• 検索結果がありません。

可能となる VBA のプログラムを作成するには知識が必要なので, 生徒が作成するのは現実的でないが, これも教師があらかじめ作成したものを配布すればよいと言える 以上挙げてきた 目的 と 方法 を組み合わせ, 授業のスタイルを考えることが必要と考えられ る 2 研究の方法 Excel は色々な利用の

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "可能となる VBA のプログラムを作成するには知識が必要なので, 生徒が作成するのは現実的でないが, これも教師があらかじめ作成したものを配布すればよいと言える 以上挙げてきた 目的 と 方法 を組み合わせ, 授業のスタイルを考えることが必要と考えられ る 2 研究の方法 Excel は色々な利用の"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Excel を利用した日常生活を題材としたシミュレーション教材の開発

Development of simulation teaching materials focusing on daily life by using Excel

渡部清 WATABE, Shin 愛知教育大学大学院

Graduate School,Aichi University of Education

[要約]学校で学ぶ算数・数学が日常生活でどのよ うに活用されているのか、自分の将来の職業にど のように役立つのかといったことが具体的にイ メージすることができないため、学ぶ意欲がわか ないという子どもが多くいることが近年言われ るようになり,算数・数学を日常生活の問題解決 に利用する力を重視するといった傾向が近年見 られるようになった。 数学は,現実場面では金融計算,統計,シミュ レーション,物理などの他教科など,幅広く利用 されている。しかし,現実に扱われる数値には, 計算が非常に困難なものが多く存在し,数学の授 業で扱う問題としては不都合が生じるケースが 多い。 そこで,コンピュータの利用により,手計算で は扱えないような数の世界を子ども達に体感さ せようと考えた。本研究では,表計算ソフトであ る Excel を利用して,そのような日常生活にかか わる数学を体感させることを目指す教材を開発 していき,手計算では味わえないような数学の世 界に触れることができるものを作成することが できた。

[キーワード]Excel,シミュレーション,Visual Basic Application,乱数 1 研究の目的 本研究では,日常生活に関するコンピュータを 利 用 し た 教 材 の 開 発 に 当 た っ て ,「 Microsoft Excel」(以下 Excel)を利用することとした。そこ で,本研究では主に「Excel を使う目的と方法の 分類」と,「Excel を利用した教材開発」というと ころに焦点を当てることにする。 なぜ Excel を用いるかに関しては,Excel は一 般的によく用いられる表計算ソフトであり,生徒 達にとっても,学校の情報の授業や家のパソコン で扱う機会が多い,身近なアプリケーションと言 えるからである。簡単な表計算やシミュレーショ ンなら,生徒が自らワークシートを作成すること も可能であると考えられる。ほぼすべてのパソコ ンに入っているので,インストールの必要がなく, 教育の情報化が進んだ現代においては,コンピュ ータ室に移動すれば 1 人 1 台利用することが可能 である。 Excel が利用しやすい点としては,数式さえ入 力していれば,セルに数値を入力したりドラッグ するだけで計算ができたりする点が挙げられる。 数値が膨大であったり複雑であったりする場合 でも,即座に計算値を表示してくれるので,困難 な計算に費やす時間を大幅に短縮することが可 能である。また,複雑なワークシート関数を要す る場合でも,あらかじめ教師がそれを入力した状 態のワークシートを用意しておけば,問題なく扱 うことができる。 また,Excel には,ワークシート上とは別に, プログラムにより関数などを利用する,Visual Basic Application(以下 VBA)という機能がある。 VBA を利用することによって,Excel の利用の幅 は大きく広がる。Excel をワークシート上の関数 で利用する場合と,VBA を利用する場合とでは, 様々な点で異なる。特に,乱数を扱う場合は,VBA を利用した方が格段に扱いやすくなる。このこと により,乱数を用いることによって何千何万と試 行を繰り返すシミュレーションを行なうことが 科教研報 Vol.22 No.4

(2)

