• 検索結果がありません。

<Article>A Study on Accounting Information Systems and Complex Systems

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "<Article>A Study on Accounting Information Systems and Complex Systems"

Copied!
15
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

会 計 情 報 シス テム と

複雑 系 に関 す る一考 察

1は じ め に 本 論 文 は会 計 情 報 シ ス テ ム に複 雑 系 の理 論 を適 用 し,そ の特性 を探 ろ う と す る試 論 で あ る。 会 計 情 報 シス テム は い くつ か の段 階 を経 て発 展 して きて い るが,そ の 発 展 の しか た を複 雑 系,と くに 自己組 織 化 とい う観 点 か ら考 察 し よ う とす る もの で あ る。

2複

雑 系 に つ い て

経 営繍

や会計学 に":系

の繍

を適用 す 嶽

謬 はい くつかな されてい る

が,こ こで は まず複 雑 系 につ い て考 察 す る。 複雑 系 に つ い て は い ろい ろな分 野 で研 究 され て い る が,複 雑 系 につ いて の 統 一 的 な見 解 は今 の と ころ存在 しな い。 井庭,福 原 は,「 複 雑 系 は決 して単 な る ご ち ゃ ご ち ゃ した シス テ ム で は な い。 つ ま り,バ ラバ ラ に分 解 で き る要素 の単 純 な組 み合 わ せ で全 体 が構 成 さ れ て い る よ うな シス テ ム で は な く,バ ラバ ラ に す る と本 質 が 抜 け落 ち て し ま う よ う な特 殊 な シス テ ム をr複 雑 』 な シス テ ム と呼 ぶ の で あ2 .」 と述 べ た

(2)

あ とで,複 雑 系 を 「あ る シス テ ム を想 定 した とき,そ の シス テ ム を構 成 して い る要素 は各 自の ル ー ル に従 って機 能 してお り,局 所 的 な相 互 作 用 に よ って 全体 の状 態 ・振 舞 いが 決 定 され る。 そ して それ らの全 体 的 な振 舞 い を も とに 個 々 の構 成 要 素 の ル ール ・機 能 ・関 係 性 が変 化 して ゆ く。 この よ うな シ ステ 1()) ム を 『複 雑 系 』 と呼 ぶ こ と に す る 。」 と定 義 し て い る。 また,河 合 は 複 雑 系 の パ ラ ダ イ ム と し て 自 己 組 織 化 サ ブ パ ラ ダ イ ム とカ オ ll} ス ・サ ブパ ラ ダイ ム の2つ を と りあ げて い る。 自己組 織 化 とは,創 発性 の起 源 をシ ス テ ム 内 に,具 体 的 に は構 成 要 素 間 の 相 互 作 用 な い しは相 互 関 係 に求 め る考 え方 で あ り,「 創 発 性 とは各 要 素 が相 互 作 用 し あ って い る と きにの み現 れ る もので あ り,あ る要 素 を他 の要 素 か ら 切 り離 して取 り出 した 場 合 に は消 えて し ま う」 とい う考 え方 で あ る。 な お, 全 体 シス テ ム レベ ル で は じめ て観 察 され 要 素 レベ ル に は還 元 で きな い グ ロー バ ル な性 質 の こ とを 「創 発 的 属 性 」 と呼 び,創 発 的 属 性 が 生 まれ る こ と を 「創 発(す る)」 また,創 発 的 属 性 を生 み 出 す シ ス テ ム の性 質 を 「創 発 性 」 9)L'4}。 この 自己 組 織性 とい う考 え方 を も とに,河 合 は 自己組 織 化 パ ラ ダ イム の厳 密 な定 義 を 「多 くの要 素 の空 間 的 な い し時 間 的 に混 沌 と した状 態 か ら,外 部 か らの 力 に よ らず,内 部 の 力,す なわ ち要 素 間 の相 互 作 用 の み で 自律 的 に シ ス テ ム の秩 序 あ る状 態(構 造 な い し行 動)を 創 発 させ る こ と,あ るい は,シ ス テ ム の一 定 の秩 序 あ る状 態 か ら,同 様 に,別 の秩 序 あ る状 態 を創 発 させ る こ'5)」と し,さ ら腰 素 間 の相 互 作 用 の み な らず,環 境 を も1つ の決 定 要 因 と見 なす 「拡 張 され た 自己 組 織 化 パ ラダ イ ム 」 を定 義 した 。 この 「拡 張 され た 自己組 織 化 パ ラ ダ イム 」 とカオ ス ・パ ラ ダ イム の ゆ らぎ を用 い て,企 業 に 16} お け る リー ダー シ ップ を考 察 し よ う とす るのが 河 合 の考 え方 で あ る。 最 後 に,複 雑 系 に関 す る牧 野 の考 え方 を考 察 しよ う。 17)18) _19) 牧 野 は,プ リ ゴ ジ ン の 「散 逸 構 造 」,ハ ー ケ ン の 「シ ナ ジ ェ テ ィ ク ス 」,金 子,潮 の 「カオ ス結 合鏑 を比 較 して,こ れ らの考 え方 に共 通 す る もの と 26国 際 経 営 論 集No.181999

