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生産と貨幣に関する覚書(1)-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

生産と貨幣に閲す−る覚書(1)

宮 田 亘 朗 1. 企業の生産に関わる決意決定過程に,貨幣を意味のある形で導入しようとす るミクロ経済学における試みは.,大別すれば,・一・方でW..ー.ポ−モルの在庫 理論によるモデルの流れを汲むJ.トービン,M∴M.ミラー′及びD.フトール や,S.フィツレヤノーの試みと,イ出方でゲイクセルの考え方の流れを汲むA.ガ ポ」−ルおよびⅠ.F.ピア−・ス,D.ゲィッカ−ス,S.J.タ・−ノフスキ」−などの 試みとにわけて考察することができるであろう。1)しかしながら,ここ.でほJ. Ⅰ.・ベルンべ/ユタインの考え.にしたがい,2)それらを−一周してW・J.ポ一千ル の在庫理論から考察し,その発展した形態として把えて行くこととする。なお, D.パティンキンのように,一つの生産要素として直接生産函数紅貨醸を導入す る立場3)や,年産函数に関する実証的研究4)については,本稿でほ取扱わない。 1)Baumol,W.Jh,TheTransactions DemandforCash;AnhventoryTheoretic

AppIOaCh,Q./‖ Eり Vol… 66,No.4,Nov.1952.Tobin,J・,TheInterest, Elasticity of Transactions DemandforCash,R>.,E.Stat.,Vol.38,No.3,A11g

1956.Miller,M.H.and D,Orr,A ModeloftheDemandforMoneybyFirms,

Q.J,.E,VoL8O,Noノ′3,Aug.1966“Fisher,S・,Money andthe Production Function,EconomjcIllquiry,Volr12,No.4,Dec.1974.Gabor,A.andI.F. Pearcc,The Placeof MoneyCapitalin the Theoryof Production,Q./.E.,

Vol。72,No.4,Nov1958.Vickers,D.,TheCost of Capitaland Structure of the Firms,IournGlofFi〝anCe,Vol.25,NO1,Mar.1970いTurnovsky,S.J・, FinancialStructuI・e ar!d the TheoIyOfProduction,JournalqfFinauce,VoI…25,

No.5,Dec,1970

2)Bernstein,J。Ⅰ”,The Demand for Money by the FiIm(D.Fisher,Moftetar.y

Thcor.y and the Dema71djbr Mo71ey,1978,Appendix B) 3)Patinkin、DりIIo,ZC.Jl,Jl,行,ハJ,aJId P,∫cバ・1965

4)Sinai,A.and M.M.Stokes,RealMoney Balances:An Omitted Variable from the PIOduction Function?,R。8”Siat.,Vol、54,No.3,Aug.1972および

(2)

香川大学経済学部 研究年報、20 J9β0 −−Jββ− 肘−モルの在庫理論に基づく貨幣の収引需要ほ,企業の受取と支払の不一一・致 によるギャップの橋渡しを目的としてなされる。いま,企業の現金受取(その 額を虎とする)ほ.,期首に−・括してなされ,その支払(全額が支払われるとす る)ほ,その期間に・−・様になされるものとする。この受取額点ほ、それを受取 った時点で直ら紅支出せぬ限り,そ・の一一・部を留保し,残りを貨幣以外の資産(例 えば債券や預金など)に投資し,利子収入(期間当り利率之)を獲得し,その 後現金が必要となるたびに,その儀券を現金に換えて支払に・当てこるのが,その 企業にとって有利である。しかも,この運用に.あたり,資産形態の変更にほ, その都度,αの固定費を要するとすれば,5)その企業ほ,債券を現金化するに 際し,このコストを節約するために,まとまった金額(例えば〟)で,債券 の換金を行うことになる。全期間を1にとり,資産の形態の変更時点を≠1;g2, …,才花 として,〝回の取引を仮定する。期首≠1=0では,点のうち−・部を現金 で持ち時点才2までの支払に備え,残りを債券に換える。時点才2では,(1・−才2) 戯(才2・−才1)㌧±(1仙わ)農産才2の債券利子を社得し6),債券の一・部を換金して時点ね 第1図 取引計画(〝ニ3) 葦2図 現金保有額の変動(俳=3) 5)このコストは,取引紀要するあらゆる経費を含むだけでなく,時間的なロスや精神 上の苦痛も含む。 6)期間内で一億な支払を仮定しているので,時点わまでの現金支払給額ほ,f′斤とな る。したがって,その時点の債券保有額裾,ガーわ点=(トー・≠ノ)点である。期間当りの 利子率をよとすれば(わー−fト1)の利率ほ」(fメーサメ1)となる。かくし■て,時点ヂノでの利子 収入は(1一方プ)斤よ(わー′ト.)である。ただし,ノ=2,3,,〝。

(3)

