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有機イソシアナートを一成分とするビニル重合 : 第2報 芳香族イソシアナート類によるメタクリル酸メチルの重合

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(1)

7

1

有機イソシアナートを一成分とするピニノレ重合

2

芳 香 族 イ ソ シ ア ナ ー ト 類 に よ る メ タ ク リ ノ レ 酸 メ チ ル の 重 合

岡 本

"

5

.

L

.

*

・ 稲 垣 慎 二 本 ・ 尾 之 内 千 夫 *

Vinyl P

o

l

y

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e

r

i

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by Organic I

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Methyl Methacrylate by Some

Aromatic I

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.

E

r

o

s

h

iOKAMOTO, S

h

i

n

j

i

INAGAKI, Yukio ONOUCHI

トルエンー2,4ージイソシアナート, トJレエン辺,4と2,6ージイソシアナート混合物, フエニJレイソシアナー ト,メタキシレンジイソシアナート,ジフエニJレメタンジイソシアナート,および、オルトトリルイソシアナ ートとトリエチルアミンの共触媒系でメタクリJレ酸メチJレの重合を実施した結果,いずれの生成ポリマーも 通常のラジカル触媒で得られるものより高い軟化温度,分子量を示した. この重合反応は,ハイドロキノンの添加によって全く禁止され,触媒濃度と重合速度の聞には%乗則が成 立する.しかし,見かけの活性化エネ Jレギーは4.1~9.8Kcal/モ Jレであって一般のラジカル重合で見られる よりもかなり低い値を示していて,重合反応はイソシアナートとアミンがコンプレックスを生成し,これか ら,ラジカルあるいはラジカノレイオン的に進行するものと考えられる. 1 . 緒 言 有機イソシアナート,または有機イソシアナートとア ミンの組合せがピニル化合物の重合開始能力を有すると とを見い出し,重合機構や生成ポリマーの物性について 検討を加えた.イソシアナートの特異反応についてはこ れまでに多くの研究が報告されているが,それらはいず れもイソシアナートを反応剤あるいは共重合成分と考え て行ったもので,本研究のような重合触媒として使用し た例は全くない. 前報では, トJレエンー

2

4

-

ジイソシアナー卜とトリエ チノレアミンの共触媒系でメタクリJレ酸メチルが重合し, しかも得られたポリ7ーが通常の重合反応で得られたも のにくらべて,軟化温度および分子量が著しく高いこと を報告した.また,主主合機構は一応ラジカル的であると 述べたが詳細には言及していない. 本報ではトルエンー2,4-ジイソシアナートを含めて7種 類の芳香族モノーとジーイソシアナートを選び,これら とアミンとの共触媒系でメタクリJレ酸メチノレの重合を実 施し,重合温度,イソシアナートとアミンの濃度,モノ マー濃度などの影響について検討した.また,モノイソ *応用化学教室 シアナートとジイソシアナートの重合反応に与える影 響,芳香族イソシアナート中の置換基の位置と数の影響 なども検討し,重合機構解明の一助とした.

2

.

実 験

2

.

1

試 料 メタクリJレ酸メチJレ(MMAと略記) , イソシアナー ト類, トリエチルアミン(TEAと略記) , その他の溶 媒,試薬は,前報と同様に精製して用いた.なお,用い た芳香族イソシアナートの種類,構造および性状を表 1 に示す.

2

.

2

重 合 前報と同様にベンゼンを溶媒とする溶液重合を行い, 重合終了後,過剰のメタノーJレに洗澱させ,ベンゼンー メタノーノレで精製した後400Cで48時間真空乾燥して重合 率を求めた.

2

.

3

生成ポリマーの性状測定 ポザマーの軟化温度,分子量,赤外吸収スベクトJレの 測定は前報と同様である.元素分析は,柳本製作所製C H N分析装置を用いた.