(3)

して,複 雑 系 を 「複 雑 系 とは 『外 力 に よ って ,平 衡 か らか な り離 れ た状 態 に おか れ た とき,要 素 の変 化 か ら新 しい秩 序 をつ くりな が ら,自 らを活 性 化 し 続 け る非 線 形 シ ス テ ム』 で あ る。 そ して,複 雑 系 の本 質 は,『 多 様 で 革 新 的 で欄 性 の 高 い発 展 が 続 く』 こ とに 認.」 と議 して い る.そ して礫 の基 本 要 素 と して次 の3つ を あ げ て い る。 状 態=(外 力 に よ る)非 平 衡 状 況

特性=非 線形

機構=自 己組織化

また,数 量 化 で きな い場 合 の非線 形 性 に つ い て,「 線 形 性 を広 く,『 入 力 と出 力 の あ いだ に お け る一 義 的 な決 定 性 や あ る種 の比 例 性 』 と解 釈 し,非 線 形 を入 力 と出力 との あ い だ に お け る上 述 の線 形 性 を もた な い,柔 軟 で 多 義 的 な 反 応 』 と鰍 して も大 きな誤 りをお か さな い で あ ろ2z).」 と して い る。 以 上3つ の複 雑 系 に関 す る考 え方 を見 て きた が ,本 論 文 で は上 述 の3つ の 考 え方 を も とに,複 雑 系 を次 の よ うに考 えて会 計 情 報 シ ス テ ム を考 察 す る こ とにす る。 1.各 要 素 が バ ラ バ ラ に 集 ま っ て い る だ け で は な く ,要 素 間 に 相 互 作 用 が 存 在 し て い る。 2.非 線 形 性 を有 す る 。 3.外 力 あ る い は 環 境 の 変 化 に よ っ て,非 平 衡 状 態 に お か れ た と き ,自 己 組 織 化 的 に新 し い 平 衡 状 態 を つ く る。

(4)

3会

計 情 報 シ ス テ ム に つ い て

こ こで は,会 計情 報 シス テ ム の概 念 を考 察 す る こ とに す る。 まず,各 研 究 者 に よ る会計 情 報 シス テ ム の概 念 を考 察 す る こ とにす る。 浅 井,倍 は会 計 情 報 シ ステ ム は 「情 報 の利 用 者 に対 して,そ の意 思 決 定 に 必 要 な会計 情 報 を,適 合 性 ・適 時性 を保 ち つ つ効 率 的 に提 供 す るた め に,会 23) 計 デ ー タ を識 別 し,測 定 し,伝 達 す る情 報 シ ス テ ム 」 と定 義 して い る 。 ま た,西 村 はLeitchandDavis,MoscoveandSimkinandBagranoff, Hopwoodの 各 研 究 者 の 定 義 を比 較 し て,こ れ らの 定 義 は,い ず れ も会 計 情 報 シ ス テ ム は組 織 の 経 済 的 デ ー タ あ る い は財 務 デ ー タ を変 換 し て,組 織 の 利 害 関 係 者 の 意 思 決 定 に 有 用 な 情 報 を提 供 す る情 報 シ ス テ ム で あ る と指 摘 して 24) い る とし,そ れ以 後 意 思決 定 の た めの会 計 情 報 シ ス テム 論 を展 開 して い る。 これ らに共 通 して い るの は 「意 思 決 定 のた め の情 報 提 供 」 とい う こ とで あ る。 本 橋 は 「会 計 情 報 シス テ ム の概 念 は,会 計 上 の 歴 史 的概 念 で あ り,概 念 想 25) 定 を行 な う場 合,そ れ は 目的 との 関連 にお い て概 念 を把 握 す る必 要 が あ る。j とし,会 計 情 報 シ ス テ ム の概 念 につ い て次 の よ う に述 べ て い る。 「今 日に お け る会 計情 報 シス テ ム の 目的 は,い くつ か の もの を指 摘 す る こ とが で き るが, そ の主 た る 目的 は,情 報 利 用 者 の意 思決 定 に役立 つ会 計情 報 を提 供 す る と と もに,そ の情 報 利 用者 の行 動 を可 能 なか ぎ りフ ィー ドバ ック させ る こ とで あ る と考 え られ る。 つ ま りそれ はi情 報 利 用 者 の意 思 決 定 とそ の行 動 の統 制 の た め の フ ィー ドバ ッ クに あ る とい え る。 か か る 目的 に対 応 させ て会 計 情 報 シ ス テ ム の概 念 を定 義 す るな らば,つ ぎの よ うに な るで あ ろ う。 す なわ ち,会 計 情 報 シ ス テム とは,コ ン ピュ ー タお よび コ ミュニ ケ ー シ ョン装 置 の技術 的 な合 理 性 を基 礎 と し,行 動 科 学,シ ス テ ム論,情 報 理 論 経 営 科 学 な どの 関 連 諸 科 学 との学 際 的 な成 果 をふ ま えた うえで,情 報利 用 者 の意 思 決 定 に有 用 28国 際経営論集No.181999