ーヱ古クー 生産と貨幣に・関する党沓(1) までの支払に.備え,残りを債券のまま保持する。時点ねでは,(1−・ね)戯(才8一 才2)の債券利子を獲得し,債券の一・部を換金して時点≠4までの支払に・備え,残 りを債券のまま保持する。以後同様のことを繰返し,時点才花では,(1−㍍)屈嘉 (才花−・才花−1)の債券利子を獲得し,債券の残りすべてを換金して支払に備え.る。 この〃回の取引に要したコストは,固定頻用搾αである。かくして,この企業 の純収入は, 汀7乙=(1−・f2)戯≠2十(1−≠3)点よ(ね一−f2)ト斗(1・−・㍍)戯(オナもー一㍍−1)・−・搾α(1.) となる。企業ほ,この純収益を極大にするように時息オブ(.クー=2,3,‥,形)を選 ぶ。わで偏微分してゼロと置き生野すれは,次の関係式をうる。 1 fグーfト1==元一▲一,・ダニ2,3,…,花 (2) すなわち,当該期間の二時点間の距離は,形等分される結果,すべて相等しく なる。他方支払ほ,当該期間−・様になされると仮定されている。したがって, 各時点で換金され支払に備えられる額ほ,どの時点でも,同額の点/〟となる0 そこで,現金と債券の間の取引回数乃ほ, 忍 〝={一 而 (3) となる。7)いま,花=3の場合に.つき,】L二言己の関係を図示すれば,籍1図および 第2矧が得られる。第1区卜でほ,8)横軸に当該潮間(使宣上1rととっている) と.三等分した各時点が測られ,縦軸に初期の現金受取額忍と各時点の換金額 〟,したがって属との差である保有債券額βが測られている。当該期間の支払 は,−・様になされるので,点皮より右下りの直線によって示されてくる。例え ば,時点fl=0で保有される現金〟は,時点才2=%までに支出されてしまう ので,時点才2=%では,新たに債券の売却によって現金〟を補充し,時点 わ=%までの支払に.備えねばならない。これらの現金の保有状況を取り出して, 特に示したものが,第2図である。9)各時点の現金保有額ほ・,鋸の歯のような, 7)Baumol,W..J.opいCit.では,取引回数nをR/Mとして運航値で把えている。 他方Tobin,丁りOp“Cit..では,乃を不連続な値として把えている。 8)Tobin,JりOp”Cit. 9)Miller,M.H。,and D0IT,Op.Cit.

(4)

香川大学経済学部 研究年報 20 −ヱ6クー J9∂0 ぎざぎざ(saw,tOOthed)状を還してくる。そして,平均現金残高はAy2とな る。10) 形二 (4) 他方,平均耽引残高ほ,

宮=./ニ(ト≠)紬=一昔

(5) であるから,関係式 尺=凡才十β (6)

が成り立つ。ただし,膏は,平均債券保有高である。そこで,これらの結果を

(1)式に代人し,各時点(才1,f2,,㍍)の現金保有高が同額〟とならたときの 純収益を求め,11)

・−・一α

ガ}と=よ膏一作α=去(÷昔卜意 (7) それを〟に、ついて微分して,各時点の調整が行なわれ,かつ純収益の砲火と なる現金(貨幣)保看高を導出する。−す ̄なわち,

旦竺旦

〝ニ1一 (8) である。これが,周知のポ−モルの在庫理論に.基づく取引貨幣需要の平方根公 式(squar■eI00trule)といわれるものである。この場合,最適現金(貨幣)残

高〃=レ2α忍/才は,利子率よの平方根に逆比例し,取引総額(初期受取額)

10)二時点間の距離オブーーfト1を1に・とり,fト1=0ととれば,二時点間の凡才の平均値は, 廊=伊(1一丁)dTとなる0そこで,丁==(叫−1)/(′プーfグー1)およぴdTヒd〃彷−わー1)

≠メ

叫1−・)了df=をうる。

ブT

を代入し,扉= わ_1 11)なお,(7)式および18)式の結果は,(1)式に,(2)式とfプ=(ノ鵬1)/〝,.プニ2,3,‥,〝を代

入し,汀几=紅友一(〝−1+〝−2十+〃−〝ト〝α=斤よで二阜−−タ沼を得,それを微分し 2,‡

で憲一窟=−÷−+篇=0とすることによっても,導出しうる。ただし,(3拭か

ら品=一意である。なお,首=・里謡【点である。

(5)

生産と貨幣に関する党沓(1) ーJ6ユー 点の平方根匿_正比例することになる。そこで,貨幣に対する取引需要は,取引 総額の変化よりも少く変化し,いわゆる規模に関する節約を生じる。これほ, 貨幣の需要が取引総額に ̄正比例すると考える貨幣数愚説とほ,異なる見解であ る。この場合,貨幣の流通速度は, 皮 .ノ詔 瓦「=Ⅴ「す首 (9) となり,利子率よや取引総額点および固定費αによって一変化することに.なる。12) また,貨幣(現金)需要の利子に関する弾力性ほ・−%,取引残高に関する弾力

性は雛ある(晋=・−・一▲芸,諾=芸)。13一

次に,資産形態を変更するときに,以上のような固定費αだけでなく,各時 点での資産取引額紅係数β/2で比例する費用をも必要とする場合について考 えよう。この場合,企業の役得する純収益は,固定費の総額循αと,当初債券 鞠3陰l取 引 計 画 (〃=3,コストα+β叫/2) R 11−B =H 】㍉ tこBハ tニ t., ■し 12)Baumol,W.J.,Op.Cit。は,流通速度をR/M=iM/2αの形で定義し,Mに此例 すると論じている。しかし,〟は内生変数であるので勝手紅動かし得ない。したがっ て,これは誤りであると思われる。

13)Johnson,HいG,Note ontheTheoryof TransactionsI)emand for Cash,The INdza,L[ot(1〃G!of E(07:0”ltCS.Vol、44.PaItI、No.172,July1963、以_L、の結果 は,初期受取総額βが,現金でなく債券で受取られた場合にも妥当する。なお,その

ときは,取引コストに取引額にβ′′2で比例する比例費を考慮しても,そのまま妥当す る。

(6)

