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橡早川ゼミ卒業論文 棟安.PDF

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早川ゼミ卒業論文

商学部 4 年 861263 棟安俊文

テーマ:Jリーグのクラブ経営におけるグッズ販売の影響

第1章 はじめに 1998 年、横浜フリューゲルスのクラブの経営不信によりクラブがなくなるという 問題が起こり、世の中にJ リーグクラブチームの経営の危機が知れ渡った。どうした ら、経営が良くなるのか、このまま良くならないのか、私たちのプロジェクトはこう いう思いから始まった。私たちはJ リーグのクラブ経営は放映権、チケット、グッズ の3 つの事業が重要であると考え、メンバー6 人を井上、西林が放映権について、浦 野、涌田がチケット事業について、丸山がサッカーくじについて、そして私がグッズ 事業についてとそれぞれ役割を決めてこれらを中心に調べることにした。 今まで1 回ぐらいはJリーググッズを買ったことがあるでしょうか。しかし、グッ ズ販売のシステムがどうなっているか、どれくらい収益をあげているのかなど、知っ ている人は少ないはずである。そこで、実際、Jリーグのグッズ販売はどのようなシ ステムで行われているのか、どのような問題点があるのかなどを『J リーグの経済学』 や東京ドームで行ったアンケートなどを参考に分析していくことにする。そして、グ ッズ販売はJリーグにどのような影響を与えているのかを追求していきたい。それを 調べることにより、Jリーグのクラブ経営が少しでも良くなる様に改善策を考えてい きたい。 卒業論文の構成は、以下の通りである。 第1章 はじめに ここでは、私たちがこのプロジェクトをはじめた理由、この論文をどのように組み 立てていくかが述べられている。 第2章 J リーググッズ販売システム この章では、Jリーグ開幕から現在に至るまでのグッズ販売の仕方が述べられてい る。 第3章 J リーググッズ販売の現状および問題点 この章では、現在のグッズ収入の割合を述べ、グッズ販売に関しての問題点を列挙 している。 第4章 J リーググッズ販売の現状の打開策 この章では、第3 章で挙げた問題点に関しての改善策を述べている。 第5章 クラブ経営とグッズ販売の影響 この章では、今後の展望やグッズ販売がクラブ経営に及ぼす影響を述べている。 第6章 まとめ この章では、全体のまとめ、この論文に関する良かった点、反省すべき点などを述 べている。

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第2章 Jリーググッズ販売システム 1,ソニーCPの独占契約 1993 年に開幕してから今まで、Jリーグのロゴマークの管理はすべてJリーグが 管理しており、すべて1 社に任せている。そのJリーグのマーチャンダイジング(商 品化権)の独占契約を得たのが、ソニー・クリエイティブ・プロダクツ(ソニーCP) である。 契約の内容を詳しく説明すると、「Jリーグ」および「Jリーグ加盟チーム」の名 称、ロゴマーク、キャラクターその他「Jリーグ」「Jリーグ加盟チーム」を表示す るものに関して、これを使用してつくった商品の製造・販売する権利の独占。これに はサブライセンシー(再許諾権)も含まれている。契約期間は5 年間で、つまり 1993 年から1997 年までで、ソニーCPはJリーグに契約金を年間 3 億円支払うというこ とである。 サブライセンシーとは、Jリーグのロゴマークがついたり,チームのキャラクター やロゴがついた製品をつくったり売ったりしたい企業は、全てソニーCPと契約を結 ばなければならず、その際にはソニーCPに 3 から 10%のライセンスフィーを支払 わなければいけないというもの。つまり、ソニーCPが直接つくったり、売ったりし なくても、Jリーグに関連した商品が売れた場合には自動的にフィーが入ってくると いう仕組みである。 ここで、J リーグ開幕当初、収入として推定されていた額を述べておこう。ソニー CP との契約金が年間 3 億円、それにキャラクターグッズが売れるたびに、3 パーセ ント程度のロイヤリティフィーが入り、またソニーCP がライセンスを与えている J リーググッズの売上げの10 パーセント程度が、同社にロイヤリティーとして入って くる。これが、キャラクターグッズがの売上げが300 億円、その他 J リーググッズの 売上げが300 億円(J リーグに入ってくるのは0.3パーセント)を超えると予想さ れており、合計は約 13 億 9000 万円と推定されていた。実際の数値はあとで、グラ フや表にある通り、J リーグの配分金の商品化権料が約 2 億 5 千万でクラグ数が 10 チームなので、約 25 億円と考えられる。よって、これもあとで説明するが、ユニフ ォームなどの契約料などをたしても推定されていた額を大幅に上回っていたことは 間違いない。 最後に少しだけ、ソニーCPを紹介しておこう。1978 年にソニーの 100%の子会 社として生まれ,一般的にキャラクターグッズを製作販売している会社である。有名 なキャラクターグッズとしては,「セサミストリート」、「うちのタマしりませんか」、 「いまどきのこども」、「きかんしゃトーマス」など、主に子供と若い女性を対象にし たものを開発している。 (『J リーグの経済学』生方幸夫 朝日新聞社 1994 年発行 pp,105∼106、 pp,118∼121 から参考) このように、1 社に任せることによって、グッズのイメージを統一することができ、 またサブライセンシーを与えることによって、J リーグに自動的にフィーが入ってく る点にメリットがあると考えられる。これが、JリーグがソニーCPと独占契約した 理由である。 2,ソニーCPの販売戦略;CATEGORY −1 ソニーCP は 92 年 10 月1日に J リーグのオフィシャルショップ「CATEGORY− 1」第1号店を神戸ハーバーランドにオープンし、5日間で1000 万円を売り上げる

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という早業をやってのけた。CATEGORY−1とは、ヨーロッパのサッカー場での特 等席を意味しており、本場のサッカーを研究しつくしたグッズが人気を呼び、開店前 から数百人が並ぶという、J リーグ人気の先駆け現象を生んだ。ソニーCP では、そ の後もCATEGORY−1の出店を積極的に行い、93 年開幕までには 100 店舗を作り 上げた。またこれ以外にも、デパートなどにJ リーググッズを扱うコーナーであるオ フィシャルショップを100 店舗つくった。 (同上 pp,122∼123) 戦略として、いろいろな地域に店を出すということは良い考えであると思うが、人 気が落ちるにつれて店が少なくなってしまい、結局今はなくなってしまっていてる。 この原因として考えられることは、J リーグの開幕当初だけの人気、ブームに頼って しまい、改善策をすぐに考えなかったからではないかと考えられる。 3,FLAGS TOWN 先ほど述べたCATEGORY−1に代わり、世界の直輸入サッカーグッズを取り扱う 「カンピオーネ」でおなじみの「ワールドスポーツプラザ」が日本代表と J1、J2 合わせた計26 チームの J リーグオフィシャルショップとして「フラッグスタウン」 を初オープンさせた。それは昨年99 年3月5日、J リーグの開幕前日のことで、渋 谷明治通りにメインショップとなる「ワ−ルドスポーツプラザ EAST」、新宿アルタ と池袋パルコの各「ワールドスポーツプラザ」の3店舗を同時オープンさせたのであ った。その後、札幌や名古屋、大阪、広島などにもオープンされた。新商品化事業は 昨シーズンから導入されたJ リーグの1・2部制に伴い、全国に広がるホームタウン への密着、2002 年 W 杯開催を見据えた地域社会への貢献、サッカー文化の醸成を目 的として、より多くの地域で、より多くのファンに親しんでもらうことを狙いとして いる。なお、新商品化事業の展開は、後ほど述べるようにJ リーグ関連会社である J リーグエンタープライズが業務運営の主軸となっている。 4,ソニーCPからJリーグエンタープライズに 1998 年 12 月 15 日行われた J リーグ理事会の決定事項において商品化事業につい て次のことが決められた。今までグッズ販売についてはソニーCP が一括して行って いたが、ソニーCP の撤退を受け、J リーグ関連会社の J リーグエンタープライズに 移行するということであった。つまり1999 年からはこのようになったのだが、詳し い数値は調べたのだが、どこにも載っておらずわからなかった。ただソニーCP の時 の契約料とはそこまで変わっていないのではないかと考えられる。 5,ユニフォームはミズノ もう1社、Jリーグからマーチャンダイジングをもらっている会社があり、それは ミズノである。ただ、ミズノの場合、ソニーCPのようにサブライセンシーは持って いない。その代わりといっては何だが、ミズノはオフィシャルスポンサーであり、ま たオフィシャルサプライヤーとしてユニフォームをJリーグに提供している。ユニフ ォームを提供しているのだから、お金をJリーグからもらってもいいような気がする が、実はその逆で、ミズノはJリーグに年間2億円を独占契約料として支払っていた。 ここでも、J リーグ開幕当初、収入として推定されていた額を述べておこう。契約 金が年間2 億円、ここでもミズノが販売するキャラクターグッズのロイヤリティフィ ーが入ってきて、ミズノの推計ではJ リーグ関連のグッズの販売額は約 50 億円、ロ