(5)

な会 計 情 報 と,そ の 行 動 の統 制 の た め の フ ィー ドバ ック情 報 と を提 供 す るた め,会 計 事 象 の認 識 測 定,伝 達 の プ ロ セ ス を有 機 的 に構 成 しよ う と した も の で あ る とい え る。 したが っ て,会 計 情 報 シ ス テ ム は,従 来 か ら存 在 す る会 計 固有 の測 定 ・伝達 プ ロセ ス の ル ー チ ン化 され た部 分 の 単 な る コ ン ピ ュー タ 化 な い し省 力 化 の み を意 味 す る シ ス テ ム で は な い こ とに注意 しな けれ ば な ら な 逡.」 ま た,ゴ ッ ド ブ リ ィ=プ リ ン ス は,会 計 情 報 シ ス テ ム の 基 礎 と な る情 報 シ ス テ ム に つ い て 次 の よ う に 定 義 し て い る。 「フ ォ ー マ ル ・イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ・シ ス テ ム は,意 思 決 定 者 お よ び 意 思 決 定 グ ル ー プ に 対 し ,目 的 適 合 的 情 報 を提 供 す る 一 また は そ れ 以 上 の オ ペ レ ー テ ィ ン グ ・シ ス テ ム を 含 む コ ン ピ ュ ー タ を基 礎 と した 情 報 ネ ッ トワ ー ク で あ り,ま た,プ ロ グ ラ ム 化 さ れ た 意 思 決 定 モ デ ル の な か の パ ラ メ ー タ お よ び 変 数 の 変 化 に 基 づ い て,こ れ ら 目 的 適 合 的 デ ー タ に対 す る 意 思 決 定 者 の 応 答 を扱 う た め の 適 切 な メ カ ニ ズ ム を含 27) む の で あ る。」 そ して,こ の 定 義 に含 まれ る以 下 の4点 が 重 要 で あ る と して 28) い る 。 1.コ ン ピ ュ ー タ を基 礎 と した 情 報 ネ ッ トワ ー ク で あ る こ と 2.オ ペ レ ー テ ィ ン グ ・ シ ス テ ム を 含 む こ と 3.意 思 決 定 者 お よび意 思 決 定 グル ー プ に有 用 で あ る こ と。 また,意 思 決 定 者 お よ び意 思 決 定 グ ル0プ は重 要 な要素 の ひ とつ で あ る こ と。 4.意 思 決 定 者 お よび意 思 決定 グル ー プ の デ ー タ に対 す る応 答 を扱 う機 構 を備 え て い る こ と。 以 上,会 計 情 報 シ ス テ ム の 概 念 を い ろ い ろ と見 て き た がxこ れ ら を も とに 会計情報 システムと複雑系に関する一考察29

(6)

して本 論 文 に お け る会 計 情 報 シス テ ム の概 念 を次 に示 す。 1.コ ン ピ ュ ー タ を 中 心 とす る情 報 通 信 技 術 を も と に した 情 報 ネ ッ トワ ー ク で あ る こ と。 2.意 思決 定 を支 援 す る シ ス テム を含 み,意 思 決 定 者 お よび意 思 決 定 グル ー プ に有 用 で あ る こ と。 3.意 思 決 定 者 な い し意 思 決 定 グ ル ー プ の デ ー タ に対 す る 応 答 を扱 う フ ィ ー ドバ ッ ク機 構 を もつ こ と。 4.意 思 決 定 者 お よび意 思 決 定 グ ル ー プ も重 要 な要 素 の ひ とつ で あ る こ と。 上 に述 べ た4つ の 点 は こ こで考 察 した 各研 究 者 の会計 情 報 シ ス テム の概 念 とほ とん ど同 じで あ るが,意 思 決 定 者 と会 計 情 報 シス テ ム を運 用,保 守 す る シ ス テ ム要 員 とは必 ず し も一 致 しな い の で,こ こで は 次 の点 もつ け加 えて お く。 5.シ ス テ ム の 運 用,保 守 お よ び 改 良 を す る シ ス テ ム 用 員 も重 要 な 要 素 で あ る 。 さ ら に 6.ハ ー ドウ ェア,ソ フ トウ ェ ア の新 しい技術 や会 計 情 報 シ ス テム 論 お よ び 会計 学,情 報 理 論,行 動 科 学 な どの関 連 諸 科 学 の新 しい成 果 を取 り 入 れ る こ とが 可 能 な オ ー プ ン シス テ ム で あ る こ と。 30国 際 経 営 論 集No.181999