(2)

72 岡 本

5

L

稲 垣 慎 二 尾 之 内 千 夫 芳香族イソシアナート 表

1

芳 香 族 イ ソ シ ア ナ ー 卜 類 略 記 号 構 造 式 b.p. d20 4生 TDI-100

金抑サ

o

118~120'C/llmm

TDL6850//3250*キ

1

.

224 TDI-MXDI

~H'

78'C/20mm

1

.

24 MDI

'-@NCO175~1770C/3mm

1

.

197 PI

.NCO 58'C/18mm

1

.

09 。 町TI

d;

64'C/20mm

1

.

06 トJレエンー2,4-ジイソシアナート トルエンヨ, 4および2,6ージイソシアナ ートの混合物 メタキシレンジイソシアナート ジフェニJレメタン【

4

4

'

ージイソシアナート フェニノレイソシアナート オJレトトリJレイソシアナート *2,4体と 2,6体の混合割合

3

.

結果および考察

3

.

1

イソシアナート - T E A系による MI¥IlAの 重合 トルエンヲ, 4-ジイソシアナートが M M Aの重合に際 し,何らかの形態で触媒作用を示すことが判明している が,イソシアナート単独では満足すべきものでないた め,イソシアナートの活性剤としての TEAを添加した 結果,かなりの促進効果が認められた.したがって以下 ではイソシアナートー TEA系による M M Aの重合につ いて検討する. 10 8

p o ( 渓 ) 憐

<

!

a

制 2

応 時 間 図I TDI-I00-TEA系による MMAの重合 TEA濃度

o

2.05' (TDIle対するモル比) ⑩1.02 ( 11 ) .0.72 ( 11 ) ⑥0.41 ( " )

3

.

2

イソシアナートに対する T E A濃度の影響 M M A濃度4.68モノレ/.e, イソシアナート類をそれぞ れ一定量添加し, CTEA) / Cイソシアナート〕モル比 を変化させ,反応温度600Cで実施した場合の重合時間と 重合率の関係を図 1~'7Iζ 示した. 8

1

<

!

I

I

o

1 2 3 4 5 反 応 時 間 図2 TDI-80/20-TEA系Kよる MMAの重合 TEA濃度

o

1.02 (TDI1<:対 す る そJレ比) ⑩0.61 ( 11 ) 11 0.31( ィ ) ⑥0.20 ( 11 )

(3)

ミ芝 Iヨ ト 4 <!rr 3 制 2 1 7

6

r

) ヨ ミ 3 制j 2 有機イソシアナートを一成分とするビ二jレ重合

/

/

間 図 3 TDI-65/35~TEA系による MMAの豆合 TEA濃 度

o

1.02 TDIに対すろモノしよじ ③0.61 ( II ¥ ノ 重量0.31 ( 11 曜)0.20;'

c

:

/

J〆'

/

6 8 10 反 応 時 間 図4 MXDI~TEA系による MMAの東合 TEA濃 度

o

1 .09 (MXDI Iこ対するモノレ比) (島0.65( 。 ⑧ 0.33( 。 唱)0.22( 。 7 6 5 主 ミ lii¥-4 司E 3 相i 2 1 2 3 4 反 JJê.,~ Rj 間

図 5 MDIーTEA系によるMMAの重合 TEA濃度

o

1目10(MDIIこ対すろモル比) ③0.66 ( II (ij0.33 ( イア 曜)0.22 ( 1I 8 ミ宅 )

M

ト 司 ロ 制 間 図 6 PI~TEA系による MMAの重合 TEAi農l¥[0 0.78 (PIIこ対するモル比) ( 島 0.47( 11 毒 事0.24( 11 ⑤0.16 ( ij

7

3

5

(4)

