財政学Ⅱ
第14回 地方財政(3)地方交付税
2014年1月23日(金)
担当:天羽正継(経済学部経済学科専任講師)
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財政調整と地方交付税(1)
財政調整:地域間の財政的な格差を是正すること。
水平的財政調整:財政的に豊かな地方政府が財源を拠出し、それを貧困な地方政府に再配分する。
中央政府は財源を負担しない。
垂直的財政調整:中央政府が地方政府に、自ら負担する財源を基にした補助金を交付する。
日本の地方交付税
国税の一定割合を主な財源として国から地方自治体に交付される、垂直的財政調整制度。
国税の一定割合(交付税率):所得税・酒税の32%、法人税の34%、消費税の29.5%、たばこ税の25%。
国が地方に代わって徴収する「地方固有の財源」とされているので、水平的財政調整の要素を含んでいると捉えることも可能。
使途の特定されない一般財源。
地方交付税の総額のうち、96%が普通交付税で、4%が特別交付税。
普通交付税が地方交付税の本体部分。特別交付税は、災害等の突発的な事態に対応するために設けられている。
財政調整だけでなく、国が地方自治体に義務付けたり、「ナショナル・ミニマム」の観点から地方自治体が行うことが
望ましい事務を遂行できるように、地方自治体に対して財源保障を行うという役割も担っている。
地方交付税による、強力な地域間財政調整(スライド3)。
一人あたり地方税額では47位の沖縄県は、地方交付税が交付されることにより、一人あたり一般財源額では23位に上昇。
一方、東京都は1位から35位に低下。
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財政調整と地方交付税(2)
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都道府県の一人当た り 地方税、 地方交付税、 一般財源額( 2 0 1 2 年度) ( 単位: 円) 一人あ た り 額 指数 順位 一人あ た り 額 指数 順位 一人あ た り 額 指数 順位 東京都 157, 546 179. 4 1 -47 179, 687 81. 5 35 愛知県 110, 628 126. 0 2 7, 923 6 .6 46 132, 691 60. 2 44 福井県 108, 708 123. 8 3 162, 364 134. 5 14 286, 636 130. 0 6 栃木県 100, 771 114. 7 4 69, 713 57. 7 34 184, 958 83. 9 34 茨城県 99, 426 113. 2 5 65, 788 54. 5 38 179, 010 81. 2 36 静岡県 99, 077 112. 8 6 43, 245 35. 8 41 156, 081 70. 8 41 神奈川県 98, 696 112. 4 7 9, 759 8 .1 45 120, 572 54. 7 47 三重県 98, 281 111. 9 8 74, 311 61. 6 33 186, 766 84. 7 31 大阪府 97, 245 110. 7 9 32, 054 26. 6 42 143, 634 65. 2 43 石川県 96, 973 110. 4 10 116, 720 96. 7 26 228, 983 103. 9 20 富山県 95, 878 109. 2 11 120, 633 99. 9 24 232, 024 105. 3 19 宮城県 95, 766 109. 0 12 165, 216 136. 9 10 274, 848 124. 7 9 山梨県 95, 428 108. 7 13 152, 525 126. 3 17 262, 544 119. 1 12 香川県 94, 708 107. 8 14 113, 715 94. 2 27 222, 821 101. 1 24 群馬県 93, 388 106. 3 15 67, 931 56. 3 35 175, 624 79. 7 37 滋賀県 92, 978 105. 9 16 79, 076 65. 5 32 186, 215 84. 5 32 福島県 91, 559 104. 3 17 156, 055 129. 3 16 262, 770 119. 