(7)

もつ け加 えて お く。5と6の 点 は会 計情 報 シス テム の発 展 を考 え る上 で は重 要 な 要 素 で あ る。 最 後 に 7.ハ ー ドウ ェ ア,ソ フ トウ ェ ア お よ び人 的 資 源 が 有 機 的 に 結 び つ け られ て い る こ と。 とい う点 を あ げ,本 論 文 で の会 計 情 報 シス テム の概 念 とす る。 これ らの概 念 を も とに して,会 計 情 報 シ ス テ ム の入 力 と出力 を考 え る と,2種 類 の異 な る 入 出 力 が あ る こ とが わ か る。 ひ とつ は会 計情 報 シス テ ム の通 常 の 業務 と もい うべ き もの で,意 思 決 定 の必 要 にせ ま られ た と き,関 連 す るデ ー タ を入力 し, 意 思 決 定 に有 用 な情 報 や それ を利 用 した意 思 決 定 を出力 す る もの で あ る。 残 りの ひ とつ は,ハ ー ドウ ェ ア,ソ フ トウ ェ ア の最 新 技 術 や 関連 諸 科 学 の 新 し い成 果 を取 り入 れ る(入 力 す る)場 合 で あ る。 この場 合 の 出力 と して は,改 良 され た新 しい シス テ ム とい う もの に な ろ う。 これ ら2つ の 入 出 力 は全 く無 29) 関 係 で は な いが,シ ス テム の 発 展 とい う観 点 か らは2番 目の入 出力 が 中 心 と な るで あ ろ う。

4会

計 情 報 シス テ ム の 発展

こ こで は会 計 情 報 シ ス テム の発 展 を田宮 ,今 井 の2氏 の研 究 を中心 に考 察 す る。

田宮 は会訓 醐

システムの発展 の段 階 を次の3つ に分槻

① 自己完結型会計情報 システム の段 階

全 て の 会 計 取 引 が 仕 訳 の 形 式 で 当 該 シ ス テ ム に 入 力 さ れ,仕 訳 帳,総 会計情報 システムと複雑系に関する一考察31

(8)

定 元 帳,試 算 表,そ れ に損 益 計 算 書 及 び貸 借 対 照表 が 出 力 レ ポー トと し て作 成 され る。 他 の 業務 シ ス テム との デー タ の受 渡 しを伴 う こ とが な い シス テ ム で あ った の で,そ の意 味 で は 「閉 じた」 シス テ ム で あ っ た。

② 自動仕訳 受入型会計情 報 システムの段 階

会 計 以 外 の業 務,た とえば販 売,製 造,在 庫 な どの さ ま ざ まな業 務 が コ ン ピ ュー タの 導入 に よ って シ ス テム化 して くる と,各 業務 シ ス テム に入 力 した デー タ を あ らた めて 自己 完 結 型 会計 情 報 シス テ ム に入 力 す る とい う作 業 の二 重 性 が 問 題 とな っ た。 この解 決 を はか るた め,各 業 務 シス テ ム に会 計 取 引 デ ー タ を選 択 し同種 の取 引 は要約 した上 で所 定 の勘 定 科 目 な どを付 して仕 訳 デ ー タ を生 成 し,会 計 情 報 シ ス テ ム に電 子 的 に送 付 す る 自動 仕 訳 受 入 型 会 計 情 報 シス テ ム が導 入 され た。 この シス テ ム は作 業 の二 重 性 は解 決 した が,自 己完 結 型 会 計 情 報 シス テム と本 質 的 に大 差 が な か った。