7

4

岡 本

5

.L. 稲 垣 慎 一 8 空 、 。 6 、/〆〆〆

/

与;L < la 4 制 2 1 2 3 4 5 j文 仏 、 H与 問 図7 o-TI-TEA系によるIVlIVIAの'TI{T TEAi限度 00.90 O-Tlに対1ろモ;L]U () 0.51. ク ⑧() .27 ID ( .)18 ( これから TEAの濃度が低くなるにつれて重合速度は 遅くなり,なかには誘導期間が存在するものも認められ る.このことは,イソシアナートと TEAの相互作用, すなわちコンプレックスの生成によって触媒能力を示す ものと考えられる. 一般に,イソシアナートはつぎのような共鳴構造をと ると考えられており, ⑥ 8 8 EB R-N~c~þ 4-<> R-N~c-.q ・++ R-N-c~ り (1) 三級アミンがつぎのように配位すると Pestmerらによ って報告されている. Rト 円 'NR巳3 'NR叫

;

このことを確認するためにクロロホjレム溶液中でPI と TEAを反応させ,赤外吸収スペクトルによって追跡 した結果を図8に示した. 2250cm-1の-N=C=Oによる吸収が減少し,そのか わりに(2)式に示したような c=Oの吸収が新らしく現わ れているのがわかる. 図 1~7の重合初速度を取り,重合速度と TEA 濃度の 関係を図 9~図 15 に示した.これらの図から重合速度と TEA濃度の聞にはきれいな直線関係が得られ,重合速 度は TEA 濃度の O.5~ 1. 1乗に比例することがわかる. 尾 之 内 千 夫 (1) 100r 1 QL 100

(2) ( 京 レ ( 〆 / 一 一 一 一 一 ヘ

一、│

) 時¥ ¥ 1¥ ¥ 1¥ _ /1(¥^ ( • I 担 ¥¥ V ,¥I V ¥ ?官。l 100"'¥3) 一

i I 1(¥ 1,111(¥ 叩 ハ 引 川 、 ",," 4UOO 3C肌 2000 18α16い l'JVV ムしυ ム 山 o山 1へTave Number cm-1 図

8

フェニノレイソシアナートとトリエチノレアミンの反応 (1) フェニJレイソシアナート (PI)溶媒クロロホノレム (2) トリエチJレアミン (TEA) (3) PI (1モノレ)と TEA(4モル)の反応生成物 (6O"C

2時間) 4.6

ω ω ¥ 4ミー5.0 Hド b J E M A ー5.4 2.2 1.8 -1. 4 log [TEA) モノレ/f!.) 図

9

TDI-I00を用いた場合の TEA濃度と重合速度 の関係 ー4.2 ( υ 宮 山 { ¥ A 引 い -4.6 p. 出 bc ~ -5.0 2.2 -1.8 -1.4 log [TEA) (モノレ/f!.) 図

1

0

TDI-80

/

2

0を用いた場合の TEA濃度と重合速度 の関係

(5)

有機イソシアナートを一成分とするピニル重合 -4.2

( u

g

、司 、 ¥ 二 〉 ヘ ー4.6 時J

_

_

.

ロ4

4 blI

同 Q -5.0 ~2 ~8 ~4 Jog [TEA) (モノレ/11) 図

1

1

TDI-65/35を用いた場合のTEA濃度と 11[合速度の関係 -4.8 ( υ ω m -一 ¥ ム ヘ ~ -5.2 。出国 o --5.6 2.2 -1.8 -1.4 Jog (TEA) (モJレ/11) 図

1

2

MXDIを用いた場合のTEA濃度と重合速度 の関係 -4.1

s

m

"

w

仏 -4.5 出

'

"

-4.7 2.2 叩1.8 -1.4 Jog (TEA) (モル/11) 図

1

3

MDIを用いた場合のTEA濃度と重合速度 の関係

7

5

4.2 (

"

O 問

中 ~ -4.6 a. 出

'

"

A -5.0 -2.2 -1. 8 .-1. 4 Jog [TEA) (モル/11) 図

1

4

PIを用いた場合の TEA濃度と重合速度の関係 -4.2

s

m

ム ~ -4.6 ) 仏 国

'

"

ム2

5.0 log (TEA] (モル/11) 図

1

5

0ーTIを用いた場合のTEA濃度と重合速度 の関係

3

.