香川大学経済学部 研究年報 20 J9∂(フ −・J6■2− 購入額(1・一方2)点にβ/2を乗じたもののこ倍で表わされる比例資の総額とを 差引けは, 汀れ=(1…f2)戯−ゎ+(1・−・わ)戯(≠3−・≠2)十=…+(1−■才れ)戯(㍍・−−≠花{1) −・(乃α+β(1仙≠2)忍) 71. =戯七(1・−−fメ)(才7一一一≠ト1)ただし fl=β/之 2 (1′) となる。そこで,こ.れを時点fノ(グ=2,3,…形)でそれぞれ偏緻分してゼロと置 き,整理すれば,

≠ノーー・才ト1=一㌃(卜・掌−)・グ=2,3,…,〝

(2′) をうる。この場合も,各時点間の距離は,(1−一・β/去)/柁となり,それぞれ相等 しくなる。ただし,期琶に受取る現金は,少くとも時点fl=;β/∠までの支払に 使用されなければならない。そして,その額を予め差引いた残り(1−β/よ)忍 ほ,上記の固定費αのみのケ−スと同じように,形等分せられ,各時点に・おい てそれぞれ現金で保有されねばならない。また,才1以降の各時点ほ,等距灘 (1−・ノβ/∠)/邦を時点gl紅逐次加え.て行くので,才ノ=才ユ・+(.1−−・β/よ)(.仁1)/形と なる。したがって,期首の受取額を(1−β/よ)尺と考え,時点fl=β/まを新し く原点と考え.て行けば,第1園と全く同じになごる。すなわち,舞3図において, 線分Qflより右方ほ蘭軸でほ期竃受取額点から時点才1までに要する支払額 (β/£)尺を差引いた残りを紹等分しており,横軸でほ.全期間から時点flを差引 いた残りを狸等分している。したがって,原点を才1に.とることによって,第 3図は第1図に還元できる。 (2′)式を(1′)式に代入し生理して, ニ}lニー岩kl・−βノ′よ)2・−〝α (7′) を得る。そこで,時点調整を行い,かつ純収益を極大にする現金保有額ほ, (7′)を〟で微分し(∂フこ弟/紬)(紬/∂〟)ゼロと置くことによって求められる。14) ーβ/よ)尺丞セヱんL ∂〝_“・(1−β/よ)β 14)糎烏 であるから,一品=二\土詣貰!エ∠エである。なお(7′)式の微分で 〟  ̄りV‘ ̄ ノフ ∂〟 〃2

・8域の結果が導出されるためには,(去月よ(ト子)ヰし蔓一審)旦=0のため,

(7)

生産と貨幣に関する覚沓(1) ーヱ6β・− その粘果は,(8)式と同じである。したがって,夢3図の時点flの現金留保残額

と時点わ以降の換金額ほ,同額の〟=√盲盲節紅なっている。ただし,この

場合の凡才は時点fl以降のもののみである。そこで,時点f2までの支払準備と して期首に現金で持たされる留保額ほ,上記の説明からして, 肌用ト点 (10) となる。15)第3図において,これは点点から点β1までの距離で示されている。 勿論,期首の債券購入額はこの〟0の値を点から差引くことに.よって導出しう るものである。 当然のことと.して,(5)式はそのまま妥当する。したがって,関係式(6)も成り 立つ。らなみ紅,固定費と比例費の両者を含む場合の平均値券保有高は, 百二〈簑蔓・可1岬笠) (11) で示され,16)他方当該期間の平均現金保有高ほ,第3図を参照しながら,容易 に導くことができる。すなわち,距離点β1は(10閻で与えられており,また〝ニ 点(1・−−β/よ)/朗■となるので, 瑚笹赴譜讐碓十(−!−・禁当欄(1ニ㌘β吐完竺(〝一岬1) キ0を要する。即ちよ>βの条件が必要である0 15)ポーモルは,初期投資額をⅠ,取引コストを現金投資の時毎+ゑdI,現金引出の時ゐゥー

十点−んⅠにわ机期首受取額をア,各時点の胎齢Cとして,r−・Ⅰ=C+(撃)r

を導出した。またジョンソンほ,期首受取額のうち投資される割合をαと置き,ポ−

モルと同じように取引コストを二分して,(卜α)′=C−ト埠上空土塑を導出した。(た ま

だし,f,C,等は平均値で定義されている。)これらは,ともに我々の丑0)式と同じもの である。両者ともに右辺は期一首の現金保有額であり,左辺の第2項の括弧内は,比例 コストの定義の仕方が異なるのみで,β/よ紅等しい。 77 16)このtll)式ほ,甘=尺∑(1−り(fノーわ_】)+β(1…J2)f.に,flニ=β/吏と(2′)式を代入 2 して,整理することによって,得ることができる。なお,比例蛍¢ないケ−スの官ほ, このIrllぼにおいて,β2」j2をゼロとすればよい。

(8)

ヱ9β0 香川大学経済学部 研究年報 20 −J64− 差(1十字一)2十(一誓う2ホ(1十字−)扉苧十(掌)2÷ t12) (川式と(12)式の和を求めると, 蓋(1−(掌)2十(子′)2中一■一芸訪中−賃)=孝

