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エンドウ植物に於ける生長抑制物質と赤色光誘導の矮性に関する研究-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川大学農学部学術報告 第43巻 第2号137∼141,1991

エンドウ植物に於ける生長抑制物質と赤色光誘導の燻性に関する研究

加藤 尚,橋本 徹*

STUDIES ON GROWTH INHIBITORS AND

RED−LIGHTLINDUCED DWARFISM OF PEA PLANT

HisashiKATO and Tohru HASHIMOTO*

To correlate endogenous growthinhibitors of dwarf pea toits dwarfism a thorough search of growth inhibitors was madein the neutral,aCidic and aqueous fraction obtained from the red−1ight−grOWn and the dark−grOWn Seedlings of dwarf pea(Pisum s・ativum L cvPro畠ress NQ 9)From both seedlings twelve inhibitors(everyiourinhibitorsin each fraction)were separated b.y thin−layer chromatography and their activity was determined by cress root(Lepidium sativum L)bioassayAmong them theinhibitory activit.y of two neutralinhibitorsinred−1ight−grOWn Seedlings was higher than thoseindark−grOWn−OneS,Whereas that of the others was almost equalin both onesThis suggests that redrlight−induced dwarfism of this cultivar may be controlled by variationsinlevels of the two neutralinhibitorsinthe seedlings

赤色光による燻性エ・ンドゥの倭性形質発現に生長抑制物質を関連づけるために,赤色光下と暗所で育てた憩性エ ンドゥ(Pi5um5ativumL cv ProgressNQ9)を抽出して得た中性分画と酸性分画ならびに水溶性分画に含まれる 生長抑制物質の検索を行った.両芽生えからそれぞれ12種の生長抑制物質(各分画からそれぞれ4種類)が,薄層 クロマトグラフィーによって分離され,それらの生長抑制物質の活性ほクレス(⊥坤よd宣祝mSα出む切け乃L)の根の生物 検定によって決定された.これらの中で,赤色照射した芽生えに含まれる2種類の中性の抑制物質の活性は暗所の 芽生えのそれより強かったしかし,これ以外の抑制物質の活性は両芽生えの間で殆ど差ほなかった.以上のこと は,この品種の赤色光誘導の磨性は2種類の中性の生長抑制物質の含盈変動によって制御されている可能性がある ことを示酸している 緒 口

倭性エンドウ(Pi.sumsativum L cv Progress Na9)の芽生えの茎の生長は,暗黒中では高性エンドウ(cv

Alaska)と殆ど同じぐらい伸びるが,光照射(赤色光が最も有効である)されることで初めて倭性化する(1,乙3)

この倭性はジベレリンを芽生えに投与することによって回復することから,赤色光によって活性型ジベレリンが 減少し,その結果生長抑制が起こるとしてジベレリンの重要性が主威された(45)、、しかし,活性型ジベレリンの内生

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香川大学農学部学術報告 第43巻 弟2号(1991) 138 含量は,暗所の芽生えより赤色光下の芽生えで多く(678),現在のところ赤色光による倭性エンドウの燻性発現の仕 細.みをジベレリンで説明する試みは成功していない 一九嬢性エンドウには高性エンドウより多くの生長抑制物質が存在しているというK6hlerとLangの報台(9)以 来,内生の生長抑制物質で燻性発現の仕観みを説明しようとする多くの研究が行われた.Ohkuma(12)らによって Inhibitorβ(10・11)の主成分がABAであることが明らかにされ,ABAがエンドウの嬢性発現に関与しているのではな いかという興味が持たれた.しかし,光による生長抑制をABA含最の変動で説明することは出来なかった(1314) Burdenら(15)ほ,中性の生長抑制物質xanthoxinが明所の芽生えに多く存在していたと報告したが,暗所で育てた屡 性コニこ/ドゥに赤色光を照射しても,Ⅹanthoxinほ生長抑制の開始よりかなり遅れて増量する事より,Xanthoxinの生 長抑制への関与は否定された(16).更に,Progress種から単離同定されたdihydoromaleimideほ,生合成系がフィトク ロー・ム系を介していると考えられたが,これも赤色光に.よる生長抑制を充分説明できるだけ増加しなかった(17) 以 上の様に現在のところ,生長抑制物質で,倭性エンドウの燻性発現の仕組みを説明する試みほ成功していない そこで,我々の研究の日脚rち,光によるここ・ンドゥの生長抑制に生長抑制物質が関与しているのか否かに決着をつ けることである.本研究では,その端緒として,赤色光下と暗所で育てた燻性エンドウの芽生えを抽出して得た中 性分乳酸性分画と水溶性分画を蒋層クロマトグラフィーで分離し,生物検定によって∴壊性発現に関与している 可儲性のある生長抑制物質を検索した