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イヤリティフィーをソニーCP と同じ3パーセントと計算すると、合計は 3 億 5000 万円と推定されていた。(同上 pp,126∼128) グッズ同様、ユニフォームも1 社に任せることにより、統一感が出て良かったので はないかと思われる。ただ、次のところでも述べるように、現在はチームそれぞれが 契約しているようで、人気が落ちるにつれて1社だけであると損出が多くなってしま ったのではないかと考えられる。 また、この論文ではユニフォームについてあまり触れていないが、ユニフォームの 契約は商品化権料とは別に扱われているからである。 6,現在のユニフォームの契約 そして、今現在はどうなっているのかと言うと、ユニフォームは一括されていない ようである。実際詳しいことが載っていたわけではないのだが、ジェフ市原やサンフ レッチェ広島などはミズノと契約しているようではあるが、昨年99 年 12 月 9 日に行 われたスポーツ産業論の授業でいらっしゃったFC 東京の村林氏のおっしゃっていた ことでは、FC 東京はアディダス・ジャパンと契約しているようで、雑誌の選手の着 ているユニフォームを見るかぎりでは読売ヴェルディはナイキ・ジャパン、他にもア シックスやフェニックス、ゴールドウィン、デサントといった様々な会社とクラブ単 位で契約しているようである。契約料など細かい点に関しては調べてはみたが、わか らなかった。 7,J・STATION 93年5月にミズノはソニーCP の「CATEGORY−1」のような J リーグオフィ シャル「J・STATION」をミズノの直営店を含む全国の627店のスポーツ店に作っ ていった。そのあと、数が増え、93年8月の時点では698店舗にもなった。今現 在はどうなっているのかというと、インターネットなどでも調べてはみたのだが、何 もわからなかった。 8,アンテナショップでグッズ販売 Jリーグが開幕する前のジェフ市原のグッズ販売の戦略を紹介しよう。少しでも赤 字をなくすためにオリジナルグッズを開発して売ろうと考えた。どんなグッズが売れ るのか見当もつかなかったため,ジェフ市原の本社にアンテナショップを併設するこ とにした。ジェフ市原はJR東日本と契約してたため、どこの駅にでも置くことがで きた。ここが強みであった。考えたあげく、東京ディズニーランドのある舞浜駅が最 もいいという結論に達した。舞浜駅を降りると正面にディズニーランドの入り口あり、 ジェフ市原のショップは駅の出口の左側だからよほど注意していないと見逃してし まう。しかし、右側に置くとかえって埋没してしまう恐れがあり、あえて目立たない 左側を選んだ。これも成功した1つの要因である。そして肝心のグッズであるが、T シャツとかトレーナーを作ることにした。業者を選定して品物を発注したのはソニー CPとJリーグが契約する前で、いかに立ち上がりが早かったがわかる。デザインは 若い女性中心に行われた。当初、1日の売上げが 3∼4 万円あればいいとジェフ市原 は考えていたが、ふたを開けてみると、1日30∼40 万円の売上げがあった。生産が 追いつかず、1つのアイテムにつき 100 とか 200 しか作らないというコンセプトが 受けたと分析される。一日の最高売上げが100 万を越えることもあるというのはすご いことであった。(同上 pp,46∼48)

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このように、クラブで単独にグッズ販売もできるのである。それぞれのチームよっ てスポンサーメリットがあるわけであるから、それを活かしてグッズ販売をしていっ てほしい。 9,肖像権 プロ野球では選手の肖像権は個人には認められず球団に属している。しかし、Jリ ーグではチームの認可は必要であるが、個人が肖像権を持っている。したがって、個 人グッズの販売が可能で,選手には売れ行きの数パーセントがロイヤリティとして入 ってくる。グッズの種類としては選手の写真や似顔絵、サインなどが入っているTシ ャツ、帽子、マフラーなどである。(同上 pp,117) ここで肖像権に関して述べたのは、グッズには必ず肖像権がついていて、システム にはあんまり関係ないかもしれないが、グッズ販売を調べるのには、必要であると考 えたからである。肖像権に関しては、詳しく調べていけばそれだけで1 つの論文がで きてしまうので、あまりふれてはいないが、せっかく個人が持っているのであるから、 チームの核となる選手はプレーだけでなく、グッズもアピールしてほしい。 今まで述べてきたようなシステムでJ リーグのグッズ販売は行われている。それで は、現在、J リーグのグッズ販売にはどのような問題があるのかということを次の章 で考えていきたいと思う。 第3章 J リーググッズ販売の現状および問題点 1,J リーグの収入におけるグッズ収入の割合 まず、1993 年に J リーグが開幕してから 1998 年までの J リーグの収入そしてそ れにおけるグッズ収入、つまり商品化権料の占める割合を紹介しよう。 グッズ収入は、J リーグの収入のなかでは、配分金の中に含まれている。グッズ販 売はクラブチーム独自に行っている部分もあるのだが、クラブチームでのグッズ販売 の詳細は、あまりわかっていないため、ここではクラブチームからの配分金だけで考 えていきたい。下の表やグラフを参考にしてみると、93 年から 94 年では、J リーグ の配分金の収入は増え、J リーグのチーム数が増えたにもかかわらず、クラブへの配 分金は増えた。ところが、95 年からは見る見るうちに減少してしまっており、98 年 には、開幕当初と比べて約 10 分の1にもなってしまっている。割合的にはJリーグ 収入の約3パーセントになってしまっている。どうしてここまでなってしまったのか、 様々な問題点を考えていこうと思う。 クラブ数【表1】 * 1993 94 95 96 97 98 99(予算) クラブ数 10 12 14 16 17 18 18(10)

