のイメージが強いが、国内就業者の状況をみると、約 20 年間で 製造業の構成比は約3割減少し、他方で、卸売・小売業、サービス業の構成比は増加した。 表4-1 過去 10 年間の人口増加と偏差値 50 以上を両立している県 表4-2 従業者一人当たり付加価値額と人口密度の相関(都道府県間) 注:被説明変数(本件では、従業者一人当たり付加価値額)の全変動のう ち 説明変数(人口密度)の変動によって説明される部分の割合を表 しており、1に近いほど相関関係が強いことを表す。 資料:総務省、経済産業省「平成 24 年経済センサス-活動調査 事業所に 関する集計」、総務省「国勢調査」

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これは、日本全体では、1990 年代と比較すると、労働生産性における「集積の経済」の影響 がより強い産業構造に変化したことを意味している。(図4-1) 14.9 20.9 50.4 40.8 0% 20% 40% 60% 80% 100% H25 H6 製造業 その他 卸売・小売業及びサービス業 人口や経済活動の集積が進む県ほど「集積の経済」のメリットを受けやすいことから、こ のような産業構造の変化は労働生産性の点で人口減少県よりも人口増加県に有利に働く。所 得の源泉は生産活動であり、諸条件が同一であれば労働生産性が高いほど一人当たりの所得 水準も高くなることから、所得水準の点でも人口増加県に有利な変化であったと考えられる。 また、転入超過率(「県外からの転入者数-県外への転出者数」/人口)と生産活動に対す る家計部門への報酬の意味を持つ一人当たり家計一次所得との関係をみると、一定の相関関 係がみられる。都道府県間移動は、各県の雇用環境や、進学、住宅購入などの社会的要因な どに左右されるものであるが、所得水準 が都道府県間移動に、また、逆に都道府 県間移動が所得水準に影響を及ぼす側面 があるという見方もできる。(図4-2) これらの点を踏まえると、転入超過等 により人口や経済活動の集積が進む県で は、「集積の経済」によってサービス業等 の労働生産性が上昇しやすいことから、 経済的な豊かさの水準の一層の向上を期 待できる。そして、その結果として経済 的要因による転入超過がさらに進む、と いう好循環も期待できる。 5 おわりに 本稿ではSNAの概念に基づく諸指標について解説し、用いる指標によって経済的な豊か さの水準や地域格差の様相が異なることを示した。また、「一人当たり」の諸指標では地域格 差が近年は縮小傾向にあることが観察される一方で、人口動向の視点を交えると、逆に地域 格差が拡大している可能性を示した。 県(国)民経済計算は、県(国)民の経済活動を総合的、体系的に把握する唯一の統計資 料であるが、SNAの用語が一般用語と異なる意味を有していたり、独自の概念を用いて経 済活動を記録する点などが利用者の理解を妨げている面がある。本稿では、特に馴染みの薄 い分配面の理解の一助になることも目的として、分配面の指標を中心に考察を行った。 図4-1 就業者の構成比(全国) 資料:内閣府「平成 25 年度国民経済計算」 図4-2 一人当たり家計一次所得と 転入超過率(平成 13~23 年度平均) 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 愛知県 大阪府 R² = 0.5903 -0.6 -0.3 0.0 0.3 0.6 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 転 入 超 過 率 ( % ) 一人当たり家計一次所得(千円) 資料:総務省「住民基本台帳移動報告」

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