をうる。すなわち,上記の関係式(6)の成立をみる。なお,(12)式にみるように,

平均現金(貨幣)残高ほ,利子率に逆比例し,取引総額点に正比例する。ただ

し,前出の(8)式の場合のように,それは撃純でほない。 以上の諸結果からして,ポ−モルは,支出が安定的で−・様になされ,すべて

の予測が的中するような上記の設例においてさ.え,貨幣に対する諾要が存在す

ることを主張する。そ・して,定常状態の静態均衡では・,貨幣に対する需要が消

滅するとなす考え方は,誤りであるという。そこに存在する需要ほ.,設例から

みて,予備的動機や投機的動機による需要でほなく,取引動機による需要であ

る。そして,その取引需要ほ,貨幣数巌説やケインズの取引需要と異なり,利

子率に依存している。その主たる原因ほ,取引コストαの存在である。このこ

とは,その取引コストがゼロであるならば,(8)式および(12)式がゼロとなってく

ることから,容易に理解できよう。また,その時の平均債券保有高は,(11)式よ

りして,平均取引残高月/2に等しい。ゆえに,企業は,期首の受取額点をす

べて債券に投資し,一切貨幣を手持ちしない状態で経済活動を遂行していくこ

とになる。17)

さて,以上のようなポ−モルの取引貨幣需要の考えを継承しながら,その仮

定の一てつである−・様な支払の流れを除去して行く試みとして,M.H」ミラ−と D.オ−ルの論文がある。18)それによれば,現金残高の変動は,第2図に示した

ような鋸の歯のぎざぎざを呈するのではなぐて,第4図のように最低水準(ゼ

ロ水準)と最高水準(ゐ水準)の間をランダム・ウオ・−クし,上下どちらかの 水準に到達したときには債券の売却(購入)や借入(貸出)によってそのワー キング・バランスを最適水準(g水準)にもどすよう変動すると考える。そし 17)前出の(11)式の分子と分母を舛で割り,〃=点(1−βノ/∠)〟と〟=(2α斤′∠)毎を代入し て整理し,α=0を仮定すると,富=許すなわちβ=月を得る。 18)Miller,M“Hand D.Orr,Op。Cit

(9)

−ヱ65− 生産と貨幣に関する覚沓(1) 第4図 現金保有額の変動

で,そのランダム・クフトークをベルヌーイの独立試行の考えによって処理し,

他方最低または最高水準に.到達したときの復帰行動をその独.立試行に・対するバ

ッファーとして処ヲ瞥する。19)

取引コストにほ,比例費を含まず,固定費のみであると考える。上掲(7)式

;て・柁=戯/2■−(凡茹/2十α点/〃)の右辺の第一項は,所与であるから,それを微分

するとき,ゼロとなり,消えてなくなる。したがって,極大利潤をもたらす現

金保有高を表わす(8)式の導出には,この第一項の存在は,何の影響も与えない

ことに.なる。そこで,ポ−モルが設定したように,現金保有の総費用

C=よ寸α

(1劫 を20)極小にする

ことで,(8)式を得ることができる。そして,その(8)式〟=

−/巧言市有には特殊な性賀がある。すなわち,一億な支払の流れを仮定するな

らば,取扱う時間の最短に関係なく最適現金保有高〃を導出しうることであ

る。例えば,支払の流れを−・日当り(または時間当り)桝ドルとする0そして,

19)FelleI,WりA〃J〝佃如抽児ね伽∂α∂瑚γγ肋㌢.γα′ヱdJf・=拍〆抜抽β〝S,VoI

I,Chap.XIV,1957河田竜夫監訳「確率論とその応用」下 策ⅩIV章,Wald,A‖・

ざ印〟β〝≠壷αJA〝αそγ・Sよ\s,1947

20)好一モルは,凋式の右辺第一項i〟′−2を現金保有の機会費用,第二項を取引費用と呼

んでいる。

(10)

香川大学経済学部 研究年報 20 −ヱ66− ヱ9β0 期間全体をアロとし,−叫・日当りの利子率をりとする。このとき,期間全体の支 払総額(期首受取総額に・等しい)ほ.点=桝rとなり,他方その期間全体の利子 率ほよニ〝rとなる。そこで,両者を(8)式に代入すると,分子分母のrは消去さ れ,最適現金保有額〟ほ不変となる。すなわち,〟=レす両である。 ミラーとオ−ルは,この性質に着目して,総受取額点を規定せず,それに代 って時間当り沼ドルの支払を規定する。そレて,嘩位時間当り一周の試行と, その結果生じる現金残高の確率♪での∽ドル増加あるいは確率曾=]し−♪での沼 ドル減少を仮定する。かくして:,一 ボ−・モルの−・様な支払の流れを確率分布に届 き換える。すなわち,「・日当り≠回の試行がなされるとすると,ガ日で〝′回の 試行が行われる。そのときの現金残高の変化の平均値ほ.〃Ⅵ=〝わ乃(♪・−・¢)であ り,その分散はJ,乙2=4紹柑す∽2である。21)取扱の便宜上♪=牒=%の場合を考 えれは,〝′乙=0,グ刀2==〟雛2′である。そこで,現金残高の日々の変化をとれば, 平均〝=0,分散グ2=♂2乃/ル=研2才を得る。 ● このような確率分布を仮定した上で,t13)式を期待値によって表わす。 土 ど(C)=りど(鳩十γ− (13′) e(〟)は日々の現金残高の平均値でありie(Ⅳ)はポ−−トフォリ’ォ移転数の期待 値である。またγほ,岬・回当りの取引費用,すなわち上記のαと同じものであ る。したがって,この(13′)式の右辺の〃ど(〟)ほ,ボーモルの現金保有の機会 費用よ几〝2に対応し,γど(Ⅳ)/rほポーモルの取引総費用α月/〟に対応する。 なお,∂(C)ほ,一日当りの費用の期待値である。 そこで,この(13′)式のど(〟)とど(Ⅳ)/rに.,現金痍高の最低および最高水 準(ゼロとゐの水準)を,ランダム・クか−クへの障壁として組み入れること を考える。先ず,ど(〟)について,フェルナ・岬の破産の問題22)を応用して\次の 21)扉回の試行で,先・回の成功で各回招ドル獲得し,乃ト∬回の失敗で各回∽ドル失う