③ 業務統合型会計情報 システムの段階

この シ ス テム は独 立 した 全体 的 な取 引 デ ー タベ ー ス を構 築 し,そ の下 に 会 計情 報 シ ス テ ム を は じめ とす る各 業 務 シス テ ム を構 築 す る もの で あ る。 この シス テ ム にお い て は,会 計 情 報 シス テ ム は統 合 化 され た シス テ ム の 部 分 シス テ ム とな って い る。 32)33) また,今 井 は会 計 情 報 シス テ ム の発 展 を 次 の3つ に分 けた。 ① 会 計 伝 票 イ ン プ ッ トに よ る会計 専 用 シ ス テ ム 32国 際 経 営 論 集No。181999

(9)

会 計 伝 票 を イ ン プ ッ トす る こ と に よ っ て 財 務 諸 表 を ア ウ トプ ッ トす る シ ス テ ム 。

②現業業務 処理 システム との融合

営 業,製 造,購 買 とい った メ イ ンの 現 業 業務 の コ ン ピ ュー タ化 が進 み , これ らの現 業 業 務 で イ ンプ ッ トされ た デ ー タ を コ ン ピュ ー タ ・シ ステ ム の 中 で 自動 的 に会計 シ ス テム に振 替 えて使 用 す る現 業 業務 処 理 シス テ ム との融 合 の段 階 。 ③ 統 合 デー タベ ー ス に よる会 計 情 報 の合 成 企 業 内 の あ ら ゆ る経 営 デ ー タ が 統 合 さ れ て,ア プ リケ ー シ ョ ン ・プ ロ グ ラ ム か ら独 立 し た1つ の デ ー タベ ー ス 内 に格 納 され る と い う デ ー タ ベ ー ス に よ る統 合 化 の 段 階 。 この 田宮 と今 井 の見 方 はか な り共 通 点 が あ る とみ て よ く,本 論 文 で も この 3つ の 発 展段 階 を も とに して考 察 を進 め て い くこ とにす る。

5複

雑 系 と して の会 計 情 報 シ ス テ ム

今 まで の準 備 を も とに して,複 雑 系 の観 点 か ら会 計 情 報 シス テ ム を考 察 す る こ とにす る。 (1)要 素 間 の 相 互 作 用 す で に 考 察 し た よ う に,会 計 情 報 シ ス テ ム に お い て は ハ ー ドウ ェ ア,ソ フ

(10)

トウ ェア お よび人 的 資 源 が有 機 的 に結 び つ け られ て い な けれ ば な らな い。 こ の こ とは コ ン ピ ュー タ と人 的 資 源 を分 離 して し まえ ば,会 計情 報 シ ス テ ム と い う概 念 自体 が成 立 しえ な いの で 明 らかで あ ろ うが,意 思 決 定 を考 え る とよ り明 白 に な る。 なぜ な らば,こ の よ うな高 度 の作 業 をす るに は各 要素 がバ ラ バ ラ で は何 もで きず,ハ ー ドウ ェア,ソ フ トウ ェア,人 的 資 源 の3つ が有 機 的 に結 び つ い て は じ めて達 成 で き る作 業 だ か らで あ る。 この よ うに考 え る と, 意 思決 定 とい う作 業 は創 発 的属 性 で あ る と考 えて よいで あ ろ う。 な お,意 思 決 定 の 質 は会 計情 報 シ ス テム の発 展 段 階 に よ ってか な り異 な る と思 わ れ るが, 最 も初 期 の 自己 完 結 型 会 計 情 報 シス テ ム に お い て も財 務 諸 表 を作 り出 す機 能 を もっ て お り,財 務 諸 表 は意 思 決 定 に重 要 な役 割 を はた す の で,す べ て の段 階 で会 計 情 報 シス テ ム は意 思 決 定 に有 用 で あ る と考 えて よい 。

本 論 文 で は会計 情 報 シ ス テ ム につ い て数 式 に よ る定 式 化 を全 く して な い の で,す で に言 及 した 『入 力 と出力 の あ い だ にお け る上 述 の線 形 性(入 力 と出 力 の あ い だ にお け る一 義 的 な決 定 性 や あ る種 の比 例 性)を もた な い柔軟 で 多 義 的 な反応 』 とい う定 義 に従 っ て考 え る こ とにす る。 まず,「 一 義 的 で な い(多 義 的 で あ る)」 に つ い て考 察 す る。 同 じデ ー タ を も とに して い て も意 思 決 定 者 が 異 なれ ば異 な る意 思 決 定 が な され る こ とが あ りう る し,意 思 決 定 者 が 同 じ場 合 で も,同 じデ ー タ を も とに して も常 に同 じ 意 思 決 定 を下 す か どうか はわ か ら な い。 これ らの こ とは入 力(デ ー タ)に 対 して 出力(意 思決 定)が 一 義 的 に は定 ま らな い こ とを示 して い る。 次 に,「 比 例 性 が な い」 とい う こ とに つ い て考 察 す る。 デ ー タが2倍 に な った か ら とい っ て,意 思 決 定 が2倍 正 確 に な る と は限 らな い し,デ ー タが 多 けれ ば多 い ほ どい い とい うわ けで もな い。 多 い場 合 はあ る程 度 の選 別 が必 要 とな ろ う(線 形 性 あ るい は比 例 性 が成 立 す れ ば,デ ー タの 量 が 多 けれ ば多 い 34国 際経営論集No.181999