可能となる。VBA のプログラムを作成するには知 識が必要なので,生徒が作成するのは現実的でな いが,これも教師があらかじめ作成したものを配 布すればよいと言える。 2 研究の方法 Excel は色々な利用の仕方が考えられる。そこ で,これまでに作成してきた Excel シートに関し て,Excel を利用する「目的」と「方法」を分類 することにした。 まず「目的」であるが,大前提として,「日常 生活における問題と算数・数学の結びつきを体感 させる」というものがある。そこから,より具体 的に目的を以下の 4 つに分類した。 Ⅰ.身近な問題 身の回りの生活に関する題材を扱い,自分達の 生活に扱われている数学を実感するとともに,自 分達の生活に役立てることをねらう。 Ⅱ.乱数シミュレーション 乱数で得た数値データを利用して,シミュレー ション活動を行う。 Ⅲ.数学実験 様々な数学の事柄を,Excel に計算させること によって体験させる。 Ⅳ.実験結果をまとめる 実験などのデータを Excel でまとめ,自然界に ひそむ数学を発見させる。 さらに,Excel を使う「方法」として,以下の 3 つに分類した。 ⅰ.数値を入力する 教師側が作成した Excel のワークシートを配布 し,生徒がセルに数値を入力することにより活動 する。 ⅱ.数式を入力する 生徒達が自分達で数式を Excel に入力して活動 する。 ⅲ.ワークシートを作成する 生徒達が自分達で Excel のワークシートを作成 して活動する。 以上挙げてきた「目的」と「方法」を組み合わせ, 授業のスタイルを考えることが必要と考えられ る。 図 2-1 「目的」と「方法」 本研究では,作成した Excel 教材に関して,こ のような分類をしながら,授業の目的に即したワ ークシートを考えていく。 本稿で,目的Ⅱの乱数シミュレーション,方法 ⅰの数値入力(図 2-1 においてのⅡ-ⅰ)の形式 に焦点を当てて,紙と鉛筆で行なう授業と比べ, Excel を利用する授業とでは,どのようなことが 変わるか,どのようなことができるようになるか を検証していく。 3 研究の結果・考察 (ⅰ)「誕生日」を題材とした Excel 教材 確率を学習する内容として,次のような話題が ある。 「1 クラス 40 人のクラスがあったとする。この 40 人の中に,誕生日が同じである人がいるか,い ないか?」 自分と誕生日が同じである人はあまり見かけ ることがないので,クラスの中に誕生日が同じ人 がいる確率は低いのではないかと思われる。しか し,実際に 40 人の誕生日を確認すると,誕生日 が同じペアがかなり高い確率で見つかる。確率を 実際に計算すると,40 人いれば約 89%の確率で 誕生日が同じペアが出てくるということが分か る。 40 人クラスに同じ誕生日のペアがいる確率は,

(3)

余事象を利用して,

)

365

326

...

365

363

365

364

365

365

(

1

×

×

×

×

となる。しかし,この値を計算するには,手計算 では困難である。紙と鉛筆で授業を行なう際には, この余事象を利用した式を立てるところまでし かできないと考えられる。 それでは,テクノロジーを利用することによっ て,この誕生日の話題に関し,どのような点が紙 と鉛筆のみの授業と変わるのか,どのようなこと が学習可能になるのかを,明らかにしていく。 テクノロジーを利用して授業を行なうと,まず はどの程度の割合で同じ誕生日のペアが出るか をシミュレーションすることが可能となる。自分 達のクラスで同じ誕生日のペアがいるか確認す ることもできるが,1 クラス分だけではたまたま いただけかもしれないと子ども達は思うだろう。 高い割合で同じ誕生日のペアが出てくることを 実感するためには,多くのサンプルが必要である。 そこで,Excel を利用してシミュレーション用の ワークシートを作成した。 図 3-1 Excel ワークシート「誕生日」 図 3-1 は,Excel ワークシート「誕生日」であ る。右上の「誕生日表示」というボタンをクリッ クすると,左のセルに 40 人分の誕生日がランダ ムに表示される。この中から同じ誕生日のペアを 探し出すわけであるが,このままでは誕生日がバ ラバラに並んでいるので大変である。そこで,「並 び替え」ボタンを作成した。これをクリックする と,表示された誕生日が日付順に並び変わる。こ れにより,図 3-2 のように同じ誕生日のペアが 探しやすくなった。 図 3-2 並び替え機能 次に,試行回数を増やすため,図 3-3 のよ うなものを作った。 図 3-3 Excel ワークシート「誕生日 ver2」 右上にあるセルに入力されている回数分,シミ ュレーションを繰り返し行なうにした。図 3-3 の場合,100 回分,つまり 100 クラス分の誕生日 を出し,同じ誕生日のペアいたクラスが何クラス あったかを自動的に記録してくれる。 図 3-3 の場合,100 クラス中 89 クラスが,誕 生日が同じペアがいたということになる。この結 果,かなりの割合で同じ誕生日のペアが出てくる ことが実感できる。 この後,この話題に関して発見できることはい くつかある。そこで,誕生日に関してアプローチ 別のバージョンを作成した。 ・誕生日が 3 人かぶる,4 人かぶる場合はあるの か? 誕生日が 2 人でかぶる場合だけでなく,3 人が