ものとするとき,平均イ莞‘〟花はゑ〈循は−・(〝トわ∽〉刀ムC抑レ}紅よ・つて与えられる◇

また,その分散グ急は∑r二(朋・方−・(乃ト∬)画一扉刑(♪−曾)i2几‘C〟朽㍗いて によって与え ℃=JO られる。 22)Fellner,W.,Op”CitL訳裔431∼38頁。なお,フェルナ−のqz=Pqz.1+qqz_1ほ破 産の確率である。・その点,われわれのノ(∬)は,∴γ水準に.到る確率なので異なる。しか し,解法ほ同じである。

(11)

生産と貨幣紅関する党首(1) 一J67− よう紅行う。1ドルをかける賭博者があり,勝負に勝つ確率を久 負ける確率 を曾とすれば,そ・の所持金が.鴛となる確率/(方)ほ,∬−・−1の状態で勝つかまた ほ.炉十1の状態で負けるかした場合であるといえる。したがって, /てわ=ゑ/(.鴛・一−1)・+曾./’(.方一一卜1)方キg (14) となる。ただし,所持金がZに到達する確率ノてg)は,仮定によって♪./(g・−1) 十¢/(Z十1)だけでなく,ゼロあるいほカの水準からぞの水準に・復帰してくる 可能性を加.え.なければならない。そこで, /てg)=ク〔./てg−1)十/’(ゐ一−1)〕十ヴ〔/■(g・+1)十/■(1)〕 個 となる。23)なお,ゼロおよびカの水準匿ほ到達せぬよう操作サるので、あるか ら, ノ(0)=0,/(ゐ)=0 また,確率密度の性質からして ケも ∑ノて.鴛)=1 ℃=0 も1U三 (17) である。そこで,(用式の定差方程式を(15)∼ユ7)の条件の下で解き,その平均値を 求めれば, 九 冬 =机光・)=一=ど(財) ユ=0 (18) を得る。8i)したがって,(13′)式のど(〃)には(ゐ十g)/3を代入すればよいこ と紅なる。 他方,ど(Ⅳ)/′r笹ついての次のようになる。各資産移転の時間イシダ−−パル を.鴛1,・1U,射とし,確率分布を持ち,母集団から抽出されたものとする。そし 23)力水準は,所持金がカー1からカへ移る確率♪ノ(カー・1)を,またゼロ水準は,所持金 1からゼロへ移る確率ヴ./Ⅲをそれぞれ考えている。 24)♪ニ曾=塊の場合,(1亜式の特解ノ’(・ガ)=1と./■(一光)=∬ほそれを仏側式紅代入しで確かめう る。そこで0<∬<zに対しノ(・ガ)=Al十β1ガ,またZく∬<■カに射しノてわ=A2十β2(カー ズ■)の一般解を・(1拭に代<し,Al=A2=0を得,さら棚式年代入してβ1=β2 h--x を得,それらを(17拭に・代入しβ1=2/加とβ2=2/カ(カーズ)を得ることによって連出す 九 る。そして,平均値として∑‘〝(∬)にそれらの−・般解を用いて(カ十g)/3′の値をうるh。 ヱBO

(12)

香川大学経済学部 研究年報 20 ・−ヱざβ−・ J9β0 て,その平均値をかとする。r討画期間内に」Ⅴ匝の移転を考えれほ,れ+… +乳がミrく㍑1十…十領′+1の関係が成り立つ。各辺の期待値をとり,ヴァルドの 関係式ど(ズ1十‥1∵和)=∈(.霊)£(Ⅳ)記D∂(Ⅳ)を用い,かつ各辺をrで割れは,

−−十一く旦−く

(1功 を得る。25)かくして,e(Ⅳ)/Tは,rが火となる紅つれて1/∂に近づく。こ こにいう平均値かほ,上記のような最低および最高の現金残高水準を持つ賭博 者の賭博継続時間を考えるとき,フーエルナ一によって与えられた♪=曾=%の 場合の解仇′ニニZ′(ゐ′一−g′)を用いて,’・−・回当りの賭金を1ドルでなく研ドルとし (g′研=gおよびゐ′研=ゐ),≠で割って日数に改めれば,26)か=g(カーーg)/桝2fとなる0 そこで, ど(Ⅳ)′r=妄節 を得る。 かくして,得られた爛と(20〉式を(13′)式に代入し, 沼2f ∂(C)=リキ乙寸γ盲師 を得る。そこで,占(C)を最小とするgの水準を求めれほ,

z==(旦欝)%ただし,ゐ=3z

即 (21J lコ2) 25)Wald,A.,Op.Cit.下図頑如く,計画期間Tとその期間をNケのインター・)(ルXl, ,粕にわけたものを考える。ただし,芳プほ母集団から抽出したブ番目の時間インタ −パルである。そとで,ど(∬1十い+射)十£(∬。∼り十…+リ㍑)=ど(ガ】+十ズ上)がなり立 つ。こ.の右辺はエg(∬)となる。

