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b) ウニ堆肥の利活用の検討ア ) ウニ類の堆肥化 2011 年 5 月に採取された大分産のガンガゼ (Diadema setosum) 北海道産のキタムラサキウニ (Strongylocentrotus nudas) および鹿児島産のムラサキウニ (Anthocidaris crassispina

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Academic year: 2021

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Ⅰ 調査課題名 食害対策などで発生した未利用資源の有効利用開発(ウニ、イスズミ) Ⅱ 実施機関及び担当者名 (社)水産土木建設技術センター 安藤 亘 Ⅲ 調査概要 磯焼け海域で除去されるウニの堆肥化などの有効利用から、ほとんど流通していない植食性魚類やガ ンガゼの消費普及の方策、および製品化について検討した。 これまで、ウニについては、ウニ堆肥づくり、ウニ堆肥の有効成分、ウニ堆肥を農地に還元する場合の 関係法規の整理が行われてきた。今年度は、環境生態系保全活動でウニ除去を行っている組織にウニ堆肥づく りのモデル地区を設定し、堆肥づくりを進める際の問題点を整理する。また、併せて、微量元素の含有が 牛糞堆肥に高いことに注目し、園芸・作物等を栽培から他の利用開発について検討する。本調査は、北さつま 漁業協同組合、阿久根市、高山漁業協同組合、肝付町、大分県漁協名護屋支店、東しゃこたん漁業協同組合、 宇都宮大学などの協力を得て実施した。 植食性魚類については、肉質の成分分析や試食会などの開催により、各地の漁業者が利用に期待されて いる。本調査では、さらにアミノ酸成分に特徴的なイスズミに注目し、病院食や給食の料理を検討した。 調査にあたっては、笠沙町漁業協同組合、日高水産加工、鹿児島県、薩摩川内市、鹿児島純心女子大学、 郷ノ浦町漁業協同組合などの協力を得て実施した。 Ⅳ 調査内容 1)空ウニ a)ウニ堆肥づくりの実践 鹿児島県の阿久根市と高山漁協、鹿児島純心女子大学でウニ堆肥づくりを実践してもらった。成 分分析結果は表 1 のとおり。 表 1.各地のウニ堆肥の分析結果 項目/タイプ 阿久根① ウ ニ + 廃 お が く ず + 米 ぬか 阿久根② ウニ+米ぬか+竹粉 純心女子大 ウニ+もみがら+米ぬ か+藁 水分 41.2% 30.4% 48.8 灰分 15.4% 58.9% 66.4 pH 8.6 7.9 8.2 EC 1.9 2.7 2.6 窒素全量 0.8% 0.8% 1.3% リン酸全量 1.3% 0.8% 4.8% カリ全量 0.8% 0.5% 0.7% 石灰全量 7.7% 30.7% 32.7% 苦土全量 1.1% 2.9% 4.6% C/N 比 55.2 31.7 14.1

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b)ウニ堆肥の利活用の検討 ア)ウニ類の堆肥化

2011 年 5 月に採取された大分産のガンガゼ(Diadema setosum)、北海道産のキタムラサキウニ (Strongylocentrotus nudas)および鹿児島産のムラサキウニ(Anthocidaris crassispina)を堆 肥の原料とした。各ウニ類 1 kg に対して市販の腐葉土 30 L のみを加えた区(ウニ類+腐葉土)、腐 葉土にオカラ 500 g を添加した区(ウニ類+腐葉土+オカラ)、腐葉土と市販の納豆 45 g を 500 mL の水に混和して添加した区(ウニ類+腐葉土+納豆)および腐葉土、オカラ、納豆を加えた区(ウ ニ類+腐葉土+オカラ+納豆)を設けた。これらを十分に混和した後に 40 L のポリエチレン容器に 入れ、20 日に 1 度の割合で混和しながら蓋をして室外に 120 日間置いた。その後、1 cm×1 cm のふ るいで堆肥中の残さを取り除き、堆肥の分析と栽培試験に用いた。 イ)堆肥の分析 各堆肥の全窒素、全リンおよび全カリウムは、それぞれ肥料分析法 4.1.1、4.2 および 4.3 に従い、 C/N 比は CN コーダー法によって行い、民間の分析機関に委託した。また、pH(H2O)は堆肥:蒸留水 を 1:5 の割合で混和し、ガラス電極法(HORIBA pH meter F-12, 電極 6377-10D)により測定した。 ウ)コマツナの栽培 市販の芝の目土(赤土)と堆肥を体積比で 1:1 に混和したものを、内径 6 cm、高さ 12 cm のプ ラスチックポットに充填した。次いで、コマツナ(Brassica campestris L. var komatsuna Rakuten) 種子を 1 鉢あたり 30 粒となるように播種した。播種 7 日後にコマツナの発芽率を調査するとともに、 生育の揃った幼苗を 10 個体/鉢に整えた。その後、潅水をしながらガラス温室内で育成し、播種 30 日間後に、葉数、最大葉幅、最大葉身長、茎葉新鮮重および根新鮮重を測定した後に、茎葉と根を 70℃で 3 日間乾燥させたのちに乾燥重を調査した。また、根新鮮重および根乾燥重は個体ごとに回 収することが困難であったことから、ポットあたりの重量を求めた後、栽培本数で除して個体当り の重さに換算した。試験は 3 反復で行った。 エ)シバの栽培 市販の芝の目土(赤土)と堆肥を体積比で 1:1 に混和したものを、内径 6 cm、高さ 12 cm のプラ スチックポットに充填した。次いで、直径 10 cm、高さ 4 cm の円状にくり抜いたコウライシバ(Zoysia matrella Merr.)を 1 鉢あたり 1 つ移植した。その後、潅水をしながらガラス温室内で育成し、移 植から 45 日間後に目視によって茎葉の成長量を調査した。また、調査後も栽培を継続し、適時、成 長を観察した。 オ)結果および考察 本試験に供試したウニ類は、試験開始時において悪臭を発生していたが、120 日経過後には匂いの 発生は完全に無くなり、ウニ殻の大半が分解されていた。  ハエ等の害虫の発生も認められなかった。  ガンガゼ、キタムラサキウニおよびムラサキウニを原料とした堆肥成分は表 2 のとおり。