材料及び方法

植物材料 燻性エンドウ(Pisum SativumcvProgressNQ9)の種子を流水で1日吸水させ,湿らせたバーミキュライトを 入れたトレ・−(25×40×15(高さ)cm)に蒔いた‥ 暗所24℃で3日間育て上胚軸の長さが30−35mの芽生えを選ん で同様のバ1−・ミキュライトを入れたシィー・ドリングケース(5×15×10(高さ)00,−ケース当り10個体)に植え 替えた..更に暗所24℃で2日間栽培して,第3節間の長さが10mm(西条の長さは70肥)の芽生えを実験に用いた 赤色光の照射と生長速度の測定 暗所で育てた燻性エンドウの上方より赤色光(15J(mOl/rrisat plantlevel)を連続照射した対照としてほ芽生 えを連続暗所に置いた.,実験開始直前にバーミキュライトの表面から約10mmの上胚軸の部位にIndiainkで小さな印 を付け,この印と芽生えの先端までの距離を経時的に測定し生長盈を求め,単位時間当りの生長盈を生長速度とし た‖ 芽生えに含まれる生長抑制物質を検索するために,24時間赤色光照射した時に,芽生えの印を付けた部分より 上部全体を収穫し抽出まで−80℃で保存した.また,芽生えの取り扱いは,すべて安全光下(emission peak543 nm;half−band width528−553nm;4.5nmol/ds)で行った 生長抑制物質の抽出 植物材料から生長抑制物質を抽出する方法は橋本ら(1975)の方法(18)によった.凍結保存した植物材料に10倍盈 の80%含水アセトンを加え,ホモジナイザー(500ACDM,Sakuma)で摩砕した.これを濾過し,残蔭は5倍盈の アセトンで,再び摩砕後抽出濾過した.濾液を合わせて,リン酸緩衝液(1M,pH8.0)を加えpH8.0に調整し た‖ これに,1/3畳のベンゼソを加えてかく絆後静置し,ニ層に分かれたら,上層を分離した.再び下層に1/3 盈のベンゼンを加えてかく拝後,上層を分離した小二つの上層を集め無水Na2SO4を入れ脱水後∴減圧下で浪縮した (中性分画).下層は2NのHCIを滴下してpH2..8として,等盈の酢酸エチルで2回振出し,酢酸エチル層を無水 Na2SO。で脱水後,減圧下で濃縮した(酸性分画)..残った水屑は1NのNaOHでpH7.0としてC18Sep−Park

