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1 アドレナリンってなんだ アドレナリンって何だろう 普段は温厚な人たちでも 草野球の試合になると いつになく興奮し 闘争意識をむきだしにして激しいファイトを展開することがある そんな時 人の体内では 副腎という臓器の髄質部分からアドレナリンやノルアドレナリンというホルモンが分泌されているのだ アド

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Academic year: 2021

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アドレナリン作動成分の配合されている一般用医薬品の例 カイゲン点鼻薬、エスタック鼻炎スプレー 等 鼻炎用点鼻薬 アイブルーピュア、サンテザイオン 等 眼科用薬 コルゲンコーワIB錠、ベンザブロック L 錠 等 かぜ薬 セキナース、エスエスブロン液Z 等 鎮咳去痰薬 ダンリッチ EX 錠剤、アスゲン鼻炎カプセル S 等 内服アレルギー用薬 オロナイン軟膏、キズアワワ 等 外皮用薬 アドレナリン作動成分 外皮痔疾用薬 プリザエース、エスジールA軟膏 等

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第 1 章 アドレナリン作動成分ってなんだ アドレナリンって何だろう。普段は温厚な人たちでも、 草野球の試合になると、いつになく興奮し、闘争意識をむ きだしにして激しいファイトを展開することがある。そん な時、人の体内では、副腎という臓器の髄質部分からアド レナリンやノルアドレナリンというホルモンが分泌され ているのだ。 アドレナリンやノルアドレナリンは、気管を拡張して、 身体により多くの酸素を取り入れるようにし、また、血管 を収縮して血圧を上昇させ、さらには、心臓を激しく動か して、体中に大量の酸素を送り込めるようにしている。こ のように、身体を戦う状態に作り変える命令を、気管や血 管、心臓などに伝えているのだ。 ノルアドレナリンについては、実は、神経からも分泌されている。こちらは、ホル モンではなく、神経伝達物質と呼ばれている。副腎から分泌されたアドレナリンや ノルアドレナリンは、ホルモンに分類されるが、一方、神経細胞から分泌されたノル アドレナリンは、神経伝達物質に分類されている。いってみれば、ホルモンは“絨毯 爆撃”のように全身に散らばる細胞を標的とし、一方で、神経伝達物質は“ピンポイ ント攻撃”で標的細胞にシグナルを伝達するのだ。 交感神経系という神経系が興奮すると、ノルアドレナリンが神経細胞から気管、血 管、心臓などに向けて放出され、ホルモンのアドレナリンやノルアドレナリンと同様 に、気管拡張、血管収縮、そして心臓の拍出力・心拍数を増強させる。 ホルモンのアドレナリンやノルアドレナリンは、血液によって運ばれるため、その 効果の発現に、数分程度の時間がかかる。河川敷グラウンドでスパイクを履き、揃い のユニホームを着ると、だんだん力がみなぎってくるのは、ホルモンのアドレナリン やノルアドレナリンのもたらす作用ともいえるのだ。 一方、神経伝達物質のノルアドレナリンは、神経か ら気管、血管、心臓などの効果器に向けて、直接吹き 付けられるものであるから、瞬時に身体を戦闘状態に 作り変えることができる。相手チームの投手にビーン ボール(危険球)を投げられて、カッっと頭に血が上 り、心臓がバクバク鼓動を始めるのは、神経伝達物質 のノルアドレナリンによって引き起こされる現象な のだ。ビーンボールの後に、ホームランで“おかえし” できることがあるのは、このノルアドレナリンのおか