(4)

同じ誕生日,4 人が同じ誕生日である場合も考え られる。そのようなクラスはどのくらいの割合で 現れるのだろうか?この確率は計算するのはや はり困難なので,シミュレーションの結果によっ ておおよその確率を求めてみる。 図 3-4 Excel ワークシート「誕生日 ver3」 Excel ワークシート「誕生日 ver3」は,2 人以上 でかぶったペアも記録するようにした。図 3-4 の場合,100 クラス中 2 人で同じ誕生日のペアが いたクラスが 91 クラス,3 人で同じ誕生日のペア がいたクラスが 10 クラス,4 人以上ではいなかっ た。3 人でかぶるペアがいる確率は,およそ 10% であると言えそうである。このおよそ 10%という 数値を求めることは,先ほどの計算で出る 89%と は違い,数式を立てることさえ困難である。Excel を使うことによりこのような数値まで求めるこ とが可能となる。 ・何人目くらいで同じ誕生日のペアが出てくる か? 40 人いればかなりの確率で同じ誕生日のペア がいることは分かったが,何人くらいいれば同じ 誕生日のペアが出てくる可能性が高くなるのか を調べるための Excel ワークシートを作成した。 図 3-5 Excel ワークシート「誕生日 ver4」 Excel ワークシート「誕生日 ver4」は,「1 人増 やす」ボタンをクリックすると,左に 1 人分の誕 生日が追加される。これで 1 人ずつ人数を増やし ていき,同じ誕生日が表示されると,「かぶっ た!」というコメントとともに,かぶった誕生日 に○が表示される。 この Excel ワークシートを使うと,だいたい 20 ~30 人あたりで同じ誕生日が出てくる。このこと は,図 3-6のグラフを見るとよく分かる。 図 3-6 人数と確率のグラフ このグラフは,人数と,同じ誕生日のペアがい る確率を Excel に計算させて示したものである。 このグラフを見ると,20 人あたりで 30%,30 人 あたりで 70%くらいまで確率が上昇しているこ とが分かる。このグラフから,最初確率はほとん ど 0 に近いが,10 人あたりから急激に確率は上昇 していき,40 人あたりで 90%近くまで達し,そ の後上昇はゆるやかになっていき,最後は 1 に収 束していくことが見て分かるであろう。このグラ フがあることにより,40 人いれば高確率で同じ誕 生日のペアが出てくるだけでなく,人数によって どのように確率が変化していくのかも捉えるこ とができるようになる。 述べてきたように,紙と鉛筆だけでは式を立て るまでにとどまるところを,Excel を使うことに よって,何百何千クラス分のシミュレーションに よる確率の検証,3 人以上で誕生日が重複する確 率,人数と確率の関係など,手計算だけでは考え ることができないことに関しても調べることが 可能となった。既存の数学的な話題が,さらに奥

(5)

深いところまで探求することができるようにな る要素が,Excel にはあると言えそうである。 (ⅱ)じゃんけんを題材とした Excel 教材 じゃんけんは人数が増えるとなかなか決着が つかないということは,普段の生活でも体感する ことであろう。では,人数と決着がつく確率はど のような関係があるであろうか?このことを, Excel を用いてシミュレーションしていく。 図 3-7 Excel ワークシート「じゃんけん」 Excel シート「じゃんけん」は,グー,チョキ, パーの手を指定した人数分表示するものである。 人数を増やすと,やはりなかなか決着はつかない。 試行回数を増やすために,一度に何回もじゃんけ んをする機能をつけた Excel ワークシート「じゃ んけん ver2」を作成した。 図 3-8 Excel ワークシート「じゃんけん ver2」 図 3-8 は,5 人でじゃんけんを 1000 回繰り返 した結果である。あいこの割合が,グー,チョキ, パーで決着がつく割合よりはるかに多いことが 分かる。さらに人数を増やすと,ほとんどあいこ になってしまう。 図 3-9 10 人でじゃんけん このように,人数が少し増えると,あいこにな る確率は急激に増えることがわかる。 それでは,回数を重ねることによって,グーチ ョキパーで勝つ確率,あいこになる確率はどのよ うに収束していくのかを見るために,グラフを作 成することにした。 図 3-10 確率のグラフ 図 3-10 のグラフは,5 人で 1000 回じゃんけ んしたときのものである。グラフの 1 番上のもの があいこになる確率で,下に密集しているのがグ ー,チョキ,パーでそれぞれ勝つ確率である。最 初はグラフが不安定であるが,回数を重ねるごと に一定の値に収束していくことが分かる。人数を もっと増やすと,あいこのグラフとグーチョキパ ーのグラフの間が離れていき,あいこは 1,グー チョキパーは 0 に近づいていく。 今度は,決着がつくまでじゃんけんを繰り返す と,何回目までかかるかをシミュレーションする Excel を作成した。