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加藤l橋本:エンドウ植物に於ける生長抑制物質と赤色光誘導の嬢性に関する研究 139 (Waters)で脱塩後,減圧下で濃縮した(水溶性分画) 薄層クロマトグラフィーによる分離 中性分画,酸性分画,水溶性分画をそれぞれ,シリカゲルの蒋層クロマトグラフィー(Kieselge160GF254,20 ×20cm,Merck)にかけた中性分画と酸性分画の展開溶媒はクロロホルム:酢酸=95:5(v/v)で,水溶性分 画はテtラヒドロフラン:クロロホルム:水:酢酸=85:10:3:2(Ⅴ/v)で行った.15cm展開後,シリカゲル プレー・トを10等分し,それぞれを溶出し,一定畳の溶出液を生物検定にかけたシリカゲルからの溶出は,中性分 画と酸性分画ほ酢酸エチルとメタノールの泥液(1:1,Ⅴ/v,100m′)で,水溶性分画ほアセトンと水の混液 (8:2,Ⅴ/v,100mg)で行った 生物検定 検定試料を少盈のアセtソに溶かして濾紙(No.6,Toyo Roshi)を敷いた直径3cmのペr・り皿に入れ,室内に放 置して乾燥した..これらのベトリ皿にTween20を0.05%(v/v)含んだ1mlの蒸留水を加え,10個のクレス (山柳城αmSα蜘祝mL)種子を蒔き,暗所24℃で40時間培養した後,根の長さを測定した小生長抑制活性は,処理 区の板の長さの対照区の根の長さに対する割合で求めた 結 暗所で育てた燻性エ・ンドゥに赤色光を照射すると,芽 生えの茎の生長抑制は直ちに.始まった(Figl).生長速 度は照射後0−6時間ほ急速に,6−12時間までは緩や かに減少し,24時間以後はほぼ一定になった.一方,膳 所の芽生えの生長速度は,実験期間中ほぼ一足だった

Fig 2Inhibitoryactivityof materialeluted from thin−1ayer Chromatograms of the neutralfractions obtained from red−1ight−grOWn(left)and dark−grOWn (right)pea shootsinthe cressroot bioassay Allthe tested samples corresponded tolgram fresh weight equivalent(g Fw eq)of seedlings Thelengths of the rootsinthe bioassay were determined,and the percentageinhibition of growth was caluculated by reference to thelengths Of controlrootsMean values oflO plants ± SE This experiment was repeated twice and the results Were Similar

Fig1Time courses of changesin growth rate of dark−grOWn dwarf pea seedlings under COntinuousred−1ight(○)andindarkness (●)Means土SE from three replicates of

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香川大学農学部学術報告 第43巻 第2号(1991) 140 0 5 ≡ぎむ〓O﹂十UOU tU洪 0 5 ≡ぎむ〓O﹂≡00↑○洪 0…5 1 0 0.5 1 Rf 1 0 Rf 05 1 0.5

Fig 4Inhibitoryactivityof materialeluted from thin− layarchromatograms of the aqueous fractions obtainedfromred−1ight−grOWn(1eft)and dark−grOWn(right)pea shootsinthe cress root bioassay Allthe tested samples corresponded

tolO g Fw eq ofseedlings Other conditions areasinthelegend toFig2This experiment was repeated twice and the results were similar Fig3Inhibitoryactivityof materialeluted from thin−

layer chromatograms of the acidic fractions obtained from red−1ight,grOWn(1eft)and dark−grOWn(rigth)pea shootsin the cress root bioassayA11the tested samples corresponded to20g Fw eq of seedlingsOther conditions are as in the legends to Fig 2 This experiment was repeated twice and the resultsweresimilar

この赤色光による生長抑制に関与する生長抑制物質を検索するために,赤色光照射した燻性エンドウと暗所で育 てた燻性コニこ/ドゥから得た中性,酸性,水溶性分画をシリカゲルの蒋層クロマtグデフィ一によって分離し,各溶 出液をクレスの生物検定にかけた(Figs2,3,4) 両芽生え共に中性分画からは,RfO−0.1,0小2−0.3,0.5−0.6,0.9−1.0の4つの溶出液に抑制物質が検出され た(Fig2),これらの中で光照射した芽生えのRf O.,2−0.3と0。5−0..6の抑制物質の抑制活性は,暗所で育てた芽 生えのそれよりも強かった 酸性分画からは,両者共に4つの抑制物質(RfO−0.1,03−0.4,0.5−06,0.8−1.0)が検出されたが,両者 間でそれぞれの抑制物質の抑制活性には大きな差は無かった(Fig.3)同様に水溶性分画にも4つの抑制物質 (RfO−0“1,0.2−0い4,06−0.8,0..9−1“0)が検出されたが,両者間でそれぞれの抑制物質の抑制活性に・差は無 かった(Fig4) 考 察 赤色光照射した倭性エンドウと連続暗所に置いた燻性エ・ソドゥの芽生えから12種(中性分乳酸性分軌水溶性 分画から各4種),同様に暗所の芽生えからも12種(中性分画,酸性分軋水溶性分画から各4種)の生長抑制物質 がクレスの生物検定によって検索された‖両芽生えの抑制物質は,薄層クロマトグラフィーのRf借から,それぞれ