←T紬媚卿i毒j

他 ( ( −Ⅳ)£(.方)=エe((・ガ)−g(〟) ど(一方)となる。ゆえに,£(ズ1 、・\】 ll ∫【 r」 十十.町)−re(〃)£(∬)=0そこで,占(.鴛1+1+・焉へ・)=ど(Ⅳ)ど(・‡)の関係式を導きうる。 同様にしてど(∬1十帖十∬.N・+1)=e(∬1+・方.へ)十e(∬.へり)=ど(〃)ど(∬)十ど(∬)・1である。 定義によりg(∬)=か。そこで,e(∬1+十方一りくてくe(∬1+−ト方.∼.1)ほ」ね(Ⅳ)≦7 <伽(Ⅳ)+βとなる。両辺を丁で割り(1幼式をうる。 26)Fe11ner,W.,Op.Cith訳苔438−40京。なお,脚注(24)のとき紅,賭金を椚としても 結果の変更ほない。

(13)

−ヱ69一 生産と貨幣に関する発音(1) となる。この最適値カおよびgを化8)式に代入すれば,最適平均現金保有額がえ られる。すなわち, e(〟)=今も(笠グ去)% (23) である。ただし,グ2=研2才。かくして,ポーモルと同じように,最適平均現金保 有高ほ.,利子率ンに逆比例し,取引費用γに正比例する。しかしながら,それ らほ,三乗根で関係しており,ポ−モルのような平方根の関係ではない。さら に,(23)式は,現金残高の変化のばらつき,すなわち,現金の受取と支払の不一− 致をしめす係数J2が導入されている。この分散ポほ十・日当りの支払の流れ仰 の増加につれて増大する傾向がある。したがって,言†画期間rが変化しなけれ ば,掛−モルと同様に,支払総額点(=沼r)の増加が最適平均現金残高の変化 をもたらすことになる。しかしながら,J2の変化ほ,別の億以外紅,取引の回 数才の増加によっても生じてくる。この点,ポーモルの分析とは,違ってくるb 最適平均現金残高の利子弾力性は・−・%であり,取引費用弾力性は%である。ま た,(23)式は,ポ・−モルと同様に.,γ=0のとき,ゼロとなる性格を持っている0 取引費用のない場合に.は,貨幣取引は消滅し,貨幣のない経済が営まれてくる。 トたがって,貨幣の需要の存在が取引費用の有醸に依存するというポ−モルの 理論の特徴ほ.,現金の受取と支払の不一・致を表わす分散グ2を導入したとして も,変らず,そのまま維持されているといえる。 以上は,♪=曾=%の場合の分析である。他方,♪初の場合にほ複雑になる。 結果のみを書けば,¢>♪のとき,日々の現金残高の平均値ど(〟)ほ, ゐg〔ト・一(♪/曾)g ̄九〕 孟榊)=%〈吉十ゐ一十g・−・窮 となる。また継続期間の平均値Dz′ほ, (18′) 1・−・(少/曾)多 ̄九十(ゐ血g)け−(♪/曾)多〕 g′ ゐ′ トー(♪/曾)〆 乃z′==−・こ・こ元「一・ 寺すすすてて好打 となる。そこで,・一・日当りの総費用の期待値ど(C)は,こ.れらの値を(13′)式紅 適用して導出することになる。しかし,その結果ほ,明解ではない。

(14)

香川大学経済学部 研究年報 20 ーヱ7〃− J980 2. 以上,貨1節で考察してきたポ“モルの在庫理論に.基づく貨幣の取引需要の 考え.方ほ,次のような形で企業の生産函数と結びつけられる。27)先ず,通常の 物的生産函数を仮定する。ただし,.γ(≠)は産出高であり,ズ(わほ投入ベクトル である。 プ(ヂ)=.′〔∬(の〕 倒 産出高は,一山定価格♪で売却され,他方投入される要素ほi一億のレンタ料仰 が支払われる。産出高の販売および生産要素への支払に.ほ,何の取引費用も掛 らないとする。次紅販売額♪.γから要素への支払紗.方を差引いた残額ほ.,当該 期間企弟主ぺ一叫・様に支払われ,期末までにはすぺてが支払いつくされるが,取 引の都度−・定額αの費用を提供してもなお有利であるならば,金融仲介者とし て純粋紅機能する企業紅委託され債券紅投資して利子収入をうるように.運用さ 〃ス ︹ コ ∫ − れるものとする。この場合の企業の純収益汀乃は,生産活動から得る (.わ・−紗。方.〕d≠ と前節で考察したポ」−‥モル流の債券の利子収入の和か 卜を差引いたものとなる。ゆえ紅,

項伸雄〔州−・ぴ・畑晰1ヰーよ…)り

ね 〔♪.γ(≠)−抑.方(わ〕離 ね

十…畑(1サJ;:._1〔A酔紬方(わ〕項;ごA軒紺勅〃・湘

となる。28)この(25)式を投入物に関して微分すれば,すべての≠紅ついて, 〟■′ニ紺, 0≦こ≠≦1 伽) を得る。したがって,生産物価格および生産費素価格が不変である限り,当該 期間(1に.とっている)に二亘り,一・定の産出高.γ0が維持されることになる。 当該期間の販売総収益を忍とすれば,(25芦式は, ファ彿=〔1+・菖(1−才2)〕忍≠2+〔1・+菖(1・一才3)〕忍(ね−一方2)・+ 十〔1・十去(1・−㍍)点〔(≠乃・−・㍍_1)+点(1−㍍)−−乃α 即 27)Fisher,Su,Op.Cit. 28)S..フィツシヤ・−・の式を次の点で修正している。(1)時点の記号をトービンに一・致させ た。−2)フィツシヤ・−では,現金保有にも利子がつくとしている点を取り除いた。

(15)