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営業収益内訳の推移 【表2】* 93 94 95 96 97 98 99(予算) その他 523 659 559 526 489 433 368 広告料 803 997 1,128 1,394 1,486 1,380 1,232 配分金 601 679 475 346 275 252 210 入場料 840 1,481 1,530 886 580 565 556 計 2,767 3,815 3,690 3,151 2,827 2,632 2,366 (単位:100万) * 配分金【表3】 * 93 94 95 96 97 98 99(予算) 賞金など 48 24 36 59 49 44 31 商品化など 251 253 138 88 32 21 23 放送権料 54 172 138 87 124 121 123 公式試合出場料 248 229 163 112 70 64 31 計 601 679 475 346 275 252 210 (単位:100万) *

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【表4】* 1997年決算 1998年予算 1998年決算 収入 1、入会金・会費収入 771 870 870 2、協賛金収入 4106 4028 4032 3、Jリーグ主管試合入場料収入 272 253 327 4、放映権収入 2056 1905 2189 5、商品化権料収入 473 324 234 6、その他 338 199 342 計 8016 7579 7994 支出 1、事業費 クラブへの配分 5128 3831 4778 その他 1693 2205 1918 2、管理費 1169 1413 1277 3、その他 3 116 11 計 7993 7565 7986 (単位:100万) (注)尚、各要素の金額を金額 10 万の位で四捨五入しているため、各要素の合計と 合計金額が必ずしも一致しません。 (*表1∼4とグラフはhttp://www.j-league.or.jpから参考) 2,J リーグ人気の低迷 まず1番に考えられるのは、Jリーグ人気が落ちてしまったことである。J リーグ 開幕当初、あれだけ売れた理由として考えられるのは、やはり、J リーグそのものの 人気が出たからである。ただ、J リーグ人気が出たからといって、グッズが売れると は限らないが、先ほどの表2 でわかる通り、入場料が減少すると同時に配分金も減少 している。だから、J リーグ人気の低迷はグッズが売れない 1 つの要因として考えら れる。それではなぜ、Jリーグは人気がここまで落ちてしまったのだろうか? まず、プロ野球と比較していきたい。プロ野球は、昨年西武の松坂、巨人の上原と いった新人選手の活躍により、盛り上がった。J リーグはどうであろうか?J リーグ 開幕当初は、カズ、ラモスなどといったスター選手がいた。ほかにも、海外から来た ジーコやリトバルスキーといった有名外国人選手もいた。今現在は、中田英寿、名波 浩といった選手はいるが、海外のチームに移籍してしまっている。それにより、盛り 上がるのはA 代表や五輪代表の試合だけ、J リーグはますます人気が落ちてしまって いるのは間違いないであろう。選手のレベルアップをしなければいけないという部分 もあるので、移籍を反対しているわけではないが、今Jリーグでスター選手が存在し ないというのは事実であろう。 他に、チーム数についてであるが、プロ野球は 12 チームで2リーグに分かれてい る。そして、2部に落ちるようなことはない。それに対して、Jリーグは18チーム もあり、2部に落ちるということもある。これにより、ファンの定着が難しいのでは ないかと考えられる。なぜなら、プロ野球は歴史があるという部分もあるが、2部に

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落ちることもないので、もしリーグで最下位になったとしても、次のシーズンでも立 て直して優勝を狙うことができる。そして、チーム数も少ない。よって、ファンは定 着しやすいと考えられるが、Jリーグはまずチーム数が多い。そして、もし1シーズ ン目で成績が悪いと2部に落ちてしまう。2部に落ちると、そこまで盛り上がるわけ もなく、そのチームが本当に好きでないと1部のチームを応援しようと思うであろう。 また、2部に落ちることによって、チームのレベルが落ちてしまい、1部に上がれた としても、優勝を狙うのは難しくなる。そして、優勝するチームはいつも限られてし まい、下位のチームがファンを獲得するのは難しい。よって、面白味もなく、人気が 落ちる一方ではないだろうか。 また、ファンは何を求めているのか?とファンの立場からも考えていこうと思うと 思う。昨年99 年 7 月 8 日にゼミで東京ドームで行ったアンケートを参考にしていく ことにする。アンケートは最初に競技場に1年間に何回来たことがあるかを0回、1 から3回、4回以上の当てはまるものを選んでもらい、項目は次の11 項目であり、 観戦に足を運ぶきっかけを5∼1で重要度を選んでもらった。 1、対戦カード 2、チームの状態 3、スター選手の存在 4、チケットの価格 5、試合の期日 6、天候 7、球場までの交通の便 8、試合の開始時間 9、テレビ放送の有無 10、イベントの有無 11、一緒に行く相手 アンケートは日本ハムVS ロッテの試合の前に東京ドームで行ったため、対象は観 戦しに来た野球ファンが対象になったが、サッカーと野球が違うだけであると簡単に 考慮してもらいたい。 東京ドームに来た272 人にアンケートを取った結果、全体で一番重要であると選ば れた項目は対戦カードであった。これについて考えてみると、良い意味で捉えれば、 自分のファンのチームしか見に行かないといった様にファンが定着していると考え られるが、他の捉え方をすればレベルに低い試合は見たくないとも考えられる。つま り、弱いチーム同士が試合してもそんなに面白くもなく、また強いチームと弱いチー ムが試合しても結果が見えていて面白くないと言うことであ る。サッカーの場合で は野球のように大逆転があるわけでもなく、試合も毎日のようにやっているわけでも ないから、レベルが違えば、試合の結果は目に見えていると言っていいだろう。野球 のファンでこういう結果が出たのであるから、サッカーはなおさらであろう。チーム のレベルアップ、そして力の均衡が必要である。 2番目に重要であると選ばれた項目は試合の期日であった。これに関して言えば、 プロ野球は1週間に5、6日やっているにも関わらず、こういう結果となった。サッ カーは毎日のようにできる種目ではないから試合の期日はファンにとって重要であ ることは間違いない。現段階ではJ リーグは土曜日だけか水曜日にやっていることも ある。しかし、もし行きたかったとしてもこの曜日が無理な場合は絶対見に行くこと は難しいということである。その他の結果は以下の通りであった。 3位 一緒に行く相手

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4位 スター選手の存在 5位 球技場までの交通の便 6位 天候 7位 チケットの価格 8位 チームの状態、試合の開始時間 10位 テレビ放送の有無 11位 イベントの有無 テレビ放送の有無やイベントの有無は重要でないと考えられたが、ここで、もう1 つ注目すべき点があり、球場に1回以上行っている人は対戦カードが1番重要である と選んだが、0回の人だけ注目してみると、対戦カードは4位で1位は一緒に行く相 手、2位はスター選手の存在という結果になった。ある程度試合を見に行くファンは いきなり興味がなくなることはないであろうから、人気を増やすように考えるならば、 ポイントはあまりサッカーに興味がない人に以下にして興味を持たせるかというこ とである。それについては次の章で述べたいと思う。 また、本物志向のファンにとっては、J リーグの人気は確実に日本代表の成績に左 右されると言って間違いないであろう。。そして、これは多かれ少なかれ、どこの国 でも同じである。欧州屈指のサッカー大国ドイツでも、80 年代に行われた2度の W 杯ではともに決勝進出したものの、リーグ戦の観客動員は著しく落ちこんだ。ファン は世界2位という結果に不満を持ったのではない。スター選手がイタリアに流れてし まったせいもあるが、やはり2位でも内容に対して拒絶反応をしましたのであった。 日本でも、サッカーに興味を持つ層、サッカーを楽しむ層は間違いなく増えている。 ただ、彼らは日本代表が充実していれば素直にJ リーグを楽しむであろうし、そうで なければ、J リーグに目を背けて質の高いものへと背伸びしようとするに違いない。 最後に海外のチームとも比較しようと思う。海外のチームはどうなのであろうか? ここで、1999 年にトヨタカップで優勝したマンチェスター・ユナイテッドの 1996・ 1997 年の年間売上げとそれにおけるマーチャンダイジングつまり、商品化権料につ いて見てみたいと思う。その前に軽く、マンチェスター・ユナイテッドのクラブ紹介 をしておこう。 1878 年に地元の鉄道労働者によって「ニュートン・ヒース」として誕生し、1902 年に「マンチェスター・ユナイテッド」となる。スタジアムはオールド・トラフォード という競技場で、56387 人収容できる。ニックネームはレッド・デビル。主なタイト ルとしては、皆さんのご存知の通り、1999 年トヨタカップ優勝、その他欧州チャン ピオンズ・カップ、イングランド・リーグ、FA カップなど様々なタイトルを総なめ している。タレントぞろいのチームであるが、その中でも有名な選手にライアン・ギ ッグスやデビット・ベッカムなどが所属している。 売上げ高 1997 1996 入場料など 30,111 19,588