アドレナリンってなんだ

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細 胞 間 の 情 報 伝 達 物 質 の 一 つ 。 ホ ル モ ン は 、 体 内 の 一 部 の 細 胞 ・ 組 織 で 産 生・ 分 泌 さ れ 、 血 流 等 に よ り 全 身 に 運 ば れ る 。 そ し て 、 遠 く の 細 胞 ・ 組 織 で 生 理 作 用 を 発 現 す る こ と が で き る 。 ア ド レ ナ リ ン や ノ ル ア ド レ ナ リ ン は 、 戦 闘 に 適 し た 身 体 状 態 を つ く り だ す 。 ま た 、 イ ン ス リ ン は 血 糖 値 を 下 げ る 作 用 を 、 一 方 、 グ ル カ ゴ ン は 、 血 糖 値 を 上 げ る 作 用 を も つ 。 甲 状 腺 ホ ル モ ン は 、 身 体 を 興 奮 状 態 に す る ホ ル モ ン で 、 ア ル ド ス テ ロ ン 、 糖 質 コ ル チ コ イ ド 、 ア ン ド ロ ゲ ン は 、 い ず れ も 、 「 副 腎 皮 質 ホ ル モ ン 」 に 区 分 さ れ る ホ ル モ ン で あ る 。 こ の 他 に も さ ま ざ ま な ホ ル モ ン が 存 在 す る 。 ひと口 メモ 細 胞 間 の 情 報 伝 達 物 質 の 一 つ 。 神 経 伝 達 物 質 は 、 神 経 細 胞 と 神 経 細 胞 、 神 経 細 胞 と 効 果 器 ( 気 管 、 血 管 、 心 臓 等 ) 間 で 情 報 を 伝 達 す る 働 き を 行 う 。 神 経 細 胞 の 興 奮 刺 激 が 神 経 終 末 ( 神 経 の 末 端 部 の こ と ) に 到 達 す る と 、 神 経 伝 達 物 質 が 放 出 さ れ 、 近 接 す る 神 経 細 胞 の 受 容 体 に 結 合 す る こ と に よ り 、 次 の 神 経 細 胞 に 興 奮 を 伝 播 さ せ る 。 あ る い は 、 近 接 す る 効 果 器 の 受 容 体 に 結 合 す る こ と に よ っ て 、 効 果 器 に 収 縮 や 弛 緩 等 の 「 反 応 」 を 生 じ さ せ る こ と が で き る 。 神 経 伝 達 物 質 に は 、 ノ ル ア ド レ ナ リ ン の ほ か 、 ア セ チ ル コ リ ン 、 ド ー パ ミ ン 、 セ ロ ト ニ ン 等 が 存 在 す る 。

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第 1 章 アドレナリン作動成分ってなんだ さて、このようにアドレナリンやノルアドレナリンは人の体内で産生される物質だ が、これらと同じような化学構造をもった有効成分がある。この有効成分は、当然、 アドレナリンやノルアドレナリンと同じような作用をもたらすことができるため、ア ドレナリン作動成分とよばれている。 つまり、アドレナリン作動成分は、実際に身体の中でアドレナリンやノルアドレナ リンが分泌されていなくても、効果器(気管、血管、心臓等)のアドレナリン受容体 と結合して、体内でアドレナリンやノルアドレナリンが分泌した時と同様のアドレ ナリン作用をもたらすのだ。 このアドレナリン作動成分は、実は、われわれが常用している一般用医薬品のかぜ 薬、鎮咳去痰薬、外用痔疾用薬、内服アレルギー用薬、鼻炎用点鼻薬、眼科用薬、外 皮用薬に配合されている。では、具体的に、一体、アドレナリン作動成分のどのよ うな働きを期待して、これらの医薬品に配合されているのだろう。 人は、緊急事態に直面して緊張する時もあれば、のんびりしたひとときを過ごす時 もある。激しくスポーツをする時もあれば、ベッドにねころがってマンガを読んでい る時もある。このような、それぞれの環境に適応した身体状態をつくりだす役割を果 たしているのが、自律神経系と呼ばれる神経系だ。そして、自律神経系は、交感神 経系と副交感神経系の2 つの神経系から構成されている。この 2 つの神経系、それ 交感神経系と副交感神経系 1)

アドレナリン作動成分の働き

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ここが ポイント! アドレナリン作用の結果、 交感神経系の働きが増強する アドレナリン作動成分とは、 アドレナリン作用を持つ有効成分のことをいう。