生産と貨幣に関する覚沓(1) −ヱアユー・−

となる。ただし,オユニ0である。これは,前節の(1)式と形式的に・同じものであ

る。前節同様に,ら(メ=2,′…,〝)で偏数分し,最適時点わを求めると,(2)式 と同じよう紅≠ブ・−イト1ニ1/〝および才7=(〝州.行1)/形を得る。それらを(抑式に 代入すれば, 言花=月(1十∠一芸謀卜佃 (2餅

となる。前節と同じように侶成形ニニ斤/〟がなり立っているから,方アを財につ

き微分しゼロと置けば,(8)式がそのまま成立する。

(8)

なお,膏=尺(〃・−1)/2柁である。

以⊥の(24)∼t2軌式の分析でほ.,産出高lγほ.,貨幣の保有によって何の影替も受

けない。それほ,ニ種の極大行動が別個に存在し,それを単把併列的に結びつ

けているにすぎないからである。すなわち,先ず物的生産函数からの利潤が極

大にされ,次に.そこから得られる資金の管理かちの利潤が極大にされる。29)そ

こに,企業の生産活動と金融決意との間の相互作用ほ,全く存在しない。そし

て−,(8)式で導出される貨幣の需要は,単に後者の資金管理の過程で生じるもの のみを含むだけである。したがって,取引コストαがゼロとなり,(8)式が消去

される場合にほ,棲厳に愴接関わる貨幣が初めから存在しないために・,産出高

γへの影響ほ,生じない。 そこで,生産活動と金融決意の間の相互作用を設ける−一つの蔑みとして,S. フィツレヤ」−・が展榊し,ベルンレユタインが拡張した30)モデルを考察する必要 がある。いま,単純のため紅,生産要素.芳を労働エと資本∬のこ魔に限定す る。ただし,労働として生産に.投入される労働エpと取引紅必要とされる労働 エアとを考え.る。 γ=ノて打,エp) エ==エp十エr そしで,取引数狸とエTとの間にほ,汁の関係があるとすれば, 29)FisbeI・,S,,Op−Cit 30)BernStein,JいⅠリOpいCit、

(16)

香川大学経済学部 研究年報 20 ーJ72■Ⅶ J9β0 紹=符エr ㈹ となる。1/符ほ,取引に使用する平均労働寅である。前節に規ぉしたように, 月度 花= ̄=■ 頂甘 であるから,(3)式を(30)式に.代入すると, −サーー∵・==−= 1 扁 α弗=エア (3) 飢) となる。したがって,1/符ほ,ポ−モルの資産取引の・−・回当りの固定費用αに 相当するものである。飢)式と(29)式を用いて,生産函数を 〟 青

・γ=ベガ,レα(

) ̄1〕 (32) と書く。企業の純利潤汀渇は,百=点(乃・Ⅶ・1)/2搾および点=♪プ・−抑止一軌∬を 考慮して,位8)式より,

両年十倍け砧瀦−㈲β堵十∠ゎ

のように・規定する。31)ただし,去む=よ融あり,βm=β厨である。βは,資産の

取引コストのうち平均貨幣保有額画こ此例する費用である。鯛式を徽分し,極 大条件を求めると, ♪ノ■1一−打た=0 ♪./壱一組十=0 (34) 鮪α(筈r2・−‰+βm)=0 を得る。./−1ほ資本の限界生産力であり,ノ■2ほ生産に使用した労働エpの限界生 産力である。平均収入百に対する貨幣の平均保有額元の比率の限界生産力ノ妄α

(昔)2は,鯛保有の平均コスト,すなわち機会費酎むさ警憤紬の英資

額に等しくなる。フィッレヤ−ほり この㈲式を,∬,エ,〟/点につき解き,そ 31)貢㌻ほ債券利子収入であり,β励ま移転比例コストである。よβ=∠(点−〟)=∠点(1 一)=∠む一またβ万=β膏

(17)

生産と貨幣に関する覚沓(1) −−一ヱ73・→ れを舶式に.代入して.γの値を得,さらに劇灘)の各式を用いて,エr,搾,エpを導 出する。そ・こで,貨幣の最適保有額は,榊)式から,

財=l、阜些空車−→ 才十β

1351

となる。32)この場合にも,以前と同様に資産移転の取引コストαがゼロとなる ときにほ,貨幣の保有はゼロになる。 以上のフィツレヤー・モデルほ,よ∂およびβ卯を所与として行動する企業を 想定している。このよう紅去。およびβ仇を所与と置くことほ,利子率去ぉよび

取引の比例コストβが外壁変数である以上,平均収入膏したがって:総収入点

(=2斎)を所与とするに.等しい。ゆえに,上記の体系ほ.,フィッシャーーの意鱒

反して,解を持ちそうにない。38)敢えて,康 ̄を所与とせず脚式の極大条件を求

めれば,錮式の最初の二式と次の式がえられる。

〔ト学者+÷〕α♪ノ穏) ̄2十掌炬0

伽) ただし,し1−(∠十β)叫/2訊よノ2〕キ0である。そこで,最適貨幣保有額は,

瞑プ㌢±1′′′醗

(37) のよう紅なる。 さて,(舗式のフィッレヤ′−・モデルにもどって,生産物価格,在庫コスト, 利子率よ∂および賃金と資本レンタル料などの変化の影響を付記すると次のよ うになる。先ず,価格♪の変化は,(34)式「を♪について微分して, 32)なお,蔽財2,万‘=屈ノ2である。