3

イソシアナート濃度の影響 反応条件は 3.2と同様にして,イソシアナート濃度を 変化させて反応を行い,イソシアナート濃度と重合速度 の関係を図 16~ 図2HC 示した. -4.3 ( U ω ω ・ -¥ A ヘ山町) ~ -4.4

'

"

.Q -4.5 -2.2 -1. 8 -1.4 log [TDI-100] (モノレメP) 図

1

6

TDI-I00濃度の影響

(6)

7

6

( o ω ? ︻ ¥ ム ヘ 山 げ ) ~ -5.2

"

"

,Q 岡 本 4.3 ( ο ω ω ・ - ¥ ミ ~-4.4 内 同 出 国 0 [ -4.5 ー2.2 -1.8 -1.4 Jog(TDI-80/20) (モル/2) 図

1

7

TDI-

.

8

0/20濃度の影響 -4.5 ( o ω 凶司[¥士山庁) p.-4.6 出

"

,Q 4.7 2.2 -1.8 -1.4 Jog(TDI-65j35) (モノレ/2) 図

1

8

TDI-65/35濃度の影響 -5.1 5.3 2.2 -1.8 -1.4 Jog(MXDI) (モJレ/2) 図

1

9

MXDI濃度の影響 弘 稲 垣 慎 一 尾 之 内 千 夫 -4.3 ( o E -¥ 士 山 町 ) にh 出

1

f

-4.4 4.5 -2.2 -1.8 -1.4 Jog[PI) (モJレ/2) 図

2

0

PI濃 度 の 影 響 -4.4ぃ ( o ω ω -¥ 士 山 町 ノ 0_ 出

1

1

0 -4. S -4.6 一2.2 1.8 -1.4 Jog(0-1'1) (モノレ/2) 図

2

1

o-TI濃度の影響 これも同様に直線関係が得られ,イソシアナート濃度 の O.14~O.24乗に比例することがわかる. 触媒成分として,イソシアナー卜と TEAの組合せを 考えているわけであるが,重合速度はイソシアナート濃 度よりもむしろ TEA濃度に依存している.これは(2)式 のような配位を考えた場合,コンプレックスの生成能が 重合速度に与える影響が大であるので,当然の結果であ ろう.すなわち,モノイソシアナートの場合には TEA とのモル比が1,ジイソシアナートについてはモル比が 2で最大の重合速度を示す. なお,いずれのイソシアナートでも単独でわずかな重 合開始能力を有しているが, TEA単独では全く重合の 進行は認められない.

3

.

4

全触媒濃度の影響 これまでに,触媒の一成分の濃度の影響を検討してき たが,両者から生成するコンプレックスによって重合が

(7)

有機イソシアナートを一成分とするビニル重合

7

7

開始するとすれば,全触媒濃度すなわちコンプレックス

の濃度の影響を検討しなければならない.

そ乙で,モノイソシアナー卜としてPI,ジイソシアナ ー卜としてTDI-I00を選び, CTEAJ / CPI]モル比を 0,78, CTEAJ / CTDI]モJレ比を1.55で一定として, 全濃度を変化させて重合率と重合時間の関係を前と同様 に求めた.これから初速度を求め3全触媒濃度との関係 を図22tこ示した. -4.0 ( o E ム ¥ 犬 山 庁 )

0. 出

4.5 D

{ 5.0 ー1.8 1.4 -1.0 log [1] モル/P.) 図

2

2

重合速度と触媒濃度の関係

o

;

PI-TEA

CTEAJ / CPIJ =0.78

;

TDI-100-TEA

CTEAJ / CTDI-100J =1,56 4.0 ( 仁J 。 ω ミミ ム ヘ ド ド 、 一 p.-4.5

'

"

bD { 5.0 。 ‘6 -0.8 ,10 log [MMA] (モノレ/P.) 図

2

3

モノマー濃度の影響 ⑧ ; TDIー 100 () ; MXDI ~ ; PI

0;

o-TI 多少のバラツキは見られるが,童会速度はPI-TEA 系で0.47乗, TDI-TEA系で 0,49乗に比例していて, ほぼ通常のラジカル重合で得られている%乗則を満足し ている.