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放映権料 12,588 5,709 スポンサー 11,080 5,841 飲食サービスなど 5,479 3,517 商品化権料 28,681 18,661 計 87,939 53,316 (単位;1000 ポンド)(http://www.manutd.comより参考) まず売上げ高は 65 パーセント増で約 8700 万ポンドであった。入場料や飲食サー ビス提供の売上げは1シーズン24 試合から 27 試合に増えたこともあり、倍ぐらいに 増えている。商品化権料は、54 パーセント増で約 2800 万ポンドに増えている。 それに対して、J リーグのコンサドーレ札幌の収入を紹介しておこう。 営業収入 H10 H11 入場料 421 362 広告料 331 390 販売料 125 100 その他 209 202 計 1,088 1,054 (単位;100 万円)(http://www.sin.ne.jpから参考) まず営業収入が約3000 万円減少している。入場料は試合数が増えたにも関わらず、 大幅に減少している。また、グッズ収入が含まれている販売料は約2500 万円減少し ている。H8年にチームが発足して以来、あまり経営がうまくいっておらず、累積約 27 億円の赤字となってしまっている。 なぜこんなにも対照的であるのか?なぜ海外のチームはこんなにもグッズが売れ るのであろうか?要因として考えられるのは、まずチームが世界的に有名であること。 言いかえれば、強いチームであること。そうであることによって、世界のいろいろな ところで売られていても、いろんな人が買うということである。日本のチームに関し て言えば、中田英寿や名波浩など有名な選手はいるが、チームとして有名なチームは ないと言える。やはり、世界的に強くなければ、有名になるはずがない。まずチーム レベルを上げなければいけない。 また、日本にまだサッカーが根づいていないと考えられる。これについては5章の 今後の展望で述べるが、ヨーロッパなどに比べると、歴史が短すぎるし、日本で有名 なスポーツといえば、野球、相撲、柔道となるであろう。日本にサッカーが根づくに はまだ相当な時間が必要である。 3,グッズの定番化のメリット・デメリット グッズ販売収入が落ちてしまった原因をJリーグ人気が落ちただけにしてしまっ てはいけない。他に考えられることとしては、グッズが定番化してしまっているので はないか?ということである。すぐに思いつくのがチームフラッグ、キーホルダー、 タオルなどである。これだけでいいのではないかなどと言う人もいるだろうし、逆に 定番化してグッズとはこういうものだと主張する人もいるであろう。しかし、現にグ ッズ収入は減少しているわけであるし、例えば、チームのグッズを考えた場合、オリ ジナルグッズというものが浮かんでこない。グッズそのもの自体に魅力がないという

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ことが問題である。 4,グッズ販売の仕方 グッズの販売の仕方についても考えてみよう。グッズが売られているのは競技場や スポーツ店である。雑誌や最近ではインターネットで紹介されている。しかし、あま りサッカーに興味がない人は雑誌を買うわけもなく、インターネットを見るわけもな い。サッカーにある程度興味を持っている人は競技場に足を運んだ時に目にするであ ろうが、先ほども述べたように、あまり興味がない人にいかに興味を持たせるかがポ イントである。それを考えた場合、サッカーに興味を持っている人であれば、インタ ーネットや雑誌でいいだろうが、あまり興味がない人にとってはこれは限界があるの ではないだろうか。あまり興味がない人でも目に付くものを考えた場合、やはり、世 間の人がよく見るものはテレビであろう。ところが、グッズ紹介などをテレビのCM などで見たことがない。また、新聞の広告に載せたり、セールのチラシのように地元 のスポーツ店が出したりしてもいいのではないか。価格自体もあまり知らないという こともあるが、たまには50 パーセントオフといったようにセールをやってみたりし ても面白い。このようにメディアなどをうまく使い切れていないのは問題ではないだ ろうか。 次の章では、今まで述べたような問題に対して、どのようにすればいいのか、解決 策はあるのか、そして今後どのようになっていくのか、考えていきたい。 第4 章 Jリーググッズ販売の現状の打開策 前の章で述べた問題点に対しての解決策を考えていくことにする。 1,J リーグ人気を復活させるために まず、J リーググッズが売れるためには、J リーグ人気復活が必要不可欠である。J リーグ人気を復活させるためにはどうすればいいのか?先ほど述べた J リーグ人気 が落ちてしまった理由についてそれぞれ検討していこうと思う。 (1)スター選手の存在、ドラフト制度の導入 最初にプロ野球と比較についてであるが、プロ野球は新人選手の活躍により、盛り 上がった。やはり、J リーグにも話題になる選手、スター選手がほしい。ここで1つ 疑問なのが、新人選手のプロの入り方である。プロ野球の場合、ドラフト会議があり、 プロ野球に入る前から騒がれたりする。騒がれることにより、世間であまり野球を知 らない人であっても、どの新人が有望であるかがわかる。ところが、J リーグの場合、 ドラフト制度というものがない。相当サッカーに詳しくなければ、有望な高校生がど のチームに行くかわからない。あまり詳しくない人であれば、どの人が有望であるか すらわからない。私は J リーグにもドラフト制度を取り入れるべきであると思う。J 1、J2のどのチームが参加するのか?といろいろ問題はあるかもしれないが、少し でも変えていかなければ、J リーグ人気が復活することはないはずである。 (2)2部制度にしても変わらないレベルを、アジア枠の撤廃 またチーム数に関してであるが、イタリアでは同じチーム数でやっているし、いき なりチーム数を減らすことも不可能であるから、チーム数が多いことに関しては仕方 がないし、時が経てば歴史ができ慣れるであろうが、強調しなければいけない点は、