(6)

図 3-11 Excel ワークシート「じゃんけん ver3」 Excel ワークシート「じゃんけん ver3」は,じ ゃんけんの決着がつくまで試行を繰り返し,決着 がつくまでにかかった回数を表示する。図 3-11 の場合,決着がつくまでに 4 回じゃんけんを行っ たということである。人数の数字を変えることが できるので,今度は 20 人でじゃんけんを決着が つくまで行なってみる。 図 3-12 20 人でじゃんけん 20 人でじゃんけんを行なうと,決着がつくまで 1000 回以上じゃんけんが繰り返し行なわれるこ とが多い。30 人以上に人数を増やすと決着がつか ずに延々とじゃんけんを行ない,Excel がオーバ ーフローを起こしてしまう。このことから,人数 が増えると回数が急激に発散することが予想さ れる。 実際にじゃんけんを行なって,20 人で決着がつ くまでに何回かかるかを実験するとなると,1000 回以上ひたすらじゃんけんを繰り返すことが予 想される。これを実際に実験することは不可能で あるといえるだろう。Excel を利用することによ って,実験不可能なデータをシミュレーションに よっておおよその値を求めることが可能となっ た。 この 1 連のじゃんけんの話題に関し,実際の授 業で行なう際には,人数が増えるとあいこになる 確率が急激に増えることを,シミュレーションに よって得た数値から実感するということをねら いにして行なっていくと良いと思われる。 以上紹介してきたように,手計算では求められ ないような事柄も,Excel を利用することによっ ておおよその確率を求めたり,グラフ化したりす ることができ,手計算では味わえない数学の世界 が体験することができるようになった。 4 今後の課題 本稿では,Excel を利用することによって通常 の授業では体感することができないことを行え ることを検証した結果,よくある数学的な話題に 関して,手計算では扱えないようなところまで探 求することが可能になることが分かった。今後は, より具体的な授業の構想を考え,指導案を作成し, 可能ならば実際に授業を行なっていきたいと思 う。また,本稿では触れなかったその他の Excel シートに関しても,教材研究を行い,授業で扱う 際にはどのようにして利用するのか,どのような ことを子ども達に考えさせたいかをまとめてい きたい。 引用・参考文献 ・長崎栄三(2001),算数・数学と社会・文化の つながり~小・中・高校の算数・数学教育の改善 を目指して~ ・長崎栄三(2003),児童・生徒の算数・数学と 社会をつなげる力に関する発達的研究【改訂版】 ・長崎栄三(2003),高等学校の数学の授業と授 業研究 平成 15 年(2003 年)3 月 ・平成 16 年度文部科学省委嘱研究報告書 「学習内容と日常生活との関連性の研究-学習 内容と日常生活、産業・社会・人間とに関連した 題材の開発-」

参照

関連したドキュメント

突然そのようなところに現れたことに驚いたので す。しかも、密教儀礼であればマンダラ制作儀礼

事業セグメントごとの資本コスト(WACC)を算定するためには、BS を作成後、まず株

このように、このWの姿を捉えることを通して、「子どもが生き、自ら願いを形成し実現しよう

子どもが、例えば、あるものを作りたい、という願いを形成し実現しようとする。子どもは、そ

ヒュームがこのような表現をとるのは当然の ことながら、「人間は理性によって感情を支配

自発的な文の生成の場合には、何らかの方法で numeration formation が 行われて、Lexicon の中の語彙から numeration

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から