3

5

モノマー濃度の影響 イソシアナー卜とTEAの濃度を一定とし,モノマー( MMAY濃度を変化させ, 600Cで反応を行い,モノマー 濃度と重合速度の関係を図23tと示した. これから,モノマー濃度の Le~2.5乗に比例すること がわかる .ζ れは一般のラジカ Jレ重合による値(1~L­ 乗〕とくらべると高い値を示している乙とから,かなり 複雑な停止反応が起っていると考えられる.

3

.

6

重合温度の影響 反応条件は3,2と同様にして重合温度を300800

c

で重 合を行い,初速度をとって重合温度との関係を Arrhenius プロットして図 24~図 30 に示した. 4.0 ( 0 2 ¥ ム ヘ 山 庁 ) CI-4.5 位 。 [ -5.0 2.8 3.0 1 /T XIO' 3町Z 図

2

4

重合速度と温度の関係 (TDI-100) -4.0 υ ω 旬 、 、 、 ム ~ -4.5 0. 出 bD 。 { -5.0 2.8 3.0 1ノTXIO'~ 3 ,2 図

2

5

重合速度と温度の関係 (TDI-80/20)

(8)

7

8

岡 本

'

:

]

L

稲 垣 慎 一 尾 之 内 千 夫 -4.0 ( ο E 、 ¥ 士 -4.5

w

) 0. E‘

"

"

去 -5.0

~

2.8 3.0 1 /T XIO' 3.2 図

2

6

重合速度と温度の関係

(

T

D

I

-

6

5

/

3

5

!

-4.5 ( o ω 凶 ﹁ ¥ 士 山 庁 ) a t-50 A -5.5 2.8 3.0 3.2 l/TXIO' 図

2

7

重合速度と温度の関係

(MXDI)

-4.0 ( ο ω ω 一 ¥ ふ ヘ ド ド ~ -4.5 出 1 f [ -5.0 2.8 3.0 1 /T XlO" 3.2 図

2

8

重合速度と温度の関係

(

M

D

I

)

-4.0 。 ω m -¥ ム 、 ? い 白 -4.5 出 色 。

5.0 2.8 3.0 3.2 l/TXIO' 図

2

9

重合速度と温度の関係 (PI) 4.0 ( υ ω ? { ¥ ム ヘ

¥

ド ド 、-'-4.5 ハ 凶 出 国 ﹄ -5日 2.8 3.0 3.2 1 /T XlQ' 図

3

0

主合速度とiML度の関係 lo-TI) 多少のバラツキはあるが,見かけの活性化エ才、Jレギー を求めた結果4~lOKcal/モノレであった. これは一般のラ ジカノレ重合による値とくらべてかなり低い値を示してい るが,コンプレックスによる重合反応での活性化エネノレ ギーは一般に低いと報告されている.

3

.

7

ラジカル重合禁止剤の添加効果 前

ζ

l

述べたようにイソシアナー卜

-TEA

系触媒によ るビ、ニノレモノマーの重合はこれまでに全く例はなく,そ の反応機構は不明な点が多いが,重合反応がラジカノレ的 に進行するのかあるいはイオン的に進行するのかを見極 めるため,常法手段lとよりハイドロキノンなどの禁止剤 の添加効果より推察した. 反応条件は

3

.

2

と同様にして, ハイドロキノンをイソ シアナートに対して 10wt%添加して反応を行った結果 を表2に示した.