(11)

ほ ど意 思 決 定 は正 確 さ を ます)。 この よ うに考 え る と,比 例 性 は必 ず し も成 立 しな い と考 えて よ いの で は な い か。 以 上 の考 察 で 「一 義 的 で は な い こ と」,「比 例 性 が な い こ と」 が 証 明 され た と思 わ れ るので,会 計 情 報 シス テム を非線 形 シ ス テ ム と考 えて もよ いで あ ろ う。 (3)外 力 こ こで は会 計 情 報 シ ス テム を非 平 衡 状 態 に す る外 力 につ い て考 え る 。 これ 以 後 は 自動 仕 訳 受 入 型 会 計 情 報 シス テム か ら業 務 統 合 型 会 計 情 報 シ ステ ムへ の 変化 の過 程 の み を考 察 す る。 この とき外 力 と して は次 の2つ が存 在 す る

① 会計情報 システムへの要 求の変化

従 来 の財 務 報 告 を中 心 とす る役 割 だ けで な く,経 営者 の 意 思 決 定 に役 立 つ 情 報 の提 供 を要求 され るが,こ の よ うな高 度 な意 思 決 定 に対 応 で きる 情 報 を提 供 で き る機 能 を 自動 仕 訳 受 入 型 会 計情 報 シス テ ム は もって い な 34) か った。 した が って,こ の要 求 は会 計 情 報 シス テム を非 平衡 状 態 に お い や る外 力 とな った。

②情報 システムの複雑 化

自動 仕 訳 受 入 型 会 計 情 報 シス テ ム の段 階 で はy他 の業 務 部 門 の シ ス テム 化 も進 ん だ が,企 業 内部 に設 計 手 法 や シ ステ ム構 造 の面 で統 一 性 の な い 小 規 模 シス テ ム が 数 多 くで きて し まい,情 報 シ ス テム 全 体 の運 用 が 複 雑   に な りす ぎ改 善 を求 め られ た 。 これ が 第2の 外 力 で あ る。 会 計1冑報 シ ステ ム と複 雑 系 に関 す る一 考 察35

(12)

これ ら2つ の外 力 が 自動 仕 訳 受 入 型 会 計 情 報 シス テ ム を非 平 衡 状 態 に お い や り,や が て業 務 統 合 型 会 計 情 報 シ ステ ム に 自己組 織 化 され新 た な平 衡 状 態 に移 る こ とに な る。

自己組織化 と新 たな平衡状態

外 力 と くに意 思 決 定 の 要求 に対 して は今 まで の シス テ ム は あ ま り有 用 で は な い ので,新 た な シス テ ム作 りが 始 まっ たが,い きな りシス テ ム を作 り上 げ る こ とは で きず,ま ず企 業 情 報 の解 明 か ら始 ま った。 その 結 果,新 し く求 め 36) る会 計 情 報 シ ス テ ム に つ い て,次 の こ とが わ か っ た 。 1。 デ ー タ を で き る限 り特 定 せ ず,さ ま ざ ま な デ ー タ を容 易 に 使 用 で き る こ と。 2.シ ステ ム構 築後 の 新 た な情 報 の要 求 に対 応 で き る こ と。 そ して,従 来 の会 計 惰報 シス テ ム と異 な る業 務 統 合 型 会 計 情 報 シス テ ム が 導 入 され る こ とにな る。 業 務 統 合型 会 計 情 報 シ ス テム が 導 入 され て新 た な平 衡 状 態 とな り安 定 す る の で あ るが,そ れ まで の状 態 を 自己 組 織 化 とい う面 か ら考 察 す る。 ここで考 え る 自己 組 織 化 とは,環 境 か ら必 要 な もの は と り入 れ るが,シ ステ ム の 要 素 の相 互 作 用 に よ りシス テ ム の秩 序 あ る状 態 を創 発 す る こ とで あ る と考 え る。 まず,新 しい事 態 に直 面 しい ろ い ろ な研 究 が な され 業務 統 合 型 会計 情 報 シ ス テム が 提 案 され て くるが,こ の間 に新 しい考 え方 や そ れ を実 現 す るハ ー ド ウ ェア や ソ フ トウ ェア を入 力 として受 け入 れ る。 そ して,新 た な会 計 情 報 シ ス テ ム の設 計 を シス テ ム 要 員 な どが 中 心 とな って行 な う(こ の 際,人 的 資 源 が不 足 す れ ば新 た な入 力 と して シ ス テ ム の構 築 に参 加 させ る)が,こ れ は人 36国 際経営論集No.181999