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2部制度にしてもレベルの変わらない試合をしなければいけないということである。 入れ替え戦を導入したからとはいえ、2部から上がってくるチームが1部から落ちて いくチームに代わる程度の実力を備えていないと、2部制もレベルの低下を招くだけ である。少なくても弱いチームを振り落とすことにより少数精鋭を実現しようという 消極的な発想でなく、1 部を目指す2部でも相当激しく競うことによって全体のレベ ルアップが図られなければ意味がない。 ただし、現状ですぐに2部まで含めた全てのチームが十分な戦力を用意できるかと いうと、それは不可能である。しかも、欧州全体の年俸が高騰し条件が良くなってい ることを考えると、今後日本にヨーロッパ、南米、あるいはアフリカのトッププレイ ヤーが次々にやってくるとは考えにくい。そうなると、やはり日本が目を向けるべき なのはアジアであろう。 最近は韓国の経済状況が悪化したこともあり、J リーグに続々と韓国代表選手が入 団するようになった。どうしても日本の場合、興行面を考慮するので、実力以上に知 名度を気にする傾向がある。同じ金額で外国人を獲得するなら、アジアよりヨーロッ パや南米の選手、さらに言えば、同じ国でも代表選手の肩書きがほしい、と拘るチー ムが少なくないそうだ。確かに外国人の3人枠を維持している以上、アジアからの助 っ人を雇いにくいのは仕方がないのかもしれない。 しかし、本当にJ リーグのレベルを高めたいのであるならば、この外国人枠は足枷 になる。少なくても欧州でEU 枠を撤廃しているというのに、日本が3人枠以外は純 粋な日本人だけでリーグ戦を展開しようというのは見識が狭すぎる。アジア枠の撤廃 に難色を示すなら、アジア枠くらいは別にもうけて欲しいものである。リーグ戦にお ける外国人枠の問題というのは古今東西、あるいは様々な競技で議論の的となってき た。だが、外国人枠を減らすことにより、国内の選手のレベルが上がったという例は まずない。逆に代表チームの弱体化の原因を、助っ人の加入により自国選手が出番を 失ったことに求めると必ず状況は悪化している。 例えば、日本の他種目のリーグ戦を見ても、アイスホッケーが一時鎖国状態にした が、一向に競技力が上がらず、再び日系の外国人に限って参入させ次々に帰化させた。 サッカーでもイタリアは70 年代まで暫く外国人選手の登録を禁じた。イタリアは 70 年代の3度のW 杯でも 70 年大会が2位、74 年大会が予選敗退、78 年大会は4位と 比較的安定した成績を残しているので、鎖国が代表に悪影響を与えたとは言いきれな いかもしれないが、80 年代に入って外国人選手の獲得が解禁になったことでリーグ は活発を呈し、国内選手にも好影響を与えたことは確かだった。 チームから外国人選手を減らすのは、良き見本をなくし、国内の選手を甘やかすだ けである。程度の差こそあれ、外国人がいるから試合に出られないというのは、実力 が不足しているのである。あくまで運営する側は、リーグ戦、もしくはチームの質を 最大限高く保つことに念頭を置き、ファンに質の高い商品を提供することを第一に考 えるべきである。 (『サッカーを殺すな』加部究 双葉社 1998 年発行 pp,213∼216 より参考) J リーグ人気を復活させるためには J リーグのレベルアップは必要である。あくま でもアジア枠撤廃は1 案であるが、日本人を甘やかしていてはレベルアップするはず がない。 (3)ファンにとってのJ リーグ 次にファンにとってであるが、対戦カードを一番重要視しているわけであるから、

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何度も言うようではあるが、各J リーグチームのレベルを上げること。そして、質の 低い試合をするのではなく、質の高い試合を行うように努力しなければならない。 期日についてであるが、仕方がない部分もあるが、たまには土曜日と日曜日だけで も入れ替えたりできればいいのではないかと思う。 また、あまりサッカーに興味を持っていない人に興味を持たせることは難しいこと ではあるが、まず一緒に行く相手が重要視されたわけであるから、その人の友達でサ ッカーに興味を持っている人がいれば、どんどん誘ってあげる必要がある。私は中学 の時あまり野球を自ら見に行こうとは思っていなかったのだが、友達に熱烈な日本ハ ムファンの人がいて、それによって何回も野球を見に行くようになり、ファンクラブ に入ってまで行くようになってしまったのである。また先ほど述べたように、スター 選手の存在は欠かせない。ただこの人を見たいという気持ちからサッカーに興味を持 つということはありえない話ではない。 (4)茶の間で遊ばれてはじめて浸透 ドイツでは椅子を投げつけるなど狂暴と化した監督の写真をメディアに提供した カメラマンが、次の試合から出入り禁止の措置を受け「生活権の侵害」を理由に提訴 したことがあったという。結局、この裁判では「フィールド上で起こった事を発表す るのは全て報道の自由である」という判決が下されたそうである。そもそもピッチの 上で起こったことに対して「選手は一生懸命やっているのに茶化すのは不届きだ」と いう発想になるのは、いかにもアマチュア的である。選手はピッチの上でパフォーマ ンスを見せて、それを商売にしているのである。ミスをしようが、恥をかこうが、そ れもパフォーマンスのうちである。 欧州では、珍プレーやおかしなプレーは、リーグ戦が行われた夜のうちにテレビで 徹底的に検証される。イタリアなどでは珍プレーは話題の中心で、これでもかという ほどスローで繰り返され、最後にはアナウンサーのトチリまで解析してしまう。もち ろん微妙な判定などあろうものなら、出場選手も交えて大論戦となる。まさにピッチ の上で起こったことを肴にとことん遊んでしまおうという習慣がある。だからこそ、 サッカーが国民に浸透し切っているし、それが実に詳しい。 ところが、日本のテレビ局、特にNHK などは何か事がある度に隠そうとするばか りである。そういう指導が徹底しているのかどうかは知らないが、小競り合いがあれ ばカメラを避けるし、微妙な判定のシーンは決して再生しない。また、せっかく稀に 再生しても、解説者の大半が「どうですかねえ」とお茶を濁す。そして中継は肝心な ことが曖昧なまま終わり、アナウンサーは何事も起こらなかったように締め括るので ある。 仮にもNHK はスペインリーグ等も放送していたわけで、こちらの方は現地の映像 が来るから当然くさいシーンは何度でも角度を変えて映す。こういう中継の仕方を知 っていながら、それを参考にして工夫をして行こうという姿勢がまったくない。工夫 があるとすれば、人気選手をズームで追いかけるとか、初心者にこびを売るようなも のばかりである。 問題は看過する。勘所を心得ない。解説者は当り障りのないコメントに終始する。 世界中を探しても、これだけ味気ない放送をしている局は珍しい。これではいくら中 継回数ばかりが多くても、サッカーの発展に貢献しているとは言い難い。 物事を曖昧にするのは誰のためにもならない。映像によりミスジャッジを指摘する ことが、レフェリーの権威を落としめてしまうと考えるなら、そんな偽装された権威 は必要ないものである。選手同様にレフェリーも批判されるさらされるべきなのであ