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表 2. ウニ類を原料とした堆肥の肥料成分  キタムラサキウニ堆肥の全リンの割合はガンガゼやムラサキウニ堆肥の約半分程度と少ない  成分の割合については、ウニの種類および採取場所によって異なる可能性が高い  また、ウニ堆肥は、鶏ふん堆肥のカリウム量の平均値の約 12 分の 1 程度であった。  リンに関しても、ウニ堆肥の平均値は 8.1 g kg-1と家畜の堆肥より低い値であった。  ウニ堆肥を農地に施肥する場合、作物によってはリンやカリウム量を補う必要がある。  ウニ殻にはマグネシウムおよびカルシウムなどが豊富に含まれていることから、微量元素の供 給に適していると考えられる。  コマツナの成長に及ぼすウニ堆肥の影響では、いずれも対照区(芝の目土のみ)の値を上回っ た。  成長促進の効果に C/N 比の影響が窺えた。 ※一般に、施用される有機物の C/N 比が 20 以上となる場合、土壌中の無機態窒素が微生物に利用されるために 作物が窒素飢餓となり、C/N 比が 10 以下の場合には無機態窒素が有機物から速やかに放出される(藤原ら 1998)。  発芽率には処理区間に有意差が認められなかったことから、ウニ堆肥はコマツナの発芽を阻害 しないことが示唆された。  ウニ堆肥の施用がコウライシバの成長に及ぼす影響については、試験を開始した時期が 2011 年 11 月 1 日と比較的冬に近い時期であったため、コマツナのように明確な成長促進効果は認めら れなかった。また、移植から 90 日後の観察では、匍匐茎の伸長が確認されており、ウニ堆肥は コウライシバの成長を抑制しないことが示された。  ウニ類の分解促進を目的に、オカラや納豆を加えた区を設けたが、堆肥成分やコマツナの成長 に及ぼすオカラと納豆の添加の影響は明確ではなく、腐葉土の混和だけでもウニ類を十分に堆 肥化できることが明らかになった。 試験区 pH(H2O) 全窒素(%)全リン(%) 全カリウム(%) C/N比 ガンガゼ+腐葉土 6.93 1.60 0.96 0.35 15.1 ガンガゼ+腐葉土+オカラ 6.78 1.70 1.00 0.26 14.9 ガンガゼ+腐葉土+納豆 6.65 1.60 0.97 0.20 14.8 ガンガゼ+腐葉土+納豆+オカラ 6.93 1.70 0.98 0.36 14.0 キタムラサキウニ+腐葉土 6.41 2.10 0.55 0.22 17.9 キタムラサキウニ+腐葉土+オカラ 6.68 1.70 0.46 0.22 22.8 キタムラサキウニ+腐葉土+納豆 6.42 2.10 0.58 0.23 17.4 キタムラサキウニ+腐葉土+納豆+オカラ 6.95 1.70 0.52 0.23 21.8 ムラサキウニ+腐葉土 6.66 1.70 0.8 0.34 15.7 ムラサキウニ+腐葉土+オカラ 6.91 1.70 0.97 0.42 15.4 ムラサキウニ+腐葉土+納豆 7.18 1.70 0.91 0.36 15.4 ムラサキウニ+腐葉土+納豆+オカラ 6.77 1.70 0.98 0.39 14.9 平均 6.77 1.75 0.81 0.30 16.7