2 11 千葉県 90, 748 103. 3 18 29, 354 24. 3 43 132, 075 59. 9 45 岐阜県 90, 152 102. 7 19 83, 816 69. 4 31 188, 385 85. 5 30 広島県 89, 824 102. 3 20 66, 945 55. 5 36 170, 981 77. 6 38 兵庫県 88, 852 101. 2 21 55, 853 46. 3 40 157, 635 71. 5 40 青森県 87, 860 100. 0 22 174, 118 144. 2 7 276, 395 125. 4 8 長野県 87, 128 99. 2 23 105, 256 87. 2 29 207, 172 94. 0 28 新潟県 86, 916 99. 0 24 123, 534 102. 3 21 225, 443 102. 3 22 埼玉県 86, 892 98. 9 25 28, 528 23. 6 44 127, 561 57. 9 46 山口県 86, 209 98. 2 26 121, 675 100. 8 23 222, 577 101. 0 25 京都府 86, 112 98. 1 27 65, 917 54. 6 37 165, 774 75. 2 39 徳島県 86, 089 98. 0 28 194, 648 161. 2 5 295, 465 134. 0 5 北海道 85, 227 97. 0 29 128, 324 106. 3 20 228, 768 103. 8 21 岡山県 84, 721 96. 5 30 87, 078 72. 1 30 185, 904 84. 3 33 福岡県 84, 235 95. 9 31 57, 328 47. 5 39 154, 926 70. 3 42 岩手県 81, 601 92. 9 32 245, 379 203. 3 2 342, 429 155. 3 2 佐賀県 80, 470 91. 6 33 171, 488 142. 0 8 266, 216 120. 8 10 山形県 79, 084 90. 1 34 163, 782 135. 7 12 258, 446 117. 2 13 愛媛県 78, 173 89. 0 35 118, 830 98. 4 25 211, 487 95. 9 26 大分県 76, 959 87. 6 36 148, 070 122. 6 19 239, 932 108. 8 17 島根県 76, 746 87. 4 37 260, 051 215. 4 1 353, 418 160. 3 1 鳥取県 75, 137 85. 6 38 233, 313 193. 3 3 324, 197 147. 1 3 和歌山県 73, 761 84. 0 39 165, 215 136. 8 11 252, 996 114. 8 14 奈良県 73, 425 83. 6 40 106, 824 88. 5 28 192, 522 87. 3 29 秋田県 72, 723 82. 8 41 189, 076 156. 6 6 277, 201 125. 7 7 宮崎県 72, 120 82. 1 42 165, 783 137. 3 9 252, 435 114. 5 15 熊本県 71, 905 81. 9 43 122, 695 101. 6 22 208, 174 94. 4 27 鹿児島県 69, 343 79. 0 44 163, 443 135. 4 13 247, 254 112. 2 16 高知県 68, 814 78. 4 45 232, 432 192. 5 4 316, 642 143. 6 4 長崎県 67, 134 76. 4 46 157, 467 130. 4 15 238, 141 108. 0 18 沖縄県 62, 102 70. 7 47 150, 199 124. 4 18 224, 196 101. 7 23 全国平均 87, 820 120, 727 220, 439 注: 東京都の地方税に は、 都が徴収す る 市町村税相当額を 含ま な い 。 出所: 総務省『 平成2 6 年版 地方財政白書』 よ り 作成。 地方税 地方交付税 一般財源地方交付税の仕組み(1)
地方交付税は、基準財政需要額が基準財政収入額を超過する地方自治体に対して交付される。