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る。レフェリーだって間違いが判るほうが改善も早い。ところが、何事も無批判なだ けでは、まったく進歩がありえない。これなら面白おかしくアプローチしても、しっ かりと肝心なシーンを映す TBS の方が等身大のサッカーを茶の間に伝えている分だ け批判精神がこもっている。 NHK は90年の W 杯決勝のゲストに王貞治をゲストに呼び、世界一を決める試合 の最中に散々野球の話を持ちこみひんしゅくを買った。ファンへの本当のサービスと いうものがどういうものなのか、という点で、当時から的外れな感覚を持っていたが、 そういう局がフランス大会でも W 杯中継を独占したから大変だったらしい。民法各 局もなんとか W 杯に関する映像は送りたいと検討を重ねていたという。ところが、 NHK は試合の映像どころか、練習風景、スタジアムの中の雰囲気まで他局には撮ら せなかったのだそうである。 独占放映権を獲得したのだから、試合の映像を独り占めするのは当然であろう。だ が、それ以外のものまで規制してしまうのは、サッカーや W 杯の普及に対する妨害 行為である。ファンというのは、どんな些細なことからサッカーに興味を持つか判ら ないのである。日本代表の練習風景を見て「では次の試合を見てみよう」と思うかも しれないし、スタジアム内の熱狂的な雰囲気を見て「こんな凄いなら足を運んでみよ う」と考えるかもしれない。そのためにも局を問わず、出来るだけ多くの映像が日本 国内に流れる方がサッカー界としては好ましいはずなのである。まして、4年後にW 杯を開催する国なら、いろんな方法で出来るだけ多くの人に大会の雰囲気というもの を知ってもらうべきだったはずである。 サッカーの良さだけをいくら声高にアピールしても世間に伝わっていかないので ある。別に無理に疑問点をあぶりだす必要もないだろうが、結局はサッカーについて の称賛があり批判があり、硬軟織り混ぜた映像が社会にあふれるようになって、初め て浸透したといえるはずである。(同上 pp,156∼159) 放映権については 1 局に独占権を与えることにより収入の面でメリットがあるか もしれないが、それぞれの局に映し方は違うわけで1 局だけに放映を任せていると面 白味がないのではないだろうか。ましてやNHK はかたいイメージがあるのでますま す面白味がなくなるはずである。プロ野球のように珍プレー好プレーのような番組が あっても面白いであろうし、微妙な判定のシーンは確実に映し、テレビを見ている人 がそれを話題にできる様にしてほしい。 (5)世界と比較したJ リーグ 最後に世界とに比較であるが、サッカーファンは野球ファンとは異なり、すでにあ る程度はトップクラスの水準を知り、常にそれと比較しながらJ リーグを見つめてい るのである。比較にさらされてしまった以上、J リーグも極力ドメスティックな決め 事は排除して、むしろ正攻法で世界との差を縮める道を選択すべきである。質が落ち る分は、延長戦でカバーしようとしたり、延長戦を用意することで多少守備を切り捨 ててでも乱打線を促して喜んでもらおうというのは、やはり邪道である。長いリーグ 戦では飽きるだろうと、半分に区切ってタイトルマッチやチャンピオンの数を増やそ うというのも見当外れではないだろうか。J リーグ発足したころは初心者だったファ ンも成熟しつつある。確かにJ リーグに延長戦や PK 戦などの「おまけがあった方が いいか」と聞かれれば「あった方がいい」と答えるのが多数派だったかもしれないが、 おまけがなければ足を運ばないファンが、おまけに釣られてチケットを買うという現 象はいつまでも続くとは思えない。

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とにかくこのようなおまけにとらわれず、日本のチームを強くし、レベルアップさ せることに専念すべきである。そのためなら、日本の選手のレベルアップのために海 外に移籍させるべきである。たくさんの有名な選手が海外に行ってしまうと、J リー グ人気が落ちてしまうという不安もあるが、もし両方の事を考えるのであれば、レン タル移籍という形で2、3年ぐらい海外に行ってまた日本でプレーをすればいいので はないだろうか。それだけでもレベルアップすることは間違いない。 (6)優れた指導者の必要性 そしてもう1つ、チームのレベルアップには優れた指導者が必要であることは間違 いない。ここで指導者について述べようと思う。6年前、J リーグが 10 チームでス タートした時点では、8チームまでが日本人監督を採用していた。また8人のうち6 人までが元日本代表の肩書きを持ち、うち4人はメキシコ五輪で銅メダルを獲得した 時のチーム関係者で占められていた。この中では銅メダルメンバーの宮本征勝氏だけ が鹿島アントラーズの監督としてファースト・ステージ優勝を飾ったが、残る3 人は 成績が低迷したまま、チームを去った。また宮本氏もチーム内でのジーコとの役割分 担に無理が生じ、アントラーズがジーコ色を強めるにあたって監督の座を退いた。 アマチュアの日本時代は、うまい選手をたくさん抱えたチームが優勝するというわ かりやすい図式が出来上がっていた。せいぜい監督にスポットがあたったと言えば、 現役時代に目立った実績を持たない加茂周氏が指揮官として日産の黄金時代を築き 上げた時ぐらいであった。加茂、オフトと志半ばで現役を退いている監督が革命的な 仕事をしたことで、さすがの日本でも監督がチームに及ぼす影響力の大きさを認知す るようになったのだろう。有力な助っ人選手の獲得ばかりに躍起になっていたJ リー グ各チームも、監督こそ優秀な外国人に依頼すべきだという方向になびき始めている。 さらにヴェルディ川崎を優勝に導いたネルシーニョ、最下位争いの常連だった名古屋 グランパスエイトを天皇杯優勝まで引き上げたベンゲルの仕事ぶりを目のあたりに すると、この傾向には一層拍車がかかった。そして、とうとう 97 年のリーグ開幕時 には、17 チーム中実に 15 チームまでが外国人の監督を用意してきたのであった。 日本では名選手が名監督になれないのが、すっかりジンクスとして定着してきたが、 元名選手が指導者として成功しないのは「天才には、そうでない選手たちの気持ちが 判らない」などという単純な理由によるものではない。彼らが監督と選手というのが 本質的に別の職業だということを理解せず、指導者としての準備を何もしないで新し い分野に臨むからである。現在ドイツきっての精鋭監督として認知されているクリス トフ・ダウムはこう語っている。 「いい選手といい監督というのはまったく別次元ものだ。なぜなら選手から指導者に なればまったく違う責任が生じるからだ。選手はチームに対していいプレーをすると いう責任があるが、監督というのはチームを通してクラブに、さらにクラブを通して、 それを取り巻く大きな社会に対して責任を持つことになる。要するに監督というのは チームとそれ以外の世界をつなぐ大きな責任を背負っていることを自覚しなければ ならないんだ」 また、「養成コースは指導者として欠かせない基礎を学ぶところだ。本当に良い指 導者になるには、さらに現場へ出て自分自身でいろんな局面についての解決法を探し ていかなければいけない」 つまり、現役を退いた後に、指導者としての基礎と経験を積み重ねて初めて優秀な 監督となることが出来るということである。たかだか国内の12 チームが日本一を争 うだけのプロ野球ならともかく、サッカーは世界中の国々が威信をかけて真剣に取り