33)フィツシヤ・一に.よれば,資産紅関するすべての変数ほ,収入フロ一に対する比率

(Velocity)で規定するのがよいという。しかし,このように・規定するとき,よぉよぴβ ほ,よJ′とβ別の形に修正されてくる。そのため,よむとβ机を所与とし,て行動する企 業を想定せねばならなくなる。フィツレヤーは,∴およびβが相殺的に変動し,J∂と β仇を一億に保つと考える。しかし,このような動きに合理的な説明がつけられないな らば,上記フィッシャーー・モデルの解は,見出しえない。それは,解かるぺき点を予 め所与・と置くことになるからである。

(18)

香川大学経済学部 研究年報 20 …一J74−− J9β0 動㍉・〟■12A樋(晋r2 抽♪・′■22九′−22α(晋) ̄2 抽♪・′・22堵) ̄1レ22(訂α・−・2力〕 ∴正 α♪ ∂(卵 ∂♪

が得られ,そこ.から直ちに.,∂(源/百)/∂♪=0が見出される。他方,伽)式の左辺

甲行列の行列式をかとすれは;か=−2が(廊/斎) ̄ゾ2(んノ妄2・−/■212)となり,生

産函数の凹性からしてノム/之2・−ノ212ほ.正でなければならないから,84)かく0を得 る。そこで,

賃=旦㌘(計石′・2(寛一音〉

(39) となる0・−・次同次の生産函数を仮定すれば,右鱒の(一/■22//’2)−・(/12/ノ■2)は負と なる。85)したがって,∂符/紬>・0である。また,同様に.して, =

昔旦㌍(訂1′本音一意)

(40) となり,∂エ/∂♪>・0となる。かくして,商品価格の勝負ほ,垂産要倭への需要 を増加させるが,貨幣の需要を不変のままに.残すという常識的結論‘が得られ

る。さらに,∂(廊ノ膏)/∂♪=0ほ,(訊/育)−(廊/斎)=1よりして.∂(官/許)/

∂β=0であり,(31)式よりして∂エア/∂少=0である。すなわち,債券の礪要も取 引に必要な労働の需要も変化しない。ゆえに,∂エp/∂少=∂ん/∂♪である。 次紅,資産の取引コストαの変化の影替は, −賢=0 34)安定条件からしてノ■11■く0,ノムノ占2−ノ■122>0である。

35ト一朗次函数〟=〝(・γ,γ)ほ,一般に妥=・芳一がなりたつ0ゆえに,・′■11=

ム2 .危 ム l石 −・

意1久′−ぉよかム2=叫与′妄1が導出しうる0そこで,

吾一昔=′−11(去+去)<0となる。

ノ去根+貰)く0

(19)

ーJ7β一 生産と貨幣に関する兇脊(1) = 意二等㌢(計2〔ん′22−・′12〕>0

=勃1.…2〕>。

また,資産の取引コストβ勒の変化は, ー = 姐)

雲イ付22・−.′212■〕く0

∂エ 膏β忘 ∂(晋) 緬㌃ 闇 =一意(訃兢−イ212〕く0 となる。両者とも紅,資本の需要砿イ可の影轡も与え.ない。しかし,労働の需要 と貨幣の需要については,全く逆の結果を得る。∂(面/育)/∂α>0と∂(渇/釣 /∂βmく0は,(直頒■■)十(百/厨)=1よりして∂(百ソ釣/∂αく0と∂(すノ郊/ ∂βm>0を意味し,81)式の関係よりして∂エア/∂α<0と∂エアノ∂β肌>0を意味す る。したがって,αの増加ほ資産取引に必要な労働の需要を減じるこ・とになり, 逆にβ勒の増大ほ資産取引に必要な労働の需要を増加することになる。かくし て,貨幣需要と取引に必要な労働の間に・ほ,代替関係があるといえる。なお, 取引ヲストαと貨幣需要の間のポ−モルの設定した正の関係は,(35)式からも推 察しうるように.維持されている。 利子率よ。の変化の影哲は.,錮のカ程式でのよゎの位置からみて,資産の取引 コストβ隅の変化と同じである。

=0

= 〔ん′■22】・アュ2〕<0 り3)

(20)

香川大学経済学部 研究年報 20 J9β0 ーJ76− ∂(晋) ∂ゴむ =意(昔)2〔ノ諭−イ212〕く0 最後に・,賃金並びに資本のレ∵/クル料の変化の影響は,賃金に.ついて 諸ど(訂1ノ12ノ■2  ̄2 ¶喜一(〆αぽ)げ11・′22・−′帰一■2仇′2(晋) ̄1〉<0(44) 旦些 」_ ∂紗エ __ ∂ぴヱ ∂(晋) ∂紺エ

=一昔〔./11ノ22イ212〕く0

であり,さ6)また,資本のレンタル料について 蓋=旦詳(計1ノー22′捌 麓=二者⊥(晋) ̄1・′■21ノL2 lごi51 である。∂茸/∂肋および∂エ/∂沈旭の二f.仁負の符号は未定である。それらほ.,労働と 資本が,補完的であるか代替的であるか(ノ12≧≡0)に・よって,決定される。

以上 フィツレヤ−・モデルの特徴は,す、ぺての資産の変数を蔚に対する比

として把え,∠りやβ鵜を所与として利潤極大を求める企業者を設定すること,

そのため,点を−・定とするか,さもなけれぼ利子率よ■ならびに比例取引コスト

βの変動によって斎の変化を相殺するか,のどちらかを仮定せねばならない点

にある。他方,このモデルの金融決意と生産活動との相互の作用径路は,飢式

に代表される資産取引に必要な労働の需要に・設けられた制約のルートただ−一〟つ である。 (香川大学経済論叢弟54巻へつづく) 36)㌫=意α(筈)2げ11ノ妄2一・′ゝ2二および窓=・欝′ゝ1・′2である◇

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