基準財政需要額:地方自治体が標準的な行政を実施するために必要な一般財源の額。各行政項目における「単位費用×
測定単位×補正計数」の合計額として求められる。
単位費用:「標準団体」が「合理的かつ妥当な水準」で行政を実施するために必要な一般財源の額を、測定単位一単位あたりで示
したもの。
標準団体:都道府県の場合は170万人、市町村の場合は10万人を想定。
測定単位:各行政項目でその量を測る単位(スライド5)。
補正計数:各地方自治体が直面する自然的・地理的・社会的条件を財政需要に反映させるために用いられる数値(スライド6)。
基準財政収入額:法定普通税を中心とする標準的な地方税収入額の75%に、地方譲与税を加えた額。
地方税収入額の算定にあたっては、標準税率を適用していると想定し、法定外税を課税していたとしても、その税収は考慮しない。
そのため、超過課税を実施したり、法定外税を課税していたとしても、それによって地方交付税は減額されない。
75%の残りの25%は留保財源として、その使途は各地方自治体に委ねられる。
地方自治体に自主性・独立性を保障するとともに、地方税の税源涵養に対する意欲を失わせないようにするため。
個別の地方自治体に地方交付税を交付することは「ミクロの財源保障」と呼ばれる。
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地方交付税の仕組み(2)
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算定項目と 測定単位( 2 0 1 2 年度) 【 道府県分】 【 市町村分】 1 個別算定経費 1 個別算定経費 測定単位 測定単位 警察職員数 人口 道路の面積 道路の面積 道路の延長 道路の延長 河川費 河川の延長 係留施設の延長( 港湾) 係留施設の延長( 港湾) 外廓施設の延長( 港湾) 外廓施設の延長( 港湾) 係留施設の延長( 漁港) 係留施設の延長( 漁港) 外廓施設の延長( 漁港) 外廓施設の延長( 漁港) 都市計画費 都市計画区域に お け る 人口 そ の他の土木費 人口 人口 小学校費 教職員数 都市公園の面積 中学校費 教職員数 下水道費 人口 教職員数 そ の他の土木費 人口 生徒数 児童数 教職員数 学級数 学級数 学校数 人口 生徒数 公立大学等学生数 学級数 私立学校等生徒数 学校数 生活保護費 町村部人口 教職員数 社会福祉費 人口 生徒数 衛生費 人口 人口 6 5 歳以上人口 幼稚園の幼児数 7 5 歳以上人口 生活保護費 市部人口 労働費 人口 社会福祉費 人口 農業行政費 農家数 保健衛生費 人口 公有以外の林野の面積 6 5 歳以上人口 公有林野の面積 7 5 歳以上人口 水産行政費 水産業者数 清掃費 人口 商工行政費 人口 農業行政費 農家数 徴税費 世帯数 林野水産行政費 林業及び 水産業の従業者数 恩給費 恩給受給権者数 商工行政費 人口 地域振興費 人口 徴税費 世帯数 人口 戸籍数 世帯数 人口 面積 人口 2 包括算定経費 2 包括算定経費 出所: 総務省資料。 面積 人口 面積 総 務 費 地域振興費 地域経済・ 雇用対策費 測定単位 測定単位 人口 中学校費 高等学校費 教 育 費 そ の他の教育費 高齢者保健福祉費 厚 生 費 産 業費経 済 戸籍住民基本台帳費 地域経済・ 雇用対策費 項目 消防費 道路橋り ょ う 費 港湾費 公園費 土 木 費 小学校費 厚 生 労 働 費 高齢者保健福祉費 林野行政費 産 業 経 済 費 総 務 費 道路橋り ょ う 費 土 木 費 港湾費 高等学校費 特別支援学校費 教 育 費 そ の他の教育費 警察費 項目地方交付税の仕組み(3)