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組み、トレーニング方法も戦術も日進月歩しているのである。ライセンスを取るため のプロセスを経て、監督としても経験を積んでいる適切な指導者が訪れれば、メキシ コ五輪当時の経験だけが頼りの監督ではとても太刀打ちできないのは当たり前のこ とだった。ダウムは、基礎を学ぶことの意味合いについて、こう説明している。 「それは自動車の教習所に通うようなものだ。自動車で道路を走るためには、どうい う標識があり、どんなマナーが必要か、常識を身につけておかなければいけないであ ろう」 この論調に基づけば、日本人の大半の監督は無免許運転しているようなものだった。 彼らがメキシコ五輪で功績を残したのは事実であるが、その後、外国に渡って最先端 の戦術を学んだ形跡もなければ、基礎的な医学知識、心理学、チーム管理学などを本 格的に勉強したという話もあまり聞いたことがなかった。J リーグでも監督をするに は S 級ライセンスが必要だということになっているが、初期の頃は暫定的として約 70 名近くの指導者に S 級を与えたそうで、多分につけ焼刃の色合いが濃かった。筑 波大学寄付講座とのタイアップにより年に1度、3ヶ月にわたり行われているそうだ が、ドイツの講師に依存せざるを得ない状況から脱却しきれていない。 急がなければならないのは、日本人で指導者を指導できる存在の育成であり、その ために日本協会は即刻欧州の指導者養成コースなどに複数の人を派遣すべきなので ある。少年サッカークラブとしては抜群の実績を誇り、日本一も経験しているあるク ラブの指導ぶりなどは、まさに残虐行為に近い。DF にはボールが来たら大きく前に 蹴ることだけを教え込み、極端にファイトばかりを強調する。相手は薙ぎ倒してでも 前に進むように指示し、反則も厭わないプレーが奨励される。彼らはプレーする楽し みを一切拒否させられてしまう。チームではこの年代から勝つためにレギュラーを固 定し、数十人もいるメンバーの中から13∼14 人程度しか使わない。それだけに不満 に思う親との衝突も絶えることがない。極めつけは、まだ3歳の子供にボールをほと んど使わせず、柔軟体操や走り込みをさせていることである。だが、残念なことにチ ームは結果を出している。適切な知識を持つ人間が誰も存在しない団体では、勝つこ とのみが正しい指導を探る尺度となるのである。これでは将来子供たちが伸びていか ないと疑問を抱いている親はいる。事実、長年全国規模で実績を残しているこのチー ムからトップレベルのプレイヤーは生まれていない。しかし、誰もコーチ陣の意識の 変革を促すだけの勇気と説得力を持たない。それに問題なのは、これが決して極めて 稀な少数派だというわけではないということである。 一体指導者とはどういう知識と経験を備えた人物なのか、という概念からして、日 本では十分な理解が得られていないような気がする。優れた監督であるために現役時 代の実績というのは大きなプラス材料になるだろうが、それは必要な要素のごく一部 分でしかない。また年代によっては結果を出すことが逆効果になることもあり、結果 を捨てる勇気が求められる場合もある。 日本協会は、今、指導者の理論を統一するため組織作りを進めている。だが、トッ プレベルから少年レベルまで適切な指導者を十分に揃えるまでには、まだまだ膨大な 時間がかかることだけは間違いない。(同上 pp,134∼144) このように、J リーグにより多くのスター選手が現れ、J リーグ全体のレベルアッ プが可能になり、J リーグの人気が復活するための他の様々な問題点が解決されれば、 世間に注目されるようになるであろうし、グッズも大量にとは言わないまでも、売れ るようになるであろう。 しかし、これまでJ リーグ人気復活を主張してきたが、J リーグ人気だけに頼って

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いていいのだろうか。人気が復活することにより、グッズは売れるようになると思う が、必ずとは限らない。J リーグ人気次第であると、グッズ販売自体の戦略はどうな っているのだと疑問に持つ人がいるかもしれない。そこで、逆にグッズに興味を持つ ことでJ リーグに興味を持てるようなグッズから J リーグ人気といった戦略を考えて いきたい。 2,オリジナルグッズの開発 まず、オリジナルグッズについて考えていこうと思う。またしても、プロ野球と比 較してしまうが、プロ野球の場合、チームそれぞれに応援グッズがあったりする。例 えば、ヤクルトであれば傘、阪神の甲子園球場であれば風船などである。J リーグの 場合、各チームに応援グッズなんてものはない。やはりチームのオリジナルグッズが ほしい。 例えば、傘や風船など身近なもので考えれば、からのペットボトルなんてどうであ ろうか。簡単に用意できるし、チームのオリジナルグッズになりうる可能性を持って いると思う。他にはチームのキャラクターのデザインで帽子を作ったりするのも面白 い。普通の帽子ではなく、例えば、鹿島アントラーズであれば、鹿がキャラクターと なっているので鹿の角が付いているきぐるみの帽子のようなもの。忘年会などの宴会 の席でも使えそうではあるし、かわいらしさをうりにすれば、女性に人気が出るので はないであろうか。 他に考えられるオリジナルグッズとしては、競技場ごとの限定グッズを販売しては どうかと思う。例えば、コンサートや海外に行った時に見られるジッポなんてどうで あろうか。私は煙草を吸うので、海外などに行った時は記念に買うようにしている。 チームのマークや競技場の絵などが入っていたら面白いのではないだろうか。 他には、最近ゲームでたまごっちやシーマンなどゲームの中のキャラを自分が育て るというのがブームになった。サッカーゲームにも自分がゲームのプレイヤーを高校 からJ リーグに入るまで育てるというゲームがあったら、面白いのではないだろうか。 結局、今考えたグッズが売れるかどうかはわからないが、従来どおりのグッズでは 現状からは抜け出せないであろう。 3,グッズ販売の様々なアプローチ グッズ販売の仕方について考えよう。やはり世間の人に1番目に付くものを考えた 場合、CM で宣伝するのがベストではないかと考える。携帯電話や化粧品など、何か 物を売るためには、宣伝が必要である。そして、競馬は木村拓哉、携帯電話は田村正 和や藤原紀香といった有名人を使い、イメージキャラクターを使っている。このよう に誰でもいいと思うがイメージキャラクターを使ったり、CM も地方のテレビだけで もいいと思う。少しでも世間の人の目に付くようにしなければいけないであろう。ま た、新聞の間にはさまれているようなチラシを使ってみたり、たまにはセールなどを 行ってみても良いと思う。そして、個人でグッズ販売可能なわけであるから、クラブ 側は自分のチームの有名な選手のグッズをもっと販売するようにして、テレビに出演 した時にでも宣伝できるようにしたらいいと思う。 第5章 クラブ経営とグッズ販売の影響 1,2002 年 W 杯 今まで特に J リーグ人気について述べてきたが、今後の J リーグ人気についての展 望であるが、2002 年 W 杯を日本でやることにより、J リーグ人気は復活するチャン

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スを迎えるのではないかと考えられる。そのためにも、日本の予選リーグ突破は必要 不可欠であろう。予選を勝ちあがりすれば、自国で開催していることもあるし、大い に盛り上がり注目されることは間違いない。ただし、今まで開催国で予選突破してい ないという国がないので、プレッシャーになるかもしれないが、選手たちは危機感を 持ってやらなければいけない。もし、予選敗退などということがあれば、やはり日本 はサッカーはだめなんだと世間は思ってしまうであろう。 また、2002 年をさかいに J リーグは1シーズン制になり、時期もヨーロッパと同 じように、秋に始まり翌春に幕を閉じるという形になるらしい。そうすることにより、 海外との国際試合をする機会が増え、日本自体のレベルが上がることは間違いない。 とりあえず、2002 年までは J リーグは辛抱しなければいけない時期なのであろう。 2,サッカーが国技になるには プロリーグができてわずか5年間における日本サッカーの歩みは決して小さくな い。フランス W 杯を見てもわかるとおり、まだアジアは世界で最もレベルが低い。 しかし、大半の国では日本以上にサッカーが浸透していることは確かだ。中東および 湾岸諸国は言うに及ばず、東南アジアにも日本よりサッカーの普及度が低い国はほと んど存在しなかった。日本では子どもに正確なキックを教えられる父親はごく限られ ている。しかし、こうした国々では、公園でボールを蹴っている大人たちが平気でボ ールリフティングを永遠に繰り返している。アジアでもごく一部を除けば、サッカー はどこへ行っても盛んなスポーツであり、代表選手たちは最高のアスリートたちの集 合体と見なすことができる。 ところが、ほんの 10 年ほど前には、サッカーと言えばラグビー以下の人気しかな かった日本が、最近数年間のうちにこうした国々を一気に追い越し、アジアで安定し て3本の指に入る実力を備えてきたのだ。しかも、日本代表を支えているのは、日本 協会でもなければJ リーグの監督でもない。もちろん、全く貢献していないとは言わ ないが、代表の実力が上がったのは、地方で少年たちを教えてきた指導者たちの地道 な努力の賜である。彼らが独自に勉強し、正しいと思った方向に子どもたちを導いた からこそ、ひと昔前の時代よりも数段高い技術とセンスを備えた選手たちが育ってき た。だが、一方では高い才能を有していながら、間違った方法の指導者にあたったが ゆえに伸びなかった子どもたちも必ず存在したはずだ。全体的に見れば、失敗の確率 が減ったからこそレベルアップが可能になったということであろう。 日本協会は強化と育成を一本化して、指導の方向性も徹底しようと努力はしている ようだが、無資格でも指導は可能で、多くの少年チームでは素人の大人たちが手弁当 で指導している現状では課題は山積みである。しかし、裏を返せばそういう状況でな お、日本はここまで成長してきたのである。そう考えれば、日本協会の責任と使命は 重いが、まだまだ伸びしろは十分に残しているということである。ただし、サッカー は地球規模で見れば、ほんのひと握りの例外を除いて全ての人々を魅了してしまって いる。なかには浸透してからの年季の入り方が日本より1世紀以上も長い国も少なく ない。そうした国と同等に普及し、コンスタントに凌駕していくには、どうしても2 世代くらいの月日は必要となる。90 年代に入ってから子どもたちのサッカーと野球 の競技人口は拮抗しているので、今後サッカーが順調に浸透していったとしても、ど この家庭でも父親が生まれた子どもたちに基本的なキックを教えられるようになる までは、半世紀ぐらいは要するであろう。 (『サッカーを殺すな』加部究 双葉社 1998 年発行 pp,185∼189 から参考)