(9)

右機イソシアナートを一成化するピニjレ重合

7

9

2

ラジカJレ重合禁止剤(ハイドロキノン) の添加効果* No. イソシアナート 反応時間 (hr.) 重合率(%)

2

5

0

TDI-100

4

0

.

9

2

2

5

1

11

8

1.

0

4

2

5

2

TDI-80/20

3

0

.

3

7

2

5

3

11

6

0

.

8

1

2

5

4

TDI-65/35

3

0

.4

3

2

5

5

//

6

0

.

7

7

2

5

6

MXDI

3

2

5

7

//

6

2

5

8

MDI

3

2

5

9

//

6

2

6

0

P

I

3

2

6

1

//

6

2

6

2

G-TI

3

2

6

3

//

6

*イソシアナー卜に対して

10wt%

添加

TDI

ではわず、かに重合しているように見えるが,乙の 生成物は,赤外吸収スペクトノレ分析の結果ポリマーとは 考えられず,ハイドロキノンと

TDI

の反応生成物と思 われる.結局,いずれのイソシアナートーアミンの組 合せでもハイドロキノンの添加によって重合は禁止され た.また,ラジカJレ補捉剤としての α,ゲージフェニルー かピクリJレヒドラジノレを添加した場合にも同様な結果が 得られた. このことより,本主合は一応ラジカル的に進行してい ると推察される.

3

.

8

TD I-TEA

触媒による

MMA

とスチレ ンの共重合

MMA

とスチレンを

50wt%

づっ仕込み,

TDI-TEA

によるベンゼン溶液重合を4時間

6

0

0Cで実施した.反応 終了後,未反応の

MMA

とスチレン,およびベンゼンを 蒸留し,蒸留物中の

MMA

とスチレンの割合を赤外吸 収スペクトJレから求めた.その結果B 未反応

MMA

48%

,スチレンは

52%

であって共重合体中の組成比は

5

2

:

4

8

となり一般のラジカル共重合で認められている結 果とよく一致する.

3

.

9

生成ポリマーの性状 本研究で得たポリマーの軟化温度と分子量を表 3に示 した. 表

3

ポリマーの軟化温度と分子量 イソシアナー卜 分子量

(

x

1

0

-

4) 軟化温度

CC)

TDI-100

5

0

.

2

190~210

TDI-80/20

4

8

.

5

170~200

TDI-65/35

5

4

.

5

180~200

MXDI

1

1

5

.

7

210~230

MDI

6

3

.

5

260~280

P

I

1

2

.

2

150~170

o-TI

7

0

.

5

210~240

(

B

.

P

.

O

J

7

.

1

110~130 生成ポリマーはいずれも白色粉末であり,過酸化ベン ゾイノレ

(

B

.

P

.

O

.

)

を開始剤として得た

PMMA

とくらべ ると分子量,軟化温度が著しく高いことを認めた. ま た,両者の赤外吸収スベクトノレを調べた結果,いずれの 場合も差はなく,イソシアナー卜が付加しているかどう かは判定が困難であった.しかし.元素分析の結果から 室系が約

0.6%

含まれており,イソシアナート基の数に よって分子量が異なる乙とから重合中に架橋的な反応が 起っている可能性が考えられるが,これについては現在 検討中である.

4

.

ま と め 重合速度とモノマー濃度,触媒濃度および主合温度と の関係を検討した結果から,全重合速度を

R

pとして, 速度式を

Rp

~.f& [MMA)α

〔イソシアナート〕

β[TEA)

Y

のように設定した場合の指数と見かけの活性化エネルギ ーを表 41ζ示した. 表

4

芳香族イソシアナー卜による

MMA

の重合 Rp=k

CMMA)

a

C

イソシアナート〕

β

CTEA)

r

芳香族イソシアナート α s

r

Ea(Kcal/モル〕

TDI-100

2

.4

0

.

1

9

1.

1

0

5

.

8

DI-80/20

0

.

1

9

0

.

8

1

9

.