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補正の種類(2011年度) 種類 内容 種別補正 段階補正 密度補正 態容補正 ① 普通態様補正 ア 行政質量差によるもの a 都市化の度合いによるもの b 隔遠の度合いによるもの c 農林業地域の度合いによるもの イ 給与差によるもの ウ 行政権能差によるもの ② 経常態様補正 ③ 投資態容補正 ア 投資補正 イ 事業費補正 寒冷補正 寒冷・積雪地域における特別の増加経費を算定するもの。 数値急増補正 ① 数値急増補正 数値急減補正 ② 数値急減補正 合併補正 財政力補正 出所:総務省資料を一部簡略化。 地方債の元利償還金を算入する際にその団体の標準財政収入額に対する比率が大きい団体ほど算入率を引き上げ る。 人口が増加すれば行政経費は増加するし、また、人口が急増する場合には、社会福祉施設等を早急に整備しなけれ ばならない。こうした数値急増による増加財政需要を反映するのが、数値急増補正である。 人口や農家数等が急激に減少しても、行政規模は一挙に減らせないこと、また、人口が急変する市町村は、人口変 動が小さい市町村に比べて行政経費が割高になる状況があるので、これを反映するための補正である。 2006年4月2日以降2010年3月31日までに合併した市町村に対して適用されるもの。合併直後に必要となる行政の 一体化に要する経費及び行政水準・住民負担水準の格差是正に要する経費及び合併により臨時的に増加する経費 を措置するため、合併市町村の人口規模、合併関係市町村数の数等を指標として、合併直後に必要となる経費等を 割増算入するための補正である。 人口密度等の大小に応じて、行政経費が割高、割安になる状況を反映させるための補正。人口規模が同じであって も、人口密度が希薄になるに従い(面積が大きくなるに従い)、交通などの関係で行政経費が割高になる。また、人 口密度以外にも道路の面積当たりの自動車交通量の多少(これが密度)で、道路の維持補修費が多く必要となる。 このような「密度」のほかに、特定の経費を実態に応じて基準財政需要額に算入するために、その経費の多少を示す 指標を「密度」として、補正を行っているものもある。 地方団体の都市化の程度、法令上の行政権能、公共施設の整備状況等、地方団体の「態容」に応じて、財政需要が 異なる状況を算定に反映しようとする補正である。 測定単位に種別があり、種別ごとに単位当たり費用に差があるものについて、その種別ごとの単位当たり費用の差 に応じ当該測定単位の数値を補正するもの。 人口なり面積なり、地方団体の測定単位が増加(減少)するに従い、行政経費は増加(減少)するが、人口(測定単 位)が2倍になったからといって、経費が2倍になるとは限らない。地方団体は、その規模の大小にかかわらず、一定 の組織を持つ必要があり、また、行政事務は一般的に「規模の経済」、いわゆるスケールメリットが働き、規模が大き くなる程、測定単位当たりの経費が割安になる傾向がある。この経費の差を反映させているのが、段階補正である。地方交付税の仕組み(4)
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基準財政需要額 100億円
基準財政
需要額
基準財政
収入額
普通交付税
40億円
基準財政収入額 60億円
留保財源
20億円
120億円
標準税収入 80億円
普通交付税の仕組み
出所:総務省資料。
地方財政計画と地方交付税(1)
地方財政計画:翌年度におけるすべての地方自治体の歳入・歳出総額の見込み額。
地方交付税法に基づき作成され、国会に提出される。
地方交付税の総額は、地方財政計画の歳入と歳出が一致するように決定される。
地方交付税は、国の交付税及び譲与税配付金特別会計(通称:交付税特別会計)を通じてやりくりがなされる(スライ
ド9)。
「出口ベース」と「入口ベース」からなる。
国税の一定割合(法定5税分)と、地方財政計画の歳入と歳出を一致させるのに必要な地方交付税の額が一致するとは
限らない。
前者が後者を下回る場合、「財源不足が生じている」と言われる。
財源不足を解消するために、一般会計において特例加算が行われる。
かつては専ら交付税特別会計の借入れによって財源不足の解消が図られてきたが、借入残高が膨大になったために、2003年度以降
は一般会計における特例加算と、地方自治体が発行する臨時財政対策債(赤字地方債の一種)によって解消が図られている(地方
財政対策)。
地方交付税法では、著しい財源不足が生じた場合は、地方行財政制度の改正か交付税率の引上げを行うこととされている。
地方財政計画を通じて地方財政全体の歳入と歳出を一致させることは「マクロの財源保障」と呼ばれる。
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地方財政計画と地方交付税(2)
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出所:総務省資料。