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やはり日本にサッカーが浸透してからまだまだ日は浅い。だから逆に言えば、問題 が出てこないはずがないのである。サッカーが日本の国技になるぐらい浸透するまで 時間がかかるかもしれないが、J リーグの発展、そしてクラブ経営の安定も時間はか かるにしても光は見えてくるはずである。 3,世界との距離感の把握を怠るな 今後は日本にも、生まれた時からサッカーが野球と同等に同じ人気を博していた世 代の選手たちが育ってくる。技術と身体的能力のバランスがとれた質の高い選手たち が現れてくるはずである。こうしてグレードアップした日本が誕生した時には、日本 より圧倒的に人口が少ないのにひと握りのエリート主義に頼った韓国のサッカーの 限界が露呈するかもしれない。日韓逆転の日は迫っている。 しかし、ここでしっかり認識しておく必要があるのは、たとえ日本が周辺諸国に対 して優位に立てたとしても、依然としてサッカーの中心地である欧州とアジアの差は 広がっているということである。欧州スーパーリーグ構想がいよいよ現実化した今、 世界の枠は欧州に結集し、その中で最先端の戦術が進んでいくことになるのは明白で ある。どうしても蚊帳の外にある日本としては、アジアのトップレベルで安住せず、 欧州との距離を見失わない努力を続けなければならない。(同上 pp,189∼193) 欧州とアジアの差は広がっていくと書かれていたが、日本にサッカーが浸透すれば、 アジアにとどまらず世界にも匹敵する力を持つはずである。そうすれば、世間の人々 は注目しないはずがないであろうし、人気を獲得することは間違いない。 4,グッズ自体の価値の再評価 グッズは、今まで述べてきたように、J リーグの収入において低い割合である。そ れではなぜ、クラブ経営においてグッズ事業が重要であるのかと疑問を持つ人がいる かもしれない。それは、まず世界のクラブ経営をうまく行っているチームのグッズ収 入の占める割合が高いこと、そしてグッズ本来の意味するもの、価値とは収入の割合 以上に価値のあるものであると私たちは考えたからである。 この後者においては重要であることを認識しなければならない。なぜなら、J リー グが発足された時の構想としては、現在もそうであるが、地域に密着したプロチーム を作ること。つまり、チームとファンが一体化になることがJ リーグの原点である。 ファンはチームと一体化するために、応援しに競技場に足を運んだりする。そして、 応援するために、応援グッズを買うのである。要するに、チームとファンが一体化す るためにはグッズは必要不可欠なものなのである。 今現在、J リーググッズの収入が減少しているということは、まだまだ原点である 地域に密着したプロチームを作ることということが完全に達成できてないというこ とではないであろうか。もっと地域に密着したプロチームができるように、地域もク ラブチームも努力してほしい。そうすれば、グッズ収入も上がり、J リーグ人気も復 活するはずである。逆に言えば、J リーグ人気が復活すれば、地域に密着したチーム もできるはずであり、グッズ収入も上がり、J リーグのクラブチームの経営は安定す るであろう。 5,グッズ販売の今後の展望 今まで述べてきたように、時間はかかるにしてもJ リーグに未来がないわけではな

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い。つまりグッズ販売もどんどん落ち目になっていくとネガティブに考えてはいけな い。時間はかかるかもしれないが、今まで述べてきた問題点を解決し、J リーグの収 入を安定させていってほしい。 第6章 まとめ 私はJ リーグのクラブ経営のいろいろな問題点や解決策を考え、J リーグ、そして の日本のサッカー界に少しでも貢献したいという想いでこの論文を書き上げた。この 論文は、第1章では私たちがこのプロジェクトをはじめた理由が書かれている。第2 章ではグッズ販売のシステムがどのように行われているのかが書かれている。第3 章 では自分の考えから現在のグッズ販売の問題点を列挙している。そして、第4 章では その問題点に関して自分なりの解決策を述べた。第5 章では今後のグッズ販売はどの ようになるかを書いた。全体を通して、J リーグのクラブ経営が現在どれだけ苦しい 状況にあるのかを再認識することが出来た。 しかし、何度も言うようであるが、それと同時にJ リーグに明るい光が見えないわ けではないということも確信できた。これからクラブと地域の努力により、歴史を作 り、道は開けるのである。 また、全体的にJ リーグ人気について述べることになってしまったが、それほどグ ッズ販売にとってJ リーグ人気は必要不可欠であると私は考える。しかし、J リーグ 人気だけに頼っているのもよくない。 J リーグ人気からグッズが売れるようになり、またグッズが売れることにより、J リーグ人気が復活するといった両方からの好循環が生まれれば良いと思う。 この論文を書いて残念な点としては、第2章で現在のJ リーググッズがどのような システムで行われ、契約はどうなっているのかなど、詳しく調べることが出来なかっ たことである。あまりこれについての参考文献や資料がなく、J リーグ当初の詳しい ことが中心となってしまったが、もっと余裕を持って取り組んでいれば、実際クラブ チームに足を運び話を聞くことが出来たのではないかと反省している。 良かった点としては、問題点を考えるにあたって、様々な点から大きな視野を持っ て物事を考えることが出来た点である。そして、面倒な作業ではあったが、何度も何 度も手直しをすることにより、表現の仕方を考えられるようになり、良い論文になっ たのではないかと満足している。 この論文により興味を持ってくれる人が多くなり、クラブ経営が良くなれば幸いで ある。 【参考文献など】 ・『J リーグの経済学』 生方幸夫 朝日新聞社 1994 年発行 ・http://www.j-league.or.jp/ ・http://www.manutd.com/trafford/financialreview.sps ・『週刊サッカーマガジン』1998 10/14 NO,681 ベースボール・マガジン社 ・『サッカーを殺すな』 加部究 双葉社 1998 年発行 ・東京ドームでのアンケート調査結果 ・http://www.sin.ne.jp/SS/1999.hakusyo.html

参照

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