8

TDI-65/35

0

.

2

1

0

.

7

9

8

.

6

MXDI

2

.

5

0

.

2

4

1.

0

5

8

.

8

MDI

0

.

1

0

4

.

1

P

I

1.

6 0

.

1

4

0

.

5

8

7

.

0

o-TI

2

.

0

0

.

2

0

0

.

5

6

8

.

8

通常のラジカル重合では, R p はモノマー濃度の 1~ 1.5乗に比例することが周知の事実であるが, 本研究で 得られた値は一般にこれより高い値を示している.イソ

(10)

80 岡 本

稲 垣 慎 二 尾 之 内 千 夫 シアナート基を

1

個有する

P

I

o-TI

は比較的低値で通 例の値に近似しているが,イソシアナート基を 2個もっ ている

TDI

MXDI

ではかなり高い値を示す.これは イソシアート基と TEAがコンプレックスを生成して, 乙れのあるサイトから重合が開始されるとすれば,一応 納得のできる結果であり,ジイソシアナートの場合には ノマイラジカJレが生成する可能性が強い. さらに,乙の乙とは表2~と示した分子量測定値は PIを 用いたものは低く,他のジイソシアナートの場合には高 い値を示すととから推察されるだろう. イソシアナート濃度についてはイソシアナートの種類 が変ってもほぼ類似した値が見られるが, TEA濃度に ついては一定の関係が成立しない.これはイソシアナー トと TEAのコンプレックス生成能の差によるものと考 えられ

r

値は

MDI

を例外としてモノイソシアナートよ りもジイソシアナートの方が高い値を示している.ま た,

TDI

のうち, 2,4体のものの値は高く, 2,6体の混合 比が増加すると減少する.メチル基のオルト位に存在す るイソシアナート基は一般にパラ位のイソシアナート基 より反応性に劣る乙とから本結果を指示するだろう. イソシアナートと TEAの混合物の濃度に対しては,

L

はほぼ巧乗則を満足し, 一般のラジカJレ重合と類似 している.共触媒の濃度を ( 0 とすると,

TDI

ー100では, Rp

=

(MMA) 2.4 CI)O・49

P

I

では Rp

-,((MMAi

・6 (1)0.47 のような速度式が得られる. 活性化エネ Jレギー (Ea) は 4.1~9.8Kcal/モ Jレであ り,通常の

MMA

のラジカJレ重合で得られる値と比較す ると巧~Yaであるが,一般にコンプレックスによるラジ カル重合では数Kc

!

U

/

モJレであると報告されている. 以上の事実と共重合の結果,およびハイドロキノンに よる重合禁止効果を考察して, イソシアナートと TEA 共触媒による重合反応はラジカJレあるいはラジカルイオ ン的に進行するものと考えられる. したがって,イソシアナートと TEAはまず反応して コンプレックスを生成し,その結果チッ素あるいは酸素 上に生成するラジカJレまたはラジカJレイオンがモノマー に連鎖移動して重合を開始するものと考えられる.しか し,現段階ではラジカル種が何であるかという明確な概 拠はない. 最後に,本研究に協力された加藤卓夫君

K

謝意を表し ます. (昭和46年10月18日 中部化学関係学協会支部連合秋 季大会発表) 文 献 1')岡本弘,稲垣慎二,尾之内千夫,日化24年会講演 予稿集

4

, 2169 (1971) . 岡本弘,稲垣慎二,尾之内千夫,愛知工大研報,

6

, 101(1971) . 岡本弘,稲垣慎二,尾之内千夫,中部化学関係学 協会支部連合秋季大会講演予稿集 P 15(1971') 2) Pestmer et. al

Angew. chem..

7

2

61!:; (1960) .

図 5 MDI ー TEA 系による MMA の重合 TEA 濃度 o 1目 1 0( M D I I こ対すろモル比) ③ 0 . 6 6   (  I I  ( i j  0

参照

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