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写真 1.ウニ殻堆肥がコマツナの成長に及ぼす影響 カ)今後の課題 今後は、ウニ類の種類を考慮した上で、腐葉土、オカラなどの添加物の配合割合を詳細に検討が 必要である。また、ウニ類の除去から堆肥化および利用までの一連の流れを含めた新たなシステム を構築することも重要である。 キタムラサキウニ(北海道) ガンガゼ(大分県) ムラサキウニ(鹿児島県)

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2)イスズミ a)イスズミの成分を活かした料理の検討 ア) 研究方法 試料のイスズミは、甑島漁協で急速冷凍保存のものを解凍して用いた。イスズミを捌き,5 枚卸し にした後、適した下処理法を探るために①下処理なし,②酒,③黒酒(鹿児島の地酒で灰汁持ち酒 ともいう)④こしき海洋深層水硬度 1100 ⑤お茶の滲出液 ⑥生姜汁 を試料にふりかけ、または 浸漬して臭いの軽減について官能評価を行い比較検討した。調理法は ①蒸し物、②焼き物(バタ ー焼き,塩焼き,みそ焼き,柚庵焼き)の 4 種類,揚げ物としてしょうゆベースの竜田揚げと塩ベ ースの唐揚げの計 7 種類である。 官能評価は,本学看護栄養学部健康栄養学科 2 年生 5 名で順位法を用い,1 位 6 点、2 位 5 点,3 位 4 点,4 位 3 点,5 位 2 点,6 位 1 点として点数化した。 イ)結果および考察  イスズミの可食部は 35%程度と小さかった。  臭いの軽減方法については、下処理で行った薄目のお茶の滲出液が最も高評価で、次に生姜汁、 酒、黒酒の順であった。海洋深層水は、臭いは軽減するものの身が締まって硬くなり、好まし い評価は得られなかった。  イスズミ独特の臭みに対して個人差が大きく、蒸し料理はパサつき感があり、ポン酢などのか んきつ系かけ酢を使用すると食しやすくなるが評価は低かった。焼き物ではみそや柚子などに はかなりの消臭効果が見られるが、脂肪分が少ないためにパサつき感があり、視覚に訴えるお いしさの評価は低かった。 図 1. イスズミの下処理における調理法別評価(n=5) 0 5 10 15 20 25 30 蒸 し 料 理 バ ター 焼 き 塩 焼 き 味 噌 焼 き 幽 庵 焼 き 竜 田 揚 げ( 醤 油 ベー ス) 空 揚 げ( 塩 ベー ス) 点 数 なし 酒 黒酒 深層水 お茶浸出液 生姜汁 1 位 6 点 2 位 5 点 3 位 4 点 4 位 3 点 5 位 2 点 6 位 1 点

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 病院での利用を考えて蒸し料理と焼き物料理を試作し検討したが、上記のことを考えると患者 には不向きな食材と考えられる。一方、学校給食や事業所、産業給食であれば、評価の高かっ た薄目のお茶の滲出液にイスズミのフィレを 10 分~30 分程度浸漬して用い調理すればよい食 材と考えられる。 イスズミのフライ 325kcal ~トマトソース添え~ 322kcal ~タルタルソース添え~ 361kcal イスズミのレモンあんかけ 306kcal イスズミの竜田揚げ 295kcal イスズミのマリネ風 274kcal イスズミの甘酢あんかけ 276kcal イスズミの味噌焼き 210kcal イスズミの幽庵焼き 216kcal 献 立 例 図 2. 学校給食や事業所、産業給食へのイスズミを使った提案メニュー

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b)試食会の実施(平成 23 年 9 月 14 日、壱岐郷ノ浦漁協会議室) 参加者 20 名程度(漁業関係者、壱岐振興局、壱岐市、旅館・ホテル関係者)

62%

38%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代

年齢構成

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

職業構成

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

イスズミの竜田揚げ

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0%

イスズミの竜田揚げのおいしい理由

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% イスズミのマリネ 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

イスズミのマリネのおいしい理由

表 2. ウニ類を原料とした堆肥の肥料成分    キタムラサキウニ堆肥の全リンの割合はガンガゼやムラサキウニ堆肥の約半分程度と少ない    成分の割合については、ウニの種類および採取場所によって異なる可能性が高い    また、ウニ堆肥は、鶏ふん堆肥のカリウム量の平均値の約 12 分の 1 程度であった。    リンに関しても、ウニ堆肥の平均値は 8.1 g kg -1 と家畜の堆肥より低い値であった。    ウニ堆肥を農地に施肥する場合、作物によってはリンやカリウム量を補う必要がある。   ウニ

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