(13)

的 要 素(シ ス テ ム要 員 な ど)と ハ ー ドウ ェ ア,ソ フ トウ ェ アが 有機 的 に結 び つ い て新 た な シ ス テ ム の秩 序 を作 り出 す こ とに相 当す る 。 す な わ ち,要 素 間 の相 互 作 用 で シス テ ム の新 た な秩 序 が 創 発 され た こ とに な る 。 これ は 自 己組 織 化 と考 え て よい で あ ろ う。 6お わ り に 本 論 文 にお い て は会 計 晴報 シス テ ム を複 雑 系 の観 点 か ら考 察 した が,こ れ は まだ序 論 に す ぎず,研 究 す べ き点 は多 々 あ る と思 わ れ る。 会 計 肩報 シ ス テ ム,と くに意 思 決 定 とい う よ うな人 が か か わ る シス テ ム に は ,複 雑 系 の理 論 を適 用 す る こ とが好 ま しい と思 わ れ る。 注 D の 紛 )4 )5 )6 河 合 忠 彦(1999)「 複 雑 適 応 系 リー ダ ー シ ップ」 有 斐 閣 塩 沢 由典(1997)「 複 雑 系経 済 学 入 門 」 生産 性 出版 。 牧 野 丹 奈子(1997)「 複 雑 系 と して の 自律 分 散 型 組 織 」桃 山学 院 大 学 経 済 経 営 論 集39巻 第1号,63頁 。 牧野丹 奈子(1995)「 自律分散型経 営組織 にお ける権 限 と實任 」総 合研究所 紀 要(桃 山 学 院 大 学 総 合 研 究 所)20巻 第3号,47頁 。 牧 野 丹 奈 子(1996)「 自律 分 散 型 組 織 に お け る組 織 行 動 ル ー ル形 成 」桃 山 学 院 大 学 経 済 経 営 論 集38巻 第2号,29頁 。 牧 野丹 奈子(1997)「 多元 的非線形 的経営 と個人 自律化 」桃 山学院 大学経 済 経 営 論 集39巻 第2号y19頁 。 7)高 寺 貞 男(1995)「 複 雑 系 の 会 計 学 」 三 嶺 書 房 。 8)河 田 信(1999)「 生 産 シ ス テ ム と 会 計 シ ス テ ム の 適 合 性 」 企 業 会 計Vol . 51No.6,18頁 。 9)井 庭 崇 ・福 原 義 久(1998)「 複 雑 系 入 門 」NTT出 版 。 10)同 上 書 。

(14)