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つまり、交感神経系は、身体能力を一時的にアップさせ、敵と闘争したり、敵から 逃走したりするのに適した身体状態を作り出す働きをしている。一方、副交感神経系 は、静かに、のんびり休息を取ったりする時の身体状態を作り出すための神経系だ。 この2 つを対比しながら理解すると、覚えやすいだろう。なお、副交感神経系につい ては、第2 章で説明しよう。 闘争・逃走に 適した身体状態 <交感神経系の作り出す身体状態> ◆瞳孔散大 ⇒⇒⇒ 物が明瞭に見える ◆心拍数増加 ⇒⇒⇒ 酸素を多く運搬できる ◆血圧上昇 ⇒⇒⇒ 酸素を多く運搬できる ◆気管拡張 ⇒⇒⇒ 空気を多く取り込める ◆腸管運動低下 ⇒⇒⇒ 酸素需要を減らせる ◆排尿抑制 ⇒⇒⇒ 尿意が止まる <副交感神経系の作り出す身体状態> ◆瞳孔収縮 ⇒ 視覚による刺激が減少する ◆心拍数減少 ⇒ 心臓にかかる負担が減少する ◆血圧低下 ⇒ 血管にかかる負荷が減少する ◆気管収縮 ⇒ 呼吸が穏やかになる ◆胃液分泌亢進 ⇒ 食物の消化が活発になる ◆腸管運動亢進 ⇒ 食物の消化・吸収が活発になる ◆排尿促進 ⇒ 尿意を催す 副交感神経系の働き

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第 1 章 アドレナリン作動成分ってなんだ では、アドレナリン受容体をもつ効果器にはどのようなものがあり、そこでどのような反応 が現れるのだろうか。下の図をご覧いただこう。 以上のように、アドレナリン作動成分によって血管収縮作用や気管支拡張作用など を得ることができる。そのような作用を利用することを目的として、アドレナリン作 動成分は、次のような一般用医薬品に配合されている。 <アドレナリン作動成分の配合される薬効群> アドレナリン作動成分 作用の種類 薬効 配合される 主な薬効群 エフェドリン塩酸塩 血管収縮 止血 外用痔疾用薬 充血緩和 眼科用薬 メチルエフェドリン塩酸塩 血管収縮 充血緩和 内服アレルギー用薬 かぜ薬、 止血 外用痔疾用薬 気管拡張 鎮咳 かぜ薬 鎮咳去痰薬 メチルエフェドリンサッカリン塩 血管収縮 充血緩和 かぜ薬 アドレナリン受容体を持つ効果器とその反応 目(散大筋) 心臓(心筋・特殊心筋) 気管(平滑筋) 膀胱(排尿筋) 小腸(平滑筋) 腸管運動が低下する 瞳孔が散大する 拍出力・心拍数の増強 血管(平滑筋) 血圧が上昇する 気道が拡張する 尿意が止まる 収縮 収縮 収縮 弛緩 弛緩 弛緩

アドレナリン作動成分が配合されている一般用医薬品

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気管拡張 鎮咳 かぜ薬 トリメトキノール塩酸塩 気管拡張 鎮咳 鎮咳去痰薬 メトキシフェナミン塩酸塩 気管拡張 鎮咳 鎮咳去痰薬 テトラヒドロゾリン塩酸塩 血管収縮 充血緩和 内服アレルギー用薬 眼科用薬 止血 外用痔疾用薬 ナファゾリン塩酸塩 血管収縮 充血緩和 鼻炎用点鼻薬 眼科用薬 止血 外用痔疾用薬、 外皮用薬 ナファゾリン硝酸塩 血管収縮 充血緩和 眼科用薬 フェニレフリン塩酸塩 血管収縮 充血緩和 内服アレルギー用薬 鼻炎用点鼻薬 アドレナリン作動作用が過剰に出た場合、どのような反応が身体に現れるだろうか。 それが、アドレナリン作動成分の配合された医薬品に共通してみられる副作用であり、 次のようなものが挙げられる。 アドレナリン作動成分による副作用 アドレナリン作動成分の配合された医薬品にみられる副作用 心臓(心筋・特殊心筋) 収縮 血管(平滑筋) 血糖値の上昇 頭痛、めまい、不眠 心悸亢進、動悸、頻脈 血圧の上昇 収縮 グリコーゲンの分解促進 刺激 肝臓 中枢神経

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