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加藤㊥橋本:エ・ンドゥ植物に於ける生長抑制物質と赤色光誘導の矯性に関する研究 141 同じ物質であると考えられる今回の実験では,生長促進物質を検出することはできなかったが,この芽生えに生 長促進物質が存在することを否定することはできない.なぜならば,生長抑制物質と生長促進物質が同じクロ・マト グラム上にあり,促進活性を覆い隠している可敵性,あるいは今回のクレス生物検定系では生長促進活性を検出で きない可能性があるからである 生物検定に用いた各分画の各溶出液の投与塵(中性分画は1g生重量相当,酸性分画は20g生重畳禰当,水溶性分 画は10g生重畳相当)と,その生物検定の結果から,各分両全体の抑制活性は,中性分画,水溶性分画,酸性分画 の順に大きいと考えられる(Figs2,3,4)また,赤色光照射した芽生えの中性分画にほ,暗所の芽生えのそれ より生長抑制活性が著しく大きな物質が2種頼存在していたが,酸性分画と水溶性分画にはこのような差を持つ物 質ほ存在していなかった.以上のことは,赤色光は中性の生長抑制物質の内生含量を増加させることによって,芽 生えの茎の生長を抑制している可能性があることを示験している 献 ㈹ KEfFORD,NP:ノ&坤βof,6,、129−151 (1955) ㈹ OHKUMA,K,LYON,JL,ADDICOTT,F T, SMITH,O E:ぶcまg乃Ce,142,1592−1593(1963) ㈹ BARNES,M F:Planta,104,182−184(1972) q4)ZEEVAART,JAD:PlantPhysio153,644T 648(1974) ㈹ BuRDEN,RS,FIRN,R D,HIRON,R WP, TAYLOR,HF,WRIG汁T,S T C:Nature βわgogγ,234,95−96(1971)

q6)FIRN,R D:Plant Growth Substances,1255− 1230,Tokyo,Hirokawa Pub Co,(1974) a7)MIYAMO・TLO,K,HASEGAWA,K,HASHIMOTO,T:

Ak扉5吊∴山根,37,47−51(1984)

㈹ HASHIMOI0,T,YASUDA,T,TAJIMA,M,ITNO, M:In Abstracts of the16th AnnMeeting,

Jap SocPlant Physiol,16,p33,(1975)

(1991年5月31日受理) (1)LocKHART,JA:ProcNatt AcadSciUS, 42,841−848(1956) (2)GoRTER,C一J:Pみγ5ioJPJα乃f,14,332−343 (1961) (3)HIGGINS,TJⅤ,BoNNER,B A:JE2;PBot, 25,705−714(1974) (4)LocKHAR7,JA:Plant Physiol,34,457−460 (1959) (5)SALE,PJM,ⅤINCE,D:PhysiolPlant,13, 664−673(1960) (6)KELLER,PL,CouL:TER,MW:Plant Cell Pゐッsよ−0∼,23,409−416(1882) (7)SpoNSEL,V M:Planta,168,119−129 (8)Ross,JJ,REID,JB:Phy,よoIPlant,76,164− 172(1989) (9)Kt)HLER,D,LANG,A:PlantPhysiol,38,555− 560(1963) ㈹ BENNET−CLARK,TA,KEFFORD,N P:Nature, 171,645−647(1953)

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