11)河 合,前 掲 書 参 照 。 12)こ こ で の 自 己 組 織 化 の 説 明 は 注1)24-25頁 に よ る 。 な お,自 己 組 織 化 の 具 体 例 に つ い て は 以 下 の 注13),14)を 参 照 せ よ 。 13) 14} 15) 16) 17) 北 森 俊 行 ・北 村 新 三(1996)「 自 己 組 織 化 の 科 学 」 オ ー ム 社 。 都 甲 潔 ・松 本 元(1996)「 自 己 組 織 化 」 朝 倉 書 店 。 河 合,前 掲 書,25頁 。 同 上 書 参 照 。 Nicolis,G.andI.Prigogine(1977)Self二 〇rgana.zat20nznNonequilibrium Systems,Wiley}NewYork.(ニ コ リ ス/プ リ ゴ ジ ン,小 畠 陽 之 助 ・相 沢 羊 二 [訳]「 散 逸 構 造 」 岩 波 書 店)。 18)Nicolis,G.andI.Prigogine(1989)ExploringComplexity,R.PiperGmbH &Co.KGVerlag,Munchen.(ニ コ リ ス/プ リ ゴ ジ ン,安 孫 子 誠 也 ・北 原 和 夫 [訳]「 複 雑 性 の 探 究 」 み す ず 書 房)。 19)Haken,H.(1978)Synergetics,SpringerVerlagBerlinHeidelberg.(ハ ー ケ ン,牧 島 邦 夫 ・小 森 尚 志[訳]「 協 同 現 象 の 数 理 」 東 海 大 学 出 版 会)。 20) 21) 22) 23) 金 子 邦 彦 ・津 田一 郎(1996)「 複 雑 系 の カ オ ス 的 シナ リオ」 朝 倉 書 店 。 牧 野,前 掲 「複 雑 系 として の 自律 分 散 型 組 織 」参 照 。 同上 書 。 浅 井 重 和 ・培 和 博(1998)「 マ ネ ジ メ ン ト情 報 と会 計 シ ス テ ム」 日刊 工 業 新 聞 社 。 24)西 村 優 子(1994)「 意 思 決 定 の た め の 会 計 情 報 シ ス テ ム 論 」 ビ ジ ネ ス 教 育 出 版 社 。 25)本 橋 正 美(1987)「 会 計 情 報 シ ス テ ム に 関 す る 一 考 察 」 明 治 大 学 経 営 論 集 35巻 第1号,123頁 。 26)同 上 書 。 27}Godfrey,J.T.andT.R.Prince(1971}TheAccountingModelfroman InformationSystemsPerspective,TheAccountingReview,January1971,p. 75.武 田 隆 二(1971)「 情 報 会 計 論 」 中 央 経 済 社,46頁 。 28)Godfrey,J.T.andT.R.Prince,op.cit.,pp.77-78. 29)要 求 さ れ る 意 思 決 定 の 質 が 変 化 す れ ば,そ れ に 応 じ た シ ス テ ム を 構 築 し な け れ ば な ら な い の で,こ れ ら2つ の 入 出 力 は 全 く 無 関 係 と い う わ け で は な い 。 後 述 す る 会 計 情 報 シ ス テ ム の 発 展 に お い て は ま さ に こ の よ う な こ と が お こ っ 38国 際 経 営 論 集No.181999

(15)

て い る 。 30)田 宮 治 雄(1994)「 会 計 情 報 シス テム の機 能 と構 造 」 中央 経 済社 ,63頁 。 31)田 宮 治 雄(1992)「 会 計 情 報 シス テ ム の 発 展 とEDIの 影 響 」 東 京 国 際 大 学 論 叢 商 学 部 編 第46号,29頁 。 32)今 井 二 郎(1991)「 コ ン ピ ュー タ会 計 の 展 開 と先 行 会 計 情 報 ① 」JICPAジ ヤ ∼ ナ ルNo,428,18頁 。 33)今 井 二 郎(1991)「 コ ン ピ ュー タ会 計 の展 開 と先 行 会 計 情 報⑪ 」JICPAジ ヤ ー一ナ ルNo.429,29頁 。 34)田 宮,前 掲 「会 計 情 報 シ ス テ ム の 機 能 と構 造 」s9頁 。 35)同 上 書,70頁 。 な お,こ こ で は 「複 雑 化 」 と い う 語 を 用 い て い る が ,こ の 情 報 シ ス テ ム が 「複 雑 系 」 で あ る とい うわ けで は な い。 設 計 手法 や シス テ ム構 造 の 面 で統 一 性 の な い小 さ な シス テ ム が 集 まっ た だ け の 「ご ち ゃ ご ち ゃ した シ ス テ ム」 で あ り,各 シス テ ムが 有 機 的 に結 合 してい る とは い い に くい 36)同 上 書,72頁 。 謝 辞 この論 文 の み な らず い ろ い ろ な面 で ご助 力 を い た だ い た神 奈 川 大 学 経 営 学 部 教 授 柳 田 仁 先 生 に心 よ り感 謝 の 意 を表 し ますc、また ,産 能 大 学 教 授 井 上 和 彦 先 生 に も心 よ り感 謝 の意 を表 し ます 。

参照

関連したドキュメント

higher level CA is produced by dividing cell array to neighbor

Let $\mathcal{O}_{0}(\overline{K})$ denote the space of functions $g$ : $\overline{K}arrow \mathbb{C}$ holomorphic in.. a

Today, there are many kinds of artificial life with complex systems which make the dynamics of the whole system be complex with one or several simple changes. We focus on

In order to make a semantic search system understand questions, given a question, it needs to identify question type to select appropriate relations as clue for extracting

The precision of the experiment in comparison with flat classification is shown in Table 5.14, where FMEM and FSVM are flat classification with MEM and SVM; Msemi1 and

Then, we theoretically examine the accounting structure concerning this scheme.. As a result this scheme which seemingly looked complex is able to be decomposed into

This research study aimed to know the Implementation Theory of Conservative Accrual Accounting to the Quality of Accounting Information Systems which is

Therefore, a principal as a shareholder can expect to raise his/her decision- making rationality by using the agent’s personality information from Maudsley Personality Inventory